(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
異なる2種類以上のガスを含む混合ガスを各ガスに分離する方法として、膜に対するガスの透過速度の差を利用した膜分離法が知られている。この方法では、透過ガス又は非透過ガスを回収することにより、目的ガスである高純度の高透過性ガス又は高純度の低透過性ガスを得ることができる。混合ガスに含まれる各ガスの膜に対する単位膜面積・単位時間・単位分圧差あたりの透過体積である透過速度は、P’(単位は、×10
−5cm
3(STP)/cm
2・sec・cmHg)で表すことができる。また、膜のガス分離選択性は、高透過性ガスの透過速度と低透過性ガスの透過速度との比、(高透過性ガスの透過速度/低透過性ガスの透過速度)、で表すことができる。
【0003】
一般にガス分離膜は、ガス分離選択性の高い膜はガス(特に高透過性ガス)の透過速度が低く、反対にガス(特に高透過性ガス)の透過速度が高い膜はガス分離選択性が低い。したがって、一段のガス分離膜を用いて混合ガスから低透過性ガスを回収する場合、回収するガスの純度が一定のときには、ガス分離選択性が高い膜を用いた場合、回収率は高くなる。しかし、ガスの透過速度が低いため、膜面積を大きくするか、又は運転圧力を高くする必要がある。一方、ガスの透過速度が高い膜は、膜面積を大きくしたり、運転圧力を高くする必要はないが、ガス分離選択性が低いため、回収率が低くなる。
【0004】
一般に、ガス分離膜は、ガス選択透過性を有するガス分離膜を、少なくともガス入口、透過ガス排出口、非透過ガス排出口が備えられている容器内に収容してなるガス分離膜モジュールとして使用されている。ガス分離膜は、そのガス供給側とガス透過側の空間が隔離されるように、容器内に装着されている。ガス分離システムにおいては、所要の膜面積とするために、一般に複数のガス分離膜モジュールを並列に組み合わせたガス分離膜ユニットとして使用される。ガス分離膜ユニットを構成する複数のガス分離膜モジュールは、ガス入口、非透過ガス排出口、透過ガス排出口を共用するため、ガス分離膜ユニットは、実質的に膜面積が大きいガス分離膜モジュールとして作用する。
目的とする低透過性ガスを高純度かつ高回収率で回収するために、このガス分離膜ユニットを多段階に備えたガス分離システムを用いる方法が知られている。透過速度の高い膜を用いた場合には、ガスの分離選択性が低いため、ガス分離システムにおけるガスの循環量が増える。従ってこの場合、純度及び回収率を維持するために、ガス圧縮の動力が大きくなる。逆に、ガス分離選択性が高い膜を用いた場合には、ガス圧縮の動力が小さくて済むが、高透過性ガスの透過速度が低いため、膜面積を大きくする必要がある。
【0005】
多段階のガス分離膜ユニットに関し、例えば特許文献1には、3つのガス分離膜ユニットを備えたガス分離法が提案されている。特許文献1に記載のガス分離法においては、分離の対象となる混合ガスを、圧縮機を介して第1ガス分離膜ユニットに供給する。そして、第1ガス分離膜ユニットから排出された非透過ガスを第2ガス分離膜ユニットに供給するとともに、第1ガス分離膜ユニットから排出された透過ガスを第3ガス分離膜ユニットに供給している。更に第2ガス分離膜ユニットから排出された透過ガス、及び第3ガス分離膜ユニットから排出された非透過ガスを、圧縮機の吸込側の位置に帰還させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1に記載の技術においては、第2圧縮手段がないため、第3ガス分離膜ユニットを相対的に低い圧力で運転することに起因して、所定純度のガスを得るためには、第3ガス分離膜ユニットにおける膜面積を大きく、例えば膜モジュール本数を多くする必要がある。また、リサイクルにおいても、第3ガス分離膜ユニットから排出される非透過ガスを、それが如何なる圧力になろうと圧縮機の吸込側に戻さざるを得ず、所要圧縮動力が大きくなってしまう。その上、システム全体の膜面積が大きく、例えば膜モジュール本数も多くなってしまう。
【0008】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るガス分離システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決すべく本発明者は鋭意検討した結果、3つのガス分離膜ユニットを備えたガス分離装置において、第1ガス分離膜ユニットから排出された透過ガスを第3ガス分離膜ユニットに供給するときに、該透過ガスを圧縮することで、第3ガス分離膜ユニットを相対的に高い圧力で運転でき、システム全体の所要圧縮動力を低減させることができ、またシステム全体の膜面積、例えば膜モジュール本数も低減させ得ることを知見した。
【0010】
本発明は前記の知見に基づきなされたものであり、
互いに異なる2種のガスを少なくとも含む原料混合ガスをガス分離膜ユニットに供給し、原料混合ガスに含まれるガスのうちの少なくとも一種を濃縮富化するガス分離システムであって、
前記ガス分離膜ユニットが、第1ガス分離膜ユニット、第2ガス分離膜ユニット及び第3ガス分離膜ユニットを備え、
各ガス分離膜ユニットは、ガス入口、透過ガス排出口及び非透過ガス排出口を少なくとも備え、
第1ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口と、第2ガス分離膜ユニットのガス入口とを第1非透過ガス排出ラインによって連結し、
第1ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口と、第3ガス分離膜ユニットのガス入口とを透過ガス排出ラインによって連結し、
第2ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口に接続する第2非透過ガス排出ラインを設け、該第2非透過ガス排出ラインは、該非透過ガス排出口から排出された非透過ガスが流通する流通路と、該非透過ガス排出口から排出され該流通路を流通した非透過ガスを排出するライン排出口とを有しており、
第1ガス分離膜ユニットのガス入口に、原料混合ガス供給ラインを連結するとともに、該原料混合ガス供給ラインの途中に第1圧縮手段を介在配置し、
前記透過ガス排出ラインの途中に第2圧縮手段を介在配置し、
第2ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口と、前記原料混合ガス供給ラインにおける第1圧縮手段の吸込側の位置とを、透過ガス帰還ラインによって連結し、更に
第3ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口と、第2ガス分離膜ユニットの第2非透過ガス排出ラインにおける前記の流通路とを、非透過ガス合流ラインによって連結し、
第2非透過ガス排出ラインのライン排出口及び第3ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口の少なくとも一方から、濃縮富化されたガスを取り出すようにした、ガス分離システムを提供することにより前記の課題を解決したものである。
【0011】
また本発明は、互いに異なる2種のガスを少なくとも含む原料混合ガスをガス分離システムに供給し、該ガス分離システムを運転することによって、該原料混合ガスに含まれるガスのうちの少なくとも一種が濃縮富化された富化ガスを製造する富化ガスの製造方法であって、
ガス分離システムとして、第1ガス分離膜ユニット、第2ガス分離膜ユニット及び第3ガス分離膜ユニットを有し、各ガス分離膜ユニットに、ガス入口、透過ガス排出口及び非透過ガス排出口を設け、第1ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口と、第2ガス分離膜ユニットのガス入口とを非透過ガス排出ラインによって連結し、第1ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口と、第3ガス分離膜ユニットのガス入口とを透過ガス排出ラインによって連結し、第2ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口に接続する第2非透過ガス排出ラインを設け、該第2非透過ガス排出ラインは、該非透過ガス排出口から排出された非透過ガスが流通する流通路と、該非透過ガス排出口から排出され該流通路を流通した非透過ガスを排出するライン排出口とを有しており、第1ガス分離膜ユニットのガス入口に、原料混合ガス供給ラインを連結するとともに、該原料混合ガス供給ラインの途中に第1圧縮手段を介在配置し、前記透過ガス排出ラインの途中に第2圧縮手段を介在配置し、第2ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口と、前記原料混合ガス供給ラインにおける第1圧縮手段の吸込側の位置とを、透過ガス帰還ラインによって連結し、更に第3ガス分離膜ユニットの非透過ガス排出口と、第2ガス分離膜ユニットの第2非透過ガス排出ラインにおける前記の流通路とを、非透過ガス合流ラインによって連結したガス分離システムを用い、
原料混合ガスを、原料混合ガス供給ラインを通じて第1ガス分離膜ユニットに供給し、第2非透過ガス排出ラインのライン排出口及び第3ガス分離膜ユニットの透過ガス排出口の少なくとも一方から、濃縮富化されたガスを取り出す、富化ガスの製造方法を提供することにより前記の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、システム全体の膜面積、例えば膜モジュール本数を低減させることができる。また、第3ガス分離膜ユニットから排出された非透過ガスは相対的に高い圧力を持つので、リサイクルにおいて、このガスを、第1圧縮手段を介して相対的に高い圧力を持った、第2ガス分離膜ユニットの第2非透過ガス排出ラインに合流させることにより、システム全体の所要圧縮動力を低減させることもできる。特に、運転時に第2ガス分離膜ユニット12のガスの透過速度が第3ガス分離膜ユニット13よりも高く、第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性が、第2ガス分離膜ユニット12よりも高くなるようになされていることで、ガス回収率を高いレベルに維持しつつ、第2ガス分離膜ユニットの膜面積、例えば膜モジュール本数を更に減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、
図1及び
図2に基づき、本発明の好ましい実施形態であるガス分離システム10及びこれを用いて富化ガスを製造する本発明の好ましい実施態様について説明する。
図1に示すように、本実施形態のガス分離システム10は、3つのガス分離膜ユニットである第1ガス分離膜ユニット11、第2ガス分離膜ユニット12、及び第3ガス分離膜ユニット13を備えている。各ガスユニット11,12,13としては、例えば、
図2に示すとおり、中空糸膜等からなり、ガス選択透過性を有するガス分離膜30をケーシング31内に収容してなるモジュール40を用いることができる。本実施形態の各ガス分離膜ユニット11,12,13は、
図2に示すガス分離膜モジュール40を一本用いたものであるか、或いは、このモジュール40を複数本並列してなるものである。モジュール40におけるケーシング31は、対向する二面が開口して開口部32を形成している。この開口部32は、ガス分離膜30をケーシング31内に挿入するためのものであり、ガス分離膜30の開口部ではない点に留意すべきである。ガス分離膜30は、この開口部32を通じてケーシング31内に収容される。ガス分離膜30が中空糸膜束からなる場合、該ガス分離膜30はその収容状態において、ケーシング31の各開口部32の付近において中空糸膜の各端部が開口するように、ケーシング31内に収容される。
【0015】
ガス分離膜30がケーシング31内に収容された状態においては、中空糸膜の延びる方向であるY方向の両端部の位置において、ガス分離膜30が管板33,34によってケーシング31の内壁に固定されている。ケーシング31の各開口部32は、蓋体35,36によって閉塞されている。蓋体35にはガス入口37が設けられている。一方、蓋体36には非透過ガス排出口38が設けられている。分離対象となる混合ガスは、蓋体35のガス入口37からモジュール内(すなわちユニット内)に導入される。導入されたガスのうち、ガス分離膜30を透過したガスは、ケーシング31に設けられた透過ガス排出口39からモジュール外(すなわちユニット外)に排出される。一方、ガス分離膜30を透過しなかった非透過ガスは、蓋体36の非透過ガス排出口38からモジュール外(すなわちユニット外)に排出される。また、場合によっては、ケーシング31にパージガスの供給口(図示せず)を設けてもよい。以上、
図2の分離膜モジュールを例に挙げて説明したが、当然ながら、本発明は他の構成の分離膜モジュールにも応用可能であり、例えば、シェルフィード型のモジュールやスパイラル型モジュールにも応用できる。
【0016】
図1に戻ると、同図に示すとおり、第1ガス分離膜ユニット11と、第2ガス分離膜ユニット12とが直列に接続されている。具体的には、第1ガス分離膜ユニット11と、第2ガス分離膜ユニット12とは、第1ガス分離膜ユニット11の非透過ガス排出口11bと、第2ガス分離膜ユニット12のガス入口12aとを第1非透過ガス排出ライン14によって連結することで接続されている。
【0017】
また
図1に示すとおり、第1ガス分離膜ユニット11と、第3ガス分離膜ユニット13とが直列に接続されている。具体的には、第1ガス分離膜ユニット11と、第3ガス分離膜ユニット13とは、第1ガス分離膜ユニット11の透過ガス排出口11cと、第3ガス分離膜ユニット13のガス入口13aとを透過ガス排出ライン15によって連結することで接続されている。
【0018】
第1ガス分離膜ユニット11のガス入口11aには、原料である混合ガス源(図示せず)からの原料混合ガスを第1ガス分離膜ユニット11へ供給するための原料混合ガス供給ライン16が連結されている。原料混合ガス供給ライン16の途中には、第1圧縮手段21が介在配置されている。第1圧縮手段21は、混合ガス源から供給された混合ガスを加圧する目的で設置されている。また、第2ガス分離膜ユニット12から排出された透過ガスを、第1ガス分離膜ユニット11に帰還させるときに、該透過ガスを加圧する目的で設置されている。
【0019】
更に第2ガス分離膜ユニット12の非透過ガス排出口12bに接続する第2非透過ガス排出ライン19が設けられている。第2非透過ガス排出ライン19は第2ガス分離膜ユニット12の非透過ガス排出口12bから排出された非透過ガスが流通する流通路19cと、非透過ガス排出口12bから排出された流通路19cを流通した非透過ガスが排出されるライン排出口19bとを有する。つまり、第2非透過ガス排出ライン19において、流通路19cは、非透過ガス排出口12bとの接続部19aと、ライン排出口19bとの間に存在する。
図1に示す例では、第2非透過ガス排出ライン19はその一端部に接続部19aを有し、他端部にライン排出口19bを有している。
【0020】
本実施形態のガス分離システム10は、第1圧縮手段21に加えて、第2圧縮手段22も備えている。この第2圧縮手段22は、上述した透過ガス排出ライン15の途中に介在配置されている。第2圧縮手段22は、第1ガス分離膜ユニット11の透過ガス排出口11cから排出された透過ガスを加圧して、第3ガス分離膜ユニット13に供給する目的で設置されている。
【0021】
第2ガス分離膜ユニット12においては、その透過ガス排出口12cが、透過ガス帰還ライン17によって、原料混合ガス供給ライン16における第1圧縮手段21の吸込側の位置と連結している。一方、第3ガス分離膜ユニット13においては、その非透過ガス排出口13bが、非透過ガス合流ライン26によって、第2ガス分離膜ユニット12の第2非透過ガス排出ライン19における流通路19c、つまり上記の接続部19aとライン排出口19bとの間の位置と連結している。
【0022】
以上の構成を有する本実施形態のガス分離システム10の動作について説明する。分離対象となる原料混合ガスは、混合ガス源(図示せず)から原料混合ガス供給ライン16を通じて第1ガス分離膜ユニット11に供給される。供給に先立ち、混合ガスは、第1圧縮手段21によって加圧され、その圧力が上昇する。第1圧縮手段21としては、当該技術分野においてこれまで用いられてきた手段と同様のものを用いることができる。例えばコンプレッサ(圧縮機)を用いることができる。
【0023】
混合ガスは、分離対象となる異なる2種類のガスであるガスA及びガスBを少なくとも含むものである。ガスA及びガスBの種類に特に制限はない。第1圧縮手段21によって加圧された状態の混合ガスが第1ガス分離膜ユニット11に供給されると、ガス分離膜に対する透過速度の相違に起因して、ガス分離膜を透過したガスである透過ガスと、ガス分離膜を透過しなかったガスである非透過ガスとに分離される。以下の説明では、便宜的にガスAを、ガス分離膜に対する透過速度の大きいガス、つまり高透過性ガスとし、ガスBを、ガス分離膜に対する透過速度の小さいガス、つまり低透過性ガスとする。第1ガス分離膜ユニット11から排出された非透過ガスは、原料である混合ガスに比べてガスBが濃縮されたものである。非透過ガスは、第1ガス分離膜ユニット11の非透過ガス排出口11bから排出され、第1非透過ガス排出ライン14を通じて第2ガス分離膜ユニット12に供給される。一方、第1ガス分離膜ユニット11からの透過ガスは、原料である混合ガスに比べてガスAが濃縮されたものである。透過ガスは、第1ガス分離膜ユニット11の透過ガス排出口11cから排出され、透過ガス排出ライン15を通じて第3ガス分離膜ユニット13に供給される。
【0024】
第1ガス分離膜ユニット11の透過ガス排出口11cから排出された透過ガスは、第3ガス分離膜ユニット13に導入されるのに先立ち、第2圧縮手段22によって加圧され、その圧力が上昇する。そして透過ガスは、加圧された状態で、第3ガス分離膜ユニット13に導入される。これによって第3ガス分離膜ユニット13を、相対的に高い圧力で運転することができる。このことに起因して、第3ガス分離膜ユニット13における膜面積、例えばモジュール本数を低減させることができるという有利な効果が奏される。例えば
図2に示すような中空糸膜モジュールを並列に複数組み合わせて第3ガス分離膜ユニット13を構成する場合には、膜モジュールの本数を低減させることができる。
【0025】
第3ガス分離膜ユニット13に導入されたガス(このガスは、ガスAが富化されている。)は、同ユニット13によって透過ガスと非透過ガスとに分離される。透過ガスは、第3ガス分離膜ユニット13に導入されたガスに比べて、ガスAが更に濃縮富化されており、同ユニット13の透過ガス排出口13cから取り出される。一方、非透過ガスは、第3ガス分離膜ユニット13の非透過ガス排出口13bから排出され、該排出口13bに接続されている非透過ガス合流ライン26を経由して、第2ガス分離膜ユニット12の第2非透過ガス排出ライン19における流通路19cに合流される。この非透過ガスは、先に述べた第2圧縮手段22による加圧に起因して高い圧力を有するものである。この不透過ガスを、第1圧縮手段21を介して高圧になったガスの流路に該当する、第2ガス分離膜ユニット12の第2非透過ガス排出ライン19に合流させることで、この不透過ガスを第1圧縮手段21の吸込側に帰還させる場合に比較して、第1圧縮手段21におけるガスの吸込量を低減させることができる。したがって、第1圧縮手段21と第2圧縮手段22とを併用した場合には、第2圧縮手段22を使用しない場合に比べて、第1圧縮手段21の所要圧縮動力を低減させることができるという有利な効果が奏される。具体的には、第1圧縮手段21及び第2圧縮手段22の合算の所要圧縮動力を、第1圧縮手段21のみを使用した場合の所要圧縮動力に比べて低減させることができる。その上、第2圧縮手段22を使用することで、第1ガス分離膜ユニット11及び第2ガス分離膜ユニット12における膜面積を低減させることができるという有利な効果も奏される。詳細には、第2圧縮手段22を使用しない場合には、第1ガス分離膜ユニット11からの透過ガスを、大気圧よりも高い圧力で回収せざるを得ず、第1ガス分離膜ユニット11における効率が低下する。また第1ガス分離膜ユニット11からの透過ガスの圧力が大気圧よりも高いとは言え、大気圧よりも多少高いレベルの圧力しかないので、第3ガス分離膜ユニット13における効率も下がってしまう。したがって、第2圧縮手段22を使用しない場合には、第3ガス分離膜ユニット13の膜面積だけでなく、第1ガス分離膜ユニット11及び/又は第2ガス分離膜ユニット12の膜面積も増加させなければならない。これに対して、第2圧縮手段22を使用すれば、そのような不都合が生じないので、上述のとおり、第1ガス分離膜ユニット11及び/又は第2ガス分離膜ユニット12における膜面積を低減させることができる。
【0026】
一方、第1ガス分離膜ユニット11の非透過ガス排出口11bから排出された非透過ガスは、第2ガス分離膜ユニット12に導入される。第2ガス分離膜ユニット12に導入されたガスは、同ユニット12によって透過ガスと非透過ガスとに分離される。非透過ガスは、第2ガス分離膜ユニット12に導入されたガスに比べて、ガスBが更に濃縮富化されており同ユニット12の非透過ガス排出口12bから第2非透過ガス排出ライン19を介して取り出される。第2ガス分離膜ユニット12の非透過ガス排出口12bから第2非透過ガス排出ライン19に排出された非透過ガスは、第2非透過ガス排出ライン19において、第3ガス分離膜ユニット13から排出された高圧の非透過性ガスと合流した後に、第2非透過ガス排出ライン19のライン排出口19bから取り出される。一方、透過ガスは、第2ガス分離膜ユニット12の透過ガス排出口12cから排出され、該排出口12cに接続されている透過ガス帰還ライン17を経由して、原料混合ガス供給ライン16における第1圧縮手段21の吸込側に帰還される。帰還された透過ガスは、原料である混合ガスと混合された後に、第1圧縮手段21によって加圧される。
【0027】
以上のとおり、本実施形態のガス分離システム10によれば、目的とする製品ガスの純度及び回収率を同じに仮定すると、従来の技術、例えば特許文献1に記載の1つの圧縮手段を採用した技術に比べて、圧縮手段の所要圧縮動力を低減させることが可能になる。また、ガス分離システムの総膜面積、例えばモジュール本数を、特許文献1に記載の技術よりも低減させることが可能になる。
【0028】
運転時において、本実施形態のガス分離システムで使用する各ガス分離膜ユニット11,12,13における分離対象とするガスに対するガス透過速度及び/又はガス分離選択性は、同じとしてもよく、異なるようにしてもよい。例えば各ガス分離膜ユニット11,12,13としてガス透過速度及び/又はガス分離選択性が同じものを用いてもよくあるいは異なるものを用いてもよい。例えば各ガス分離膜ユニット11,12,13として同じものを用いることができる。
【0029】
運転時における第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性が第2ガス分離膜ユニット12と異なる場合、第2ガス分離膜ユニット12より高くても低くてもよい。運転時における第3ガス分離膜ユニット13のガス透過速度の第2ガス分離膜ユニット12との関係も同様である。しかし、少なくとも運転時に第2ガス分離膜ユニット12のガスの透過速度が第3ガス分離膜ユニット13よりも高く、第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性が、第2ガス分離膜ユニット12よりも高くなるようになされていることが、目的とするガスの純度及び回収率の低減を防止しながら第2ガス分離膜ユニット12の膜面積を低減させてシステムの総膜面積を更に低減させることができる観点から好ましい。本明細書中で、単に「運転時」という場合、特定の運転条件に限定されるものでなく、例えば、後述するように各ユニット11〜13を異なる温度で運転する場合だけでなく、各ユニット11〜13を同温で運転する場合を当然に含む。
【0030】
ここで言うガス透過速度とは、混合ガスに含まれるガスA及びガスBのうち、第2ガス分離膜ユニット12において透過速度を高めておきたいガスであるガスA(高透過性ガス)についてのものである。運転時における第1ガス分離膜ユニット11のガス分離選択性は、第2ガス分離膜ユニット12と同じであっても異なっていてもよく、異なる場合、第2ガス分離膜ユニット12より高くても低くてもよい。また運転時における第1ガス分離膜ユニット11のガス分離選択性は、第3ガス分離膜ユニット13と同じであっても異なっていてもよく、異なる場合、第3ガス分離膜ユニット13よりも高くても低くてもよい。運転時における第1ガス分離膜ユニット11のガス透過速度の第2ガス分離膜ユニット12及び第3ガス分離膜ユニット13との関係も同様である。しかし、後述する実施例2及び3との比較から明らかな通り、運転時に第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性が、第2ガス分離膜ユニット12よりも高くなるようになされている場合、運転時における第1ガス分離膜ユニット11のガス分離選択性が第2ガス分離膜ユニット12よりも高い、例えば第3ガス分離膜ユニット13と同等又はそれ以上であることが、目的とするガスの回収率を一層高いレベルに維持しやすい観点から好ましい。
一方、運転時に第2ガス分離膜ユニット12のガスの透過速度が第3ガス分離膜ユニット13よりも高くなるようになされている場合、運転時における第1ガス分離膜ユニット11のガス透過速度が第3ガス分離膜ユニット13よりも高い、例えば第2ガス分離膜ユニット12と同等又はそれ以上であることが、第1ガス分離膜ユニット11の膜面積を低減できる観点から好ましい。
【0031】
運転時においてユニット間でガス透過速度及び/又はガス分離選択性を異ならせる方法としては、ユニット間で膜の種類を異ならせる方法が挙げられる。ユニット間で膜の種類を異ならせるには、ユニット間で(1)異なる化学組成を有する分離膜を用いる(2)同一の化学組成を有する分離膜であるが、製膜の条件、熱処理の温度といった製造条件が異なる分離膜を用いる(3)同一の化学組成および製造条件の分離膜であるが、コーティングその他の表面処理の条件が異なる分離膜を用いる等を行えばよい。
【0032】
なお、同一のガス分離膜を用いた場合であっても、その運転温度を相対的に低く設定した場合には運転温度を相対的に高く設定した場合に比べ、ガス透過速度が低くかつガス分離選択性が高くなることが、一般的に知られている。
このことに基づき、各ユニットの運転温度を異ならせて、第2ガス分離膜ユニット12のガスの透過速度を第3ガス分離膜ユニット13よりも高く、第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性を、第2ガス分離膜ユニット12よりも高くしてもよい。具体的には、第2分離膜ユニット12の運転温度を第3ガス分離膜ユニット13よりも高温とすることが好ましい。このように第2ガス分離膜ユニット12及び第3ガス分離膜ユニット13とで同じガス分離膜を用いた場合でも、各ユニットの運転温度を変えることで、異なる分離膜を用いた場合と同様の効果を発現させることが可能である。また各ユニットの運転温度を異ならせ、且つ、第2ガス分離膜ユニット12及び第3ガス分離膜ユニット13として用いる膜の種類を異ならせることにより、ユニット間のガス分離選択性及び/又はガス透過速度を異ならせてもよい。第2ガス分離膜ユニット12の運転温度を第3ガス分離膜ユニット13よりも高温とする場合、第2ガス分離膜ユニット12と第3ガス分離膜ユニット13の運転温度の差は5℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。
【0033】
また第1ガス分離膜ユニットの運転温度は、第2ガス分離膜ユニットと同じであってもよく異なっていてもよく、異なる場合、第2ガス分離膜ユニットより高くても低くてもよい。また第1ガス分離膜ユニットの運転温度は、第3ガス分離膜ユニットと同じであってもよく異なっていてもよく、異なる場合、第3ガス分離膜ユニットより高くても低くてもよい。仮に、第2ガス分離膜ユニット12の運転温度を第1ガス分離膜ユニット11よりも高温とする場合、両ユニットの運転温度の差の範囲としては、第2ガス分離膜ユニット12と第3ガス分離膜ユニット13の運転温度の差として上記で挙げた範囲と同様の範囲のものが挙げられる。また仮に、第1ガス分離膜ユニット11の運転温度を第3ガス分離膜ユニット13よりも高温とする場合、両者の運転温度の差の範囲としては、第2ガス分離膜ユニット12と第3ガス分離膜ユニット13の運転温度の差として上記で挙げた範囲と同様の範囲のものが挙げられる。
【0034】
一般に、混合ガス中に含まれるガスAは、各ガス分離膜ユニット11,12,13のいずれに対しても、ガスBよりも相対的に高透過性である。一方、混合ガス中に含まれるガスBは、各ガス分離膜ユニット11,12,13のいずれに対しても、ガスAよりも相対的に低い透過性である。特に上述した通り、本発明では第3ガス分離膜ユニット13の非透過性ガスを第2ガス分離膜ユニット12の第2非透過ガス排出ライン19に合流させることで第1ガス分離膜ユニット11の膜面積を効果的に低減できるところ、第2ガス分離膜ユニット12として、そのガス透過速度が第3ガス分離膜ユニット13のガス透過速度よりも高いものを用いた場合、第2ガス分離膜ユニット12の膜面積も低減できる。したがって、この場合、本発明は、ガス分離システムの総膜面積を一層効果的に低減することが可能である。ガス分離システムの総膜面積を更に低減させるには、第2ガス分離膜ユニット12として、そのガス透過速度が、第3ガス分離膜ユニット13のガス透過速度よりも高く、且つ第1ガス分離膜ユニット11のガス透過速度よりも高いものを用いることが特に有利である。
なお、ガス分離膜については、同じ材質のガス分離膜であっても、その運転温度を相対的に低く設定した場合には運転温度を高く設定した場合に比べ、ガス透過速度が低くかつガス分離選択性が高くなることが、一般的に知られている。
したがって、同じガス分離膜を用いた場合でも、各ユニットの運転温度を変える(例えば、第3分離膜ユニットを相対的に低温で運転する)ことで、異なる分離膜を用いた場合と同様の効果を発現させることが可能である。
【0035】
前記のガス透過速度は、混合ガスに含まれる各ガスの膜に対する単位膜面積・単位時間・単位分圧差あたりの透過体積のことであり、P’(単位は、×10
−5cm
3(STP)/cm
2・sec・cmHg)で表される。また、膜のガス分離選択性は、(高透過性ガスの透過速度/低透過性ガスの透過速度)の比で表すことができる。
【0036】
膜面積の低減等の効果を高める観点から、運転時における第2ガス分離膜ユニット12のガス分離選択性(P’
A/P’
B(2))に対する、第3ガス分離膜ユニット13のガス分離選択性(P’
A/P’
B(3))の比[(P’
A/P’
B(3))/(P’
A/P’
B(2
))]は、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることが好ましく、2以上
であることが特に好ましい。また同様の観点から、運転時における第2ガス分離膜ユニット12のガス透過速度(高透過ガスAの透過速度)P’
A(2)の、第3ガス分離膜ユニ
ット13のガス透過速度(高透過ガスAの透過速度)P’
A(3)に対する比[P’
A(2
)/P’
A(3)]は、1.0以上であることが好ましく、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることが特に好ましい。運転時のガス透過速度及びガス分離選択性の比を上記の
下限以上のものとするためには、システムの運転温度や分離膜の材質、表面処理条件、熱処理等の条件を調整すればよい。
【0037】
仮に、第1ガス分離膜ユニット11のガス分離選択性(P’
A/P’
B(1))を第2ガス分離膜ユニット12より高くする場合、[(P’
A/P’
B(1))/(P’
A/P’
B(2))]としては、[(P’
A/P’
B(3))/(P’
A/P’
B(2))として上記で挙げた比と同様の比が挙げられる。また仮に、第1ガス分離膜ユニット11のガス透過速度(P’
A(1))を第2ガス分離膜ユニット12よりも低くする場合、[P’
A(2)/P’
A(1)]としては、[P’
A(2)/P’
A(3)]として上記で挙げた比と同様の比が挙げられる。
また、仮に、第1ガス分離膜ユニット11のガス分離選択性(P’
A/P’
B(1))を第3ガス分離膜ユニット13より低くする場合、[(P’
A/P’
B(3))/(P’
A/P’
B(1))]としては、[(P’
A/P’
B(3))/(P’
A/P’
B(2))として上記で挙げた比と同様の比が挙げられる。また仮に、第1ガス分離膜ユニット11のガス透過速度(P’
A(1))を第3ガス分離膜ユニット13よりも高くする場合、[P’
A(1)/P’
A(3)]の比としては、[P’
A(2)/P’
A(3)]の比として上記で挙げた比と同様の比が挙げられる。
【0038】
各ガス分離膜ユニット11,12,13におけるガス分離膜は、供給される混合ガスや目的とする製品ガスの種類に応じて適宜選択できる。ガス分離膜としては、当該技術分野においてこれまで用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばシリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂などのゴム状ポリマー材料、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、セルロースなどのガラス状ポリマー材料、及びゼオライトなどのセラミックス材料が挙げられる。またガス分離膜は、均質膜、均質層と多孔層とからなる非対称膜、微多孔質膜などいずれであってもよい。ガス分離膜のケーシング内への収納形態も、プレートアンドフレーム型、スパイラル型、中空糸型などいずれであってもよい。特に好適に用いられるガス分離膜は、均質層の厚さが10nm以上200nm以下であり、多孔質層の厚さが20μm以上200μm以下の非対称構造を持ち、内径が30μm以上500μm以下程度である芳香族ポリイミドの中空糸ガス分離膜である。
【0039】
1つのガス分離膜ユニット内に備えられているガス分離膜モジュールは1本であってもよく、あるいは複数本であってもよい。1つのガス分離膜ユニット内に2本以上のガス分離膜モジュールが備えられているときは、これらがユニット内で並列に接続されていることが好ましい。各ガス分離膜ユニットがガス分離膜モジュールを複数本備えている場合、該ガス分離膜モジュールの本数を変更することでユニット内の膜面積を容易に調整することができる。
【0040】
本実施形態のガス分離システム10を用いて分離する混合ガスは、2種以上のガス混合物であれば特に制限されるものではない。本実施形態のガス分離システムは、例えば、メタンガスと二酸化炭素ガスを主に含むバイオガスから、低透過性ガスであるメタンガスを分離回収する方法に好適に使用することができる。メタンガスは、低透過性ガスであるガスBに該当し、二酸化炭素ガスは、高透過性ガスであるガスAに該当する。この場合、分離回収されたメタンガスを都市ガスラインへ供給するときなどにおいては、第2ガス分離膜ユニット12の非透過ガス排出口12bに、圧縮手段としてのガス圧縮機を設けてメタンガスを高圧にしてもよい。
【0041】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、各ガス分離膜ユニットの一例として、中空糸膜を有するガス分離膜ユニットを用いたが、これに代えて他の形態のガス分離膜ユニットを用いてもよい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0043】
〔実施例1ないし4〕
図1に示すガス分離システム10を用いて、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスの分離を行った。同システム10における第1及び第2圧縮手段21,22としては圧縮機を用いた。混合ガスの圧力、流量及び組成は、以下の表1に示すとおりであった。第1ないし第3ガス分離膜ユニット11,12,13を構成するモジュールとして、異なる組成を有するポリイミド中空糸膜から構成されるガス分離膜をケース内に収容するモジュールであって以下の表2に示す諸元を有するガス分離膜モジュールA及びBを用いた。表2におけるガス分離膜モジュールA及びBのP’
CO2及びP’
CH4並びにP’
CO2/P’
CH4は、運転温度50℃における数値である。また表2におけるガス分離膜モジュールA’のP’
CO2及びP’
CH4並びにP’
CO2/P’
CH4の値は、ガス分離膜モジュールAの運転温度100℃における数値である。表2から明らかなとおり、ガス分離膜モジュールAの方が、ガス分離膜モジュールBよりも、ガス分離選択性が高い。ガス透過速度に関しては、ガス分離膜モジュールBの方が、ガス分離膜モジュールAよりも高い。またガス分離膜モジュールAを100℃で運転した場合(A’)、50℃で運転した場合(A)に比べて、ガス透過速度が高く、ガス分離選択性が低い。
【0044】
第1ないし第3ガス分離膜ユニット11,12,13として、表1に示すとおり、ガス分離膜モジュール(ガス分離膜モジュールA又はB)を、複数本並列に接続して用いた。また、各ガス分離膜ユニット11,12,13の運転温度及び運転圧力を同表に示す値に設定した。この条件下に、混合ガスの分離を行った。そして、各実施例において、メタンの純度が95mol%及びメタンの回収率が99%となるときのモジュール本数及び膜面積並びに圧縮機動力を求めた。その結果を表1に示す。但し、実施例3については、総膜面積及び圧縮機動力を上げても、回収率は97.1%となったため、回収率97.1%のときの最低のモジュール本数及び総膜面積並びに圧縮機動力を求めた。その結果を表1に示す。
【0045】
〔比較例1ないし3〕
図3に示すガス分離システム100を用いた以外は実施例1と同様にして混合ガスを分離した。そして、各比較例において、メタンの純度が95mol%及びメタンの回収率が99%となるときのモジュール本数及び膜面積並びに圧縮機動力を求めた。その結果を表1に示す。
図3に示すガス分離システム100は、特許文献1に記載の技術に相当するものである。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例のガス分離システムは、比較例1ないし3に比べて、ガス分離システムの総膜面積を低減させることができ、しかも第1圧縮手段21の所要圧縮動力およびシステムの総圧縮動力を低減させることができることが判る。特に実施例1と実施例2、3及び4との対比から明らかなとおり、運転時において第2ガス分離膜ユニット12のガス透過速度を第3ガス分離膜ユニット13に比べて高くし、第3ガス分離膜ユニット13の分離選択性を第2ガス分離膜ユニット12より高くした実施例2、3及び4では、第2及び第3ガス分離膜ユニット12,13における運転時のガス透過速度及びガス分離選択性を同じにした実施例1に比べて、総膜面積を一層低減しつつメタンの回収率も97.1%以上と一定程度高く維持できることが判る。