(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面パターン上のレイアウトとして、前記第1の温度検出ダイオードは、前記ドリフト層を構成している前記第1導電型領域の中央に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
前記温度検出ダイオードを設ける工程は、前記温度検出ダイオードを、平面パターン上のレイアウトとして、前記ドリフト層を構成している前記第1導電型領域の中央に設けて行うことを特徴とする請求項19に記載の半導体素子の製造方法。
前記ゲート電極を設ける工程と前記温度検出ダイオードを設ける工程とを同時に行い、前記ゲート電極と前記温度検出ダイオードとを同じ高さに設けることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
前記ゲート電極を設ける工程の後、ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程を行った後に前記温度検出ダイオードを設ける工程を行い、前記温度検出ダイオードを前記ゲート電極より高い位置に設けることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の半導体素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層や配線の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また複数の図面間で同一又は類似の符号を付した構造については、その詳細な説明並びに作用及び効果の説明を、適宜省略する。また以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
【0014】
また以下の本発明の実施の形態の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。また本明細書及び添付図面においては、n又はpを冠した領域や層では、それぞれ電子又は正孔が多数キャリアであることを意味する。またnやpに付す+や−は、+及び−が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。また添付図面においては、見易さのため、一部の層のハッチングの図示を省略している。
【0015】
<第1の実施の形態>
(半導体素子の構造)
第1の実施の形態に係る半導体素子1は、
図1の断面図に示すように、第1導電型のドレイン領域2と、このドレイン領域2の上に設けられた第1導電型領域と、この第1導電型領域の内部に第1導電型領域の主面に平行な方向に複数の第2導電型のカラム(p型カラム)32a〜32gを同一間隔に設けた超接合構造を有するドリフト層3と、を備える。第1導電型領域の下面側を除き、第1導電型領域をなしている残余のn型領域がn型カラム31a〜31hとして定義される。また
図1に示したような、複数のn型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gが並列した周期的配列構造により構成される超接合構造を有する層を「pnカラム層」と呼ぶ。
【0016】
また半導体素子1は、第1導電型領域の表面層に周期的に設けられた第2導電型の複数のウェル領域4a〜4gと、複数のウェル領域4a〜4gのそれぞれの内部に周期的に設けられた第2導電型のコンタクト領域5a〜5gと、を備える。このとき、ウェル領域4a〜4gはp型カラム32a〜32gの上方に配置されてもよい。また半導体素子1は、
図1中の中央に示された3個のウェル領域4c〜4e内の部分的な領域を除いて複数のウェル領域4a〜4gのそれぞれの内部に選択的に設けられた複数の第1導電型のソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6n(
図23参照)を更に備える。
【0017】
また半導体素子1は、3個のウェル領域4c〜4e内の部分的な領域以外のウェル領域4a〜4gの上方の位置に、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7dl,7dr,7el,7er,7f,7g,7h…を介して、同一線幅で周期的に設けられた複数のゲート電極8a〜8c,8dl,8dr,8el,8er,8f〜8hを備える。
【0018】
また半導体素子1は、3個のウェル領域4c〜4eの部分的な領域の表面の上方の位置に、第1中央絶縁膜17d及び第2中央絶縁膜17eを介してそれぞれ設けられた第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を備える。第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極8a〜8c,8f〜8hの周期的な構造に調和して、ゲート電極8a〜8c,8f〜8hと同一線幅、同一ピッチ及び同一厚みで設けられている。
【0019】
ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7f,7g,7h…は、隣り合うウェル領域4a〜4g内のソース領域6a〜6c,6l〜6nにまたがるように第1導電型領域の表面に設けられる。なお、ゲート絶縁膜7c、7fにおいて、第1中央絶縁膜17d及び第2中央絶縁膜17eに隣接するウェル領域4bとウェル領域4cとの間、及びウェル領域4eとウェル領域4fとの間にソース領域が設けられていない部分がある。
【0020】
ゲート絶縁膜7cは、ソース領域6drとソース領域6er、及びソース領域6dlとソース領域6elにまたがるように第1導電型領域の表面に設けられ、ソース領域が設けられていない部分に同一線幅、同一厚みで延伸してつながっている。ゲート絶縁膜7fも同様にソース領域6jrとソース領域6kr、及びソース領域6jlとソース領域6klにまたがるように第1導電型領域の表面に設けられ、ソース領域が設けられていない部分に同一線幅、同一厚みで延伸してつながっている。
【0021】
ゲート絶縁膜7dl,7dr,7el,7erの直下にはソース領域6dl〜6kl,6dr〜6krが設けられており、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7f,7g,7h…と同様に隣り合うウェル領域内のソース領域にまたがるように第1導電型領域の表面にゲート絶縁膜7dl,7dr,7el,7erが設けられる。また、第1中央絶縁膜17dはゲート絶縁膜7dlとゲート絶縁膜7drとの間に、第2中央絶縁膜17eはゲート絶縁膜7elとゲート絶縁膜7erとの間に設けられており、ゲート絶縁膜7dl、7drと第1中央絶縁膜17d、及びゲート絶縁膜7el、7erと第2中央絶縁膜17eは同一線幅、同一ピッチ及び同一厚みで設けられている。
【0022】
図2の斜視図に、半導体素子1の主面の中央の領域及びその周囲の領域の構造を部分的に拡大して表すと共に、拡大した領域に含まれる一部の層を部分的に断面して示す。第1中央絶縁膜17dは、
図2に示すように、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7dl,7dr,7el,7er,7f,7g,7h…と同一線幅及び同一厚みの、同一材料の絶縁膜、例えばシリコン酸化膜(SiO
2膜)である。第1中央絶縁膜17dは、
図2中の左下側から右上側に向かう方向で表される奥行方向の中央に位置する2個のn型カラム31d,31eのうち、手前側(左側)のn型カラム31dの上に配置されている。また第2中央絶縁膜17eは、第1中央絶縁膜17dと等価な構成を有し、奥側(右側)のn型カラム31eの上に配置されている。
【0023】
また半導体素子1は、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の上に積層された複数の層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…と、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の上に設けられた中央層間絶縁膜19と、を備える。
【0024】
ゲート電極8a〜8c,8f〜8hは、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7f,7g,7h…上に隣り合うウェル領域4a〜4g内のソース領域6a〜6c,6l〜6nにまたがるように設けられている。また第1温度検出ダイオードD
temp1はゲート電極8dlとゲート電極8drの間に、第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極8elとゲート電極8erの間にそれぞれ設けられている。
【0025】
第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極の一部より構成されてもよい。すなわち第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の製造プロセスは、最初の一部がゲート電極の製造プロセスと同期しており、途中から異ならせて行う。これにより、温度検出領域21上でゲート電極として使用を前提に作製された構造体の一部が、途中で他の部分から分離独立し、その後、ダイオードとしての特性を有するように所定の処理が施されることにより、最終的に、半導体素子1の中でゲート電極としてではなく温度検出用の素子として用いられることになる。
【0026】
ゲート電極8dl,8dr,8el,8erは、ゲート絶縁膜7dl,7dr,7el,7erの上に隣り合うウェル領域4c〜4e内のソース領域6dl〜6kl,6dr〜6krにまたがるように設けられている。第1温度検出ダイオードD
temp1、及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極8dl、8dr、及びゲート電極8el、8erと同一線幅、同一ピッチ、及び同一厚みで設けられ、第1温度検出ダイオードD
temp1、及び第2温度検出ダイオードD
temp2と、ゲート電極8dl、8dr、及びゲート電極8el、8erの間は分離されている。
【0027】
また半導体素子1は中央層間絶縁膜19の上に、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18da及び第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18eaの間を架け渡すように設けられた、アノード表面配線12aを備える。また半導体素子1は中央層間絶縁膜19の上に、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1カソード領域18dc及び第2温度検出ダイオードD
temp2の第2カソード領域18ecの間を架け渡すように設けられた、カソード表面配線12bを備える。
【0028】
また半導体素子1は、複数の層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…の上に、ソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nとコンタクト領域5a〜5gとを電気的に短絡するように設けられたソース電極10と、ドリフト層3と反対側となるドレイン領域2の裏面(下面)上に設けられたドレイン電極11と、を備える。第1の実施の形態に係る半導体素子1は、MOSFETを基本構造とする。
【0029】
半導体素子1は、
図3の上面図に示すように、主面を、主面の垂直方向となる上面から見た平面パターン上のレイアウトとして、全体構造の略中央に位置する「温度検出領域21」、この温度検出領域21と隙間を開けて温度検出領域21の周囲に位置する「活性領域22」、及び活性領域22の周囲で半導体素子1の周縁に位置し耐圧構造を有する「エッジ領域23」に分けられる。尚、
図3は、半導体素子1を、p型カラム32a〜
32gが含まれる深さ位置で、半導体素子1の主面に平行に切った面を示す。
【0030】
温度検出領域21は、
図3中に示した平面パターンでは、第1温度検出ダイオードD
temp1の矩形状の輪郭線のうち第2温度検出ダイオードD
temp2側の1辺を除く3辺と、第2温度検出ダイオードD
temp2の矩形状の輪郭線のうち第1温度検出ダイオードD
temp1側の1辺を除く3辺と、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の長手方向の両端間を結ぶように描かれた2本の点線とで構成された、略矩形状の領域で定義される。
【0031】
活性領域22は、温度検出領域21の矩形の領域の外側に破線で描かれた矩形と、半導体素子1の外周の輪郭をなす正方形の内側に、この正方形より少し小さく描かれ四隅が丸められた略正方形状の輪郭線(エッジ領域23)との間の領域を示す。活性領域22は平面パターンでエッジ領域23に周囲を囲まれ、温度検出領域21が開口した形状である。活性領域22のゲート電極8dl,8dr,8el,8erと、温度検出領域21の第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2との間には、隙間が形成され分離されている。
【0032】
また
図3中では図示を省略するが、pnカラム層が構成されているドリフト層3の上には、プレーナ型のMOSゲート構造のユニット(単位)が複数連続して、多チャンネル構造をなしている。MOSゲート構造のユニットは、ストライプ状のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の伸びる方向にそれぞれ設けられると共に、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の並列方向に、それぞれ周期的に配列され、全体でマトリクス状のトポロジーが形成されている。尚、
図3中には、17個のn型カラム31a〜31h及び16個のp型カラム32a〜32gが例示されているが、それぞれの個数は、半導体素子1の定格電流等の仕様に応じて、適宜変更可能である。
【0033】
ドレイン領域2は、
図1に示すように、第1導電型で高不純物濃度(n
+)のシリコン(Si)基板を母材としており、抵抗の低い半導体層を構成している。母材としてのSi基板は、温度検出領域21及び活性領域22の両方に亘り半導体チップとして同一構造で設けられている。
【0034】
ドリフト層3を構成しているn型カラム31a〜31hは、第1導電型で比較的低不純物濃度(n)すなわち比較的比抵抗の高い半導体領域である。またp型カラム32a〜32gの不純物濃度(p)は、pnカラム層の空乏化を考慮して決定され、比較的比抵抗の高い半導体領域として選定される。
図1に示した半導体素子1の耐圧クラスは、例えば300V〜900Vとすることができる。ドリフト層3の表面側から裏面側までの厚みは、10μm〜40μm程度で構成できるが、20μm程度がより好適である。
【0035】
n型カラム31a〜31hとp型カラム32a〜32gはいずれも、
図3に図示された平面パターンの左右方向に長手方向が伸び、上下方向の両端の間において連続的な周期パターンとして設けられる。そのためpnカラム層の上面は、平面パターンとしては同一線幅のストライプ状となる。尚、n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gの「線幅」としては、n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gの長手方向に直交する方向に測った長さを用いる。n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gの線幅は、1μm〜10μm程度で構成できるが、5μm程度がより好適である。尚、この実施の形態では、n型カラムの線幅、およびp型カラムの線幅は同一としているが、各カラムの不純物濃度によっては、カラムの線幅は同一にしなくてもよい。
【0036】
またpnカラム層は、
図1に示したように、ドリフト層3の内部のいずれの深さ位置も、同一深さで切った断面の平面パターンでストライプ状に表現できる。同一深さの断面に表れる平面パターン上も、n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gのそれぞれの線幅は同じである。すなわちpnカラム層は三次元的には、並列した板状のパターンの多層構造として設けられている。n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gは、温度検出領域21及び活性領域22の両方の領域に亘って、同一構造で、一様かつ周期的に設けられている。
【0037】
ウェル領域4a〜4gは第2導電型で、MOSFETのゲートしきい値等を考慮した不純物濃度に選定された半導体領域である。ウェル領域4a〜4gは、ドリフト層3の内部全体に亘るストライプ状のパターンを構成しており、
図1に表れた形状が、
図1中の紙面に直交する方向となる奥行方向に沿って直線状に延在している。複数のウェル領域4a〜4gが延在方向に直交する方向(
図1中の左右方向)の長さであるストライプの幅はいずれも等しく、且つ、それぞれ等間隔で繰り返し形成されている。ウェル領域4a〜4gの断面は、側辺が湾曲しているものの、模式的には下辺が上辺より僅かに短い逆台形状に近い形状である。ウェル領域4a〜4gは、pnカラム層と同様に、温度検出領域21及び活性領域22の両方に亘って、同一構造の一様なパターンとなっているので、半導体素子1の耐圧を高めている。ウェル領域4a〜4gの個数は、p型カラム32a〜32gの個数に応じて適宜設定可能である。
【0038】
コンタクト領域5a〜5gは第2導電型で、p型カラム32a〜32gよりも高不純物濃度(p
+)すなわち比較的比抵抗の低い半導体領域と接している。コンタクト領域5a〜5gは、ウェル領域4a〜4gと同様に、ドリフト層3の内部全体に亘って、
図1中の奥行方向に沿って直線状に延在し、いずれも等しい幅で、且つ、それぞれ等間隔で繰り返し形成されることにより、平面パターンでストライプ状に設けられる。またコンタクト領域5a〜5gは、温度検出領域21及び活性領域22の両方に亘って、同一構造の一様なパターンとなっているので、ウェル領域4a〜4gと同様に半導体素子1の耐圧を高めるのに寄与することができる。コンタクト領域5a〜5gの個数は、ウェル領域4a〜4gの個数に応じて適宜設定可能である。
【0039】
ソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nは第1導電型で、高不純物濃度(n
+)すなわち比較的比抵抗の低い半導体領域である。ソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nは、活性領域22にのみ対応して形成され、温度検出領域21及び温度検出領域21と活性領域22との隙間には形成されない。
【0040】
第1温度検出ダイオードD
temp1は、
図3に示すように、主面が長方形状に表れる帯状体であり、長手方向に沿って全体がp型の第1アノード領域18daとn型の第1カソード領域18dcとで略等分割されたpn接合ダイオードである。第1温度検出ダイオードD
temp1としては、温度検出用のpn接合を有するダイオードであれば特に限定されないが、例えばツェナーダイオードが好適である。
【0041】
第1温度検出ダイオードD
temp1を構成している第1アノード領域18da及び第1カソード領域18dcのpn接合の接合面は、
図4の上面図に示すように、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の延びる方向に交わるように設けられている。尚、
図4は、半導体素子1を、第1温度検出ダイオードD
temp1の上面の高さで、半導体素子1の主面に平行に切った面を示す。
図4中に例示した第1温度検出ダイオードD
temp1の延在方向に沿って測った長さは、4μm〜40μm程度であるが、この長さは所望の温度検出能力に応じて適宜変更できる。また第1温度検出ダイオードD
temp1の厚みは0.1μm〜1.0μm程度であるが、0.5μm程度がより好適である。
【0042】
また第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18daの不純物濃度は、例えば1×10
18〜1×10
19cm
−3程度であり、
図1〜
図4中に例示したものの場合、3×10
18cm
−3程度で構成され、コンタクト領域5a〜5gと略同じ濃度(p
+)か若干低濃度である。また第1温度検出ダイオードD
temp1の第1カソード領域18dcの不純物濃度は、例えば1×10
18〜1×10
21cm
−3程度であり、
図1〜
図4中に例示したものの場合、5×10
18cm
−3程度で構成され、ソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6n及びゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…と略同じ濃度(n
+)か若干低濃度である。
【0043】
第2温度検出ダイオードD
temp2は、第1温度検出ダイオードD
temp1と等価な構成である。第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18eaが、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18daに対応すると共に、第2カソード領域18ecが、第1温度検出ダイオードD
temp1の
第1カソード領域18dcに対応する。第2温度検出ダイオードD
temp2は、
図1〜
図4に示すように、ゲート電極1個分の幅を空けて、第1温度検出ダイオードD
temp1と平行に配置されている。
【0044】
また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、
図3及び
図4に示すように、半導体素子1の主面の中央に、図中の主面の中心を水平に通る中心線を挟んで鏡像関係となるように上下対称的に設けられている。また
図1に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2はいずれも、厚み方向でn型カラム31a〜31hと重畳するように配置されている。
【0045】
ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…はすべて第1導電型の不純物が添加された多結晶シリコン(ポリシリコン)が用いられている。ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の不純物濃度は、1×10
18〜1×10
20cm
−3程度の範囲内、例えば5×10
18cm
−3程度と、n型カラム31a〜31hよりも高濃度(n
+)で、比較的比抵抗が低く形成されている。
【0046】
ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…は、
図1に示すように、ドリフト層3の上方で、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2が設けられている温度検出領域21を除き、
図1中の奥行方向に沿って直線状に延在している。ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…は、延在方向に直交する方向(
図1中の左右方向)にいずれも等しい線幅で、且つ、それぞれ同一ピッチで繰り返し形成されている。
【0047】
図4に示すように、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…は、
図3中に示したn型カラム31a〜31hと略同様の平面パターンで設けられる。ここで
図4中の左側に示すように、半導体素子1の主面を、温度検出領域21が含まれる中央の領域M、この中央の領域Mより上側の領域L及び中央の領域Mより下側の領域Nの3個に、便宜上区分する。
【0048】
上側の領域L及び下側の領域Nに含まれるゲート電極8a〜8c,8f〜8hは、半導体素子1のエッジ領域23の左右の両端間を延びている。また中央の領域Mに含まれる4本のゲート電極8dl,8dr,8el,8erは、それぞれが近接する、エッジ領域23の左右いずれかの端部と、第1温度検出ダイオードD
temp1又は第2温度検出ダイオードD
temp2の近傍との間で延びている。
【0049】
第1温度検出ダイオードD
temp1を構成している第1アノード領域18da及び第1カソード領域18dcの、
図4中の左右両側の2本のゲート電極8dl,8drは、
図2に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1が設けられているカラムと同じn型カラム31dの上に、第1温度検出ダイオードD
temp1とそれぞれ隙間を空けて設けられている。そのため2本のゲート電極8dl,8drと第1温度検出ダイオードD
temp1とは、平面パターンで、同一の直線をなすように揃えて配置されている。
【0050】
また第2温度検出ダイオードD
temp2を構成している第2アノード領域18ea及び第2カソード領域18ecの両側の2本のゲート電極8el,8erも、第1温度検出ダイオードD
temp1と同様に、第2温度検出ダイオードD
temp2が設けられているカラムと同じn型カラム31eの上に設けられ、第2温度検出ダイオードD
temp2とそれぞれ隙間を空けて、平面パターンで、第2温度検出ダイオードD
temp2と同一の直線をなすように揃えて配置されている。
【0051】
また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の周囲には、第1温度検出ダイオードD
temp1の第2温度検出ダイオードD
temp2と反対側のゲート電極8cと、第1温度検出ダイオードD
temp1の長手方向の両側の2本のゲート電極8dl,8drと、第2温度検出ダイオードD
temp2の長手方向の両側の2本のゲート電極8el,8erと、第2温度検出ダイオードD
temp2の第1温度検出ダイオードD
temp1と反対側のゲート電極8fと、からなる6本のストライプ状のゲート電極が、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2に最も近接するように配置されている。すなわち温度検出領域21の四方は、これらの6本のゲート電極8c,8dl,8dr,8el,8er,8fに取り囲まれている。
【0052】
6本のゲート電極8c,8dl,8dr,8el,8er,8fのうち、第1温度検出ダイオードD
temp1の第2温度検出ダイオードD
temp2と反対側のゲート電極8cと、第2温度検出ダイオードD
temp2の第1温度検出ダイオードD
temp1と反対側のゲート電極8fには、
図22の上面図に示すように、いずれも長手方向で第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2に対応する中央部分の両側にソース領域が形成されていない。第1アノード領域18da及び第1カソード領域18dcに最も近接するソース領域は、
図22中の下から2段目のゲート電極8bの左右方向の中央の上側に設けられたソース領域6cである。
【0053】
尚、
図22中の下から3段目のゲート電極8cの左右方向の中央の領域は、トランジスタ動作に関与しない場合についての例示であるが、ソース領域の構造は、
図22に例示したものに限定されない。例えば
図22中の下から3段目のゲート電極8cの、第1アノード領域18da及び第1カソード領域18dcに対応する中央の領域において、下から2段目のゲート電極8b側(下側)の部分にソース領域を設けて、トランジスタ動作に寄与できるようにしてもよい。
【0054】
また第1温度検出ダイオードD
temp1と、第1温度検出ダイオードD
temp1の長手方向の両側の2本のゲート電極8dl,8drとの隙間の長さは、第1温度検出ダイオードD
temp1と、第1温度検出ダイオードD
temp1からの電界強度のエッジ効果等の影響を考慮して、5μm程度が好適である。また第2温度検出ダイオードD
temp1と、第2温度検出ダイオードD
temp2の長手方向の両側の2本のゲート電極8el,8erとの隙間の長さも、第1温度検出ダイオードD
temp1の両側の隙間の場合と同様に、設定可能である。
【0055】
層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…は、
図4に示すように、上側の領域L及び下側の領域Nに含まれるゲート電極8a,8b,8c,8f,8g,8h…の上にそれぞれ積層されている。層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…は、平面パターンで、ゲート電極8a,8b,8c,8f,8g,8h…の形状に応じてストライプ状に設けられている。
【0056】
一方、中央層間絶縁膜19は、
図23の上面図に示すように、中央の領域Mに含まれる4本のゲート電極8dl,8dr,8el,8erの上と、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の上とに跨って、一体的に積層されている。中央層間絶縁膜19は、平面パターンで縦長の矩形状に表れる、温度検出領域21に対応する平板状の領域と、この平板状の領域の矩形の2本の長辺上から、短辺に沿って延びるようにそれぞれ3本ずつ突出して設けられた、平面パターンで横長の矩形状に表れる6本の棒状の領域と、を備える。中央層間絶縁膜19により、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の周囲の6本のゲート電極8c,8dl,8dr,8el,8er,8fとの隙間が埋められている。
【0057】
アノード表面配線12aは、
図1に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18daの上の中央層間絶縁膜19に形成されたコンタクトホール19a1と、第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18eaの上の中央層間絶縁膜19に形成されたコンタクトホール19a2とをそれぞれ貫通して、第1アノード領域18da及び第2アノード領域18eaに接触して形成されている。アノード表面配線12aは、第1アノード領域18da及び第2アノード領域18ea間を連結すると共に正極側の電位を取り出す。
【0058】
またカソード表面配線12bは、アノード表面配線12aの場合と同様に、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1カソード領域18dcと、第2温度検出ダイオードD
temp2の第2カソード領域18ecとの間を連結すると共に、負極側の電位を取り出す。アノード表面配線12a及びカソード表面配線12bにより、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は並列に接続されているまたソース電極10及びドレイン電極11は、いずれも導電性を有する素材であればよく、例えばアルミニウム(Al)等を含む金属膜で構成できる。
【0059】
第1の実施の形態に係る半導体素子1の場合、半導体素子1が順バイアスされると共にゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…にゲート電圧が印加されると、ウェル領域4a〜4gのドリフト層3とソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nとの間にチャネルが形成される。そしてソース電極10−ドレイン電極11間に電流が流れ、半導体素子1がターンオンする。半導体素子1が動作し、ドリフト層3に電流が流れることで、半導体素子1の温度は上昇する。第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ドリフト層3の温度に応じてそれぞれの順方向電圧が変動し、変動した電圧の値はアノード表面配線12a及びカソード表面配線12bにより外部に取り出される。そして取り出された値から電位差が算出され、算出された電位差に基づいて半導体素子1の温度が検出される。
【0060】
このとき、第1温度検出ダイオードD
temp1を構成する第1アノード領域18da及び第1カソード領域18dc、並びに第2温度検出ダイオードD
temp2を構成する第2アノード領域18ea及び第2カソード領域18ecは、いずれもn型カラム31a〜31hの上に、n型カラム31a〜31h及びゲート電極8dl,8dr,8el,8erと同一デザインルールの同一線幅、同一ピッチで設けられると共に、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…と同じ厚みで形成されている。そのため、温度検出領域21からpnカラム層に及ぼす電界強度のエッジ効果等の影響が確実に抑制され、半導体素子1のチャージバランスが大きく崩れることがない。
【0061】
(比較例)
一方、
図5の上面図に示した比較例に係る半導体素子101の場合、半導体素子1の中央に設けられた温度検出ダイオードD
tempvのアノード領域118a及びカソード領域118cの長さ及び幅は、活性領域122のn型カラム131a〜131h及びp型カラム132a〜132gのそれぞれのカラムの幅より長く構成されている。
【0062】
また比較例に係る半導体素子101の温度検出ダイオードD
tempvの厚みは、
図6の断面図に示すように、ゲート電極108a,108b,108f,108gの3倍程度と非常に厚く構成されている。すなわち比較例に係る半導体素子101の温度検出ダイオードD
tempvは、第1の実施の形態に係る半導体素子1の第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2と比較し、主面の面積の点でも、全体の体積の点でも極めて大きく形成されている。
【0063】
そのため温度検出ダイオードD
tempvからの電界強度のエッジ効果等が、下側のpnカラム層に及ぼす影響が大きくなる。従って、
図3で示したような温度検出領域21及び活性領域22に亘り、同一構造のpnカラム層が一様に設けられたドリフト層3の上に、比較例のようにデザインルールの異なる寸法の温度検出ダイオードをそのまま載せると、半導体素子101全体のチャージバランスを良好に保つことができない。
【0064】
このチャージバランスの崩れの抑制を図るため、比較例に係る半導体素子101では、
図5に示すように、温度検出領域121のn型カラム134a〜134e及びp型カラム135a〜135dのそれぞれのカラムの幅が、活性領域122のn型カラム131a〜131h及びp型カラム132a〜132gの幅の9分の5程度に短く設計されている。しかし、ドリフト層103の内部で、活性領域122と温度検出領域121の境界におけるpnカラム層の繋ぎ部分(接合部分)の構造が大きく変化するため、耐圧が低下してしまう。
【0065】
また温度検出領域121のpnカラム層の延びる方向(
図5中の左右方向)の長さは、温度検出ダイオードD
tempvのアノード領域118a及びカソード領域118cの左右方向の長さの3倍程度と非常に長い。これは、温度検出ダイオードD
tempvの直下の領域のpnカラム層を設計変更するだけでは、チャージバランスの崩れを十分に抑制できないため、更に設計変更領域を拡大したためである。そのため温度検出領域121の平面パターンでの面積が大きくなり、結果、活性領域122のpnカラム層とは異なる構造部分が、半導体素子101の全体の中で大きくなる。すなわち半導体素子101の中で通電に関与しない無効面積が占める割合が大きくなるので、半導体素子101のコストアップにつながる。
【0066】
加えて、温度検出領域121を拡大しても尚、チャージバランスの崩れの抑制が十分でない場合があり、
図6に示したように、ドリフト層103の上面の温度検出領域121の位置に設けられる中央絶縁膜117は、ウェル領域104a〜104gの間に設けられているゲート絶縁膜107a,107b,107f,107gの4倍程度と非常に厚く構成される。このように厚い中央絶縁膜117を設ければ、チャージバランスの崩れを一定程度抑制できるものの、反面、ドリフト層103と温度検出ダイオードD
tempvの間の距離が伸びるため、温度検出の精度が低下してしまう。
【0067】
第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、ドリフト層3の内部に、平面パターンで一定の幅が規則的に繰り返し表れるように、活性領域22及び温度検出領域21に跨って、繰り返しピッチや不純物濃度が一様に設けられたpnカラム層と、n型カラム31a〜31hの上に、n型カラム31a〜31hと幅を揃えて、且つ、互いに同じ厚みで設けられたゲート電極8a〜8c,8dl,8dr,8el,8er,8f〜8h及び第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2とを備えることにより、pnカラム層のチャージバランスの崩れを大きく抑制できる。よって、半導体素子1の主面の中央に第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けても、主素子としての半導体素子1の動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを、有効に両立させることができる。
【0068】
また第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、温度検出領域21のpnカラム層の延びる方向の長さを、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2のpn接合の方向に沿った長さ程度に抑えられる。よって温度検出領域21を、
図5で示した温度検出領域121のように不必要に大きく形成する必要がなく、半導体素子1の中で無効面積が占める割合を抑制できる。
【0069】
また第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、第1温度検出ダイオードD
temp1の下側の第1中央絶縁膜17d及び第2温度検出ダイオードD
temp2の下側の第2中央絶縁膜17eの厚みが、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7dl,7dr,7el,7er,7f,7g,7hと同程度に薄く構成できるので、ドリフト層3と第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の間の距離が不必要に伸びない。よって半導体素子1の主面の中央に第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けても、高い精度で温度を検出できる。
【0070】
また第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、第1温度検出ダイオードD
temp1の第2温度検出ダイオードD
temp2と反対側のゲート電極8cと、第2温度検出ダイオードD
temp2の第1温度検出ダイオードD
temp1と反対側のゲート電極8fとのそれぞれに、トランジスタ動作に関与しない領域を部分的に設けて、温度検出領域21と活性領域22の隙間の幅を調整する。よって第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の並列方向における、チャージバランスの崩れをより効果的に抑制できる。
【0071】
なお、第1の実施の形態に係る半導体素子1は、n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gの平面パターンと、ウェル領域4a〜4gの平面パターン、及びゲート電極8a〜8c,8dl,8dr,8el,8er,8f〜8hの平面パターンがストライプ状で、それぞれのストライプの長手方向が平行であるが、n型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜32gの平面パターンと、ウェル領域4a〜4g及び
ゲート電極8a〜8c,8dl,8dr,8el,8er,8f〜8hの平面パターンのストライプは直交してもよい。
【0072】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の第1変形例)
図1〜
図4に示した半導体素子1では、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を並列接続した場合を説明した。しかし本発明に係る半導体素子では、
図1〜
図4に示したのと同様に第1アノード領域18daと第2アノード領域18eaを正対させると共に、第1カソード領域18dcと第2カソード領域18ecとを正対させるように並べて配置した状態で、
図7の上面図に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を直列に接続してもよい。
【0073】
図7中には、第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18eaに、コンタクトホール19a2を介して設けられたアノード表面配線12a1が例示されている。また第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18daと第2温度検出ダイオードD
temp2の第2カソード領域18ecの間には、第1アノード領域18daの上に形成されたコンタクトホール19a1及び第2カソード領域18ecの上に形成されたコンタクトホール19b2を介して設けられ、第1アノード領域18da及び第2カソード領域18ecを接続する斜め中間配線42が例示されている。また第1温度検出ダイオードD
temp1の第1カソード領域18dcに、コンタクトホール19b1を介して設けられたカソード表面配線12b1が例示されている。
【0074】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の第2変形例)
図7中では、並列配置された第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を直列接続した場合を説明したが、本発明に係る半導体素子では、複数の温度検出ダイオードを、同一直線上に連ねた直列配置の状態で、直列に接続してもよい。
図8の断面図中に示した半導体素子1xの場合、3個の温度検出ダイオード18e1,18e2,18e3が、1個のn型カラム31eの上で同一直線上に直列接続されている。
【0075】
尚、半導体素子1xにおいても、ドリフト層3の内部に、pnカラム層が、平面パターンで一定の幅が規則的に繰り返し表れるように、活性領域及び温度検出領域に跨って一様に設けられている。また
図8中には、2個のゲート電極38el,38erが、3個の温度検出ダイオード18e1,18e2,18e3が設けられているカラムと同じ
n型カラム31eの上に、いずれも下側のn型カラム31eと幅を揃えて、同一厚みで設けられている。2個のゲート電極38el,38erは、3個の温度検出ダイオード18e1,18e2,18e3を連結方向の前後から挟むように配置されている。
【0076】
3個の温度検出ダイオード18e1,18e2,18e3のうち
図8中の左側の温度検出ダイオード18e1のp型のアノード領域には、中央層間絶縁膜19xを介してアノード表面配線42aが接続されている。また左側の温度検出ダイオード18e1のn型のカソード領域と、3個の温度検出ダイオード18e1,18e2,18e3のうち
図8中の中央の温度検出ダイオード18e2のアノード領域とが、第1中間配線43aで接続されている。また中央の温度検出ダイオード18e2のカソード領域と、3個の温度検出ダイオードのうち
図8中の右側の温度検出ダイオード18e3のアノード領域とが、第2中間配線43bで接続されている。また右側の温度検出ダイオード18e3のカソード領域には、中央層間絶縁膜
19xを介してカソード表面配線42bが接続されている。
【0077】
第1変形例及び第2変形例に係る半導体素子においても、
図1〜
図4に示した半導体素子1の場合と同様に、温度検出ダイオードを設けてもpnカラム層のチャージバランスの崩れを大きく抑制し、主素子としての半導体素子の動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを、有効に両立させることができる。また1個の温度検出ダイオードが検出する電位差が比較的小さくても、直列接続することで出力電圧を高め、所望の温度検出用の電位差を得ることができる。第1変形例及び第2変形例に係る半導体素子のその他の作用・効果については、
図1〜
図4に示した半導体素子1の場合と同様である。
【0078】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の第3変形例)
図1〜
図4で説明した半導体素子1は、平面パターンでストライプ状のpnカラム層の上に温度検出ダイオードを設けたが、pnカラム層がストライプ状でなく他の形状であっても本発明に係る半導体素子を構成できる。例えば
図9の上面図に示すように、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第3変形例のpnカラム層は、
活性領域22の内側にnを付して示した第1導電型領域の内部に形成された複数のp型カラム…,42a〜42g,…が、平面パターンで点(ドット)状に表れるように構成されている。尚、
図9は半導体素子1xを、p型カラム…,42a〜42g,…が含まれる深さ位置で、主面に平行に切った面を示す。
【0079】
p型カラム…,42a〜42g,…は、
図10の断面図に示すように、略直方体状であり、いずれも同じ寸法で上下方向に縦長に設けられている。p型カラム…,42a〜42g,…の上面は、略正方形状に表れ、
図9中の上下方向及び左右方向に複数個、互いに隙間を空けて等間隔で配置されている。また
図10に示したように、p型カラム…,42a〜42g,…の最大幅と、ゲート電極8a〜8c,8f〜8hの幅は略等しい。
【0080】
図10中にはp型カラム…,42a〜42g,…の直方体の上底面側の4隅及び下底面側の4隅は、いずれも丸められた状態で例示されているが、
図1に示したように直角に形成されてもよいし、或いは
図10に示した場合よりも更に丸められて形成されてもよい。また直方体の側面に含まれる上底面と下底面を結ぶ一辺が
図10に示したように直線状でなくてもよく、途中で凹部や凸部が形成されていてもよい。
【0081】
そして第1導電型領域のうちp型カラム…,42a〜42g,…を除く領域であってp型カラム…,42a〜42g,…に挟まれた領域がn型カラム…,41e,…をなし、ドリフト層3xを構成している。すなわち第3変形例に係る半導体素子1xは、n型カラム…,41e,…の平面パターンが格子状であり、p型カラム…,42a〜42g,…の平面パターン(平面形状)が格子窓をなす点が、第1の実施の形態に係る半導体素子1と異なる。
【0082】
第3変形例に係る第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2も、第1の実施の形態に係る半導体素子1と同様に、n型カラム…,41e,…の上に、第1中央絶縁膜
17d及び第2中央絶縁膜
17eを介して設けられている。また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極8a〜8c,8f〜8hと同じ高さで、同一線幅、且つ、同一厚みで設けられている。
図11の断面図中には、ドリフト層3xに含まれる1個のn型カラム41eの上に形成された第2温度検出ダイオードD
temp2が、隣り合うゲート電極8el,8erとそれぞれ隙間を空けて設けられた状態が例示されている。
【0083】
またゲート電極8a〜8c,8el,8er,8f〜8h、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の他の構造は、いずれも第1の実施の形態に係る半導体素子1におけるそれぞれ同名の部材と等価な構造であり、いずれも平面パターンでストライプ状に形成されている。また半導体素子1xのウェル領域4a〜4gやコンタクト領域5a〜5g等のその他の構造も、
図1〜
図4で説明した半導体素子1の構造と実質的に同様であるため、これらについての重複説明を省略する。
【0084】
第3変形例に係る半導体素子1xのように、平面パターンが格子状であるpnカラム層の上に、主面の中央に第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けた場合でも、主素子としての半導体素子1xの動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立させることができる。第3変形例に係る半導体素子1xの他の作用・効果についても、
図1〜
図4で説明した半導体素子1の場合と同様である。
【0085】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の第4変形例)
また第4変形例に係る半導体素子1yは、第3変形例の場合と同様に、n型カラム…,51e,…の平面パターンが格子状であり、p型カラム…,52d,…の平面パターン(平面形状)が格子窓をなす点は同じであるが、12の上面図に示すように、複数のp型カラム…,52d,…の上面が、いずれも同じ寸法の正円状に表れるように構成されている点が異なる。
【0086】
図13の断面図に示すように、p型カラム52は、ドリフト層3yの上面と下面の間で、上下方向に間隔を空けて設けられた4個のp型領域52d1,52d2,52d3,52d4で構成されている。p型カラム52を構成する4個のp型領域52d1,52d2,52d3,52d4は球状で、いずれも略同寸法であって、それぞれの球の中心は、ドリフト層3yの内部で略同一直線上に揃うように配置されている。
【0087】
すなわち第4変形例に係るpnカラム層は、1個のp型カラムが主面に垂直な方向に複数のp型領域に分かれており、この互いに分離して配置された複数個のp型領域が連なって形成されている。尚、12は、半導体素子1yをp型カラム…,52d,…が含まれる深さ位置で、p型領域52d1,52d2,52d3,52d4の球の中心が含まれるように主面に平行に切った面を示す。尚、p型カラム…,52d,…は球状に限らず、卵形状やラグビーボールのように扁平した形状であってもよい。
【0088】
第4変形例に係る第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2も、第1の実施の形態に係る半導体素子1と同様に、n型カラム…,51e,…の上に、第1中央絶縁膜
17d及び第2中央絶縁膜
17eを介して設けられている。また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2は、ゲート電極8a〜8c,8f〜8hと同じ高さで、同一線幅、且つ、同一厚みで設けられている。
図14の断面図中には、ドリフト層3yに含まれる1個のn型カラム51eの上に形成された第2温度検出ダイオードD
temp2が、隣り合うゲート電極8el,8erとそれぞれ隙間を空けて設けられた状態が例示されている。
【0089】
またゲート電極8a〜8c,8el,8er,8f〜8h、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2の他の構造は、いずれも第1の実施の形態に係る半導体素子1におけるそれぞれ同名の部材と等価な構造であり、いずれも平面パターンでストライプ状に形成されている。また半導体素子1yのウェル領域4a〜4gやコンタクト領域5a〜5g等のその他の構造も、第1の実施の形態に係る半導体素子1の構造と実質的に同様であるため、これらについての重複説明を省略する。
【0090】
第4変形例に係る半導体素子1yのように、互いに分離して配置された複数個のp型領域が連なって1個のp型カラムが形成されるpnカラム層であっても、pnカラム層の上に、主面の中央に第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けた場合に、主素子としての半導体素子1yの動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立させることができる。第4変形例に係る半導体素子1yの他の作用・効果についても、
図1〜
図4で説明した半導体素子1の場合と同様である。
【0091】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法)
次に、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を説明する。
(a)まず
図15の断面図に示すように、例えばn
+型のSiで、サブストレートとして所定の厚さに形成した半導体基板2
subを用意し、ドレイン領域2の一方の主面上に、n型の不純物元素を含む第1のエピタキシャル成長層を例えば厚さ2μm程度に形成する。次に、形成した第1のエピタキシャル成長層の内部にp型の不純物元素をイオン注入した後に、n型の不純物元素を含む第2のエピタキシャル成長層を厚さ2μm程度に形成する。続けて、形成した第2のエピタキシャル成長層の内部にp型の不純物元素をイオン注入し…のように、イオン注入とエピタキシャル成長を複数回繰り返す多段エピタキシャル法を用いて、半導体基板2
subの厚み方向に延びるn型カラム31a〜31h及びp型カラム32a〜
32gを形成する。このとき最上層のエピタキシャル成長層にはイオン注入をしないことにより、ドリフト層3の上面とpnカラム層の上面との間の領域にn型層が形成される。上記の多段エピタキシャル法において、n型カラム31a〜31hを形成する領域にn型の不純物元素をさらにイオン注入しても良い。
【0092】
(b)次に、
図16の断面図に示すように、ドリフト層3の上面に、AlやB等のp型の不純物元素を、レジストをマスクとして、イオン注入法等により注入する。そして注入した不純物元素を熱拡散させ、ドリフト層3の上面とp型カラム32a〜32gとの間の領域に、低濃度(p
―型)のウェル領域4a〜4gを形成する。続けて、ウェル領域4a〜4gの内部に、AlやB等のp型の不純物元素を、イオン注入法等により注入して、高濃度(p
+型)のコンタクト領域5a〜5gを形成する。
【0093】
(c)次に、所定の洗浄工程を行った上で、ドリフト層3の上面を酸化させ、
図16に示すように、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7dl,7dr,7el,7er,7f,7g,7h…、第1中央絶縁膜17d及び第2中央絶縁膜17eとなる絶縁膜27を、酸化膜で形成する。その後、絶縁膜27の上に、例えばポリシリコン膜28を、減圧CVD法等により積層する。ポリシリコン膜28としては、例えば10
16cm
−3程度の比較的低濃度でn型にドープした膜、或いはノンドープの膜等を使用できる。
【0094】
(d)次に、絶縁膜27及びポリシリコン膜28を、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等によりパターニングし、
図17の断面図に示すように、p型カラム32a〜
32gの間に、第1温度検出ダイオードD
temp1、第2温度検出ダイオードD
temp2及び複数のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…を、同時に、同じ高さで、同一線幅で周期的に設ける。
【0095】
(e)次に、
図18の上面図に示すように、ドリフト層3の上面の一部に、レジスト29a,29b,29x,29f,29g,29y,29zを選択的に積層してパターニングする。このときソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nを形成する予定位置には、
図19の断面図中に示すように、レジスト29a,29b,29x,29f,29gが、隣り合うゲート電極8a〜8c,8f〜8hとの間にそれぞれ隙間を開けて設けられる。また第1温度検出ダイオードD
temp1の上面のうち
図18中の左側の半分の領域をなす第1アノード領域18daの上面には、レジスト29yが積層される。第2温度検出ダイオードD
temp2の上面のうち
図18中の左側の半分の領域をなす第2アノード領域18eaの上面にも、レジスト29zが積層される。
【0096】
(f)次に、パターニングされたレジスト29a,29b,29x,29f,29g,29y,29zとゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…のパターンを介して、ドリフト層3の全面にリン(P)イオン等のn型の不純物元素を、イオン注入法等により注入し、
図20の断面図に示すように、高濃度(n
+)のソース領域6a〜6c,6l〜6nを形成する。イオン注入により、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…を、高濃度のn型(n
+)にドープする。
【0097】
また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2のそれぞれのレジストを積層しなかった半分の領域を、イオン注入によりn型(n
+)にドープする。一方、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18da及び第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18eaのそれぞれのレジストを積層した半分の領域の導電型は、比較的低濃度のn型(n)に保持される。
【0098】
(g)次に、ドリフト層3の上側の、第1温度検出ダイオードD
temp1の第1アノード領域18da及び第2温度検出ダイオードD
temp2の第2アノード領域18ea以外の領域に、レジストをフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、選択的にパターニングして積層する。そして積層したレジストをマスクとして、AlやB等のp型の不純物元素をイオン注入し、
図21の断面図に示すように、第1アノード領域18da及び第2アノード領域18eaの導電型を、それぞれn型(n)からp型(p
+)に反転させる。そして
図22に示すように、第1アノード領域18da及び第2アノード領域18eaを、コンタクト領域5a〜5gと同程度の高濃度(p
+)に形成する。この工程(g)までの処理により、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の周期的な構造に調和して設ける。
【0099】
(h)次に、ドリフト層3の上側の全面に酸化シリコン等の絶縁膜を、CVD法等により堆積させると共に、堆積した絶縁膜をパターニングして、
図23及び
図24の断面図に示すように、層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19を形成する。そして層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19に対して所定の平坦化処理を施した上で、中央層間絶縁膜19に、アノード領域側及びカソード領域側のコンタクトホールを、ドライエッチング等によりそれぞれ形成する。
【0100】
(i)次に、所定の洗浄工程を行い、ドリフト層3の上側の全面に、Al等の膜をスパッタリング等により成膜する。そして成膜した膜を、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等によりパターニングして、
図25の上面図に示すように、ソース電極10を形成する。また
図26の断面図に示すように、アノード表面配線12aを、第1アノード領域18daの上のコンタクトホール19a1及び第2アノード領域18eaの上のコンタクトホール19a2を貫通するように形成する。またカソード表面配線12bを、第1カソード領域18dcの上のコンタクトホール19b1及び第2カソード領域18ecの上のコンタクトホール19b2を貫通するように形成する。
【0101】
(j)次に、ドリフト層3の上側の全面に、図示を省略する絶縁膜を成膜した上で、
図27の上面図に示すように、半導体素子1の主面の中央の温度検出領域21から離れた、主面の周縁側に、Al等の膜を用いて、アノード用パッド領域35a及びカソード用パッド領域35bを形成する。
図27中には、アノード用パッド領域35a及びカソード用パッド領域35bが、チップ状にダイシングされた後の平面パターンで、略正方形状の半導体素子1の上側の1辺の近傍に、この1辺に沿ってゲート電極用パッド領域35cと共に並んで設けられた状態が例示されている。アノード用パッド領域35aはアノード表面配線12aに、またカソード用パッド領域35bはカソード表面配線12bにそれぞれ接続されている。
【0102】
(k)次に、プラズマCVD等により、半導体素子1の上面に図示を省略するパッシベーション膜を形成する。その後、半導体基板2
subを化学的機械的研磨(CMP)等の手法により所望の厚さにまで薄くして、ドレイン領域2とする。そしてドレイン領域2の表面上に、Al、Al-Si、Ti、Ni、Au、Ag等の金属膜のうち複数の金属膜を選択して、例えば蒸着法やスパッタ法によって積層し、ドレイン電極11を形成する。その後、ドレイン領域2を含む積層体を複数のチップ状にダイシングして、ワイヤーボンディング等の所定の処理により、パッケージに搭載(マウント)する。上記(a)〜(k)の工程により、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法が構成され、温度検出ダイオードを設けても、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立できる、半導体素子1を製造することができる。
【0103】
尚、
図28の上面図に示すように、アノード用パッド領域45a、カソード用パッド領域45b及びゲート電極用パッド領域45cを、半導体素子1の正方形の任意の1つのコーナー(隅部)にまとめて設けてもよい。アノード用パッド領域45a及びカソード用パッド領域45bをコーナーに配置することにより、温度検出領域21とアノード用パッド領域45a及びカソード用パッド領域45bの間のそれぞれの距離を、
図27に示した配置パターンの場合より長く確保し、ワイヤーボンディング時に負荷される衝撃を低減することができる。
【0104】
第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、ゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を、同一材料及び同一寸法を用いた同一の製造プロセスで、同時に形成することが可能になる。またゲート絶縁膜7a〜7c,7f〜7h、第1中央絶縁膜17d及び第2中央絶縁膜17eを、同一の製造プロセスで、同時に形成することが可能になる。すなわち、既存設備で用いられるゲート製造プロセスを有効に活用できる。よって製造プロセスの負担増加を抑制して、温度検出可能な半導体素子1を効率よく製造することができる。
【0105】
また第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法によれば、
図5及び
図6で示した比較例に係る半導体素子101の場合と異なり、ドリフト層3の内部のpnカラム層を、温度検出領域21と活性領域22との間で設計変更する必要がない。よってpnカラム層の製造プロセスにおいても負担が増加せず、製造上のコストアップを抑えることができる。
【0106】
(第1の実施の形態に係る半導体素子の他の製造方法)
第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2のそれぞれの全体の領域を、初めにn型に形成した後、全体のうち半分の領域をp型に反転させてpn接合を形成した。しかし、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2のそれぞれの全体の領域を、初めにp型に形成した後、半分の領域をn型に反転させてpn接合を形成する場合であっても、本発明に係る半導体素子の製造方法を構成できる。以下、具体的に説明するが、不純物元素の導電型や製造技術等について、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の場合と共通する箇所に関しては、繰り返しの説明を省略する。
【0107】
(l)まず
図15に示したのと同様のpnカラム層が形成されたドリフト層3が設けられた半導体基板2
subを用意する。そしてドリフト層3の上面を酸化させ、
図29の断面図に示すように、ゲート絶縁膜7a,7b,7c,7dl,7dr,7el,7er,7f,7g,7h…、第1中央絶縁膜17d及び第2中央絶縁膜17eとなる絶縁膜27を酸化膜で形成する。
【0108】
(m)次に、
図30の断面図に示すように、絶縁膜27の上に、例えばノンドープのポリシリコン膜28を、減圧CVD法等により積層する。そして積層したポリシリコン膜28の全面に、AlやB等のp型の不純物元素を、イオン注入法等により注入し、ポリシリコン膜28に不純物元素を、10
18cm
−3程度の高濃度(p
+型)で添加する。
【0109】
(n)次に、絶縁膜27及びp
+型のポリシリコン膜28を、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等によりパターニングし、
図31の断面図に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1、第2温度検出ダイオードD
temp2及び複数のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…を、同じ高さで、同時に形成する。
【0110】
(o)次に、ドリフト層3の上面に、AlやB等のp型の不純物元素を、第1温度検出ダイオードD
temp1、第2温度検出ダイオードD
temp2及び複数のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…をマスクとして、イオン注入法等により注入する。そして注入した不純物元素を熱拡散させ、
図32の断面図に示すように、p型カラム32a〜32gとドリフト層3の上面との間の領域に、低濃度(p
―型)のウェル領域4a〜4gを形成する。
【0111】
このとき
図36の断面図に示すように、互いに同一直線上に位置する、第1温度検出ダイオードD
temp1と第1温度検出ダイオードD
temp1の両側のゲート電極8dl,8drの隙間に、p型の不純物元素が注入されることとなる。また第2温度検出ダイオードD
temp2の両側の隙間にも、第1温度検出ダイオードD
temp2の両側の隙間と同様に、p型の不純物元素が注入される。n型カラム31eの上部で、第2温度検出ダイオードD
temp2と第2温度検出ダイオードD
temp2の
図36中の左側のゲート電極8elとの隙間の下側には、注入された不純物元素により形成された、低濃度(p
―型)の第1低濃度領域14elが例示されている。またn型カラム31eの上部で、第2温度検出ダイオードD
temp2と第2温度検出ダイオードD
temp2の
図36中の右側のゲート電極8erとの隙間の下側には、注入された不純物元素により形成された、低濃度(p
―型)の第2低濃度領域14erが例示されている。
【0112】
また図示を省略するが、第1温度検出ダイオードD
temp1の両側の隙間の下側の領域にも、第2温度検出ダイオードD
temp2の場合と同様に、低濃度(p
―型)の低濃度領域がそれぞれ形成される。第1低濃度領域14el,第2低濃度領域14erにより、ドリフト層3の上部の、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2にそれぞれ隣り合う3個のウェル領域4c〜4eが連結され、半導体素子1全体の耐圧がより向上する。
【0113】
(p)次に、ウェル領域4a〜4gの内部に、AlやB等のp型の不純物元素を、イオン注入法等により注入し、
図33の断面図に示すように、高濃度(p
+型)のコンタクト領域5a〜5gを形成する。
(q)次に、
図34の上面図に示すように、ドリフト層3の上面の一部に、レジスト29a,29b,29x,29f,29g,29y,29zを選択的に積層してパターニングする。このときソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nを形成する予定位置には、レジスト29a,29b,29x,29f,29gが、隣り合うゲート電極8a〜8c,8f〜8hとの間にそれぞれ隙間を開けて設けられる。また
図35の断面図中に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp1の上面のうち
図34中の左側の半分の領域をなす第1アノード領域18daの上面には、レジスト29yが積層されている。また
図36に示すように、第2温度検出ダイオードD
temp2の上面のうち
図34中の左側の半分の領域をなす第2アノード領域18eaの上面には、レジスト29zが積層されている。
【0114】
(r)次に、パターニングされたレジストとゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…のパターンを介して、ドリフト層3の全面にP等のn型の不純物元素を、イオン注入法等により注入する。n型の不純物元素の注入により、
図22に示したように、高濃度(n
+)のソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6n…を形成する。またゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…の導電型を、p型(p
+)からn型(n
+)に反転させる。また第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2のそれぞれの上面のレジストを積層しなかった半分の領域の導電型を、p型(p
+)からn型(n
+)に反転させる。続けて、上記(h)〜(k)と同様の工程を行うことにより、第1の実施の形態に係る半導体素子の他の製造方法が構成される。
【0115】
第1の実施の形態に係る半導体素子の他の製造方法においても、
図15〜
図28で説明した半導体素子の製造方法と同様に、温度検出ダイオードを設けても、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立できる、半導体素子1を製造することができる。また、その他の作用・効果についても第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法と同様である。
【0116】
<第2の実施の形態>
(半導体素子の構造)
図1〜
図36で説明した第1の実施の形態に係る半導体素子は、温度検出領域21におけるn型カラム31a〜31hの上に、ゲート電極を設けることなく、ゲート電極と同一デザインルールの同一線幅、同一ピッチ及び同一の厚みで、周囲のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…と同じ高さ位置に、第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けた1階層の構造であった。しかし第2の実施の形態に係る半導体素子は、温度検出領域21の中で、ゲート電極と同じ高さ位置には、周囲から連続して延びるゲート電極の一部の領域が配置され、このゲート電極よりも更に上側の階層に温度検出ダイオードを設けた、2階層の構造を有することを特徴とする。
【0117】
第2の実施の形態に係る半導体素子1zは、
図37の断面図に示すように、第1導電型のドレイン領域2と、このドレイン領域2の上に設けられた第1導電型領域と、この第1導電型領域の内部に複数の第2導電型のカラム32a〜32gを同一間隔で設けられた超接合構造を有するドリフト層3と、を備える。また半導体素子1zは、第1導電型領域の表面層に周期的に設けられた第2導電型の複数のウェル領域4a〜4gと、複数のウェル領域4a〜4gのそれぞれの内部に周期的に設けられた第2導電型のコンタクト領域5a〜5gと、を備える。
【0118】
また半導体素子
1zは、3個のウェル領域4c〜4e内の部分的な領域を除いて複数のウェル領域4a〜4gのそれぞれの内部に選択的に設けられた複数の第1導電型のソース領域6a〜6c,6dr,6fr,6hr,6l〜6nを更に備える。また半導体素子1zは、ウェル領域4a〜4gの上に、ゲート絶縁膜7a〜7h…を備え、ゲート絶縁膜7a〜7h…の上に周期的に設けられた複数のゲート電極8a〜8h…を備える。
【0119】
なお、ウェル領域4a〜4gは、p型カラム32a〜32gの上に備えてもよい。ゲート絶縁膜7a〜7h…とゲート電極8a〜8h…は、第1の実施の形態と同様に隣り合うウェル領域4a〜4g内のソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nにまたがるように第1導電型領域の表面に設けられる。第2の実施の形態に係る半導体素子1zの第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態の第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を備えた部分の多結晶シリコンにpn接合は設けずにその上面に中央層間絶縁膜19を備え、中央層間絶縁膜19の上面に第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2を設けていることである。
【0120】
また半導体素子1zは、ゲート電極8a〜8h…の上に積層された複数の層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19を備える。また半導体素子1zは、複数の層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…の上に、ソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6nとコンタクト領域5a〜5gとを電気的に短絡するように設けられたソース電極10と、ドリフト層3と反対側となるドレイン領域2の裏面(下面)上に設けられたドレイン電極11と、を備える。また半導体素子1zは、中央層間絶縁膜19の上に、ゲート電極8a〜8h…の周期的な構造に調和して、ゲート電極8a〜8h…と同一線幅及び同一厚みで設けられた第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52を備える。
【0121】
尚、第2の実施の形態に係る半導体素子1zは、ドリフト層3の内部構造、層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19、アノード表面配線12a及びカソード表面配線12b、並びにソース電極10については、それぞれが第1の実施の形態に係る半導体素子1において対応する同名の部材と等価な構造を有するため、詳細な説明を省略する。
【0122】
ゲート絶縁膜7a〜7h…及びゲート電極8a〜8h…はいずれも、半導体素子1zのエッジ領域23の両端の間で、温度検出領域21においても連続して延びている。またゲート電極8a〜8h…は、第1導電型で、5×10
20cm
−3程度と、
図1に示した半導体素子1のゲート電極8a,8b,8c,8dl,8dr,8el,8er,8f,8g,8h…より、更に高濃度(n
++)の不純物がドープされた多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)で構成されている。
【0123】
第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52はいずれも、
図37中の中央の2個のn型カラム31d,31eのそれぞれの上であって、中央層間絶縁膜19の上に、それぞれ対応する下側のゲート電極8d,8eと幅方向の位置を揃えて設けられている。第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の他の構造については、第1の実施の形態に係る半導体素子1の第1温度検出ダイオードD
temp1及び第2温度検出ダイオードD
temp2と等価である。
【0124】
第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の上には、上部層間絶縁膜39zが設けられている。
図37中に例示された上部層間絶縁膜39zは、上面がソース電極10より更に高くなるように形成されている。また上部層間絶縁膜39zの上には、アノード表面配線12a及びカソード表面配線12bが、第1の実施の形態に係る半導体素子1の場合と同様に、第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の間に設けられている。
【0125】
第2の実施の形態に係る半導体素子1zにおいても、ドリフト層3の内部に、pnカラム層が、平面パターンで一定の幅が規則的に繰り返し表れるように、温度検出領域21及び活性領域22に跨って一様に設けられている。またn型カラム31a〜31hの上に、ゲート電極8a〜8h…、第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52が、n型カラム31a〜31hと幅を揃えて、且つ、互いに同じ厚みで、設けられている。よって、第1の実施の形態に係る半導体素子1の場合と同様に、温度検出ダイオードを設けてもpnカラム層のチャージバランスの崩れを大きく抑制し、主素子としての半導体素子1zの動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立できる。
更に、第2の実施の形態に係る半導体素子1zによれば、温度検出領域21に設けられる絶縁膜が2階層になるので、第1の実施の形態に係る半導体素子1の場合より絶縁膜全体の厚みが増大するので、絶縁耐圧を向上できる。
【0126】
(第2の実施の形態に係る半導体素子の製造方法)
次に、第2の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を説明する。尚、不純物元素の導電型や製造技術等について、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法の場合と共通する箇所に関しては、繰り返しの説明を省略する。
(s)まず
図15に示したのと同様のpnカラム層が形成されたドリフト層3が設けられた半導体基板2
subを用意する。そしてドリフト層3の上面を酸化させ、
図38の断面図に示すように、ゲート絶縁膜及び中央絶縁膜となる絶縁膜27を酸化膜で形成する。そして絶縁膜27の上に、5×10
20cm
−3程度の高濃度(n
++)の不純物がドープされた多結晶シリコン膜であるドープドポリシリコン膜38を形成する。ドープドポリシリコン膜38は、例えばノンドープのポリシリコン膜を成膜した後、Pを表面から熱拡散させても形成できる。
【0127】
(t)次に、n
++型のドープドポリシリコン膜38を、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等によりパターニングし、
図39の断面図に示すように、p型カラム32a〜32gの間に、複数のゲート電極8a〜8h…を、同一線幅で周期的に設け、温度検出領域21及び活性領域22に亘って一様に形成する。
(u)その後、上記工程(o)及び工程(p)の場合と同様に、ゲート電極8a〜8h…の間にイオン注入を行い、低濃度(p
―型)のウェル領域4a〜4g及び高濃度(p
+型)のコンタクト領域5a〜5gを形成する。上記工程(r)の場合と同様に、高濃度(n
+)のソース領域6a〜6c,6dl〜6kl,6dr〜6kr,6l〜6n…を形成する。
【0128】
(v)次に、上記工程(h)の場合と同様に、酸化物を堆積させて絶縁膜を形成し、形成した絶縁物膜をパターニングして、
図39に示すように、層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19を形成する。
(w)次に、層間絶縁膜9a,9b,9g,9h…及び中央層間絶縁膜19の上に、図示を省略するノンドープのポリシリコン膜を、減圧CVD法等により積層する。そしてノンドープのポリシリコン膜をフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等によりパターニングし、第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の領域を形成する。この工程(w)までの処理により、第1温度検出ダイオード
Dtemp51及び第2温度検出ダイオード
Dtemp52を、ゲート電極8a〜8h…の周期的な構造に調和して設ける。
【0129】
(x)そして形成した第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の領域に対し、ドレイン領域2の上側から、AlやB等のp型の不純物元素とP等のn型の不純物元素とを、それぞれイオン注入法等により、長手方向を2等分するように、半分ずつマスクを用いて注入し、
図40の断面図及び
図41の上面図に示すように、第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52を形成する。また活性領域22の上に、Al等の膜を成膜し、成膜した膜をパターニングしてソース電極10を形成する。
【0130】
(y)次に、第1温度検出ダイオードD
temp51及び第2温度検出ダイオードD
temp52の上に、酸化シリコン等の酸化物を、CVD法等により堆積させて絶縁膜を形成し、更に、形成した絶縁物膜をパターニングして、
図37に示したような上部層間絶縁膜39zを形成する。そして上部層間絶縁膜39zに、アノード表面配線12a用及びカソード表面配線12b用のコンタクトホールを、ドライエッチング等により形成する。その後、上記工程(j)以降の工程の場合と同様の処理を行えば、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法と同様に、温度検出ダイオードを設けても、主素子としての半導体素子1zの動作に影響を与えることなく、正確な温度の検出と耐圧低下の抑制とを有効に両立できる、半導体素子1zを製造することができる。
【0131】
第2の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、半導体素子の品質上の要請により、ゲート電極の不純物元素が極めて高濃度になり、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法で説明したようなn型からp型への反転を行うことが困難な場合に、特に有効である。
また第2の実施の形態に係る半導体素子の製造方法においても、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法と同様に、ドリフト層3の内部のpnカラム層を、温度検出領域21と活性領域22との間で設計変更する必要がないので、pnカラム層の製造プロセスの負担が増加せず、コストアップを抑えることができる。
【0132】
<その他の実施の形態>
本発明は上記のとおり開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
【0133】
例えば、第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、pnカラム層を多段エピタキシャル法の繰り返しにより形成した。しかしpnカラム層の形成方法はこれに限定されず、例えばドリフト層3の表面に溝(トレンチ)を形成し、形成した溝の中にp型又はn型の不純物元素を含む半導体領域を形成することで、pnカラム層を形成してもよい。
【0134】
また上記した「温度検出領域」の範囲の定義は、説明のために便宜的に設定されたものである。「温度検出領域」は、内側に温度検出ダイオードが設けられると共に本発明の要旨を逸脱しない限り、温度検出ダイオードの周囲四方に形成される隙間のうち一定の長さを有する領域が含まれるような定義も可能である。
【0135】
また第1の実施の形態に係る半導体素子1では、温度検出領域21にウェル領域4a〜4g及びコンタクト領域5a〜5gを設けて耐圧を高めている。しかし、温度検出領域21にウェル領域及びコンタクト領域は必須ではなく、温度検出領域21の下側のp型カラム32a〜
32gの上面がドリフト層3の上面をなすような状態であってもよい。
【0136】
また第1及び第2の実施の形態中では、温度検出ダイオードを、ゲート電極と同一線幅で設けたが、本発明においては、温度検出ダイオードの寸法を、ゲート電極の線幅より短く構成することを妨げるものではない。ただし温度検出ダイオードを、ゲート電極と同一デザインルールで設計することにより、効率的に製造できる。また本発明に係る半導体素子では、ドリフト層の上に設ける温度検出ダイオードの個数は2個に限定されず、温度検出に必要な電流及び電圧の大きさに応じて、適宜変化させて、互いに接続して用いることが可能である。
【0137】
また第1の実施の形態に係る半導体素子1では、温度検出領域21の周囲四方を取り囲むゲート電極8c,8dl,8dr,8el,8er,8fの個数は6本であるが、四方を取り囲むゲート電極の個数は、温度検出領域21の面積すなわち温度検出ダイオードの個数に応じて変化する。例えば温度検出ダイオードが1個であれば、この温度検出ダイオードの四方を取り囲むゲート電極は4個で済む。また温度検出ダイオードの個数が3個であれば、四方を取り囲むゲート電極の個数は8個になる。
【0138】
また第1の実施の形態に係る半導体素子の製造方法では、
図36に示したように、ウェル領域4a〜4gを形成する際のイオン注入により、互いに同一直線上に位置する温度検出ダイオードとゲート電極8a〜8h…の隙間に、隙間の下のn型カラム31a〜31hの導電型と異なる第2導電型(p型)の低濃度領域を形成した。しかし本発明では、この隙間への低濃度領域の形成は必須ではなく、例えばこの隙間をレジスト等によりマスクした上で、ウェル領域4a〜4g形成用のイオンを注入することで、隙間の下の低濃度領域を形成することなく、本発明に係る半導体素子を製造してもよい。
【0139】
また
図1〜
図41で説明した半導体素子はいずれもMOSFETであるが、本発明は、例えばIGBTのように、MOSゲート構造を有する他の半導体素子でも構成可能である。また本発明は、温度検出ダイオードの電界強度のエッジ効果等のpnカラム層への影響を抑えられる限り、MOSゲート構造を有さなくても、超接合構造を有する半導体素子に適用できる。
【0140】
また本発明に係る半導体素子及び半導体素子の製造方法は、
図1〜
図41で示したようなそれぞれの実施の形態又は変形例の技術的思想を互いに組み合わせて構成してもよい。例えば
図9〜
図14で示したような、平面パターンが格子状に表れるドリフト層の上に、
図37で示した半導体素子1zのように、温度検出領域21の中でゲート電極と同じ高さ位置には周囲から連続して延びるゲート電極の一部の領域を配置し、このゲート電極よりも更に上側の階層に温度検出ダイオードを設けて、2階層の構造の半導体素子を構成しても本発明を実現することができ、上記の実施の形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0141】
以上のように本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。