(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
  図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
 
【0014】
  (実施形態1)
  <車両用システム4の概略構成>
  
図1に示すように車両用システム4は、車両側ユニット1と電子キーの機能を有する携帯機3とを含む。車両側ユニット1は車両で用いられ、携帯機3は車両のユーザに携帯されるものとする。
 
【0015】
  車両用システム4は、いわゆるスマート機能を有している。スマート機能は、車両側ユニット1と携帯機3との間での近距離無線通信によってコード照合を行い、コード照合が成立したことに基づいて、車両ドアの施解錠及び走行駆動源の始動の許可を行う機能を指している。走行駆動源はエンジンであっても走行用モータであってもよいが、以降では走行駆動源がエンジンである場合を例に挙げて説明を行う。
 
【0016】
  <実施形態1における車両側ユニット1の概略構成>
  まず、
図1を用いて、車両側ユニット1の概略的な構成について説明を行う。
図1に示すように車両側ユニット1は、照合ECU10、LF送信機11、UHF受信機12、角度センサ13、ボデーECU14、及び検知用送信機15を備えている。また、車両側ユニット1のうちの照合ECU10、UHF受信機12、及び検知用送信機15が乗員検知ユニット2を構成する。この乗員検知ユニット2が請求項の乗員検知システムに相当する。
 
【0017】
  LF送信機11は、LF送信アンテナ111及びLF送信部112を備えている。LF送信アンテナ111としては、運転席,助手席,後部座席の各座席の車両ドア付近に設けられるドアアンテナ、車室内に設けられる室内アンテナ、及びトランクルームドア付近に設けられるトランク外アンテナ等がある。なお、以降では、運転席,助手席,後部座席の車両ドアとトランクルームドアとを車両ドアと呼び、車両ドアからトランクルームドアを除いたものを座席ドアと呼ぶ。LF送信部112は、LF送信アンテナ111を介し、LF帯の電波にてリクエスト信号を送信する。LF帯とは、例えば30kHz〜300kHzの周波数帯である。LF送信アンテナ111からLF帯の電波で信号を送信できる範囲が、近距離無線通信が可能な近距離無線通信エリアにあたる。リクエスト信号は、コード照合に用いる携帯機3の識別コードの送信を携帯機3に要求する信号である。
 
【0018】
  UHF受信機12は、UHF受信アンテナ121及びUHF受信部122を備えている。このUHF受信機12が請求項の受信機に相当する。UHF受信アンテナ121は、UHF帯の電波にて送信されてくる信号を受信する。UHF帯とは、例えば300MHz〜3GHzの周波数帯である。UHF受信部122は、携帯機3から送信されるUHF帯の電波、及び検知用送信機16から送信されるMHz帯の電波の両方を、UHF受信アンテナ121を介して受信可能に構成されている。UHF受信部122は、受信した電波を予め定められた方式で復調した受信信号を照合ECU10へ出力する。また、UHF受信部122は、UHF受信アンテナ121で受信した電波の受信強度を検出し、検出結果を照合ECU10へ出力する。受信強度は受信信号強度と言い換えることもできる。例えば、UHF受信部122は、周知のRSSI回路を有することで、受信強度を検出する構成とすればよい。
 
【0019】
  UHF受信機12は、前述のリクエスト信号に対して携帯機3から返信される、携帯機3の識別コードを含む応答信号を受信する。よって、UHF受信機12が請求項の電子キーシステムにおいて照合コードを受信する受信機に相当する。
 
【0020】
  角度センサ13は、車両ドアのうちの座席ドアの開口角度に応じた信号をボデーECU14に出力する。角度センサ13は、例えば座席ドアのヒンジ部に設けられて、座席ドアの開口角度に応じた信号をボデーECU14に出力する構成とすればよい。
 
【0021】
  ボデーECU14は、各車両ドアの施解錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータに出力することで、各車両ドアの施解錠を行う。また、ボデーECU14には、各車両ドアのアウタードアハンドルに設けられたタッチセンサが接続されており、各車両ドアのアウタードアハンドルがユーザに触れられたことを検出する。他にも、ボデーECU14には、各車両ドアについてのカーテシスイッチが接続されており、各車両ドアの開閉に応じたカーテシスイッチの信号を取得する。また、前述した角度センサ13が接続されており、座席ドアの開口角度に応じた信号を取得する。
 
【0022】
  検知用送信機15は、検知用送信アンテナ151及び検知用送信部152を備えている。検知用送信部152は、検知用送信アンテナ151を介し、MHz帯の電波にて信号を送信する。検知用送信機15から送信されるMHz帯の電波を、UHF受信機12で受信可能とするために、検知用送信機15から送信する電波は、MHz帯の電波のうち、UHF帯に該当する300MHz以上且つ1GHz未満の周波数帯の電波とすることが好ましい。以降では、検知用送信機15から送信する電波を検知用電波と呼ぶ。この検知用送信機15が請求項の送信機に相当する。
 
【0023】
  照合ECU10は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。この照合ECU10が請求項の乗員検知装置に相当する。照合ECU10は、スマート機能に関連する処理を実行したり、車室内に存在する乗員の検知に関連する処理(以下、乗員検知関連処理)を実行したりする。
 
【0024】
  例えば、スマート機能に関連する処理として、LF送信機11にリクエスト信号を送信させたり、UHF受信機12でリクエスト信号に対する応答信号を受信した場合に、この応答信号に含まれる識別コードを用いた照合を行ったりする。車室内に存在する乗員の検知に関連する処理については後に詳述する。なお、照合ECU10が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
 
【0025】
  <検知用送信機15とUHF受信機12との配置>
  ここで、
図2を用いて、検知用送信機15とUHF受信機12との配置についての説明を行う。本実施形態では、車両の後部座席に存在する乗員の検知を行うための構成、特に後部座席の右側の座席ドア(以下、後部座席右ドア)寄りの乗員も検知可能とするための構成を例に挙げて説明を行う。
図2のAが車両を示しており、Bが後部座席を示しており、Cが後部座席右ドアを示しており、Dが乗員を示している。
 
【0026】
  図2に示すように、検知用送信機15は、車両Aの車室内に、車両Aの左側面側の後部座席Bよりも前方に設けられる。言い換えると、車両Aの車室内における、左側面側のBピラーの近辺に設けられる。例えば、検知用送信機15は、左側面側の後部座席Bと助手席との間の床面に設けられる構成とすればよい。なお、少なくとも検知用送信機15の検知用送信アンテナ151がこのような配置となるように設けられる構成であればよい。この後部座席が請求項の所定座席に相当する。
 
【0027】
  また、検知用送信機15は、後部座席右ドアCを含む範囲に向けて検知用電波を送信するように設けられている。ここで言うところの後部座席右ドアCを含む範囲とは、後部座席右ドアCで反射された検知用電波をUHF受信機12で受信可能となる開度で開いた後部座席右ドアCを含む範囲である。これにより、後部座席Bの右側面側寄りに乗員Dが存在した場合でも、後部座席右ドアCが開く場合には、この乗員Dを通過した検知用電波が、後部座席右ドアCで反射されて間接的にUHF受信機12で受信されることになる。
 
【0028】
  なお、検知用送信機15から送信される検知用電波は指向性に一定以上の拡がりを持ち、検知用送信機15から送信される検知用電波がUHF受信機12で直接的にも受信できるように設けられていることが好ましい。これにより、後部座席Bの中央寄りに乗員Dが存在した場合には、この乗員Dを通過した検知用電波が、直接的にUHF受信機12で受信されることになる。
 
【0029】
  図2に示すように、UHF受信機12は、車両Aの車室内に、車両Aの右側面側の後部座席Bよりも後方に設けられる。言い換えると、車両Aの車室内における、右側面側のCピラーの近辺に設けられる。例えば、UHF受信機12は、右側面側のCピラーに設けられる構成とすればよい。なお、少なくともUHF受信機12のUHF受信アンテナ121がこのような配置となるように設けられる構成であればよい。また、角度センサ13は、後部座席右ドアの開口角度に応じた信号をボデーECU14に出力するものとする。
 
【0030】
  <照合ECU10の概略構成>
  続いて、
図3を用いて、照合ECU10の概略構成について説明を行う。
図3に示すように、照合ECU10は、開閉検出部100、登録部101、第1送信処理部102、信号取得部103、コード照合部104、許可部105、第2送信処理部106、受信強度取得部107、強度記憶部108、角度検出部109、及び乗員検知部110を備えている。
 
【0031】
  開閉検出部100は、ボデーECU14から取得したカーテシスイッチの信号から、車両ドアの開閉を検出する。開閉検出部100は、どの車両ドアのカーテシスイッチの信号かに応じて、車両ドアを区別して開閉を検出できるものとする。登録部101は、例えば電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであって、携帯機3を識別するための識別コード(以下、携帯機識別コード)のうち、正規のユーザの携帯機識別コードが登録されている。
 
【0032】
  第1送信処理部102は、LF送信アンテナから、携帯機3のスリープ状態を解除させるためのリクエスト信号(以下、WAKE信号)を送信させる。信号取得部103は、WAKE信号に応答してUHF帯の電波にて携帯機3から送信されてくる応答信号(以下、WAKE応答信号)を、UHF受信部122を介して取得する。
 
【0033】
  また、第1送信処理部102は、WAKE応答信号を信号取得部103で取得した場合に、LF送信部112を介してLF送信アンテナから、車両を識別するための識別コード(以下、車両識別コード)を含むリクエスト信号(以下、要求信号)を送信させる。車両識別コードは、車両に搭載された照合ECU10の機器IDであってもよいし、車両の車両IDであってもよい。
 
【0034】
  コード照合部104は、信号取得部103で取得した要求応答信号の送信元の携帯機3が正規のユーザの携帯機3であるかコード照合を行って、照合結果を許可部105に出力する。コード照合は、携帯機3から受信した要求応答信号に含まれる携帯機識別コードと、登録部101に登録されている携帯機識別コードとの間で行う。許可部105は、コード照合部104からコード照合が成立したことを示す照合結果を取得した場合に、各車両ドアの施解錠を許可する信号をボデーECU14に送る。
 
【0035】
  各車両ドアの解錠が許可された場合、ボデーECU14は、各車両ドアのアウタードアハンドルに設けられたタッチセンサへの通電を開始させ、ユーザによるドアハンドル操作を検出可能なスタンバイ状態となる。そして、ユーザがこのタッチセンサに触れたことをボデーECU14で検出した場合に、ボデーECU14が駆動信号をドアロックモータに出力し、各車両ドアの解錠を行う。また、本実施形態の例では、各車両ドアの施錠が許可された場合、ボデーECU14は、駆動信号をドアロックモータに出力し、各車両ドアの施錠を自動で行う。
 
【0036】
  第2送信処理部106は、検知用送信部152に指示を送り、検知用送信機15から検知用電波の送信を開始させる。例えば100msec周期等の所定周期で検知用電波を逐次送信させる構成とすればよい。この第2送信処理部106が請求項の送信指示部に相当する。
 
【0037】
  受信強度取得部107は、UHF受信部122で逐次検出する、UHF受信アンテナ121で受信した電波の受信強度を逐次取得する。受信強度取得部107は、第2送信処理部106で検知用電波を送信させている期間に限って受信強度を取得する構成としてもよい。また、受信強度取得部107は、逐次取得する受信強度を強度記憶部108に時系列に沿って記憶する。強度記憶部108としては、例えば揮発性メモリを用いる構成とすればよい。
 
【0038】
  角度検出部109は、後部座席右ドアの開口角度に応じた信号を、ボデーECU14を介して逐次取得し、この信号から後部座席右ドアの開口角度を逐次検出する。なお、角度検出部109は、ボデーECU14で角度センサ13の信号から逐次検出した後部座席右ドアの開口角度を逐次取得することで、後部座席右ドアの開口角度を逐次検出する構成としてもよい。
 
【0039】
  乗員検知部110は、UHF受信機12で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の乗員の検知を行う。本実施形態の例では、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いたことを検出していない間にUHF受信機12で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の後部座席中央寄りの乗員の検知を行う。また、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いたことを検出している間にUHF受信機12で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の後部座席右ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員の検知を行う。本実施形態では、一例として、角度検出部109で検出する後部座席右ドアの開口角度が、所定角度以内であって、且つ減少していっている状態における、受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データを強度記憶部108から読み出す。そして、読み出したこの時系列データをもとに車両の後部座席右ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員の検知を行う。
 
【0040】
  ここで言うところの所定角度は、座席ドア寄りの乗員を通過した検知電波が座席ドアによって反射されてUHF受信機12で受信される開口角度であればよく、任意に設定可能な角度である。例えば30度とすることが好ましい。以降では所定角度が30度である場合を例に挙げて説明を行う。なお、乗員検知部110は、後部座席右ドアの開口角度が所定角度以内であって、且つ減少していっている状態における受信強度取得部107で取得した受信強度を、例えば開口角度の検出時刻を示すタイムスタンプと受信強度の検出時刻を示すタイムスタンプとをもとに、特定する構成とすればよい。
 
【0041】
  乗員検知部110は、強度記憶部108から読み出した受信強度の時系列データにおいて、受信強度の変化量が閾値以下であった場合に、車両の後部座席右ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員を検知する。一方、この受信強度の変化量が閾値を超えた場合には、車両の後部座席右ドア寄り及び後部座席中央寄りの乗員を検知しない。ここで言うところの変化量とは、受信強度が時系列データにおいて最大値に達するまでの変化量とすればよい。また、ここで言うところの閾値とは、検知電波が人体を通過した場合の受信強度の変化量と通過しなかった場合の受信強度の変化量とを区別できる程度の値であればよく、任意に設定可能である。
 
【0042】
  ここで、
図4及び
図5を用いて、検知電波が人体を通過した場合の受信強度の変化量と通過しなかった場合の受信強度の変化量との一例を示す。
図4及び
図5の縦軸が受信強度を示しており、横軸が時間を示している。また、
図4のTが、後部座席右ドアが開いた時点を示している。
図4が、検知電波が人体を通過しなかった場合の受信強度の変化量を示しており、
図5が、検知電波が人体を通過した場合の受信強度の変化量を示している。
 
【0043】
  図4に示すように、検知電波が人体を通過しなかった場合には、受信強度の変化量は3.5dB程度となる。一方、検知電波が人体を通過した場合には、受信強度の変化量は1dB程度となる。このように、検知電波が人体を通過したか否かによって受信強度の変化量が異なるため、受信強度の変化量によって乗員を検知できる。
 
【0044】
  乗員検知部110での検知結果は許可部105に出力される。許可部105では、コード照合が成立した場合でも、車両の後部座席に存在する乗員が乗員検知部110で検知されている場合には、施錠を許可しない。
 
【0045】
  <照合ECU10での乗車時スマート関連処理>
  続いて、乗車時に照合ECU10において実行されるスマート機能に関連する処理(以下、乗車時スマート関連処理)について説明を行う。乗車時スマート関連処理は、例えばWAKE要求信号に対するWAKE応答信号を信号取得部103で取得したときに開始される構成とすればよい。
 
【0046】
  乗車時スマート関連処理では、まず、第1送信処理部102が、LF送信部112を介してLF送信アンテナ111から要求信号を送信させる。続いて、送信した要求信号に対して携帯機3から返信された要求応答信号を信号取得部103で取得した場合に、取得した要求応答信号に含まれる携帯機識別コードと、登録部101に登録されている携帯機識別コードとのコード照合を行う。そして、コード照合が成立した場合に、許可部105が、各車両ドアの解錠を許可する信号をボデーECU14に送り、車両ドアの解錠を許可する。車両ドアの解錠が許可された状態において、ユーザがアウタードアハンドルに設けられたタッチセンサに触れたことをボデーECU14で検出すると、ボデーECU14がドアロックモータを駆動させ、各車両ドアの解錠を行う。
 
【0047】
  <照合ECU10での乗員検知関連処理>
  続いて、照合ECU10において実行される乗員検知関連処理について、
図6のフローチャートを用いて説明を行う。
図6のフローチャートは、例えば車両のイグニッション電源がオフになったときに開始され、車両ドアが開くまで、例えば250msecごとなどの所定の周期で繰り返し実施される構成とすればよい。
 
【0048】
  まず、ステップS1では、第2送信処理部106が、検知用送信機15から検知用電波の送信を開始させる。ステップS2では、受信強度取得部107が、UHF受信アンテナ121で受信した電波の受信強度の取得を開始し、取得した受信強度を強度記憶部108に時系列に沿って記憶する。ステップS3では、開閉検出部100が、後部座席右ドアが開いてから閉じたことを検出した場合(S3でYES)には、ステップS4に移る。一方、後部座席右ドアが開いてから閉じたことを検出していない場合(S3でNO)には、ステップS8に移る。ステップS4では、検知用送信機15からの検知用電波の送信を終了させる。
 
【0049】
  ステップS5では、乗員検知部110が、角度検出部109で検出する後部座席右ドアの開口角度が、30度以内であって、且つ減少していっている状態における、受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データを強度記憶部108から読み出す。ステップS6では、乗員検知部110が、S4で読み出した時系列データにおける受信強度の変化量が閾値以下か否か判断する。そして、閾値以下であった場合(S6でYES)には、ステップS7に移る。一方、閾値を超えた場合(S6でNO)には、ステップS8に移る。
 
【0050】
  ステップS7では、乗員検知部110が、車両の後部座席に存在する乗員を検知し、乗員検知関連処理を終了する。一方、ステップS8では、乗員検知部110が、車両の後部座席の乗員を検知せずに乗員検知関連処理を終了する。
 
【0051】
  ステップS9では、開閉検出部100が、車両ドアが開いてから閉じたことを検出した場合(S9でYES)には、ステップS10に移る。一方、車両ドアが開いてから閉じたことを検出していない場合(S9でNO)には、S3に戻って処理を繰り返す。なお、ここで言うところの車両ドアを運転席ドアに限る構成としてもよい。ステップS10では、検知用送信機15からの検知用電波の送信を終了させる。
 
【0052】
  ステップS11では、乗員検知部110が、S1で検知用電波の送信を開始させてからS10で検知用電波の送信を終了させるまでに受信強度取得部107で取得した過去の受信強度の時系列データを強度記憶部108から読み出す。ステップS12では、乗員検知部110が、S11で読み出した時系列データにおける受信強度の変化量が閾値以下か否か判断する。そして、閾値以下であった場合(S12でYES)には、ステップS6に移る。一方、閾値を超えた場合(S12でNO)には、ステップS13に移る。ステップS13では、乗員検知部110が、車両の後部座席の乗員を検知せずに乗員検知関連処理を終了する。なお、S9〜S13の処理を省略し、S3でNOの場合にS3の処理を繰り返す構成としてもよい。
 
【0053】
  <照合ECU10での降車時スマート関連処理>
  続いて、降車時に照合ECU10において実行されるスマート機能に関連する処理(降車時スマート関連処理)について説明を行う。降車時スマート関連処理は、例えば車両のイグニッション電源がオフになったときに開始され、車両ドアが施錠されるまで、例えば250msecごとなどの所定の周期で繰り返し実施される。
 
【0054】
  降車時スマート関連処理では、まず、開閉検出部100で車両ドアが開いた後に車両ドアが閉じたことを検出した場合に、第1送信処理部102が、LF送信部112を介してLF送信アンテナ111から要求信号を送信させる。なお、ここで言うところの車両ドアを運転席ドアに限る構成としてもよい。
 
【0055】
  続いて、車室外に送信した要求信号に対して携帯機3から返信された要求応答信号を信号取得部103で取得した場合に、コード照合部104が、取得した要求応答信号に含まれる携帯機識別コードと、登録部101に登録されている携帯機識別コードとのコード照合を行う。そして、コード照合が成立した場合であって、乗員検知関連処理で後部座席に乗員が検知されていない場合に、許可部105が、各車両ドアの施錠を許可する。一方、コード照合が成立した場合であっても、乗員検知関連処理で後部座席に乗員が検知されている場合には、許可部105が、各車両ドアの施錠を許可しない。
 
【0056】
  <実施形態1のまとめ>
  実施形態1の構成によれば、検知用送信機15が車両の左側面側の後部座席よりも前方に設けられ、UHF受信機12が右側面側の後部座席よりも後方に設けられるので、後部座席の中央寄り(言い換えると車幅中心寄り)に乗員が位置する場合には、検知用送信機15から送信される検知用電波はこの乗員を通過してUHF受信機12で直接的に受信される。そして、乗員を通過する場合の検知用電波の誘電体損失に基づいて乗員の有無を検知するので、後部座席の中央寄りの乗員を検知することができる。
 
【0057】
  また、検知用送信機15からの検知用電波を、後部座席右ドアを含む範囲に向けて送信するので、後部座席の後部座席右ドア寄りに乗員が存在した場合には、この乗員を検知用電波が通過することになる。ここで、後部座席右ドアが開く場合、ドアの開き具合によって、この乗員を通過した検知用電波が後部座席右ドアに反射され、間接的にUHF受信機12に達することができる。言い換えると、後部座席右ドアを開けたときに新たにできる検知用電波の経路を利用することで、検知用電波が後部座席右ドア側に着座した乗員を通過してUHF受信機12で受信されるようになっている。これに対して、乗員検知部110は、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いたことを検出している間にUHF受信機12で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の乗員の検知を行う。よって、後部座席右ドア寄りに乗員が存在した場合であっても、乗員を通過する場合の検知用電波の誘電体損失に基づいて乗員の有無を検知することが可能になる。
 
【0058】
  また、間に人体を介して受信する電波に基づいて車室内に存在する乗員の有無を検出するため、人に反射された反射波そのものの強度に基づいて車室内に存在する乗員の有無を検出する場合よりも、低い周波数の電波を用いることが可能となり、回路規模を小さくすることが可能になる。その結果、回路規模を大きくすることなく、後部座席中央寄りに位置する乗員だけでなく、後部座席右ドア寄りの乗員の検知率も高めることが可能になる。
 
【0059】
  さらに、実施形態1の構成によれば、後部座席右ドアが開く場合には、後部座席右ドアの開口角度が30度以内であって、且つ減少していっている状態における受信強度の時系列データに絞って処理を行う。よって、後部座席右ドア寄りに乗員が位置する場合には、この乗員を通過した検知用電波の受信強度をより確実に対象とすることができ、後部座席右ドア寄りの乗員の検知精度を高めることが可能になる。
 
【0060】
  また、乗員検知関連処理及び降車時スマート関連処理で示したように、乗員検知関連処理での検知用電波の送信は、降車時スマート関連処理での要求信号の送信が行われるよりも前に終了する。つまり、UHF受信機12で検知用電波と要求信号とを同じタイミングで受信することがないようになっている。これにより、乗員検知関連処理と降車時スマート関連処理との両方で共通のUHF受信機12が利用可能となっており、降車時スマート関連処理で用いる受信機とは別に乗員検知関連処理で用いる受信機を設けるコストを抑えている。
 
【0061】
  (実施形態2)
  実施形態1では、後部座席右ドアが開く場合には、後部座席右ドアの開口角度が30度以内であって、且つ減少していっている状態における受信強度の時系列データに絞って処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、後部座席右ドアが開く場合であっても、検知用電波の送信の開始から終了までに受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データを対象として乗員検知部110が乗員の検知を行う構成(以下、実施形態2)としてもよい。
 
【0062】
  一例としては、後部座席右ドアが開いてから閉じるまでに受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データにおける受信強度の変化量が閾値以下か否かによって、乗員検知部110が乗員の検知を行う構成とすればよい。なお、実施形態2を採用する場合には、車両側ユニット1から角度センサ13を省略したり、照合ECU10から角度検出部109を省略したりする構成としてもよい。
 
【0063】
  (実施形態3)
  また、実施形態2以外にも、後部座席右ドアが開く場合に、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いてから閉じたことを検出した時点から所定時間遡った時点までの、受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データを対象として乗員検知部110が乗員の検知を行う構成(以下、実施形態3)としてもよい。
 
【0064】
  一例としては、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いてから閉じたことを検出した時点から所定時間遡った時点までの、受信強度取得部107で取得した受信強度の時系列データにおける受信強度の変化量が閾値以下か否かによって、乗員検知部110が乗員の検知を行う構成とすればよい。ここで言うところの所定時間は、後部座席右ドアが閉じる直前における、座席ドア寄りの乗員を通過した検知電波が座席ドアによって反射されてUHF受信機12で受信される開口角度の範囲内にあると推定されるだけ遡った時間であればよく、任意に設定可能な時間である。例えば0.25秒とすることが好ましい。
 
【0065】
  実施形態3を採用する場合には、乗員検知部110は、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いてから閉じたことを検出した時点から所定時間遡った時点までの、受信強度取得部107で取得した受信強度を、受信強度の検出時刻を示すタイムスタンプをもとに特定する構成とすればよい。なお、実施形態3を採用する場合にも、車両側ユニット1から角度センサ13を省略したり、照合ECU10から角度検出部109を省略したりする構成とすることが可能である。
 
【0066】
  実施形態3の構成によっても、後部座席右ドア寄りに乗員が位置する場合には、この乗員を通過した検知用電波の受信強度をより確実に対象とすることができ、後部座席右ドア寄りの乗員の検知精度を高めることが可能になる。
 
【0067】
  (実施形態4)
  前述の実施形態では、対象とする受信強度の時系列データにおける受信強度の変化量が閾値以下であった場合に、乗員検知部110が乗員の検知を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、対象とする受信強度の時系列データにおける受信強度の変化率が閾値以下であった場合に、乗員の検知を行う構成(以下、実施形態4)としてもよい。以下では、実施形態4の構成の一例について説明を行う。実施形態4の車両用システム4は、照合ECU10の代わりに照合ECU10aを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム4と同様である。
 
【0068】
  ここで、
図7を用いて照合ECU10aについての説明を行う。
図7に示すように、照合ECU10aは、開閉検出部100、登録部101、第1送信処理部102、信号取得部103、コード照合部104、許可部105、第2送信処理部106、受信強度取得部107、強度記憶部108、角度検出部109、乗員検知部110a、及び微分計算部200を備えている。照合ECU10aは、微分計算部200を備える点、及び乗員検知部110の代わりに乗員検知部110aを備える点を除けば、実施形態1の照合ECU10と同様である。この照合ECU10aも請求項の乗員検知装置に相当する。
 
【0069】
  乗員検知部110aは、実施形態1〜3で説明したのと同様にして、対象とする受信強度の時系列データを強度記憶部108から読み出す。続いて、乗員検知部110aは、読み出した受信強度の時系列データを微分計算部200に出力する。微分計算部200は、乗員検知部110aから取得した受信強度の時系列データに対して微分計算を行い、受信強度の変化率の時系列データを得る。そして、微分計算部200は、この受信強度の変化率の時系列データを乗員検知部110aに出力する。
 
【0070】
  微分計算部200から受信強度の変化率の時系列データを取得した乗員検知部110aは、この受信強度の変化率の時系列データにおいて、受信強度の変化率が閾値以下であった場合に、車両の後部座席右ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員を検知する。一方、この受信強度の変化率が閾値を超えた場合には、車両の後部座席右ドア寄り及び後部座席中央寄りの乗員を検知しない。ここで言うところの閾値とは、検知電波が人体を通過した場合の受信強度の変化率と通過しなかった場合の受信強度の変化率とを区別できる程度の値であればよく、任意に設定可能である。
 
【0071】
  検知用電波が人体を通過した場合、受信強度の変化率は、人体を通過しなかった場合に比べて小さくなる。受信強度の変化量が乗員の有無で差が生じにくい場合であっても、受信強度の変化率であれば、乗員の有無で差が生じやすい。よって、実施形態4の構成によれば、受信強度の変化量では乗員の有無を判別しにくい場合であっても、乗員の有無を精度良く検知することが可能になる。
 
【0072】
  なお、実施形態4の構成に実施形態2,3の構成を採用し、車両側ユニット1から角度センサ13を省略したり、照合ECU10aから角度検出部109を省略したりする構成としてもよい。
 
【0073】
  (実施形態5)
  前述の実施形態では、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いたことを検出する前から検知用電波を検知用送信機15から送信させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、開閉検出部100で後部座席右ドアが開いたことを検出してから閉じたことを検出するまで検知用電波を検知用送信機15から送信させる構成としてもよい。
 
【0074】
  (実施形態6)
  前述の実施形態では、車両の後部座席右ドア寄りの乗員を検知可能とするための構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車両の後部座席の左側の座席ドア(以下、後部座席左ドア)寄りの乗員を検知可能とするための構成(以下、実施形態5)としてもよい。実施形態5では、検知用送信機15とUHF受信機12との配置を車両の前後軸を中心として左右逆に入れ換える構成とすればよい。また、角度センサ13は、後部座席左ドアの開口角度に応じた信号をボデーECU14に出力するものとすればよい。
 
【0075】
  (実施形態7)
  また、車両の後部座席右ドア寄りの乗員と後部座席左ドア寄りの乗員とのいずれも検知可能とするための構成(以下、実施形態7)としてもよい。実施形態7では、検知用送信機15及びUHF受信機12に対して、検知用送信機15及びUHF受信機12と同様の送信機及び受信機を、車両の前後軸を中心として左右対称に配置する構成とすればよい。以下では、実施形態7の構成の一例について説明を行う。実施形態7の車両用システム4は、乗員検知ユニット2の代わりに乗員検知ユニット2bを含む点と、角度センサ13が、後部座席右ドアの開口角度に応じた信号に加え、後部座席左ドアの開口角度に応じた信号もボデーECU14に出力する点とを除けば、実施形態1の車両用システム4と同様である。
 
【0076】
  <実施形態7における車両側ユニット1の概略構成>
  まず、
図8を用いて、実施形態7における車両側ユニット1の概略的な構成について説明を行う。
図8に示すように実施形態7における車両側ユニット1は、照合ECU10b、LF送信機11、UHF受信機12、角度センサ13、ボデーECU14、検知用送信機15、検知用送信機16、及び検知用受信機17を備えている。また、車両側ユニット1のうちの照合ECU10b、UHF受信機12、検知用送信機15、検知用送信機16、及び検知用受信機17が乗員検知ユニット2bを構成する。この乗員検知ユニット2bも請求項の乗員検知システムに相当する。
 
【0077】
  検知用送信機16は、検知用送信アンテナ161及び検知用送信部162を備えている。検知用送信部162は、検知用送信アンテナ161を介し、MHz帯の検知用電波を送信する。この検知用送信機16も請求項の送信機に相当する。検知用送信機15から送信する電波は、MHz帯の電波のうち、UHF帯に該当する300MHz以上且つ1GHz未満の周波数帯の電波としてもよいし、この範囲外のMHz帯の電波としてもよい。
 
【0078】
  検知用受信機17は、検知用受信アンテナ171及び検知用受信部172を備えている。検知用受信アンテナ171は、MHz帯の電波にて送信されてくる信号を受信する。検知用受信部172は、検知用送信機16から送信されるMHz帯の電波を、検知用受信アンテナ171を介して受信可能に構成されている。検知用受信部172は、検知用受信アンテナ171で受信した電波の受信強度を検出し、検出結果を照合ECU10bへ出力する。検知用受信部172は、UHF受信部122と同様に、周知のRSSI回路を有することで、受信強度を検出する構成とすればよい。この検知用受信機17も請求項の受信機に相当する。
 
【0079】
  <検知用送信機15,16、UHF受信機12、及び検知用受信機17の配置>
  ここで、
図9を用いて、検知用送信機15,16、UHF受信機12、及び検知用受信機17の配置についての説明を行う。本実施形態では、車両の後部座席に存在する乗員の検知を行うための構成を例に挙げて説明を行う。
図9のAが車両を示しており、Bが後部座席を示しており、Cが後部座席右ドアを示しており、Dが乗員を示しており、Eが後部座席左ドアを示している。なお、
図9に示すように、検知用送信機15とUHF受信機12との配置は、実施形態1で説明したのと同様である。
 
【0080】
  図9に示すように、検知用送信機16は、車両Aの車室内に、車両Aの右側面側の後部座席Bよりも前方に設けられる。言い換えると、車両Aの車室内における、右側面側のBピラーの近辺に設けられる。例えば、検知用送信機16は、右側面側の後部座席Bと運転席との間の床面に設けられる構成とすればよい。なお、少なくとも検知用送信機16の検知用送信アンテナ161がこのような配置となるように設けられる構成であればよい。検知用送信機16は、後部座席右ドアCに対する検知用送信機15の検知用電波の送信と同様にして、後部座席左ドアEを含む範囲に向けて検知用電波を送信するように設けられている。この後部座席右ドアと後部座席左ドアとのうちの一方が請求項の第1座席ドアに相当し、もう一方が請求項の第2座席ドアに相当する。また、車両の右側面側と左側面側とのうちの一方が請求項の第1側面側に相当し、もう一方が請求項の第2側面側に相当する。
 
【0081】
  また、
図9に示すように、検知用受信機17は、車両Aの車室内に、車両Aの左側面側の後部座席Bよりも後方に設けられる。言い換えると、車両Aの車室内における、左側面側のCピラーの近辺に設けられる。例えば、検知用受信機17は、左側面側のCピラーに設けられる構成とすればよい。なお、少なくとも検知用受信機17の検知用受信アンテナ171がこのような配置となるように設けられる構成であればよい。また、角度センサ13は、後部座席右ドアと後部座席左ドアとに設けられ、後部座席右ドアと後部座席左ドアとの開口角度に応じた信号をボデーECU14に出力するものとする。
 
【0082】
  <照合ECU10bの概略構成>
  続いて、
図10を用いて、照合ECU10bの概略構成について説明を行う。
図10に示すように、照合ECU10bは、開閉検出部100、登録部101、第1送信処理部102、信号取得部103、コード照合部104、許可部105b、第2送信処理部106b、受信強度取得部107b、強度記憶部108b、角度検出部109b、及び乗員検知部110bを備えている。照合ECU10bは、許可部105、第2送信処理部106、受信強度取得部107、強度記憶部108、角度検出部109、及び乗員検知部110の代わりに許可部105b、第2送信処理部106b、受信強度取得部107b、強度記憶部108b、角度検出部109b、及び乗員検知部110bを備えている点を除けば、実施形態1の照合ECU10と同様である。この照合ECU10bも請求項の乗員検知装置に相当する。
 
【0083】
  第2送信処理部106bは、検知用送信部152及び検知用送信部162に指示を送り、検知用送信機15及び検知用送信機16から検知用電波の送信を開始させる。例えば100msec周期等の所定周期で検知用電波を逐次送信させる構成とすればよい。この第2送信処理部106bも請求項の送信指示部に相当する。検知用送信機15及び検知用送信機16からの検知用電波の送信タイミングは同じとする構成としてもよいし、ずらす構成としてもよい。第2送信処理部106bでの検知用電波の送信開始のタイミングは、第2送信処理部106と同様のタイミングとすればよい。
 
【0084】
  受信強度取得部107bは、検知用受信アンテナ171で受信した電波の受信強度を逐次取得する点を除けば、実施形態1の受信強度取得部107と同様である。受信強度取得部107bは、UHF受信アンテナ121で逐次受信した電波の受信強度と検知用受信アンテナ171で逐次受信した電波の受信強度とをそれぞれ区別して強度記憶部108bに時系列に沿って記憶する。強度記憶部108bは、検知用受信アンテナ171で受信した電波の受信強度の時系列データが記憶される点を除けば、実施形態1の強度記憶部108と同様である。角度検出部109は、後部座席右ドアの開口角度及び後部座席左ドアの開口角度を逐次検出する。
 
【0085】
  乗員検知部110bは、検知用受信機17で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の乗員の検知を行う点を除けば、実施形態1の乗員検知部110と同様である。乗員検知部110bは、UHF受信機12で受信した検知用電波の受信強度をもとに車両の後部座席右ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員の検知を行うのと同様にして、検知用受信機17で受信した検知用電波の受信強度をもとに、車両の後部座席左ドア寄り及び/又は後部座席中央寄りに存在する乗員の検知を行う。そして、乗員検知部110bでの検知結果は許可部105bに出力される。許可部105bでは、コード照合が成立した場合でも、車両の後部座席に存在する乗員が乗員検知部110bで検知されている場合には、施錠を許可しない。
 
【0086】
  実施形態7の構成によれば、車両の後部座席右ドア寄りの乗員と後部座席左ドア寄りの乗員とのいずれの検知率も高めることが可能になる。なお、スマート機能で用いられる受信機が車両において左右対称に1対配置される構成である場合には、検知用受信機17についても、スマート機能で用いられる受信機を利用する構成としてもよい。
 
【0087】
  (実施形態8)
  前述の実施形態では、車両の後部座席の乗員を検知可能とするための構成を示したが、必ずしもこれに限らない。検知用送信機15とUHF受信機12とで斜め前後に挟む座席を後部座席以外の座席とすることで、運転席若しくは助手席の乗員を検知可能としてもよいし、3列シートの車両における2列目若しくは3列目の乗員を検知可能としてもよい。
 
【0088】
  (実施形態9)
  前述の実施形態では、検知用電波を受信するUHF受信機12として、スマート機能で用いられる受信機を利用する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、検知用電波を受信するUHF受信機12として、スマート機能で用いられる受信機を利用せず、スマート機能で用いられる受信機とは別個に設ける構成としてもよい。
 
【0089】
  (実施形態10)
  前述の実施形態では、検知用電波として300MHz以上且つ1GHz未満のMHz帯の電波を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。検知用電波を受信するUHF受信機12として、スマート機能で用いられる受信機を利用しない構成とする場合には、300MHz以上且つ1GHz未満の範囲外のMHz帯の電波を用いる構成としてもよい。また、1GHzの電波を用いる等、GHz帯の電波を用いる構成としてもよい。
 
【0090】
  なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。