(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511512
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】衝撃パッド、タンディッシュ、衝撃パッドを備える装置およびそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/10 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
B22D11/10 310G
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-508060(P2017-508060)
(86)(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公表番号】特表2017-535430(P2017-535430A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015045513
(87)【国際公開番号】WO2016025948
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】62/037,949
(32)【優先日】2014年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512037288
【氏名又は名称】アルセロルミタル・インベステイガシオン・イ・デサロジヨ・エセ・エレ
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリヤ、タターガタ
【審査官】
坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/094584(WO,A1)
【文献】
特開平10−175046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10,41/00,41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面を有するベースを備え、当該ベース面が頂点を形成する円すい形の衝撃面エリアを含み、
側壁を備え、
前記側壁に対して内側に延びるトップ壁であって前記頂点の上に間隔を空けて前記頂点を中心として配置される開口を形成する内側エッジで終わるトップ壁を備え、当該トップ壁が前記円すい形の衝撃面エリアに向けて半径方向内側におよび下方に傾斜する縁を含む、
ことを特徴とするタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項2】
前記側壁が前記ベース面の半径方向外側に連続した側壁内面を含み、
前記トップ壁が下面を含み、当該下面が前記ベース面および前記連続した側壁内面とともに集合的に溶鋼のレードルから流れ込む流れの乱流を低減するために構成される連続した環状チャンバーを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項3】
前記ベース面が、更に、前記円すい形の衝撃面エリアと前記連続した側壁内面との間に第1の平らな環状エリアを有し、
前記トップ壁が、前記連続した側壁内面と前記縁との間に延びる第2の平らな環状エリアを有し、
前記第1と第2の平らな環状エリアが、お互いから離れて配置され、かつお互いに平行な面内に延びる、
ことを特徴とする請求項2に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項4】
前記円すい形の衝撃面エリアが、前記頂点を通る軸について回転対称であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項5】
前記円すい形の衝撃面エリアが、直線状の輪郭を有することを特徴とする請求項4に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項6】
前記円すい形の衝撃面エリアが、前記円すい形の衝撃面エリアの外周が位置する水平面から前記円すい形の衝撃面エリアが位置する傾いた面に対して測定された円すい角を約15度から約25度までの範囲で有することを特徴とする請求項5に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項7】
前記縁が、水平面から前記縁の縁下面に対して測定された下向きの縁角を約20度から約25度までの範囲で有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項8】
前記トップ壁が下面を含み、当該下面が前記ベース面および前記連続した側壁内面とともに集合的に約30mmの湾曲の半径を有する連続した環状チャンバーを形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項9】
更に、縁の下面エリアに分布する突起部を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項10】
前記突起部が、形状において半球状であることを特徴とする請求項9に記載のタンディッシュ衝撃パッド。
【請求項11】
レードルから流れ込む流れによって流体の流れが生じる溶鋼の容器を有する連続鋳造機タンディッシュと、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のタンディッシュ衝撃パッドと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
ベース面を有するベースを備え、当該ベース面が頂点を形成する円すい形の衝撃面エリアを含み、側壁を備え、当該側壁に対して内側に延びるトップ壁であって前記頂点の上に間隔を空けて前記頂点を中心として配置される開口を形成し、レードルから流れ込む流れを受けるために配置された内側エッジで終わるトップ壁を備え、当該トップ壁が前記円すい形の状衝撃面エリアに向けて半径方向内側におよび下方に傾斜する縁を含むタンディッシュ衝撃パッドを有する連続鋳造機タンディッシュの中に溶鋼のレードルから流れ込む流れを供給するステップと、
前記円すい形の衝撃面エリアに対して溶鋼のレードルから流れ込む流れを衝突させるステップと、
前記開口を通って前記タンディッシュ衝撃パッドから前記衝突した溶鋼を放出することができるようにするステップと、
を備えることを特徴とするストランド鋳造方法。
【請求項13】
前記側壁が前記ベース面の半径方向外側に連続した側壁内面を含み、
前記トップ壁が下面を含み、当該下面が前記ベース面および前記連続した側壁内面とともに集合的に溶鋼のレードルから流れ込む流れの乱流を低減するために構成される連続した環状チャンバーを形成する、
ことを特徴とする請求項12に記載のストランド鋳造方法。
【請求項14】
前記ベース面が、更に、前記円すい形の衝撃面エリアと前記連続した側壁内面との間に第1の平らな環状エリアを有し、
前記トップ壁が、前記連続した側壁内面と前記縁との間に延びる第2の平らな環状エリアを有し、
前記第1と第2の平らな環状エリアが、お互いから離れて配置され、かつお互いに平行な面内に延びる、
ことを特徴とする請求項13に記載のストランド鋳造方法。
【請求項15】
前記円すい形の衝撃面エリアが、前記頂点を通る軸について回転対称であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項に記載のストランド鋳造方法。
【請求項16】
前記円すい形の衝撃面エリアが、直線状の輪郭を有することを特徴とする請求項15に記載のストランド鋳造方法。
【請求項17】
前記円すい形の衝撃面エリアが、前記円すい形の衝撃面エリアの外周が位置する水平面から前記円すい形の衝撃面エリアが位置する傾いた面に対して測定された円すい角を約15度から約25度までの範囲で有することを特徴とする請求項16に記載のストランド鋳造方法。
【請求項18】
前記縁が、水平面から前記縁の縁下面に対して測定された下向きの縁角を約20度から約25度までの範囲で有することを特徴とする請求項12ないし17のいずれか1項に記載のストランド鋳造方法。
【請求項19】
前記トップ壁が下面を含み、当該下面が前記ベース面および前記連続した側壁内面とともに集合的に約30mmの湾曲の半径を有する連続した環状チャンバーを形成することを特徴とする請求項12ないし18のいずれか1項に記載のストランド鋳造方法。
【請求項20】
更に、縁の下面エリアに分布する突起部を含むことを特徴とする請求項12ないし19のいずれか1項に記載のストランド鋳造方法。
【請求項21】
前記突起部が、形状において半球状であることを特徴とする請求項20に記載のストランド鋳造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンスと優先権の主張
本出願は、2014年8月15日に出願された米国仮出願第62/037,949号に基づく優先権を主張する。その開示全体が参照によってここに統合される。
【0002】
本発明は製鋼で使用される衝撃パッドに関し、特に連続鋳造機タンディッシュに供給される溶鋼のレードルからの流れによって生じる乱流と湯面の混乱を低減するために採用されるタンディッシュ衝撃パッドに関する。本発明は、更に、衝撃パッドを含むタンディッシュと装置、および衝撃パッドとタンディッシュと装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鋼鉄鋳造機は連続鋳造を実行するための装置であり、また、連続鋳造は当技術分野でストランド鋳造として言及される。連続鋳造は、製鋼炉からレードルに溶鋼を移すことを含む。溶鋼はタンディッシュとして言及される容器または器の中に延びるレードルの覆い(また、レードル覆いとして言及される)を通ってレードルから供給される。一般的に、溶鋼はタンディッシュに含まれる溶鋼湯の中に連続または半連続の液体の流れで供給される。一般的に、タンディッシュは中断または望ましくない停止時間なしに鋳造機のモールドの中に溶鋼を供給することができる容器としての役割を持つ。過度の酸化のような望ましくない化学反応、および浮遊微小粒子からタンディッシュの中の溶鋼を保護するために、保護用スラグ覆い/層または”フラックス”が溶鋼湯面に生じることが許される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国再発行特許35,685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最新の高品質鉄鋼製品の表面に対する要求と清潔基準は、不純物と化学変化のとても狭い許容範囲を許す。不純物と化学変化は、しばしばタンディッシュに供給される溶鋼のレードルから流れ込む流れによって作られる乱流の結果である。レードル覆いからの溶鋼を受けるためのタンディッシュのある設計は、乱流のような好ましくない流体の流れの状態に導き、自由表面流の活発な活動を促進する。例えば、レードルからの流れ込みによって生じる流体の流れは、平らなタンディッシュの床と側壁から溶鋼の表面に反映されることができる。この流体の流れは、乱れた沸騰の動き、大きな波の動き、溶鋼湯面での跳ね上げを引き起こす。
【0006】
例えば、
図10は非対称な流体の流れ9aを持つ単一ストランドタンディッシュ1の縦断面図を示す。レードル覆い7が、(
図10と11に示されていない)噴出ブロックに向かい合って端壁3に隣接して示される。流体モデルの研究は、レードル覆い7から流れ込む流れ8によって生じる流体の流れがタンディッシュの床4から上方の溶鋼の表面の方に向かうことを示した。この流体の流れがタンディッシュの壁2と3によって制限されるならば、その制限された流体の流れはそのような壁2,3の表面に沿って上方に強制される。この上方への流れは循環パス9cに従い、端壁3の表面に沿って上方に急上昇し、レードル覆い7の回りで下向きに流れる。循環流9cの上方への急上昇は、湯面に過度の乱流を生じる。タンディッシュにおけるこれらの自由表面の活発な活動は、”オープンアイ”と呼ばれる現象を生じさせる。オープンアイによって溶鋼湯の最上部において保護用スラグ覆い6が壊される。壊れたスラグ覆い6は、溶鋼を周囲の空気にさらし、溶鋼湯の化学的性質を変えて溶鋼湯の中に含有物を作ることにつながる状態を生じる。一般的に、化学変化は溶鋼湯からのアルミニウムの損失および/または溶鋼湯における酸素と窒素の吸収および結果として生じる表面の再酸化を含む。再酸化と他の望まれない反応は、例えば溶鋼湯の中に過度のアルミニウム、硫化マンガンおよび硫化カルシウムを導入することができる。更に、レードル覆い7の回りの下向きの流れは、ずれと渦を生じ、壊れたスラグ覆い6から壊れた粒子10をとらえて溶鋼湯の中に引き込む。これらの壊れた粒子10は、最終的に溶鋼と共にタンディッシュから放出され、完成した鉄鋼製品内に含有物を作る。
【0007】
化学変化と含有物は最終的に鉄鋼品質を低下させる。これらはHICと装甲板品質等級のような高価値鉄鋼品質等級の直接の廃棄原因である。更に、タンディッシュの壁に対する高温の溶鋼の跳ね上げは、操作員に対する安全上の問題を生じる可能性がある。従来の装置を使うと、また、溶鋼湯の温度の均一性の欠如と不十分な滞留時間に関して問題が生じ、含有物粒子が保護用スラグ覆いに浮かぶ可能性がある。そして、それらの粒子は溶鋼から遊離および/または分離する可能性がある。
【0008】
完成した鉄鋼製品の品質を改善するために連続鋳造機のタンディッシュ内で表面乱流を削減または除去するための様々な試みがあった。これらの試みは、レードルから流れ込む流体の流れを溶鋼湯の表面から離れた方向に変えるダムと堰の広い取り合わせを含む。いくつかの公知の流体の流れのコントロール装置は流体の流れを制御して表面の乱流を削減することにやや成功したけれども、そのようなコントロール装置は高品質鉄鋼の要求に対して不十分であり、および/または上述した装置のように運用の問題を生じる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、タンディッシュ衝撃パッドが頂点を形成する円すい
形の衝撃面エリアを持ったベース面を有するベースと、側壁と、前記側壁に対して内側に延びるトップ壁であって前記頂点の上に間隔を空けて前記頂点を中心として配置される開口を形成する内側エッジで終わるトップ壁とを特徴とすることが提供される。前記トップ壁は、前記円すい
形の衝撃面エリアに向けて半径方向内側におよび下方に傾斜する縁を含む。
【0010】
本発明の第2の態様は、レードルから流れ込む流れによって流体の流れが生じる溶鋼の容器を有する連続鋳造機タンディッシュと、当該連続鋳造機タンディッシュの中のタンディッシュ衝撃パッドとを特徴とする装置を提供する。タンディッシュ衝撃パッドは、頂点を形成する円すい
形の衝撃面エリアを持ったベース面を有するベースと、側壁と、前記側壁に対して内側に延びるトップ壁であって前記頂点の上に間隔を空けて前記頂点を中心として配置される開口を形成する内側エッジで終わるトップ壁とを備える。前記トップ壁は、前記円すい
形の衝撃面エリアに向けて半径方向内側におよび下方に傾斜する縁を含む。
【0011】
本発明の第3の態様は、タンディッシュ衝撃パッドの開口を通ってタンディッシュの容器の中に流れることができるようになる前に、溶鋼のレードルから流れ込む流れが連続鋳造機タンディッシュの中に供給されてタンディッシュ衝撃パッドの円すい
形の衝撃面エリアに衝突するストランド鋳造方法または溶鋼処理方法を提供する。タンディッシュ衝撃パッドは、ベース面を有するベースと、側壁と、前記側壁に対して内側に延びるトップ壁であって前記円すい
形の衝撃面エリアの頂点の上に間隔を空けて前記頂点を中心として配置される開口を形成する内側エッジで終わるトップ壁とを備える。前記トップ壁は、前記円すい
形の衝撃面エリアに向けて半径方向内側におよび下方に傾斜する縁を含む。
【0012】
ここに記載される態様の各々の実施形態に従って、タンディッシュ衝撃パッドのトップ壁は前記ベース面および連続した側壁の内面とともに集合的に溶鋼のレードルから流れ込む流れの乱流を低減するために構成される連続した環状チャンバーを形成する下面を特徴とする。
【0013】
上記態様の他の実施形態に従って、前記円すい
形の衝撃面エリアは、前記頂点を通る軸であって前記円すい
形の衝撃面エリアが回転対称である軸を有する。
【0014】
上記態様の更に他の実施形態に従って、前記円すい
形の衝撃面エリアは直線状の輪郭を有する。
【0015】
上記態様の更なる実施形態に従って、前記円すい
形の衝撃面エリアは、前記円すい
形の衝撃面エリアの外周が位置する水平面から前記円すい
形の衝撃面エリアが位置する傾いた面に対して測定された円すい角を約15度から約25度までの範囲で有する。
【0016】
上記態様の更なる実施形態に従って、前記縁は、水平面から前記縁の縁下面に対して測定された下向きの縁角を約20度から約25度までの範囲で有する。
【0017】
上記態様の他の実施形態に従って、連続した環状チャンバーは約30mmの湾曲の半径を有する。
【0018】
上記態様の更に他の実施形態に従って、突起部、例えば半球状の突起部は、縁
の下面エリアに分布する。
【0019】
上記実施形態は、お互いにいかなる組合せでも実施されることができる。
【0020】
本発明の他の態様と実施形態は、装置、組み立て品、デバイス、物品、製造方法、使用方法、プロセス、および本発明の一部を構成する同等のものを含み、以下に詳述される典型的な実施形態の説明を読むことで更に明白になるであろう。
【0021】
添付図面は、明細書に統合され、その一部を構成する。上述した一般的な説明および以下に記載される典型的な実施形態と方法の詳細な説明とともに、図面は本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る衝撃パッドを含む単一ストランド鋳造機タンディッシュの縦断面正面斜視図である。
【
図2】
図1の単一ストランド鋳造機タンディッシュの縦断面正面図である。
【
図3】
図1に示す実施形態の衝撃パッドの正面斜視図である。
【
図6】
図3−
図5の衝撃パッドの一部切り取り側面斜視図である。
【
図7】
図1と
図2の右側の矢印の方向から見た断面端図であり、衝撃パッドの中心の上に置かれたレードル覆いを通って流れ込む溶鋼の流れの概要を示す。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る衝撃パッドの断面図である。
【
図10】特許文献1に記載されている図であり、水流モデル研究タンディッシュの縦断面図である。
【
図11】特許文献1に記載されている図であり、
図10のXI−XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面に示される典型的な実施形態と方法が詳細に参照される。全ての図面を通して同様の符号は同様または対応する部分を示す。けれども、より広い態様において本発明は必ずしも具体的詳細、典型となる材料と方法、および典型的な実施形態と方法に関連して示される実例に制限されないことに注意すべきである。
【0024】
典型的な実施形態に係るストランド鋳造機のためのタンディッシュは、一般に
図1と
図2において符号10によって示される。ここでは単一ストランド鋳造機を示すが、本発明の実施形態は2段ストランドおよび他の多段ストランド鋳造機に関連して実施されることができることが理解されるべきである。異なる衝撃パッドを有してはいるが、多段鋳造機の配置例が特許文献1の
図10に示されている。タンディッシュ10は、タンディッシュ端壁12と14、タンディッシュ前側壁と後側壁(符号なし)、およびタンディッシュ床16を含む。タンディッシュ床16は、タンディッシュ端壁12と14、前側壁と後側壁の間に延び、それらに接続される(またはそれらと一体である)。タンディッシュ端壁12、14と床16は、集合的に溶鋼湯を受けて保持するためのチャンバーまたは容器18を形成する。タンディッシュ衝撃パッド20は、容器18の中に位置しており、例えば端壁14よりも端壁12に近い。レードル覆い22の底部がタンディッシュ衝撃パッド20の上に位置している。レードル覆い22は、衝撃パッド20の中にレードルから流れ込む溶鋼の流れ24(
図7)のためである。レードル覆い22は溶鋼湯の上端を貫通して示される。レードル覆い22の端部は、タンディッシュ衝撃パッド20の上に間隔を空け、その中心と同軸上に配置されている。溶鋼の流れと衝撃パッド20の構造と機能は以下で更に詳細に説明される。
【0025】
更に、
図1と
図2に示すように、タンディッシュ10は堰26を含む。堰26はタンディッシュ10を右と左(第1と第2)の区画18aと18bにそれぞれ分割する。右の区画18aの中にはタンディッシュ床16の上に衝撃パッド20がある。堰26の底は通路26aを含む。通路26aは右と左の区画18a、18bの中の溶鋼の間で流体の交換を可能にするためのものである。右の区画18aにおいて堰26とタンディッシュ衝撃パッド20の間にタンディッシュ床16の上に拡散部28が位置している。ダム30が左の区画18bの中のタンディッシュ床16に配置されている。ダム30は上向きに(右から左に流れる方向に)傾斜している円筒状の複数の通路30aを有する。ダム30に対して堰26の反対側に閉鎖ロッド32が放出部または噴出ブロック34と一直線に並べられている。放出部または噴出ブロック34を通って溶鋼がタンディッシュ10から放出される。閉鎖ロッド32の上方と下方への移動は、タンディッシュ10から、そして鋳造物(図示なし)への溶鋼の流出を制御する。
【0026】
タンディッシュ衝撃パッド20は、溶鋼の加工のための鋳造機タンディッシュにおける意図された使用に適した単一の材料または複数の材料で作られることができる。一般的に、そのような材料は高い衝撃抵抗と摩耗抵抗、高温に対する強さと耐熱性、および良好な可鍛性を有する。金属、セラミックス、およびセラミックコーティングを持った砂が適切な材料の例である。具体的な、しかし非制限的な例として、ナーコン70キャスタブル(Narcon 70 Castable)のような低水分および高アルミナ質キャスタブル組成物およびバーサフロー70Cプラス(Versaflow 70C Plus)のような粗い高アルミナ質低セメントキャスタブル組成物がタンディッシュ衝撃パッド20としての使用のために適切な耐熱性材料である。商品パンフレットによれば、ナーコン70キャスタブルは(か焼基準で)26.9%シリカ(SiO
2)、69.8%アルミナ(Al
2O
3)、1.7%チタニア(TiO
2)、0.8%酸化鉄(Fe
2O
3)、0.7%石灰(CaO)、および0.1%アルカリ(Na
2O)を含む。そして、バーサフロー70Cプラスは(か焼基準で)27.5%シリカ(SiO
2)、67.3%アルミナ(Al
2O
3)、2.1%チタニア(TiO
2)、1.2%酸化鉄(Fe
2O
3)、1.6%石灰(CaO)、0.1%酸化マグネシウム(MgO)および0.2%アルカリ(Na
2O+K
2O)を含む。タンディッシュ衝撃パッド20の本体部分は、レードルから流れ込む流れ24を受けてそれと接触するために浸食抵抗性コーティングを形成するように浸食抵抗性材料でコーティングされることができる。浸食抵抗性コーティングは、(ジルコニア、イットリア、炭化ケイ素のような)中間放射率材料、(アルミニウムとアルミナのような)高反射性材料、または(窒化ホウ素のような)高温、非酸化物潤滑材で作られることができる。
【0027】
図3−
図6に示す実施形態を参照して、タンディッシュ衝撃パッド20は(平面図または底面図に対して)円形のベース40を含む。ベース40は、最上部ベース面を含む。最上部ベース面は、円すい
形の衝撃面エリア42と、その円すい
形の衝撃面エリア42を同心円状に囲む隣接した環状ベース面エリア44とを有する。図示された実施形態では、円すい
形の衝撃面エリア42は先端を切り取られていない。随意に、円すい
形の衝撃面エリア42の最上部はわずかに丸くされているが、まだ円すい形状を保っている。
図5に最もよく示されているように、円すい
形の衝撃面エリア42は頂点または最高点46で終わるように上向きに延びる。円すい
形の衝撃面エリア42は、頂点46を通る想像上の軸Az(
図5)について回転対象である。図示された実施形態では、
図5に最もよく示されるように、円すい
形の衝撃面エリア42は直線状の輪郭または断面を有する。円すい
形の衝撃面エリア42の直線状の輪郭の底は外周48で終わる。外周48は、環状ベース面エリア44の半径方向に内側の端に隣接し、そこと接触している。円すい
形の衝撃面エリア42の直線状の輪郭の最上部は、軸Azと一致する頂点46に対応する点で終わる。環状ベース面エリア44は少なくとも部分的に平らであり、ベース40の底面40aに平行である水平面に位置する。
【0028】
図4に示すように、タンディッシュ衝撃パッド20は、更に側壁50を含む。側壁50は側壁内面52を有する。側壁内面52は、それ自体に連続して/終わりなく回り、上方から見るとき環帯として現れる。側壁50は、360度全体に渡って一様な厚さを有する。側壁内面52は、環状ベース面エリア44の外側に同心円状に位置しており、一般的に環状ベース面エリア44と垂直である。
図5の断面図に最もよく示されているように、側壁内面52は下部と最上部にそれぞれ湾曲推移エリア54,56を含む。湾曲推移エリア54,56はお互いに対象であることができる。下部の湾曲推移エリア54の端は、環状ベース面エリア44および側壁内面52と一致しており、それらと接触している。下部の湾曲推移エリア54は、ベース40と側壁内面52の間で連続的に曲がる。
【0029】
タンディッシュ衝撃パッド20は、更にトップ壁60を含む。トップ壁60は、最上部の湾曲推移エリア56から内側に延び、一般に側壁50に垂直であって内側エッジ62で終わる。最上部の湾曲推移エリア56は、側壁内面52とトップ壁60の間で連続的に曲がり、それらと一致して接触する曲線を成すアンダーカットとして構成される。内側エッジ62によって形成される開口64が、頂点46の上に間隔を空けて頂点46を中心として配置される。使用するとき、開口64は、レードルから流れ込む流れ24を受けるために、レードル覆い22の下にレードル覆い22と同軸に配置される。図示される実施形態において、開口64の直径は円すい
形の衝撃面エリア42の外周48の直径におおよそ等しいかまたはそれより小さい。
【0030】
トップ壁60は縁66を含む。縁66は、内側下方に曲げられ、内側エッジ62で終わる。トップ壁60は第1の下面エリア60aと第2の下面エリア(またここで、縁下面として言及される)66aを有する。第1の下面エリア60aは実質的に水平であって底面40aと平行に延びる。第2の下面エリア(縁下面)66aは縁66の底面に対応する。縁下面66aは、第1の下面エリア60aから円すい
形の衝撃面エリア42に向けて、半径方向内側におよび下方に傾斜する。
図4と
図5に最もよく示されるように、第1の下面エリア60aと縁下面66aは60bで連結する。
【0031】
ベース40、側壁50、およびトップ壁60は一体であること、すなわち単一の部品またはモノリシックの部分であることができる。あるいは、ベース40、側壁50、トップ壁60および/またはタンディッシュ10の他の部分は、一時的にまたは永続的に互いに結合される分離した部品で形成されることができる。円すい
形の衝撃面エリア42、環状ベース面エリア44、 連続した側壁内面52、 湾曲推移エリア54,56、および下面エリア60a,66aは、集合的に軸Azの回りに連続した環状チャンバーを形成し、その環状チャンバーは環状体の形であることができる。
【0032】
図7を参照すると、レードルから流れ込む流れ24としてレードル覆いまたは湯口22を通ってタンディッシュ10の中に溶鋼が導入される。開口64の直径Dmに対するレードル覆い22の内径の直径Djの比(Dj/Dm)は約0.3から約0,4の範囲において特に良好な結果を与えることが見い出された。典型的な実施形態において、レードル覆い22と開口64は互いに同軸上に一直線に並べられる。ここに記載される典型的な実施形態におけるデザインは、レードルから流れ込む流れ24を円すい
形の衝撃面エリア42に対して激突させる。円すい
形の衝撃面エリア42は、下部の湾曲推移エリア54と側壁内面52に向けて半径方向外側にレードルから流れ込む流れ24を変える。連続した環状チャンバーの形状は、溶鋼の流れをレードルから流れ込む流れ24に向かって反転した方向で戻るように強制し、乱流を減らし、溶鋼が衝撃パッド10から流れる前に溶鋼のエネルギーを消散させる。反転した流体の流れは開口64を通って上方に放出され、それから一般に実質的に層流としてタンディッシュ10の壁に向かってすべての方向において半径方向外側に流れる。レードル覆い22の直径よりも大きな直径の開口64を与えることによって、レードルから流れ込む流れ24と内側エッジ62の間に環状の上向きの流れが作られる。
【0033】
溶鋼は、第1の区画18aの中で開口64を出る。レードルから流れ込む流れの連続した流入と噴出ブロック34を通る溶鋼の放出とによって、区画18aの中の溶鋼が堰26の方向に堰の通路26aを通って流れる。堰の通路26aを通った後、噴出ブロック34を通って放出される前に、溶鋼はダム30を超えておよび/または円筒状の複数の通路30aを通って流れる。
【0034】
それ自体による溶鋼の流れの反転は自己制動効果を生じる。結果として、開口64を通って流出する溶鋼の流れは第1の区画18aにおいてより小さく乱れ、より少ないエネルギーを持つ。従って、上述した”オープンアイ”と跳ね上げの問題は著しく低減される。
【0035】
特に”オープンアイ”を抑えるために設計された典型的な実施形態では、円すい
形の衝撃面エリア42は、外周48が位置する水平面から円すい
形の衝撃面エリア42が位置する傾いた面に対して測定された円すい角Φ(
図5)を約15度から約25度までの範囲で有する。特に”オープンアイ”を抑えるために設計された他の典型的な実施形態では、縁66は、水平面から縁66の縁下面66aが位置する面に対して測定された下向きの縁角シータ(θ)を約20度から約25度までの範囲で有する。特に”オープンアイ”を抑えるために設計された他の典型的な実施形態では、連続した環状チャンバーは約30mmの湾曲の半径を有する。これらの典型的な実施形態は、別々に、またはいずれの組合せでもお互いに一緒に実施されることができる。衝撃チャンバーは、流れの制御に影響を及ぼすために、レードル覆いの内径以上の高さで与えられることができる。
【0036】
計算流体力学(CFD)のシミュレーションが上記パラメータに従って設計された衝撃パッドで実行された。エリア平均速度は溶鋼湯の最上部面の注入側における流れのアクティビティの測定であるが、それは平らな花弁状衝撃パッドと比べて本発明の実施形態を実施することで約50%低いことが計算される。また、”オープンアイ”形成の確率が同じ割台だけ低減されることが計算される。CFD解析では速度と面積がメッシュのセルとエリア平均速度に対して計算されるが、CFD解析を使ってエリア平均速度は次の通り計算される。:
【0038】
一般に、より大きなエリア平均速度はより多いタンディッシュフラックスの巻き込みとより低品質の鉄鋼に対応し、一方より小さなエリア平均速度はより少ないタンディッシュフラックスの巻き込みとより高品質の鉄鋼に対応することが見出される。従って、約50%のエリア平均速度の減少は、タンディッシュフラックスの巻き込みを著しく減少させ、より高品質の鉄鋼製品に導く。理論によって裏付けられなくとも、ここに記載される典型的な実施形態を使って得られる改善された品質は次の一つ以上に起因すると信じられる。:”自己制動”効果に起因する高速入力流と乱流の低減;開始時のより少ない跳ね上げと連続稼働;容器内での溶鋼のより長い滞留時間;不純物と粒子の浮揚の促進;およびもっと一様な容器温度。
【0039】
図8と
図9は、他の典型的な実施形態に係る衝撃パッドを示す。簡略にするために、以下の記述は
図8と
図9の典型的な実施形態と上述した他の典型的な実施形態の間の差に焦点を合わせる。同様な符号は、異なる典型的な実施形態における同様または対応する部分を示す。
【0040】
図8と
図9の典型的な実施形態では、突起部80が縁下面66aの回りに360度分布している。突起部80は、マトリックスパターンで、または不規則に分布して、または他の形で一様に分布することができる。図示された実施形態では、突起部80の外面は半球状である。けれども、突起部80は他の形状であってもよい。更に、突起部80はお互いに対して同一または異なる形状であってもよい。突起部80、特に半球状の突起部は、更に溶鋼の流れが開口64を通って衝撃パッド20を出るとき、流出する溶鋼の流れの速度を落とす。更にまたは代わりに、突起部80は衝撃パッドの内面上で他の所に配置されてもよい。
【0041】
上述のある典型的な実施形態の詳細な記載は、本発明とその実際の応用の原理を説明する目的のために与えられる。従って、その記載は当業者が様々な実施形態のために、および熟考された特定の使用に適合するような様々な修正を持って本発明を理解できるようにする。この記載は、必ずしも、網羅的であること、または本発明を開示された詳細な実施形態に制限することを意図しない。その説明は他の方法で達成されることができるもっと一般的なゴールを達成するための具体的な例を記述する。
【0042】
”〜のための手段”という用語を使う請求項は、米国特許法第112条第6項の下で解釈される。更に、これらの制限が請求項の中に明示的に含まれないならば、どの請求項でもその説明から制限は読まれない。