(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信制御部は、前記操作受付部が発注操作を受け付けた場合に発する信号を受信することを契機として、前記発注受付デバイスと前記通信端末との間の通信を制御するアプリケーションを起動する請求項2に記載の商品販売システム。
前記通知部は、前記通信制御部によってペアリングされた前記発注受付デバイスそれぞれのデバイス識別情報に対応づけられた商品を一覧表示する請求項2から7のいずれか一項に記載の商品販売システム。
前記通知部は前記発注受付デバイスに備えられており、前記通信制御部によって確立された前記通信端末との通信経路を介して取得した前記進捗状態を示す情報を通知する請求項2から8のいずれか一項に記載の商品販売システム。
前記通知部は、所定期間内に同一のデバイス識別情報を受信した場合、前記ユーザに購入の確認を促すメッセージを表示する請求項1から10のいずれか一項に記載の商品販売システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施の形態>
[商品販売システムSの概要]
図1は、第1の実施の形態に係る商品販売システムSの概要を説明するための図である。第1の実施の形態に係る商品販売システムSは、ユーザから商品の発注操作を受け付ける発注受付デバイス1と商品の発注処理を実行する販売処理装置3との間に、両者を仲介する通信端末2が存在する商品販売システムである。
図1は、商品販売システムSに含まれる通信端末2及び販売処理装置3とともに、発注受付デバイス1、販売店4、基地局N1及びネットワークN2を示している。基地局N1は、携帯電話網の基地局であり、ネットワークN2は、例えばインターネットである。
【0023】
発注受付デバイス1は、ユーザによる商品の発注の指示を受け付けるデバイスである。発注受付デバイス1には、ユーザが押下可能なボタンが設けられており、ユーザは、ボタンを押すことにより商品を発注することができる。ユーザは、例えば、商品を使用する場所の近くに発注受付デバイス1を設置しておくことにより、商品の在庫がなくなった時点でボタンを押して、容易に商品を発注することができる。
【0024】
発注受付デバイス1は、発注受付デバイス1毎に一意に定められたデバイスID(IDentification)を記憶している。デバイスIDは、各発注受付デバイス1を特定するために用いられるデバイス識別情報として機能する。ユーザがボタンを押下することにより(
図1における(1))、デバイスIDに関連付けられた商品を発注する操作が受け付けられる。発注受付デバイス1は、ボタンが押下されたことに応じて、通信端末2に対して発注要求信号を送信する(
図1における(2))。
【0025】
通信端末2は、発注受付デバイス1及び基地局N1と通信可能な端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、ファブレット、ノートPC(Personal Computer)、又はデスクトップPC等である。通信端末2は、発注受付デバイス1から発注要求信号を受信すると、発注受付デバイス1のデバイスIDを少なくとも含む発注情報を販売処理装置3に送信する(
図1における(3))。通信端末2が送信した発注情報は、基地局N1及びネットワークN2を経由して、販売処理装置3に送信される(
図1における(4))。なお、以下説明する第1の実施の形態に係る商品販売システムSおいては、通信端末2は発注受付デバイス1のデバイスIDと通信端末2のユーザIDとを含む発注情報を販売処理装置3に送信することを前提とする。このユーザIDは、第1の実施の形態に係る商品販売システムSにおいて、通信端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報として用いられる。通信端末2が発注情報にユーザIDを含めない態様については後述する。
【0026】
販売処理装置3は、ネットワークN2に接続されたサーバである。販売処理装置3は、例えば、通信端末2のユーザが契約をしている通信キャリアによって管理されている。販売処理装置3は、通信端末2が送信した発注情報を受信すると、発注情報に対応する商品の在庫がある販売店4に対して注文情報を送信する(
図1における(5)〜(6))。注文情報には、商品を特定するための情報とともに、通信端末2のユーザの住所を示す情報が含まれている。販売店4は、注文情報を受信すると、注文情報に含まれている住所に、注文情報に基づいて特定される商品を配達するための処理をする(
図1における(7))。
【0027】
また、販売処理装置3は、通信端末2のユーザにより予め設定された方法により決済処理をする。ユーザが、例えば、通信端末2の通信料と合算して商品の購入代金の請求を受けるキャリア決済を決済方法として選択している場合、販売処理装置3は、通信端末2に対して決済情報を送信したり、通信端末2のユーザに対して請求書を郵送する処理を実行したりする(
図1における(8))。
【0028】
商品販売システムSが上記のように動作することにより、通信端末2のユーザは、発注受付デバイス1のボタンを押すだけで、所望の商品を発注し、商品の配達を受けることができる。したがって、通信端末2を操作して商品を発注する場合に比べて、ユーザが商品を発注しやすくなる。
以下、発注受付デバイス1、通信端末2及び販売処理装置3の構成及び動作について詳細に説明する。
【0029】
[発注受付デバイス1及び通信端末2の構成]
図2は、第1の実施の形態に係る発注受付デバイス1の構成と通信端末2の構成とを示す図である。発注受付デバイス1は、制御部11と、記憶部12と、操作受付部13と、無線部14と、通知部15と、バッテリー16と、ビーコン送信部17とを有する。操作受付部13は、ボタン18を有する。
【0030】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって実現される。制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、発注受付デバイス1の各部を制御する。
【0031】
記憶部12は、例えばROM及びRAM(Random Access Memory)である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラム、及び発注受付デバイス1のデバイスIDを記憶している。デバイスIDは、発注受付デバイス1に固有の情報であり、文字、数字又は記号を含んでいる。デバイスIDは、発注受付デバイス1が製造された時点で記憶部12に書き込まれてもよく、発注受付デバイス1が製造された後に、制御部11によって記憶部12に書き込まれてもよい。
【0032】
操作受付部13は、ユーザによる商品の発注操作を受け付ける。このため操作受付部13は、ユーザが操作可能な操作部を備えている。より具体的には、操作受付部13は、ユーザが押下可能なボタン18を備えている。操作部は、ユーザの操作を検出できるデバイスであれば任意のデバイスであればよく、例えばプッシュボタン、タッチパネル及びスライドスイッチで実現できるが、以下では操作部がボタン18で実現されることを前提に説明する。
【0033】
無線部14は、通信端末2と通信するための無線インターフェイス部である。無線部14は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)の無線モジュールであり、制御部11の制御に基づいて、発注要求信号を通信端末2に送信する。無線部14は、例えば、操作受付部13が発注操作を受け付けた場合、発注受付デバイス1のデバイスIDを暗号化及び符号化した情報を含む発注要求信号を通信端末2に送信するデバイス送信部として機能する。
【0034】
通知部15は、ユーザに情報を通知するデバイスであり、例えば発光ダイオードや液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネル等で実現される。通知部15は、制御部11の制御に基づいて、操作受付部13が押下されてから所定の時間が経過するまでの間点灯することにより、ユーザの操作が受け付けられたことをユーザに通知する。通知部15はまた、通信端末2との間で通信が確立したことも通知する。
【0035】
バッテリー16は、発注受付デバイス1の各部を動作させるための電力を供給する。バッテリー16の出力電圧は、制御部11により監視されており、バッテリー16の出力電圧が所定の電圧よりも低くなると、制御部11は通知部15を点滅させること等により、ユーザに通知する。
【0036】
ビーコン送信部17は、操作受付部13がユーザから発注操作を受け付けた場合、ビーコンをブロードキャストする。ビーコン送信部17がブロードキャストするビーコンは、発注受付デバイス1と通信端末2との間の通信の確立の契機として利用される。
【0037】
次に、通信端末2の構成について説明する。通信端末2は、制御部21と、記憶部22と、第1無線部23と、第2無線部24と、操作部25と、表示部26とを有する。
【0038】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサによって実現できる。制御部21は、記憶部22に記憶されているプログラムを実行することにより、通信端末2の各部を制御する。制御部21は、発注する商品を特定するための情報を含む発注情報を生成し、生成した発注情報を、第2無線部24を介して販売処理装置3に送信する。ここで「商品を特定するための情報」とは、例えば第1無線部23が受信した発注受付デバイス1のデバイスID、及び記憶部22に記憶されているユーザID等の情報である。
【0039】
記憶部22は、例えばROM及びRAMを含む端末記憶部である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラム、及び通信端末2のユーザIDを記憶している。ユーザIDは、ユーザに固有の情報であり、例えば、通信端末2のユーザが契約している通信キャリアによって付与される文字、数字又は記号を含んでいる。ユーザIDは、例えば、通信端末2が製造された時点で記憶部22に書き込まれている。ユーザIDは、通信端末2が販売された後に、ユーザによって設定された文字、数字又は記号であってもよい。
【0040】
第1無線部23は、発注受付デバイス1と通信するための無線インターフェイス部であり、端末受信部として機能する。第1無線部23は、例えばBLEの無線モジュールであり、発注受付デバイス1がユーザから発注操作を受け付けた場合にブロードキャストする信号であるビーコンを受信したり、発注受付デバイス1が送信したデバイスIDを受信したりする。
【0041】
第2無線部24は、基地局N1と通信するための無線インターフェイス部であり、端末送信部として機能する。第2無線部24は、例えばLTE(Long Term Evolution)規格に対応する通信方式を用いて、基地局N1との間でデータを送受信する。第2無線部24は、無線部14から商品の発注要求信号を受信した場合、その商品を特定するための情報を含む発注情報を、販売処理装置3に送信する。第2無線部24はまた、例えばデバイスID及びユーザIDを暗号化した情報を含む発注情報を基地局N1に送信する。
【0042】
操作部25は、例えばタッチパネルである。操作部25は、表示部26に重ねて設けられており、ユーザがタッチした位置を示す座標情報を制御部21に通知する。
表示部26は、例えば液晶ディスプレイである。表示部26は、制御部21の制御に基づいて、各種の情報を表示する。この意味で、表示部26は、通信端末2がユーザに情報を通知するための通知部としても機能する。
【0043】
制御部11は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、発注受付デバイス1との間の通信を制御するためのアプリケーションを起動する。このアプリケーションは、発注受付デバイス1と通信端末2との間の通信を担う通信制御部として機能する。より具体的には、制御部11は、発注受付デバイス1がユーザから発注操作を受け付けた場合にビーコン送信部17が発するビーコンを受信することを契機として、前述のアプリケーションを起動する。このように、通信端末2は発注受付デバイス1からのビーコン受信を契機として通信用のアプリケーションが起動をするため、ユーザが手動でアプリケーションを起動する必要がなく、ユーザビリティが向上する。
【0044】
また通信制御部は、通信用のアプリケーションの起動中にユーザが発注受付デバイス1のボタン18を押下した場合、発注受付デバイス1とペアリングして通信を確立する。このように、発注受付デバイス1と通信端末2との間のペアリングにユーザの操作を介在させることで、意図しないペアリングが確立することを抑制できる。特に第1の実施の形態に係る商品販売システムSは売買に関するシステムであるため、意図しないペアリング確立の抑制は有用である。
【0045】
通信制御部は、発注受付デバイス1と通信を確立すると、発注受付デバイス1からデバイスIDを取得する。通信制御部は、取得したデバイスIDを記憶部22に格納する。第1の実施の形態に係る通信制御部は、複数の異なる発注受付デバイス1それぞれとペアリング可能である。このため記憶部22は、通信制御部がペアリングすることで通信を確立した複数の発注受付デバイス1それぞれのデバイスIDを記憶する。
【0046】
ここで第2無線部24は、発注受付デバイス1から受信したデバイスIDが記憶部22に記憶されたデバイスID、すなわちユーザの操作を介在させた過去に通信を確立したことがある発注受付デバイス1のデバイスIDと一致する場合、発注情報を販売処理装置3に送信する。より具体的には、第2無線部24の動作を制御する制御部21が、発注受付デバイス1から受信したデバイスIDと記憶部22に記憶されたデバイスIDとが一致するか否かを確認する。このように、デバイスIDの一致不一致を確認することにより、ユーザが意図しない発注受付デバイス1が商品を発注することを抑制できる。
【0047】
詳細は後述するが、複数の発注受付デバイス1は、それぞれ注文される商品が関連づけられている。このため、ユーザは複数種類の商品を注文することができる。また、ユーザは所望の商品を問題なく注文できたか否かを確認できると便利である。そこで表示部26は、発注受付デバイス1毎に、商品発注に関する情報の履歴を表示する。「商品発注に関する情報の履歴」とは、例えばその発注受付デバイス1からの指示により発注した商品の発注履歴、商品を発注するために発注受付デバイス1でした操作の履歴、商品の配送履歴、あるいは、いわゆる「買い物かご」に入れたことがある商品の履歴等を含む。これにより、ユーザは商品毎に、その操作履歴を確認できる。
【0048】
また、商品を注文するための発注受付デバイス1が複数ある場合、ユーザは商品の発注前に所望の商品に関連づけられた発注受付デバイス1を選択できているか否かが確認できると便利である。そこで各発注受付デバイス1の表示部26は、送信する発注情報に関連づけられた商品の情報を表示する。また第2無線部24は、表示部26が商品の情報を表示した後にユーザがボタン18を押下することを契機として、発注情報を販売処理装置3に送信する。これにより、ユーザが誤った商品を注文してしまうことを抑制できる。
【0049】
表示部26はさらに、通信制御部によってペアリングされた発注受付デバイス1それぞれのデバイス識別情報に対応づけられた商品を一覧表示することもできる。これにより、ユーザは複数の異なる発注受付デバイス1を所持していたとしても、どの発注受付デバイス1でどの商品が注文できるかを一見して把握することができ、誤った商品を注文してしまうことをさらに抑制できる。また表示部26は、所定期間内に同一のデバイスIDを受信した場合、ユーザにそのデバイスIDに関連付けられた商品の購入の確認を促すメッセージを表示する。ここで「所定の期間」とは、ユーザがボタン18を誤って連続して押下することによって意図せず商品を重複して注文することを抑制するための「重複注文抑制期間」である。重複注文抑制期間の具体的な長さは、商品の種類や価格等を考慮して実験により定めればよいが、例えば60秒である。これにより、ユーザの誤操作による重複注文を抑制できる。また、ユーザが意図して複数個の商品を注文する場合であってもメッセージの確認後に操作を継続することにより、注文を実行することもできる。
【0050】
なお表示部26は、表示する商品の情報を販売処理装置3から受信し、受信した商品情報を表示する。
図3は、第1の実施の形態に係る表示部26が表示する商品情報画面の一例を示す図である。
図3は、ユーザが商品としてビールを注文した場合の例を示している。上述したように、発注受付デバイス1にはそれぞれ発注可能な商品が関連づけられている。この関連づけは、業者が管理する販売処理装置3が担当する。表示部26が販売処理装置3から商品の情報を取得してユーザに通知することで、ユーザは最新の関連づけに係る商品情報を閲覧することができる。また、関連づけを販売処理装置3が行うことにより、ユーザの手元にある発注受付デバイス1を交換しなくても、発注受付デバイス1に関連づけられている商品やその価格等を変更することができる。
【0051】
表示部26はさらに、発注情報に基づく処理の進捗状態を示す情報をユーザに通知する。ここで「進捗状態を示す情報」とは、例えば、第2無線部24によって発注情報が販売処理装置3に送信されたことを示す送信完了情報や、商品の決済が完了した情報、第2無線部24が販売処理装置3から受信した発注処理に関する情報等を含む。これにより、商品の発注や決済が完了したことをユーザが確認できるので、商品が問題なく発注できたか否かについてのユーザの不安を軽減することができる。
【0052】
[通信端末2及び販売処理装置3の構成]
図4は、通信端末2及び販売処理装置3の構成を示す図である。なお、通信端末2の構成は
図2を参照して説明しているため、適宜省略又は簡略化して説明する。
【0053】
販売処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、販売処理部33とを有する。
通信部31は、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含む。通信部31はネットワークN2と接続するための通信インターフェイス部であり、装置受信部として機能する。
【0054】
記憶部32は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を含む装置記憶部である。記憶部32は、通信部31が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部32は、通信端末2が送信した発注情報に基づいて販売処理部33が商品を販売する処理を実行するために用いる各種のデータを記憶している。記憶部32は、例えば、通信端末2のユーザのユーザIDに関連付けられた販売条件を記憶している。販売条件は、例えば、ユーザに販売した商品を配達する場所の住所、及びユーザに販売した商品の代金を決済する方法に関する決済情報である。
【0055】
図5は、記憶部32が記憶している販売条件テーブルの一例を示す図である。
図5に示す販売条件テーブルにおいては、ユーザIDと、契約IDと、契約者氏名と、契約者住所と、決済方法とが関連付けられている。契約IDは、ユーザが通信キャリアと締結している契約を識別するための情報であり、契約IDごとに通信料金の決済が行われる。ユーザIDがU000002のユーザと、ユーザIDがU000003のユーザとが家族である場合、この二人のユーザには、同一の契約IDが付与され、二人の通信料金は合算して決済処理される。
【0056】
決済方法欄には、商品代金の決済をするために用いられる決済情報が含まれている。決済方法欄における「キャリア決済」は、商品代金を通信料金と合算して決済する方法である。決済方法欄における「クレジットカード」は、ユーザのクレジットカードを使って決済する方法である。決済方法欄における「プリペイドカード」は、ユーザのプリペイドカードを使って決済する方法である。なお、記憶部32は、決済方法として「クレジットカード」が選択されているユーザIDに関連付けて、クレジットカード番号も記憶している。また、記憶部32は、決済方法として「プリペイドカード」が選択されているユーザIDに関連付けて、プリペイドカード番号も記憶している。
【0057】
また、記憶部32は、デバイスIDと商品IDとが関連付けられた商品管理テーブルを記憶している。
図6は、記憶部32が記憶している商品管理テーブルの一例を示す図である。
図6に示す商品管理テーブルにおいては、デバイスIDと、商品IDと、商品名と、販売数と、単価と、販売価格と、販売店名とが関連付けられている。
図6に示すように、一つのデバイスIDは、一つの商品IDに関連付けられている。例えば、ユーザが、デバイスID000001の発注受付デバイス1のボタンを押すと、商品ID213021の米(ブランドA)が販売店Aに発注される。
【0058】
デバイスIDには、商品の販売数も関連付けられている。したがって、商品を複数個ずつ購入したいユーザは、複数の販売数に対応するデバイスIDの発注受付デバイス1を使用することにより、発注受付デバイス1のボタンを複数回押すことなく、1回のボタン操作により複数個の商品を発注することができる。
【0059】
また、一つの商品IDは、複数のデバイスIDに関連付けられていてもよい。
図6の例においては、商品ID310105の洗剤Eが、デバイスID000005及びデバイスID000008に関連付けられている。このように、一つの商品IDが複数のデバイスIDに関連付けられるので、商品販売システムSは、例えば洗剤Eのメーカーが、ユーザが洗剤Eを購入しやすくするために、洗剤Eに関連付けられたデバイスIDの発注受付デバイス1を大量に配布するような用途に好適である。
【0060】
商品管理テーブルを作成する方法は任意である。例えば、発注受付デバイス1を配布した販売店の端末が、配布したデバイスIDと、商品ID、商品名、販売数、単価、及び販売価格とを関連付けたデータを販売処理装置3に送信し、販売処理部33が、記憶部32が記憶している商品管理テーブルに、受信したデータを追加する方法が考えられる。
【0061】
続いて、販売処理部33について詳細に説明する。販売処理部33は、例えばCPUを含む。CPUが記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、販売処理部33は、通信部31が受信した発注情報に含まれるユーザIDに対応する販売条件に基づいて、発注情報に対応する商品の販売処理を実行する。
【0062】
販売処理部33は、例えば、
図5に示した販売条件テーブルを参照することにより、発注情報に含まれるユーザIDに対応する住所を特定する。また、販売処理部33は、
図6に示した商品管理テーブルを参照することにより、発注情報に含まれるデバイスIDに対応する商品IDを特定する。そして、販売処理部33は、発注情報に含まれるユーザIDに対応する住所に商品を発送する処理を実行する。具体的には、販売処理部33は、特定した住所及び商品IDを含む注文情報を、商品IDに対応する販売店4に送信することにより、発注情報に含まれるデバイスIDに関連付けられた商品IDに対応する商品の販売処理を実行する。販売処理部33は、商品管理テーブルにおける、デバイスIDに対応する商品の販売個数を示す情報を含む注文情報を送信することにより、当該販売個数の商品の販売処理を実行する。
【0063】
販売処理部33は、発注情報を受信してから所定の時間が経過した後に、販売処理を実行することとしてもよい。例えば、販売処理部33は、発注情報を受信してからユーザID、デバイスID及び商品IDの少なくともいずれかに関連付けて記憶部32に記憶された待機時間(例えば、1時間)が経過するまでは、販売店4に注文情報を送信する処理を実行しない。そして、販売処理部33は、待機時間内に、発注を取り消すキャンセル要求を通信端末2から受信した場合、発注情報を削除する。このようにすることで、ユーザが誤って発注受付デバイス1の操作受付部13を操作した場合に、不要な商品が配達されることを防止できる。
【0064】
また、販売処理部33は、商品管理テーブルにおいてデバイスIDに関連付けられた商品の販売価格に基づいて、商品の販売処理を実行する。ここで、販売処理部33は、通信部31が、記憶部32に価格が記憶されてから所定の期間内に発注情報を受信したことを条件として、デバイスIDに関連付けられた販売価格に基づいて、商品の販売処理を実行してもよい。
【0065】
販売処理部33は、ネットワークN2を介して商品の市場価格を取得し、取得した市場価格に基づいて販売価格を決定してもよい。販売処理部33は、例えば、取得した市場価格の中に、デバイスIDに関連付けられている販売価格よりも安い価格がある場合、最も安い市場価格に対応する価格を販売価格とする。このようにすることで、ユーザが安心して商品を購入することができる。
【0066】
また、販売処理部33は、記憶部32に価格が記憶されてから所定の期間が経過する前であっても、インターネットを介して取得した市場価格が、記憶部32が記憶している販売価格よりも所定の値以上高い場合、記憶部32に記憶されている販売価格よりも高い価格で商品の販売処理を実行してもよい。この場合、販売処理部33は、価格の変更を通知するメッセージを通信端末2に送信し、通信端末2からユーザの承認メッセージを受信したことを条件として、記憶部32に記憶されている販売価格よりも高い価格で商品の販売処理を実行する。このようにすることで、販売処理装置3を運営する会社及び販売店4が採算割れになることを防止できる。なお、販売処理部33は、承認メッセージを受信したことに応じて、商品管理テーブル内の販売価格を、新たな価格に更新してもよい。
【0067】
また、販売処理部33は、
図5に示す販売条件テーブルを参照することにより、発注情報に含まれるユーザIDに対応する決済情報に基づいて、商品の決済処理を実行する。販売処理部33は、ユーザIDに対応する決済情報が「キャリア決済」を示している場合、ユーザIDに対応するユーザの通信料金に、商品の購入代金を加算する。販売処理部33は、ユーザの通信料金の管理を行うキャリア決済サーバ(不図示)に、商品の購入代金を示す情報を送信し、キャリア決済サーバが、商品の購入代金を通信料金に加算してもよい。
【0068】
販売処理部33は、決済情報が「クレジットカード」を示している場合、クレジットカードの使用履歴を管理するクレジットカード管理サーバ(不図示)に、ユーザIDに関連付けられたクレジットカード番号、及び商品の購入代金を示す決済情報を送信する。このようにすることで、商品の購入代金が、ユーザのクレジットカードを用いて決済される。
【0069】
同様に、販売処理部33は、決済情報が「プリペイドカード」を示している場合、プリペイドカードの残高を管理するプリペイドカード管理サーバ(不図示)に、ユーザIDに関連付けられたプリペイドカード番号、及び商品の購入代金を示す決済情報を送信する。プリペイド管理サーバは、プリペイドカード番号に関連付けて、プリペイドカードの残高を管理している。プリペイド管理サーバは、決済情報を受信すると、プリペイドカードの残高から商品の購入代金を減算することにより、商品の購入代金が支払われる。
【0070】
なお、販売処理部33は、決済処理を実行する際に、ユーザIDに関連付けてポイントを管理するポイント管理サーバ(不図示)にアクセスして、ユーザが保有するポイントを利用して決済処理を実行してもよい。また、販売処理部33は、決済履歴(利用ログ)を記憶部32に蓄積し、蓄積した決済履歴に基づいて消費動向を分析した情報及びマーケティングに関する情報等を生成し、生成した情報を販売店及び関連会社等に提供してもよい。
【0071】
また、販売処理部33は、注文情報を送信した販売店4に対する支払額を算出する。販売処理部33は、定期的(例えば、1ヶ月ごと)に、各販売店4に注文した額の合計値を算出し、各販売店4に対する支払処理を実行する。
【0072】
販売処理部33は、発注情報を受信してから所定の時間が経過するまでの間に、他の発注情報を受信した場合、所定の時間が経過するまでの間に受信した複数の発注情報に対応する複数の商品の販売処理をまとめて実行してもよい。販売処理部33は、例えば、発注情報を受信してからユーザID、デバイスID及び商品IDの少なくともいずれかに関連付けて記憶部32に記憶された待機時間内に他の発注情報を受信した場合、最後に受信した発注情報に対する待機時間が経過した時点で、最初の発注情報に対応する商品、及び他の発注情報に対応する商品に対する注文情報を販売店4に送信する。
【0073】
販売処理部33は、最後に受信した発注情報に対する待機時間が経過した時点で、全ての商品の代金を合算して決済処理を実行する。なお、販売処理部33は、最初の発注情報を受信してから商品の販売処理を実行するまでの時間が長くなり過ぎないように、最初の発注情報を受信してから所定の時間が経過すると、それ以降新たに受信した他の発注情報に対応する商品の販売処理は、まとめて実行しないようにしてもよい。
【0074】
[商品販売時のシーケンス]
図7及び
図8は、第1の実施の形態の商品販売システムSにおける販売処理のシーケンスを示す図であり、商品販売システムSにおいて実行される発注方法の流れを説明する図である。
図7は、発注受付デバイス1及び通信端末2における処理の流れを示しており、
図8は、販売処理装置3における処理の流れを示している。
【0075】
まず、制御部11は、操作受付部13のボタンが押下されたことを検出すると(S101)、無線部14を介して、発注要求信号を通信端末2に送信する(S102)。制御部21は、発注要求信号を受信すると(S201)、発注要求信号に含まれているデバイスIDが、記憶部22に格納されているデバイスIDと一致するか否かを照合する(S202)。デバイスIDが一致する場合(S203のYES)、制御部21は、発注要求信号に含まれているデバイスID、及び記憶部22に記憶されているユーザIDを含む発注情報を販売処理装置3に送信する(S204)。販売処理装置3において販売処理が完了すると、制御部21は、販売処理が完了したことを示す処理完了通知を販売処理装置3から受信する(S205)。制御部21は、処理完了通知を受信すると、販売処理が完了したことを表示部26に表示する(S206)。デバイスIDが一致しない場合(S203のNO)、本シーケンスにおける処理は終了する。
【0076】
続いて、
図8を参照して、販売処理装置3における処理の流れについて説明する。販売処理部33は、通信端末2から発注情報を受信すると(S301)、所定時間が経過したかどうかを監視する(S302)。所定時間が経過するまでの間(S302においてNO)、販売処理部33は、通信端末2からキャンセル要求を受信するかどうかを監視する(S303)。販売処理部33は、キャンセル要求を受信した場合(S303においてYES)、販売処理を終了する。販売処理部33は、キャンセル要求を受信していない場合(S303においてNO)、S302に戻り、所定の時間が経過するまで、S302とS303を繰り返す。
【0077】
販売処理部33は、S302において所定の時間が経過すると(S302においてYES)、受信した発注情報に基づいて商品IDを特定する(S304)。続いて、販売処理部33は、
図6に示した商品管理テーブルを参照して、商品IDに対応する商品の販売価格を特定する(S305)。
【0078】
続いて、販売処理部33は、
図5に示した販売条件テーブルを参照して、発注情報に含まれているユーザIDに対応する発送先の住所を特定し(S306)、注文情報を販売店4に送信することにより、発送処理を実行する(S307)。販売処理部33は、発送処理が完了すると、
図5に示した販売条件テーブルを参照して、発注情報に含まれているユーザIDに対応する決済方法を特定し(S308)、特定した決済方法で決済処理を実行する(S309)。販売処理部33は、発送処理及び決済処理が完了すると、処理が終了したことを示す処理完了通知を通信端末2に送信する(S310)。
【0079】
なお、
図8に示す処理において、販売処理部33がS304、S305、S306及びS308を実行する順序は任意である。また、販売処理部33がS307及びS309を実行する順序も任意である。さらに、販売処理部33は、決済処理が完了する前であっても、発送処理が完了した時点で、S310を実行してもよい。
【0080】
[第1の実施の形態における効果]
以上説明したように、第1の実施の形態に係る商品販売システムSにおいては、通信端末2のユーザが発注受付デバイス1の操作受付部13を押すことにより、発注受付デバイス1のデバイスID及び通信端末2のユーザIDを含む発注情報が通信端末2から販売処理装置3に送信される。そして、販売処理装置3は、受信したデバイスIDに基づいて、ユーザが所望の商品を特定し、ユーザIDに基づいて特定した住所に商品を発送する処理を実行する。また、販売処理装置3は、ユーザIDに基づいて特定した決済方法で、商品の代金の決済処理を実行する。このようにすることで、通信端末2のユーザは、購入したい商品名及び個数等を設定することなく、また代金を振り込む作業を行うことなく、操作受付部13を押すだけで商品を購入することが可能になる。
【0081】
また、通信端末2の表示部26は、発注情報が販売処理装置3に送信されたことを示す送信完了情報を表示してユーザに通知する。これにより、ユーザは商品の発注が完了したことを知ることができる。
【0082】
また、発注受付デバイス1からのビーコン受信を契機として通信端末2において通信用のアプリケーションが起動するので、ユーザが手動でアプリケーションを起動することが省略でき、ユーザビリティが向上する。
【0083】
また、通信端末2は複数の異なる発注受付デバイス1とペアリング可能であるため、ユーザは複数の異なる種類の商品を注文することができる。
【0084】
通信端末2の制御部21は、発注受付デバイス1から受信した注文情報がペアリング済みの発注受付デバイス1からの注文であるか否かを通信部が検出し、一致する場合に第2無線部24に注文を実行させる。これにより、意図しない発注受付デバイス1からの注文による誤注文を抑制できる。
【0085】
通信端末2が通信用のアプリケーションを起動している間にユーザが発注受付デバイス1を操作すると、両者の間でペアリングが確立する。このようにペアリングにユーザの操作を介在させることで、意図しないペアリングが確立することを抑制できる。
【0086】
通信端末2の表示部26は商品の情報をユーザに通知して確認を促し、しかる後にユーザが操作することで、通信端末2は商品を発注する。これにより、誤注文を抑制することできる。
【0087】
通信端末2の表示部26は、複数の発注受付デバイス1それぞれに対応づけられた商品を一覧表示する。これにより、ユーザは各発注受付デバイス1に対応付けられた商品を確認できるので、誤って意図しない商品を注文することを抑制できる。
【0088】
通信端末2は、発注受付デバイス1から短時間のうちに複数回の発注操作を受信した場合、ユーザに注文の意思を確認する。これにより、ユーザの誤操作によって商品を複数回注文することを抑制できる。
【0089】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る商品販売システムSについて説明するが、第1の実施の形態に係る商品販売システムSと重複する箇所については、適宜省略又は簡略化して説明する。
【0090】
第1の実施の形態においては、通信端末2の表示部26が、ユーザに種々の情報を通知する通知部として主に機能した。第2の実施の形態に係る商品販売システムSにおいては、通信端末2の表示部26に代えて、あるいはこれに加えて、発注受付デバイス1が備える通知部15がユーザに種々の情報を通知する通知部として機能する。この場合、通知部15はLED等の発光素子で実現されてもよいが、液晶パネル等の表示デバイスで実現される方が、ユーザに通知可能な情報を増やせる点で効果がある。
【0091】
通知部15は、通信端末2の通信制御部によって確立された通信経路を介して取得した情報をユーザに対して通知する。例えば、通知部15は、発注受付デバイス1による発注情報が販売処理装置3に送信されたことを示す送信完了情報を通知する。ユーザが商品を発注する際に、発注受付デバイス1は通常ユーザの手元にある。このため、ユーザは発注情報が販売処理装置3に送信されたことを、簡便かつ確実に確認することができる。
【0092】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態においては、発注受付デバイス1が通信端末2に対してデバイスIDを送信し、通信端末2が、発注受付デバイス1のデバイスID、及び通信端末2のユーザのユーザIDを含む発注情報を販売処理装置3に送信した。これに対して、第3の実施の形態においては、通信端末2が、発注情報にユーザIDを含めず、デバイスIDを含める点で、第1の実施の形態と異なる。
【0093】
第3の実施の形態に係る販売処理装置3は、記憶部32に記憶された販売条件テーブルにおいて、デバイスIDとユーザIDとが関連付けられている。販売処理部33は、通信端末2から受信した発注情報に含まれているデバイスIDを抽出すると、販売条件テーブルを参照して、デバイスIDに対応するユーザIDを特定する。また、販売処理部33は、第1の実施の形態と同様に、デバイスIDに対応する商品IDを特定する。このようにすることで、販売処理部33は、発注情報に基づいて、ユーザが所望する商品を販売する処理を実行することができる。
【0094】
なお、第3の実施の形態においては、発注情報を送信する通信端末2は、通信キャリアと契約しているスマートフォン等の携帯端末に限られず、コンピュータ、家電機器等のように、通信機能を有する任意の端末とすることが可能である。
【0095】
[第3の実施の形態における効果]
以上説明したように、第3の実施の形態に係る商品販売システムSにおいては、通信端末2が、ユーザIDを含まず、デバイスIDを含む発注情報を販売処理装置3に送信する。このようにすることで、通信端末2がユーザIDを記憶しておく必要がないので、ユーザは、通信キャリアと契約していない通信端末2を用いることが可能になる。
【0096】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0097】
また、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、上記の実施の形態においては、商品販売システムSを運営する主体が通信キャリアである場合について説明したが、運営主体はこれに限らず、通信販売会社を始めとする任意の法人又は個人であってもよい。
【0098】
また、上記の説明において、通信端末2が、ユーザ識別情報としてユーザIDを使用する例について説明したが、ユーザ識別情報は、通信端末2を識別するための端末ID(例えば、SIMカードの番号)であってもよい。
【0099】
また、上記の説明においては、通信端末2が基地局N1を経由して、販売処理装置3に発注情報を送信する例について説明したが、発注情報を送信する経路はこれに限らない。例えば、通信端末2がWiFi(登録商標)等の無線通信回線に対応しており、通信端末2は、無線アクセスポイント(不図示)を経由して、販売処理装置3に発注情報を送信してもよい。