特許第6512118号(P6512118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6512118-燃料電池 図000002
  • 特許6512118-燃料電池 図000003
  • 特許6512118-燃料電池 図000004
  • 特許6512118-燃料電池 図000005
  • 特許6512118-燃料電池 図000006
  • 特許6512118-燃料電池 図000007
  • 特許6512118-燃料電池 図000008
  • 特許6512118-燃料電池 図000009
  • 特許6512118-燃料電池 図000010
  • 特許6512118-燃料電池 図000011
  • 特許6512118-燃料電池 図000012
  • 特許6512118-燃料電池 図000013
  • 特許6512118-燃料電池 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512118
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/247 20160101AFI20190425BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20190425BHJP
【FI】
   H01M8/247
   H01M8/2475
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-10536(P2016-10536)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-130403(P2017-130403A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕士
(72)【発明者】
【氏名】竹内 弘明
(72)【発明者】
【氏名】長野 拓士
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−082370(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086344(WO,A1)
【文献】 特開2013−077581(JP,A)
【文献】 特開2001−313018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池であって、
複数の燃料電池セルが積層された燃料電池スタックと、
該燃料電池スタックを収容するスタックケースと、
衝撃に対する耐性と圧縮状況下において圧縮が緩むと形状復帰を起こす形状復帰特性とを有し、前記スタックケースと前記燃料電池スタックとの間隙に配設される介在層であって、前記間隙の一部において、前記複数の燃料電池セルのうちのセル積層方向に沿って連続する複数の燃料電池セルに対応する位置に配設された介在層と、
前記配設された介在層に対して、前記スタックケースの側から接し、前記介在層を前記燃料電池スタックの方向に圧縮した状態に保つ圧縮部と
を備える、燃料電池。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池であって、
前記燃料電池スタックは、前記セル積層方向に直交する断面が略長方形状であって、該形状に対応した複数の側面を有し、
前記介在層は、前記燃料電池スタックの4つの側面の各々に少なくとも一つ配設されている、燃料電池。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池であって、
前記介在層は、前記4つの側面のうち、隣り合った第1と第2の側面が形成する第1の角部の両側と、前記第1の角部と対角の関係にある第2の角部の両側とに、それぞれ配設され、
前記圧縮部は、前記第1の角部の両側に配設されたそれぞれの前記介在層に対応して設けられている、燃料電池。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池であって、
前記圧縮部は、更に前記第2の角部の両側に配設されたそれぞれの前記介在層に対応して設けられている、燃料電池。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の燃料電池であって、
前記圧縮部は、前記セル積層方向に沿った前記スタックケースのケース側壁に形成された窓部に入り込む凸部を有し、該凸部を用いて前記介在層を前記燃料電池スタックの方向に圧縮した状態に保つ、燃料電池。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池であって、
前記介在層は、前記セル積層方向に沿った長尺の前記窓部と重なるようにして前記間隙に配設されている、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、複数の燃料電池セルが積層された燃料電池スタックを備え、燃料電池スタックはスタックケースに収容されている。収容済みの燃料電池スタックの位置ずれの抑制や耐衝撃性を確保するため、燃料電池スタックとスタックケースとの間に、衝撃伝達部材として機能する介在層を配置する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−82370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の手法は、燃料電池セルの積層方向(以下、セル積層方向と称する)と交差する方向に沿って燃料電池スタックに大きな力が加わるときには、燃料電池スタックがずれようとする力に対して、介在層が反力を発揮して燃料電池スタックにおける燃料電池セルのズレを抑制する点で優れている。他方、燃料電池には、コスト低減に加え、車両への搭載性や取扱性を高めるための軽量化が要請されている。こうした要請には、介在層の介在領域を限定することである程度応えることができるものの、介在層の介在領域が限定される故に、以下に説明するように介在層配置に関しての改善の余地がある。
【0005】
燃料電池スタックにセル積層方向と交差する方向に沿って衝撃が加わった場合、燃料電池スタックがずれようとする側の介在層は反力を発揮するものの、その反対側の介在層は、反力を発揮することはなく、燃料電池スタックから受ける力が低減する。ところで、燃料電池スタックをセル積層方向が車幅に沿うよう配設した場合、燃料電池スタックには、セル積層方向と交差する方向に沿った車両前後方向の力のみならず、凹凸路面の走行に伴う上下方向の力も加わり得る。上記した特許文献で提案されたように、燃料電池スタックの長手方向の各側面のほぼ全域に介在層を介在させていれば、車両前後方向に加わった力により燃料電池スタックがずれようとする側と反対側の介在層において燃料電池スタックから受ける力が低減した状況下で、この反対側の介在層に上下方向の力が加わっても、介在層が上下方向に連続して介在している故に、反対側の介在層の位置ずれは起き難い。しかしながら、介在層の介在領域を限定した場合には、それぞれの介在層が燃料電池スタックとスタックケースとの間に個別に介在することから、燃料電池スタックがずれようとする側と反対側の介在層では、燃料電池スタックから受ける力が低減した状況下で上下方向に力が加わると、位置ずれが起き得ると危惧される。こうしたことから、介在層の介在領域を限定した上で、介在層の位置ずれの抑制を図ることが要請されるに到った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池が提供される。この燃料電池は、複数の燃料電池セルが積層された燃料電池スタックと、該燃料電池スタックを収容するスタックケースと、衝撃に対する耐性と圧縮状況下において圧縮が緩むと形状復帰を起こす形状復帰特性とを有し、前記スタックケースと前記燃料電池スタックとの間隙に配設される介在層であって、前記間隙の一部において、前記複数の燃料電池セルのうちのセル積層方向に沿って連続する複数の燃料電池セルに対応する位置に配設された介在層と、前記配設された介在層に対して、前記スタックケースの側から接し、前記介在層を前記燃料電池スタックの方向に圧縮した状態に保つ圧縮部とを備える。
【0008】
この形態の燃料電池によれば、介在層を、スタックケースと燃料電池スタックの間隙の一部において、複数の燃料電池セルのうちのセル積層方向に沿って連続する複数の燃料電池セルに対応する位置に配設した介在層とすることで、介在層の介在領域を限定できる。その上で、この形態の燃料電池では、介在層を圧縮部により燃料電池スタックの方向に圧縮した圧縮状態を保つことで、圧縮をもたらす力が低減して圧縮が緩むと形状復帰特性を発揮し得る。よって、この形態の燃料電池によれば、燃料電池スタックがずれようとする側と反対側の介在層において燃料電池スタックから受ける力が低減しても、圧縮が緩む際の形状復帰特性により、この反対側の介在層の位置ずれを抑制できる。
【0009】
(2)上記形態の燃料電池において、前記燃料電池スタックは、前記セル積層方向に直交する断面が略長方形状であって、該形状に対応した複数の側面を有し、前記介在層は、前記燃料電池スタックの4つの側面の各々に少なくとも一つ配設されているようにしてもよい。こうすれば、介在層の介在領域をより限定した上で、介在層の位置ずれを抑制できる。
【0010】
(3)上記形態の燃料電池において、前記介在層は、前記4つの側面のうち、隣り合った第1と第2の側面が形成する第1の角部の両側と、前記第1の角部と対角の関係にある第2の角部の両側とに、それぞれ配設され、前記圧縮部は、前記第1の角部の両側に配設されたそれぞれの前記介在層に対応して設けられているようにしてもよい。こうすれば、介在層の介在領域を第1と第2の角部に限定した上で、燃料電池スタックに積層方向と交差する方向から作用した外力による衝撃に対する耐性を、燃料電池スタックを拘束する第1の角部の両側の介在層と第2の角部の両側の介在層のうちで、外力の作用方向と同方向の側に配設された介在層により発揮して、外力の作用方向に沿った燃料電池スタックのずれを防止できる。しかも、この形態の燃料電池によれば、燃料電池スタックがずれようとする側と反対側の介在層の位置ずれを、圧縮が緩む際の形状復帰特性により抑制できる。
【0011】
(4)上記形態の燃料電池において、前記圧縮部は、前記第2の角部の両側に配設されたそれぞれの前記介在層にも対応して設けられているようにしてもよい。こうしても、外力の作用方向に沿った燃料電池スタックのずれ防止と、燃料電池スタックがずれようとする側と反対側の介在層の位置ずれの抑制とを図ることができる。
【0012】
(5)上記形態の燃料電池において、前記圧縮部は、前記セル積層方向に沿った前記スタックケースのケース側壁に形成された窓部に入り込む凸部を有し、該凸部を用いて前記介在層を前記燃料電池スタックの方向に圧縮した状態に保つようにしてもよい。こうすれば、窓部を介して、スタックケースの外部の側から介在層を圧縮部により燃料電池スタックに向けて圧縮しておくことができるので、簡便である。
【0013】
(6)上記形態の燃料電池において、前記介在層は、前記セル積層方向に沿った長尺の前記窓部と重なるようにして前記間隙に配設されているようにしてもよい。こうすれば、窓部を介した圧縮部による長尺状の介在層の圧縮が容易となる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料電池の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の燃料電池をセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図である。
図2】燃料電池の概略構成を分解して示す説明図である。
図3】本実施形態の燃料電池の製造手順におけるスタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向に沿ったX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図4】スタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向と交差するY軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図5】本実施形態の燃料電池の製造手順における介在層初期装着の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図6】介在層装着途中の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図7】介在層装着完了の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図8】他の実施形態の燃料電池をセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図である。
図9】燃料電池の製造手順におけるスタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向に沿ったX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図10】本実施形態の燃料電池の製造手順における介在層装着の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
図11】スタックケースにおける窓部と圧縮体の他の形態を示す説明図である。
図12】変形例の燃料電池をセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図である。
図13】変形例の燃料電池の概略構成を分解して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は実施形態の燃料電池100をセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図であり、図2は燃料電池100の概略構成を分解して示す説明図である。なお、各図のXYZ軸は、X軸を燃料電池セル122の積層方向に沿った軸としており、Y軸は水平方向、Z軸は鉛直方向を示す。よって、燃料電池100をセル積層方向が車両幅方向となるよう車両に搭載すると、X軸が車幅方向となり、Y軸が前後方向となり、Z軸が車両上下方向となる。また、図1では、スタックケース110を一体品としてハッチングし、燃料電池スタック120のハッチングを省略している。図1を始めとする各図は、燃料電池100を構成する各パーツの実際の寸法比を表すものではなく、各パーツの配設の様子や位置関係を模式的に示すに過ぎない。
【0017】
燃料電池100は、スタックケース110と、燃料電池スタック120と、第1〜第4の介在層141〜144と、圧縮体150とを備える。スタックケース110は、アルミ等の金属製のケースであり、有底のケース本体111への蓋体112の組み付けを経て、燃料電池スタック120を収容する。ケース本体111は、スタック収容凹所117において、後述の燃料電池セル122のセル積層方向(以下、単にセル積層方向と称する)に沿った燃料電池スタック120のスタック外壁面を、間隙113を残して取り囲む。後述するように燃料電池スタック120は、セル積層方向に沿って見たスタック外形が矩形形状であることから、スタックケース110のケース外形およびスタック収容凹所117の開口形状は、共に矩形形状となる。
【0018】
スタックケース110のケース本体111は、四つの角部の内の第1のケース角部201を形成するY軸に沿った第1のケース側壁201aとZ軸に沿った第2のケース側壁201bとに、窓部115を備える。この窓部115は、図2に示すように、上記の両ケース側壁において、セル積層方向を示すX軸方向であるケース長手方向に沿って延び、窓長手方向寸法は、燃料電池スタック120における燃料電池セル122の積層領域長と同程度とされている。本実施形態のスタックケース110は、第1のケース角部201と対角の関係にある第2のケース角部202を形成する第3のケース側壁202aと第4のケース側壁202bには窓部115を備えない。蓋体112は、燃料電池スタック120の収容後にケース本体111に図示しないボルトを用いて固定される。この他、スタックケース110は、第1のケース側壁201aと第2のケース側壁201bの外表面に、窓部115を取り囲むシール材116を凹溝に配設して備え、このシール材116により後述の圧縮体150との間のシールを図る。
【0019】
燃料電池スタック120は、二つのエンドプレート121の間に複数の燃料電池セル122が積層されたスタック構造を備える、複数の燃料電池セル122は、エンドプレート121および燃料電池セル122の各コーナー部に開けられた貫通孔137に挿入された図示しない締結シャフトを介して、締結される。
【0020】
エンドプレート121と燃料電池セル122は、共に、矩形形状とされ、上記した貫通孔137の他、ガス流入孔131と、ガス流出孔132と、エアー流入孔133と、エアー流出孔134と、冷却水流入孔135と、冷却水流出孔136とを備える。ガス流入孔131は、燃料ガス、例えば水素ガスをそれぞれの燃料電池セル122に導くための流路を形成し、ガス流出孔132は、未消費の水素ガスを外部に導くための流路を形成する。エアー流入孔133は、酸素含有ガスである空気をそれぞれの燃料電池セル122に導くための流路を形成し、エアー流出孔134は、余剰の空気を外部に導くための流路を形成する。これら流入孔と流出孔は、YZ平面において、ガス流入孔131とガス流出孔132とが対角となり、エアー流入孔133とエアー流出孔134とが対角となるように、矩形短辺に沿って形成されている。そして、上記の流入孔と流出孔のそれぞれは、X軸方向、つまりセル積層方向に沿ってセル間で連続している。冷却水流入孔135は、冷媒をそれぞれの燃料電池セル122に導くための流路を形成し、冷却水流出孔136は、冷媒を外部に導くための流路を形成する。冷却水の流入孔と流出孔は、向かい合うよう矩形長辺に沿って形成されており、冷却水の流入孔と流出孔のそれぞれにあっても、X軸方向(セル積層方向)に沿ってセル間で連続している。燃料電池セル122の内部構成は、既存構成と同様なので、各セルの構成の説明についてはこれを省略する。
【0021】
エンドプレート121と燃料電池セル122とが矩形形状であることから、燃料電池スタック120にあっても、YZ平面のスタック形状、即ちセル積層方向に沿って燃料電池スタック120を見たスタック外形も矩形形状となり、セル積層方向に直交する断面は略長方形状となる。そして、燃料電池100は、燃料電池スタック120の4つの角部の内の第1の角部125のY軸に沿った第1のスタック側面125aとZ軸に沿った第2のスタック側面125bとに、第1の介在層141と第2の介在層142を備える。この第1の介在層141と第2の介在層142は、隣り合った第1のスタック側面125aと第2のスタック側面125bが形成する第1の角部125の両側において当該角部の近傍に位置する。また、燃料電池100は、第1の角部125とYZ平面において対角の関係にある第2の角部126のY軸に沿った第3のスタック側面126aとZ軸に沿った第4のスタック側面126bとに、第3の介在層143と第4の介在層144を備える。この第3の介在層143と第4の介在層144は、隣り合った第3のスタック側面126aと第4のスタック側面126bが形成する第2の角部126の両側において当該角部の近傍に位置する。図示するように、燃料電池100は、他の角部である第3の角部127と第4の角部128とには、介在層を備えない。
【0022】
第1〜第4の介在層141〜144は、いずれも、矩形断面をなすと共に、燃料電池スタック120における燃料電池セル122の積層方向の長さである積層領域長と同じ長さの長尺体であり、スタックケース110と燃料電池スタック120との間の間隙113の一部においてセル積層方向に亘って配設されている。換言すれば、第1〜第4の介在層141〜144は、複数の燃料電池セル122のうちのセル積層方向に沿って連続する複数の燃料電池セル122に対応する位置に配設されていることになる。以下、第1〜第4の介在層141〜144を、その形状的な特異点から、第1〜第4の長尺介在層141〜144と称する。
【0023】
第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142は、スタックケース110が有する窓部115と重なるようにして間隙113に配設されて、後述の圧縮体150により圧縮される。第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144は、後述の電池製造過程で圧縮され、その圧縮状態が後述の圧縮体150の組み付けにより維持される。
【0024】
第1〜第4の長尺介在層141〜144は、いずれもダイラタント的な特性を持った弾性体であり、急激な衝撃に対しては固体のように振る舞い、ゆっくりとした衝撃に対しては流動性を示す。こうした特性から、第1〜第4の長尺介在層141〜144は、燃料電池スタック120を外部から拘束した状態で、衝撃に対する耐性を発揮する。ダイラタント的な特性を持った弾性体は、例えば、低分子量のシリコンゴム等のゴム材料に、種々の製法で得られたナノオーダーの大きさのシリカ球やポリスチレン球等を配合したゴム材料を所定形状、本実施形態では、矩形断面の長尺状に成形することで得られる。或いは、ダイラタント流体、例えば、シリコーンオイルとホウ酸の混合物に、微量の触媒(例えば、塩化鉄や、塩化ニッケル等)を加えて高温環境下(例えば、摂氏100度以上)において混練および乾燥させて得られる材料を中空で可撓性を有する長尺の袋体に封入することで得られる。なお、上記した材料としては、例えば、ダウコーニング社のダウコーニング3179(「ダウコーニング」は、登録商標)や、Wacker GmbH社のM48,M49を採用することができる。また、第1〜第4の長尺介在層141〜144は、上記したダイラタント的な特性を持つと共に、圧縮状態において圧縮に関与する力が弱まれば、形状の復帰作用を起こすことも確認されている。よって、第1〜第4の長尺介在層141〜144は、衝撃に対する耐性に加え、圧縮状況下において圧縮が緩むと形状復帰を起こす形状復帰特性を有する性状の介在層となる。
【0025】
第1〜第4の長尺介在層141〜144は、ダイラタント的な特性を持った弾性体(ゴム)で形成されているので、矩形断面の長尺形状を自ら維持する。この場合、弾性を有する所定形状の袋体にダイラタント流体を封入した態様であれば、袋体によって、略矩形断面のまま長尺形状を維持する。
【0026】
第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142は、第1の角部125を挟んで配設されて燃料電池セル122の積層方向に延在する。第1の長尺介在層141は、スタック外形の第1の角部125を形成する第1のスタック側面125aに接触する。第2の長尺介在層142は、第1の角部125を形成する第2のスタック側面125bに接触する。第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144は、スタック外形において第1の角部125と対角の関係にある第2の角部126を挟んで配設されて燃料電池セル122の積層方向に延在する。第3の長尺介在層143は、スタック外形の第2の角部126を形成する第3のスタック側面126aとスタックケース110における第3のケース側壁202aに接触する。第4の長尺介在層144は、第2の角部126を形成する第4のスタック側面126bとスタックケース110における第4のケース側壁202bに接触する。
【0027】
圧縮体150は、図1に示すように、スタックケース110の窓部115に入り込む凸部151を備え、この凸部151を枠部152から突出させている。凸部151は、図2において図示の都合から示されていないが、図1に示すように、窓部115から入り込んで間隙113に達し、第1のスタック側面125aに接触している第1の長尺介在層141と、第2のスタック側面125bに接触している第2の長尺介在層142とに対して、スタックケース110の側から接し、上記の両長尺介在層を燃料電池スタック120の方向に個別に圧縮して、その圧縮状態を保つ。よって、圧縮体150は、凸部151と共に本願における圧縮部を構成し、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142は、圧縮体150により、圧縮された状態で間隙113に配設されることになる。圧縮体150は、上記のように第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142とを圧縮した状態で、ボルト153によりスタックケース110の第1のケース側壁201a、第2のケース側壁201bにネジ締め固定される。こうして固定された圧縮体150は、上記の両ケース側壁のシール材116により、スタックケース110に対してシールされる。
【0028】
図3は本実施形態の燃料電池100の製造手順におけるスタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向に沿ったX軸方向から見て模式的に示す説明図であり、図4はスタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向と交差するY軸方向から見て模式的に示す説明図である。図示するように、本実施形態の燃料電池100を製造するに当たっては、まず、ケース本体111を、水平に平面出しされた作業テーブルSTに載置する。この作業テーブルSTは、いわゆる3次元移動テーブルとして構成されているので、ケース本体111は、作業テーブルごとX軸、Y軸、Z軸方向にスライド可能となる。
【0029】
次いで、作業テーブルSTから独立した姿勢確保ジグ200により、燃料電池スタック120の作業テーブルSTに対する水平保持、Z軸方向の高さ保持、およびセル積層方向に沿ったX軸位置の保持を行い、燃料電池スタック120を位置決め保持する。こうした位置決め保持により、燃料電池スタック120は、図3に示すように、ケース本体111におけるスタック収容凹所117の中心に位置する。次に、図4に示すように、ケース本体111をX軸に沿って作業テーブルSTごと移動させて、ケース本体111のスタック収容凹所117に、その開口側から燃料電池スタック120を水平に挿入し、燃料電池スタック120をスタックケース110のケース本体111に組み込んで収容する。これにより、燃料電池スタック120は、セル積層方向に沿ったX軸においても、ケース本体111に対しても位置決め保持される。そして、燃料電池スタック120とスタックケース110のケース本体111との間には、燃料電池スタック120を取り囲んで間隙113が形成され、この間隙113の寸法は、燃料電池スタック120の各側面において同寸とされる。
【0030】
図3および図4における黒色三角は、姿勢確保ジグ200による燃料電池スタック120の基準確保の状態を示している。図5以降における各図の黒色三角も同様である。なお、姿勢確保ジグ200は、第1〜第4の長尺介在層141〜144の配設箇所と干渉しない部位において燃料電池スタック120を保持して、位置決め姿勢を維持する。
【0031】
図5は本実施形態の燃料電池100の製造手順における介在層初期装着の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図であり、図6は介在層装着途中の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図であり、図7は介在層装着完了の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。図5の上段に示すように、介在層装着に当たっては、まず、第3の長尺介在層143を第3のケース側壁202aと第3のスタック側面126aの間に、第4の長尺介在層144を第4のケース側壁202bと第4のスタック側面126bとの間に、それぞれ挿入し、第3の長尺介在層143を第3のケース側壁202aに、第4の長尺介在層144を第4のケース側壁202bに、それぞれ密着させる。この場合、製造中の不用意な介在層の位置ずれを防止するよう、接着剤により、第3の長尺介在層143を第3のケース側壁202aに固定し、第4の長尺介在層144を第4のケース側壁202bに固定するようにしてもよい。また、図における鉛直下方側へのズレが懸念される第4の長尺介在層144については、当該介在層下方側において間隙113にジグを挿入し、このジグにより第4の長尺介在層144を下支えしてもよい。
【0032】
その後、図5の上段に示すように、スタックケース110を、図中の黒塗り矢印で示す第1移動M1と第2移動M2とに沿って、YZ平面で移動させる。この移動は、3次元移動テーブルとして構成されている作業テーブルSTによりなされる。この際、作業テーブルSTは、第1移動M1に沿ったY軸方向と、第2移動M2とに沿ったZ軸方向に、順次移動してもよいほか、第1移動M1に沿ったY軸方向ベクトルと第2移動M2とに沿ったZ軸方向ベクトルの和の方向に同時に移動してもよい。こうしたケース移動の間、燃料電池スタック120は、姿勢確保ジグ200により水平方向(Y軸方向)と鉛直方向(Z軸方向)に位置決めされたままである。よって、図5の下段に示すように、第3の長尺介在層143は、燃料電池スタック120の第3のスタック側面126aに接触した上で、この燃料電池スタック120から図中の黒塗り矢印で示す第1圧縮力F1を受けて圧縮される。第4の長尺介在層144も、同様に、第4のスタック側面126bに接触した上で、燃料電池スタック120から第2圧縮力F2を受けて圧縮される。作業テーブルSTは、上記した移動後の位置に停止し、燃料電池スタック120は姿勢確保ジグ200により位置決めされたままであるので、第1圧縮力F1による第3の長尺介在層143の圧縮、および第2圧縮力F2による第4の長尺介在層144の圧縮は維持される。
【0033】
本実施形態では、上記したようにスタックケース110を第1移動M1と第2移動M2とに沿ってYZ平面で移動させるに当たり、次のようにした。第3の長尺介在層143が燃料電池スタック120の第3のスタック側面126aに接触するまでは、適宜な移動速度でスタックケース110を移動させ、第3のスタック側面126aへの介在層接触後は、スタックケース110を通常より高速で移動させて、第3の長尺介在層143を圧縮状態とした。介在層接触後にスタックケース110が低速で移動すると、ダイラタント的特性を持つ第3の長尺介在層143が不用意に弾性変形を起こして外形形状が変形することが危惧される。しかしながら、介在層接触後のスタックケース移動を高速とすることで、第3の長尺介在層143の不用意な弾性変形を抑制でき、形状維持に有益となる。第4の長尺介在層144についても同様である。
【0034】
スタックケース110の上記した移動に続き、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の装着、並びに、これら長尺介在層の圧縮体150による圧縮固定がなされる。この様子は、図6図7に示されており、まず、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142を、それぞれ圧縮体150における凸部151の凸部頂上面に仮接着し、この状態で、第1の長尺介在層141が燃料電池スタック120の第1のスタック側面125aに接触し、第2の長尺介在層142が第2のスタック側面125bに接触するように、圧縮体150の凸部151を上記の両長尺介在層ごと窓部115に入り込ませる。この状態では、図6の下段に示すように、圧縮体150の枠部152は、まだ第1のケース側壁201aや第2のケース側壁201bに接してはおらず、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142は、非圧縮状態である。
【0035】
窓部115への凸部151の入り込みにより、第1のスタック側面125aに接触した第1の長尺介在層141と、第2のスタック側面125bに接触した第2の長尺介在層142とは、圧縮体150の押し込みを経て凸部151により、燃料電池スタック120に向けて個別に圧縮される。その後、圧縮体150は、ボルト153によりスタックケース110にネジ締め固定されるので、上記の両長尺介在層の圧縮状態は維持される。なお、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142を凸部頂上面に仮接着することに代え、窓部115への凸部151の入り込み前に、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142を、窓部115から挿入して、それぞれを第1のスタック側面125a、或いは第2のスタック側面125bに密着させてもよい。こうする場合には、圧縮体150による圧縮の際の不用意な介在層の位置ずれを防止するよう、接着剤により、第1の長尺介在層141を第1のスタック側面125aに固定し、第2の長尺介在層142を第4のスタック側面126bに固定すればよい。また、図における鉛直下方側へのズレが懸念される第2の長尺介在層142については、当該介在層下方側において間隙113にジグを挿入し、このジグにて第2の長尺介在層142を下支えしてもよい。
【0036】
圧縮体150による圧縮の間、燃料電池スタック120は、姿勢確保ジグ200により水平方向(Y軸方向)と鉛直方向(Z軸方向)に位置決めされたままである。よって、図7に示すように、第1の長尺介在層141は、燃料電池スタック120の第1のスタック側面125aに接触した上で、この燃料電池スタック120から図中の黒塗り矢印で示す第3圧縮力F3を受けて圧縮される。第2の長尺介在層142も、同様に、第2のスタック側面125bに接触した上で、燃料電池スタック120から第4圧縮力F4を受けて圧縮される。この圧縮状態は、ボルト153による圧縮体150のネジ締め固定により、維持される。
【0037】
本実施形態では、圧縮体150による第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の圧縮の際、第1の長尺介在層141が第1のスタック側面125aと接触した以降、および、第2の長尺介在層142が第2のスタック側面125bに接触した以降において、圧縮体150を大きな力でケース外部から素早く押し付けるようにした。仮に、圧縮体150を小さな力で押し付けると、ダイラタント的特性を持つ第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142が不用意に弾性的な変形を起こして外形形状が変形することが危惧される。しかしながら、介在層接触後に圧縮体150を大きな力で素早く押し付けることで、第1の長尺介在層141および第2の長尺介在層142の不用意な変形を抑制でき、形状維持に有益となる。
【0038】
圧縮体150による圧縮の間、作業テーブルSTは、上記した移動後の位置に停止する。燃料電池スタック120は、姿勢確保ジグ200により位置決めされたままであって、その後に、圧縮体150がスタックケース110にネジ締め固定される。よって、第1圧縮力F1による第3の長尺介在層143の圧縮、および第2圧縮力F2による第4の長尺介在層144の圧縮は、圧縮体150の組み付けにより維持される。こうして圧縮状態が維持された第1〜第4の長尺介在層141〜144は、図1および図7に示すように、燃料電池スタック120を、スタックケース110のスタック収容凹所117において、セル積層方向と交差するYZ平面の所定位置に位置決めした状態で、燃料電池スタック120を外部から拘束することになる。本実施形態では、第1圧縮力F1〜第4圧縮力F4がほぼ同じ大きさとなるよう、第1〜第4の長尺介在層141〜144の寸法や、スタック収容凹所117における燃料電池スタック120の位置決め位置、凸部151の突出寸法等を規定した。
【0039】
圧縮体150をスタックケース110にネジ締め固定した後、燃料電池スタック120の位置決め保持を行っていた姿勢確保ジグ200を取り外し、スタックケース110の開口を蓋体112で塞ぎ、蓋体112が固定される。そして、スタックケース110のスタック収容凹所117における燃料電池スタック120のセル積層方向(X軸方向)の位置決め固定は、蓋体112にいわゆる押しボルトを締め込むことでなされる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池100は、ダイラタント的な特性を持つ故に衝撃時に燃料電池セル122がずれようとする力に対する反力を発揮する第1〜第4の長尺介在層141〜144を備え、これら長尺介在層で燃料電池スタック120を外部から拘束する。よって、本実施形態の燃料電池100によれば、燃料電池スタック120に燃料電池セル122のセル積層方向と交差する方向から作用した外力による衝撃に対する耐性を、燃料電池スタックを外部から拘束する第1〜第4の長尺介在層141〜144のうちで、外力の作用方向と同方向の側に配設された長尺介在層により発揮して、外力の作用方向に沿った燃料電池スタック120のずれを防止できる。
【0041】
本実施形態の燃料電池100は、第1のケース角部201を挟んでセル積層方向に沿って延びる窓部115に第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142とを重なるよう配設した上で、第1のケース角部201と対角の関係にある第2のケース角部202を挟んで第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144を間隙113に配設する。よって、本実施形態の燃料電池100によれば、第2のケース角部202の側においても介在層を長尺介在層とすることで、介在層の介在領域をより限定できる。また、本実施形態の燃料電池100によれば、第1〜第4の長尺介在層141〜144の介在領域を上記の様に限定することで、スタックケース110と燃料電池スタック120との間の間隙113の全域に介在層を配設する構成に比べて、軽量化を図ることができる。
【0042】
本実施形態の燃料電池100では、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142とを、窓部115に入り込む凸部151を有する圧縮体150により燃料電池スタック120に向けて、詳しくは燃料電池スタック120の第1のスタック側面125a、或いは第2のスタック側面125bに向けて圧縮しておく。こうすることで、圧縮済みの第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142では、圧縮に関与していた力が弱まれば、形状の復帰作用を発揮し得る。よって、本実施形態の燃料電池100によれば、次の利点がある。
【0043】
図7において、燃料電池スタック120に燃料電池セル122の積層方向と交差する−Y軸方向の外力GFが第2のケース側壁201bの側から作用した場合、第2の長尺介在層142は、この外力GFにより燃料電池スタック120がずれようとする側の反対側に位置する。そうすると、第2の長尺介在層142では、燃料電池スタック120から受ける第4圧縮力F4が外力GFにより低減する。本実施形態の燃料電池100によれば、こうした状況において、圧縮体150により圧縮済みの第2の長尺介在層142で形状の復帰作用を発揮することで、燃料電池スタック120がずれようとする側と反対側の第2の長尺介在層142の位置ずれを抑制できる。第1の長尺介在層141が、外力GFにより燃料電池スタック120がずれようとする側の反対側に位置する場合も同様である。
【0044】
本実施形態の燃料電池100は、第2のケース角部202を挟んで間隙113に配設した第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144とを、燃料電池100の製造過程において圧縮状態とし(図5参照)、この圧縮状態を圧縮体150による第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の圧縮後においても維持する(図7参照)。よって、本実施形態の燃料電池100によれば、図7に示す外力GFが仮に第4のケース側壁202bの側から作用したとしても、この外力GFにより燃料電池スタック120がずれようとする側の反対側に位置する第4の長尺介在層144での圧縮復帰作用により、燃料電池スタック120がずれようとする側と反対側の第4の長尺介在層144の位置ずれを抑制できる。第3の長尺介在層143が、外力GFにより燃料電池スタック120がずれようとする側の反対側に位置する場合も同様である。
【0045】
図8は他の実施形態の燃料電池100Aをセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図である。この燃料電池100Aは、第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144をも、圧縮体150で圧縮する点に特徴がある。なお、以下の説明に当たっては、上記した燃料電池100と同一の構成についての説明を、適宜、省略することとする。
【0046】
図示するように、燃料電池100Aは、スタックケース110における第2のケース角部202を形成する第3のケース側壁202aと第4のケース側壁202bにも窓部115を備える。そして、燃料電池100Aは、第3のケース側壁202aの窓部115に第3の長尺介在層143が重なり、第4のケース側壁202bの窓部115に第4の長尺介在層144が重なるようにして、両長尺介在層を間隙113に配設し、圧縮体150により圧縮している。
【0047】
図9は燃料電池100Aの製造手順におけるスタック組み込み・位置決めの様子をセル積層方向に沿ったX軸方向から見て模式的に示す説明図である。図示するように、燃料電池100Aを製造するに当たっては、まず、ケース本体111を、水平に平面出しされた3次元移動テーブルの作業テーブルSTに載置し、X軸方向にスライド可能とする。
【0048】
次いで、燃料電池スタック120を、先の実施形態と同様、姿勢確保ジグ200により位置決め保持し、燃料電池スタック120を、図9に示すように、ケース本体111におけるスタック収容凹所117の中心に位置させる。次に、図4を用いて説明したように、ケース本体111をX軸に沿って作業テーブルSTごと水平に移動させて、燃料電池スタック120をスタックケース110のケース本体111に組み込んで収容する。
【0049】
図10は本実施形態の燃料電池100Aの製造手順における介在層装着の様子をX軸方向から見て模式的に示す説明図である。
【0050】
介在層装着に当たっては、図9に示すように、第1〜第4の長尺介在層141〜144の装着、並びに、これら長尺介在層の圧縮体150による圧縮固定がなされる。この介在層圧縮固定は、先の実施形態において第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142を装着した様子と変わるものではなく、まず、第1〜第4の長尺介在層141〜144のそれぞれを凸部151の凸部頂上面に仮接着し、この状態で、圧縮体150の凸部151を長尺介在層ごと窓部115に入り込ませ、各長尺介在層を対向するスタック側面に接触させる。その上で、圧縮体150の凸部151により、第1〜第4の長尺介在層141〜144を燃料電池スタック120に向けて個別に圧縮し、圧縮体150をボルト153によりスタックケース110にネジ締め固定する。この実施形態であっても、第1〜第4の長尺介在層141〜144を凸部頂上面に仮接着することに代え、窓部115への凸部151の入り込み前に、それぞれの長尺介在層を、窓部115から挿入して、対応するスタック側面に密着させてもよい。こうする場合には、不用意な介在層の位置ずれ防止のため、接着剤により、各長尺介在層をスタック側面に固定すればよい。
【0051】
圧縮体150による圧縮の間、燃料電池スタック120は、姿勢確保ジグ200により水平方向(Y軸方向)と鉛直方向(Z軸方向)に位置決めされたままである。よって、図7に示すように、第1〜第4の長尺介在層141〜144は、燃料電池スタック120のスタック側面に接触した上で、この燃料電池スタック120から図中の黒塗り矢印で示す第1〜第4圧縮力F1〜F4をそれぞれ受けて圧縮される。この圧縮状態は、ボルト153による圧縮体150のネジ締め固定により、維持される。この実施形態にあっても、圧縮体150による第1〜第4の長尺介在層141〜144の圧縮の際、それぞれの長尺介在層がスタック側面に接触した以降において、圧縮体150を大きな力でケース外部から素早く押し付けるようにしたので、第1〜第4の長尺介在層141〜144の不用意な弾性変形を抑制でき、形状維持に有益となる。
【0052】
こうして圧縮状態が維持された第1〜第4の長尺介在層141〜144は、図7に示すように、燃料電池スタック120を、スタックケース110のスタック収容凹所117において、セル積層方向と交差するYZ平面の中心に位置決めした状態で、燃料電池スタック120を外部から拘束することになる。この実施形態にあっても、第1圧縮力F1〜第4圧縮力F4がほぼ同じ大きさとなるよう、第1〜第4の長尺介在層141〜144の寸法や、スタック収容凹所117における燃料電池スタック120の位置決め位置、凸部151の突出寸法等を規定した。
【0053】
圧縮体150をスタックケース110にネジ締め固定した後は、姿勢確保ジグ200の取り外し、蓋体112の固定を経て、蓋体112からの押しボルト締め込みがなされる。これにより、スタック収容凹所117においてセル積層方向(X軸方向)についても位置決めされた燃料電池100Aが得られる。
【0054】
以上説明したように、この実施形態の燃料電池100Aによっても、セル積層方向と交差する方向から外力が作用した場合の燃料電池スタック120のずれ防止や、燃料電池スタック120がずれようとする側と反対側の第1〜第4の長尺介在層141〜144の位置ずれの抑制といった既述した効果を奏することができる。そして、燃料電池100Aは、第1〜第4の長尺介在層141〜144のそれぞれを、圧縮体150により圧縮状態とできるので、介在層装着が簡便となる。
【0055】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0056】
既述した実施形態では、窓部115と第1〜第4の長尺介在層141〜144および圧縮体150を、燃料電池スタック120における燃料電池セル122の積層領域長と同程度としたが、これに限らない。図11はスタックケース110における窓部115と圧縮体150の他の形態を示す説明図である。図示するように、窓部115をセル積層方向であるX軸方向に複数設け、それぞれの窓部115に入り込む凸部151を有する圧縮体150を、窓部の個数分用いる。圧縮体150により圧縮される第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142については、燃料電池セル122の積層領域長と同程度のままの長さでよいほか、窓部115の寸法に合わせて複数個の長尺介在層としてもよい。
【0057】
既述した実施形態では、第1のケース角部201に対応する燃料電池スタック120の第1の角部125を挟んで、および、第2のケース角部202に対応する第2の角部126を挟んで、第1〜第4の長尺介在層141〜144を配設したが、第1の角部125とYZ平面において隣り合う第3の角部127を挟んで長尺介在層を配設してもよい。もう一つの第4の角部128を挟んで長尺介在層を配設してもよい。そして、第1のスタック側面125aに接触する長尺介在層と第2のスタック側面125bに接触する長尺介在層については、圧縮体150により第1の長尺介在層141と同様、圧縮すればよい。
【0058】
既述した実施形態では、窓部115に入り込む凸部151を有する圧縮体150により第1の長尺介在層141等を圧縮したが、介在層の圧縮構成はこれに限らない。図12は変形例の燃料電池100Bをセル積層方向から正面視してその概略構成を示す説明図であり、図13は変形例の燃料電池100Bの概略構成を分解して示す説明図である。
【0059】
図示するように、この燃料電池100Bは、スタックケース110のケース本体111に、窓部115に代えて複数の貫通孔118を備え、孔周囲をシール材116でシールする。また、凸部151を有する圧縮体150に代えて、押圧ピン154を有する圧縮体150Aを用い、押圧ピン154の先端に係合可能とされた長尺プレート155を介して、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142とを既述したように圧縮する。
【0060】
この燃料電池100Bの製造手順は、既述した燃料電池100の製造手順とほぼ同様であり、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の圧縮・固定の手順において相違する。第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の装着に際しては、予め、両長尺介在層に長尺プレート155を仮接着する。次いで、この状態で、第1の長尺介在層141が燃料電池スタック120の第1のスタック側面125aの規定位置、即ち複数の貫通孔118に向かい合うスタック側面位置に載置する。第2の長尺介在層142については、燃料電池スタック120の第2のスタック側面125bの規定位置、即ち複数の貫通孔118に向かい合うスタック側面位置に仮接着する。この際、第4の長尺介在層144と同様に、第2の長尺介在層142を、鉛直下方側においてジグにより下支えしてもよい。
【0061】
その後、押圧ピン154が貫通孔118に入り込むように圧縮体150Aをケース本体111に装着し、押圧ピン154をその先端において長尺プレート155に係合させる。この係合状態のまま、枠部152をネジ締め固定することで、第1のスタック側面125aに接触した第1の長尺介在層141と、第2のスタック側面125bに接触(仮接着)した第2の長尺介在層142とは、長尺プレート155により、燃料電池スタック120に向けて個別に圧縮される。圧縮体150Aによる介在層圧縮にあっても、長尺プレート155が圧縮体150Aの押圧ピン154に係合した以降において、圧縮体150Aを大きな力でケース外部から素早く押し付けばよい。こうして得られた燃料電池100Bによっても、既述した効果を奏することができる。
【0062】
既述した実施形態の燃料電池100では、第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144とを圧縮状態とするに当たり、両介在層の装着済みのスタックケース110を燃料電池スタック120に対して移動したが、これに限らない。つまり、図5の上段に示すように燃料電池スタック120をスタックケース110の中央位置に位置決め保持する前に、図示しない押圧ジグにより第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144とを圧縮状態とする。そして、押圧ジグを取り外した後、両介在層の形状が完全に復帰する前に、燃料電池スタック120をスタックケース110に挿入し、第3の長尺介在層143を燃料電池スタック120の第3のスタック側面126aに、第4の長尺介在層144を燃料電池スタック120の第4のスタック側面126bに接触させ、この状態を維持する。その後、圧縮体150を用いた第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142の圧縮固定を行う。
【0063】
既述した実施形態では、燃料電池スタック120を積層方向に直交する断面が略長方形状としたが、断面が楕円形状や3角或いは5角以上の多角形状としてもよい。
【0064】
既述した実施形態では、第1〜第4の長尺介在層141〜144を第1のスタック側面125aと第2のスタック側面125bと第3のスタック側面126aと第4のスタック側面126bとに配設したが、一つのスタック側面、例えば第1のスタック側面125aに二つ以上の長尺介在層を配設してもよい。
【0065】
既述した実施形態では、第1の長尺介在層141と第2の長尺介在層142を第1の角部125の両側に、第3の長尺介在層143と第4の長尺介在層144を第2の角部126の両側に配設したが、これに限らない。例えば、第1の長尺介在層141を第1のスタック側面125aの中央付近に、第2の長尺介在層142を第2のスタック側面125bの中央付近に、第3の長尺介在層143を第3のスタック側面126aの中央付近に、第4の長尺介在層144を第4のスタック側面126bの中央付近に配設してもよい。
【0066】
既述した実施形態では、第1〜第4の長尺介在層141〜144を、ダイラタント的な特性を持った弾性体、或いはダイラタント流体を用いて形成したが、燃料電池スタック120の長手方向に沿った長尺形状を維持できて、衝撃に対する耐性と、圧縮状況下において圧縮が緩むと形状復帰を起こす形状復帰特性を呈することができれば、合成ゴムや樹脂を用いて形成してもよい。
【0067】
既述した実施形態では、第1〜第4の長尺介在層141〜144を、燃料電池セル122の積層領域長に対応した長さとしたが、積層領域長より若干短くてもよい他、スタック両端のエンドプレート121に掛かっていてもよい。スタック両端のエンドプレート121に掛かっている場合には、第1〜第4の長尺介在層141〜144を、セル積層方向に沿って連続する複数の燃料電池セル122に対応する領域において、圧縮体150により圧縮保持すればよい。
【符号の説明】
【0068】
100、100A、100B…燃料電池
110…スタックケース
111…ケース本体
112…蓋体
113…間隙
115…窓部
116…シール材
117…スタック収容凹所
118…貫通孔
120…燃料電池スタック
121…エンドプレート
122…燃料電池セル
125…第1の角部
125a…第1のスタック側面
125b…第2のスタック側面
126…第2の角部
126a…第3のスタック側面
126b…第4のスタック側面
127…第3の角部
128…第4の角部
131…ガス流入孔
132…ガス流出孔
133…エアー流入孔
134…エアー流出孔
135…冷却水流入孔
136…冷却水流出孔
137…貫通孔
141…第1の介在層(第1の長尺介在層)
142…第2の介在層(第2の長尺介在層)
143…第3の介在層(第3の長尺介在層)
144…第4の介在層(第4の長尺介在層)
150…圧縮体
151…凸部
152…枠部
153…ボルト
154…押圧ピン
155…長尺プレート
200…姿勢確保ジグ
201…第1のケース角部
201a…第1のケース側壁
201b…第2のケース側壁
202…第2のケース角部
202a…第3のケース側壁
202b…第4のケース側壁
F1…第1圧縮力
F2…第2圧縮力
F3…第3圧縮力
F4…第4圧縮力
GF…外力
M1…第1移動
M2…第2移動
ST…作業テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13