(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のタイヤの空気圧を取得する空気圧取得部と、該空気圧取得部にて取得した空気圧に係る信号を無線送信する車載無線機と、該車載無線機と異なる箇所に設けられており、前記車載無線機から送信された信号を受信する車載通信装置とを備え、該車載通信装置にて受信した信号に基づいて、空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムであって、
前記車載無線機は、
前記空気圧取得部にて取得した空気圧の時間的な変化量を算出する算出部と、
該算出部にて算出された空気圧の変化量を示す信号を送信する送信部と、
前記車両の速度情報を取得する車速情報取得部と
を備え、
前記送信部は、
前記車両の速度が低速である場合、前記空気圧取得部にて取得された空気圧を示す信号を送信し、前記車両の速度が高速である場合、前記変化量を示す信号を送信し、
前記算出部にて算出された変化量が閾値未満である場合、前記変化量を示す信号よりも情報量が少ない所定信号を送信する
タイヤ空気圧監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本発明の一態様に係るタイヤ空気圧監視システムは、車両のタイヤの空気圧を取得する空気圧取得部と、該空気圧取得部にて取得した空気圧に係る信号を無線送信する車載無線機と、該車載無線機と異なる箇所に設けられており、前記車載無線機から送信された信号を受信する車載通信装置とを備え、該車載通信装置にて受信した信号に基づいて、空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムであって、前記車載無線機は、前記空気圧取得部にて取得した空気圧の時間的な変化量を算出する算出部と、該算出部にて算出された空気圧の変化量を示す信号を送信する送信部とを備える。
【0014】
本願にあっては、車載無線機は、例えばタイヤのホイールに配されており、空気圧取得部にて取得されたタイヤの空気圧に係る信号を無線送信する。車載通信装置は、例えば車体に配されており、車載無線機から送信された信号を受信し、受信した信号に基づいて、タイヤの空気圧を監視する。
車載無線機の算出部は、新たに取得された空気圧に係る信号を送信する際、空気圧取得部にて取得された空気圧の時間的な変化量を算出し、送信部は算出された空気圧の変化量を示す信号を車載通信装置へ送信する。
従って、車載無線機及び車載通信装置の間で送受信される信号の情報量を削減することができる。
【0015】
(2)車両の速度情報を取得する車速情報取得部を備え、前記送信部は、前記車両の速度が低速である場合、前記空気圧
取得部にて
取得された空気圧を示す信号を送信し、前記車両の速度が高速である場合、前記変化量を示す信号を送信する構成が好ましい。
【0016】
本願にあっては、車載無線機は、車両の速度が低速である場合、空気圧を示す信号を送信し、車両の速度が高速である場合、前記変化量を示す信号を送信する。車両の速度が速く、信号の送受信に失敗する可能性が高い場合、タイヤの空気圧に係る信号の情報量を削減することによって、信号の送受信の成功確率を上昇させることができる。
【0017】
(3)前記送信部は、前記車両の速度が高速である場合、低速である場合に比べて、高頻度で信号を送信する構成が好ましい。
【0018】
本願にあっては、車載無線機は、車両の速度が低速である場合、空気圧を示す信号を低頻度で送信し、車両の速度が高速である場合、前記変化量を示す信号を高頻度で送信する。車両の速度が速く、信号の送受信に失敗する可能性が高い場合、タイヤの空気圧に係る信号の送信頻度を上昇させることによって、信号の送受信の成功確率を上昇させることができる。また、各信号の情報量を削減することによって、信号の送受信の成功確率を上昇させると共に、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
【0019】
(4)前記送信部は、前記算出部にて算出された変化量が閾値未満である場合、前記変化量を示す信号よりも情報量が少ない所定信号を送信する構成が好ましい。
【0020】
本願にあっては、過去に取得した空気圧と、新たに取得した空気圧との変化量が閾値未満である場合、車載無線機は、変化量を示す信号よりも更に情報量が少ない所定信号を車載通信装置へ送信する。車載無線機及び車載通信装置の間で送受信されるタイヤの空気圧に係る信号の情報量を削減することによって、信号の送受信の成功確率を上昇させ、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
【0021】
(5)前記
車載無線機は、前記空気圧取得部にて取得した空気圧が所定圧力範囲内であるか否かを判定する判定部を備え、前記送信部は、前記空気圧が前記所定圧力範囲内である場合、前記変化量を示す信号よりも情報量が少ない所定信号を送信する構成が好ましい。
【0022】
本願にあっては、取得された空気圧が所定圧力範囲内である場合、車載無線機は、変化量を示す信号よりも更に情報量が少ない所定信号を車載通信装置へ送信する。車載無線機及び車載通信装置の間で送受信されるタイヤの空気圧に係る信号の情報量を削減することによって、信号の送受信の成功確率を上昇させ、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
【0023】
(6)前記車載無線機は、空気圧の情報を圧縮する圧縮部を備え、前記送信部は、前記圧縮部にて圧縮された情報を含む信号を送信する構成が好ましい。
【0024】
本願にあっては、車載無線機はタイヤの空気圧に係る情報を圧縮し、圧縮された情報を含む信号を車載通信装置へ送信する。車載通信装置は、車載無線機から送信された信号を受信し、受信した信号を伸張することにより、タイヤの空気圧に係る情報を得ることができる。
タイヤの空気圧に係る情報を圧縮することによって、車載無線機及び車載通信装置の間で送受信されるタイヤの空気圧に係る信号の情報量を削減することができる。
【0025】
(7)本発明の一態様に係る車載無線機は、車両のタイヤの空気圧を取得する空気圧取得部を備え、該空気圧取得部にて取得した空気圧に係る信号を無線送信する車載無線機であって、前記空気圧取得部にて取得した空気圧の時間的な変化量を算出する算出部と、該算出部にて算出された空気圧の変化量を示す信号を送信する送信部とを備える。
【0026】
本願にあっては、車載無線機は、空気圧取得部にて取得した空気圧に係る信号を無線送信する。車載無線機の算出部は、新たに取得された空気圧に係る信号を送信する際、空気圧取得部にて取得された空気圧の時間的な変化量を算出し、送信部は算出された空気圧の変化量を示す信号を車載通信装置へ送信する。
従って、車載通信装置へ送信される信号の情報量を削減することができる。
【0027】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るタイヤ空気圧監視システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るタイヤ空気圧監視システムの一構成例を示す模式図である。本実施形態1に係るタイヤ空気圧監視システムは、車体の適宜箇所に設けられた車載通信装置1と、車両Cに取り付けられたタイヤ3のホイール夫々に設けられた車載無線機2と、報知装置4とを備える。本実施形態1のタイヤ空気圧監視システムでは、車載通信装置1が各車載無線機2と無線通信を行うことにより、各タイヤ3の空気圧を取得し、報知装置4は取得した空気圧に応じた報知を行う。車載通信装置1は、LF(Low Frequency)帯の電波により空気圧に係る信号を要求する要求信号を定期的に各車載無線機2へ送信する。車載無線機2は、車載通信装置1の要求信号に応じて、タイヤ3の空気圧を検出し、検出した空気圧に係る信号をUHF(Ultra High Frequency)帯の電波により車載通信装置1へ送信する。なおLF帯及びUHF帯は無線通信を行う際に用いる電波帯域の一例であり、必ずしもこれに限定されない。車載通信装置1は各車載無線機2から送信された信号を受信し、該信号から各タイヤ3の空気圧の情報を取得する。車載通信装置1には通信線を介して報知装置4が接続されており、車載通信装置1は取得した空気圧の情報を報知装置4へ送信する。報知装置4は車載通信装置1から送信された空気圧の情報を受信し、空気圧を報知する。また、報知装置4はタイヤ3の空気圧が所定の閾値未満である場合、警告を発する。
【0029】
図2は車載通信装置1の一構成例を示すブロック図である。車載通信装置1は、該車載通信装置1の各構成部の動作を制御する制御部11を備える。制御部11には、記憶部12、車載受信部13、車載送信部14、計時部15及び車内通信部16が接続されている。
【0030】
制御部11は、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース等を有するマイコンである。制御部11のCPUは入出力インタフェースを介して記憶部12、車載受信部13、車載送信部14、計時部15及び車内通信部16に接続している。制御部11は記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより、各構成部の動作を制御し、本実施形態に係る通信処理及びタイヤ空気圧監視処理を実行する。
【0031】
記憶部12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部12は、制御部11が車載通信装置1の各構成部の動作を制御することにより、通信処理及びタイヤ空気圧監視処理を実行するための制御プログラムを記憶している。
【0032】
車載受信部13には、RFアンテナ13aが接続されている。車載受信部13は、車載無線機2からRF帯の電波を用いて送信された信号を、RFアンテナ13aにて受信する。車載受信部13は、受信した信号を復調し、復調された信号を制御部11へ出力する回路である。搬送波としては300MHz〜3GHzのUHF帯を使用するが、この周波数帯に限定するものでは無い。
【0033】
車載送信部14は、制御部11から出力された信号をLF帯の信号に変調し、変調された信号をLFアンテナ14aから車載無線機2へ送信する回路である。搬送波としては30kHz〜300kHzのLF帯を使用するが、この周波数帯に限定するものでは無い。
【0034】
計時部15は、例えばタイマ、リアルタイムクロック等により構成され、制御部11の制御に従って計時を開始し、計時結果を制御部11に与える。
【0035】
車内通信部16は、CAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等の通信プロトコルに従って通信を行う通信回路であり、報知装置4及び車速検出部5に接続されている。車内通信部16は、制御部11の制御に従って、タイヤ3の空気圧に係る情報を報知装置4へ送信する。
【0036】
報知装置4は、例えば、車内通信部16から送信されたタイヤ3の空気圧に係る情報を画像又は音声によって報知する表示部又はスピーカを備えたオーディオ機器、インスツルメントパネルの計器に設けられた表示部等である。表示部は液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等である。例えば、報知装置4は、車両Cに設けられた各タイヤ3の空気圧を表示する。
【0037】
車速検出部5は、例えば車両Cに備えられた車軸の回転数に比例した信号を発信する磁気ピックアップ、ホール素子等を備えた非接触センサ、及び該非接触センサからのパルス数を計測する計数回路を備え、パルス数を計測することによって車両Cの速度を検出する。なお、車載無線機2に設けられた加速度センサにて検出した加速度情報を取得し、該加速度情報に基づいて車両Cの速度を検出するように構成しても良い。車速検出部5は、車両Cの速度を示した車速情報を車内通信部16へ出力し、制御部11は、車速検出部5にて車速情報を取得する。
非接触センサは速度検出部の一例であり、かかる構造に限定されるものでは無い。例えば、GPSにて検出された車両Cの位置情報に基づいて、車両Cの速度を検出するように車速検出部5を構成しても良い。
【0038】
図3は車載無線機2の一構成例を示すブロック図である。車載無線機2は、該車載無線機2の各構成部の動作を制御するセンサ制御部21を備える。センサ制御部21には、センサ用記憶部22、センサ送信部23、センサ受信部24、空気圧検出部25及び計時部26が接続されている。
【0039】
センサ制御部21は、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するマイコンである。センサ制御部21のCPUは入出力インタフェースを介してセンサ用記憶部22、センサ送信部23、センサ受信部24、空気圧検出部25及び計時部26に接続している。センサ制御部21はセンサ用記憶部22に記憶されている制御プログラムを読み出し、各部を制御する。車載無線機2は、図示しない電池を備え、当該電池からの電力により動作する。
【0040】
センサ用記憶部22は不揮発性メモリである。センサ用記憶部22には、センサ制御部21のCPUがタイヤ3の空気圧の検出及び送信に係る処理を行うための制御プログラムが記憶されている。
【0041】
空気圧検出部25は、例えばダイヤフラムを備え、圧力の大きさによって変化するダイヤフラムの変形量に基づき、タイヤ3の空気圧を検出する。該空気圧は絶対圧である。絶対圧は、絶対真空を基準にした圧力の大きさである。なお、本実施の形態において、空気圧検出部25が検出する空気圧は、絶対圧であることを説明したが、ゲージ圧、所定の基準圧に対する圧力の大きさを示す差圧を検出する構成としてもよい。所定の基準圧は、例えばタイヤ3の状態が点検を必要としない状態における空気圧の範囲の中央値、下限値、又は上限値等である。
空気圧検出部25は検出したタイヤ3の空気圧を示す信号をセンサ制御部21へ出力する。センサ制御部21は、制御プログラムを実行することにより、空気圧検出部25からタイヤ3の空気圧を取得し、該空気圧、車載無線機2に固有の装置ID等の情報を含む信号を生成し、センサ送信部23へ出力する。
【0042】
センサ送信部23には、RFアンテナ23aが接続されている。センサ送信部23は、センサ制御部21が生成した信号をUHF帯の信号に変調し、変調した信号を、RFアンテナ23aを用いて送信する。
【0043】
センサ受信部24には、LFアンテナ24aが接続されている。センサ受信部24は、車載通信装置1からLF帯の電波を用いて送信された信号を、LFアンテナ24aにて受信し、受信した信号をセンサ制御部21へ出力する。
【0044】
次に、信号の送受信に係る車載通信装置1及び車載無線機2の処理手順を順に説明する。
車載通信装置1は所定の送信頻度で要求信号を車載無線機2へ送信し、車載無線機2は該要求信号に応じて、タイヤ3の空気圧に係る信号を車載通信装置1へ送信するものとする。
【0045】
図4は実施形態1に係る車載通信装置1の処理手順を示すフローチャートである。車載通信装置1の制御部11は、車速検出部5から車速情報を取得し(ステップS11)、車速に応じた要求信号の送信頻度を設定する(ステップS12)。要求信号は、車載通信装置1が車載無線機2へタイヤ3の空気圧に係る信号を要求するための信号である。車両Cが低速で走行している場合、要求信号の送信頻度は例えば60秒間に1回であり、車両Cの速度が高速になるに従って、車載通信装置1は送信頻度を上昇させる。
【0046】
次いで、制御部11は、計時部15の計時結果を参照し、要求信号を送信するタイミングであるか否かを判定する(ステップS13)。要求信号を送信するタイミングで無いと判定した場合(ステップS13:NO)、制御部11は処理をステップS11へ戻す。
【0047】
要求信号を送信するタイミングであると判定した場合(ステップS13:YES)、制御部11は、ステップS11にて取得した車速情報を含む要求信号を車載送信部14にて車載無線機2へ送信する(ステップS14)。後述するように、車載無線機2は、要求信号を受信した場合、タイヤ3の空気圧を検出し、検出して得たタイヤ3の空気圧に係る信号を車載通信装置1へ送信する。
【0048】
ステップS14の処理で要求信号を送信した制御部11は、車載無線機2からの信号を受信したか否かを判定する(ステップS15)。車載無線機2からの信号を受信していないと判定した場合、(ステップS15:NO)、制御部11は、要求信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS16)。要求信号を送信してからの経過時間は、制御部11の命令によって計時部15が計時する。要求信号を送信してから所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS16:NO)、制御部11は処理をステップS15へ戻し、車載無線機2からの信号の受信待ち状態で待機する。要求信号を送信してから所定時間が経過したと判定した場合(ステップS16:YES)、制御部11は処理をステップS11へ戻す。
【0049】
車載無線機2から送信された信号を受信した場合(ステップS15:YES)、制御部11は受信処理を行う(ステップS17)。受信処理によって、信号の復調、復調された信号からの情報の抽出処理等が行われる。また、空気圧に係る情報が圧縮されている場合、制御部11は、該情報を伸張し、空気圧に係る情報を得る。
【0050】
次いで、制御部11は受信した信号が、前回検出した空気圧との差分を示したものであるか否かを判定する(ステップS18)。車載無線機2から送信される信号には、該信号の情報が、タイヤ3の空気圧の絶対値又は差分のいずれであるかを識別するための識別情報が含まれているため、制御部11は該識別情報を参照することによって、受信した信号が差分を示すものであるか否かを判定することができる。
【0051】
受信した信号が空気圧の差分を示したものであると判定した場合(ステップS18:YES)、制御部11は、前回検出又は算出して得た空気圧を記憶部12から読み出し、該空気圧と、受信した信号が示す差分とに基づいて、今回検出された空気圧の絶対値を算出する(ステップS19)。そして、制御部11は、今回検出された空気圧の絶対値を記憶部12に記憶させ(ステップS20)、処理をステップS11へ戻す。
【0052】
受信した信号が空気圧の差分を示したもので無いと判定した場合(ステップS18:NO)、制御部11は、受信した信号が空気圧の絶対値を示すものであるか否かを判定する(ステップS21)。受信した信号が空気圧の絶対値を示したもので無いと判定した場合(ステップS21:NO)、制御部11は処理をステップS11へ戻す。受信した信号が空気圧の絶対値を示すものであると判定した場合(ステップS21:YES)、制御部11は、受信した信号が示す空気圧の絶対値を記憶部12に記憶させ(ステップS20)、処理をステップS11へ戻す。
【0053】
図5は実施形態1に係る車載無線機2の処理手順を示すフローチャートである。車載無線機2のセンサ制御部21は、車載通信装置1から送信された要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS31)。要求信号を受信していないと判定した場合(ステップS31:NO)、センサ制御部21は処理をステップS31へ戻し、要求信号を受信するまで待機する。
【0054】
要求信号を受信したと判定した場合(ステップS31:YES)、センサ制御部21は、空気圧検出部25にて検出されたタイヤ3の空気圧を取得し(ステップS32)、取得した空気圧をセンサ用記憶部22に記憶させる(ステップS33)。
【0055】
次いで、センサ制御部21は、要求情報に含まれる車速情報に基づいて、車速が所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS34)。車速が所定速度未満であると判定した場合(ステップS34:NO)、センサ制御部21は、検出した空気圧の絶対値を示す信号をセンサ送信部23にて車載通信装置1へ送信し(ステップS35)、処理をステップS31へ戻す。より詳細には、センサ制御部21は、空気圧の絶対値を示す情報と、該情報が空気圧の絶対値を示す情報であることを示す識別情報とを含む信号を生成し、生成した信号を車載送信部14に送信させる。また、センサ制御部21は、空気圧の絶対値を示す情報及び識別情報を圧縮し、圧縮した情報を含む信号を生成して車載送信部14に送信させても良い。
【0056】
ステップS34において、車速が所定速度以上であると判定した場合(ステップS34:YES)、センサ制御部21は、前回検出又は算出して得た空気圧をセンサ用記憶部22から読み出し、該空気圧と、今回検出された空気圧との差分を算出する(ステップS36)。そして、センサ制御部21は、算出して得た差分を示す信号をセンサ送信部23にて車載通信装置1へ送信し(ステップS37)、処理をステップS31へ戻す。より詳細には、センサ制御部21は、空気圧の差分を示す情報と、該情報が前回検出された空気圧との差分を示す情報であることを示す識別情報とを含む信号を生成し、生成した信号を車載送信部14に送信させる。また、センサ制御部21は、空気圧の差分を示す情報及び識別情報を圧縮し、圧縮した情報を含む信号を生成して車載送信部14に送信させても良い。
【0057】
このように構成された実施形態1に係るタイヤ空気圧監視システムによれば、車両Cの速度が速く、信号の送受信に失敗する可能性が高い場合、タイヤ3の空気圧に係る信号の送信頻度を上昇させることによって、該信号の送受信の成功確率を上昇させることができる。また、車両Cの速度が速い場合、前回検出したタイヤ3の空気圧の差分を示す信号を送受信することにより、車載無線機2及び車載通信装置1が送受信する信号の情報量を低減することができ、信号の送受信の成功確率を上昇させると共に、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
また、タイヤの空気圧に係る情報を圧縮することによって、車載無線機2及び車載通信装置1の間で送受信されるタイヤの空気圧に係る信号の情報量を更に削減することができる。
【0058】
なお、実施形態1では、車載通信装置1から送信された車速情報に基づいて、車載無線機2がタイヤ3の空気圧の絶対値を送信すべきか、差分を送信すべきかを判断する例を説明したが、車載通信装置1側でその判断を行うように構成しても良い。具体的には、車載通信装置1は、取得した車速情報に基づいて空気圧の差分を要求すべきか否かを判定する。また、車載通信装置1は、車載無線機2に設けられた加速度センサにて検出した加速度情報を取得し、取得した加速度情報に基づいて空気圧の差分を要求すべきか否かを判定するようにしても良い。車載通信装置1は、絶対値を要求すべきと判断した場合、タイヤ3の空気圧を示す信号の送信を要求する第1要求信号を送信し、差分を要求すべきと判断した場合、タイヤ3の空気圧の差分を示す信号の送信を要求する第2要求信号を送信する。車載無線機2は、第1要求信号を受信した場合、タイヤ3の空気圧を示す信号を車載通信装置1へ送信し、第2要求信号を受信した場合、差分を示す信号を車載通信装置1へ送信する。
また、車載通信装置1から送信された車速情報に基づいて、車載無線機2がタイヤ3の空気圧の絶対値を送信すべきか、差分を送信すべきかを判断する例を説明したが、自身に設けられた加速度センサにて検出した加速度情報、又は車載通信装置1から送信された加速度情報に基づいて、車載無線機2がタイヤ3の空気圧の絶対値を送信すべきか、差分を送信すべきかを判断するように構成しても良い。なお、車載通信装置1は、車両に搭載された図示しない加速度センサから加速度情報を取得し、取得した加速度情報を車載無線機2へ送信することができる。
【0059】
また、実施形態1では、タイヤ3の空気圧に係る信号の送信周期及び送信タイミングを車載通信装置1が管理する例を説明したが、車載無線機2が前記信号の送信周期及び送信タイミングを管理するように構成しても良い。具体的には、車載通信装置1は車速情報を車載無線機2へ送信し、車載無線機2が車速情報に基づいて送信頻度を決定すれば良い。また、送信タイミングは、センサ制御部21が計時部26を用いて判断すれば良い。
【0060】
(実施形態2)
実施形態2に係るタイヤ空気圧監視システムの構成は実施形態1と同様であり、車載無線機2及び車載通信装置1の処理手順のみが実施形態1と異なるため、以下では、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
図6は実施形態2に係る車載通信装置1の処理手順を示すフローチャートである。実施形態2に係る車載通信装置1は、実施形態1におけるステップS11〜ステップS20と同様の処理をステップS211〜ステップS220にて実行する。ステップS218において、制御部11は受信した信号が、前回検出した空気圧との差分を示したものであるか否かを判定する(ステップS218)。受信した信号が空気圧の差分を示したもので無いと判定した場合(ステップS218:NO)、制御部11は、受信した信号が所定信号であるか否かを判定する(ステップS221)。所定信号は、前回検出した空気圧からの差分が閾値未満である場合に車載無線機2から送信される信号である。該所定信号の情報量は、空気圧の差分を示す信号よりも情報量が小さい。
【0062】
受信した信号が所定信号であると判定した場合(ステップS221:YES)、制御部11は、記憶部12が記憶する空気圧の値を、今回検出された空気圧として記憶部12に記憶させ(ステップS223)、処理をステップS211へ戻す。
【0063】
受信した信号が所定信号で無いと判定した場合(ステップS221:NO)、制御部11は、受信した信号が空気圧の絶対値を示すものであるか否かを判定する(ステップS222)。受信した信号が空気圧の絶対値を示したもので無いと判定した場合(ステップS222:NO)、制御部11は処理をステップS211へ戻す。受信した信号が空気圧の絶対値を示すものであると判定した場合(ステップS222:YES)、制御部11は、受信した信号が示す空気圧の絶対値を記憶部12に記憶させ(ステップS220)、処理をステップS211へ戻す。
【0064】
図7は実施形態2に係る車載無線機2の処理手順を示すフローチャートである。実施形態2に係るセンサ制御部21は、実施形態1におけるステップS31〜35と同様の処理をステップS231〜ステップS235にて実行する。ステップS236で空気圧の差分を算出したセンサ制御部21は、算出して得た差分が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS237)。該閾値は特定の値に限定されるものでは無く、車載通信装置1が監視する空気圧に求められる精度によって適宜決定すれば良い。
【0065】
ステップS236にて算出した差分が閾値以上であると判定した場合(ステップS237:NO)、センサ制御部21は、算出して得た差分を示す信号をセンサ送信部23にて車載通信装置1へ送信し(ステップS238)、処理をステップS231へ戻す。算出して得た差分が閾値未満であると判定した場合(ステップS237:YES)、センサ制御部21は、所定信号をセンサ送信部23にて車載通信装置1へ送信し(ステップS239)、処理をステップS231へ戻す。
【0066】
このように構成された実施形態2に係るタイヤ空気圧監視システムによれば、センサ記憶部12が記憶する過去の空気圧と、新たに検出された空気圧との差分が閾値未満である場合、車載無線機2は、差分を示す信号よりも更に情報量が少ない所定信号を車載通信装置1へ送信する。このため、車載無線機2及び車載通信装置1の間で送受信されるタイヤ3の空気圧に係る信号の情報量を更に削減することができる。従って、タイヤ3の空気圧に係る信号の送受信の成功確率を上昇させると共に、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
【0067】
(実施形態3)
実施形態3に係るタイヤ空気圧監視システムの構成は実施形態1と同様であり、車載無線機2及び車載通信装置1の処理手順のみが実施形態1と異なるため、以下では、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
図8は実施形態3に係る車載無線機2の処理手順を示すフローチャートである。実施形態3に係るセンサ制御部21は、実施形態1におけるステップS31〜33と同様の処理をステップS331〜ステップS333にて実行する。ステップS333の処理を終えたセンサ制御部21は、ステップS332にて取得したタイヤ3の空気圧が所定圧力範囲内であるか否かを判定する(ステップS334)。所定圧力範囲は、タイヤ3の適正な空気圧の範囲であり、特段の警告が不要な空気圧の範囲である。ステップS332で検出された空気圧が所定圧力範囲内であると判定した場合(ステップS334:YES)、センサ制御部21は所定信号を車載通信装置1へ送信し(ステップS335)、処理をステップS331へ
戻す。所定信号の情報量は、空気圧の差分を示す信号よりも情報量が小さい。ステップS332で検出された空気圧が所定圧力範囲外であると判定した場合(ステップS334:NO)、センサ制御部21は、実施形態1におけるステップS34〜ステップS37と同様の処理をステップS336〜ステップS339にて実行する。
【0069】
車載通信装置1の処理内容は実施形態2と同様であり、車載無線機2から送信された所定信号を受信した場合、制御部11は、記憶部12が記憶する空気圧の値を、今回検出された空気圧として記憶部12に記憶させれば良い。なお、所定信号を受信した後、差分を示す信号を受信した場合、実際の空気圧と異なる値が算出されることがあるが、車両Cの速度が低速になった際に、制御部11は正しい空気圧の絶対値を取得し記憶部12に記憶させることができるため、特に問題では無い。また、空気圧が所定圧力範囲外にあり、タイヤ3の空気圧を継続的に監視する必要がある場合、所定信号は送信されないため、このような問題は生じない。
【0070】
このように構成された実施形態3に係るタイヤ空気圧監視システムによれば、検出された空気圧が所定圧力範囲内である場合、車載無線機2は、差分を示す信号よりも更に情報量が少ない所定信号を車載通信装置1へ送信する。このため、車載無線機2及び車載通信装置1の間で送受信されるタイヤ3の空気圧に係る信号の情報量を更に削減することができる。従って、タイヤ3の空気圧に係る信号の送受信の成功確率を上昇させ、処理遅延及び空気圧情報の信頼度の低下を防止することができる。
【0071】
なお、実施形態3を実施形態1の変形例として説明したが、本実施形態2及び3を組み合わせてタイヤ空気圧監視システムを構成しても良い。