(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、人体の局部などを洗浄する衛生洗浄装置は、使用者の好みに応じた局部洗浄を実現するために、各種機能を備えている。これらの衛生洗浄装置により、使用者は快適な局部洗浄を行うことができる。
【0003】
しかし、通常、局部を洗浄した後、使用者はトイレットペーパーを使用して局部に付着した水滴などを除去しなければならない。そこで、近年、トイレットペーパーを使用せずに局部に付着した水滴を除去する、乾燥機能を有する衛生洗浄装置が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
以下に、特許文献1に開示される衛生洗浄装置について、
図1を用いて説明する。
【0005】
図1は、特許文献1に開示された衛生洗浄装置の概略斜視図である。特許文献1は、洗浄水を噴出する洗浄装置と温風を吹き出す乾燥装置とを有する衛生洗浄装置を開示している。
【0006】
具体的には、
図1に示すように、特許文献1の衛生洗浄装置11は、洗浄装置13および乾燥装置14などから構成され、便器12上に載置される。
【0007】
そして、衛生洗浄装置11の使用時には、まず、洗浄装置13は人体の局部を洗浄するための洗浄水を噴出する。洗浄が完了すると、乾燥装置14から温風を吹き出す。これにより、局部に付着した水滴などを除去して、人体の局部を乾燥させる。
【0008】
以下に、特許文献2に開示される衛生洗浄装置について、
図2を用いて説明する。
【0009】
図2は、特許文献2に開示された乾燥装置の概略構成図である。なお、特許文献2は、乾燥装置を開示している。
【0010】
具体的には、
図2に示すように、特許文献2の乾燥装置40は、送風ファン41と、温風ヒータ44などから構成されている。つまり、乾燥装置40は、A0方向から流入する気体を、送風ファン41によって加速して温風ヒータ44に流入させる。流入した気体は、温風ヒータ44により加熱される。そして、加熱された気体は、送風路43を通じて気流を吹出口42からA2方向に送出される。
【0011】
この場合、送風路43を通じて温風ヒータ44へ洗浄水が流入することを防止するために、乾燥装置40が動作していない時は、送風路43全体を密閉する必要がある。そこで、従来の乾燥装置などは、送風路43内に防水遮蔽板を設置している。
【0012】
以下に、従来の乾燥装置における防水遮蔽板の構成について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0013】
図3は、従来の防水遮蔽板を有する乾燥装置の停止時の概略模式断面図である。
図4は、従来の防水遮蔽板を有する乾燥装置の作動時の概略模式断面図である。
【0014】
図3および
図4に示す乾燥装置300は、ケース301内に送風機302、ヒータ303および防水遮蔽板304などを備えている。防水遮蔽板304は、1枚の板状の組立部品で構成されている。つまり、防水遮蔽板304は、防水遮蔽板304を設ける位置の送風路305の横断面に相当するサイズで構成されている。そのため、防水遮蔽板304がある箇所の送風路305の高さがLの場合、防水遮蔽板304の長さも少なくともL程度とする必要がある。
【0015】
つぎに、従来の乾燥装置における防水遮蔽板の動作および作用について、具体的に説明する。
【0016】
まず、
図3に示すように、乾燥装置300の停止時、防水遮蔽板304は、送風路305の上壁305aおよび下壁305bに接触することによって送風路305全体を密閉する。これにより、乾燥装置300の吹出口3011から洗浄水がヒータ303に流入するのを防止している。
【0017】
一方、
図4に示すように、乾燥装置300の作動時においては、防水遮蔽板304は、回動軸304aを中心に吹出口3011側に回動し、送風路305の上壁305a方向に開放される。つまり、防水遮蔽板304が、送風路305の上壁305aに密着する状態となる。これにより、送風機302から送風され、ヒータ303で加熱された温風が送風路305から流れて吹出口3011に到達する。そして、吹出口3011から吹き出す温風により、人体の局部を乾燥させる。
【0018】
しかし、従来の乾燥装置300は、動作時において、送風路305内に気体をスムーズに流すために、防水遮蔽板304を完全に開放する必要がある。また、
図4に示すように、防水遮蔽板304が開放された場合、防水遮蔽板304と吹出口3011との間の送風路305に、サイズLの防水遮蔽板304を収容する必要がある。そのため、防水遮蔽板304の回動軸304aから吹出口3011までの送風路305の長さを、少なくとも防水遮蔽板304を上方から投影したサイズLに相当する長さL’以上の長さとする必要がある。そこで、従来の乾燥装置300は、送風路305の長さを長くしていた。
【0019】
しかしながら、近年、衛生洗浄装置の小型化が要望されるに伴い、送風路305の長さを、いかに短くするかが、課題であった。
【0020】
また、
図4に示す乾燥装置300の防水遮蔽板304は、1枚で構成されるため、体積が大きく、重量も大きくなる。そのため、防水遮蔽板304を開放するには、かなり大きい風力(例えば、高速の温風が形成する推力)が要求される。その結果、送風機302の消費エネルギーが増大する。つまり、衛生洗浄装置や乾燥装置の省エネルギー化に課題があった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態は例示であり、これにより、本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1における乾燥装置の構成について、
図5を用いて説明する。
【0029】
図5は、本発明の実施の形態1における乾燥装置の停止時の概略断面図である。なお、
図5では、乾燥装置500の理解を明確にするため、乾燥装置500の主要な構成部分のみを示している。そのため、乾燥装置500の他の部材および各部材の具体的構造は省略している。例えば、ヒータ503の具体的構成は示していない。
【0030】
図5に示すように、本実施の形態の乾燥装置500は、気体の流れを案内する送風路5011と気体を流出させる吹出口5012を有するケース501と、ケース501内に設置される送風機502と、ヒータ503と、防水遮蔽板504などから構成されている。
【0031】
ケース501の吹出口5012は、ケース501の前端側(
図5の右側)に設けられている。
【0032】
送風機502は、ケース501の後端側(
図5の左側)に配設され、吹出口5012へ向けて気体を加速して流す。なお、送風機502は、例えば異なる風速に対応する複数の変速段、または無段変速機能を備える構成としてもよい。これにより、使用者は、必要に応じて乾燥装置から異なる風速で出力させ、人体の局部を乾燥させることができる。その結果、使用感に優れた乾燥装置を実現できる。
【0033】
ヒータ503は、送風機502よりケース501の前端(吹出口5012)側寄りに配設され、送風機502によって加速された気体を加熱する。具体的な、ヒータ503の構成は、
図7および
図8を用いて、後述する。
【0034】
防水遮蔽板504は、ケース501の送風路5011内で、吹出口5012とヒータ503との間に設置され、少なくとも2枚の板状部材5041、5042から構成されている。そして、防水遮蔽板504は、吹出口5012から、洗浄液などの液体がヒータ503へ流入するのを防止する。
【0035】
なお、本実施の形態では、防水遮蔽板504が2枚の板状部材から構成された例で説明するが、これに限られない。乾燥装置500の用途、形状、送風機502の風力などに応じて、例えばN枚(N>2)の板状部材で防水遮蔽板504を構成してもよい。
【0036】
そして、本実施の形態の防水遮蔽板504は、長さl
1の板状部材5041と、長さl
2の板状部材5042の2枚で構成され、送風路5011の鉛直方向に順に配置して設けられている。このとき、板状部材5041の長さl
1と、板状部材5042の長さl
2のそれぞれの長さは、防水遮蔽板504が設置される送風路5011の位置における送風路の高さLよりも小さい。しかし、鉛直方向に順に配置された、板状部材5041の長さl
1と板状部材5042の長さl
2の和は、少なくとも送風路の高さLよりも大きい。つまり、L<l
1+l
2の関係を満足する長さを有する。これにより、高さLの送風路5011を確実に遮蔽することができる。なお、
図5の防水遮蔽板504の奥行きに関しては、特に説明していないが、送風路5011の横断面を遮蔽できる形状であれば任意である。
【0037】
以下に、本実施の形態の乾燥装置500の動作について、
図5を参照しながら、
図6を用いて説明する。
【0038】
図6は、
図5に示す乾燥装置の作動時の概略断面図である。なお、
図6に示す矢印Aは、気流の流れる方向を示している。
【0039】
また、乾燥装置500の停止中は、
図5に示すように防水遮蔽板504を構成する2枚の板状部材5041、5042は懸垂状態となり、送風路5011を閉鎖する。これにより、防水遮蔽板504より奥の送風路5011は閉塞状態となる。そのため、吹出口5012から水が浸入した場合でも、防水遮蔽板504により奥に浸入することを防止できる。また、防水遮蔽板504により奥に設置したヒータ503および送風機502などが浸水することによる漏電などの異常が発生することを防止できる。
【0040】
乾燥装置500が作動すると、
図5に示す防水遮蔽板504を構成する2枚の板状部材5041、5042による送風路5011の閉鎖状態から、
図6に示すように板状部材5041、5042が、送風機502で発生する気流により開く。これにより、送風路5011が開放され、気流が送風路5011から吹出口5012へ送出される。
【0041】
このとき、
図6に示すように、開放された板状部材5041、5042の水平方向に形成される上方から投影される長さは、l’
1およびl’
2である。これにより、送風路5011において、板状部材5041、5042を収容するために水平方向に予め確保する長さは、l’
1またはl’
2のうち長い方の長さ以上であればよい。この長さは、
図4で示す従来の乾燥装置の防水遮蔽板304が水平方向に投影される長さL’よりも短い。その結果、送風路5011の長さを短くできる。
【0042】
さらに、防水遮蔽板504を2枚の板状部材5041、5042で構成することにより、各々の大きさを従来の防水遮蔽板より相対的に小さくできる。そのため、
図4に示す防水遮蔽板304に比べて、それぞれの重量が軽くなる。これにより、気流の流れが弱い小さい風力の場合でも、防水遮蔽板504を容易に開くことができる。つまり、例えば送風機502の出力が小さく、気流の吹き出し速度が遅い温風でも、防水遮蔽板504を容易に開くことができる。その結果、乾燥装置500の省エネルギー化を実現できる。
【0043】
つぎに、本実施の形態における別の例1の乾燥装置の構成について、
図7を用いて説明する。
【0044】
図7は、同実施の形態における別の例1の乾燥装置の停止時の断面図である。
【0045】
図7に示すように、別の例1の乾燥装置600は、吹出口5012の近傍に、吹出口5012を開放または覆う乾燥遮蔽板505を、さらに設けた点で、上記乾燥装置500とは異なる。他の構成や動作は、上記乾燥装置500と同様であるので、説明は省略する。
【0046】
つまり、
図7に示すように、乾燥装置600の停止時において、乾燥遮蔽板505が吹出口5012を覆い、防水遮蔽板504が送風路5011全体を閉塞する。そのため、乾燥遮蔽板505も、防水遮蔽板504と同様、防水作用を有することになる。その結果、防水遮蔽板504と併せて、乾燥遮蔽板505により、外部から洗浄液が送風路5011を通過してヒータ503に流入することを、より効果的に防止できる。
【0047】
以下に、本実施の形態の乾燥装置600の動作について、
図7を参照しながら、
図8を用いて説明する。
【0048】
図8は、
図7に示す乾燥装置の作動時の概略断面図である。なお、
図8に示す矢印Bは、気流の流れる方向を示している。
【0049】
乾燥装置600が作動すると、
図7に示す防水遮蔽板504を構成する2枚の板状部材5041、5042および乾燥遮蔽板505による送風路5011の密閉状態から、
図8に示すように板状部材5041、5042および乾燥遮蔽板505が、送風機502で発生する気流により開く。これにより、送風路5011が外部に開放され、気流が送風路5011の吹出口5012から外部へ送出される。
【0050】
この場合、乾燥遮蔽板505の閉止および開放は、防水遮蔽板504と同様に、乾燥遮蔽板505の自重によって閉状態を実現し、気流が吹き動かすことによって開放する構成としている。なお、モータ駆動、電磁駆動、機械駆動またはそれらを組み合せた方式によって、乾燥遮蔽板505の閉止および開放を行ってもよい。これにより、乾燥遮蔽板505の開閉を確実に行うことができる。
【0051】
また、乾燥遮蔽板505は、防水遮蔽板504と同じ材料を使用し、例えばPP(ポリプロピレン)などの材料で形成してよい。また、異なる材料を使用して、乾燥遮蔽板505を、例えばABSなどの材料で形成してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、乾燥遮蔽板505を1枚の部材で構成した例で説明したが、これに限られない。例えば、防水遮蔽板504と同様に、2つ以上の部材で構成してもよい。
【0053】
ここで、上記各実施の形態の乾燥装置におけるヒータ503の構成の一例について、
図7および
図8を参照しながら、具体的に説明する。
【0054】
図7および
図8に示すように、ヒータ503は、例えば発熱するための抵抗線5031などから構成され、ヒータ503を流れる気体を加熱する。なお、抵抗線5031は、軸方向が気流の方向に沿って螺旋形状で配置してもよい。また、抵抗線5031は、気流の方向と垂直な平面上に網状で配置してもよい。さらに、抵抗線5031は、上述の二種類の配置形状に限定されず、この分野で通常用いられる他の配置形状でもよく、気体を加熱できる形状、構成であれば任意である。
【0055】
このとき、乾燥装置は、ヒータ503の出力を調整する出力調節部を設けてもよい。出力調節部は、例えば抵抗線5031を流れる電流を調整して、抵抗線5031の発熱出力を制御する。これにより、例えば気体の流速が変化しても、吹出口5012から送出される気流の温度を、任意で一定に調節できる。
【0056】
また、出力調節部は、抵抗線5031の発熱出力および送風機502の風速を同時に制御するように構成してもよい。これにより、異なる風速および温度を組み合せた温風を、容易に実現できる。その結果、使用者の好みに応じた、より高い使用感が得られる乾燥装置を実現できる。
【0057】
また、本実施の形態の乾燥装置は、
図7および
図8に示すように、ヒータ503の外周に、例えばマイカ板などの断熱部材5032を設置して、抵抗線5031の外側を被覆する構成としてもよい。これにより、加熱する抵抗線5031を固定することができるとともに、安全性を高めることができる。
【0058】
なお、ヒータ503に関しては、乾燥装置600を例に説明したが、乾燥装置500でも同様であることはいうまでもない。さらに、以降で説明する乾燥装置に対しても、説明しないが、同様に適用できることはいうまでもない。
【0059】
つぎに、本実施の形態における別の例2の乾燥装置の構成について、
図9を用いて説明する。
【0060】
図9は、同実施の形態における別の例2の乾燥装置の概略分解斜視図である。
【0061】
図9に示すように、別の例2の乾燥装置700は、ケース501を、鉛直方向において、上下2つの部分から構成している点で、上記乾燥装置とは異なる。
【0062】
この場合、ケース501の上下2つの部分の間は、例えば留め金などで係合される。あるいは、例えばリベットまたはネジなどによって上下2つの部分を連結することもできる。さらに、ケース501の上下2つの部分の接合部を、例えばガスケット(図示せず)で接合してもよく、シーラントなどの塗布材を塗布して接合してもよい。これにより、2つの部分からなるケース501で形成される送風路5011の接合部からの空気漏れや、外部から水気などのケース501への浸入を防止できる。その結果、漏れによるエネルギーの消費を節約できるとともに、浸入した水気によるケース501内部の電子回路または機械構造の損傷を、より確実に防止できる。
【0063】
なお、上記の乾燥装置700では、ケース501を上下に分割して接合する例で説明したが、これに限られない。例えば、ケース501を
図9に示す前後部分に分割して結合するように構成してもよい。また、ケース501を
図9に示す左右部分に分割して結合するように構成してもよい。さらに、ケース501を複数個の組立部品で構成し、各組立部品を結合してもよく、ケース501を形成できる構成であれば、任意の構造を採用することができる。
【0064】
また、
図9に示す乾燥装置700のように、ケース501の送風路5011内に、1つ以上のリブなどからなる気流案内部材5013を設置してもよい。これにより、送風路5011内から外部に流れ出る気流の方向を制御することができる。
【0065】
この場合、気流案内部材5013は、例えば送風路5011の上壁5011a(
図9に相当)、下壁5011bおよび/または側壁5011cなど、実際に要望される送風方向に応じて設置される。このとき、気流案内部材5013は、防水遮蔽板504の開放を妨げない位置に配置する必要がある。例えば、気流案内部材5013を防水遮蔽板504に近すぎる位置に配置した場合、防水遮蔽板504の開放を妨げ、送風路5011の有効な開口面の一部を塞いでしまう。そのため、気流の流れが阻害されることになる。
【0066】
なお、上記乾燥装置700では、送風路5011の吹出口5012近傍に気流案内部材5013を設けた例で説明したが、これに限られない。例えば、ケース501の外部形状により、気流の流れを制御してよい。具体的には、
図7または
図8に示すように、乾燥装置の送風路5011の横断面を、吹出口5012に向かう方向に沿って、例えば逆ホーン型構造のように漸次縮小する形状としてもよい。これにより、吹出口5012に向かって気流を漸次収束させて、吹出口5012から吹き出す風速を増加させることができる。その結果、乾燥装置による人体局部の乾燥効果をさらに改善できる。
【0067】
また、
図8に示す乾燥装置600のように、送風路5011の下壁5011bを、傾斜表面5014(楕円形の破線で示される)形状としてもよい。具体的には、吹出口5012に向かう方向に沿って下方向に漸次傾斜するように、傾斜表面5014を形成する。これにより、乾燥装置600の動作が停止状態においては、傾斜表面5014により、吹出口5012から液体が流れ込んで送風路5011へ入ることを、ある程度遮ることができる。さらに、乾燥装置600の動作状態においては、傾斜表面5014により、送風路5011内に残存する水気を、気流の流れに従って、外部に排出することができる。
【0068】
以上により、本実施の形態の各種構成を有する乾燥装置が得られる。
【0069】
なお、上記では、個々の乾燥装置を例に、異なる構成を説明したが、互いに上記構成を組み込んで乾燥装置を構成してもよいことは、いうまでもない。これにより、同様の効果を得ることができる。
【0070】
つぎに、本実施の形態における乾燥装置の防水遮蔽板504について、詳細に説明する。
【0071】
上述したように、本実施の形態の各乾燥装置は、送風機502で送風された気体を、ヒータ503を流れる過程で加熱する。加熱された気体は、防水遮蔽板504を経由して送風路5011に流入する。
【0072】
そして、本実施の形態では、
図5から
図8に示すように、防水遮蔽板504は、少なくとも2枚の板状部材5041、5042から構成されている。板状部材5041、5042は、送風路5011内に、例えば鉛直方向に沿って上下方向に設置されている。このとき、板状部材5041、5042の上下方向に沿った長さは、上述したように、それぞれl
1とl
2である。
【0073】
そして、本実施の形態では、板状部材5041、5042の長さl
1およびl
2は等しく、さらに、例えばPPやABSなどの同じ材質で構成されている。これにより、防水遮蔽板504を構成する2枚の板状部材5041、5042が開く時の動作を同じにできる。その結果、防水遮蔽板504の動作効率を高めることができる。なお、必要に応じて、2枚の板状部材5041、5042は、異なる材質でもよく、また異なる高さ(長さ)でもよい。しかし、板状部材5041、5042の長さが等しく、同じ材質とすることが、動作の安定性などの点で、より好ましい。
【0074】
つぎに、本実施の形態の防水遮蔽板504の具体的な構成および動作について、
図6を参照しながら、
図10を用いて説明する。
【0075】
図10は、同実施の形態における防水遮蔽板の概略斜視図である。
【0076】
図10に示すように、送風路5011(
図6など参照)全体を閉塞するために、防水遮蔽板504の閉鎖状態において、板状部材5041と板状部材5042との間に隙間がないように設置される。このとき、板状部材5041と板状部材5042は、送風路5011の上壁5011aおよび下壁5011bとの間も隙間がないように配置する。
【0077】
つまり、
図10に示すように、板状部材5041および5042は、閉鎖状態で部分的に重なる重複部分を有するように配置される。そのため、板状部材5041の長さl
1と板状部材5041の長さl
2の和が、送風路5011の開口部の高さLより大きくなる構成が必須である。これにより、板状部材5041と5042との間の密封性を確保することができる。
【0078】
また、板状部材5041、5042は、閉鎖状態と開放状態との間で自在に回動できるように、それぞれ回転軸5043、5044を備えている。そして、回転軸5043、5044は、板状部材5041、5042が開放状態において、板状部材5041、5042の自由端が吹出口5012からはみ出さないように、吹出口5012から奥まった位置に設置されている。
【0079】
このとき、板状部材5041の回転軸5043は送風路5011の上壁5011aに近接して設けられ、板状部材5042の回転軸5044は送風路5011の鉛直方向の中間の位置に設けられている。
【0080】
そして、板状部材5041の回転軸5043と、板状部材5042の回転軸5044は、同じ鉛直線上に設けられている。なお、送風路を閉鎖できれば、鉛直線上でなくてもよいが、自重により閉鎖するためには、板状部材5042の回転軸5044を、板状部材5041の回転軸5043の鉛直位置または吹出口5012側の位置に設けることが好ましい。
【0081】
上記構成の防水遮蔽板504を設けることにより、乾燥装置の停止時、2枚の板状部材5041、5042は、自重のみで懸垂状態で配置され、送風路5011を閉鎖して、送風路5011の奥側(ヒータ503設置側)を閉塞状態に保持することができる。一方、乾燥装置が起動すると、送風機502で発生する気流の風力により、2枚の板状部材5041、5042は、送風路5011の上壁5011a方向に吹き上げられ、送風路5011が開放される。
【0082】
なお、本実施の形態では、防水遮蔽板504が気流により開放される例で説明したが、これに限られない。例えば、2枚の板状部材5041、5042に、電動装置、電磁駆動装置または機械伝動装置などを設置してもよい。これにより、乾燥装置の停止時に、電磁力、機械力またはそれらの組合せによって、2枚の板状部材5041、5042を閉鎖させることができ、送風路5011をより確実に閉塞することができる。また、乾燥装置の起動時に、モータ駆動力、電磁力、機械力またはそれらの組合せによって、2枚の板状部材5041、5042を開放することができ、より確実に送風路5011を開放することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、防水遮蔽板504の構成材料については、特に言及になかったが、高温下で変形しにくい、例えば耐熱性のある熱可塑性樹脂などの材料を用いることが好ましい。これにより、乾燥装置の作動時に、2枚の板状部材5041、5042が受ける熱気流(温風)による、熱変形などを抑制することができる。その結果、防水遮蔽板504の信頼性と耐久性を向上できる。
【0084】
さらに、2枚の板状部材5041、5042の材料として、軽量で一定の剛性を保持し、耐熱温度の高い材料、例えばアルミニウムなどの材料で構成してもよい。これにより、2枚の板状部材5041、5042が開放状態にあるときに、熱気流(温風)で変形することを抑制することができる。
【0085】
また、防水遮蔽板504の構成材料として、気流の風力のみで2枚の板状部材5041、5042が容易に開放できるように、例えばカーボン繊維材などの重量が軽い材料で構成してもよい。これにより、気流の風力によって、確実に2枚の板状部材を開放することができる。
【0086】
つまり、具体的に防水遮蔽板504を作製する場合、周囲の環境や使用条件に応じて、上述の要素を総合的に考慮し、板状部材の具体的構成および材料などを確定することが好ましい。
【0087】
つぎに、本実施に形態における別の例3の乾燥装置の構成について、
図11、
図12、
図13を参照しながら説明する。
【0088】
図11は、前述の本実施の形態における乾燥装置において、防水遮蔽板が誤って取り付けられた状態を説明する断面図である。
【0089】
つまり、前述したように、本実施の形態の乾燥装置は、防水遮蔽板が少なくとも2つの板状部材から構成されている。そのため、乾燥装置に防水遮蔽板を組み込む際に、
図11に示すように、2枚の板状部材5041、5042が逆に重なるように取り付けられることが起こりうる。具体的には、
図11に示すように、防水遮蔽板504の板状部材5041の自由端5041aが、板状部材5042の回転軸5044に対して気流の上流側(ヒータ503側)に誤って配置された状態で組み込まれる場合がある。このように誤って組み込まれた場合、乾燥装置の作動時、板状部材5041は、板状部材5042の回転軸5044に当接して、開くことができない。その結果、送風路5011の、例えば上半分が塞さがれ、必要量の気流を外部へ送出できなくなるため、所定の乾燥性能を発揮することができなくなる。
【0090】
そこで、本実施の形態の別の例3の乾燥装置は、ケース内に、少なくとも2枚の板状部材が逆に付くのを防止する逆付け防止部材を備えた点で、上記各実施の形態の乾燥装置とは異なる。他の構成や動作などは、上記各実施の形態と同様である。
【0091】
以下に、本実施の形態における別の例3の具体的な乾燥装置の構成について、
図12および
図13を用いて説明する。
【0092】
図12は、同実施の形態における別の例3の乾燥装置の概略断面図である。
図13は、
図12に示す乾燥装置のケースの要部概略斜視図である。なお、
図13は、理解を助けるために、簡略化して逆付け防止部材5045を備えた部分のケース501のみを示している。
【0093】
図12および
図13に示すように、本実施の形態における別の例3の乾燥装置1100は、送風路5011のケース501の側壁5011cの内面で、板状部材5042の上流側に、側壁5011cの下端より、少なくとも懸垂状態の板状部材5041の自由端5041aより高い位置まで、板状のリブからなる逆付け防止部材5045を設置する。これにより、ヒータ503と防水遮蔽板504との間の空間が、逆付け防止部材5045に占拠される。そのため、
図11に示すような配置で、板状部材5041の自由端5041aがヒータ503側に据え付けることができない。つまり、
図12に示すように、板状部材5041の自由端5041aが吹出口5012となる正確な方向に必ず板状部材5041を据えることができる。その結果、防水遮蔽板504の板状部材5042の逆付けを防止できる。
【0094】
以下に、本実施の形態における別の例4の乾燥装置の構成について、
図14および
図15を用いて説明する。
【0095】
図14は、同実施の形態における別の例4の乾燥装置の概略断面図である。
図15は、
図14に示す乾燥装置のケースの要部概略斜視図である。なお、
図15は、理解を助けるために、簡略化して逆付け防止部材5045を備えた部分のケース501のみを示している。
【0096】
つまり、
図14に示すように、別の例4の乾燥装置1400は、逆付け防止部材5045として、断面が円形の凸リブで構成した点で、上記別の例3の乾燥装置1100とは異なる。
【0097】
さらに、本実施に形態における別の例5の乾燥装置の構成について、
図16および
図17を用いて説明する。
【0098】
図16は、同実施の形態における別の例5の乾燥装置の概略断面図である。
図17は、
図16に示す乾燥装置のケースの要部概略斜視図である。なお、
図17は、理解を助けるために、簡略化して逆付け防止部材5045を備えた部分のケース501のみを示している。
【0099】
つまり、
図16に示すように、別の例5の乾燥装置1600は、逆付け防止部材5045として、断面が長方形の凸リブをケース501の側壁5011cの上部に設置した点で、特に上記別の例3の乾燥装置1100と異なり、別の例4の乾燥装置1400とも異なる。
【0100】
なお、
図12から
図17を用いて、各種形状、配置の逆付け防止部材について説明したが、上記の逆付け防止部材は一例にすぎない。例えば、実際の状況に応じて、防水遮蔽板504の板状部材5041が逆に組み込まれることを防止できる構成であれば、逆付け防止部材の他の具体的な形状や設置方式としてもよいことはいうまでもない。
【0101】
上述したように、本実施の形態によれば、乾燥装置の停止中は、防水遮蔽板より奥の送風路は閉塞状態となる。これにより、吹出口から水が浸入した場合でも、防水遮蔽板により奥に浸入することを防止できる。また、防水遮蔽板により奥に設置したヒータおよび送風機などが浸水することによる漏電などの異常が発生することを防止できる。
【0102】
また、防水遮蔽板を少なくとも2枚の板状部材で構成することにより、送風路内に防水遮蔽板を収納する空間を小さくできる。その結果、乾燥装置全体の長さを短くして、小型化を図ることができる。また、比較的軽い板状部材で防水遮蔽板を構成できるため、小さな風力で防水遮蔽板を容易に開くことができる。その結果、乾燥装置のエネルギー消費を低減できる。
【0103】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2として実施の形態1に記載した乾燥装置を有する衛生洗浄装置について、
図18を用いて説明する。
【0104】
図18は、本発明の実施の形態2における衛生洗浄装置の一部を示す概略分解斜視図である。
【0105】
図18に示すように、本実施の形態の衛生洗浄装置1200は、少なくとも便器本体(図示せず)と固定連結されるベース1201と、上記実施の形態1で説明した乾燥装置1202と、本体カバー1203などから構成されている。乾燥装置1202は、ベース1201に固定され、人体の局部に付着した洗浄水を乾燥する。本体カバー1203は、便器本体の一部および乾燥装置1202を覆う。
【0106】
なお、本実施の形態の衛生洗浄装置1200の基本的な構成としては、
図1で説明した背景技術の引用文献1の構成と同様に、洗浄装置と乾燥装置を備え、ベース1201を便器本体に固定して設置される。また、衛生洗浄装置に備えられた乾燥装置1202は、実施の形態1で説明した、乾燥装置500、600、1100、1400、1600のいずれか1つである。
【0107】
本実施の形態の衛生洗浄装置1200を使用する場合、まず、洗浄装置によって、洗浄液を噴出して人体の局部を洗浄する。その後、乾燥装置1202から温風を吹き出して、人体の局部を乾燥させる。
【0108】
この場合、本実施の形態における衛生洗浄装置1200は、上記実施の形態1で説明した乾燥装置を搭載している。乾燥装置は、上述したように、防水遮蔽板を少なくとも2枚の板状部材で構成し、送風路内に設置されている。
【0109】
そのため、乾燥装置の停止中は、防水遮蔽板より奥の送風路は閉塞状態となる。これにより、吹出口から水が浸入した場合でも、防水遮蔽板により奥に浸入することを防止できる。また、防水遮蔽板により奥に設置したヒータおよび送風機などが浸水することによる漏電などの異常が発生することを防止できる。
【0110】
しかも、防水遮蔽板を少なくとも2枚の板状部材で構成したことにより、送風路内において、防水遮蔽板を収容する空間を小さくできる。これにより、乾燥装置全体の長さを短くして、衛生洗浄装置の小型化を図ることができる。また、比較的軽い板状部材で防水遮蔽板を構成できるため、小さな風力で防水遮蔽板を容易に開くことができる。その結果、乾燥装置のエネルギー消費を低減できる。
【0111】
以上で説明したように、本発明の乾燥装置は、気体の流れを案内する送風路と気体を流出させる吹出口を有するケースと、ケース内に設置される、吹出口に向けて気体を加速して流す送風機と、送風機によって加速された気体を加熱するヒータと、送風路内の吹出口側に設けられる少なくとも2枚の板状部材から構成される防水遮蔽板とを備える。
【0112】
また、本発明の乾燥装置は、吹出口の近傍に設置され、吹出口を開放するまたは覆うために用いられる乾燥遮蔽板をさらに備えてもよい。
【0113】
また、本発明の乾燥装置は、防水遮蔽板は同じ材質の2枚の板状部材を備え、2枚の板状部材は同じ高さであればよい。
【0114】
また、本発明の乾燥装置は、閉塞状態にある少なくとも2枚の板状部材の間に隙間がない。
【0115】
また、本発明の乾燥装置は、少なくとも2枚の板状部材は、互いに重なる部分を有してもよい。
【0116】
また、本発明の乾燥装置は、少なくとも2枚の板状部材は、上下方向に沿って順に並んで設置してもよい。
【0117】
また、本発明の乾燥装置は、乾燥装置は、ケース内に設置されて、少なくとも2枚の板状部材が逆に付くのを防止する逆付け防止部材をさらに備えてもよい。
【0118】
また、本発明の乾燥装置は、送風路内に、気体の流れる方向を案内するために用いられる気流案内部材を有してもよい。
【0119】
また、本発明の乾燥装置は、送風路の横断面は、吹出口に向かう方向に沿って漸次縮小する形状にしてもよい。
【0120】
また、本発明の衛生洗浄装置は、便器本体に固定連結されたベースと、ベースにより固定され、洗浄水を乾燥するために用いられる上述の乾燥装置と、洗浄装置および乾燥装置を覆うために用いられる本体カバーとを備えてもよい。