(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱源機ループA及び複数系統の空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、熱源機ループA及び空調機配管部Bは前記熱搬送ループCにより接続されてなり、
前記熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4と、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱源ポンプ2のポンプ回転数を制御するインバータ6とを備え、かつ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられていて、
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管9とが設けられていて、
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている熱媒体配管システムにおいて、
前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計14と、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計15と、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16と、
前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力するプログラマブルコントローラー18と、
からなることを特徴とする熱媒体配管システム。
熱源機ループA及び複数系統の空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、熱源機ループA及び空調機配管部Bは前記熱搬送ループCにより接続されてなり、
前記熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4と、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱源ポンプ2のポンプ回転数を制御するインバータ6とを備え、かつ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられていて、
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管9とが設けられていて、
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている熱媒体配管システムにおいて、
前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計14と、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計15と、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16と、
前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)を演算するプログラマブルコントローラー18と、該プログラマブルコントローラー18により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力する指示調節計19と、
からなることを特徴とする熱媒体配管システム。
前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5を、熱媒体還管路3に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路3との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路4との接続位置との間に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱媒体配管システム。
請求項1又は2に記載の熱媒体配管システムにおいて、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設け、前記熱交換器ループDは、熱交換器21と、ポンプ22と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱交換器21に送給する熱媒体還管路23と、熱交換器21からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路24と、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記ポンプ22のポンプ回転数を制御するインバータ26と、前記熱交換器21に設けられた二次側配管27、28と、該二次側配管28に設けられた温度計29と、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計30と、前記温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計31と、前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力するプログラマブルコントローラー33と、
からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱媒体配管システム。
請求項1又は2に記載の熱媒体配管システムにおいて、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設け、前記熱交換器ループDは、熱交換器21と、ポンプ22と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱交換器21に送給する熱媒体還管路23と、熱交換器21からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路24と、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記ポンプ22のポンプ回転数を制御するインバータ26と、前記熱交換器21に設けられた二次側配管27、28と、該二次側配管28に設けられた温度計29と、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計30と、前記温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計31と、前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算するプログラマブルコントローラー33と、該プログラマブルコントローラー33により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力する指示調節計34とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱媒体配管システム。
前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25を、熱媒体還管路23に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路24との接続位置との間に設けたことを特徴とする請求項4又は5に記載の熱媒体配管システム。
前記二次側配管28に設けられた温度計29を、二次側配管28に代え、熱媒体往管路24と熱媒体循環管路12との接続位置より熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1に記載の熱媒体配管システム。
【背景技術】
【0002】
複数の店舗及び事務所等が入居するオフィスビル等の建造物には、複数の空調機が設けられ、各空調機には、熱源機からポンプにより冷水又は温水等の熱媒体が各空調機の熱負荷に対応した流量で供給され、冷房や暖房が行なわれる。
而して、斯かる空調機を備えた熱媒体配管システムの従来の一例は
図5に示されているように、熱源機ループA及び複数系統の空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、熱源機ループA及び空調機配管部Bは熱搬送ループCにより接続されている。
前記熱源機ループAは、冷凍機又はボイラのような熱源機1と、熱源ポンプ2と、前記熱搬送ループCから冷水又は温水等の熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4とを備え、且つ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられており、また、熱媒体還管路3には温度計5が設けられている。6は前記熱源ポンプ2の回転数を制御することで流量を制御するインバータである。
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管路9とが設けられている。10は空調機7の給気温度制御を行う流量制御弁である。
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている。12’は前記流量制御弁10が全閉時に前記熱媒体循環ポンプ11が締切運転しないよう保護するために熱媒体循環管路12に設けられたバイパス管路で、13は該バイパス管路12’に設けられた流量制御弁である。
而して、一端を熱源機ループAの熱源機1出口側に接続された熱媒体往管路4の他端は、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12の熱媒体循環ポンプ11接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側に接続され、一端を熱源機ループAの熱源機1入口側に接続された熱媒体還管路3の他端は、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12の熱媒体往管路4接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側に接続されている。
また、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と前記熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続部位置の熱媒体流れ方向上流側に温度計14が、前記熱媒体供給管路12と前記熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側に温度計15が、前記インバータ6と前記温度計15との間に前記温度計15により計測された熱媒体供給管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の信号を受け、該信号に基づいたインバータ出力を前記インバータ6に送り熱源ポンプ2の流量を制御する指示調節計16が設けられていて、熱媒体供給管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)が設定温度(例えば、7℃)になるように前記熱源ポンプ2の流量制御を行っている。
なお、温度計5や温度計14は、熱源ポンプ2の流量制御とは特に関係がなく、下記の逆流が生じた場合の温度の変化の説明のために記載している。
【0003】
このような熱媒体配管システムにおいては、例えば、熱媒体循環ポンプ11により空調機7に7℃の冷水(熱媒体)が供給され、該冷水(熱媒体)が空調機で12℃まで温められ
図5において反時計廻りに熱媒体循環管路12を流れ、そこで一部枝分かれし、熱源ポンプ2により熱媒体循環管路12に接続された熱媒体還管路3から前記熱源機1に供給され、該熱源機1により冷却され出口温度が7℃になるように指示調節計16により前記熱源ポンプ2の流量を制御している。
このとき、熱媒体供給管路12の流量が段々と下がっていき、前記熱源機ループAを独自に制御している熱源機1から熱媒体往管路4に流れる流量がゆっくりと下がっていって、熱媒体往管路4に流れる流量が前記熱媒体供給管路12を流れる流量より大きくなると、空調機側に全てが流れず、一部が逆流して熱源機ループAに短絡して流れる場合がある。
図6は、上記の熱媒体配管システムにおいて、逆流が生じた場合の温度の変化の説明図で、横軸が時間で縦軸が温度を表す。
同図において、Trは熱媒体循環管路12を流れる水の還り温度、T1は熱媒体還管路3を流れる水の入口温度、Tsは熱媒体循環管路12と熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12を流れる水の往き温度である。
ここで熱媒体循環管路の往き温度Tsは7℃で送水できている。これに対して還り温度Tr、熱源機1の入口温度T1が12℃になっている。
しかし空調機7の負荷が減ると、流量制御弁10が絞られて熱媒体循環管路12の流量が減るとともに、還り温度Trが下がる(イ)。
このとき、熱源機1の方も還り温度Trが下がるので熱源機1のコンプレッサの圧縮機の仕事量が同じだとすると入口温度T1が下がるので熱媒体循環管路12の往き温度Tsも少し下がる。ただし、往き温度Tsが下がると熱源ポンプ2へのインバータ出力が下がるので、還り温度Trや入口温度T1に比べて往き温度Tsの下がり方は緩やかになる(ロ)。
空調機7の負荷が下がりすぎると流量制御弁10もかなり絞られて熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量が減ってくる。熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量および熱媒体往管路4を流れる熱媒体の流量はともに減少するものの、熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量を減らす速度よりこの熱媒体往管路4を流れる熱媒体の流量を減らす速度が遅いと前記熱媒体循環管路12との接続位置から熱媒体流れ方向上流側に逆流が生じて、12℃の還り温度Trで戻って来た熱媒体と7℃の熱媒体とが混ざりあって、例えば、11℃、10℃と点線で示すように入口温度T1が急激に温度低下する(ハ)。このように、熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量を減らす速度より熱媒体往管路4を流れる熱媒体の流量を減らす速度が遅くなるのは、空調機7の負荷が減少すると、その負荷の減少に追随して迅速に流量制御弁10が絞られ熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量が減少するのに対して、熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量が減少しても、時間遅れのため、熱源ポンプ2へのインバータ出力の低下はすぐには起こらず、また、制御の安定性のため熱源ポンプ2へのインバータ出力の低下は緩慢なものとなるためである。このように実線aと点線bとの温度差の幅が広がる。
また、逆流した分往き温度Tsが更に下がるので、逆流を境に往き温度Tsの線に折れ曲がりを生じる。この入口温度T1がどんどん下がり、急激に低くなると、熱源機1は急激に負荷が無くなった判断して、停止したり、または急激に出力を下げたりを機械側で行ってしまい熱媒体循環管路12の往き温度Tsが急激に上がってしまう(ニ)。そうすると、熱源機1がONとOFFを繰り返し、全体の温度(入口も還り口側も)が上がったり、下がったりの繰り返しになり不安定になる。
このように逆流が生じると熱源機1のONとOFFの繰り返しにより、前記熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度も不安定で、空調機に供給される水の温度が安定しなくなるという課題があった。
さらに、温度計5により熱媒体還管路3から前記熱源機1に供給される熱媒体の入口温度T1を計測しているがそれに基づいて、逆流発生を検知し、インバータ6を制御するような手段がなかった。
【0004】
そこで前記のような逆流を防止するため
図7に示すように前記熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4に流量計17を設け、前記熱媒体循環ポンプ11と前記空調機7との間の熱媒体供給管路12に流量計18を設け、前記2つの流量計17の流量Qbと流量計18の流量Qsをプログラマブルコントローラー19で比較し、熱媒体往管路4側の流量Qbより熱媒体供給管路12側の流量Qsが大きくなるように前記プログラマブルコントローラー19でインバータ6により熱媒体ポンプ2の流量を調整している。
これにより逆流は防止できるが、流量計それ自体が配管を流れる水の抵抗となって、動力を無駄に使ったり、また、流量計にも測定できる範囲があり0〜100%までの間で、低い方が測定できない等それぞれ特徴があり適切な使用が困難であった。
さらに、流量計は高額なためコスト削減の観点からできるだけ流量計の使用を減らすことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものであり、流量計を用いることなく熱媒体配管システムにおける熱媒体の逆流を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した、
(1)熱源機ループA及び複数系統の空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、熱源機ループA及び空調機配管部Bは前記熱搬送ループCにより接続されてなり、
前記熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4と、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱源ポンプ2のポンプ回転数を制御するインバータ6とを備え、かつ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられていて、
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管9とが設けられていて、
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている熱媒体配管システムにおいて、
前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計14と、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計15と、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16と、
前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力するプログラマブルコントローラー18と、
からなることを特徴とする熱媒体配管システム。
(2)熱源機ループA及び複数系統の空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、熱源機ループA及び空調機配管部Bは前記熱搬送ループCにより接続されてなり、
前記熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4と、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱源ポンプ2のポンプ回転数を制御するインバータ6とを備え、かつ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられていて、
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管9とが設けられていて、
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている熱媒体配管システムにおいて、
前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計14と、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計15と、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16と、
前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)を演算するプログラマブルコントローラー18と、該プログラマブルコントローラー18により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力する指示調節計19と、
からなることを特徴とする熱媒体配管システム。
(3)前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5を、熱媒体還管路3に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路3との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路4との接続位置との間に設けたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱媒体配管システム。
(4)前記(1)又は(2)に記載の熱媒体配管システムにおいて、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設け、前記熱交換器ループDは、熱交換器21と、ポンプ22と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱交換器21に送給する熱媒体還管路23と、熱交換器21からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路24と、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記ポンプ22のポンプ回転数を制御するインバータ26と、前記熱交換器21に設けられた二次側配管27、28と、該二次側配管28に設けられた温度計29と、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計30と、前記温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計31と、前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力するプログラマブルコントローラー33と、
からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱媒体配管システム。
(5)前記(1)又は(2)に記載の熱媒体配管システムにおいて、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設け、前記熱交換器ループDは、熱交換器21と、ポンプ22と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱交換器21に送給する熱媒体還管路23と、熱交換器21からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路24と、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記ポンプ22のポンプ回転数を制御するインバータ26と、前記熱交換器21に設けられた二次側配管27、28と、該二次側配管28に設けられた温度計29と、前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計30と、前記温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計31と、前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算するプログラマブルコントローラー33と、該プログラマブルコントローラー33により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力する指示調節計34とからなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱媒体配管システム。
(6)前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25を、熱媒体還管路23に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路24との接続位置との間に設けたことを特徴とする(4)又は(5)に記載の熱媒体配管システム。
(7)前記二次側配管28に設けられた温度計29を、二次側配管28に代え、熱媒体往管路24と熱媒体循環管路12との接続位置より熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けたことを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1に記載の熱媒体配管システム
【発明の効果】
【0008】
1.(1)〜(3)の発明によれば、熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計15と、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16と、
熱源機ループAの熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計14と、前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力するプログラマブルコントローラー18とから、又は、該プログラマブルコントローラー18により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力する指示調節計19とからなるので、前記Lowセレクタ17により指示調節計16によるインバータ出力とプログラマブルコントローラー18又は指示調節計19によるインバータ出力を比較して低い方の信号をインバータ6に送り、前記熱源ポンプ2の流量を制御することで逆流を抑止することができる。
(1)及び(2)の発明では、温度差分ΔT(Tr−T1)は逆流の度合いを示すので、このような逆流の度合いを示すパラメータである温度差分ΔTに基づいてインバータ出力を制御することで、制御性がよくなり、逆流を適切に抑止できる。(3)の発明では、温度差分ΔT(Tr−T2)は逆流の有無を示すので、この温度差分ΔTに基づいてインバータ出力を制御することで、逆流に迅速に対応できる。
2.(4)〜(7)の発明によれば、前記(1)に記載の熱媒体配管システムにおいて、
前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設け、該熱交換器ループDの熱交換器21に設けられた二次側配管28に設けられた温度計29と、該温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度(Ts’)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計31と、前記熱交換器ループDの熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計30と、前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力するプログラマブルコントローラー33とから、又は該プログラマブルコントローラー33により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力する指示調節計34とからなるので、前記Lowセレクタ32により指示調節計31によるインバータ出力とプログラマブルコントローラー33又は指示調節計31によるインバータ出力を比較して低い方の信号をインバータ6に送り、前記ポンプ22の流量を制御することで、空調機7で暖まった熱媒体を予冷したり少し冷やす場合にも逆流を抑制し使用することができる。
熱交換器21で自然エネルギーを熱回収する場合、ポンプ22をいくら回しても熱回収できずにポンプ22が無駄に駆動し、逆流することを抑制して、ポンプ22の動力を削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は本発明の熱媒体配管システムの実施の形態の一例である。而して、本図示例では、熱媒体配管システムは、熱源機ループA及び空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、空調機配管部Bは複数系統設けられ、熱源機ループA及び空調機配管部Bは熱搬送ループCにより接続されている。
【0011】
すなわち、熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12から分岐され、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12に合流し、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4と、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5と、前記熱源ポンプ2のポンプ回転数を制御し流量を制御するインバータ6とを備え、且つ熱媒体還管路3には前記熱源ポンプ2が設けられている。
前記空調機配管部Bは、空調機7と、前記熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管路9とが設けられている。10は空調機7の給気温度制御を行う流量制御弁である。
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と該熱媒体循環ポンプ11が設けられた無端状の熱媒体循環管路12とを備えている。12’は前記流量制御弁10が全閉時に前記熱媒体循環ポンプ11が締切運転しないよう保護するために熱媒体循環管路12に設けられたバイパス管路で、13は該バイパス管路12’に設けられた流量制御弁である。
【0012】
而して、一端を熱源機ループAの熱源機1出口側に接続された熱媒体往管路4の他端は、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12の熱媒体循環ポンプ11接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側に接続され、一端を熱源機ループAの熱源機1入口側に接続された熱媒体還管路3の他端は、熱搬送ループCにおける熱媒体循環管路12の熱媒体往管路4接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側に接続されている。
【0013】
複数の空調機配管部Bは、熱媒体循環管路12の熱媒体循環ポンプ11接続位置よりも熱媒体流れ方向下流側において、熱媒体循環管路12に対し、熱媒体流れ方向上流側から下流側へ向けて順次接続されている。すなわち、一端を空調機配管部Bの空調機7の入口側に接続された熱媒体往管路8の他端は熱媒体循環管路12に接続され、一端を空調機配管部Bの空調機7の出口側に接続された熱媒体還管路9の他端は、熱媒体往管路8接続部よりも熱媒体流れ方向下流側において熱媒体循環管路12に接続されている。
以上により、熱搬送ループCに並列に接続された熱源機ループA(熱媒体還管路3→熱源機1→熱媒体往管路4→熱媒体循環管路12における熱媒体往管路4の分岐箇所と熱媒体還管路3の合流箇所の間(熱媒体循環管路12における枝間))によって、熱媒体循環管路12からの熱媒体を分流させ、熱源機1にて冷却させたのちに熱媒体循環管路12に合流させるループ状の経路が形成されている。このとき、熱源機ループAの逆流を少し許容する、つまり、熱媒体循環管路12に合流させた熱媒体の一部が熱媒体循環管路12における枝間を短絡して再び熱源機1にて冷却させるよう構成してある。
また、前記熱搬送ループCと該熱搬送ループCに直列に接続された前記空調機配管部Bの組み合わせ(熱媒体循環管路12→熱媒体往管路8→空調機7→熱媒体還管路9)によって、熱媒体循環管路12からの熱媒体を空調機7に供給して空調負荷を処理したのち熱媒体循環管路12に戻すループ状の経路が形成されている。
本実施の形態では、熱源機ループA及び空調機配管部B並びに熱搬送ループCに分けられていると共に、空調機配管部Bは複数系統設けられ、熱源機ループA及び空調機配管部Bは熱搬送ループCにより接続されている構成を例示したが、配管の構成はこれに限られるものではない。
例えば、熱源機ループA、及び複数系統の空調機配管部B、並びに熱源機ループAと各空調機配管部Bとを接続する熱搬送ループCを備え、
熱源機ループAは、熱源機1と、熱源ポンプ2と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱源機1に送給する熱媒体還管路3と、熱源機1からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路4とを備え、且つ熱媒体還管路3には熱源ポンプ2が設けられており、
前記空調機配管部Bは、空調機7と、空調機ポンプと、熱搬送ループCからの熱媒体を空調機7へ送給する熱媒体往管路8と、空調機7からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体還管路9とを備え、且つ熱媒体往管路8又は熱媒体還管路9には空調機ポンプが設けられてループを形成しており、
熱搬送ループCは、熱媒体循環ポンプ11と、熱媒体循環ポンプ11が設けられて熱媒体が供給される無端状の熱媒体循環管路12とを備えている構成としてもよい。
【0014】
また、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体還管路3との接続位置部よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に温度計14が、前記熱搬送ループCの熱媒体循環管路12と熱源機ループAの熱媒体往管路4との接続位置部の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に温度計15が、該温度計15により熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の往き温度(Ts)の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ17に出力する指示調節計16とが設けられている。
また、前記温度計5と温度計14に接続され、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと前記温度計5より計測された熱媒体還管路3の入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1))を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力するプログラマブルコントローラー18(コントローラーの一例)が設けられている。
なお、19は必要に応じて設けられたと指示調節計であり、前記プログラマブルコントローラー18により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力する。
このように指示調節計19を設けることで、指示調節計の表示部分においてインバータ出力値を確認することができるので、プログラマブルコントローラー18と異なり簡単に
図2に示すような温度の比例制御のグラフの傾きなどのPIDのパラメータ設定変更をすることができる。
なお、5’は本発明にかかる熱媒体配管システムの実施の形態の他の例における温度計(
図1の温度計14と温度計15の間に点線で示された温度計)であり、前記熱媒体還管路3に設けられた温度計5に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路3との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路4との接続位置との間(熱媒体循環管路12における枝間)に設けられている。
すなわち、前記温度計14により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Trと、熱媒体循環管路12の枝間に設けた温度計5’より計測された、熱媒体循環管路12における枝間温度T2の温度差分ΔT(Tr−T2))を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ17に出力するプログラマブルコントローラー18が設けられている。
上記温度計5’により計測される前記熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度によっても逆流の発生の有無を確認できる。
【0015】
次に、上記図示例の作動を説明する。
熱搬送ループCの熱媒体循環管路12を循環して熱源機ループAの熱媒体還管路3から熱源ポンプ2により熱源機1へ送給された熱媒体は、熱源機1において冷却若しくは加熱され、冷却若しくは加熱された熱媒体は、熱媒体往管路4を流通して熱媒体循環管路1 2へ送給され、熱媒体循環管路12を熱媒体往管路3接続部よりも上流側から循環し送給されてきた熱媒体と合流し、熱媒体循環管路12を下流側へ送給され、熱媒体循環ポンプ11により加圧されて熱媒体循環管路12を更に下流側へ送給される。
【0016】
而して、熱媒体の一部は空調機配管部Bの熱媒体往管路8へ流入して、該熱媒体往管路8から送給され、空調機7へ送給され、空調機7において冷熱若しくは温熱を消費して仕事をし、温度が上昇若しくは下降した熱媒体は熱媒体還管路9を送給されて熱媒体循環管路12へ流入し、他の空調機配管部Bからの熱媒体と合流し、熱媒体循環管路12を反時計回りに流通して熱源機ループA側へ送給され、一部の熱媒体は熱源機ループAの熱媒体還管路3へ流入し、残りの熱媒体は熱媒体循環管路12において熱媒体往管路4からの熱媒体と合流して前述の経路を通り循環する。
【0017】
図2は本発明にかかる熱媒体配管システムにおける制御説明図である。
同図において、(a)は、温度計14により計測された熱媒体循環管路12を流れる水の還り温度Trと温度計5により計測された熱媒体還管路3を流れる水の入口温度T1との温度差ΔT(Tr−T1)とインバータ出力の関係を表す図で、横軸が温度差、縦軸がインバータ出力を表す。
同(a)において、温度差ΔTが大きければ大きい程逆流が大きくて、逆に温度差ΔTが0の場合、逆流が無いと判断できる。
ここで、少しの逆流は許容し前記戻り温度Trと前記入口温度T1との関係が式(1)を満たすように入口温度Tを管理している。
T1≧Tr−α (1)
(式中αは、ディファレンシャルで、α=0〜1である)
上記のように温度差ΔTは0ではなく、αとしている。
これは、0〜1℃の範囲で、制御を安定させるための不感帯で少しの逆流は許容しても安定性を求めるために少しディファレンシャルを持たしている。
このように温度差ΔTが大きければ大きい程逆流が大きいので、上記式(1)αに保つためには、インバータの出力を減らさなければならない。したがって、このことからインバータの出力を表す線は右肩下がりになっている。
例えば、ここではαでインバータの出力F1は70%と演算される。
本実施の形態において、少しの逆流は許容するようにしたのは、制御の安定性のためであるが、それだけが目的ではない。熱源機ループAの逆流が全くないとすると、熱媒体循環管路12を流通する往き冷水は、熱媒体往管路4を流通する冷水の温度(熱源機1の出口温度)に、空調機7によって温められた熱媒体循環管路12を流通する還り冷水の一部が流入するため、温度計15によって熱媒体循環管路12を流通する冷水の往き温度Tsが7℃に制御されているとすると、熱媒体往管路4を流通する冷水の温度(熱源機1の出口温度)は、それよりも低い値(例えば6.5℃)になる。このように、熱源機1の出口温度が設定値以上に低くなると省エネ運転の妨げになる。
そこで、熱源機ループAの逆流を少し許容することで、熱媒体循環管路12を流通する還り冷水の流入を阻止して、熱媒体循環管路12を流通する冷水の往き温度Tsと熱源機1の出口温度を同じにすることができ、省エネ運転を行うことができる。ディファレンシャルαは最大で1℃としており、{((7+α)−7)/(12−7)}×100=20%までの逆流を許容できる。熱源機1の安定的な運転と省エネ運転の観点から、5〜10%の逆流が好ましい。
尚、単に、逆流を防止するだけであれば、熱媒体循環管路12における枝間に逆止弁を設置することも考えられるが、そのような逆止弁を設置して逆流を完全に阻止してしまうと、上記のように、熱源機1の出口温度が設定値以上に低くなってしまうことに加えて、ポンプ同士の圧力干渉が起こる(その時点で熱源ポンプ2と熱媒体循環ポンプ11が直列に接続されることになり、特性曲線が大きく変化する)ため、流量制御が不安定になり、実用的でない。したがって、本発明のポイントは、熱源機ループAの逆流を少し許容して熱源機1の省エネ運転を行いつつ、過大な逆流によって熱源機1の運転が不安定になることを抑制することにある。
(b)は、温度計15の熱媒体循環管路12と熱媒体往管路4との接続部の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12を流れる水の往き温度Tsとインバータ出力との関係を表す図で、横軸が温度、縦軸がインバータ出力を表す。
同(b)は、従来の制御方式で、温度計15により計測される往き温度Tsを例えば7℃にするようにインバータにより流量制御をしている。この往き温度Tsが高ければ高いほど冷熱供給が足りていないことから、インバータ出力を上げて熱媒体循環管路12を流れる水の流量を増やさなければならない。このため、インバータの出力を表す線は右肩上がりの線になる。
ここでは、7℃にするにはインバータ出力F2は50%で良いことを表している。
【0018】
本実施の形態においては、温度計14により計測された熱媒体循環管路12を流れる水の還り温度Trと媒体還管路3を流れる水の入口温度T1との関係が式(1)を満たすように制御温度を管理しているので、該制御温度におけるインバータ出力F1と温度計15による計測温度Ts7℃におけるインバータ出力F2を比較してLowセレクタ17において、F=min(F1、F2)で70%と50%を比較して低い方の50%を選択してインバータ出力とする。
これにより、逆流を抑止することができる。
また、(a)において、段々と負荷が小さくなって温度差ΔTが出てくるようになると、インバータ出力F1が40%、30%と左の方が低くなる。このようにインバータ出力F1が40%、30%と左の方が低くなると、低い方のインバータ出力を選ぶようにすることで逆流を抑止している。
【0019】
図3は、本発明にかかる熱媒体配管システムにおける温度変化の説明図である。
同図において横軸は時間、縦軸は温度を表す。
同図において、Trは熱媒体循環管路12を流れる水の還り温度、T1は熱媒体還管路3を流れる水の入口温度、Tsは熱媒体循環管路12と熱媒体往管路4との接続部の熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12を流れる水の往き温度である。
ここで熱媒体循環管路の往き温度Tsは7℃で送水されている。これに対して還り温度Tr、熱源機の入口温度T1が12℃になっている。
そして、空調機7の負荷が減ると、流量制御弁10が絞られて熱媒体循環管路12を送給される水の流量が減って温度が下がっていく(ヘ)。
このとき、熱源機の方も還り温度Trが下がるので熱源機のコンプレッサの圧縮機の仕事量が同じだとしたら入口温度T1が下がり、往き温度Tsも下がるが、熱源機の自動制御により下がった出口温度が7℃になるように修正していく(ト)。段々と空調機7の負荷が下がって行くときに、負荷が下がりすぎると熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量が減ってくるので、熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の流量を減らす速度よりも熱媒体往管路4を流れる熱媒体の流量を減らす速度が遅いと前記熱媒体循環管路12との接続位置から熱媒体流れ方向上流側に逆流が発生する(チ)。
これまで、逆流を過度に防止する手段は無かったので
図6で示すように実線aと点線bの温度は開く一方だったが、本発明の形態においては、式(1)を満たすように入口温度T1を管理することで逆流を抑止する制御を実現している。
具体的には、制御温度におけるインバータ出力F1と温度計15による計測温度Ts7℃におけるインバータ出力F2をLowセレクタ17において比較し、F=min(F1、F2)で70%と50%を比較して低い方の50%を選択してインバータ出力とする。
そうすると、この実線aと点線bの温度差は一定に保たれて温度の変化が緩和され、逆流の程度が過大になることを抑制できる(リ)。これにより、熱源機側の入口も温度変化がかなり緩和され、熱媒体が熱源機ループAに短絡して流れ、入口温度T1が急激に低くなることを抑制できるので熱源機の制御が追従して7℃の設定が保たれる(ヌ)。
そして、熱源機の作動が安定すれば、還り温度も徐々に上昇し、やがて一定となる(ル)。
このように、これまでは、逆流により熱源機の入口温度が急激に下がっていたのを、逆流を抑止し急激に下がらないように制御することができる。
本実施の形態においては、前記戻り温度Trと前記入口温度T1との関係が式(1)を満たすように入口温度T1を管理すると共に、入口温度T1の温度信号と熱媒体循環管路12を流れる水の往き温度Tsの温度信号をLowセレクタ17において比較し、小さい方の出力信号をインバータ6に送り熱源機ポンプ2の回転数を制御することで流量を制御して逆流を抑止している。
本実施の形態においては、前記戻り温度Trと前記入口温度T1との関係が式(1)を満たすように入口温度T1を管理すると共に、プログラマブルコントローラー18で演算された前記戻り温度Trと前記入口温度T1の温度差分ΔT(Tr−T1)に基づき、プログラマブルコントローラー18演算されたインバータ出力と、熱媒体循環管路12を流れる水の往き温度Tsに基づきの指示調節計16で演算されたインバータ出力とをLowセレクタ17において比較し、小さい方の出力信号をインバータ6に送り熱源機ポンプ2の回転数を制御することで流量を制御して逆流を抑止している。
T1≧Tr−α (1)
(式中αは、ディファレンシャルで、α=0〜1である)
【0020】
図4は本発明にかかる熱媒体配管システムの実施の形態の他の例を示す管路図である。
本実施の形態においては、前記実施の形態における熱媒体配管システムにおいて、空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設けて、空調機7で暖まった熱媒体を予冷したり少し冷やす場合に使用する。
而して、熱交換器ループDは、熱交換器21と、ポンプ22と、熱搬送ループCからの熱媒体を熱交換器21に送給する熱媒体還管路23と、熱交換器21からの熱媒体を熱搬送ループCへ送給する熱媒体往管路24と、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25と、前記ポンプ22のポンプ回転数を制御するインバータ26とを備え、且つ熱媒体還管路23には前記ポンプ22が設けられている。
また、熱交換器21には、二次側配管27、28が、該二次側配管28には、温度計29が設けられている。而して、前記二次側配管27、28は何れも図示しない、例えば、機械装置の熱回収とか自然エネルギー系統(例えば、冷却塔とフリークーリングした冷熱とか、地中熱とか、雪の熱で予冷したいとか)に接続されてこれらの装置との間で熱媒体の行き来が行われる。
尚、自然エネルギー系統として、密閉式のクーリングタワーや、熱交換器を介さない雪室などの場合、二次側配管27、28がなく、二次側配管28に温度計29を取り付けられない。
29’は上記のように二次側配管28が無い場合に該二次側配管28に設けられた温度計29に代え、熱媒体往管路24と熱媒体循環管路12との接続位置より熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計である。
30は前記空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側の熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23の接続位置よりも熱媒体流れ方向上流側の熱媒体循環管路12に設けられた温度計である。
31は前記温度計29により二次側配管28を流れる熱媒体の温度信号を受け、該温度信号に基づいたインバータ出力をLowセレクタ32に出力する指示調節計である。
33は前記温度計25と温度計30に接続され、前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)を演算し、該温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力するプログラマブルコントローラーである。
なお、34は必要に応じて設けられた指示調節計であり、前記プログラマブルコントローラー33により演算された温度差分ΔTに基づきインバータ出力を演算し、該インバータ出力を前記Lowセレクタ32に出力する。
このように指示調節計34を設けることで、指示調節計の表示部分においてインバータ出力値を確認することができるので、プログラマブルコントローラー33と異なり簡単に設定変更をすることができる。
なお、25’は本発明にかかる熱媒体配管システムの実施の形態の他の例における温度計であり、前記熱媒体還管路23に設けられた温度計25を、熱媒体還管路23に代え、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体還管路23との接続位置と、前記熱媒体循環管路12と前記熱媒体往管路24との接続位置との間に設けられている。
上記温度計25’により計測される前記熱媒体循環管路12を流れる熱媒体の温度によっても逆流の発生の有無を確認できる。
【0021】
次に、上記図示例の作動を説明する。
熱搬送ループCの熱媒体循環管路12を循環して熱交換器ループDの熱媒体還管路23からポンプ22により熱交換器21へ送給された熱媒体は、熱交換器21において冷却され、冷却された熱媒体は熱媒体往管路24を流通して熱媒体循環管路12へ送給され、熱媒体循環管路12を熱媒体往管路3接続部よりも上流側から循環し送給されてきた熱媒体と合流し、熱媒体循環管路12を下流側へ送給される。
【0022】
このとき、前記熱源機ループAと同様に、前記熱交換器ループCを独自に制御している熱交換器21から熱媒体往管路24に流れる流量が段々と上がっていって前記熱媒体供給管路12を流れ流量より大きくなると、熱媒体流れ方向下流側に流れず、逆流して熱媒体流れ方向上流側へ流れる場合がある。
このように、逆流が生じるようと、熱交換器21の先の回収できる熱量は限りがあるためポンプ22を沢山廻しても熱がそれ程取れるわけではなく、ポンプ22の動力が無駄になってしまう。
そこで逆流を抑止するために先ほどと同じように、本実施の形態においても、前記戻り温度Tr’と前記入口温度T1’との関係が式(1)を満たすように入口温度T1’を管理すると共に、指示調節計31からLowセレクタ32に送られた熱交換器21の二次側配管28に設けられた温度計29により計測された前記二次側配管28を流れる熱媒体の温度Ts’の温度信号に基づいたインバータ出力と、プログラマブルコントローラー33からLowセレクタ32に送られた前記温度計30により計測された熱媒体循環管路12の戻り温度Tr’と前記温度計25により計測された熱媒体還管路23の入口温度T1’の温度差分ΔT(Tr’−T1’)に基づき演算されたインバータ出力を比較し、低い方のインバータ出力を選択し、インバータ26に送りポンプ22の回転数を制御することで流量を制御して逆流を抑止している。
T1≧Tr−α (1)
(式中αは、ディファレンシャルで、α=0〜1である)
本実施の形態では、空調機配管部Bの熱媒体流れ方向上流側に熱源機ループAを設け、空調機配管部Bの熱媒体流れ方向下流側に熱交換器ループDを設けて、空調機7で暖まった熱媒体を予冷したり少し冷やす場合に使用しているが、例えば雪冷房システムだけで空調機7の空調負荷の全てを賄える場合には、熱源機ループAを省略してもよい。