(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カソード導電性層は、前記離溶酸化物の材料以外の、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう構成された追加の材料を含んでなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池システム。
前記カソード導電性層が、プライマリ伝導経路として、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう機能するものである、請求項1〜6の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
クロム種は、SOFCのカソードに対する混入物であることがあり、例えば、固体酸化物燃料電池(SOFC)の酸化物又は空気の供給中に存在することがある。Cr−種は、平型SOFC技術の金属相互接続に由来することがある。そのようなCr−種は、クロムの最も積極的な源であることがあり、例えば、金属相互接続が電池に隣接及び接続されている場合、クロムは、固体拡散及び蒸気相によって電池へと輸送される可能性がある。クロムの第二の源は、バランスオブプラント(BOP)金属ハードウェア、例えば、熱交換器、改質装置、配管、及び計装からである。いくつかの例において、プライマリ相互接続が、印刷された貴金属サーメット又はセラミックベースである場合、そのようなBOP Cr−種が最大の懸念事項であることがある。更に、場合によっては、金属相互接続からのクロム放出を最小化するのに苦労することがある。いくつかの例において、コーティングを、金属相互接続に適用してもよく、それは金属上に形成するクロムスケールと反応し、また、放出されるクロム蒸気種を捕捉することもできる。そのような例は、電池領域、例えばカソードを、Crから明確に保護するのではなく、むしろ、主要なCr源から放出されるCr種の量を低減しようとしている。
【0016】
燃料電池システムのためのカソードの例は、LSMベースのカソードを含み、LSMベースのカソードは、例えば高温におけるZrO
2ベースのSOFCのための、望ましい性能及び耐久性を可能にすることがある。しかしながら、他のカソード組成物のように、そのようなカソードは、上記のCrの混入によって汚染されることがある。したがって、カソードにおけるそのようなCr被毒を防止又は低減するには、固体酸化物燃料電池システムの上流(バランスオブプラント)及び/又は金属相互接続内で生じたCr種を、燃料電池のカソード/電解質界面に到達する前に、除去することが望ましいことがある。
【0017】
本開示の例によれば、燃料電池システムは、活性カソード層上に形成されたカソード導電性層を含んでもよく、カソード導電性層及び/又はカソードは、燃料電池システム内、例えば、燃料電池の酸化物側/空気側内に存在するCr蒸気種を捕捉するよう構成された、化合物を含んでもよい。カソード導電性層を形成するのに用いる粉末又は他の材料とは別にCr蒸気捕捉化合物を混合するか、又はそうでなければ添加するよりむしろ、燃料電池の作動の間、離溶酸化物が、カソード導電性層及び/又はカソード中に存在するように、カソード導電性層の化学物質を選択してもよく、そしてそれは、例えばCr蒸気種と反応することによって燃料電池内のCr蒸気種を捕捉する。このようにして、カソード導電性層及び/又はカソードは、Cr蒸気種によるカソードの被毒を低減又は防止してもよい。
【0018】
一つの例として、LSMから形成され、典型的にはLSM+イオン性相複合材カソードの上に位置するカソード導電性層(カソード集電体、又はCCCともいう)の場合、カソード導電性層内の離溶MnO
xが、Cr捕捉材料として機能してもよい。例えば、Mnが非常に豊富であるとき、LSMの熱力学的不安定性によって、燃料電池の処理及び作動の間、平衡濃度を上回るMnO
xがLSM構造から離脱して、自由MnO
xとして存在しようとするので、特別に設計されたA−サイト欠損型LSMは、集電体及びCr捕捉層の両方として機能する良好な材料であってよい。そのような離溶MnO
xは、気相中のCrと相互作用して(Mn,Cr)
3O
4スピネルを形成することができ、また、CCC層内に堆積してカソード被毒を回避することができる。
【0019】
後述するように、いくつかの例において、更なるCr捕捉材料を、電流導電性層中に意図的に(例えば、単に不定比な、A−サイト欠損を達成することができる量よりも多い含有量で)加えて、空気からのCr種も捕捉し、カソードをCr被毒から保護してもよい。Crを捕捉するためのこの方法は、他のカソード材料、例えば、LSCFカソード、LSFカソード、PSMカソード、ニッケレートカソード等に適用することができるが、しかしながら、CCC層の好ましいゲッタリング材料は、カソード材料の種類に応じて異なることがある。他のカソード材料を用いる場合、カソード組成及びCCC組成の両方を意図的に設計して、対応する酸化物を離溶させ、Cr−ゲッタリング材料として役立てることもできる。例えば、離溶したCr捕捉材料は、LSCFカソードではCoO及び/又はFe
2O
3、LSFカソードではFe
2O
3、PSMカソードではMnO
x、ニッケレートカソードではNiOであることがある。
【0020】
本開示のいくつかの例は、イオン性相内への局所的な材料の相互拡散を伴うSOFC作動条件の結果としてMnO
xの残余量が生じるように、カソード及び/又はカソード集電体層のための特定のLSM化学物質を選択することを含んでおり、確立されたLSMカソード及び集電からの、これらの分散したMnO
x相は、例えば、バランスオブプラント構成要素に由来するCr蒸気種を捕捉するのに役立つ。カソード集電体及び/又はカソード層は、これらに期待される電気化学的機能及び集電機能を提供するとともに、クロムを捕捉するためのその場(in-situ)形成サイトとして役立つ。
【0021】
Cr捕捉化合物から形成された独立層が、カソード又はCCC上に印刷されているアプローチと比較すると、本開示の例は、SOFCシステム内の複数の源からのCrを捕捉してもよい。例えば、バランスオブプラント構成要素、例えば熱交換器及び配管から、又は平型SOFCシステムにおいてしばしば最も多く使用されている金属相互接続のいずれかからの、活性カソードに入る、特にカソード/電解質界面に到達するCr−種の量を最小化し、こうして、カソードを被毒及び電気化学的性能の低下から保護する。しかしながら、いくつかの例において、Cr蒸気種を捉えるための離溶酸化物を含むCCC及び/又はカソードに加えて、Cr捕捉化合物から形成された独立層が含まれてもよい。カソード又はCCC上のCr捕捉層は、非導電性酸化物、例えば、アルカリ土類酸化物、例えば、好ましくはMgOであってよく、又は希土類金属酸化物、例えば、Y
2O
3であってよい。
【0022】
図1は、本開示の実施形態による燃料電池システム10の例を説明する模式図である。
図1に示すように、燃料電池システム10は、基材14上に形成された複数の電気化学的電池12(又は「個々の燃料電池」)を含む。後述するように、複数の電気化学的電池12の一つ又は複数は、燃料電池10内のCr蒸気種を捕捉するよう構成された、本明細書に記載されている組成物の例の、カソード及び/又はカソード導電性層を含んでもよい。電気化学的電池12は、相互接続16によって直列に一緒に接続されている。燃料電池システム10は、平坦な多孔質セラミック管上に堆積されたセグメント直列型配置であり、本開示は、円形の多孔質セラミック管上のような、他の基材上のセグメント直列型配置に等しく適用できることが理解されよう。様々な実施形態において、燃料電池システム10は、一体化された平型燃料電池システム、又は筒型燃料電池システムであってよい。
【0023】
それぞれの電気化学的電池12は、酸化剤側18及び燃料側20を含む。酸化剤は一般に空気であるが、しかしながら、純酸素(O
2)、又は他の酸化剤、例えば、空気リサイクルループを有する燃料電池システムのための希釈空気であってよく、酸化剤側18から電気化学的電池12に供給される。基材14は、特別に設計された多孔質体であってよく、例えば、多孔質セラミック材料は、燃料電池作動条件において安定であり、他の燃料電池材料と化学的に適合する。他の実施形態において、基材14は、表面改質材料、例えば、被覆又は他の表面改質を有する多孔質セラミック材料、例えば、電気化学的電池12の層と基材14との間の相互作用を防止又は低減するよう構成されたものであってよい。燃料、例えば改質された炭化水素燃料、例えば合成ガスは、多孔質基材14のチャネル(図示せず)を介して、燃料側20から電気化学的電池12に供給される。空気及び炭化水素燃料から改質された合成ガスを、いくつかの例において使用してもよいが、他の酸化剤、及び燃料、例えば、純水素及び純酸素を用いた電気化学的電池を、本開示の範囲を逸脱しない範囲で使用してもよいことが理解されよう。更に、燃料が基材14を介して電気化学的電池12に供給されるが、他の実施例では、酸化剤を、多孔質基材を介して電気化学的電池に供給してもよいことが理解されよう。
【0024】
図2は、本開示の実施形態による燃料電池システム10の例の断面を説明する模式図である。燃料電池システム10は、基材14上にスクリーン印刷された複数の層から形成されていてもよい。これは、織物メッシュが開口部を有し、開口部を通して燃料電池層を基材14上へ堆積する、プロセスを含んでもよい。スクリーンの開口部は、印刷される層の長さ及び幅を決定する。スクリーンメッシュ、ワイヤ径、インク固形分、及びインクレオロジーは、印刷される層の厚みを決定することがある。燃料電池システム10の層は、アノード導電性層22、アノード層24、電解質層26、カソード層28、及びカソード導電性層30を含む。一つの形態において、電解質層26は、単一の層であってもよく、又は任意の数の副層から形成されていてもよい。
図2は、必ずしも一定の縮尺であるわけではないことが理解されよう。例えば、縦の寸法は、説明の明確性のために誇張されている。
【0025】
それぞれの電気化学的電池12において、アノード導電性層22は、アノード24から離れた自由電子を伝導し、相互接続16を経てカソード導電性層30へと電子を伝導する。カソード導電性層30は、カソード28に電子を伝導する。相互接続16は電解質層26に埋められており、アノード導電性層22に電気的に結合しており、アノード導電性層22から電解質層26を通って方向32に、次にひとつの電気化学的電池12から次の隣の電気化学的電池12への方向36に、次に相互接続16が電気的に結合しているカソード導電性層30の方向32に再び延在している。具体的には、相互接続16の少なくとも一部は電解質層26の延在部分の範囲内に埋められており、電解質層26の延在部分とは、アノード24及びカソード28を越えて延在する、例えば、方向32に延在し、アノード24とカソード28との間に挟まれていない、電解質層26の一部である。
【0026】
一つの電気化学的電池から他の電気化学的電池へと電子を輸送するために、固体酸化物燃料電池(SOFC)のための相互接続16は、好ましくは導電性であり;燃料電池の作動の間、酸化環境及び還元環境の両者の下で機械的及び化学的に安定であり;相互接続を通した燃料及び/又は酸化剤の拡散を妨げるために、非多孔質である。相互接続が多孔質である場合、燃料が酸化剤側に拡散して燃焼し、例えば、材料の分解及び機械的破損、並びに燃料電池システムの効率低減による燃料電池の寿命低下につながることのある、局所的熱点を生じることがある。同様に、酸化剤が燃料側に拡散し、燃料の燃焼につながることがある。重篤な相互接続漏れは、燃料電池の燃料利用率及び性能を著しく低減するか、又は燃料電池若しくはスタックの破滅的破損を引き起こすことがある。
【0027】
セグメント直列型電池のための燃料電池構成部品は、多孔質セラミック基材、例えば基材14上に堆積した薄膜から形成されてもよい。一つの形態において、相互接続を含むフィルムは、スクリーン印刷プロセスを介して堆積される。他の実施形態において、他のプロセスを使用して、基材上へ薄膜を堆積してもよく、又はそうでなければ形成してもよい。相互接続層の厚みは、5〜30マイクロメートルであってよく、より厚く、例えば100マイクロメートルにすることもできる。
【0028】
相互接続16は、Ag、Pd、Au、及び/若しくはPt、並びに又はこれらの合金を含む貴金属から形成されていてもよく、本開示の範囲を逸脱しない範囲内で、他の材料を使用してもよい。例えば、他の実施形態において、貴金属合金、例えば、Ag―Pd、Ag―Au、Ag―Pt、Au―Pd、Au―Pt、Pt―Pd、Ag―Au―Pd、Ag―Au―Pt、Ag―Au―Pd―Pt、及び/又は軽微な非貴金属添加物を有する合金を含むPt―Pd―Au―Ag族の二元合金、三元合金、四元合金、以下から構成されるサーメット:貴金属、貴金属合金、不活性セラミック相、例えばアルミナ、又は著しいパラスティックを生じない最小限のイオン伝導率を有するセラミック相、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア、イットリアドープされたジルコニアとしても知られ、イットリアドーピングは3〜8mol%、好ましくは3〜5mol%である)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア、スカンジアドーピングは4〜10mol%、好ましくは4〜6mol%である)、ドープされたセリア、及び/又は導電性セラミックス、例えば、適切な相安定性及び/又は相互接続としての充分な伝導率を達成するようA−サイト又はB−サイトの置換又はドーピングを有する、導電性ペロブスカイト、例えば、ドープされたストロンチウムチタネート(例えばLa
xSr
1−xTiO
3−δ、x=0.1〜0.3)、LSCM(La
1−xSr
xCr
1−yMn
yO
3、x=0.1〜0.3、及びy=0.25〜0.75)、ドープされたイットリウムクロマイト(例えばY
1−xCa
xCrO
3−δ、x=0.1〜0.3)、及び/又は他のドープされたランタンクロマイト(例えばLa
1−xCa
xCrO
3−δ、x=0.15〜0.3)、並びに導電性セラミックス、例えばドープされたストロンチウムチタネート、ドープされたイットリウムクロマイト、LSCM(La
1−xSr
xCr
1−yMn
yO
3)、及び他のドープされたランタンクロマイトの少なくとも一つを含む導電性ペロブスカイトを含む、他の材料を使用してもよいことが代替的に考えられる。一つの例では、相互接続16は、y(Pd
xPt
1−x)−(1−y)YSZから形成されていてもよい。ここで、xは、重量比で0〜1であり、好ましくは、より小さい水素流束のため、xは0〜0.5である。yは、体積比で0.35〜0.80であり、好ましくは、yは0.4〜0.6である。
【0029】
アノード導電性層22は、ニッケルサーメット、例えばNi−YSZ(例えば、ジルコニア中のイットリアドーピングが3〜8mol%)、Ni−ScSZ(例えば、スカンジアドーピングが4〜10mol%であり、好ましくは第二のドーピング、例えば、相安定性のため、10mol%のスカンジア−ZrO
2につき1mol%セリアを含む)、及び/又はNi−ドープしたセリア(例えばGd又はSmドーピング)、ドープしたランタンクロマイト(例えば、Aサイト上にCaドーピング、Bサイト上にZnドーピング)、ドープしたストロンチウムチタネート(例えば、Aサイト上にLaドーピング、Bサイト上にMnドーピング)、La
1−xSr
xMn
yCr
1−yO
3、及び/又は一般式(La
1−xSr
x)
n+1Mn
nO
3n+1のMnベースのR−P相から形成された、電極導電性層であってよい。代替として、アノード導電性層22のための他の材料、例えば、貴金属に一部又は全部基づくサーメットを使用してもよいことが考えられる。サーメット中の貴金属は、例えば、Pt、Pd、Au、Ag、及び/又はこれらの合金を含んでもよい。セラミック相は、例えば、YSZ、ScSZ、及び/又は一つ若しくは複数の他の不活性相、例えば、層の熱膨張係数(CTE)を制御して、基材及び電解質のCTEと一致させるために、所望のCTEを有する他の不活性相を含む、不活性非導電性相を含んでもよい。いくつかの実施形態において、セラミック相は、Al
2O
3、及び/又はスピネル、例えば、NiAl
2O
4、MgAl
2O
4、MgCr
2O
4、NiCr
2O
4を含んでもよい。他の実施形態において、セラミック相は導電性であってよく、例えば、ドープされたランタンクロマイト、ドープされたストロンチウムチタネート、並びに/又はLaSrMnCrO及び/若しくは一般式(La
1−xSr
x)
n+1Mn
nO
3n+1のR−P相の一つ又は複数の形態であってよい。
【0030】
電解質層26は、セラミック材料から形成されていてもよい。1つの形態において、プロトン及び/又は酸素イオン伝導性セラミックを使用してもよい。一つの形態において、電解質層26は、YSZ、例えば3YSZ、及び/又は8YSZから形成されている。他の実施形態において、電解質層26は、YSZに加えて又はその代わりに、ScSZ、例えば4ScSZ、6ScSz、及び/又は10Sc1CeSZから形成されていてもよい。他の実施形態において、他の材料を使用してもよい。例えば、電解質層26は、ドープされたセリア、及び/又はドープされたランタンガレートでできていてもよいことが代替的に考えられる。いずれにしても、電解質層26は、燃料電池10に用いられる流体、例えば燃料としての合成ガス又は純水素、並びに、例えば酸化剤としての空気又はO
2の、電解質層26を通る拡散に対して実質的に不透過性であるが、しかしながら、酸素イオン又はプロトンの拡散を許容する。
【0031】
カソード層28は、LSM(La
1−xSr
xMnO
3、x=0.1〜0.3)、La
1−xSr
xFeO
3(例えば、x=0.3)、La
1−xSr
xCo
yFe
1−yO
3(例えば、La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3)、及び/又はPr
1−xSr
xMnO
3(例えば、Pr
0.8Sr
0.2MnO
3)の少なくとも一つから形成されていてもよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で他の材料を使用してもよい。例えば、ルドルスデン−ポッパー(Ruddlesden-Popper)ニッケレート、及びLa
1−xCa
xMnO
3(例えば、La
0.8Ca
0.2MnO
3)材料を使用してもよいことが代替的に考えられる。
【0032】
カソード導電性層30は、導電性セラミック、例えば、LaNi
xFe
1−xO
3(例えば、LaNi
0.6Fe
0.4O
3)、La
1−xSr
xMnO
3(例えば、La
0.75Sr
0.25MnO
3)、及び/又はPr
1−xSr
xCoO
3(例えば、Pr
0.8Sr
0.2CoO
3)の少なくとも一つから形成された、電極導電性層であってよい。他の実施形態において、カソード導電性層30は、他の材料、例えば、貴金属サーメットから形成されていてもよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で他の材料を使用してもよい。貴金属サーメット中の貴金属は、例えば、Pt、Pd、Au、Ag、及び/又はこれらの合金を含んでもよい。セラミック相は、例えば、YSZ、ScSZ、及びAl
2O
3、又は他の所望の非導電性セラミック材料を含んで、熱膨張を制御してもよい。本明細書に記載されているように、カソード28及び/又はカソード導電性層30は、離溶酸化物、例えばMnO
xを含んで、燃料電池システム10内に存在するCr蒸気種を捕捉してもよい。
【0033】
あらゆる適切な技術を使用して、
図1及び2の電気化学的電池12を形成してもよい。
図2の例において、アノード導電性層22は、電解質26の一部であるように、基材14上に直接印刷されていてもよい。アノード層24は、アノード導電性層22上へ印刷されていてもよい。電解質層26の一部は、アノード層24上へ印刷されていてもよく、電解質層26の一部は、アノード導電性層22上、及び基材14上へ印刷されている。カソード層28は、電解質層26上に印刷されている。カソード導電性層30の一部は、カソード層28上、及び電解質層26上へ印刷されている。カソード層28は、アノード層24から方向32に、電解質層26のその場所の厚みの間隔を置いて離れている。
【0034】
アノード層24は、方向36に延在するアノードギャップ34を含む。カソード層28もまた、方向36に延在するカソードギャップ38を含む。
図2の例において、方向36は方向32に対して実質的に垂直であるが、しかしながら、本開示はそれに限定されない。ギャップ34は、それぞれの電気化学的電池12において、アノード層24を複数の個々のアノード40に分離する。ギャップ38は、カソード層28を、対応する複数のカソード42に分離する。それぞれのアノード40、及びこれらから方向32に間隔を置いて離れている対応するカソード42は、これらの間に配置された電解質層26の部分とともに、電気化学的電池12を形成している。
【0035】
同様に、アノード導電性層22及びカソード導電性層30は、アノード導電性層22及びカソード導電性層30を、それぞれ複数のアノード導電フィルム48及びカソード導電フィルム50に分離する、ギャップ44及び46をそれぞれ有する。用語「アノード導電性層」と「アノード導電フィルム」とは、後者が前者の一つ以上の層から形成されているのではあるが、交換可能に使うことがあり、用語「カソード導電性層」と「カソード導電フィルム」とは、後者が前者の一つ以上の層から形成されているのではあるが、交換可能に使用することがある。
【0036】
いくつかの例において、アノード導電性層22は、厚み、すなわち方向32で測定される厚みが、約5〜15マイクロメートルであってよく、本開示の範囲を逸脱しない範囲内で他の値を使用してもよい。例えば、他の実施例では、アノード導電性層は、約5〜50マイクロメートルの厚みを有してもよいことが考えられる。さらに他の実施形態において、例えば特定の材料及び用途によって、異なる厚みを使用してもよい。
【0037】
同様に、アノード層24は、厚み、すなわち方向32で測定される厚みが、約5〜20マイクロメートルであってよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で他の値を使用してもよい。例えば、他の実施例では、アノード層は、約5〜40マイクロメートルの厚みを有してもよいことが考えられる。さらに他の実施形態において、例えば特定のアノード材料及び用途によって、異なる厚みを使用してもよい。
【0038】
電解質層26は、約5〜15マイクロメートルの厚みを有し、最小約5マイクロメートルの厚みの個々の副層を有してもよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で他の厚みの値を使用してもよい。例えば、他の実施例では、電解質層は、約5〜40マイクロメートルの厚みを有してもよいことが考えられる。さらに他の実施形態において、例えば特定の材料及び用途によって、異なる厚みを使用してもよい。
【0039】
カソード層28は、厚み、すなわち方向32で測定される厚みが、約10〜20マイクロメートルであってよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で他の値を使用してもよい。例えば、他の実施例では、カソード層は、約10〜50マイクロメートルの厚みを有してもよいことが考えられる。さらに他の実施形態において、例えば特定のカソード材料及び用途によって、異なる厚みを使用してもよい。
【0040】
カソード導電性層30は、厚み、すなわち方向32で測定される厚みが、約5〜100マイクロメートルであってよく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で他の値を使用してもよい。例えば、他の実施例では、カソード導電性層は、約5〜100マイクロメートルよりも小さい、又は大きい厚みを有してもよいことが考えられる。さらに他の実施形態において、例えば特定のカソード導電性層の材料及び用途によって、異なる厚みを使用してもよい。
【0041】
図2に示されていないが、いくつかの例において、燃料電池システム10は、相互接続16と隣接する構成要素との間に一つ以上の化学的バリア層を含んで、相互接続と、隣接する構成要素、例えば、アノード及び/又はアノード導体フィルム、及び/又はカソード及び/又はカソード導体フィルムとの間の、燃料電池システムの特定の性能に悪影響を与えることがある拡散を、低減又は防止してもよい。様々な実施形態において、そのような化学的バリア層を構成して、相互接続とアノードとの間の、及び/又は相互接続とアノード導電フィルムとの間の、及び/又は相互接続とカソードとの間の、及び/又は相互接続とカソード導電フィルムとの間の界面における、物質移動又は拡散を防止又は低減して、相互接続の長期耐久性を高めてもよい。例えば、化学的バリアがないと、貴金属サーメットから形成された相互接続と、Niベースのサーメットから形成されたアノード導電フィルム及び/又はアノードとの間の界面において、物質移動(拡散)が起こることがある。物質移動は双方向に起こることがあり、例えば、アノード導電性層/導体フィルム及び/又はアノードから相互接続内へのNiの移動、並びに相互接続から導電性層/導電フィルム及び/又はアノード内への貴金属の移動が起こることがある。物質移動は、相互接続とアノード導電フィルム及び/又はアノードとの間の界面における、又はその近くにおける多孔性の増加につながることがあり、また、界面における一つ又は複数の非又は低電子伝導相の富化につながることがあり、より高い比面積抵抗(ASR)を生じ、したがって燃料電池性能の低減につながる。また、相互接続とカソードとの間の、及び/又は相互接続とカソード導電フィルムとの間の物質移動も同様に、又は代替的に、燃料電池性能への悪影響につながることがある。そのような化学的バリア層は、サーメット及び/又は導電性セラミックの二種類の材料の一方、又は両方から形成されていてもよい。
【0042】
図4は、本開示の実施形態による燃料電池システムの例の断面を説明する模式図である。
図4の燃料電池システム及びその構成部分/層は、
図1及び2において電池14を有する燃料電池システム10について記載したものと実質的に同一、又は同様であってよい。
【0043】
上記のように、本開示の例は、燃料電池システム内に存在するCrを、例えば、カソード層28のようなカソード層に移動する前に捉えるための、一つ又は複数の技術及び構造を含んでもよい。上記のように、揮発性Cr種は、Cr被毒のため、固体酸化物燃料電池の観測される性能低下の原因となることがある。高温のSOFCシステムにおいて形成される高原子価気体Cr種は、酸化物、水酸化物、及びオキシ水酸化物の形態で存在する。Cr
2O
3(s)と気体Cr種との間の化学反応は、以下によって表すことができる:
Cr
2O
3(s)+(m−1.5)O
2(g)=2CrOm(g)
2Cr
2O
3(s)+(m−3)O
2(g)+2mH
2O(g)=4Cr(OH)
m(g)
2Cr
2O
3(s)+(m+2n−3)O
2(g)+2mH
2O(g)=4CrO
n(OH)m(g)
【0044】
SOFCの作動の間、形成された気体Cr種は、まず空気流内に混入し、次にそれらが固体Cr
2O
3(s)に還元されるカソード側へと輸送される。通常、Cr
2O
3(s)の堆積は、酸素分子、電子、及び酸素空孔が利用可能な、反応性三相境界(TPB)サイトにて優先して起こる。しかしながら、カソードの酸素還元もこの場所で起こり、反応する権利に関して、気体高原子価種の酸素還元と競合しなければならない。反応サイトにおける触媒的に不活性なCr
2O
3(s)層による被覆は、酸素還元の速度を遅くし、したがって、抵抗を増加させる。TPBにより多くのCr
2O
3(s)が析出し、酸素分子の反応サイトアクセス数が少なくなればなるほど、性能低下が観察される。
【0045】
前述のように、本開示の例は、燃料電池システム内のCr蒸気種を捕捉するよう構成された一つ又は複数の特徴を含む、固体酸化物燃料電池システムに関する。例えば、燃料電池システムは、カソード導電性層、及びカソードを含んでもよく、カソード又はカソード導電性層の少なくとも1つは離溶酸化物を含み、例えば、燃料電池の酸化剤側又は空気側内のCr蒸気種を捕捉する。例えば、LSMカソード及び/又はLSMカソード導電性層は、Cr蒸気種と反応してCr種を捕捉し、カソードのCr被毒を防止又は低減する、離溶MnO
xを含んでもよい。カソード及び/又はCCCの組成は、離溶酸化物として対応するMnO
xを有するLSMに関して主に記載されているが、しかしながら、他の組成も考えられる。例えば、離溶したCr捕捉材料は、LSCF組成物ではCoO及び/又はFe
2O
3、LSCF組成物ではFe
2O
3、PSM組成物ではMnO
x、ニッケレート組成物ではNiOであろう。
【0046】
いくつかの燃料電池の構造において、気体Cr種は、LSM CCC層内で還元される。新たに堆積した微粒子のCr
2O
3粒子は、それらがLSMカソードへ輸送される前に、A−サイト欠損型LSM CCCからの自由MnO
xと反応して、熱力学的に安定な(Cr,Mn)
3O
4スピネルを形成する高い傾向を有する。このようにして、CCC内の自由MnO
x(例えば、離溶MnO
x)は、Cr蒸気種を捕捉してもよい。この機構は、シミュレートされたシステム条件で試験し、TEMによって分析した、サブスケール電池において確認された。
【0047】
一つの例では、A−サイト欠損型LSM、(La
1−xSr
x)
1−yM
nO
3、(0.02<y<0.2)を用いて、CCC30及び/又はカソード28を形成してもよく、作動温度におけるLSMの平衡濃度及び燃料電池のカソード側の酸素分圧は、自由MnO
xの溶離につながる。一般に、より高いA−サイト欠損型LSM組成は、自由MnO
xをより離溶させることがある。LSM組成の選択は、燃料電池システムにおけるバランスオブプラント、又は他の金属部分から放出されるCr濃度に依存する。CCC層30のための好ましいLSM組成は、高いA−サイト欠損型、例えば0.1≦y<0.2である。LSMから離脱した自由MnO
xは、Crと反応して、スピネル又は他の化合物を成形することができる。
【0048】
いくつかの例において、更なるCrゲッタリング材料を、CCC30及び/又はカソード29、例えば、LSM CCC層内に添加して、より良好なCr捕捉を達成してもよい。更なるCr捕捉材料又は「Crゲッタリング材料」は、希土類金属酸化物、例えばY
2O
3、又はアルカリ土類酸化物、例えばMgOであってよい。いくつかの例において、CCC30に添加される更なるCrゲッタリングは、電子ための誘導経路ではなく単にCrゲッタリング材料として機能するので、電気伝導度を必要としない。
【0049】
好ましくは、CCC層30は、燃料電池の作動の間にLSM相から離溶したMnO
x、及び/又はCCC層に加えられた更なるCr−ゲッタリング材料のいずれかのCr−ゲッタリング材料を、活性カソード28よりも多く有して、活性カソード層28へのCr気相輸送を最小化し、カソード性能及び長期耐久性を促進する。
【0050】
いくつかの例において、いくらかの濃度の自由MnO
xの溶離を達成する活性LSM+イオン性複合材カソードのために、A−サイト欠損度を選択して、活性カソード28内のいくらかのCr捕捉を、例えばCCC層30を通り過ぎたCr−種のために提供することもできる。活性カソード28中に含まれるMnO
xは、CCC層30内に存在するCr捕捉材料に加えて、又は代替であってもよい。例えば、少量のCrがCCC層30によって完全にブロックされない場合、活性カソード28内に存在するMnO
xは、LSM相よりもむしろCrと優先して反応することができ、電気化学的性能の低下を最小化する。活性カソード28からの自由MnO
xの溶離は、燃料電池のカソード側の作動温度及び酸素分圧、並びに活性カソード28内に使用されるイオン性相に依存する。MnO
xの溶解性がより高い、スカンジア−ドープしたジルコニア又は8YSZをイオン性相として使用する場合、カソードのイオン性相におけるマンガン酸化物の溶解限度より多い十分な自由MnO
xを離溶するためには、高いA−サイト欠損型LSM処方、例えば10%以上のA−サイト欠損、例えばy≧0.1が好ましい。MnO
xの溶解性がより低い3YSZをイオン性相として使用する場合、比較的より低いA−サイト欠損型LSM組成、例えば5%のA−サイト欠損、例えばy=0.05を使用することができる。
【0051】
他の例では、更なるCrゲッタリング材料を活性カソード層内に加えて、カソード性能に影響を及ぼすことなく、より多くのCr蒸気種を捕捉してもよい。Crゲッタリング材料は、遷移金属酸化物、例えば、FeO
x、CoO
x、MnO
x、NiO
x、CuO
x等、希土類金属酸化物、例えば、Y
2O
3、La
2O
3、アルカリ土類酸化物、例えば、MgOであってよい。一つ又は複数の更なるCrゲッタリング材料を酸化物の形態としてカソードインクに添加して、電池処理の間、カソードと共−燃焼させることができる。
【0052】
図5は、本開示の実施形態による燃料電池システムの他の例の断面を説明する模式図である。
図4の燃料電池システムは、
図1及び2、並びに
図4における、電池14を有する燃料電池システム10について記載したものと実質的に同一、又は同様であってよい。しかしながら、
図5のシステムは、例えば、離溶酸化物を含むCCC及び/又はカソードに加えて、CCC層の表面上に堆積した、更なる薄層(「Crゲッタリング層」という)を含む。薄層は、Crを捕捉するよう構成された材料、例えばLSM CCC層上のMgOから形成されていてもよい。例えば、Crを捕捉するために、気相CrがMgO層と相互作用して、MgCr
2O
4スピネル相を形成してもよい。このような場合、カソード界面に堆積するCrはより少ないであろう。Cr捕捉材料又は「Crゲッタリング材料」は、MgOに限定されない。例えば、Cr捕捉材料又は「Crゲッタリング材料」は、他の遷移金属アルカリ土類酸化物、例えばSrO、Ca、BaO、希土類金属酸化物、例えばLa
2O
3、Y
2O
3、CeO
2、PrO
x、及びNdO
x、並びにペロブスカイト、例えばLNF、又は他の適切な材料であってよい。カソード材料は、ペロブスカイト材料、例えばドープされたランタンマンガナイト、ドープされたランタンコバルタイト、ドープされたランタンフェライトから選択することができる。
【実施例】
【0053】
《実施例》
【0054】
様々な実験を行い、本開示によるアノード組成物の例の一つ又は複数の側面を評価した。Cr供給加圧試験装置内で、4つの異なるLSMベースのカソードを試験し、カソード性能及び低下に対するCr被毒の影響を評価した。4,000,000時間を超える試験の後、カソード及びカソード集電(CCC)層のそれぞれにおける、Cr含有量及び分布を、WDS定量分析によって調べた。
図3は、結果を説明する図である。結果は、Cr種がCCC層内に著しくトラップされ、その量はLSMの不定比性に非常に基づくことを示した。LSM CCC内の自由MnO
xと反応するCr蒸気種によって形成された、熱力学的に安定な(Cr,Mn)
3O
4スピネルが、TEM分析で観察された。
【0055】
本発明の様々な実施形態を記載した。これら及び他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
カソードと;
前記カソードに隣接するカソード導電性層と;
前記カソードによって前記カソード導電性層から分離されている電解質と;
前記電解質によって前記カソードから分離されているアノードと
を含む、燃料電池システムであって、
前記アノード、前記カソード導電性層、前記カソード、及び前記電解質は、電気化学的電池を形成するよう構成されており、前記カソード又は前記カソード導電性層の少なくとも1つは、前記燃料電池システム内に存在するCr蒸気種を捕捉するよう構成された離溶酸化物を含む、燃料電池システム。
[2]
前記カソード導電性層が、A−サイト欠損を有するLSM材料から形成されており、前記離溶酸化物が、前記燃料電池の作動の間にLSMの平衡濃度から生ずるマンガン酸化物溶離物を含む、項目1に記載の燃料電池システム。
[3]
前記離溶酸化物が、前記Cr蒸気種と反応することによって、カソード気体流から前記Cr蒸気種を捕捉する、項目1に記載の燃料電池システム。
[4]
前記離溶酸化物がマンガン酸化物を含む、項目1に記載の燃料電池システム。
[5]
前記カソード導電性層は、前記離溶酸化物の材料以外の、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう構成された追加の材料を含む、項目1に記載の燃料電池システム。
[6]
前記更なる材料がアルカリ土類酸化物を含む、項目5に記載の燃料電池システム。
[7]
前記カソード導電性層が、プライマリ伝導経路として、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう機能する、項目1に記載の燃料電池システム。
[8]
前記カソード及び前記カソード導電性層が、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう構成された前記離溶酸化物を含む、項目1に記載の燃料電池システム。
[9]
前記カソード導電性層は、カソード層よりも多くの自由酸化物を離溶するよう構成された、項目8に記載の燃料電池システム。
[10]
前記カソードが、還元触媒として、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう機能する、項目8に記載の燃料電池システム。
[11]
前記カソード導電性層の外表面上に堆積した更なる層を更に含んで、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉し、前記更なる層は、前記燃料電池にいかなる必要な電子伝導機能も提供しない、項目1に記載の燃料電池システム。
[12]
第三の層の組成が、前記Cr蒸気種と反応するアルカリ土類金属又は希土類元素の少なくとも1つを含む、項目11に記載の燃料電池システム。
[13]
燃料電池システムを形成することを含む方法であって、前記燃料電池システムは:
カソードと;
前記カソードに隣接するカソード導電性層と;
前記カソードによって前記カソード導電性層から分離されている電解質と;
前記電解質によって前記カソードから分離されているアノードと
を含み、
前記アノード、前記カソード導電性層、前記カソード、及び前記電解質は、電気化学的電池を形成するよう構成されており、前記カソード導電性層は、前記燃料電池システム内に存在するCr蒸気種を捕捉するよう構成された離溶酸化物を含む、方法。
[14]
前記カソード導電性層が、A−サイト欠損を有するLSM材料から形成されており、前記離溶酸化物が、前記燃料電池の作動の間にLSMの平衡濃度から生ずるマンガン酸化物溶離物を含む、項目13に記載の方法。
[15]
前記離溶酸化物が、前記Cr蒸気種と反応することによって、カソード気体流から前記Cr蒸気種を捕捉する、項目13に記載の方法。
[16]
前記離溶酸化物が、アルカリ土類酸化物を含む、項目13に記載の方法。
[17]
前記カソード導電性層は、前記離溶酸化物の材料以外の、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう構成された更なる材料を含む、項目13に記載の方法。
[18]
前記更なる材料が、アルカリ土類酸化物を含む、項目17に記載の方法。
[19]
前記カソード導電性層が、プライマリ伝導経路として、前記燃料電池システム内に存在する前記Cr蒸気種を捕捉するよう機能する、項目13に記載の方法。
[20]
カソードと;
前記カソードに隣接するカソード導電性層と;
前記カソードによって前記カソード導電性層から分離されている電解質と;
前記電解質によって前記カソードから分離されているアノードと
を含む、燃料電池システムであって、
前記アノード、前記カソード導電性層、前記カソード、及び前記電解質は、電気化学的電池を形成するよう構成されており、前記カソード導電性層又は前記カソードの少なくとも1つは、前記燃料電池システム内に存在するCr蒸気種を捕捉するよう構成された離溶酸化物を含み、前記カソード導電性層は、A−サイト欠損を有するLSM材料から形成されており、前記離溶酸化物は、前記燃料電池の作動の間にLSMの平衡濃度から生ずるマンガン酸化物溶離物を含む、燃料電池システム。