特許第6511504号(P6511504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6511504導体セグメントを製造する方法、電気機械を製造する方法、および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511504
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】導体セグメントを製造する方法、電気機械を製造する方法、および装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/38 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
   B21B1/38 A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-228631(P2017-228631)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-89694(P2018-89694A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2017年11月29日
(31)【優先権主張番号】10 2016 123 069.3
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】マルテ イエンシュ
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−317636(JP,A)
【文献】 特開2006−014530(JP,A)
【文献】 特開平08−257612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00,1/16,1/38,3/00
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さの導体セグメントを製造する方法であって、以下の特徴:
− 銅バーが、回転している第1のワークロール(11、21、31)と、前記ワークロールとは反対の方向に回転している第2のワークロール(12、22、32)とを通して所定の移動方向に通過することと、
− 前記第1のワークロール(11、21、31)とは反対の方向に回転する少なくとも1つの第1のバックアップロール(13、23、33)が、前記移動方向に対して垂直に向けられた調整可能な第1の力(Fa2)で、前記第1のワークロール(11、21、31)を前記銅バーに押し当てることと、
− 前記第2のワークロール(12、22、32)とは反対の方向に回転する少なくとも1つの第2のバックアップロール(14、24、34)が、前記第1の力(Fa2)とは反対に向けられた調整可能な第2の力(Fb2)で、前記第2のワークロール(12、22、32)を前記銅バーに押し当てることと、
− 前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)が、前記導体セグメントの長さに沿って変化する厚さを前記バーに付与するように、前記第1の力(Fa2)および前記第2の力(Fb2)が調整されることと
− 好ましくは、前記銅バーが前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)を通過する前に、誘導加熱器(15)が前記銅バーを加熱すること
によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
以下の特徴:
− 設定可能な第3の力(Fa1)が前記第1のワークロール(11、21、31)のピボットベアリングに作用することと、
− 設定可能な第4の力(Fb1)が前記第2のワークロール(12、22、32)のピボットベアリングに作用することと、
− 前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)が、前記導体セグメントの長さに沿って変化する湾曲を前記バーにさらに付与するように、前記第3の力(Fa1)および前記第4の力(Fb1)が調整されることと
によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の特徴:
− 前記第1のバックアップロール(13、23、33)が、前記第1のワークロール(11、21、31)に対して設定可能な第1の設定角(α)で配置されることと、
− 前記第1のワークロール(11、21、31)が、前記移動方向に対して設定可能な第2の設定角(β)で配置されることと、
− 前記第2のワークロール(12、22、32)が、前記移動方向に対して設定可能な第3の設定角(γ)で配置されることと、
− 前記第2のバックアップロール(14、24、34)が、前記第2のワークロール(12、22、32)に対して設定可能な第4の設定角(δ)で配置されることと、
− 前記湾曲が所定の形状を有するように、前記第1の設定角(α)、前記第2の設定角(β)、前記第3の設定角(γ)、および前記第4の設定角(δ)が調整されることと
によって特徴付けられる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
以下の特徴:
− 前記第1の力(Fa2)が、前記第1のバックアップロール(13、23、33)での距離測定によって調整されることと、
− 前記第2の力(Fb2)が、前記第2のバックアップロール(14、24、34)での距離測定によって調整されることと
によって特徴付けられる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
直線状の銅バーを使用して電気機械を製造する方法(40)であって、以下の特徴:
− 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法でロールによって前記導体セグメントを輪郭形成する(53)ことと、
− 好ましくは、前記導体セグメントをエナメル絶縁する(54)ことと、
− 好ましくは、前記導体セグメントを長さに切断する(55)ことと、
− 前記導体セグメントを曲げる(56)ことと、
− 好ましくは、前記導体セグメントを絶縁する(57)ことと、
− 前記導体セグメントをステータスロットに挿入する(58)ことと
によって特徴付けられる方法。
【請求項6】
リール(59)からの銅バーを使用して電気機械を製造する方法(50)であって、以下の特徴:
− 前記リール(59)から前記銅バーを繰り出す(51)ことと、
− 前記銅バーを直線にする(52)ことと、
− 請求項に記載の方法で前記機械を製造することと
によって特徴付けられる方法。
【請求項7】
好ましくは、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法で導体セグメントを製造する装置(10、20、30)であって、以下の特徴:
− 回転可能に取り付けられた第1のワークロール(11、21、31)と、
− 前記第1のワークロール(11、21、31)から圧延ギャップだけ隔てられる、回転可能に取り付けられた第2のワークロール(12、22、32)と、
− 前記圧延ギャップとは反対の側で前記第1のワークロール(11、21、31)に当接する第1のバックアップロール(13、23、33)と、
− 前記圧延ギャップとは反対の側で前記第2のワークロール(12、22、32)に当接する第2のバックアップロール(14、24、34)と、
− 前記第1のワークロール(11、21、31)の方に向けられた第1の力(Fa2)を前記第1のバックアップロール(13、23、33)に加える第1のレギュレータと、
− 前記第2のワークロール(12、22、32)の方に向けられた第2の力(Fb2)を前記第2のバックアップロール(14、24、34)に加える第2のレギュレータと、
− 前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)が、前記導体セグメントの長さに沿って変化する厚さを前記バーに付与するように構成されている、前記第1のレギュレータおよび前記第2のレギュレータに接続されたアジャスタと
によって特徴付けられる装置(10、20、30)。
【請求項8】
以下の特徴:
− 前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)が所定の湾曲を前記バーにさらに付与するような輪郭を前記ワークロール(11、12、21、22、31、32)が有すること
によって特徴付けられる、請求項に記載の装置(10、20、30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体セグメント(a conductor segment)を製造する方法に関する。本発明は、電気機械を製造するための対応する装置および対応する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
電気工学において、コイル巻線技術という総称は、導電体を巻いてコイルにする任意の態様および方法を意味すると解釈される。この場合、「コイル」は、単に独立した誘導受動素子に過ぎないと解釈すべきでなく、むしろ、これに関連して、この用語は、磁界を発生させるまたは検出するのに適したすべての巻線および巻線材料を含む。アクチュエータの、特に回転電気機械のステータおよびロータの巻線も同様に、以下の本文において、このさらに広い意味の範囲内のコイルとして示される。
【0003】
したがって、巻線技術は、基本的に、巻線を有する電気機械アセンブリの特性を決める。これらの特性には、絶縁耐力、品質係数、特定の出力もしくは磁力に必要とされる大きさ、または漂遊磁界がある。先行技術において、エネルギ効率に関する要求事項が大幅に増えているため、電気モータなどの電気機械アセンブリ用の構成要素の開発に対する要求が特に高まっている。
【0004】
通常、ステータおよび/またはロータの巻線は、特に、一般的に直径が最大で2mmの比較的細い単一ワイヤを用いて巻かれ、この単一ワイヤは、手作業でまたは対応する巻線および引き入れ機械を使用してステータまたはロータの鉄の開口(スロット)に導入される。単一ワイヤではなくてバーをスロットに導入し、これらの単一バーを成形し、次に、バーの端部でバーを連結、例えば溶接して、連続する巻線を形成するのが公知の手順である。このために、先行技術では、特にヘアピン状の短いU字またはV字形状の単一セグメントが使用されるため、そのようなバー巻線は、当業者の間でヘアピン導体と呼ばれることがある。
【0005】
バー巻線は、単一ワイヤ巻線と比較して様々な利点をもたらす。単一ワイヤ巻線は、高度に自動化されたにもかかわらず、まだ、製造時に様々な手作業のステップを必要とするが、バー巻線は、完全自動式で製造することができる。この場合、バーは、通常、長方形断面を有し、スロット内で同じ断面のものにセグメント化されている。したがって、バー巻線は、密着させて詰め込んだ場合でさえ空の空間を残し、絶縁コーティングによる大きい空間損失をもたらす単一ワイヤよりも、スロットの効果的な利用を可能にする。スロットに銅をより多く詰め込んだ(銅充填率として公知である)結果として、より小さい設置空間でより大きい機械容量を達成することができる。単一ワイヤの場合、30%〜50%の充填率が一般的であるが、バー巻線では、80%を超えることさえ可能である。ヘアピンまたはバー導体の輪郭の明確な表面と、より大きい寸法とにより、バー間およびバーと鉄との間の両方でより信頼できる絶縁が可能である。絶縁の劣化は、最も重大な経年変化機構の1つであり、電気機械の寿命にとって重要である。U字形状のセグメントの場合、(特許文献1)で説明されているように、製造時に単一のセグメントを端部側からスロットに挿入することができ、その結果として、エアギャップに向かって接近した半開のスロットが実現可能であり、これは、ワイヤが連続する単一ワイヤ巻線では困難であり、不可能なことさえある。バー巻線を用いた電気機械が高速で動作する場合、高周波効果のために電気機械の損失が大きくなる。
【0006】
(特許文献2)は、電気機械のステータ巻線について記載しており、様々な断面の巻線がスロット内に設けられる。その場合、断面のより小さい巻線が、断面のより大きい巻線よりも遠くに配置されるのが好ましい。
【0007】
(特許文献3)は、半径方向に配置された長方形断面の導体セグメントで構成されるステータ巻線を有する電気機械について記載している。
【0008】
(特許文献4)は、長方形断面の複数の巻線を含むステータ巻線を有する電気機械について記載している。その場合、各巻線は2つの部分からなり、巻線の内側部分が、隣接しないスロット内の巻線の外側部分に接続される。
【0009】
(特許文献5)は、複数の線束で構成されるステータ巻線を有する電気機械について記載しており、線束の断面は形状自在である。その場合、線束は、隣接する線束に接触するように配置される。
【0010】
(特許文献6)は、複数のコイル導体で構成されたステータ巻線を有する電気機械について記載している。その場合、コイル導体は、様々な断面を有することができ、特に、湾曲した断面有することもできる。
【0011】
(特許文献7)は、半径方向に配置され、位置に応じて断面が変化する複数の巻線を有する電気機械用のステータについて記載している。
【0012】
(特許文献8)および(特許文献9)は、電気機械用のステータ巻線に関する別の先行技術を示している。
【0013】
複数の異なる形状の導体バーが電気機械に必要になると直ちにそれらの導体バーをメーカから調達するのは、そのときの各形状の導体の量はより少量であることから不利であることが多い。その代わりとして、機械の製造プロセス時、直線に並んだ単一の素材から現場で製造するのが望ましい。
【0014】
原理的に、動的圧延は先行技術から公知である。例えば、(特許文献10)は、金属ストリップの自在圧延方法について記載および図解しており、圧延プロセス時に金属ストリップが案内されて、2つのワークロール間に形成された圧延ギャップを通り抜け、圧延ギャップは、金属ストリップの長さに沿って異なるストリップ厚さを得るために圧延作業時に意図的に変化する。その結果、特に金属ストリップを平坦にするために、圧延ギャップの各設定作業時または各設定作業の直後に、設定された圧延ギャップに応じてワークロールの弾性曲線を制御するという点で、比較的幅の広いストリップの場合でさえ、金属ストリップの良好な平面度を得ることが意図される。
【0015】
しかし、そのような方法は、金属ストリップの圧延にほぼ専用に用意される。湾曲およびストリップに沿った材料厚さのむらは通常望ましくない。材料を節約する方法で構成要素を製造するために、一部分を故意に薄くすることによる意図的で局所的な材料の弱体化のみが、専門家による文献で提案されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第8,330,318号明細書
【特許文献2】特開2011−147312号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0,207,284A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0,025,660A1号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012/0,274,172A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2015/0,311,757A1号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2016/0,013,692A1号明細書
【特許文献8】米国特許第5,801,471A号明細書
【特許文献9】米国特許第6,252,327B1号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第1 074 317A2号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、独立請求項による導体セグメントを製造する方法および対応する装置を提供する。
【0018】
本発明による手法は、異なる断面のセグメント、または異なる断面の副部を有するセグメントを使用する際の主要な問題が標準プロセスとの適合性であるという発見に基づくものである。さらに、特に長方形でない断面を有するセグメントの場合、標準セグメントを使用することができない。したがって、ステータへの取付けの前に、セグメントを製造ラインで現場成形することはきわめて有益である。先行技術に従って断面を圧延することで、必要とされる断面を有する標準バーが相応して形成される。この圧延プロセスは、冷間状態または銅片の(融点未満への)誘導加熱によって支援された方法のいずれかで行うことができる。
【0019】
横方向の変形は、先行成形技術による付加的なロールで相応して起こることがある。導体セグメントの厚さに比較して比較的幅の狭い導体セグメントの場合、標準ロールは、使用圧力下で大きい曲がりを示すと想定すべきであり、これは不規則な圧延結果をもたらす。(通常、反対方向に回転する)2つのロールを導体セグメントの走行方向に対して調整することで、曲がりに対する対策を講じることができる。この効果は、セグメントの上面および下面に様々な湾曲を形成するための自由度として意図的に使用することができるが、この効果は、きわめて不十分にのみ調整することができる。
【0020】
このために、本発明は、少なくとも4つのロールを用いた機構(加工)を提案し、2つのロールは、ニップロールまたはバックアップロールによって必要な使用圧力を付与され、連続的に制御可能な力で湾曲部に押し当てられるワークロールとして機能する。
【0021】
本発明によれば、導体セグメントの形成は、大きい材料損失なしにこのように行うことができ、これは、銅が高価であることから大きい利点である。製造プロセスに対応するために、本発明は、短いプロセス時間によっても特徴付けられ、これは、少なくとも1つの機械に必要なすべての導体セグメントを1サイクルで製造する(1.5〜3分で約150〜300セグメント)ことを可能にする。提案する方法はさらに、以下の製造物:長方形断面を有し、(一定幅または固定幅で)少なくとも厚さが可変の(一体のまたはバーの)導体セグメントと、異なる曲率および厚さを有する導体セグメントと、その長さに沿って(連続的に)変化する形状を有する導体セグメントとを製造することができる。
【0022】
本発明のさらに有益な構成が従属請求項に明示される。すなわち、望ましくない湾曲は、好ましくは反対方向に回転する2つのワークロールおよび/または付加的なニップロールの設定角によって修正することができる。圧延ステップの前に加熱(好ましくは誘導加熱)することにより、材料の硬度(弾性係数Eおよび粘弾性η)と、(特に変形が大きい場合の)成形後の枠組品質(grating quality)とを調整することができる。
【0023】
導体セグメントの異なる曲率は、例えば、ワークロールの反対輪郭(a negative profile)を用いて形成することができる。しかし、各異なるセグメントに対して対応する別の反対形状(negative form)がワークロールに必要である。あるいは、各導体セグメントの3つの主要な自由度 − すなわち、導体セグメントの厚さ、上面の曲率、および下面の曲率 − は、以下のパラメータ:ロールの接触圧と、上部ワークロールの設定角と、下部ワークロールの設定角と、任意選択で、ワークロールに押し当てた付加的ニップロールの設定角との調整により、連続的に設定および調整することができる。この問題解決策と上記のパラメータの適切な調整とにより、直ちに明らかになるように、長さに沿って(連続的に)変化する形状を有する導体セグメントを製造することも可能である。
【0024】
本発明の例示的な実施形態が図面に示され、以下の本文でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】導体セグメントを製造中の第1の装置の側面図を示す。
図2】第2の装置の斜視図を示す。
図3図2に対応する第3の装置の斜視図を示す。
図4】本発明による第1の方法を概略的に示す。
図5】本発明による第2の方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、導体セグメントを製造するための本発明による装置(10)を示す。この場合、図示した装置(10)は、回転式の第1のワークロール(11)と、圧延ギャップだけ第1のワークロール(11)から隔てられる、第1のワークロールとは反対の方向に回転する第2のワークロール(12)とを含む。同様に、第1のワークロール(11)とは反対の方向に回転し、圧延ギャップとは反対の側で第1のワークロール(11)に当接する第1のバックアップロール(13)は、ワークロール(11、12)を通過する銅バーの移動方向(図によると水平方向)に垂直な方向に第1のワークロール(11)を前記銅バーに押し当てる。第2のバックアップロール(14)も同様であり、第2のバックアップロール(14)は、第2のワークロール(12)と反対の方向に回転し、圧延ギャップとは反対の側で第2のワークロール(12)に当接する。
【0027】
この場合、レギュレータ(図示せず)が、図によると上から第1のワークロール(11)に向かい、図によると下から第2のワークロール(12)に向かう機械力を第1のバックアップロール(13)および第2のバックアップロール(14)に加えるため、バックアップロール(13、14)は、銅バーの移動方向に対して垂直に向けられた設定可能な力でワークロール(11、12)を銅バーに押し付ける。このために、第1のレギュレータおよび第2のレギュレータに接続されたアジャスタ(同様に図示せず)は、ワークロール(11、12)が、圧延ギャップから出た導体セグメントに、導体セグメントの長さに沿って変化する所望の厚さを付与するように構成されている。さらに、ワークロール(11、12)は、さらに、導体セグメントに所定の曲率をさらに付与するような(図1では認識できない)輪郭を有する。
【0028】
誘導加熱器(15)は、銅バーがワークロール(11、12)を通過する前に、銅バーを加工温度まで加熱し、加工温度は、約200℃の銅バー再結晶化温度を超えるが、約1085℃の銅バー融点未満である。
【0029】
図2は、この場合、200℃未満の温度で冷間ロールとして機能する対応する装置(20)を示す。
【0030】
図3は、第3の装置(30)を使用して導体セグメントの形状および厚さを調整するための時間的に変化できる以下の8つのパラメータ(Fa1、Fa2、Fb1、Fb2、α、β、γ、δ)を図2の視点と同じ視点から示し、各パラメータは以下の通りである。
・厚さを設定するために第1のバックアップロール(33)に作用する第1の力(Fa2)。
・厚さを設定するために第2のバックアップロール(34)に作用する第2の力(Fb2)。
・図によると、上面の曲率(および厚さ)を設定するために第1のワークロール(31)の懸架点に作用する第3の力(Fa1)。高い圧力が曲率を大きくする。
・図によると、下面の曲率(および厚さ)を設定するために第2のワークロール(32)の懸架点に作用する第4の力(Fb1)。この場合にも高い圧力が曲率を大きくする。
・図によると、上面の曲率を設定するための第1のバックアップロール(33)の第1の設定角(α)。第1のワークロール(31)に対する設定角(α)を小さくすることで上面の曲率が小さくなる。
・図によると、上面の曲率を設定するための第1のワークロール(31)の第2の設定角(β)。設定角(β)を小さくすることで凸状の曲率が生じ、設定角(β)を大きくすることで凹状の曲率が生じる。
・図によると、下面の曲率を設定するための第2のワークロール(32)の第3の設定角(γ)。同様に、設定角(γ)を小さくすることで凸状の曲率が生じ、設定角(γ)を大きくすることで凹状の曲率が生じる。
・図によると、下面の曲率を設定するための第2のバックアップロール(34)の第4の設定角(δ)。第2のワークロール(34)に対する設定角(δ)を小さくすることで下面の曲率が小さくなる。
【0031】
本発明による電気機械の製造方法(40)が、図4を参照して以下に説明される。開始点は、ロールによる導体セグメントの上記の輪郭形成(43)によって構成される。圧延ステップ(43)に続いて、(例えば、好ましくはIEC 60317に準拠して、ポリイミドまたはポリウレタンを用いた)導体面のエナメル絶縁(44)が施され、このエナメル絶縁は、(図4には再現していない)焼き付けステップと統合することができる。これに続いて、任意選択で、こうして得られた導体セグメントを長さに切断する(45)。導体セグメントを曲げた(46)後、任意選択で、機械のロータスロットまたはステータスロットに導体セグメントを挿入する(48)前に、さらに絶縁を施す(47)ことが可能である。
【0032】
この実施形態は、実質的に直線状の銅バーの使用を前提としているが、図5による方法(50)は、本発明による概念をリールからのバーに拡張している。この場合、銅バーは、準備段階において、ロールによる輪郭形成(53)のために供給される前に繰り出されて(51)直線にされる(52)。残りの方法ステップ(54、55、56、57、58)は、図4による方法(40)のステップとほとんど同じである。
【符号の説明】
【0033】
11 第1のワークロール
12 第2のワークロール
13 第1のバックアップロール
14 第2のバックアップロール
21 第1のワークロール
22 第2のワークロール
23 第1のバックアップロール
24 第2のバックアップロール
31 第1のワークロール
32 第2のワークロール
33 第1のバックアップロール
34 第2のバックアップロール
a2 第1の力
b2 第2の力
図1
図2
図3
図4
図5