【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0025】
標準例1〜2、実施例1〜17および比較例1〜8
サンプルの調製
表1〜3に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
【0026】
ムーニースコーチ:JIS K6300に従い、125℃で測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほどスコーチ性に優れることを示す。
ペイン効果:未加硫の組成物を用いてASTM P6204に準拠してRPA2000においてG’(0.56%歪)を測定した。結果は、標準例1の値を100として指数表示した。この値が低いほどシリカの分散性が高いことを意味する。
加硫速度:JIS 6300に準拠して、振動式ディスク加硫試験機にて、振幅1度、160℃で95%の加硫度に達する時間(T95、分)を測定した。結果は、標準例の値を100として指数で示した。この値が低いほど、加硫速度が速く、生産性に優れることを示す。
破断強度:JIS K 6251に従い、室温で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、補強性に優れることを示す。
破断伸び:JIS K 6251に従い、室温で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、破断伸びに優れることを示す。
結果を表1〜3に併せて示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
*1:SBR(旭化成(株)製タフデン3830、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*3−1:シリカ(Solvay社製Zeosil 1165MP、窒素吸着比表面積(N
2SA)=165m
2/g)
*3−2:シリカ(Solvay社製Zeosil 1085GR、窒素吸着比表面積(N
2SA)=80m
2/g)
*3−3:シリカ(Solvay社製ZeosilPremium 200MP、窒素吸着比表面積(N
2SA)=200m
2/g)
*3−4:シリカ(PPG社製Hi−SilEZ 200G、窒素吸着比表面積(N
2SA)=300m
2/g)
*4:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積(N
2SA)=90m
2/g)
*5:シランカップリング剤(Evonik Degussa社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*6:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*7:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*8:老化防止剤(Solutia Europe社製Santoflex 6PPD)
*9:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*10−1:グリセリンモノ脂肪酸エステル−1(シグマアルドリッチ製モノステアリン酸グリセロール)
*10−2:グリセリンモノ脂肪酸エステル−2(シグマアルドリッチ製モノオレイン酸グリセロール)
*10−3:グリセリンモノ脂肪酸エステル−3(シグマアルドリッチ製モノベヘン酸グリセロール)
*11−1:比較脂肪酸エステル−1(シグマアルドリッチ製グリセリン)
*11−2:比較脂肪酸エステル−2(シグマアルドリッチ製モノ酪酸グリセリン)
*12:硫黄(軽井沢精錬所社製油処理イオウ)
*13−1:環状ポリスルフィド(前記式(1)で表される環状ポリスルフィドにおいて、x=5、n=1-4、R=-(CH
2)
6-である化合物)
*13−2:環状ポリスルフィド(前記式(1)で表される環状ポリスルフィドにおいて、x=4、n=1-2、R=-(CH
2)
2-O-CH
2-O-(CH
2)
2-である化合物)
*14:加硫促進剤−1(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*15:加硫促進剤−2(Flexsys社製Perkacit DPG)
【0031】
上記の表1の結果から、標準例1と標準例2とを比較すると、標準例2の組成物は、硫黄の替わりに環状ポリスルフィドを配合しているので、加硫速度が悪化しているのが分かる。
比較例1は、標準例2の組成物に対し、加硫促進剤を増量した例であるが、加硫速度は上昇するものの、スコーチが悪化している。
これらの結果に対し、実施例1〜16では、ジエン系ゴムに対し、シリカ、シランカップリング剤、特定のグリセリンモノ脂肪酸エステルおよび特定の環状ポリスルフィドを特定量でもって配合したので、特定の環状ポリスルフィドを使用しても加硫速度を低下させず、かつシリカの分散性を高め得ることが分かった。またスコーチおよび破断物性も良好である。
比較例2は、環状ポリスルフィドを配合していないので、スコーチ、破断強度が低下した。
比較例3は、環状ポリスフィドの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、スコーチが悪化した。
比較例4は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの替わりにグリセリンを使用した例であるので、ペイン効果、破断伸びが悪化した。
比較例5は、モノ酪酸グリセリンを使用した例であるので、ペイン効果が悪化した。
比較例6は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、加硫速度が悪化した。
比較例7は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、破断強度が悪化した。
比較例8は、シリカの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、スコーチ、ペイン効果、破断伸びが悪化した。