特許第6511891号(P6511891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511891
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】車両後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20190425BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   B62D25/08 M
   B62D25/20 K
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-56688(P2015-56688)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-175516(P2016-175516A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】是石 智正
(72)【発明者】
【氏名】福住 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 佳祐
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−054783(JP,U)
【文献】 特開2012−236480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネル及びインナパネルによって構成されているロアバックリインフォースメントと、車両前後方向における後端が前記アウタパネルに結合されているリアサイドメンバと、前記ロアバックリインフォースメント及び前記リアサイドメンバの双方に結合されているガセットと、を備え、
前記インナパネルは、前記アウタパネルに結合される第1の段差部と、同第1の段差部よりも下方に位置するとともに同アウタパネルに結合される第2の段差部と、上下方向において前記第1の段差部と前記第2の段差部との間に位置し、同アウタパネルから車両前方に離れている中間部と、同中間部の下端と前記第2の段差部の上端とを接続している接続部と、を有し、
前記アウタパネルは、前記インナパネルの前記第2の段差部と結合される部分よりも下方且つ車両前方に位置するガセット結合部を有し、
前記ガセットは、前記リアサイドメンバに結合されるメンバ結合部と、前記インナパネルの前記中間部に結合される中間結合部と、前記インナパネルの前記接続部を支持する支持部と、前記インナパネルの前記第2の段差部に接触し、同第2の段差部と共に前記アウタパネルに結合される段差結合部と、前記アウタパネルの前記ガセット結合部に結合されるアウタ結合部と、前記段差結合部の下端と前記アウタ結合部の上端とを接続している傾斜部と、を有し、
前記支持部が下方側ほど車両後方に位置するように傾斜しており、前記傾斜部が下方側ほど車両前方に位置するように傾斜している
車両後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される車両後部構造は、車両幅方向に延びるロアバックリインフォースメントと、車両前後方向に延びるリアサイドメンバとを備えている。ロアバックリインフォースメントはロアバックアウタパネルとロアバックインナパネルとによって構成されている。
【0003】
また、ロアバックインナパネルは、第1の段差部と、同第1の段差部よりも下方に位置する第2の段差部とを有しており、第1の段差部及び第2の段差部の双方がロアバックアウタパネルに結合されている。また、ロアバックインナパネルにおいて第1の段差部と第2の段差部との間には、ロアバックアウタパネルから車両前方に離れている中間部が設けられている。すなわち、ロアバックリインフォースメントは、中空構造となっている。そして、ロアバックリインフォースメントよりも下側のロアバックアウタパネルに、リアサイドメンバの後端が結合されている。
【0004】
また、上記の車両後部構造は、リアサイドメンバに結合されるとともにロアバックインナパネルの中間部に結合されるガセットを備えている。これにより、リアサイドメンバとロアバックリインフォースメントとを結合し、車両後部の剛性を高めることができる。また、このように車両後部の剛性を高めることにより、車両の操縦安定性を高めることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−30951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の車両後部構造では、ガセットによってリアサイドメンバとロアバックリインフォースメントとを結合し、車両後部の剛性及び車両の操縦安定性をある程度高めることはできるものの、その効果は十分とは言い難かった。
【0007】
本発明の目的は、車両後部の剛性をさらに高めるとともに、車両の操縦安定性を高めることができる車両後部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための車両後部構造は、アウタパネル及びインナパネルによって構成されているロアバックリインフォースメントと、車両前後方向における後端がアウタパネルに結合されているリアサイドメンバと、ロアバックリインフォースメント及びリアサイドメンバの双方に結合されているガセットと、を備えている。同車両後部構造において、インナパネルは、アウタパネルに結合される第1の段差部と、同第1の段差部よりも下方に位置するとともに同アウタパネルに結合される第2の段差部と、上下方向において第1の段差部と第2の段差部との間に位置し、同アウタパネルから車両前方に離れている中間部と、同中間部の下端と第2の段差部の上端とを接続している接続部と、を有している。また、同車両後部構造において、ガセットは、リアサイドメンバに結合されるメンバ結合部と、インナパネルの中間部に結合される中間結合部と、インナパネルの接続部を支持する支持部と、インナパネルの第2の段差部に接触し、同第2の段差部と共にアウタパネルに結合される段差結合部と、を有している。
【0009】
上記構成によれば、ガセットは、ロアバックリインフォースメントを構成するインナパネル及びリアサイドメンバだけではなく、インナパネルの第2の段差部を通じてアウタパネルにも結合されている。すなわち、ガセットの鍔結合部と、インナパネルの第2の段差部と、アウタパネルとが3つ重なった状態で結合されている。このように結合部分に厚みを持たせることにより、車両後部の剛性をさらに高めることができる。しかも、ガセットがインナパネルの接続部を支持しているため、同インナパネルが下方に変位しにくくなっている。そのため、ロアバックリインフォースメントの変形が抑制され、車両の操縦安定性も高めることができる。したがって、車両後部の剛性をさらに高めるとともに、車両の操縦安定性を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両後部構造の一実施形態の一部を模式的に示す斜視図。
図2】同車両後部構造の一部を示す断面図。
図3】同車両後部構造を構成するガセットを示す斜視図。
図4】同車両後部構造の一部を示す断面図。
図5】別の実施形態の車両後部構造の一部を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両後部構造を具体化した一実施形態を図1図4に従って説明する。
図1に示すように、車両後部構造は、車両幅方向に延びているロアバックリインフォースメント10と、車両前後方向に延びるリアサイドメンバ30とを備えている。車体内には、車両幅方向における両側にリアサイドメンバ30が配置されている。そして、これら各リアサイドメンバ30は、ガセット40を通じてロアバックリインフォースメント10に結合されている。
【0012】
リアサイドメンバ30は、フロアパネル50上に配置されている。こうしたリアサイドメンバ30は、車両前後方向に延びる上壁31と、上壁31の車両幅方向における両端から下方に延出している側壁32とを有している。そして、これら各側壁32の下端が、フロアパネル50に結合されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、ロアバックリインフォースメント10は、ロアバックアウタパネル11の一部とロアバックインナパネル20とによって構成されている。そして、ロアバックアウタパネル11において、ロアバックリインフォースメント10を構成している部分よりも下側の部分に、リアサイドメンバ30の車両前後方向における後端が結合されている。すなわち、ロアバックインナパネル20は、ロアバックアウタパネル11とリアサイドメンバ30との結合部分よりも上方に配置されている。
【0014】
ロアバックインナパネル20は、車両幅方向に延びる第1の段差部21と、第1の段差部21よりも下方に位置し、車両幅方向に延びる第2の段差部22とを有している。第1の段差部21はロアバックアウタパネル11に面接触するとともに、第2の段差部22はロアバックアウタパネル11に面接触している。そして、第1の段差部21がロアバックアウタパネル11に結合されているとともに、第2の段差部22がロアバックアウタパネル11に結合されている。
【0015】
また、ロアバックインナパネル20は、上下方向において第1の段差部21と第2の段差部22との間に位置する中間部23を有している。この中間部23は、ロアバックアウタパネル11から車両前方に離れており、ロアバックアウタパネル11と接触していない。すなわち、ロアバックリインフォースメント10は、中空構造となっている。また、ロアバックインナパネル20は、中間部23の下端と第2の段差部22の上端とを接続している接続部24を有している。この接続部24は、上側ほど車両前方に位置するように傾斜した形状となっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、ガセット40は、リアサイドメンバ30の上壁31に面接触する第1のフランジ部41と、リアサイドメンバ30の側壁32に面接触する一対の第2のフランジ部42とを有している。すなわち、ガセット40は、リアサイドメンバ30の車両幅方向における外側の側壁32に面接触する第2のフランジ部42と、リアサイドメンバ30の車両幅方向における内側の側壁32に面接触する第2のフランジ部42とを有している。そして、第1のフランジ部41はリアサイドメンバ30の上壁31に結合されているとともに、各第2のフランジ部42はリアサイドメンバ30の側壁32に結合されている。したがって、本実施形態では、第1のフランジ部41及び一対の第2のフランジ部42により、「メンバ結合部」の一例が構成される。
【0017】
また、ガセット40は、ロアバックインナパネル20の中間部23に面接触する中間結合部としての第3のフランジ部43を有している。そして、第3のフランジ部43は、中間部23に結合されている。
【0018】
また、図3及び図4に示すように、ガセット40の車両幅方向における両端には、下側ほど車両後方に位置するように傾斜している支持部としての第4のフランジ部44が設けられている。これら各第4のフランジ部44は、第3のフランジ部43の車両幅方向における両端に接続されている。こうした各第4のフランジ部44は、ロアバックインナパネル20の接続部24に面接触しており、接続部24を下側から支持している。すなわち、第4のフランジ部44は、下側ほど車両後方に位置するように傾斜した形状となっている。
【0019】
また、ガセット40は、第4のフランジ部44の下端に接続されている一対の第5のフランジ部45を有している。これら各第5のフランジ部45は、ロアバックインナパネル20の第2の段差部22に面接触している。そして、各第5のフランジ部45は、第2の段差部22に結合されている。ロアバックインナパネル20の第2の段差部22は、ロアバックアウタパネル11にも結合されているため、第5のフランジ部45は、第2の段差部22と共にロアバックアウタパネル11に結合されている。この点で、本実施形態の車両後部構造では、第5のフランジ部45により、「段差結合部」の一例が構成される。
【0020】
また、ガセット40には、第5のフランジ部45よりも下方に位置する一対の第6のフランジ部46が設けられている。これら各第6のフランジ部46は、第5のフランジ部45よりも車両前方に位置しており、ロアバックアウタパネル11に面接触している。そして、各第6のフランジ部46は、ロアバックアウタパネル11に結合されている。
【0021】
なお、ガセット40には、第5のフランジ部45の下端と第6のフランジ部46の上端とを連結する第7のフランジ部47が設けられている。これら各第7のフランジ部47は、下側ほど車両前方に位置するように傾斜した形状となっている。すなわち、第3のフランジ部43、第4のフランジ部44、第5のフランジ部45、第7のフランジ部47及び第6のフランジ部46により、一つのフランジFLが形成されている。そして、こうしたフランジFLにあっては、車両前後方向における位置の異なる2つの部位と、これらを連結する部位とで段差が設けられている。こうしたフランジFLをガセット40に設けることにより、車両前後方向への振動に対するガセット40の剛性が大きくなっている。
【0022】
次に、本実施形態の車両後部構造の作用について説明する。
ガセット40がリアサイドメンバ30、ロアバックインナパネル20及びロアバックアウタパネル11に結合されているため、リアサイドメンバ30とロアバックリインフォースメント10とが結合され、車両後部の剛性が高くなっている。そのため、車両後部構造に衝撃が入力されたとしても、リアサイドメンバ30とロアバックアウタパネル11との相対的な位置関係が変化しにくい。
【0023】
本実施形態の車両後部構造では、ガセット40の第5のフランジ部45、ロアバックインナパネル20の第2の段差部22、及び、ロアバックアウタパネル11が3つ重なり、このように3つの部材が重なっている部分が結合されている。このようにガセット40とロアバックアウタパネル11との結合部分に厚みを持たせることにより、リアサイドメンバ30とロアバックリインフォースメント10との相対的な位置関係がさらに変化しにくくなっている。
【0024】
また、ロアバックインナパネル20の接続部24が、ガセット40によって下側から支持されている。これにより、ロアバックインナパネル20の下方への変位が抑制される。そのため、ロアバックリインフォースメント10が変形しにくくなる。
【0025】
また、ロアバックリインフォースメント10に車両前後方向への振動が入力された場合、ロアバックリインフォースメント10は、車両幅方向における両端を節とし、車両幅方向における中央を腹として車両前後方向に振動するようになる。そして、ロアバックリインフォースメント10の車両幅方向における両側にガセット40を結合させることにより、ロアバックリインフォースメント10の車両前後方向における振動幅を小さくすることができる。しかも、本実施形態の車両後部構造を構成するガセット40は、車両前後方向への振動に対する剛性が大きい構造となっている。そのため、一対のガセット40によるロアバックリインフォースメント10の車両前後方向への振動の抑制効果が大きくなる。したがって、ロアバックリインフォースメント10の車両前後方向への振動幅がより狭くなる。
【0026】
以上、上記構成及び作用によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ガセット40は、ロアバックインナパネル20及びリアサイドメンバ30だけではなく、ロアバックインナパネル20の第2の段差部22を通じてロアバックアウタパネル11にも結合されている。ガセット40の第5のフランジ部45と、ロアバックインナパネル20の第2の段差部22と、ロアバックアウタパネル11とが3つ重なった状態で結合されている。このようにガセット40とロアバックアウタパネル11との結合部分に厚みを持たせることにより、車両後部の剛性をさらに高めることができる。
【0027】
また、ロアバックインナパネル20の下方への変位をガセット40によって規制しているため、ロアバックリインフォースメント10の変形が抑制され、車両の操縦安定性も高めることができる。したがって、車両後部の剛性をさらに高めるとともに、車両の操縦安定性を高めることができる。
【0028】
(2)ガセット40は、車両前後方向への振動に対する剛性が大きい構造となっているため、当該ガセット40をロアバックリインフォースメント10に結合させることにより、ロアバックリインフォースメント10の車両前後方向への振動の抑制効果をより大きくすることができる。その結果、車両後部の振動騒音特性をより向上させることができる。
【0029】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・ガセット40がロアバックインナパネル20の第2の段差部22と共にロアバックアウタパネル11に結合されているため、第6のフランジ部46をロアバックアウタパネル11に結合させなくてもよい。また、ガセット40は、ロアバックアウタパネル11に直接結合される第6のフランジ部46を有しない構成であってもよい。
【0030】
図5に示すように、リアサイドメンバ30がフロアパネル50よりも下側に位置していることがある。この場合、フロアパネル50を間に挟んだ状態でガセット40をリアサイドメンバ30に結合させることが好ましい。こうした構成であっても、ロアバックインナパネル20の第2の段差部22に結合される第5のフランジ部45と、接続部24を下側から支持する第4のフランジ部44とをガセット40に設けることにより、上記(1)及び(2)と同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
10…ロアバックリインフォースメント、11…ロアバックアウタパネル、20…ロアバックインナパネル、21…第1の段差部、22…第2の段差部、23…中間部、24…接続部、30…リアサイドメンバ、40…ガセット、41…メンバ結合部を構成する第1のフランジ部、42…メンバ結合部を構成する第2のフランジ部、43…中間結合部としての第3のフランジ部、44…支持部としての第4のフランジ部、45…段差結合部としての第5のフランジ部。
図1
図2
図3
図4
図5