(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のサンプリング周波数を有する第1のデジタル音声信号のサンプルデータに基づいて、極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとを算出する第1の極値算出ステップと、
隣接する極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとの間のサンプル数を検出する第1のサンプル数検出ステップと、
前記第1のデジタル音声信号を構成するサンプルデータにおける隣接するサンプルデータ間の差分値を算出する第1の差分値算出ステップと、
前記第1の差分値算出ステップにて算出された差分値に所定の係数を乗算して補正値を算出する第1の補正値算出ステップと、
前記第1のデジタル音声信号を構成するサンプルデータのうち、少なくとも、前記第1の極値算出ステップにて算出された極大値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータに、前記第1の補正値算出ステップにて算出された補正値を加算し、少なくとも、前記第1の極値算出ステップにて算出された極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータより、前記第1の補正値算出ステップにて算出された補正値を減算する第1の加減算ステップと、
前記第1の加減算ステップにて波形が補正された前記第1のデジタル音声信号を、前記第1のサンプリング周波数よりも高い第2のサンプリング周波数を有する第2のデジタル音声信号に変換するサンプリング周波数変換ステップと、
前記第2のデジタル音声信号を構成するサンプルデータに基づいて、極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとを算出する第2の極値算出ステップと、
前記第2のデジタル音声信号を構成するサンプルデータにおける隣接する極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとの間のサンプル数を検出する第2のサンプル数検出ステップと、
前記第2のデジタル音声信号を構成するサンプルデータにおける隣接するサンプルデータ間の差分値を算出する第2の差分値算出ステップと、
前記第2の差分値算出ステップにて算出された差分値に所定の係数を乗算して補正値を算出する第2の補正値算出ステップと、
前記第2のデジタル音声信号を構成するサンプルデータのうち、少なくとも、前記第2の極値算出ステップにて算出された極大値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータに、前記第2の補正値算出ステップにて算出された補正値を加算し、少なくとも、前記第2の極値算出ステップにて算出された極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータより、前記第2の補正値算出ステップにて算出された補正値を減算する第2の加減算ステップと、
を含むことを特徴とするデジタル音声処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態のデジタル音声処理装置、デジタル音声処理方法、デジタル音声処理プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態においては、第1のサンプリング周波数を有する第1のデジタル音声信号を処理対象のデジタル音声信号とする。第1のデジタル音声信号は例えばCD音声信号である。
【0016】
本実施形態のデジタル音声処理装置は、第1のサンプリング周波数よりも高い第2のサンプリング周波数を有する第2のデジタル音声信号に変換したデジタル音声信号を出力する。第2のデジタル音声信号は例えばHR音声信号である。
【0017】
本実施形態において、第1のデジタル音声信号を、量子化ビット数16ビット、サンプリング周波数44.1kHzのCD音声信号、第2のデジタル音声信号を、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数176.4kHzのデジタル音声信号とした場合を例とする。
【0018】
第1のデジタル音声信号及び第2のデジタル音声信号は、上記の例に限らない。第1のデジタル音声信号を、量子化ビット数16ビット、サンプリング周波数48kHzのデジタル音声信号とし、第2のデジタル音声信号を、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数192kHzのデジタル音声信号としてもよい。
【0019】
第1のデジタル音声信号を、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数96kHzのデジタル音声信号とし、第2のデジタル音声信号を、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数192kHzのデジタル音声信号としてもよい。
【0020】
図1において、CD音声信号は波形補正処理部10に入力され、後述する波形補正処理が施される。波形補正処理部10より出力されたCD音声信号は、ビット数変換・サンプリング周波数変換部50に入力され、後述するビット数変換及びサンプリング周波数変換が施される。ビット数変換・サンプリング周波数変換部50からは、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数176.4kHzのHR音声信号が出力される。
【0021】
HR音声信号は、波形補正処理部20に入力され、後述する波形補正処理が施されて出力される。
【0022】
図2に示すように、波形補正処理部10は、極値算出部101,サンプル数検出部102,差分値算出部103,補正値算出部104,加減算部105を有する。
図3に示すように、波形補正処理部20は、極値算出部201,サンプル数検出部202,差分値算出部203,補正値算出部204,加減算部205を有する。
【0023】
波形補正処理部10,20を構成する各部は、ハードウェアによって構成されていてもよいし、ソフトウェアによって構成されていてもよい。ハードウェアとソフトウェアとが混在していてもよい。波形補正処理部10,20を構成する各部は集積回路によって構成されていてもよいし、波形補正処理部10,20それぞれの全体が集積回路によって構成されていてもよい。
【0024】
まず、
図2に示す波形補正処理部10の動作を、
図4〜
図8を参照しながら説明する。
【0025】
図4は、CD音声信号を構成するサンプルデータの波形の一例を示している。
図4は、時間の進行に伴って、サンプル値が上昇していく部分のみを示している。
図4に示すように、CD音声信号はサンプルデータS0〜S3を含む。
【0026】
極値算出部101は、入力されたCD音声信号のサンプルデータにおける隣接するサンプルデータの大小関係を判定することによって、極大値と極小値とを算出する。
図4の場合、極値算出部101は、サンプルデータS0が極小値、サンプルデータS3が極大値であると算出する。
【0027】
サンプル数検出部102は、極大値と極小値との間のサンプル数(サンプル間隔)を検出する。ここでのサンプル数とは、CD音声信号のサンプル間隔T0でのサンプル数である。
図4の場合、サンプル数検出部102は、3サンプル間隔であることを検出する。
【0028】
極大値と極小値との間のサンプル数とは、
図4のように極小値から極大値へとサンプル値が上昇していく部分のサンプル数と、極大値から極小値へとサンプル値が下降していく部分のサンプル数とを意味する。
【0029】
差分値算出部103には、サンプル数検出部102による検出結果と、CD音声信号とが入力される。差分値算出部103は、CD音声信号における隣接するサンプルデータの差分値を算出する。
【0030】
補正値算出部104は、隣接するサンプルデータの差分値に所定の係数を乗じて補正値を算出する。係数は1以下の数である。補正値算出部104には、サンプル数に応じた係数が設定されている。補正値算出部104は、サンプル数検出部102で検出されたサンプル数に応じて係数を選択する。
【0031】
補正値算出部104にはレベル選択信号が入力され、レベル選択信号によって差分値に乗じる係数を選択することによって、補正値が調整可能とされていることが好ましい。
【0032】
加減算部105は、極大値近傍のサンプルデータに補正値を加算し、極小値近傍のサンプルデータより補正値を減算する。これに加えて、加減算部105は、極大値のサンプルデータに補正値を加算し、極小値のサンプルデータより補正値を減算してもよい。近傍の意味については後述する。
【0033】
ここで、
図5を用いて、補正値算出部104が隣接するサンプルデータの差分値に乗じる係数の例を説明する。
図5に示すように、補正値算出部104には、極大値と極小値との間隔が2サンプルから所定の数のサンプルまで、レベル選択信号00,01,10,11に対応させて係数が設定されている。所定の数は適宜設定すればよい。
【0034】
図4に示すCD音声信号の波形は3サンプル間隔であり、レベル選択信号が00であるとすると、補正値算出部104は、隣接するサンプルデータの差分値に係数1/2を乗じた値を補正値とする。レベル選択信号が01であれば、補正値算出部104は、隣接するサンプルデータの差分値に係数1/4を乗じた値を補正値とする。
【0035】
図6及び
図7を用いて、加減算部105が補正値を加減算する極大値近傍または極小値近傍のサンプルデータの基本的な考え方を説明する。この基本的な考え方は、
図3における加減算部205での加減算処理にも同様に適用される。
【0036】
図6及び
図7において、Smaxは極大値のサンプルデータ、Sminは極小値のサンプルデータである。S(-1)とS(-2)は、極大値または極小値のサンプルデータの1つ前と2つ前のサンプルデータ、S(+1)とS(+2)は、極大値または極小値のサンプルデータの1つ後と2つ後のサンプルデータである。
【0037】
一例として、加減算部105は、極大値と極小値との間のサンプル数に応じて、
図6(a),(b)に示す加減算処理と、
図7(a),(b)に示す加減算処理とを選択する。
【0038】
具体的には、加減算部105は、サンプル間隔が2サンプルから5サンプルまでであれば、次のように加減算処理する。
図6(a)に示すように、加減算部105は、極大値のサンプルデータSmaxの1つ前と1つ後のサンプルデータS(-1),S(+1)に、差分値Δ(-1),Δ(+1)に
図5に示す係数を乗じた補正値を加算する。
【0039】
差分値Δ(-1)とは、極大値のサンプルデータSmaxの1つ前のサンプルデータS(-1)との差分値、差分値Δ(+1)とは、極大値のサンプルデータSmaxの1つ後のサンプルデータS(+1)との差分値である。
【0040】
図6(a)のハッチングを付した部分が、サンプルデータS(-1),S(+1)に加算された補正値Vaddである。
【0041】
また、
図6(b)に示すように、加減算部105は、極小値のサンプルデータSminの1つ前と1つ後のサンプルデータS(-1),S(+1)より、差分値Δ(-1),Δ(+1)に
図5に示す係数を乗じた補正値を減算する。
【0042】
図6(b)のハッチングを付した部分が、サンプルデータS(-1),S(+1)より減算された補正値Vsubである。
【0043】
加減算部105は、サンプル間隔が6サンプル以上であれば、次のように加減算処理する。
図7(a)に示すように、加減算部105は、極大値のサンプルデータSmaxの1つ前と2つ前、1つ後と2つ後のサンプルデータS(-1),S(-2),S(+1),S(+2)に、差分値Δ(-1),Δ(-2),Δ(+1),Δ(+2)に
図5に示す係数を乗じた補正値を加算する。
【0044】
差分値Δ(-2)とは、1つ前のサンプルデータS(-1)と2つ前のサンプルデータS(-2)との差分値、差分値Δ(+2)とは、1つ後のサンプルデータS(+1)と2つ後のサンプルデータS(+2)との差分値である。
【0045】
同様に、
図7(a)のハッチングを付した部分が、サンプルデータS(-1),S(-2),S(+1),S(+2)に加算された補正値Vaddである。
【0046】
また、
図7(b)に示すように、加減算部105は、極小値のサンプルデータSminの1つ前と2つ前、1つ後と2つ後のサンプルデータS(-1),S(-2),S(+1),S(+2)より、差分値Δ(-1),Δ(-2),Δ(+1),Δ(+2)に
図5に示す係数を乗じた補正値を減算する。
【0047】
同様に、
図7(b)のハッチングを付した部分が、サンプルデータS(-1),S(-2),S(+1),S(+2)より減算された補正値Vsubである。
【0048】
加減算部105は、以上のような基本的な考えに基づき、極大値近傍のサンプルデータに補正値を加算し、極小値近傍のサンプルデータより補正値を減算する。
【0049】
なお、
図6(a),(b)に示す基本的な考えに基づくと、極大値と極小値との間が2サンプル間隔であれば、極大値と極小値との間の中間サンプルデータには、加算処理と減算処理との双方が施されてしまうことになる。これを避けるために、加減算部105は、2サンプル間隔の場合には、中間サンプルデータに加算処理のみを施すようにするのがよい。
【0050】
極大値と極小値との間が2サンプル間隔のとき、加減算部105は、極小値から極大値へとサンプル値が上昇していく場合には、中間サンプルデータに加算処理のみを施し、極大値から極小値へとサンプル値が下降していく場合には、中間サンプルデータに減算処理のみを施すようにしてもよい。
【0051】
ところで、サンプル間隔を、2サンプルから5サンプルまでと、6サンプル以上とで場合分けしているのは単なる例であり、これに限定されない。また、極大値のサンプルデータSmaxの3つ前と3つ後、またはそれ以降のサンプルデータに補正値を加算し、極小値のサンプルデータSminの3つ前と3つ後、またはそれ以降のサンプルデータより補正値を減算する場合があってもよい。
【0052】
補正値算出部104は、
図4に示すサンプルデータS0,S1の差分値と、サンプルデータS2,S3の差分値とのそれぞれに係数を乗じて、補正値を算出する。
図8に示すように、加減算部105は、サンプルデータS2に補正値Vadd10を加算し、サンプルデータS1よりVsub10を減算する。
【0053】
これに加えて、加減算部105は、極大値のサンプルデータS3に、サンプルデータS2,S3の差分値に係数を乗じた補正値Vadd10を加算し、極小値のサンプルデータS1より、サンプルデータS0,S1の差分値に係数を乗じたVsub10を減算してもよい。
【0054】
図8に示すCD信号のサンプルデータはビット数変換・サンプリング周波数変換部50に入力され、量子化ビット数24ビット、サンプリング周波数176.4kHzのHR音声信号に変換される。
【0055】
図9は、ビット数変換・サンプリング周波数変換部50より出力されたHR音声信号のサンプルデータを示している。
図9に示すように、CD信号のサンプルデータS0,S1間には、サンプルデータS01,S02,S03が新たに生成される。サンプルデータS1,S2間には、サンプルデータS11,S12,S13が新たに生成され、サンプルデータS2,S3間には、サンプルデータS21,S22,S23が新たに生成される。
【0056】
次に、
図3に示す波形補正処理部20の動作を、
図9,
図10を参照しながら説明する。
【0057】
極値算出部201は、ビット数変換・サンプリング周波数変換部50より出力されたHR音声信号のサンプルデータにおける隣接するサンプルデータの大小関係を判定することによって、極大値と極小値とを算出する。
【0058】
極値算出部201で算出される極大値と極小値は、
図2の極値算出部101で算出された極大値と極小値と同じとは限らない。よって、波形補正処理部10と波形補正処理部20とのそれぞれで極大値と極小値とを算出するのがよい。
【0059】
ここでは、極値算出部201で算出された極大値と極小値が、極値算出部101で算出された極大値と極小値と同じであったとする。極値算出部201は、
図9におけるサンプルデータS0が極小値、サンプルデータS3が極大値であると算出する。
【0060】
サンプル数検出部202は、極大値と極小値との間のサンプル数(サンプル間隔)を検出する。ここでのサンプル数とは、HR音声信号のサンプル間隔T1でのサンプル数である。
図9の場合、サンプル数検出部202は、12サンプル間隔であることを検出する。
【0061】
差分値算出部203には、サンプル数検出部202による検出結果と、HR音声信号とが入力される。差分値算出部203は、HR音声信号における隣接するサンプルデータの差分値を算出する。ここでの隣接するサンプルデータとは、HR音声信号のサンプル間隔T1での隣接するサンプルデータである。
【0062】
補正値算出部204は、隣接するサンプルデータの差分値に所定の係数を乗じて補正値を算出する。係数は1以下の数である。補正値算出部204には、サンプル数に応じた係数が設定されている。補正値算出部204は、サンプル数検出部202で検出されたサンプル数に応じて係数を選択する。
【0063】
補正値算出部204にはレベル選択信号が入力され、レベル選択信号によって差分値に乗じる係数を選択することによって、補正値が調整可能とされていることが好ましい。
【0064】
補正値算出部204に入力されるレベル選択信号は、補正値算出部104に入力されるレベル選択信号と同じであるのがよい。即ち、補正値算出部104と補正値算出部204とには、レベル選択信号を共通に入力すればよい。
【0065】
加減算部205は、極大値近傍のサンプルデータに補正値を加算し、極小値近傍のサンプルデータより補正値を減算する。これに加えて、加減算部205は、極大値のサンプルデータに補正値を加算し、極小値のサンプルデータより補正値を減算してもよい。
【0066】
加減算部205も、
図6及び
図7で説明した考えに基づき、極大値近傍のサンプルデータに補正値を加算し、極小値近傍のサンプルデータより補正値を減算する。
【0067】
サンプル数検出部202は、極小値と極大値との間が12サンプル間隔であることを検出している。よって、加減算部205は、
図7(a)で説明したように、極大値のサンプルデータS3の1つ前のサンプルデータS23と、2つ前のサンプルデータS22に補正値Vaddを加算する。
【0068】
また、加減算部205は、
図7(b)で説明したように、極小値のサンプルデータS0の1つ後のサンプルデータS01と、2つ後のサンプルデータS02より、補正値Vsubを減算する。
【0069】
具体的には、補正値算出部204は、サンプルデータS22,S23の差分値、サンプルデータS23,S3の差分値それぞれに係数を乗じて、補正値を算出する。
図10に示すように、加減算部205は、サンプルデータS22,S23のそれぞれに、補正値Vadd20を加算する。
【0070】
補正値算出部204は、サンプルデータS0,S01の差分値、サンプルデータS01,S02の差分値それぞれに係数を乗じて、補正値を算出する。
図10に示すように、加減算部205は、サンプルデータS01,S02のそれぞれから、補正値Vsub20を減算する。
【0071】
以上説明した波形補正処理によって、
図8に示すように、サンプルデータS2に補正値Vadd10が加算され、サンプルデータS1より補正値Vsub10が減算されて、CD音声信号が補正され、
図9に示すように、補正されたCD音声信号がHR音声信号に変換される。
【0072】
さらに、
図10に示すように、サンプルデータS22,S23に補正値Vadd20が加算され、サンプルデータS01,S02より補正値Vsub20が減算されて、補正されたHR音声信号が得られる。
【0073】
本実施形態のデジタル音声処理装置、
図1〜
図3に示すデジタル音声処理装置で実行される本実施形態のデジタル音声処理方法によれば、第1のデジタル音声信号を第2のデジタル音声信号に変換したデジタル音声信号の音質を向上させることができる。第1のデジタル音声信号は第1のサンプリング周波数を有し、例えばCD音声信号である。第2のデジタル音声信号は第1のサンプリング周波数よりも高い第2のサンプリング周波数を有し、例えばHR音声信号である。
【0074】
本実施形態のデジタル音声処理装置及びデジタル音声処理方法によれば、波形補正処理部10によってCD音声信号に対して付加される補正信号の帯域と、波形補正処理部20によってHR音声信号に対して付加される補正信号の帯域とは異なる。前者の帯域と後者の帯域はいずれも高域成分ではあるが、前者の帯域は後者の帯域と比較すると低域側に位置し、後者の帯域は前者の帯域と比較すると高域側に位置する。
【0075】
よって、本実施形態のデジタル音声処理装置及びデジタル音声処理方法によれば、聴感上の音質を効果的に向上させることができる。
【0076】
以上説明した本実施形態のデジタル音声処理装置の動作、本実施形態のデジタル音声処理方法の処理を、デジタル音声処理プログラムで実行させることもできる。
【0077】
図11に示すように、マイクロコンピュータ30には、デジタル音声処理プログラムが記憶されている記録媒体40が接続されている。記録媒体40は、ハードディスクドライブ、光ディスク、半導体メモリ等の任意の非一時的な記録媒体(記憶媒体)である。デジタル音声処理プログラムは、外部のサーバからインターネット等の通信回線を介して送信されて記録媒体40に記録されてもよい。
【0078】
デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、
図12に示すような各ステップの処理を実行させればよい。
【0079】
第1の極値算出ステップS1101:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、CD音声信号のサンプルデータに基づいて、極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとを算出する処理を実行させる。
【0080】
第1のサンプル数検出ステップS1102:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、隣接する極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとの間のサンプル数を検出する処理を実行させる。
【0081】
第1の差分値算出ステップS1103:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、CD音声信号を構成するサンプルデータにおける隣接するサンプルデータ間の差分値を算出する処理を実行させる。
【0082】
第1の補正値算出ステップS1104:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、第1の差分値算出ステップS1103で算出された差分値に所定の係数を乗算して補正値を算出する処理を実行させる。
【0083】
第1の加減算ステップS1105:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、CD音声信号を構成するサンプルデータのうち、少なくとも、第1の極値算出ステップS1101で算出された極大値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータに、第1の補正値算出ステップS1104で算出された補正値を加算する処理を実行させる。
【0084】
また、デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、少なくとも、第1の極値算出ステップS1101で算出された極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータより、第1の補正値算出ステップS1104で算出された補正値を減算する処理を実行させる。
【0085】
サンプリング周波数変換ステップS501:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、第1の加減算ステップS1105にて波形が補正されたCD音声信号をHR音声信号に変換する処理を実行させる。
【0086】
第2の極値算出ステップS2201:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、HR音声信号を構成するサンプルデータに基づいて、極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとを算出する処理を実行させる。
【0087】
第2のサンプル数検出ステップS2202:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、隣接する極大値のサンプルデータと極小値のサンプルデータとの間のサンプル数を検出する処理を実行させる。
【0088】
第2の差分値算出ステップS2203:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、HR音声信号を構成するサンプルデータにおける隣接するサンプルデータ間の差分値を算出する処理を実行させる。
【0089】
第2の補正値算出ステップS2204:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、第2の差分値算出ステップS2203で算出された差分値に所定の係数を乗算して補正値を算出する処理を実行させる。
【0090】
第2の加減算ステップS2205:デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、HR音声信号を構成するサンプルデータのうち、少なくとも、第2の極値算出ステップS2201で算出された極大値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータに、第2の補正値算出ステップS2204で算出された補正値を加算する処理を実行させる。
【0091】
また、デジタル音声処理プログラムは、マイクロコンピュータ30に、少なくとも、第2の極値算出ステップS2201で算出された極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータより、第2の補正値算出ステップS2204で算出された補正値を減算する処理を実行させる。
【0092】
以上説明した本実施形態のデジタル音声処理装置、デジタル音声処理方法、デジタル音声処理プログラムにおいては、波形補正処理部10における波形補正処理と、波形補正処理部20における波形補正処理とで、
図5に示すテーブルを共通に用いている。波形補正処理部10における波形補正処理と、波形補正処理部20における波形補正処理とで別々のテーブルを用いてもよい。
【0093】
波形補正処理部10における波形補正処理で用いるテーブルと、波形補正処理部20における波形補正処理で用いるテーブルとで、最大のサンプル間隔を異ならせてもよい。
【0094】
例えば、波形補正処理部10における波形補正処理では2〜8サンプル間隔で補正値を設定したテーブルを用い、波形補正処理部20における波形補正処理では、2〜32サンプル間隔で補正値を設定したテーブルを用いることができる。
【0095】
波形補正処理部10における波形補正処理で用いるテーブルと、波形補正処理部20における波形補正処理で用いるテーブルとで、係数を異ならせてもよい。
【0096】
波形補正処理部10における波形補正処理で補正値を加減算するサンプルデータの範囲と、波形補正処理部20における波形補正処理で補正値を加減算するサンプルデータの範囲とを異ならせてもよい。
【0097】
例えば、波形補正処理部10における波形補正処理では、極大値または極小値から、第1のデジタル音声信号のサンプルデータで最大2サンプル隣まで補正値を加減算し、波形補正処理部20における波形補正処理では、極大値または極小値から、第2のデジタル音声信号のサンプルデータで最大8サンプル隣まで補正値を加減算してもよい。
【0098】
上述のように、波形補正処理部10における波形補正処理と、波形補正処理部20における波形補正処理との双方で、補正値を加減算する対象のサンプルデータを次のように設定している。
【0099】
サンプル間隔が2サンプルから5サンプルまで(第1の範囲)であれば、極大値または極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータを、補正値を加減算する対象のサンプルデータとしている。また、サンプル間隔が第1の範囲より多い6サンプル以上(第2の範囲)であれば、極大値または極小値のサンプルデータに隣接する1つ前及び1つ後のサンプルデータと2つ前及び2つ後のサンプルデータを、補正値を加減算する対象のサンプルデータとしている。
【0100】
波形補正処理部10における波形補正処理の第1及び第2の範囲と、波形補正処理部20における波形補正処理の第1及び第2の範囲とを異ならせてもよい。
【0101】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。