(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、図示しない液体を収容する容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成型品とされている。
【0022】
なお、本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。また、軸線O1に直交する一方向を前後方向といい、軸線O1及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0023】
噴出器本体2は、
図1及び
図2に示すように、上下方向に延在する縦供給筒部10と、縦供給筒部10から前後方向に沿う中心軸線O2に沿って延設され、内側が縦供給筒部10の内部に連通した射出筒部11と、を備え、左右方向から見た側面視でL字状に形成されている。
なお、前後方向のうち、縦供給筒部10から射出筒部11が延びる方向を前側或いは前方とし、その反対方向を後側或いは後方という。
【0024】
縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌入される内筒13と、を備えている。
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、且つ大径部12aよりも径が小さい小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。なお、小径部12bは頂壁部12dによって上部開口部が塞がれている。
【0025】
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、且つ大径部13aよりも径が小さい小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。
【0026】
内筒13の小径部13bには、容器体A内に配置され、且つ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌入されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。
内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止する。鍔部13dは、装着キャップ14と、容器体Aの口部A1における上端開口縁と、により上下方向に挟まれる。
なお、外筒12及び内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方側に偏心している。
【0027】
射出筒部11は、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。この際、射出筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、及び内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。
【0028】
内筒13の上端部側の内側には、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁30が配置されている。
吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の内周面に段差状に形成された弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31及び弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備えている。
【0029】
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、弁座32に対して例えば密に当接している。これにより弁体33は、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間との連通を遮断している。
なお、弁体33は中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間とを連通させる。
【0030】
内筒13の内周面のうち弁座32よりも下方に位置し、且つパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。
このテーパ筒部35は、下方に向かうに従って漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座する球状の吸込弁36が配置されている。吸込弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間とを連通及び遮断する。
【0031】
外筒12において、射出筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が一体形成されている。
シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口していると共に、部分的に外筒12におけるフランジ部12cと一体形成されている。
【0032】
噴出器本体2は、射出筒部11から下方に向けて延び、前方付勢状態で後方に揺動自在(移動自在)に配置されたトリガー部51と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動する主ピストン52と、主ピストン52の移動に伴って内部が加圧及び減圧する主シリンダ53と、トリガー部51を前方に付勢する弾性板部54と、縦供給筒部10、射出筒部11、後述する貯留シリンダ121及び負圧シリンダ123の全体を少なくとも上方及び左右方向から覆うカバー体55と、をさらに備えている。
【0033】
上述した吐出弁30、吸込弁36、トリガー部51、主ピストン52、主シリンダ53及び弾性板部54は、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内に導入させると共に射出筒部11内から噴出孔4側に射出させるトリガー機構50を構成する。
【0034】
主シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後方開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されると共に前端が閉塞された有頂筒状のピストンガイド62と、を備えている。
【0035】
ピストンガイド62は、内側が後方に開口しており、この開口内にシリンダ用筒部40における後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突設された嵌合突部41が嵌合されている。
外筒部60は、シリンダ用筒部40の内側に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において例えば密に当接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が確保されている。
【0036】
外筒部60には、外筒部60の内側と上記隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cには、上記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、上記隙間S1と、内筒13の大径部13a及び装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
【0037】
主シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、外筒12を貫通する第1貫通孔66が形成されている。この第1貫通孔66は、縦供給筒部10の内筒13に形成された第2貫通孔67を通じて、吐出弁30と吸込弁36との間の空間に連通している。
これにより、主シリンダ53の内側は、第1貫通孔66及び第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間の空間に連通している。従って、吐出弁30が、射出筒部11内と主シリンダ53内との連通及びその遮断を切替え、吸込弁36が、容器体A内と主シリンダ53内との連通及びその遮断を切替える。
【0038】
主ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
なお、主シリンダ53及び主ピストン52は、前後方向に沿って延びる図示しない共通の軸線上に配置されている。
【0039】
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、且つ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、且つ外筒部60の内周面に例えば密に摺接する摺動筒部73と、を備えている。
【0040】
ピストン本体部72は、内径がピストンガイド62の外径よりも大きく形成されている。図示の例では、ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間には若干の隙間があいている。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方及び後方に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に対して摺接している。
【0041】
主ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、主ピストン52は、トリガー部51と共に弾性板部54の付勢力によって前方に付勢されていると共に、トリガー部51の後方への移動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。
【0042】
また、トリガー部51が最前方揺動位置(最前方移動位置)にあるときに、主ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によって主ピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、第2通気孔64及び第1通気孔63を通じて外部に連通する。
【0043】
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。
【0044】
一対の側板部材81の上端部には、射出筒部11の側方に至るまで上方に延出し、射出筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて回転軸部83が突設されている。これら回転軸部83は、射出筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた図示しない軸受け部に回動可能に支持されている。
これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。
【0045】
トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されていると共に、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びるように連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。これら連結軸86は、主ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51と主ピストン52部とは、互いに連結されている。
【0046】
なお、主ピストン52の連結部70は、連結軸86回りに回動可能とされ、且つ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、主ピストン52は前後移動可能とされている。
【0047】
射出筒部11の上面には、縦供給筒部10における外筒12の頂壁部12dに連結される水平板状の上板部材84が取り付けられている。
上板部材84の左右両側には、左右方向から側面視で前方に凸の円弧状に形成され、且つ射出筒部11の下方まで延びる上記弾性板部54がそれぞれ一体的に形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で互いに同心の円弧状に形成され、前後に並ぶ一対の板ばねを備えている。
【0048】
一対の板ばねのうち、弾性板部54の前側に位置する板ばねが主板ばね54aとされ、後側に位置する板ばねが副板ばね54bとされている。
これら主板ばね54a及び副板ばね54bの下端部は、円弧状の折返し部54cを介して一体的に接続されている。折返し部54cには、下方に向けて係止片54dが突設されており、この係止片54dがトリガー部51における側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて係合している。
これにより、弾性板部54は、係止片54d及びポケット部81aを介してトリガー部51を前方に向けて付勢している。
【0049】
トリガー部51の主板部材80の上端部は、弾性板部54による付勢によって後述する閉塞部材90の下端部に対して後方から当接している。これにより、トリガー部51は最前方揺動位置に位置決めされている。
なお、最前方揺動位置からトリガー部51が後方に引かれると、弾性板部54が係止片54dを介して折返し部54cを後方に移動させるように弾性変形する。このとき、弾性板部54は、主板ばね54aよりも副板ばね54bが大きく弾性変形する。
【0050】
なお、係止片54dは、トリガー部51が後方に引かれた場合であっても、ポケット部81aから上方に抜け出しつつもトリガー部51が最後方揺動位置(最後方移動位置)に至るまでポケット部81aへの係合状態を維持する。
【0051】
さらに本実施形態では、噴出器本体2は、射出筒部11に対して前方側から装着される閉塞部材90を備えている。
閉塞部材90は、射出筒部11の前端開口部よりも前方側に位置し、前端開口部に対して対向配置された対向板部91と、対向板部91から後方に向けて延び、射出筒部11に外嵌された第1筒部92と、対向板部91から前方に向けて延びる第2筒部93と、第2筒部93の内側に位置し、且つ対向板部91から前方に向けて延びる支持軸部94と、を備えている。
【0052】
支持軸部94は、第2筒部93よりも前方に突出することなく、第2筒部93の内側に収まるように形成されている。また、閉塞部材90の下端部が、トリガー部51の主板部材80の上端部に対して前方から当接することで、先に述べたようにトリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしている。
【0053】
第2筒部93及び支持軸部94は、射出筒部11の中心軸線O2に対して下方に偏心した位置に配置されている。対向板部91のうち、支持軸部94の上方に位置し、且つ第2筒部93の内側に位置する部分には、射出筒部11の前端開口部に連通する射出孔95が形成されている。これにより、第2筒部93の内部は、射出孔95を通じて射出筒部11の内部に連通している。
【0054】
支持軸部94の外周面には、前後方向に沿って直線状に延びると共に、前方に向けて開口する第1溝部96が形成されている。図示の例では、第1溝部96は、周方向に等間隔をあけて2つ形成されている。但し、第1溝部96の数は2つに限定されるものではなく、1つ或いは3つ以上形成されていても良い。
【0055】
ノズル部材3は、閉塞部材90の第2筒部93に装着されることで、噴出器本体2に対して組み合わされている。
ノズル部材3は、閉塞部材90の支持軸部94よりも前方に配置され、噴出孔4が形成されたノズル壁部100と、ノズル壁部100から後方に向けて延び、第2筒部93に対して前方から外嵌される外嵌筒部101と、を備えている。外嵌筒部101が第2筒部93に装着されることで、先に述べたようにノズル部材3と噴出器本体2とが組み合わされている。
なお、外嵌筒部101は、第2筒部93に対して前方に抜け止めがされた状態で回転可能に装着されている。つまり、ノズル部材3は第2筒部93の軸線回りに往復回転可能とされている。
【0056】
ノズル壁部100には、外嵌筒部101の内側に位置する部分から後方に向けて延び、支持軸部94に対して回転可能に外嵌されることで、支持軸部94に支持された被支持筒部102が形成されている。
被支持筒部102の内周面には、前後方向に沿って直線状に延びると共に、後方に開口した第2溝部103が形成されている。図示の例では、第2溝部103は被支持筒部102の軸線回りに間隔をあけて2つ形成されている。これら第2溝部103は、支持軸部94に形成された第1溝部96に対して周方向の位置が一致するように形成され、第1溝部96に連通している。
【0057】
ノズル壁部100の後面には、第2溝部103と噴出孔4とを連通させる旋回路(スピン溝)104が形成されている。この旋回路104は、第2溝部103からの液体に対して支持軸部94の軸線回りに旋回するようなスピンを作用させることで、スピンがかかった液体を噴出孔4に導く。
【0058】
なお、第1溝部96と第2溝部103とは、ノズル部材3を第2筒部93の軸線回りに往復回転させることで、連通と非連通とが切り替わる。つまり、第1溝部96と第2溝部103とは、ノズル部材3を第2筒部93の軸線回りに沿う所定回転位置に位置させたときにだけ連通状態となり、それ以外の回転位置では非連通状態となる。これにより、ノズル部材3を第2筒部93の軸線回りに往復回転させることで、液体の噴出操作のON−OFFを切替えることが可能とされている。
【0059】
閉塞部材90の第2筒部93と、ノズル部材3の被支持筒部102との間には、射出孔95と第2溝部103とを連通させる環状の通過空間S3が形成されている。これにより、上述したように第1溝部96と第2溝部103とが連通した場合、射出筒部11の内部と噴出孔4とは、射出孔95、通過空間S3、第1溝部96、第2溝部103及び旋回路104を通じて連通する。
【0060】
なお、ノズル壁部100には、被支持筒部102と外郭筒部との間に位置する部分から後方に向けて延び、第2筒部93の内側に密接するシール筒部105が形成されている。
また、射出孔95及び通過空間S3の各流路断面積は、第1溝部96及び第2溝部103からなる導入路106の流路断面積よりも大きい。
【0061】
ノズル部材3には、液体の噴出形態を泡状に切り換えるための切換プレート110が取り付けられている。
この切換プレート110は、左右方向に延びる軸部111回りに開閉可能に取り付けられている。図示の例では、上記軸部111はノズル壁部100における上端部の前方側に配置されている。また、切換プレート110には、噴出孔4の前方に位置する部分に泡孔112が形成されている。
これにより、切換プレート110を利用する場合には、噴出孔4と切換プレート110との間で、噴出孔4から噴出した液体と外気とを混合させて泡状にすることが可能とされている。但し、切換プレート110は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0062】
さらに本実施形態の噴出器本体2は、
図1及び
図3に示すように、供給孔120を通じて縦供給筒部10内に連通し、液体を内部に貯留する貯留シリンダ121と、貯留シリンダ121内に収容された貯留プランジャ122と、貯留プランジャ122に並設された負圧シリンダ123と、負圧シリンダ123内に収容された負圧プランジャ124と、を備えている。
【0063】
貯留シリンダ121は、縦供給筒部10の後側に配置され、縦供給筒部10を構成する外筒12における小径部12bの上端部側から後方に向かって延びている。この際、貯留シリンダ121は、射出筒部11の中心軸線O2と同軸上に配置されており、縦供給筒部10を挟んで射出筒部11と前後方向に並ぶように配置されている。
貯留シリンダ121は、射出筒部11の内径よりも径が大きく形成され、後方に開口したシリンダ筒部130を備えている。供給孔120は、内筒13及び外筒12を前後方向に貫通するように形成され、軸線O1を挟んで外側吐出孔16及び内側吐出孔17に対して径方向の反対側に位置するように配置されている。これにより、射出筒部11の後端開口部は、供給孔120の前方に位置している。
なお、図示の例では、供給孔120の開口サイズは外側吐出孔16及び内側吐出孔17の開口サイズと同等とされている。
【0064】
貯留プランジャ122は、貯留シリンダ121内に、射出筒部11の中心軸線O2と同軸上に配置されている。具体的には、貯留プランジャ122は貯留シリンダ121内に中心軸線O2に沿う前後方向(軸方向)に移動自在に配設され、貯留シリンダ121内への液体の貯留に伴って後方(軸方向の一方側)に向けて移動可能に収容されている。
貯留プランジャ122は、シリンダ筒部130の内径よりも小径とされた有頂筒状の小径筒部135と、小径筒部135の後端開口部に一体に形成され、シリンダ筒部130の内周面に対して密に摺接する円筒状の摺動筒部136と、を備えている。
【0065】
小径筒部135の前壁部には、供給孔120を通じて前方に向けて延び、縦供給筒部10内を通過して、外側吐出孔16内及び内側吐出孔17内に後方から入り込む突起弁137が形成されている。突起弁137は、中心軸線O2と同軸に配置された円柱状に形成され、吐出弁の中空ばね部を貫通するように、外側吐出孔16内及び内側吐出孔17内に入り込んでいる。
また突起弁137は、貯留プランジャ122の後方への移動に伴って、外側吐出孔16内及び内側吐出孔17内から後方に離脱する。従って、射出筒部11の後端開口部は、突起弁137によって後方から開放自在に閉塞されている。
【0066】
なお、小径筒部135の周壁部とシリンダ筒部130との間には環状の空間部138が形成され、供給孔120の内部に連通している。これにより、この空間部138を利用して、貯留シリンダ121内に液体を貯留することが可能とされている。
摺動筒部136は、その前端部に、前方に向かうに従って漸次拡径するリップ部136aが形成されている。そして、このリップ部136aがシリンダ筒部130の内周面に対して密に摺接している。
【0067】
負圧シリンダ123は、縦供給筒部10の後側及び貯留シリンダ121の下方に配置され、縦供給筒部10を構成する外筒12の小径部12bから後方に向かって延びている。これにより、貯留シリンダ121と負圧シリンダ123とは、上下方向に並んで配置(並設)されている。
【0068】
負圧シリンダ123は、貯留シリンダ121の中心軸線O2に対して平行な中心軸線O3に沿って延びたシリンダ筒部140と、シリンダ筒部140の前端開口部(軸方向の他方側に位置する開口部)を塞ぐ前壁部141と、を有し、後方に開口する有頂筒状に形成されている。
そして、負圧シリンダ123は、複数の連結片142を介して縦供給筒部10及び貯留シリンダ121に対して連結され、縦供給筒部10の後側及び貯留シリンダ121の下方に配置された状態で安定的に支持されている。
【0069】
図示の例では連結片142は3カ所に設けられ、負圧シリンダ123のシリンダ筒部140と貯留シリンダ121のシリンダ筒部130とを連結し、前壁部141と縦供給筒部10における外筒12の小径部12bとを連結し、負圧シリンダ123のシリンダ筒部140と縦供給筒部10における外筒12のフランジ部12cとを連結している。但し、連結片142の数や位置は、この場合に限定されるものではない。
【0070】
シリンダ筒部140は、貯留シリンダ121のシリンダ筒部130と同等の長さとなるように後方に向けて延びている。さらに、シリンダ筒部140の内径は、貯留シリンダ121におけるシリンダ筒部130の内径よりも大きく形成されている。これにより、負圧プランジャ124の受圧面積は、貯留プランジャ122の受圧面積よりも大きくなるように設定されている。
【0071】
負圧プランジャ124は、負圧シリンダ123内に連結部材150を介して貯留プランジャ122に連結された状態で収容され、負圧シリンダ123の中心軸線O3と同軸上に配置されている。これにより、負圧プランジャ124は、貯留プランジャ122の移動に伴って、中心軸線O3に沿う前後方向(軸方向)に移動自在に負圧シリンダ123内に配設されている。つまり、負圧プランジャ124は、貯留プランジャ122の移動に連係して移動する。
【0072】
負圧プランジャ124は、負圧シリンダ123内に後方から挿入されたプランジャ軸160と、プランジャ軸160に取り付けられた摺動体161と、を備えている。
【0073】
プランジャ軸160は、負圧シリンダ123の内径よりも径が小さく形成された前側筒部162と、前側筒部162の後端部に一体に接続され、前側筒部162よりも外径が大きく形成された後側筒部163と、で二段筒状に形成されている。
【0074】
前側筒部162は、その前端開口端が負圧シリンダ123の前壁部141に対して後方から接している。前側筒部162における前端部側の外周面には、その中心軸線O3に対して直交する径方向の外側に向かって僅かに膨らんだ環状の膨出部164が形成されている。
さらに、
図4に示すように、前側筒部162の内部には、その中心軸線O3に直交する径方向の内側に向かって突出した環状壁165が形成されている。環状壁165の前面には、中心軸線O3回りに間隔をあけて複数の縦溝166が形成されている。
【0075】
後側筒部163は、負圧シリンダ123よりも後方に突出していると共に、後端部がカバー体55に形成された開口部55aの内側に配置されている。
後側筒部163の外周面には、中心軸線O3に直交する径方向の外側に向けて突出するリブ片167が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これらリブ片167は、前後方向に沿って延びていると共に負圧シリンダ123の内周面に対して近接或いは接しており、プランジャ軸160のがたつきを抑制している。
【0076】
複数のリブ片167のうち少なくとも下方に配置されているリブ片167は、前後方向の長さが他のリブ片167よりも短く形成され、その後端縁167aが負圧プランジャ124の後方移動に伴ってカバー体55に前方から接近し、最終的にはカバー体55に接触して係止される(
図5参照)。これにより、それ以上、負圧プランジャ124が後方移動することを規制することができる。
【0077】
従って、リブ片167及びカバー体55は、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の後方移動を規制する規制部材として機能する。
【0078】
摺動体161は、
図4に示すように、前側筒部162に対して前方から外嵌された連結筒170と、連結筒170をその径方向の外側から囲繞し、シリンダ筒部140の内周面に対して摺接する摺動筒部171と、連結筒170の前端部と摺動筒部171の前端部とを接続すると共に、負圧シリンダ123の前壁部141に対して後方から密に(隙間なく)接触するプランジャ壁172と、を備えている。
【0079】
連結筒170は、膨出部164に対して後方から係止し、且つ後端部が前側筒部162と後側筒部163との接続壁に対して前方から接した状態で前側筒部162に対して外嵌されている。これにより、摺動体161とプランジャ軸160とは一体となって中心軸線O3に沿って前後動可能とされている。
【0080】
特に、プランジャ壁172が前壁部141に対して接触し、且つ摺動筒部171がシリンダ筒部140の内周面に対して摺接しているので、負圧プランジャ124が後方移動した場合、負圧シリンダ123内のうち負圧プランジャ124よりも前方側に位置する部分は密閉空間S4となる(
図5参照)。
なお、摺動筒部171は、その後端部が後方に向かうに従って漸次拡径するリップ部171aとされている。そして、このリップ部171aがシリンダ筒部140の内周面に対して密に摺接している。
【0081】
プランジャ軸160における前側筒部162の内部には、密閉空間S4から環状壁165の内側を通した空気の排出を許容し、その逆方向の空気の流入を規制する逆止弁180が設けられている。
逆止弁180は、環状壁165の内側に前方から挿入された軸筒181と、軸筒181の前端開口部に一体に形成され、中心軸線O3に直交する径方向の外側に膨らんだ有頂筒状の抜け止め部182と、軸筒181の後端開口部から後方に向かうにしたがって、中心軸線O3に直交する径方向の外側に向けて延びた環状の弁本体183と、を備えている。
【0082】
抜け止め部182は、環状壁165の前面に形成された縦溝166に対して前方から接している。これにより、密閉空間S4側から縦溝166内への空気の導入を可能としつつ、逆止弁180の後方への抜け止めを可能としている。弁本体183は、環状壁165のうち後面側の角部に対して離反可能に接している。これにより、逆止弁180は環状壁165の内側を開放自在に閉塞している。
【0083】
図1及び
図3に示すように、連結部材150は、貯留シリンダ121内に後方から挿入され、貯留プランジャ122に対して一体に組み合わされた連結軸部151と、連結軸部151と負圧プランジャ124における後側筒部163とを一体に連結する連結片152と、を備えている。
【0084】
連結軸部151は、先端部が貯留プランジャ122における小径筒部135内及び摺動筒部136内に対して嵌合されている。これにより、連結軸部151は貯留プランジャ122の移動に伴って前後方向に移動する。なお、連結軸部151は、貯留シリンダ121よりも後方に突出していると共に、後端部がカバー体55に形成された開口部55aの内側に配置されている。
連結軸部151の外周面には、中心軸線O2に直交する径方向の外側に向けて突出するリブ片153が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。これらリブ片153は、貯留シリンダ121の内周面に対して近接或いは接しており、連結軸部151のがたつきを抑制している。
【0085】
複数のリブ片153のうち少なくとも上方に配置されているリブ片153は、前後方向の長さが他のリブ片153よりも短く形成され、その後端縁153aが貯留プランジャ122の後方移動に伴ってカバー体55に前方から接近し、最終的にはカバー体55に接触して係止される(
図5参照)。これにより、それ以上、貯留プランジャ122が後方移動することを規制することができる。
【0086】
従って、このリブ153も、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の後方移動を規制する上記規制部材として機能する。なお、図示の例では、連結軸部151は筒状に形成されているが、この場合に限定されるものではなく中実の円柱状に形成されていても構わない。
【0087】
連結片152は、貯留シリンダ121及び負圧シリンダ123よりも後方において、連結軸部151と負圧プランジャ124における後側筒部163とを連結している。これにより、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124は、連結部材150を介して一体となって(同期して)前後方向に移動可能とされている。
【0088】
上述のように構成された貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124では、
図1及び
図3に示すように、突起弁137が射出筒部11の後端開口部を閉塞し、且つ負圧プランジャ124のプランジャ壁172が負圧シリンダ123の前壁部141に対して密に接触しているときの、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の位置を最前進位置とする。
従って、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124が最前進位置に配置されている場合には、貯留シリンダ121内に液体がほとんど収容されていない。
【0089】
これに対して、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の後方移動によって、リブ片153の後端縁153a及びリブ片167の後端縁167aがカバー体55に対して前方からそれぞれ接触して係止されたときの貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の位置を最後退位置とする(
図5参照)。
従って、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124が最後退位置に配置されている場合には、貯留シリンダ121内に液体が最大に収容されている。
【0090】
(貯留プランジャ及び負圧プランジャの組み立て)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の組み立てのうち、貯留シリンダ121及び負圧シリンダ123内に貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を装着する作業について簡単に説明する。
【0091】
この場合には、貯留シリンダ121内及び負圧シリンダ123内に、連結部材150を介して互いに連結された貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を後方から例えばゆっくりと挿入する。これにより、負圧シリンダ123における前壁部141とプランジャ壁172との間の空気を、
図4に示す矢印のように、環状壁165に形成された縦溝166と、環状壁165の内側と軸筒181との間の隙間と、を通じて逆止弁180よりも後方側に排出しながら、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の挿入作業を行うことができる。この際、逆止弁180の弁本体183は窄まるように弾性変形する。
【0092】
従って、負圧シリンダ123における前壁部141に対してプランジャ壁172を隙間なく接触させ、前壁部141とプランジャ壁172との間から空気を適切に抜いた状態で、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を挿入することができる。これにより、前壁部141とプランジャ壁172との間に位置する部分を、負圧状態(減圧状態)に維持して密閉することができる。
【0093】
なお、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を挿入した後、例えば負圧シリンダ123内を後方から真空引きする作業を行い、逆止弁180を通じて、前壁部141とプランジャ壁172との間に残存している微小空気を排出しても良い。
【0094】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0095】
図5に示すように、トリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴って主ピストン52が後退するので、主シリンダ53内の液体を、第1貫通孔66及び第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13に導入することができる。すると、内筒13に導入された液体は、吸込弁36を押し下げて閉弁させると共に、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、供給孔120を通じて貯留シリンダ121の空間部138に液体を導入できる。これにより、貯留シリンダ121内に液体が貯留されるので、貯留プランジャ122を後方に移動させることができ、突起弁137を内側吐出孔17及び外側吐出孔16から後退させることができる。そのため、射出筒部11の後端開口部が開放される。
【0096】
よって、内筒13内の液体を、供給孔120を通じて貯留シリンダ121内に導入しつつ、内側吐出孔17及び外側吐出孔16を通じて射出筒部11内に導入することができる。これにより、射出筒部11の内圧が上昇するので、射出筒部11内の液体を、射出孔95、通過空間S3、第1溝部96、第2溝部103及び旋回路104を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4から前方に向けて液体を噴射させることができる。この際、旋回路104を通じて液体を噴出孔4に導くので、旋回路104を利用して液体にスピンをかけることができ、スピンがかかった液体を噴出孔4から霧状に噴射させることができる。
【0097】
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴射させることができると共に、貯留プランジャ122を後方に移動させて、貯留シリンダ121内に液体を溜める(充填する)ことができる。
【0098】
貯留プランジャ122が後方に移動すると、それに伴って連結部材150を介して貯留プランジャ122に連結されている負圧プランジャ124が後方に移動する。これにより、負圧プランジャ124のプランジャ壁172が負圧シリンダ123の前壁部141から離間するので、負圧シリンダ123内のうち負圧プランジャ124よりも前方に位置する密閉空間S4が負圧になる。これにより、負圧プランジャ124及び貯留プランジャ122に対して、前方側に向けた付勢力を発生させることができる。
特に、貯留プランジャ122及び貯留プランジャ122が後方に移動するほど負圧力が大きくなるので、負圧プランジャ124及び貯留プランジャ122を前方に向けて付勢する付勢力が大きくなる。
【0099】
そして、トリガー部51を引く操作を止めて該トリガー部51を解放すると、弾性板部54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴って主ピストン52が前方移動する。そのため、主シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によってパイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10に吸い上げることができる。
すると、新たに吸い上げられた液体は、吸込弁36を押し上げて開弁させ、主シリンダ53内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。なお、吐出弁30は閉弁している。
【0100】
このとき、縦供給筒部10内からの液体の供給は停止するものの、負圧シリンダ123内に発生した負圧によって、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124が最前進位置に向けて一体に前方移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ121内に溜まった(充填された)液体を、供給孔120及び縦供給筒部10内を経由して射出筒部11内に押し出すことができ、噴出孔4から前方に向けて引き続き液体を噴射させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
【0101】
特に、貯留シリンダ121は、縦供給筒部10内に連通しているので、縦供給筒部10内から貯留シリンダ121内に早期に(直ちに)液体を貯留し易い。そのため、少ないトリガー部51の操作で貯留シリンダ121内に液体を十分に貯留することが可能なので、早期に液体の連続噴射に切り換えることができ、使い易い。
【0102】
また、負圧シリンダ123内に発生した負圧を利用して、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を一体に復元移動させる構成であるので、例えばコイルバネ等の金属部品を用いた復元移動方式とは異なり、作動時(液体噴出時)以外、各構成品部材に対して余計な荷重(負荷)が作用することを抑えることができる。従って、例えば各構成部品に割れや伸び等を原因とする液漏れが発生することを抑制することができる。
さらに、コイルバネ等の金属部品を用いる場合には、廃棄時に環境負荷が大きいうえコスト高になり易い。これに対して、負圧を利用する本実施形態では、例えば樹脂のみの単一の材料で構成することが可能であるので、環境に対する負荷が少ないうえ、コストも抑えることができる。
【0103】
また、射出孔95及び通過空間S3の各流路断面積が、第1溝部96及び第2溝部103からなる導入路106の流路断面積よりも大きいので、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内に導入するよりも貯留シリンダ121側へ導入し易くなる。従って、このことによっても、貯留シリンダ121内に直ちに液体を導入し易い。
【0104】
さらに、貯留シリンダ121内に貯留された液体を連続噴射する際、噴射に伴って貯留プランジャ122が前方に移動するので、突起弁137が外側吐出孔16内及び内側吐出孔17内に後方から挿入されて、射出筒部11の後端開口部を閉塞する。これにより、それ以上、縦供給筒部10内から射出筒部11内に液体が導入されることを防止できるので、連続噴射を速やかに停止できるうえ、液切れを良くすることができる。
さらには、液体の噴射を開始する初期段階では、突起弁137が射出筒部11の後端開口部を塞いでいるので、貯留シリンダ121の内圧が所定値を超えない限り、液体が噴射されることがない。従って、高圧弁等を別途設けなくても適正な圧力(噴射圧)で液体を噴射させることができると共に、構成の簡略化を図り易い。また、未使用時に噴出孔4から液漏れすることを効果的に抑制することができる。
【0105】
なお、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124の前進時、再びトリガー部51を引く操作を行わない限り、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124は最前進位置まで移動するが、その前にトリガー部51を引く操作を繰り返し行っても良い。
この場合、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124は、後退と前進とを繰り返しながらも、全体としては徐々に後方に移動する。これにより、貯留シリンダ121内に徐々に液体を溜めることができる。そして、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124を最後退位置まで移動させることで、これら貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124が最後退位置から最前進位置に移動するまでの長時間に亘って、液体を連続噴射することができる。
【0106】
以上説明したように、本実施形態におけるトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
【0107】
また、負圧プランジャ124の受圧面積が貯留プランジャ122の受圧面積よりも大きいので、負圧シリンダ123内に、貯留シリンダ121内に貯留された液体を確実に押し出すことができる程度の負圧を発生させ易い。従って、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124に対して大きな推進力を付与できる。従って、貯留プランジャ122及び負圧プランジャ124をスムーズに前方に復元移動させて、噴出孔4から液体を安定して連続噴射させ易い。
【0108】
さらに、貯留シリンダ121と負圧シリンダ123とが上下に並列されているので、これらが一列に直結される場合に比べて、トリガー式液体噴出器1の全長を短くして小型化を図り易い。しかも、負圧シリンダ123が縦供給筒部10の後方に配設されていると共に、貯留シリンダ121の下方に配置されているので、上下方向のかさ張りも抑えることができ、小型化に繋げ易い。
【0109】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0110】
例えば、上記実施形態において、トリガー部51の操作をロックする機構を設けても構わない。
また、上記実施形態では、貯留シリンダ121と負圧シリンダ123とを上下に並設させたが、この場合に限定されるものではない。例えば、貯留シリンダ121と負圧シリンダ123とを直結して一体に形成し、貯留プランジャ122と負圧プランジャ124とを直結して一体に形成しても構わない。
【0111】
さらに、負圧プランジャ124の受圧面積を貯留プランジャ122の受圧面積より大きくしたが、小さくてもよいし、同等であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、トリガー部51が後方に揺動自在とされていたが、トリガー部51が後方に移動する形態を適宜採用することが可能である。例えば、トリガー部51が後方に向けてスライド移動自在とされている等してもよい。
【0113】
さらに、上記実施形態では、付勢部材等、他の部材から作用する付勢力を利用することなく、負圧シリンダ123内の負圧を利用することで、負圧プランジャ124及び貯留プランジャ122を復元移動させているが、本発明はこれに限られない。例えば、負圧シリンダ123内の負圧に加え、例えば金属スプリング等の付勢部材から負圧プランジャ124や貯留プランジャ122に作用する付勢力も利用することで、負圧プランジャ124及び貯留プランジャ122を復元移動させてもよい。