(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511529
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】軸受装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-541050(P2017-541050)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公表番号】特表2018-505645(P2018-505645A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】IB2016050549
(87)【国際公開番号】WO2016125092
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年9月7日
(31)【優先権主張番号】1501815.3
(32)【優先日】2015年2月4日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512285801
【氏名又は名称】プロティアン エレクトリック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ガレス ロバーツ
【審査官】
安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02484938(GB,A)
【文献】
特開平04−161045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪とステータ及びロータを有する電気モータ又は発電機とを車両に取り付ける軸受装置であって、前記軸受装置はシーリング素子と軸受ブロックとを備え、前記軸受ブロックは前記ロータの第1の半径方向壁及び前記車輪に結合する第1の結合素子と、前記ステータ及び/又は前記車両に結合する第2の結合素子とを含み、前記第1の結合素子と前記第2の結合素子が互いに相対的に回転し得るように前記第1の結合素子と前記第2の結合素子との間に第1のベアリングが装着され、前記第1の結合素子は取り付けフランジを含み、前記取り付けフランジは前記取り付けフランジを貫通するように構成されたボルト孔を有し、前記ロータ及び前記車輪を前記第1の結合素子に結合するボルトを前記ボルト孔の第1開口部で受け入れるように構成され、前記シーリング素子は前記ボルト孔を通って前記電気モータ又は発電機内に物質が進入するのを禁止するために前記ボルト孔の第2の開口部に装着されるように構成され、前記シーリング素子と前記取り付けフランジは、前記第2の開口部を覆う前記シーリング素子の取り付けを容易にするために相補キー係合部を含む、軸受装置。
【請求項2】
前記シーリング素子は、前記ボルト孔を通って前記電気モータ又は発電機内に塵及び/又は水が進入するのを禁止するために前記ボルト孔の第2の開口部に装着されるように構成されている、請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
前記シーリング素子は凹部を有する、請求項1又は2記載の軸受装置。
【請求項4】
前記シーリング素子はゴム製である、請求項1〜3の何れかに記載の軸受装置。
【請求項5】
前記シーリング素子と前記取り付けフランジとの間にシーリング化合物が設置されている、請求項1〜4の何れかに記載の軸受装置。
【請求項6】
前記取り付けフランジは、前記取り付けフランジを貫通するように構成された複数のボルト孔を含み、前記ロータ及び前記車輪を前記第1の結合素子に結合するそれぞれのボルトを前記ボルト孔の各々の第1開口部で受け入れるように構成され、前記ボルト孔を通って前記電気モータ又は発電機内に物質が進入するのを禁止するために複数のシーリング素子がそれぞれのボルト孔の第2の開口部に取り付けられるように構成されている、請求項1〜5の何れかに記載の軸受装置。
【請求項7】
前記複数のシーリング素子は互いに連結されている、請求項6に記載の軸受装置。
【請求項8】
前記複数のシーリング素子の各々はスプルーにより連結されている、請求項7記載の軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータ又は発電機用の軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境にやさしい車両への関心の高まりにつれて、電気自動車のための駆動トルクを与えるために電気モータを利用することに関心が高まっている。
【0003】
電気モータは電流搬送ワイヤが磁界の存在下にあるとき力を受けるという原理で動作する。電流搬送ワイヤが磁界と直角に置かれたとき電流搬送ワイヤに与えられる力は磁界の磁束密度に比例する。一般に、電気モータでは電流搬送ワイヤに与えられる力は回転トルクとして形成される。
【0004】
電気モータの既知のタイプの例としては、誘導モータ、ブラシレス永久磁石モータ、スイッチドリラクタンスモータ及び同期スリップリングモータがあり、これらのモータは当業者に周知のようにロータとステータを有する。
【0005】
商業的分野においては3相電気モータが利用可能な最も一般的な種類の電気モータである。
【0006】
3相電気モータは、一般に3個のコイルセットを有し、各コイルセットは3相の交流電圧のうち1つと関連する磁界を発生させるよう配列される。
【0007】
電気モータ内に形成される磁極の数を増加するため、各コイルセットは、一般に、電気モータの周囲に沿って分布され、回転磁界を発生するよう駆動される多数のコイルサブセットを有する。
【0008】
3相電気モータの3個のコイルセットは、一般にΔ形又はY形配置のいずれかに構成される。
【0009】
DC電源を有する3相電気モータ用の制御ユニットは、一般に電気モータを駆動する3相電圧源を発生させる3相ブリッジインバータを含む。対応する電圧相は電気モータの対応するコイルセットにそれぞれ供給される。
【0010】
一般に、3相ブリッジリッジインバータはパルス幅変調(PWM)電圧制御を用いて3相電圧源を発生する。PWM制御は、モータインダクタンスを用いて印加パルス電圧を平均化し、モータコイルに所要の電流を供給するように動作する。PWM制御を用いて印加電圧をモータコイルの両端間でスイッチする。このオン期間の間、モータコイルの電流はそのインダクタンス及び印加電圧により決まる速度で増大する。PWM制御は、電流の精密な制御が達成されるように電流が大きく変化しすぎる前にスイッチオフしなければならない。
【0011】
3相ブリッジインバータは複数のスイッチング装置、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような電力電子スイッチ、を含む。
【0012】
電気自動車モータとの関連において、益々人気が増してきているドライブ設計は電気モータとその関連制御システムを自動車の車輪に内蔵したインホイール電気モータ設計である。
【0013】
しかしながら、自動車の車輪が動作しなければならないかもしれない環境状態のために、電気モータとその関連制御システムの自動車車輪内への内臓は、電気モータとその関連制御システムに環境要件の増加を課し得る。
【0014】
特に、車輪を自動車に取り付けるための慣用機構であるボルトを用いて車輪をインホイール電気モータに取り付けるとき、電機モータに形成されたボルト孔が塵、水及びその他の汚染物質の進入路として働くことになり得る。この汚染物質の進入を最小にする一つの解決法はめくらボルト孔を使用することにあるが、めくらボルト孔の使用は貫通孔に比べてスペース及びパッケージングに悪影響を与え得る。
【0015】
この状況を改善するのが望ましい。
【発明の概要】
【0016】
本発明の一態様によれば、添付の請求の範囲に記載の電気モータ又は発電機用の軸受装置が提供される。
【0017】
請求の範囲に記載の発明は、インホイール電気モータ内への塵及び/又は水及び/又はその他の汚染物質の進入を最小化するという利点を、電気モータ又は発電機の空間密封要件に対して最低の影響で提供する。
【0018】
以下に、一例として、添付図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態によるモータの分解図を示す。
【
図2】別角度から見た
図1のモータの分解図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による軸受ブロックを示す。
【
図4】別角度から見た
図3の軸受ブロックの図を示す。
【
図5a】本発明の一実施形態によるモータの断面図を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態によるモータの断面図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態によるシーリング素子の断面図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態によるシーリング素子を示す。
【
図8】本発明の一実施形態によるシーリング素子を示す。
【
図10】本発明の一実施形態による軸受装置の断面図を示す。
【
図11a】本発明の一実施形態による軸受装置を示す。
【
図11b】本発明の一実施形態による軸受装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び
図2は本発明による軸受装置を有する電気モータを内蔵する電気モータアセンブリを示し、この電気モータアセンブリは内臓電子機器を含み、自動車の車輪内に組み込むように構成されたハブモータ又はインホイール電気モータとして使用するように構成されている。しかしながら、本発明は任意の形態の電気モータに適用することができる。電気モータは発電機として構成することもできる。
【0021】
図2は
図1と同じアセンブリを反対側から見た分解図を示す。
【0022】
本実施形態の目的のために、
図1及び
図2に示すように、好ましくは、インホイール電気モータはステータアセンブリ252とロータセンブリ240を含む。ステータアセンブリ252は、冷却チャネルを有するヒートシンク253と、多数のコイル254と、ステータの後部に装着されるコイル駆動用の電子モジュール255と、ステータの後部に形成された凹部257内でステータに装着されるキャパシタ(図示せず)を備える。好ましい実施形態では、キャパシタは環状キャパシタ素子である。
【0023】
コイル254はステータの積層歯に形成され、コイル巻線を形成する。ステータカバー256がステータ252の後部に装着され、電子モジュール255を封鎖してステータアセンブリ252が形成され、ステータ252はその後車両に固定され、使用中車両に対して回転しない。
【0024】
電子モジュール255は2つの制御装置400を含み、各制御装置400はインバータ及び制御論理装置を含み、制御論理装置は本実施形態ではインバータの動作を制御するプロセッサを含む。しかしながら、電子モジュール255は任意の数の制御装置を含んでよい。
【0025】
インバータへのインダクタンスの影響を低減するために、電流のスイッチング時に、ステータに装着されたキャパシタが電気モータのインバータのための局部電圧源として使用される。キャパシタをインバータに近接して配置することによって、電圧源と関連するインダクタンスは最小になる。
【0026】
ロータ240は、前部220と、ステータアセンブリ252を実質的に取り囲むカバーを形成する円筒部221とを備える。ロータは円筒部221の内面の周囲に配置された複数の永久磁石242を含む。本実施形態において、32対の磁石が円筒部221の内面に装着される。しかしながら、任意の数の磁石対を使用してよい。
【0027】
磁石は、ステータ252上のコイル巻線に極めて接近して位置するため、コイルにより発生される磁界がロータアセンブリ240の円筒部221の内面の周囲に配置された磁石242と相互作用してロータアセンブリ240を回転させる。永久磁石242は電気モータを駆動する駆動トルクを発生させるために使用されるので、永久磁石は一般に駆動磁石と呼ばれている。
【0028】
ロータ240は、軸受ブロック223とシーリング素子(図示せず)を含む軸受装置によりステータ252に取り付けられる。軸受ブロック223は、このモータアセンブリが装着される車両で使用されるような標準的な軸受ブロックであってよい。
【0029】
図3及び
図4に示すように、軸受ブロック223は二つの部品、すなわちロータに結合するように構成された第1の結合素子300と、ステータに結合するよう構成された第2の結合素子310とを備える。本実施形態はステータに結合するように構成された第2の結合素子310を記載するが、第2の結合素子310はインホイール電気モータと車輪が装着される車両に直接取り付けてもよい。
【0030】
本実施形態の目的のために、第2の結合素子310はステータのヒートシンク253の中心部に、例えば第2の結合素子310をヒートシンク253にボルトで止めることによって、固定される。第1の結合素子300は、以下に記載するように、ロータ前部220の半径方向前壁の中心部に固定するように構成される。
【0031】
図4は
図3と同じ軸受ブロックを反対側から見た図を示す。
【0032】
図5a及び
図5bはステータに取り付けられた軸受ブロック223の断面図を示し、
図5bは軸受ブロックの分解図を示す。好ましくは、第1の結合素子と第2の結合素子が互いに相対的に回転し得るように軸受ブロックの第1の結合素子300と第2の結合素子310との間に2つのアンギュラコンタクト(角度接触)ボールベアリングが搭載される。2つのアンギュラコンタクトボールベアリングはフロント−フロントマッチ型アンギュラコンタクトボールベアリングとして構成される。
【0033】
アンギュラコンタクトボールベアリングは半径方向荷重とともに一方向のかなりの軸方向荷重に耐えることができる。それらの設計の結果として、半径方向荷重が印加されると、軸方向力成分が発生する。従って、2方向の半径方向荷重及び軸方向荷重に耐えなければならない状況、例えばハブモータとして車両で使用される状況では、2つのアンギュラコンタクトボールベアリング、例えばマッチアンギュラコンタクトボールベアリングを使用するのが望ましい。
【0034】
第1の結合素子300及び第2の結合素子310はそれぞれ2つのアンギュラコンタクトボールベアリングの内側リング及び外側リングとして機能する。アンギュラコンタクトボールベアリングのボール(図示せず)はボールベアリングの内側リングと外側リングの間に位置するケージ(図示せず)内に搭載される。
【0035】
軸受ブロック223はマッチアンギュラコンタクトボールベアリングを有するものとして記載したが、他のタイプのボールベアリングを使用してもよい。
【0036】
図3及び
図4に示すように、第1の結合素子300は、電気モータのロータ及び車輪を軸受ブロック223に取り付けるための複数のボルト孔330を有する取り付けフランジ320を含む。ボルト孔330は電気モータのロータ及び車輪に形成されたボルト孔に対応して取り付けフランジ320に位置する。
【0037】
複数のボルト孔330の各々は取り付けフランジを貫通し、円柱ボルトを受け入れるように構成される。ボルト孔330の各々の内面はねじ山を含み、このねじ山はボルトをボルト穴330内にねじ込むことができるように、ボルトに形成された対応するねじ山と螺合するように構成されている。ロータ及び車輪を軸受ブロック223に取り付けるように構成されたボルトは、第1の結合素子の取り付けフランジの前面に形成された第1の開口部340を介してボルト孔330に進入する。
図4は、第1の結合素子の取り付けフランジ320の前面に形成された複数のボルト孔330の各々に対する第1の開口部340を示す。本実施形態は、取り付けフランジ320は5つのボルト孔を有するものとして示すが、取り付けフランジ320は任意の数のボルト孔を有してもよい。
【0038】
上述したように、ボルト孔330は取り付けフランジ320を貫通し、
図3に示すように、ボルト孔330は取り付けフランジ320の第1の開口部340とは反対側面に形成された第2の開口部350を有する。
【0039】
電気モータのロータとステータの間の空隙内への塵、水及び/又はその他の汚染物質の進入を防止するために、シーリング素子が第1の結合素子の取り付けフランジ320に形成された第2の開口部350の各々に取り付けられ、それによって、ボルトがそれぞれのボルト孔に設置される前にボルト孔330を経て電気モータ内に塵、水及び/又はその他の汚染物質が進入することが防止される。
【0040】
それぞれのボルト孔の第2の開口部に取り付けられるシーリング素子の各々は凹部を有するゴムカップの形にするのが好ましく、シーリング素子600の好ましい実施形態の断面図が
図6に示されている。シーリング素子600に形成された凹部610の使用は、ボルトをシーリング素子600と接触することなくそれぞれのボルト孔に挿通することを可能にし、よってボルトを用いて車輪を電気モータに取り付けるときにシーリング素子600が押しのけられることが避けられる。しかしながら、それぞれのボルトがボルト孔の全長に亘り延在しないように構成される場合には、シーリング素子600は第2の開口部350と同一平面に取り付けることができ、凹部なしにし得る。その良好なシーリング特性のために、ゴムはシーリング素子600の好ましい材料であるが、任意の適切な材料を使用してもよい。
【0041】
複数のボルト孔330を有する取り付けフランジ320に対して、組立てを簡略化するために、シーリング素子600の各々は結合素子620、例えば
図7及び
図8に示すようなスプルー、により連結するのが好ましい。結合素子620はそれぞれのシーリング素子600のそれぞれの第2の開口部350への取り付けを助けるために柔軟性にするのが好ましい。シーリング素子600の各々を互いに連結することは、電気モータのためのすべてのシーリング素子600を単一プロセスの一部として製造することを可能にする。加えて、シーリング素子600の各々を互いに連結することによって、電気モータの組み立て中にシーリング素子600の各々の経過を把握することが容易になる。
【0042】
シーリング素子600のそれぞれの第2の開口部350への取り付けを容易にするために、シーリング素子600の各々はそれぞれのシーリング素子600の内面に形成されたキー係合部630を含み、これらのキー係合部は取り付けフランジ320に形成された対応する係合部と係合するように構成するのが好ましい。
【0043】
それぞれのシーリング素子600と取り付けフランジ320との間の封止を向上させるために、それぞれのシーリング素子600を取り付けフランジ320に取り付ける前に、それぞれのシーリング素子の取り付け面と取り付けフランジ320の表面との間にシーリング化合物を設置するのが好ましい。
【0044】
シーリング化合物をそれぞれのシーリング素子600の取り付け面及び/又は取り付けフランジ320の表面に塗布したらとすぐに、それぞれのシーリング素子600のキー係合部630を取り付けフランジ320の対応するキー係合部に挿入してそれぞれのシーリング素子600を取り付けフランジ320に取り付ける。
【0045】
図9は、シーリング素子600が取り付けフランジ320に形成されたボルト孔330に取り付けられた軸受ブロック223を示し、
図10は本発明の一実施形態による軸受装置の断面図を示し、本例ではそれぞれのシーリング素子600によって、ロータ及び車輪のステータへの固定前にそれぞれのボルト孔を経て塵、水及び/又はその他の汚染物質が進入するのを防止することができる。
【0046】
ロータ及び車輪1100を軸受ブロック223に及び同様に車両/ステータに取り付け可能にするために、
図11a及び
図11bに示すように、ボルト1110が車輪及びロータの対応するボルト孔に挿通され、取り付けフランジに形成された対応するボルト孔にねじ込まれる。
図11aは軸受ブロック223に取り付けられたロータ及び車輪の断面図を示し、
図11bは軸受の分解図を示す。
【0047】
このように、ロータは、ロータの前部220の半径方向前壁の中心部225で軸受ブロック223を介して、使用する車両に回転可能に固定される。これは、ホイールリムをロータの中心部に固定する通常の車輪ボルトを用いてホイールリム及びタイヤをロータにその中心部225で固定すること、従って軸受ブロック223の回転側にしっかりと固定することができるという利点がある。車輪ボルトは、ロータの中央部分225を通過して軸受ブロック自体内に固定してもよい。この配置の利点は、車輪、軸受ブロック及び任意の他の構成部品(例えば制動装置)を取り除くことによってモータアセンブリを既存の車両に装着することができることにある。この場合には、既存の軸受ブロックをアセンブリ内に装着し、その構成全体のステータ側を車両に装着し、通常のリム及び車輪をそれらがモータアセンブリ全体を囲むようにロータに装着することができる。従って、既存の車両の改造が非常に簡単になる。
【0048】
更なる利点は、ロータの外側に、特に内部円周上に磁石を備える円周壁221に、車両を支える力が加わらないことである。これは、車両を担持するための力が(ステータ壁の中央部分を経て)軸受ブロックの一側に固定されるサスペンションから(ロータ壁の中央部分を経て)軸受ブロックの他側に固定される、ロータを包囲する車輪の中央部分に直接伝達されるためである。
【0049】
ロータの外周壁とステータの外縁との間にV字形のシールが設けられ、それによって電気モータ内への塵、水及び/又はその他の汚染物質の進入の更なる保護を与えることができる。