特許第6511799号(P6511799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511799
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】車両用ヘッドランプ装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/50 20180101AFI20190425BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20190425BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20190425BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190425BHJP
【FI】
   F21S41/50
   F21V5/00 350
   F21V7/00 320
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-260356(P2014-260356)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-122511(P2016-122511A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】安井 正
(72)【発明者】
【氏名】保井 良太
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−199778(JP,A)
【文献】 実開平03−080907(JP,U)
【文献】 実開平04−018905(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0025116(US,A1)
【文献】 特開2010−118323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/50
F21V 5/00
F21V 7/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の周囲に形成され光源から照射された光を反射して前方に導くリフレクタと、前記リフレクタの前方に配置され光源の光を前方に投光するプロジェクタレンズを有するロービームランプと、
前記ロービームランプの車幅方向の側部に配置されたターンランプと、
を備える車両用ヘッドランプ装置であって、
前記プロジェクタレンズから前記リフレクタの前部の外周に沿って延在する筒状のダミーレンズを設け、
前記プロジェクタレンズから前記ダミーレンズを通して前記ターンランプに向かう前記光源の光を遮光する遮光部を設
前記遮光部は、光を反射する反射膜で構成され、前記反射膜は、前記ダミーレンズの内周面の全周に設けられている、
ことを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ヘッドランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の光を前方に投光するロービームランプと、ロービームランプの車幅方向の側部に配置されたターンランプとを備える車両用ヘッドランプ装置が提供されている(特許文献1参照)。
また、光源と、この光源の光を前方に投光するプロジェクタレンズとを有するロービームランプが提供されている(特許文献2参照)。
前者の車両用ヘッドランプ装置に後者のプロジェクタレンズを組み合わせた場合、プロジェクタレンズの外周に沿って延在するダミーレンズを設けることで車両用ヘッドランプ装置の意匠性を高めることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−209082号公報
【特許文献2】特開2008−68680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両を前方から見た場合、ロービームランプが発光する部分と、ターンランプが発光する部分との間の距離Lは、ロービームランプとターンランプとを明確に識別するため、法規で定められた距離(例えば40mm)以上を確保する必要がある。
したがって、プロジェクタレンズの外周に沿ってダミーレンズを設けた場合、光源からの光はダミーレンズも通過することから、上記距離Lを確保するためには、ロービームランプと、ターンランプとの距離をダミーレンズの大きさを考慮して離間させて配置しなくてはならない。
そのため、ダミーレンズを設けた場合、法規を満足するためには車両用ヘッドランプ装置の占有スペースが大型化してしまう不利がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、意匠性を高めると共に法規を満たしつつ占有スペースの小型化を図る上で有利な車両用ランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、発明は、光源の周囲に形成され光源から照射された光を反射して前方に導くリフレクタと、前記リフレクタの前方に配置され光源の光を前方に投光するプロジェクタレンズを有するロービームランプと、前記ロービームランプの車幅方向の側部に配置されたターンランプと、を備える車両用ヘッドランプ装置であって、前記プロジェクタレンズから前記リフレクタの前部の外周に沿って延在する筒状のダミーレンズを設け、前記プロジェクタレンズから前記ダミーレンズを通して前記ターンランプに向かう前記光源の光を遮光する遮光部を設、前記遮光部は、光を反射する反射膜で構成され、前記反射膜は、前記ダミーレンズの内周面の全周に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
発明によれば、プロジェクタレンズの外周に位置するダミーレンズによって意匠性を高めることができる。また、ターンランプに向かう光源の光を遮光する遮光部を設けたので、ダミーレンズの大きさを考慮することなく、ロービームランプが発光する部分と、ターンランプが発光する部分との間の距離を法規で定められた距離以上確保することができ、ダミーレンズを設けたにも拘わらず車両用ヘッドランプ装置の占有スペースの小型化を図る上で有利となる。
発明によれば、遮光部が占有するスペースを最小限にでき、車両用ヘッドランプ装置の占有スペースの小型化を図る上でより一層有利となる。
発明によれば、外光が反射されることで遮光部によってダミーレンズの全周が輝くように視認され、車両用ヘッドランプ装置の意匠性をさらに高め高級感を与える上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る車両用ヘッドランプ装置を車両前方から見た正面図である。
図2図1のAA線断面図である。
図3図2の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る車両用ヘッドランプ装置について説明する。
図1図3の符号FRは車両前後方向の前方を示し、符号RRは車両前後方の後方を示し、符号INは車幅方向内側を示し、符号OUTは車幅方向外側を示す。また、符号UPは車両上方を示し、符号DOWNは車両下方を示す。
【0009】
図1から図3に示すように、車両用ヘッドランプ装置10は、車幅方向の両側において車体の前面から側面前部にわたって設けられている。
車両用ヘッドランプ装置10は、不図示の車体の外側の面を構成するアウタパネルに形成された開口に組み込まれる不図示のランプハウジングと、ランプハウジングに取着され開口を閉塞するアウタレンズ12と、アウタレンズ12で覆われたランプハウジング内に支持されるロービームランプ14と、ターンランプ16とを含んで構成され、ロービームランプ14とターンランプ16とは車幅方向に間隔をおいて並べられている。
【0010】
アウタレンズ12は、不図示のアウタパネルの開口を閉塞するように車体の前面から側面前部にわたって設けられており、光が透過可能な合成樹脂材料で構成されている。
ロービームランプ14は、アウタレンズ12の内側に配置された、光源18と、リフレクタ20と、プロジェクタレンズ22と、遮光板24と、エクステンション26と、ダミーレンズ28と、遮光部30とを備えている。これら光源18、リフレクタ20、プロジェクタレンズ22、遮光板24、エクステンション26、ダミーレンズ28はランプハウジングに支持されている。
【0011】
本実施の形態では、光源18は、LED光源18であるが、LED光源18以外の従来公知の様々な光源18であってもよい。
リフレクタ20は、光源18の周囲に形成され、光源18からの光を反射して前方に導くものである。
プロジェクタレンズ22は、リフレクタ20の前方に配置され、光源18から照射された光、および、リフレクタ20で反射された光を前方に照射するものである。
遮光板24は、光源18の前方でプロジェクタレンズ22の後方に配置され、ロービームランプ14に要求される配光特性を満たすように光源18からの光およびリフレクタ20で反射された光の一部を遮光するように構成されている。
【0012】
エクステンション26は、ヘッドランプ装置10の意匠の一部を構成するものである。
本実施の形態では、エクステンション26は、プロジェクタレンズ22の外周に沿って形成された第1のエクステンション26Aと、第1のエクステンション26Aとターンランプ16との間を仕切る第2のエクステンション26Bとを備えている。
第1、第2のエクステンション26A、26Bは、合成樹脂製であり、意匠性を確保するために、プロジェクタレンズ22に対向する面に光を反射するアルミ蒸着膜などの金属膜が形成され、あるいは、光を反射する光反射性塗料が塗布され、光が透過しないものとなっている。
【0013】
ダミーレンズ28は、プロジェクタレンズ22の外周およびリフレクタ20の前部の外周に沿って延在している。
ダミーレンズ28は、図3に示すように、プロジェクタレンズ22の外周部の前方に位置する環板状の前部2802と、前部2802の外周からプロジェクタレンズ22の外周およびリフレクタ20の前部の外周に沿って後方に延在する筒状の胴部2804を備えている。
ダミーレンズ28は、光透過性を有する合成樹脂材料で形成されており、車両前方からダミーレンズ28が輝いて見えることにより車両用ヘッドランプ装置10の意匠性が高められている。
【0014】
遮光部30は、プロジェクタレンズ22からダミーレンズ28を通して車幅方向の内側に向かう光源18の光と光源18の直射光を遮光するものであり、言い換えると、プロジェクタレンズ22からダミーレンズ28を通してターンランプ16に向かう光源18の光を遮光するものであり、ダミーレンズ28とプロジェクタレンズ22との間に設けられている。
本実施の形態では、図3に示すように、遮光部30は、プロジェクタレンズ22およびリフレクタ20に対向するダミーレンズ28の箇所に設けられている。詳細には、遮光部30は、前部2802の内面の全域および胴部2804の内面の全域に設けられた反射膜で形成されている。
このような反射膜として、光を反射するアルミ蒸着膜などの金属製の反射膜や、あるいは、光を反射する光反射性塗料が塗布された反射膜などが採用可能である。
したがって、このような反射膜からなる遮光部30を設けることで、プロジェクタレンズ22からダミーレンズ28を通してターンランプ16に向かう光源18の光を遮光すると共に、車両の前方から車両用ヘッドランプ装置10を見た場合、遮光部30によって外光が反射されることでダミーレンズ28全体の全周が輝くように視認され、車両用ヘッドランプ装置10の意匠性を高め高級感を与える上で有利となる。
【0015】
ターンランプ16は、ロービームランプ14の車幅方向の内側の箇所に配置されている。
ターンランプ16は、アウタレンズ12の内側に配置された不図示の発光部を有し、発光部はランプハウジングに支持されている。
発光部は、オレンジ色で発光する光源と、光源からの光を前方に反射するリフレクタを含んで構成され、あるいは、白色光で発光する光源と、光源からの光を前方に反射するリフレクタと、リフレクタの前方に配置された光透過性を有するオレンジ色のレンズとで構成されている。
【0016】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、プロジェクタレンズ22からダミーレンズ28を通してターンランプ16に向かう光源18の光と光源18の直射光を遮光する遮光部30を、ダミーレンズ28とプロジェクタレンズ22との間に設けた。
したがって、プロジェクタレンズ22の外周に位置するダミーレンズ28によって意匠性を上げることができる。
また、ターンランプ16に向かう光源18の光が遮光部30によって遮光されるため、ダミーレンズ28の大きさを考慮することなく、ロービームランプ14が発光する部分と、ターンランプ16が発光する部分との間の距離Lを法規で定められた距離(例えば40mm)以上確保することができる。
したがって、ダミーレンズ28を設けたにも拘わらず車両用ヘッドランプ装置10の占有スペースの小型化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、遮光部30は、プロジェクタレンズ22に対向するダミーレンズ28の箇所に設けられているため、遮光部30が占有するスペースを最小限にでき、したがって、車両用ヘッドランプ装置10の占有スペースの小型化を図る上でより一層有利となる。
【0017】
なお、遮光部30は、ターンランプ16側に位置するダミーレンズ28の箇所で、かつ、プロジェクタレンズ22に対向するダミーレンズ28の箇所のみに設けても、ダミーレンズ28によって意匠性を上げ、ダミーレンズ28の大きさを考慮することなく、ロービームランプ14が発光する部分と、ターンランプ16が発光する部分との間の距離Lを法規で定められた距離(例えば40mm)以上確保することができるが、実施の形態のように、遮光部30を、プロジェクタレンズ22に対向するダミーレンズ28の内周面の全周に設けると、車両用ヘッドランプ装置10の意匠性を高める上でより有利となる。
さらに、実施の形態のように、遮光部30を、プロジェクタレンズ22に対向するダミーレンズ28の内周面の全周のみならず、リフレクタ20に対向するダミーレンズ28の内周面の全域に設けると、車両用ヘッドランプ装置10の意匠性を高める上でより有利となる。
【符号の説明】
【0018】
10 車両用ヘッドランプ装置
12 アウタレンズ
14 ロービームランプ
16 ターンランプ
18 光源
22 プロジェクタレンズ
28 ダミーレンズ
30 遮光部
図1
図2
図3