(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続端子を受け付けて取り付けられる受付部を備え、前記保持部の高さの位置で、前記接続端子の前記治具から突出する前記先端が前記受付部に取り付けられるプリント基板、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態の半導体装置について、
図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。
半導体装置10は、内部に収納された半導体素子が樹脂で封止された半導体モジュール20と、当該半導体モジュール20に取り付けられたプリント基板30とを有する。
【0013】
半導体モジュール20は、樹脂ケース21と、樹脂ケース21の主面に、U端子の主端子23aと、N端子の主端子23bと、P端子の主端子23cとが設けられている。また、半導体モジュール20は、樹脂ケース21の主面に垂直に形成されたガイドピン24と、ゲート端子並びにセンスエミッタ端子の制御端子用の接続端子25とを備える。なお、金属ベース22に積層基板及び半導体素子が順に積層され、樹脂ケース21の内部に収納されている。なお、積層基板はセラミック基板等の絶縁基板のおもて面及び裏面に導電性板が備えられたものである。上記の主面とは樹脂ケース21の上面(図中おもて面)である。また、金属ベース22は必ずしも必須の構成ではない。
【0014】
プリント基板30は、主面(絶縁基板31の上面)に導電性板が備えられ、ガイド孔32とスルーホール33とが形成された絶縁基板31と、絶縁基板31の主面に設けられたドライブ回路が構成されたIC(Integrated Circuit)チップ34とを有する。なお、
図1では、ICチップ34は、プリント基板30の上面のみに設けられているが、必要に応じて、プリント基板30の反対側の主面(下面)にも設けることができる。
【0015】
半導体装置10では、プリント基板30のガイド孔32に半導体モジュール20のガイドピン24が挿入されて位置を合わせて、また、プリント基板30のスルーホール33に半導体モジュール20の接続端子25が挿入されて電気的に接続されている。
【0016】
なお、半導体モジュール20及びプリント基板30については、再度後述する。
上記半導体モジュール20は、半導体素子として、例えば、IGBTと、FWDとによりインバータ回路が構成されて、樹脂により封止されている。また、P端子である主端子23cに、外部電源の高電位端子を接続し、N端子である主端子23bに、外部電源の低電位端子を接続して、半導体素子の主端子に電気的に接続される。そして、出力端子(U端子)である主端子23aに負荷(図示を省略)を接続する。さらに、プリント基板30のICチップ34からの所定の制御信号がゲート端子の接続端子25を経由して、半導体素子に印加される。これにより、半導体装置10は、インバータとして機能する。
【0017】
このような半導体装置10の製造方法について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
なお、半導体装置の製造方法は、ステップS11〜S15が半導体モジュール製造工程と、ステップS16〜S18がプリント基板実装工程との2工程に分けられる。
【0018】
[ステップS11] 金属ベース、積層基板、半導体素子を積層し、それぞれはんだ付け等で接合を行う。
[ステップS12] ガイドピン、接続端子等を含んで樹脂によりインサート成形された樹脂ケース21を用意する。
【0019】
このような樹脂ケース21について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施の形態の樹脂ケースを示す図である。
なお、
図3(A)は、樹脂ケース21の上面図、
図3(B)は、樹脂ケース21の側面図である。
【0020】
樹脂ケース21は、ステップS11で金属ベース上の積層基板に設けられた半導体素子が収納される矩形状の収納領域26が開口された枠型の形状を成している。収納領域26の四隅の上面には、ガイドピン24がそれぞれ垂直に設けられている。なお、ガイドピン24の直径は、5mm〜10mm、長さは20mm〜25mmである。収納領域26の(長手方向の辺に沿って設けられた)ガイドピン24の間には、接続端子25が上面に垂直に設けられている。この際、接続端子26は、ガイドピン24に対して一列に配置されている。なお、接続端子25は、例えば、真鍮により構成されており、直径は、2.5mm〜3.5mm、長さは15mm〜20mmである。また、上面上には、U端子の主端子23a、N端子の主端子23b、P端子の主端子23cが設けられている。また、収納領域26の内側には、各接続端子25に電気的に接続した端子27と、各主端子23a,23b,23cに電気的に接続された端子28a,28b,28cとがそれぞれ固着されている。なお、端子27は、樹脂ケース21に一部を埋設した接続端子25の端部を表出させたものであっても構わない。
【0021】
[ステップS13] ステップS12で用意した樹脂ケース21に、治具40を取り付ける。
樹脂ケース21に対する治具の取り付けの説明の前に、接続端子25を保護するための治具40について、
図4を用いて説明する。
【0022】
図4は、第1の実施の形態の半導体装置の製造に用いられる治具を示す図である。
なお、
図4(A)は、治具40を構成する一対の板部41(例えば、第1板部),45(例えば、第2板部)の上面図、
図4(B)は、重ね合せた板部41,45を固定する固定部材47の斜視図をそれぞれ示している。また、
図4(C)は、板部41,45を重ね合せて構成される治具40の上面図を、
図4(D)は、このような治具40の側面図をそれぞれ示している。
【0023】
板部41,45は、後述する封止用の樹脂の硬化温度や、はんだ付けのはんだ温度に対する耐熱性(耐熱温度、160℃〜350℃)を備える、例えば、金属材料、ポリフェニレンサルファイド樹脂成形材料(PPS)、ポリプロピレン樹脂成形材料(PPT)、フェノール樹脂成形材料(PM)により構成されている。また、板部41,45のいずれか一方に、接続端子25が保持される保持部が形成されている。保持部の一例として、板部41は、
図4(A)に示されるように、溝部42,43が一方の側面に形成されている。また、板部41,45は、他方の側面に溝部44,46が形成されている。半導体モジュール20をプリント基板30と接続する場合、板部41,45の高さは、接続端子25より短くなる。つまり、接続端子25の先端は治具40より突出する。単に接続端子25を保護する場合には、板部41,45の高さは、接続端子25より長くてもよい。
【0024】
図4(B)に示されるように、固定部材47は、断面がU字状を成しており、板部41,45と同様の耐熱性を備えた材料により構成されている。
図4(C),(D)に示されるように、このような板部41に板部45を重ね合せて、板部41の溝部42,43を板部45で塞ぎ、溝部44,46に固定部材47を取り付けることで、保護孔48と位置決め孔49とが構成された治具40が組み立てられる。なお、固定部材47等で板部41,45同士が固定された個所を固定部とする。保護孔48と位置決め孔49は、それぞれ、樹脂ケース21に設けられた接続端子25とガイドピン24とに対応した形状をなしている。また、保護孔48と位置決め孔49との(
図4(D)中)下側の入り口には、テーパが形成されている。なお、固定部材47は、板部41,45の下側から固定してもよいし、上側から固定してもよい。また、板部41,45の横から固定してもよい。
【0025】
このような治具40の樹脂ケース21に対する取り付けについて、
図5を用いて説明する。
図5は、第1の実施の形態の樹脂ケースに対する治具の取り付けを示す図である。
【0026】
なお、
図5(A)は、樹脂ケース21に対して治具40を取り付ける際の上面図を、
図5(B)は、樹脂ケース21に対して治具40を取り付ける際の側面図をそれぞれ表している。
【0027】
図5に示すように、治具40は、収納領域26の一対の(長手方向の)辺に沿ってそれぞれ設けられている。このような治具40は、樹脂ケース21のガイドピン24が位置決め孔49に挿通されて固定され、樹脂ケース21の接続端子25が保護孔48にそれぞれ挿通されている。このように治具40はガイドピン24の上部より挿入してもよい。または、板部41,45によりガイドピン24、接続端子25を側面から挟み込むように保持し、固定部材47で板部41,45を固定することが好ましい。この場合には、挿入する際に接続端子25を曲げたり破損したりすることを防ぐことができるからである。
【0028】
[ステップS14] ステップS13で治具40が取り付けられた樹脂ケース21の収納領域26に、ステップS11で得られた半導体素子と積層基板とが積層された金属ベース22を接着剤で接合させて、半導体素子を収納する。
【0029】
樹脂ケース21の収納領域26に収納した半導体素子の電極間を、また、半導体素子の電極と、端子27,28a,28b,28cとの間を、ワイヤボンディングにより電気的に接続して回路を形成する。
【0030】
[ステップS15] ステップS14で半導体素子が収納された収納領域26に、例えば、シリコンゲル、エポキシ樹脂等の樹脂を注入して、当該樹脂に対応する硬化温度にて加熱し、注入した樹脂を固化して収納領域26を封止する。
【0031】
このようにして形成された治具40が取り付けられた半導体モジュール20について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施の形態の治具が取り付けられた半導体モジュールを示す図である。
【0032】
なお、
図6(A)は、治具40が取り付けられた半導体モジュール20の上面図、
図6(B)は、治具40が取り付けられた半導体モジュール20の側面図をそれぞれ示している。
【0033】
半導体モジュール20は、
図6に示されるように、樹脂ケース21に治具40が取り付けられた状態で、収納領域26に半導体素子及び積層基板が積層された金属ベース22が接合されて、収納領域26に半導体素子が収納され、収納領域26が樹脂29により封止されている。
【0034】
上記のようなステップS11〜S15の半導体モジュール製造工程を経て、半導体モジュール20が製造される。
[ステップS16] ステップS15で形成された半導体モジュール20に、プリント基板30を取り付ける。
【0035】
ここで、プリント基板30について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1の実施の形態のプリント基板を示す図である。
なお、
図7(A)は、プリント基板30の上面図、
図7(B)は、プリント基板30の側面図をそれぞれ表している。
【0036】
プリント基板30は、導電性板(図示省略)が形成された絶縁基板31の四隅に形成されたガイド孔32と、絶縁基板31の対向する(長手方向の)辺に沿って、ガイド孔32の間に形成され、当該導電性板と電気的に接続されたスルーホール33とを備える。なお、スルーホール33は、受付部であって、後述するように、接続端子25を受け付けて、取り付けられる。また、プリント基板30は、絶縁基板31に、導電性板と電気的に接続されたICチップ34が設けられている。導電性板は銅等が用いられる。
【0037】
また、このようなプリント基板30の半導体モジュール20に対する取り付けについて、
図8を用いて説明する。
図8は、第1の実施の形態の治具が取り付けられた半導体モジュールに対するプリント基板の取り付けを示す図である。
【0038】
なお、
図8(A)は、半導体モジュール20に対してプリント基板30の取り付ける際の側面図を、
図8(B)は、半導体モジュール20に対してプリント基板30を取り付けた後の側面図をそれぞれ表している。
【0039】
図8に示されるように、プリント基板30のガイド孔32とスルーホール33とに、半導体モジュール20のガイドピン24と接続端子25とをそれぞれ挿通させ、半導体モジュール20にプリント基板30を取り付ける。このようにして、接続端子25の突出部分にプリント基板30のスルーホール33を取り付ける。なお、突出部分とは治具40が取り付けられた接続端子25の治具40から突出した先端部分のことである。
【0040】
このような取り付けにより、プリント基板30が、半導体モジュール20に対して、治具40を介して取り付けられる。
なお、
図8では、固定部材47は、板部41,45の下側から固定している場合を示している。固定部材47は、この場合に限らず、板部41,45の上側から固定してもよい。また、板部41,45の横から固定してもよい。
【0041】
[ステップS17] 半導体モジュール20に取り付けられたプリント基板30のスルーホール33から突出した接続端子25と当該スルーホール33とを所定のはんだ温度で加熱したはんだによりはんだ付けを行う。
【0042】
[ステップS18] 治具40から固定部材47を取り外し、板部41,45を分離させて、プリント基板30が取り付けられた半導体モジュール20から治具40を取り外す。なお、プリント基板30が取り付けられた半導体モジュール20から治具40を取り外さなくても構わない。この場合、プリント基板30が取り付けられた半導体モジュール20の剛性が向上する。
【0043】
上記のステップS16〜S18のプリント基板実装工程を経て、
図1に示した半導体装置10が得られる。
このように半導体モジュール製造工程(ステップS11〜S15)により製造される半導体装置10(半導体モジュール20)は、半導体素子を収納する収納領域26の周縁部に上面に垂直に設けられたガイドピン24と、当該周縁部に上面に垂直に設けられた接続端子25とを備える樹脂ケース21を有する。さらに、樹脂ケース21に、ガイドピン24が挿入される位置決め孔49と、接続端子25が挿入される保護孔48とを備える治具40が取り付けられる。これにより、接続端子25は、ガイドピン24により一端部と他端部との2箇所が樹脂ケース21に位置合わせされて固定された治具40により保護される。このため、例えば、ステップS13以降の製造工程において、樹脂ケース21を取り扱う際に、接続端子25が直接接触されたり、または、外部から衝撃を受けたりすることが防止され、接続端子25の損傷の発生を防止することが可能となる。特に、半導体モジュール製造工程(ステップS11〜S15)と、プリント基板実装工程(ステップS16〜S18)とが異なる場所で実行される場合がある。この場合には、半導体モジュール製造工程で製造された半導体モジュール20を梱包して、プリント基板実装工程が実行される場所に搬送する必要がある。このような状況においても、接続端子25が治具40により保護されているために、梱包時や搬送時に接続端子25が直接接触されたり、衝撃を受けたりすることが防止されるために、接続端子25の損傷の発生を防止することが可能となる。なお、樹脂ケース21にガイドピン24を設けずに、接続端子25のみを設けて、治具40を接続端子25に取り付けるようにすることも可能である。
【0044】
また、半導体モジュール20は、このようにして治具40が取り付けられることで、接続端子25は曲がることなく、樹脂ケース21に対して位置合わせされる。これにより、半導体モジュール20にプリント基板30を取り付ける際には、治具40がガイドピン24と接続端子25とをガイドして、プリント基板30のガイド孔32とスルーホール33とにそれぞれ円滑に挿通させることができる。このため、半導体モジュール20にプリント基板30を取り付ける際に、スルーホール33に対して接続端子25を入れ易くするために指で位置合わせ等を行う必要がない。接続端子25は直接接触されないために、接続端子25の損傷の発生を防止することができるようになる。
【0045】
また、治具40を取り付けることで、半導体モジュール20の上面とプリント基板30との距離を一定に保つことができる。
したがって、半導体装置10は、接続端子25が治具40により保護されることで、接続端子25の損傷の発生が防止されることから、信頼性の低下が抑制されるようになる。
【0046】
なお、第1の実施の形態では、樹脂ケース21の接続端子25をプリント基板30のスルーホール33に挿通する場合を例に挙げて説明した。この場合に限らず、プリント基板30にソケットコネクタを適用した場合でも、第1の実施の形態と同様に治具40を用いることが可能である。
【0047】
または、治具40は上記以外の製造方法でも利用することが可能である。例えば、ステップS11と同様に、金属ベース、積層基板、半導体素子を積層し、それぞれはんだ付け等で接合を行う。次いで、ガイドピンと、接続端子と、ステップS11で形成した積層基板及び半導体素子が積層した金属ベース等とを、含んで金型にセットし、半導体素子の電極間を、また、半導体素子の電極と、端子27,28a,28b,28cとの間を、ワイヤボンディングにより電気的に接続して回路を形成する。そして、樹脂によるインサート成形により半導体モジュール20が一体成形される。この後、このようにして一体成形された半導体モジュール20の接続端子25等に、ステップS13と同様にして、治具40を取り付ける(
図6)。さらに、ステップS16,S17の工程が行われて、治具40が取り付けられた半導体装置10(
図8)がメーカー等に納入される。メーカー等に納入される際には、半導体装置10が梱包され、メーカー等に搬送される。このような状況においても、治具40が取り付けられた半導体装置10は、接続端子25が治具40により保護されているために、梱包時や搬送時に接続端子25が直接接触されたり、衝撃を受けたりすることが防止されるために、接続端子25の損傷の発生を防止することが可能となる。また、メーカー等では、治具40が取り付けられた半導体装置10が納入されると、ステップS18と同様の工程が行われて、治具40が取り外される。
【0048】
したがって、この場合でも、半導体装置10は、接続端子25が治具40により保護されることで、接続端子25の損傷の発生が防止されることから、信頼性の低下が抑制されるようになる。
【0049】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは別に3種類の治具について
図9を用いて説明する。
【0050】
図9は、第2の実施の形態の治具を示す図である。
なお、
図9(A)は、別の治具(その1)の上面図を表している。
図9(B)は、別の治具(その2)の上面図を、
図9(C)は、別の治具(その2)の要部拡大上面図をそれぞれ表している。さらに、
図9(D)は、別の治具(その3)の上面図を、
図9(D)は、別の治具(その3)の要部拡大上面図をそれぞれ表している。
【0051】
図9(A)に示される治具50は、板部51,55を有し、板部51には、第1の実施の形態の治具40の板部41の溝部42,43と同様の溝部52,53が形成されている。また、治具50の板部51,55の一端部には、第1の実施の形態と同様に固定部材47が取り付けられる溝部54,56がそれぞれ形成されている。一方、板部51,55の他端部は、ヒンジ58により接続されている。すなわち、ヒンジ58は、固定部の一つとなる。板部51,55は、ヒンジ58を軸として開閉することが可能となっている。治具50は、ヒンジ58を軸にして板部51,55を重ね合せるように閉じて、溝部54,56に固定部材47を取り付けて、第1の実施の形態の治具40と同様に、位置決め孔と保護孔とが構成される。このような治具50は、第1の実施の形態の治具40と同様に、半導体モジュール20のガイドピン24と接続端子25とに、位置決め孔と保護孔とがそれぞれ挿通されて、半導体モジュール20に取り付けられる。また、半導体モジュール20に対するプリント基板30の取り付け後、治具50から固定部材47を取り外し、ヒンジ58を軸にして板部51,55を開くことで治具50を半導体モジュール20(半導体装置10)から取り外すことができる。
【0052】
このような治具50は、板部51,55の他端部をヒンジ58で接続しているために、溝部54,56に取り付けた固定部材47を外して、板部51,55の一端部を開かせることで、半導体装置10から取り外される。治具50は、完全に二つに分離することなくヒンジ58で接続された状態で半導体装置10から取り外されるために、取り扱い易くなる。
【0053】
次に、
図9(B)に示される治具60は、板部61,65を有し、板部61,65は、対向する面の外側の面に溝部63,67がそれぞれ形成されている。さらに、板部61,65を重ね合せる互いの対向する面に溝部62,66が形成されて、(断面形状が山なり状の)凹凸が構成されている。治具60は、樹脂ケース21のガイドピン24と接続端子25とを、
図9(C)に示されるように、板部61の溝部62の凹部(または、凸部)と板部65の溝部66の凸部(または、凹部)とで挟持して、溝部63,67に固定部材47を取り付けることで、樹脂ケース21に取り付けられる。また、半導体モジュール20に対するプリント基板30の取り付け後、治具60から固定部材47を取り外し、板部61,65を分離させることで、治具60を半導体モジュール20(半導体装置10)から取り外すことができる。また、治具60は、板部61,65を重ね合せた際の板部61の凸部と板部65の凸部との間隔は、接続端子25の直径より大きいことが好ましい。
【0054】
このような治具60は、ガイドピン24と接続端子25とを板部61,65の溝部62,66の凹凸で挟持するために、特に、上面に垂直に設けられた接続端子25の垂直性をより維持することが可能となる。また、接続端子25の位置に対応した溝部を設けることなく、板部61,65の溝部62,66の凹凸により接続端子25を固定することができる。したがって、このような治具60は、様々なタイプの樹脂ケース21に適用することができる。
【0055】
次に、
図9(D)に示される治具70は、板部71,75を有し、板部71,75は、対向する側面の外側の面に溝部72,76がそれぞれ形成されている。また、板部71,75は、封止用の樹脂の硬化温度や、はんだ付けのはんだ温度に対する耐熱性を備える、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム等の弾性体により構成されている。これらの弾性体のショア硬度は、例えば、20以上90以下程度がよく、好ましくは、30以上90以下程度とする。弾性体が柔らかすぎると、耐久性も悪く、接続端子25を十分に保持することができない。また、弾性体が硬すぎると、弾性変形が不十分になり、接続端子25を保持することができない。なお、ショア硬度とは、弾性体の硬さを表す値であり、被測定物(弾性体)の表面に圧子(押針やインデンタ)を押し込んで変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定し数値化したものである。ショア硬度は、JIS K6253−3「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム?硬さの求め方−第3部デュロメータ硬さ」に基づいて、タイプAデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)を用いて測定している。
【0056】
このような治具70は、樹脂ケース21のガイドピン24と接続端子25とを、
図9(E)に示されるように、弾性体の板部71と板部75とで挟持して、弾性体が保持部として機能し、溝部72,76に固定部材47を取り付けることで、樹脂ケース21に取り付けられる。また、半導体モジュール20にプリント基板30の取り付け後、治具70から固定部材47を取り外し、板部71,75を分離させることで、治具70を半導体モジュール20(半導体装置10)から取り外すことができる。
【0057】
このような治具70は、ガイドピン24と接続端子25とが必ずしも直線状に配列されておらず、配置が、例えば、
図9(E)の上下方向にずれが生じている場合でも、確実に、接続端子25を挟持して保護することができる。また、治具70は、接続端子25の位置に対応した溝部を設けないで、接続端子25を固定することができる。したがって、様々なタイプの樹脂ケース21に適用できる。
【0058】
このような第2の実施の形態の治具50,60,70を、第1の実施の形態の治具40に代わって樹脂ケース21に取り付けた場合でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、治具60,70は、上記のように分割できる場合に限らず、治具50と同様に一端部をヒンジにより接続して、他端部を開閉できるようにすることも可能である。