特許第6512210号(P6512210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512210
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20190425BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20190425BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20190425BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R12/73
   H01R12/71
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-247625(P2016-247625)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-101559(P2018-101559A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2017年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】平川 猛
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−050702(JP,A)
【文献】 特開2000−268904(JP,A)
【文献】 特開2015−082446(JP,A)
【文献】 特開2016−006783(JP,A)
【文献】 特開2010−225401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 −12/90
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁ハウジングと、前記第1の絶縁ハウジングに取り付けられた複数の第1の導電端子及び少なくとも一つの第1の規制部材とを有する第1のコネクタと、
第2の絶縁ハウジングと、前記第2の絶縁ハウジングに取り付けられた複数の第2の導電端子及び少なくとも一つの第2の規制部材とを有する第2のコネクタとを備え、
前記第1の絶縁ハウジングには底面に対して直立した嵌合凸部が設けられ、前記第2の絶縁ハウジングには前記嵌合凸部を収容可能な収容凹部が設けられており、
前記第1及び第2の規制部材はそれぞれ突出部を含み、
前記嵌合凸部が前記収容凹部内に収容された嵌合状態で見て、前記第1の規制部材の突出部は前記第2の規制部材に向けて突出していると共に、前記第2の規制部材の突出部は前記第1の規制部材に向けて突出しており、
前記第1及び第2の規制部材の一方の突出部は、
当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、前記第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる離間方向に作用する第1の弾性力を当該他方の突出部に付与すると共に、
当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、前記第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる近接方向に作用する第2の弾性力を当該他方の突出部に付与し、前記第1の導電端子と前記第2の導電端子とを電気的に接続させ
前記第1の導電端子は、前記嵌合状態で見て、対応する前記第2の導電端子に向けて突出する突出部を含み、
前記第2の導電端子は、前記嵌合状態で見て、対応する前記第1の導電端子に向けて突出する突出部を含み、
前記第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、
当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、前記第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる方向に作用する第3の弾性力を当該他方の突出部に付与すると共に、
当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、前記第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる方向に作用する第4の弾性力を当該他方の突出部に付与し、
前記第1及び第2の導電端子の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後で且つ前記第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、前記第4の弾性力は前記第1の弾性力よりも小さい、コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、頂点から前記離間方向及び前記近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈する、請求項に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁ハウジングは、前記第1のコネクタが第1の配線基板に実装された状態で前記第1の配線基板に対して伏せられる第1の実装面と、前記第1の実装面と対向し且つ前記底面に対して直立した前記嵌合凸部の先端側に位置する第1の対向面とを含み、
前記第2の絶縁ハウジングは、前記第2のコネクタが第2の配線基板に実装された状態で前記第2の配線基板に対して伏せられる第2の実装面と、前記第2の実装面と対向し且つ前記収容凹部の開口側に位置する第2の対向面とを含み、
前記第1及び第2の規制部材の突出部は共に、頂点から前記離間方向及び前記近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈し、
前記第1及び第2の導電端子の突出部は共に、頂点から前記離間方向及び前記近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈し、
(A)前記第1の導電端子の突出部の頂点は、前記離間方向及び前記近接方向において前記第1の規制部材の突出部の頂点よりも前記第1の対向面側に位置すると共に、前記第2の規制部材の突出部の頂点は、前記離間方向及び前記近接方向において前記第2の導電端子の突出部の頂点よりも前記第2の対向面側に位置するか、又は、(B)前記第1の規制部材の突出部の頂点は、前記離間方向及び前記近接方向において前記第1の導電端子の突出部の頂点よりも前記第1の対向面側に位置すると共に、前記第2の導電端子の突出部の頂点は、前記離間方向及び前記近接方向において前記第2の規制部材の突出部の頂点よりも前記第2の対向面側に位置する、請求項に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第1の規制部材は、前記第1の配線基板に対して取り付けられる取付部を含み、
前記第2の規制部材は、前記第2の配線基板に対して取り付けられる取付部を含む、請求項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記嵌合凸部が前記収容凹部内に収容されておらず且つ外力が付与されていない状態では、前記第1及び第2の規制部材同士が当接しているが前記第1及び第2の導電端子同士が当接していない、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記嵌合凸部と前記収容凹部とは共に、前記嵌合状態で見て互いに対向する壁部を有し、
前記第1の規制部材及び前記第1の導電端子は前記収容凹部の壁部に配置され、
前記第2の規制部材及び前記第2の導電端子は前記嵌合凸部の壁部に配置され、
前記第1の規制部材及び前記第1の導電端子の各突出部は、前記嵌合状態で見て前記嵌合凸部の壁部から外方に向けて突出しており、
前記第2の規制部材及び前記第2の導電端子の各突出部は、前記嵌合状態で見て前記収容凹部の壁部から内方に向けて突出している、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第1のコネクタは一対の前記第1の規制部材を有し、
前記第2のコネクタは一対の前記第2の規制部材を有し、
一対の前記第1の規制部材は、複数の前記第1の導電端子が並ぶ方向において複数の前記第1の導電端子を間に置くように位置しており、
一対の前記第2の規制部材は、複数の前記第2の導電端子が並ぶ方向において複数の前記第2の導電端子を間に置くように位置している、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)等を含む配線基板同士を接続する、いわゆる基板対基板(ボード・トゥ・ボード:Board to Board)接続のコネクタ装置を開示している。当該コネクタ装置は、第1の配線基板に実装されるプラグコネクタと、第2の配線基板に実装されるリセプタクルコネクタとを備える。
【0003】
プラグコネクタは、第1の配線基板上に載置される第1ハウジングと、所定方向に並ぶように第1ハウジングに対して取り付けられた複数の第1コンタクト(導電端子)と、嵌合完了を検知するための検知スイッチの一部を構成すると共に第1ハウジングに取り付けられた第1半田ペグとを有する。リセプタクルコネクタは、第2の配線基板上に載置される第2ハウジングと、所定方向に並ぶように第2ハウジングに対して取り付けられた複数の第2コンタクトと、検知スイッチの一部を構成すると共に第2ハウジングに取り付けられた第2半田ペグとを有する。
【0004】
プラグコネクタをリセプタクルコネクタに対して挿入すると、第1コンタクトと、これに対応する第2コンタクトとが所定の圧力で接触する。これにより、第1の配線基板と第2の配線基板とが電気的に接続される。その後、プラグコネクタをリセプタクルコネクタに対してさらに挿入すると、第1半田ペグと第2半田ペグとが接触する。これにより、検知スイッチが閉回路を構成し、嵌合完了が検知される。すなわち、嵌合完了後における第1及び第2コンタクトの接触点の第1の配線基板からの高さは、第1及び第2半田ペグの接触点の第1の配線基板からの高さよりも高く設定されている。そのため、特許文献1のコネクタ装置においては、嵌合する際に、第1及び第2コンタクト同士が、第1及び第2半田ペグ同士よりも先に接触する。従って、検知スイッチが閉回路をなしているか否かにより、第1及び第2コンタクト同士が導通しているか否かが検知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−243332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えばプラグコネクタとリセプタクルコネクタとが斜めに嵌合するなど、両コネクタが完全に嵌合していない状態(以下、「半嵌合状態」という。)であっても、検知スイッチが閉回路状態となることがある。この場合、コネクタ装置は導通検査をパスして市場へと流通するが、コネクタ装置が半嵌合状態だと、外部からの振動、衝撃等によってプラグコネクタとリセプタクルコネクタとの嵌合が外れてしまうことがあり得る。
【0007】
そこで、本開示は、コネクタ同士の半嵌合状態を防止することが可能なコネクタ装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本開示の一つの観点に係るコネクタ装置は、第1の絶縁ハウジングと、第1の絶縁ハウジングに取り付けられた複数の第1の導電端子及び少なくとも一つの第1の規制部材とを有する第1のコネクタと、第2の絶縁ハウジングと、第2の絶縁ハウジングに取り付けられた複数の第2の導電端子及び少なくとも一つの第2の規制部材とを有する第2のコネクタとを備える。第1の絶縁ハウジングには底面に対して直立した嵌合凸部が設けられ、第2の絶縁ハウジングには嵌合凸部を収容可能な収容凹部が設けられている。第1及び第2の規制部材はそれぞれ突出部を含む。嵌合凸部が収容凹部内に収容された嵌合状態で見て、第1の規制部材の突出部は第2の規制部材に向けて突出していると共に、第2の規制部材の突出部は第1の規制部材に向けて突出している。第1及び第2の規制部材の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる離間方向に作用する第1の弾性力を当該他方の突出部に付与すると共に、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる近接方向に作用する第2の弾性力を当該他方の突出部に付与し、第1の導電端子と第2の導電端子とを電気的に接続させる。
【0009】
本開示の一つの観点に係るコネクタ装置では、第1及び第2の規制部材の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる方向に作用する第1の弾性力(反発力)を当該他方の突出部に付与する。そのため、第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えるまでは、第1の弾性力が第1及び第2の規制部材の突出部同士の間に作用して第1及び第2の絶縁ハウジング同士を互いに分離させ、第1のコネクタと第2のコネクタとが嵌合していない非嵌合状態とする。一方、本開示の一つの観点に係るコネクタ装置では、第1及び第2の規制部材の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる方向に作用する第2の弾性力(引込力)を当該他方の突出部に付与する。そのため、第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後は、第2の弾性力が第1及び第2の規制部材の突出部同士の間に作用して第1及び第2の絶縁ハウジング同士を互いに近づかせ、第1の導電端子と第2の導電端子との電気的接続が完了した嵌合状態とする。以上のように、第1及び第2の導電端子の間において生ずる第1及び第2の弾性力により、両コネクタは強制的に非嵌合状態及び嵌合状態のどちらか一方の状態とされる。従って、コネクタ同士の半嵌合状態を防止することが可能となる。
【0010】
[2]上記第1項に記載のコネクタ装置において、第1及び第2の規制部材の一方の突出部は、頂点から離間方向及び近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈していてもよい。この場合、極めて簡易な形状により、第1及び第2の規制部材の一方の突出部が第1及び第2の弾性力を他方の突出部に作用させることが可能となる。
【0011】
[3]上記第1項に記載のコネクタ装置において、第1の導電端子は、嵌合状態で見て、対応する第2の導電端子に向けて突出する突出部を含み、第2の導電端子は、嵌合状態で見て、対応する第1の導電端子に向けて突出する突出部を含み、第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる方向に作用する第3の弾性力を当該他方の突出部に付与すると共に、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる方向に作用する第4の弾性力を当該他方の突出部に付与してもよい。上記のコネクタ装置では、第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに離間させる方向に作用する第3の弾性力(反発力)を当該他方の突出部に付与しているので、第1及び第2の導電端子の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えるまでは、第3の弾性力が第1及び第2の導電端子の突出部同士の間に作用して第1及び第2の絶縁ハウジング同士を互いに分離させ、第1のコネクタと第2のコネクタとが嵌合していない非嵌合状態とする。一方、上記のコネクタ装置では、第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、当該一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後の状態において、第1及び第2の絶縁ハウジングを互いに近接させる方向に作用する第4の弾性力(引込力)を当該他方の突出部に付与している。そのため、第1及び第2の導電端子の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後は、第4の弾性力が第1及び第2の導電端子の突出部同士の間に作用して第1及び第2の絶縁ハウジング同士を互いに近づかせ、第1の導電端子と第2の導電端子との電気的接続が完了した嵌合状態とする。以上のように、第1及び第2の規制部材の間において生ずる第3及び第4の弾性力により、両コネクタは強制的に非嵌合状態及び嵌合状態のどちらか一方の状態とされる。従って、コネクタ同士の半嵌合状態をいっそう防止することが可能となる。
【0012】
[4]上記第3項に記載のコネクタ装置において、第1及び第2の導電端子の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えた後で且つ第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越える前の状態において、第4の弾性力は第1の弾性力よりも小さくてもよい。この場合、第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えるよりも先に、第1及び第2の導電端子の一方の突出部が他方の突出部を乗り越え、第1及び第2の導電端子の各突出部間において第4の弾性力が生ずる。ただし、第4の弾性力は第1の弾性力よりも小さいので、第1及び第2の規制部材の一方の突出部が他方の突出部を乗り越えるまでは、第1の弾性力によって第1及び第2の絶縁ハウジング同士を互いに分離させ、第1のコネクタと第2のコネクタとが嵌合していない非嵌合状態とする。換言すれば、第1及び第2の導電端子の各突出部同士の係合のみならず第1及び第2の規制部材の各突出部同士の係合が加わることにより初めて、嵌合状態が作出される。その結果、非嵌合状態と嵌合状態との間の半嵌合状態が極めて生じ難くなる。
【0013】
[5]上記第3項又は第4項に記載のコネクタ装置において、第1及び第2の導電端子の一方の突出部は、頂点から離間方向及び近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈してもよい。この場合、極めて簡易な形状により、第1及び第2の導電端子の一方の突出部が第3及び第4の弾性力を他方の突出部に作用させることが可能となる。
【0014】
[6]上記第4項に記載のコネクタ装置において、第1の絶縁ハウジングは、第1のコネクタが第1の配線基板に実装された状態で第1の配線基板に対して伏せられる第1の実装面と、第1の実装面と対向し且つ底面に対して直立した嵌合凸部の先端側に位置する第1の対向面とを含み、第2の絶縁ハウジングは、第2のコネクタが第2の配線基板に実装された状態で第2の配線基板に対して伏せられる第2の実装面と、第2の実装面と対向し且つ前記収容凹部の開口側に位置する第2の対向面とを含み、第1及び第2の規制部材の突出部は共に、頂点から離間方向及び近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈し、第1及び第2の導電端子の突出部は共に、頂点から離間方向及び近接方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈し、(A)第1の導電端子の突出部の頂点は、離間方向及び近接方向において第1の規制部材の突出部の頂点よりも第1の対向面側に位置すると共に、第2の規制部材の突出部の頂点は、離間方向及び近接方向において第2の導電端子の突出部の頂点よりも第2の対向面側に位置するか、又は、(B)第1の規制部材の突出部の頂点は、離間方向及び近接方向において第1の導電端子の突出部の頂点よりも第1の対向面側に位置すると共に、第2の導電端子の突出部の頂点は、離間方向及び近接方向において第2の規制部材の突出部の頂点よりも第2の対向面側に位置していてもよい。この場合、第1及び第2の導電端子の各突出部の頂点と、第1及び第2の規制部材の各突出部の頂点とが、上記(A)又は(B)の位置関係にあるので、第1〜第4の弾性力を効果的に生じさせることが可能となる。
【0015】
[7]上記第6項に記載のコネクタ装置において、第1の規制部材は、第1の配線基板に対して取り付けられる取付部を含み、第2の規制部材は、第2の配線基板に対して取り付けられる取付部を含んでもよい。この場合、各コネクタをそれぞれ対応する配線基板に取り付ける取付部としての機能を各規制部材が併有する。そのため、新たな部材が不要となるので、構成の簡略化及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0016】
[8]上記第1項〜第7項のいずれか一項に記載のコネクタ装置において、嵌合凸部が収容凹部内に収容されておらず且つ外力が付与されていない状態では、第1及び第2の規制部材同士が当接しているが第1及び第2の導電端子同士が当接していなくてもよい。この場合、第1及び第2の導電端子同士の間に電気が流れないので、非嵌合状態にあるコネクタ装置を導通検査の実施によって簡易に選別することが可能となる。
【0017】
[9]上記第1項〜第8項のいずれか一項に記載のコネクタ装置において、嵌合凸部と収容凹部とは共に、嵌合状態で見て互いに対向する壁部を有し、第1の規制部材及び第1の導電端子は収容凹部の壁部に配置され、第2の規制部材及び第2の導電端子は嵌合凸部の壁部に配置され、第1の規制部材及び第1の導電端子の各突出部は、前記嵌合状態で見て嵌合凸部の壁部から外方に向けて突出しており、第2の規制部材及び第2の導電端子の各突出部は、前記嵌合状態で見て収容凹部の壁部から内方に向けて突出していてもよい。この場合、規制部材同士及び導電端子同士が嵌合凸部及び収容凹部の各壁部の対向方向において接触する。そのため、コネクタ同士の嵌合方向において、規制部材同士及び導電端子同士が接触するスペースが削減される。従って、コネクタ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0018】
[10]上記第1項〜第9項のいずれか一項に記載のコネクタ装置において、第1のコネクタは一対の第1の規制部材を有し、第2のコネクタは一対の第2の規制部材を有し、一対の第1の規制部材は、複数の第1の導電端子が並ぶ方向において複数の第1の導電端子を間に置くように位置しており、一対の第2の規制部材は、複数の第2の導電端子が並ぶ方向において複数の第2の導電端子を間に置くように位置していてもよい。この場合、複数の第1の導電端子の両側に位置する一対の第1の規制部材と、複数の第2の導電端子の両側に位置する一対の第2の規制部材とが係合するので、コネクタ装置の両端側において第1及び第2のコネクタの嵌合状態が保持される。そのため、第1及び第2のコネクタがいったん嵌合すると、コネクタ同士が外れ難くなる。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係るコネクタ装置によれば、コネクタ同士の半嵌合状態を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、コネクタ装置の一例(第1の例)を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線断面図である。
図3図3は、図2のIII−III線断面図である。
図4図4は、図1のコネクタ装置を構成するリセプタクルコネクタを示す斜視図である。
図5図5は、図4のV−V線断面図である。
図6図6は、図5のVI−VI線断面図である。
図7図7は、図1のコネクタ装置を構成するプラグコネクタを示す斜視図である。
図8図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。
図9図9は、図8のIX−IX線断面図である。
図10図10の(a)は、第1の例に係る両コネクタの端子同士が嵌合する過程における載置状態を説明するための断面図であり、図10の(b)は、第1の例に係る両コネクタの規制部材同士が嵌合する過程における載置状態を説明するための図である。
図11図11の(a)は、第1の例に係る両コネクタの端子同士が嵌合する過程における第1の加圧状態を説明するための断面図であり、図11の(b)は、第1の例に係る両コネクタの規制部材同士が嵌合する過程における第1の加圧状態を説明するための図である。
図12図12の(a)は、第1の例に係る両コネクタの端子同士が嵌合する過程における第2の加圧状態を説明するための断面図であり、図12の(b)は、第1の例に係る両コネクタの規制部材同士が嵌合する過程における第2の加圧状態を説明するための図である。
図13図13の(a)は、第1の例に係る両コネクタの端子同士が嵌合する過程における第3の加圧状態を説明するための断面図であり、図13の(b)は、第1の例に係る両コネクタの規制部材同士が嵌合する過程における第3の加圧状態を説明するための図である。
図14図14の(a)は、第1の例に係る両コネクタの端子同士が嵌合する過程における嵌合状態を説明するための断面図であり、図14の(b)は、第1の例に係る両コネクタの規制部材同士が嵌合する過程における嵌合状態を説明するための図である。
図15図15は、リセプタクルコネクタの他の例(第2の例)を示す斜視図である。
図16図16は、図15のXVI−XVI線断面図である。
図17図17の(a)は、第2の例に係る両コネクタの中央近傍の端子同士が嵌合する過程における載置状態を説明するための断面図であり、図17の(b)は、第2の例に係る両コネクタの端部近傍の端子同士が嵌合する過程における載置状態を説明するための図である。
図18図18の(a)は、第2の例に係る両コネクタの中央近傍の端子同士が嵌合する過程における第1の加圧状態を説明するための断面図であり、図18の(b)は、第2の例に係る両コネクタの端部近傍の端子同士が嵌合する過程における第1の加圧状態を説明するための図である。
図19図19の(a)は、第2の例に係る両コネクタの中央近傍の端子同士が嵌合する過程における第2の加圧状態を説明するための断面図であり、図19の(b)は、第2の例に係る両コネクタの端部近傍の端子同士が嵌合する過程における第2の加圧状態を説明するための図である。
図20図20の(a)は、第2の例に係る両コネクタの中央近傍の端子同士が嵌合する過程における第3の加圧状態を説明するための断面図であり、図20の(b)は、第2の例に係る両コネクタの端部近傍の端子同士が嵌合する過程における第3の加圧状態を説明するための図である。
図21図21の(a)は、第2の例に係る両コネクタの中央近傍の端子同士が嵌合する過程における嵌合状態を説明するための断面図であり、図21の(b)は、第2の例に係る両コネクタの端部近傍の端子同士が嵌合する過程における嵌合状態を説明するための図である。
図22図22は、リセプタクルコネクタの他の例(第3の例)を示す斜視図である。
図23図23の(a)は図22のXXIIIA−XXIIIA線断面図であり、図23の(b)は図22のXXIIIB−XXIIIB線断面図であり、図23の(c)は図22のXXIIIC−XXIIIC線断面図である。
図24図24は、コネクタ装置の他の例(第4の例)において、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合する様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
[コネクタ装置の概要]
まず、コネクタ装置1の概要を説明する。コネクタ装置1は、図1図3に示されるように、リセプタクルコネクタ100(第2のコネクタ)と、プラグコネクタ200(第1のコネクタ)とを備える。リセプタクルコネクタ100は配線基板B1(第2の配線基板)に実装されている。プラグコネクタ200は、配線基板B1(第1の配線基板)とは異なる配線基板B2に実装されている。なお、図1図3以外の図では配線基板B1,B2の図示を省略している。
【0023】
リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とは互いに嵌合可能に構成されている。プラグコネクタ200がリセプタクルコネクタ100に嵌合することにより、配線基板B1,B2が互いに電気的に接続される。すなわち、コネクタ装置1は、配線基板B1,B2を電気的且つ物理的に接続する機能を有する。配線基板B1,B2としては、各種のプリント基板(例えばフレキシブルプリント基板等)を用いてもよい。
【0024】
[リセプタクルコネクタの構成]
続いて、リセプタクルコネクタ100の構成について、図4図6を参照して説明する。リセプタクルコネクタ100は、ハウジング110(第2の絶縁ハウジング)と、複数の導電端子120(第2の導電端子)と、一対の規制部材130(第2の規制部材)とを有する。
【0025】
ハウジング110は、樹脂等の絶縁材料で構成されている。ハウジング110は、所定方向に延びる直方体形状を呈している。ハウジング110は、実装面S1(第2の実装面)と、対向面S2(第2の対向面)とを含む(図5及び図6参照)。実装面S1は、リセプタクルコネクタ100が配線基板B1に半田接続等で実装された状態で、配線基板B1に対向し且つ配線基板B1に対して伏せられる。対向面S2は、実装面S1と対向し且つ後述する収容凹部Vの開口側に位置している。リセプタクルコネクタ100の説明に際し、以下では、実装面S1と対向面S2との対向方向を「Z方向」と称する。また、リセプタクルコネクタ100の説明に際し、以下では、実装面S1を基準にして配線基板B1側を「下」といい、実装面S1を基準にして対向面S2側を「上」ということがある。
【0026】
ハウジング110は、底壁部111と、側壁部112〜115と、中央壁部116とを含む。底壁部111は、矩形状を呈する板状体である。底壁部111の底面は実装面S1を構成している。
【0027】
側壁部112〜115はそれぞれ、底壁部111に対して直立した状態で底壁部111上に設けられている。側壁部112,113(壁部)はそれぞれ、底壁部111の各長辺上に位置し、当該長辺に沿って延びている。側壁部114,115はそれぞれ、底壁部111の各短辺上に位置し、当該短辺に沿って延びている。そのため、側壁部112,113同士は互いに対向しており、側壁部114,115同士は互いに対向している。リセプタクルコネクタ100の説明に際し、以下では、側壁部112,113の対向方向を「X方向」と称し、側壁部114,115の対向方向を「Y方向」と称する。
【0028】
中央壁部116は、底壁部111に対して直立した状態で底壁部111上に設けられている。中央壁部116は、側壁部112〜115から離間した状態で、側壁部112〜115で囲まれる空間内に位置している。中央壁部116は、底壁部111の長辺に沿って延びている。そのため、中央壁部116は、側壁部112,113と対向している。底壁部111と、側壁部112〜115と、中央壁部116とで囲まれる空間によって、収容凹部Vが形成されている。従って、収容凹部Vは、四角環状を呈している。
【0029】
複数の導電端子120(本実施形態では20個の導電端子120)は、側壁部112に取り付けられている。そのため、側壁部112には複数の導電端子120がその延在方向(Y方向)に一列に並んでいる。側壁部113にも同様に複数の導電端子120(本実施形態では20個の導電端子120)が取り付けられている。これらの導電端子120の構成は同じであるので、以下では、側壁部112における導電端子120について説明し、側壁部113における導電端子120の説明は省略する。
【0030】
導電端子120は、板状の導電材料(例えば金属部材)によって構成されている。導電端子120は、図6に示されるように、基端部121(取付部)と、中間部122と、接触部123とを含む。基端部121は、底壁部111の近傍に位置しており、側壁部112から外方に向けてX方向に延びている。基端部121は、リセプタクルコネクタ100が配線基板B1に実装される際に、配線基板B1の電極(図示せず)とハンダ等によって接続される。そのため、基端部121は、配線基板B1に取り付けられる取付部として機能する。
【0031】
中間部122は、実装面S1の近傍から上方に向けて、側壁部112に沿ってZ方向に延びている。中間部122は、側壁部112に形成された溝に対し圧入によって固定される部分である。中間部122の下端部は、基端部121のうち側壁部112寄りの端部と一体的に接続されている。
【0032】
接触部123は、中間部122に対して片持ち状に支持されている。接触部123は、収容凹部V内に位置している。接触部123は、突出部123aと、湾曲部123bと、突出部123cとを含む。
【0033】
突出部123aは、中間部122の上端部と一体的に接続されている。突出部123aは、山型形状を呈しており、側壁部112側から側壁部113側(中央壁部116側)に向けてX方向に突出している。具体的には、突出部123aは、山型の頂点P1からZ方向(上下方向)に離れるにつれてX方向における突出量が小さくなっており、頂点P1から両裾野に向けて拡がる形状を呈している。
【0034】
すなわち、突出部123aのうち頂点P1から上方の部分(頂点P1と中間部122との間の部分)は、頂点P1から見て、上方(対向面S2)に向かうにつれて側壁部112に近づくように傾斜している。一方、突出部123aのうち頂点P1から下方の部分(頂点P1と湾曲部123bとの間の部分)は、頂点P1からみて、下方(実装面S1)に向かうにつれて側壁部112に近づくように傾斜している。
【0035】
湾曲部123bは、対向面S2の近傍から下方に向けて延びて実装面S1の近傍で上方に向けて折り返すように形成された略U字形状を呈している。突出部123cは、突出部123aと同様に山型形状を呈しており、側壁部113側から側壁部112側に向けて突出している。
【0036】
一対の規制部材130の一方は、図4及び図5に示されるように、側壁部114に取り付けられている。側壁部115にも同様に一対の規制部材130の他方が取り付けられている。すなわち、これらの一対の規制部材130は、複数の導電端子120が並ぶ方向(Y方向)においてこれらの導電端子120を間に置くように位置している。これらの規制部材130の構成は同じであるので、以下では、側壁部114における規制部材130について説明し、側壁部115における規制部材130の説明は省略する。
【0037】
規制部材130は、板状の導電材料(例えば金属部材)によって構成されている。規制部材130は、図5に示されるように、一対の基端部131(取付部)と、中間部132と、接触部133とを含む。一対の基端部131は、図4に示されるように、実装面S1に隣接して位置していると共に、X方向において側壁部114の両側に位置している。一対の基端部131は、実装面S1の近傍から上方に延びている。一対の基端部131は、側壁部114に設けられたスリット114a内に圧入されることによって、ハウジング110に固定されている。一対の基端部131の下端は、リセプタクルコネクタ100が配線基板B1に実装された状態で、配線基板B1の電極(図示せず)とハンダ等によって接続される。そのため、基端部131は、配線基板B1に取り付けられる取付部として機能する。
【0038】
中間部132は、X方向において一対の基端部131の間に位置している。中間部132の上端部は、一対の基端部131の上端部と一体的に接続されている。中間部132は、側壁部114に沿って上下方向(Z方向)に延びている。
【0039】
接触部133は、中間部132に対して片持ち状に支持されている。接触部133の一部は、収容凹部V内に位置している。接触部133は、湾曲部133aと、突出部133bとを含む。湾曲部133aは、対向面S2の近傍から下方に延びて実装面S1の近傍で上方に向けて折り返すように形成された略U字形状を呈している。湾曲部133aの一端部(下端部)は、中間部132の下端部と一体的に接続されている。湾曲部133aは、Z方向(上下方向)に沿って延びている。湾曲部133aの上端部は、中央壁部116と対向している。
【0040】
突出部133bは、山型形状を呈しており、側壁部114側から側壁部115側(中央壁部116側)に向けて突出している。具体的には、突出部133bは、山型の頂点P2からZ方向(上下方向)に離れるにつれてY方向における突出量が小さくなっており、頂点P2から両裾野に向けて拡がる形状を呈している。
【0041】
すなわち、突出部133bのうち頂点P2から下方の部分(頂点P2と湾曲部133aとの間の部分)は、頂点P2から見て、下方(実装面S1)に向かうにつれて側壁部114に近づくように傾斜している。一方、突出部133bのうち頂点P2から上方(対向面S2側)の部分は、頂点P2からみて、上方(対向面S2)に向かうにつれて側壁部114に近づくように傾斜している。
【0042】
ところで、図5及び図6に示されるように、パラメータd1,d2をそれぞれ
d1:配線基板B1の表面から導電端子120の突出部123aの頂点P1までのZ方向における高さ
d2:配線基板B1の表面から規制部材130の突出部133bの頂点P2までのZ方向における高さ
としたときに、d1<d2が満たされている。すなわち、頂点P2は、頂点P1よりも上方(対向面S2側)に位置している。
【0043】
[プラグコネクタの構成]
続いて、プラグコネクタ200の構成について、図7図9を参照して説明する。プラグコネクタ200は、ハウジング210(第1の絶縁ハウジング)と、複数の導電端子220(第1の導電端子)と、一対の規制部材230(第1の規制部材)とを有する。
【0044】
ハウジング210は、樹脂等の絶縁材料で構成されている。ハウジング210は、所定方向に延びる直方体形状を呈している。ハウジング210は、実装面S3(第1の実装面)と、対向面S4(第1の対向面)とを含む(図8及び図9参照)。実装面S3は、プラグコネクタ200が配線基板B2に半田接続等で実装された状態で、配線基板B2に対向し且つ配線基板B2に対して伏せられる。対向面S4は、実装面S3と対向し且つ後述する嵌合凸部Wの先端側に位置している。プラグコネクタ200の説明に際し、以下では、実装面S3と対向面S4との対向方向を「Z方向」と称する。また、プラグコネクタ200の説明に際し、以下では、実装面S3を基準にして配線基板B2側を「下」といい、実装面S3を基準にして対向面S4側を「上」ということがある。
【0045】
ハウジング210は、底壁部211と、側壁部212〜215とを含む。底壁部211は、矩形状を呈する板状体である。底壁部211の底面は実装面S3を構成している。
【0046】
側壁部212〜215はそれぞれ、底壁部211に対して直立した状態で底壁部211上に設けられている。側壁部212〜215は、プラグコネクタ200がリセプタクルコネクタ100と嵌合する際に、リセプタクルコネクタ100の収容凹部V内に収容される。そのため、側壁部212〜215は、全体として嵌合凸部Wを構成している。
【0047】
側壁部212,213(壁部)はそれぞれ、底壁部211の各長辺近傍に位置し、当該長辺に沿って延びている。側壁部214,215はそれぞれ、底壁部211の各短辺上に位置し、当該短辺に沿って延びている。そのため、側壁部212,213同士は互いに対向しており、側壁部214,215同士は互いに対向している。従って、嵌合凸部Wは、四角筒状を呈している。四角筒状を呈する嵌合凸部Wの内部空間には、プラグコネクタ200がリセプタクルコネクタ100と嵌合する際に、リセプタクルコネクタ100の中央壁部116が収容される。プラグコネクタ200の説明に際し、以下では、側壁部212,213の対向方向を「X方向」と称し、側壁部214,215の対向方向を「Y方向」と称する。
【0048】
複数の導電端子220(本実施形態では20個の導電端子220)は、側壁部212に取り付けられている。そのため、側壁部212には複数の導電端子220がその延在方向(Y方向)に一列に並んでいる。側壁部213にも同様に複数の導電端子220(本実施形態では20個の導電端子220)が取り付けられている。これらの導電端子220の構成は同じであるので、以下では、側壁部212における導電端子220について説明し、側壁部213における導電端子220の説明は省略する。
【0049】
導電端子220は、板状の導電材料(例えば金属部材)によって構成されている。導電端子220は、図9に示されるように、基端部221(取付部)と、接触部222と、固定部223とを含む。基端部221は、底壁部211の近傍に位置しており、側壁部212から外方に向けてX方向に延びている。基端部221は、プラグコネクタ200が配線基板B2に実装される際に、配線基板B2の電極(図示せず)とハンダ等によって接続される。そのため、基端部221は、配線基板B2に取り付けられる取付部として機能する。
【0050】
接触部222は、側壁部212の外表面に沿ってZ方向に延びている。接触部222は、平坦部222aと、突出部222bとを含む。平坦部222aは、直線状を呈している。平坦部222aの下端部は、基端部221のうち側壁部212寄りの端部と一体的に接続されている。
【0051】
突出部222bは、平坦部222aの上端部と一体的に接続されている。突出部222bは、山型形状を呈しており、側壁部212から外方に向けてX方向に突出している。具体的には、突出部222bは、山型の頂点P3からZ方向(上下方向)に離れるにつれてX方向における突出量が小さくなっており、頂点P3から両裾野に向けて拡がる形状を呈している。
【0052】
すなわち、突出部222bのうち頂点P3から下側の部分(頂点P3と平坦部222aとの間の部分)は、頂点P3から見て、下方(実装面S3)に向かうにつれて側壁部212に近づくように傾斜している。一方、突出部222bのうち頂点P3から上側の部分(頂点P3よりも対向面S4側の部分)は、頂点P3からみて、上方(対向面S4)に向かうにつれて側壁部212に近づくように傾斜している。
【0053】
固定部223は、側壁部212の内壁面に沿ってZ方向に延びている。固定部223の上端部は、突出部222bの上端部と一体的に接続されており、実装面S3の近傍から上方に向けて延びて対向面S4の近傍で下方に向けて折り返すように形成された略U字形状を呈している。固定部223の下端部は、側壁部212内に固定されている。
【0054】
一対の規制部材230の一方は、図7及び図8に示されるように、側壁部214に取り付けられている。側壁部215にも同様に一対の規制部材230の他方が取り付けられている。すなわち、これらの一対の規制部材230は、複数の導電端子220が並ぶ方向(Y方向)においてこれらの導電端子220を間に置くように位置している。これらの規制部材230の構成は同じであるので、以下では、側壁部214における規制部材230について説明し、側壁部215における規制部材230の説明は省略する。
【0055】
規制部材230は、板状の導電材料(例えば金属部材)によって構成されている。規制部材230は、図8に示されるように、基端部231(取付部)と、接触部232と、固定部233とを含む。基端部231は、図7に示されるように、底壁部211の底面に位置しており、側壁部214の両側に位置するようにX方向に延びている。基端部131は、プラグコネクタ200が配線基板B2に実装される際に、配線基板B2の電極(図示せず)とハンダ等によって接続される。そのため、基端部231は、配線基板B2に取り付けられる取付部として機能する。
【0056】
接触部232は、側壁部214の外表面に沿ってZ方向に延びている。接触部232は、平坦部232aと、突出部232bとを含む。平坦部232aは、直線状を呈している。平坦部232aの下端部は、基端部221のうち側壁部214寄りの側縁と一体的に接続されている。
【0057】
突出部232bは、平坦部232aの上端部と一体的に接続されている。突出部232bは、山型形状を呈しており、側壁部214から外方に向けてY方向に突出している。具体的には、突出部232bは、山型の頂点P4からZ方向(上下方向)に離れるにつれてY方向における突出量が小さくなっており、頂点P4から両裾野に向けて拡がる形状を呈している。
【0058】
すなわち、突出部232bのうち頂点P4から下方の部分(頂点P4と平坦部232aとの間の部分)は、頂点P4から見て、下方(実装面S3)に向かうにつれて側壁部214に近づくように傾斜している。一方、突出部232bのうち頂点P4よりも上方の部分は、頂点P4からみて、上方(対向面S4)に向かうにつれて側壁部214に近づくように傾斜している。
【0059】
固定部233は、L字形状を呈している。固定部233のうち一端部は、突出部232bの上端部と一体的に接続されている。固定部223のうち他端部は、側壁部214内に固定されている。
【0060】
ところで、図8及び図9に示されるように、パラメータd3,d4をそれぞれ
d3:配線基板B2の表面から導電端子220の突出部222bの頂点P3までのZ方向における高さ
d4:配線基板B2の表面から規制部材230の突出部232bの頂点P4までのZ方向における高さ
としたときに、d3>d4が満たされている。すなわち、頂点P3は、頂点P4よりも上方(対向面S4側)に位置している。
【0061】
[コネクタ装置の詳細]
続いて、リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とが嵌合されてなるコネクタ装置1の構成について、図1図3を参照してより詳細に説明する。以下では、側壁部112における導電端子120と側壁部212における導電端子220との関係を説明するが、側壁部113における導電端子120と側壁部213における導電端子220との関係も同様であるので、その説明を省略する。また、以下では、側壁部114における規制部材130と側壁部214における規制部材230との関係を説明するが、側壁部115における規制部材130と側壁部215における規制部材230との関係も同様であるので、その説明を省略する。さらに、コネクタ装置1の説明に際し、以下では便宜的に、実装面S1を基準にして配線基板B1側を「下」といい、実装面S1を基準にして対向面S2側を「上」とする。
【0062】
リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とが嵌合した状態(嵌合状態)においては、ハウジング110の収容凹部V内にハウジング210の嵌合凸部Wが収容されている。具体的には、側壁部112と中央壁部116との間に側壁部212が位置している。側壁部113と中央壁部116との間に側壁部213が位置している。側壁部114と中央壁部116との間に側壁部214が位置している。側壁部115と中央壁部116との間に側壁部215が位置している。
【0063】
嵌合状態で見て、図3に示されるように、接触部222及び固定部223は、側壁部212と共に接触部123内に挿入されている。接触部222及び固定部223が接触部123内に挿入された場合、接触部222、固定部223及び側壁部212によって接触部123がX方向へ押し拡げられる。そのため、接触部123が元の形状に戻ろうとする弾性力が接触部222及び固定部223に作用して、突出部123aが接触部222(平坦部222a)に当接すると共に、突出部123cが固定部223に当接する。すなわち、接触部222、固定部223及び側壁部212が接触部123によって挟持される。このとき、突出部123aと一体的に接続された中間部122の上端部も、X方向において外方に膨らむように変形する。
【0064】
嵌合状態で見て、図2に示されるように、接触部232及び側壁部214は、規制部材130の接触部133をY方向において外方に加圧している。そのため、接触部133が元の形状に戻ろうとする弾性力が接触部232及び側壁部214に作用して、突出部133bが接触部232(平坦部232a)に当接する。すなわち、プラグコネクタ200が側壁部114における規制部材130と側壁部115における規制部材130とによって挟持される。このとき、突出部133bと一体的に接続された中間部132の下端部もY方向において外方に膨らむように変形する。
【0065】
導電端子120における突出部123aは、図3に示されるように、嵌合状態で見て、導電端子220における接触部222及び中央壁部116に向けて突出している。同様に、導電端子220における突出部222bは、嵌合状態で見て、突出部123a及び側壁部112に向けて突出している。
【0066】
規制部材130における突出部133bは、図2に示されるように、嵌合状態で見て、規制部材230における接触部232及び側壁部214に向けて突出している。同様に、規制部材230における突出部232bは、嵌合状態で見て、規制部材130における接触部133及び側壁部114に向けて突出している。
【0067】
[コネクタ装置の組立方法]
続いて、図10図14を参照して、コネクタ装置1の組立方法(製造方法)について説明する。コネクタ装置1はリセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とが嵌合してなるので、具体的には、リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200との嵌合過程を説明する。なお、嵌合過程の説明では、図10図14に示されるように、便宜的に、実装面S1を基準にして配線基板B1側を「下」といい、実装面S1を基準にして対向面S2側を「上」とする。
【0068】
側壁部112における導電端子120と側壁部212における導電端子220との嵌合過程は、側壁部113における導電端子120と側壁部213における導電端子220との嵌合過程と同様であるので、以下では、前者について説明し、後者の説明は省略する。また、側壁部114における規制部材130と側壁部214における規制部材230との嵌合過程は、側壁部115における規制部材130と側壁部215における規制部材230との嵌合過程と同様であるので、以下では、前者について説明し、後者の説明は省略する。
【0069】
(1)載置状態
まず、図10に示されるように、導電端子120,220同士と、規制部材130,230同士と、対向面S2,S4同士と、収容凹部V及び嵌合凸部Wとがいずれも対向するように、リセプタクルコネクタ100にプラグコネクタ200を載置する。リセプタクルコネクタ100にプラグコネクタ200が載置されており、両コネクタ100,200に外力が付与されていない状態を「載置状態」という。
【0070】
載置状態では、図10(b)に示されるように、突出部133bの頂点P2よりも上側(対向面S2側)の斜面と、突出部232bの頂点P4よりも下側(対向面S4側)の斜面とが当接する。そのため、突出部133bは、プラグコネクタ200の重量を受けつつ、その反力を突出部232bに付与する。従って、規制部材130は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100から離間させる方向(離間方向)に作用する弾性力Arc0(第1の弾性力)を突出部232bに付与している。
【0071】
一方、載置状態では、図10(a)に示されるように、導電端子120の突出部123aと導電端子220の突出部222bとは当接していない。従って、導電端子120と導電端子220とは電気的に接続されていない。
【0072】
(2)第1の加圧状態
次に、図11に示されるように、載置状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr1を付与して、リセプタクルコネクタ100に対してプラグコネクタ200を押し込む。そのため、プラグコネクタ200は載置状態よりも下方に移動する。このとき、図11(b)に示されるように、突出部232bの頂点P4は突出部133bの頂点P2よりも上方にある。このときの状態を「第1の加圧状態」という。第1の加圧状態では、載置状態と同様に、突出部232bには、規制部材130から離間方向に作用する弾性力Arc1が付与されている。
【0073】
一方、第1の加圧状態では、図11(a)に示されるように、導電端子120の突出部123aの頂点P1よりも上側(対向面S2側)の斜面と、導電端子220の突出部222bの頂点P3よりも下側(対向面S4側)の斜面とが当接する。このとき、突出部123aは、プラグコネクタ200の重量及び圧力Pr1を受けつつ、その反力を突出部222bに付与する。これにより、導電端子120は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100から離間させる方向(離間方向)に作用する弾性力Art1(第3の弾性力)を突出部232bに付与する。従って、この時点で圧力Pr1が除荷されると、プラグコネクタ200が弾性力Arc1(図11(b)参照),Art1により載置状態に戻される。すなわち、導電端子120と導電端子220とが電気的に接続された状態から電気的に接続されていない状態に戻される。
【0074】
(3)第2の加圧状態
次に、図12に示されるように、第1の加圧状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr2を付与し、リセプタクルコネクタ100に対してプラグコネクタ200をさらに押し込む。そのため、プラグコネクタ200は第1の加圧状態によりも下方に移動する。このとき、図12(b)に示されるように、突出部232bの頂点P4は突出部133bの頂点P2よりも上方にある。このときの状態を「第2の加圧状態」という。第2の加圧状態では、突出部232bには、規制部材130から離間方向に作用する弾性力Arc2が付与されている。
【0075】
一方、第2の加圧状態では、図12(a)に示されるように、突出部222bの頂点P3と突出部123aの頂点P1とは略同じ高さ位置にある。このとき、突出部222bの頂点P3及び突出部123aの頂点P1には、導電端子120の接触部123の弾性力Art2によって水平方向への力が働く。そのため、導電端子120は、突出部222bに対して、両コネクタ100,200を互いに離間させる方向にも近接させる方向にも弾性力を付与していない。従って、この時点で圧力Pr2が除荷されると、プラグコネクタ200が、弾性力Arc2(図12(b)参照)により載置状態に戻される。すなわち、導電端子120と導電端子220とが電気的に接続された状態から電気的に接続されていない状態に戻される。
【0076】
(4)第3の加圧状態
次に、図13に示されるように、第2の加圧状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr3を付与し、リセプタクルコネクタ100に対してプラグコネクタ200をさらに押し込む。そのため、プラグコネクタ200は第2の加圧状態よりもさらに下方に移動する。このとき、図13(b)に示されるように、突出部232bの頂点P4は突出部133bの頂点P2と略同じ高さ位置にある。このときの状態を「第3の加圧状態」という。第3の加圧状態では、突出部133bの頂点P2と突出部232bの頂点P4には、規制部材130の接触部133の弾性力Arc3によって水平方向への力が働く。そのため、規制部材130は、突出部232bに対して、両コネクタ100,200を互いに離間させる方向にも近接させる方向にも弾性力を付与していない。
【0077】
一方、第3の加圧状態では、図13(a)に示されるように、突出部123aの頂点P1よりも下側(実装面S1側)の斜面と、突出部222bの頂点P3よりも上側(実装面S3側)の斜面とが当接する。突出部222bは、導電端子120の接触部123の弾性力によって、突出部123aを外側に向けて押しのけつつ下方に移動していく。そのため、突出部123aは、突出部222bによる水平方向の変位量が小さくなり、導電端子120を元の形状に戻そうとする反力を突出部222bに付与する。従って、導電端子120は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100に近接させる方向(近接方向)に作用する弾性力Art3(第4の弾性力)を突出部222bに付与する。そのため、プラグコネクタ200は、弾性力Art3によりリセプタクルコネクタ100内に引き込まれる。
【0078】
プラグコネクタ200がリセプタクルコネクタ100内に引き込まれると、図14(b)に示されるように、突出部133bの頂点P2よりも下側(実装面S1側)の斜面と、突出部232bの頂点P4よりも上側(実装面S3側)の斜面とが当接する。突出部232bは突出部133bを外側に向けて押しつつ下方に移動していくので、突出部133bは、規制部材130が元の形状に戻ろうとする反力を突出部232bに付与する。従って、規制部材130は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100に近接させる方向(近接方向)に作用する弾性力Arc4(第2の弾性力)を突出部232bに付与している。このとき、図14(a)に示されるように、導電端子120も近接方向に作用する弾性力Art4を突出部222bに付与している。そのため、プラグコネクタ200は、弾性力Arc4,Art4によりリセプタクルコネクタ100内に保持され、導電端子120と導電端子220との電気的接続が安定して維持される。これにより、図1図3に示されるように、リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200との嵌合が完了する。こうして、コネクタ装置1が完成する。
【0079】
[作用]
以上のような本実施形態では、規制部材230の突出部232bの頂点P4が規制部材130の突出部133bの頂点P2を乗り越える前の状態(載置状態;第1及び第2の加圧状態)において、突出部133bは、図11及び図12に示されるように、ハウジング110,210を互いに離間させる方向に作用する弾性力Arc0〜Arc2(反発力)を突出部232bに付与する。そのため、突出部232bの頂点P4が突出部133bの頂点P2を乗り越えるまでは、弾性力Arc0〜Arc2が突出部133b,232b同士の間に作用してハウジング110,210同士を互いに分離させ、リセプタクルコネクタ100の導電端子120とプラグコネクタ200の導電端子220とが電気的に接続されていない非嵌合状態とする。一方、本実施形態では、突出部232bの頂点P4が突出部133bの頂点P2を乗り越えた後の状態(第3の加圧状態)において、突出部133bは、図14に示されるように、ハウジング110,210を互いに近接させる方向に作用する弾性力Arc4(引込力)を突出部232bに付与する。そのため、突出部232bの頂点P4が突出部133bの頂点P2を乗り越えた後は、弾性力Arc4が突出部133b,232b同士の間に作用してハウジング110,210同士を互いに近づかせ、導電端子120,220の電気的接続が完了した嵌合状態とする。こうして、導電端子120,220同士の電気的接続状態が安定して維持される。以上のように、規制部材130,230の間において生ずる弾性力Arc0〜Arc4により、両コネクタ100,200は強制的に非嵌合状態及び嵌合状態のどちらか一方の状態とされる。従って、コネクタ100,200同士の半嵌合状態を防止することが可能となる。
【0080】
本実施形態では、導電端子220の突出部222bの頂点P3が導電端子120の突出部123aの頂点P1を乗り越える前の状態(第1の加圧状態)において、突出部123aは、ハウジング110,210を互いに離間させる方向に作用する弾性力Art1(反発力)を突出部222bに付与する。そのため、突出部222bの頂点P3が突出部123aの頂点P1を乗り越えるまでは、弾性力Art1が突出部123a,222b同士の間に作用してハウジング110,210同士を互いに分離させ、リセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とが嵌合していない非嵌合状態とする。一方、本実施形態では、突出部222bの頂点P3が突出部123aの頂点P1を乗り越えた後の状態において、突出部123aは、ハウジング110,210を互いに近接させる方向に作用する弾性力Art3,Art4(引込力)を突出部222bに付与する。そのため、突出部222bの頂点P3が突出部123aの頂点P1を乗り越えた後は、弾性力Art3,Art4が突出部123a,222b同士の間に作用してハウジング110,210同士を互いに近づかせ、導電端子120,220の電気的接続が完了した嵌合状態とする。以上のように、導電端子120,220の間において生ずる弾性力により、両コネクタ100,200は強制的に非嵌合状態及び嵌合状態のどちらか一方の状態とされる。従って、コネクタ100,200同士の半嵌合状態をいっそう防止することが可能となる。
【0081】
本実施形態では、図13に示されるように、規制部材230の突出部232bの頂点P4が規制部材130の突出部133bの頂点P2を乗り越えるよりも先に、導電端子220の突出部222bの頂点P3が導電端子120の突出部123aの頂点P1を乗り越え、突出部123a,222b間において弾性力Art3が生ずる。図12(b)に示されるように、突出部232bの頂点P4が突出部133bの頂点P2を乗り越えるまでにこれらの突出部133b,232bの間において生ずる弾性力Arc2よりも、この弾性力Art3は小さい。そのため、規制部材230の突出部232bが規制部材130の突出部133bを乗り越えるまでは、弾性力Arc0〜Arc2によってハウジング110,210同士を互いに分離させ、導電端子120,220が電気的に接続されていない非嵌合状態が保たれる。換言すれば、導電端子120の突出部123aと導電端子220の突出部222bとが引っ掛かり合うのみならず規制部材130の突出部133bと規制部材230の突出部232bとが引っ掛かり合うことにより初めて、嵌合状態が作出される。その結果、非嵌合状態と嵌合状態との間の半嵌合状態が極めて生じ難くなる。
【0082】
本実施形態では、各突出部123a,133b,222b,232bは、頂点から上下両方向に離れるにつれて突出量が小さくなる山型形状を呈している。そのため、極めて簡易な形状により、対応する突出部に弾性力を作用させることが可能となる。
【0083】
本実施形態では、図5及び図6に示されるようにリセプタクルコネクタ100において高さd1が高さd2よりも小さく(d1<d2)、図8及び図9に示されるようにプラグコネクタ200において高さd3が高さd4よりも大きい(d3>d4)。そのため、弾性力Art1〜Art4,Arc0〜Arc4を効果的に生じさせることが可能となる。
【0084】
本実施形態では、規制部材130が基端部131を含み、規制部材230が基端部231を含んでいる。そのため、各コネクタ100,200をそれぞれ対応する配線基板B1,B2に取り付ける取付部としての機能を各規制部材130,230が併有する。従って、新たな部材が不要となるので、構成の簡略化及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0085】
本実施形態では、図10に示されるように、載置状態において、規制部材130の突出部133bと規制部材230の突出部232bとが当接しているが、導電端子120の突出部123aと導電端子220の突出部222bとは当接していない。そのため、導電端子120,220同士の間に電気が流れないので、非嵌合状態にあるコネクタ装置1を導通検査の実施によって簡易に選別することが可能となる。
【0086】
本実施形態では、図4に示されるように、リセプタクルコネクタ100において、導電端子120が側壁部112,113に取り付けられており、規制部材130が側壁部114,115に取り付けられている。図7に示されるように、プラグコネクタ200において、導電端子220が側壁部212,213に取り付けられており、規制部材230が側壁部214,215に取り付けられている。そのため、導電端子120,220同士及び規制部材130,230同士が、収容凹部V内において接触する。従って、コネクタ100,200同士の嵌合方向において、導電端子120,220同士及び規制部材130,230同士が接触するスペースが削減される。従って、コネクタ装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0087】
本実施形態では、リセプタクルコネクタ100において、一対の規制部材130が複数の導電端子120を間に置くように位置している。プラグコネクタ200において、一対の規制部材230が複数の導電端子220を間に置くように位置している。そのため、これらの一対の規制部材130,230同士が係合することで、コネクタ装置1の両端側において両コネクタ100,200の嵌合状態が保持される。従って、両コネクタ100,200がいったん嵌合すると、コネクタ100,200同士が外れ難くなる。
【0088】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0089】
<a>例えば、本実施形態に係るリセプタクルコネクタ100に代えて、図15及び図16に示されるリセプタクルコネクタ100Aを用いてもよい。リセプタクルコネクタ100Aは、リセプタクルコネクタ100と比較して、側壁部114,115の形状と、導電端子120の数と、規制部材130に代えて複数の規制部材140を有している点とで相違する。以下では、主としてこれらの相違点について説明する。
【0090】
側壁部114,115には、スリットが設けられておらず、規制部材130が取り付けられていない。なお、図示していないが、リセプタクルコネクタ100Aに対応するプラグコネクタ200の側壁部214,215にも、規制部材230が取り付けられていない。リセプタクルコネクタ100Aにおいては、18個の導電端子120が側壁部112,113にそれぞれ取り付けられている。
【0091】
一対の規制部材140は、側壁部112において複数の導電端子120を間に置くように位置している。規制部材140は、板状の導電材料(例えば金属部材)によって構成されている。規制部材140は、導電端子120と同様に、図16に示されるように、基端部141(取付部)と、中間部142と、接触部143とを含む。接触部143は、突出部143aと、湾曲部143bと、突出部143cとを含む。導電端子120と比較すると、突出部143aの頂点P5の位置が突出部123aの頂点P1(図6参照)と異なる。具体的には、配線基板B1の表面から突出部143aの頂点P5までのZ方向における高さd5は、高さd1よりも高く設定されている。すなわち、頂点P5は、頂点P1よりも上方(対向面S2側)に位置している。なお、図15及び図16の形態では、規制部材140が導電端子として機能してもよい。
【0092】
続いて、図17図21を参照して、リセプタクルコネクタ100Aとプラグコネクタ200との嵌合過程を説明する。まず、図17に示されるように、リセプタクルコネクタ100Aにプラグコネクタ200を載置する。このとき、導電端子120及び規制部材140はそれぞれ対応する導電端子220と向かい合う。なお、規制部材140に対応する導電端子220は、規制部材として機能してもよい。
【0093】
載置状態では、図17(b)に示されるように、突出部143aの頂点P5よりも上方(対向面S2側)の斜面と、突出部222bの頂点P3よりも下方(対向面S4側)の斜面とが当接する。そのため、突出部143aは、プラグコネクタ200の重量を受けつつ、その反力を突出部222bに付与する。従って、規制部材140は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100Aから離間させる方向に作用する弾性力Arc0を突出部222bに付与している。一方、載置状態では、図17(a)に示されるように、導電端子120の突出部123aと、当該導電端子120に対応する導電端子220の突出部222bとは当接していない。従って、導電端子120と導電端子220とは電気的に接続されていない。
【0094】
次に、図18に示されるように、載置状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr1を付与して、リセプタクルコネクタ100Aに対してプラグコネクタ200を押し込む。この第1の加圧状態では、図18(b)に示されるように、突出部222bには、規制部材140から離間方向に作用する弾性力Arc1が付与されている。一方、第1の加圧状態では、図18(a)に示されるように、突出部222bには、対応する導電端子120から離間方向に作用する弾性力Art1が付与されている。従って、この時点で圧力Pr1が除荷された場合には、プラグコネクタ200は、弾性力Arc1,Art1により載置状態に戻される。すなわち、導電端子120と導電端子220とが電気的に接続された状態から電気的に接続されていない状態に戻される。
【0095】
次に、図19に示されるように、第1の加圧状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr2を付与し、リセプタクルコネクタ100Aに対してプラグコネクタ200をさらに押し込む。この第2の加圧状態では、図19(b)に示されるように、突出部222bの頂点P3は突出部143aの頂点P5と略同じ高さ位置にある。そのため、突出部143aの頂点P5及び突出部222bの頂点P3には、規制部材140の接触部143の弾性力Arc2によって水平方向への力が働く。従って、規制部材140は、突出部222bに対して、両コネクタ100A,200を互いに離間させる方向にも近接させる方向にも弾性力を付与していない。一方、第2の加圧状態では、図19(a)に示されるように、突出部222bには、対応する導電端子120から離間方向に作用する弾性力Art2が付与されている。従って、この時点で圧力Pr2が除荷されると、プラグコネクタ200が、弾性力Art2により載置状態に戻される。すなわち、導電端子120と導電端子220とが電気的に接続された状態から電気的に接続されていない状態に戻される。
【0096】
次に、図20に示されるように、第2の加圧状態にあるプラグコネクタ200に圧力Pr3を付与し、リセプタクルコネクタ100Aに対してプラグコネクタ200をさらに押し込む。この第3の加圧状態では、図20(b)に示されるように、突出部143aの頂点P5よりも下側(実装面S1側)の斜面と、突出部222bの頂点P3よりも上側(実装面S3側)の斜面とが当接する。突出部222bは、規制部材140の接触部143の弾性力によって、突出部143aを外側に向けて押しのけつつ下方に移動していく。そのため、突出部143aは、突出部222bによる水平方向の変位量が小さくなり、規制部材140を元の形状に戻そうとする反力を突出部222bに付与する。従って、規制部材140は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100Aに近接させる方向に作用する弾性力Arc3を突出部222bに付与している。一方、第3の加圧状態では、図20(a)に示されるように、突出部123aの頂点P1及び対応する突出部222bの頂点P3には、導電端子120の接触部123の弾性力Art3によって水平方向への力が働く。そのため、導電端子120は、突出部222bに対して、両コネクタ100A,200を互いに離間させる方向にも近接させる方向にも弾性力を付与していない。従って、プラグコネクタ200は、弾性力Arc3によりリセプタクルコネクタ100A内に引き込まれる。
【0097】
プラグコネクタ200がリセプタクルコネクタ100A内に引き込まれると、図21(b)に示されるように、接触部143内に対応する導電端子120が挿入された状態となる。一方、図21(a)に示されるように、突出部123aの頂点P1よりも下側(実装面S1側)の斜面と、突出部222bの頂点P3よりも上側(実装面S3側)の斜面とが当接する。突出部222bは突出部123aを外側に向けて押しつつ下方に移動していくので、突出部123aは、導電端子120が元の形状に戻ろうとする反力を突出部222bに付与する。従って、導電端子120は、プラグコネクタ200をリセプタクルコネクタ100Aに近接させる方向に作用する弾性力Art4を突出部222bに付与している。そのため、プラグコネクタ200は、弾性力Art4によりリセプタクルコネクタ100A内にさらに引き込まれる。これにより、リセプタクルコネクタ100Aとプラグコネクタ200との嵌合が完了する。こうして、コネクタ装置1が完成する。
【0098】
<b>図22及び図23に示されるように、リセプタクルコネクタ100Bにおいて、複数の導電端子120の各頂点P1は、これらの導電端子120が並ぶ配列方向(Y方向)において列の中央近傍から端部に向かうにつれて上方(対向面S2側)に順次近づいていてもよい。ここで、配列方向において列の中央近傍に位置する導電端子120を「導電端子120A」と称し、配列方向において列の中央近傍と端部との間に位置する導電端子120を「導電端子120B」と称し、配列方向において列の端部に位置する導電端子120を「導電端子120C」と称する。図23に示されるように、パラメータd1a,d1b,d1cをそれぞれ
d1a:配線基板B1の表面から導電端子120Aの突出部123aの頂点P1aまでのZ方向における高さ
d1b:配線基板B1の表面から導電端子120Bの突出部123aの頂点P1bまでのZ方向における高さ
d1c:配線基板B1の表面から導電端子120Cの突出部123aの頂点P1cまでのZ方向における高さ
としたときに、d1a<d1b<d1cが満たされている。すなわち、頂点P1aは、頂点P1bよりも下方(実装面S1側)に位置している。頂点P1bは、頂点P1cよりも下方(実装面S1側)に位置している。
【0099】
この場合、両コネクタ100B,200が嵌合する過程で、まず導電端子120Cの突出部123aと導電端子220の突出部222bとが係合し、引き続いて導電端子120Bの突出部123aと導電端子220の突出部222bとが係合し、最後に導電端子120Aの突出部123aと導電端子220の突出部222bとが係合する。そのため、コネクタ100B,200が嵌合する過程で、突出部123a,222bとの間に弾性力Ar3(引込力)が段階的に作用する。従って、大きな外力を付与しなくてもコネクタ100B,200が嵌合しやすくなる。
【0100】
なお、複数の導電端子120のうちの一部の各頂点P1が、配列方向において上方(対向面S2側)に順次近づいていてもよい。プラグコネクタ200が有する複数の導電端子220においても同様である。
【0101】
<c>図24に示されるように、一方のコネクタが係止孔を有しており、他方のコネクタが係止片を有していてもよい。具体的には、図24では、リセプタクルコネクタ100Cの側壁部115には、規制部材130に代えて、内側に向けて開口した係止孔117が形成されている。プラグコネクタ200Cの側壁部215には、規制部材230に代えて、外方に向けて突出する係止片217が形成されている。両コネクタ100C,200Cが嵌合する際には、まず係止片217を係止孔117に係止し、係止孔117に係止された係止片217を支点としてプラグコネクタ200Cをリセプタクルコネクタ100Cに対して回転して、側壁部214における規制部材230の突出部232bを側壁部114における規制部材130の突出部133bを引っ掛けるようにしてもよい。
【0102】
<d>ハウジング110,210の形状は、必ずしも直方体形状に限られず、他の形状(例えば、立方体形状、多角柱形状、円柱状等)であってもよい。
【0103】
<e>突出部123a,222bのうち少なくとも一方が弾性変形してもよい。同様に、突出部133b,232bのうち少なくとも一方が弾性変形してもよい。
【0104】
<f>突出部123a,133b,222b,232bは、山型形状を呈していなくてもよい。例えば、側壁部112に設けられている突出部123aは、側壁部112側から側壁部113側又は中央壁部116側(対応する導電端子220)に向けて突出していればよい。具体的には、突出部123aのうち頂点P1から上方の部分(頂点P1と中間部122との間の部分)は、頂点P1から見て、上方(対向面S2)に向かうにつれて側壁部112に近づくように傾斜していればよい。一方、突出部123aのうち頂点P1から下方の部分(頂点P1と湾曲部123bとの間の部分)は、必ずしも、頂点P1からみて、下方(実装面S1)に向かうにつれて側壁部112に近づくように傾斜していなくてもよい。他の突出部133b,222b,232bにおいても同様である。
【0105】
<g>載置状態において、導電端子120,220同士が接触していてもよい
【0106】
<h>規制部材130は、複数の導電端子120を間に置くように位置していなくてもよい。すなわち、規制部材130は、導電端子120に対して任意の位置にあってもよい。規制部材230においても同様である。
【0107】
<i>リセプタクルコネクタ100が少なくとも一つの規制部材130を有しており、プラグコネクタ200が少なくとも一つの規制部材230を有していてもよい。
【0108】
<j>導電端子120,220にそれぞれ突出部123a,222bが存在しておらず、規制部材130,230の各突出部133b,232bのみで両コネクタ100,200の嵌合が行われてもよい。
【0109】
<k>規制部材130が取付部としての機能を有しておらず、他の部材によってリセプタクルコネクタ100が配線基板B1に対して取り付けられていてもよい。規制部材230においても同様である。
【0110】
<l>規制部材130,230の間に弾性力が作用すればよいため、規制部材130,230は金属以外の他の材料で形成されていてもよい。すなわち、規制部材130,230は樹脂部材等であってもよい。規制部材130,230がハウジング110,210と同一材料で形成されており、互いに一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…コネクタ装置、100,100A,100B,100C…リセプタクルコネクタ(第2のコネクタ)、110…ハウジング(絶縁ハウジング)、112,113…側壁部(壁部)、120,120A,120B,120C…導電端子(第2の導電端子)、121…基端部(取付部)、123a…突出部、130…規制部材(第2の規制部材)、131…基端部(取付部)、133b…突出部、140…規制部材、200,200C…プラグコネクタ(第1のコネクタ)、210…ハウジング(第1の絶縁ハウジング)、212,213…側壁部(壁部)、220…導電端子(第1の導電端子)、221…基端部(取付部)、222b…突出部、230…規制部材(第1の規制部材)、231…基端部(取付部)、232b…突出部、Arc0…弾性力(第1の弾性力)、Art1…弾性力(第3の弾性力)、Art3…弾性力(第4の弾性力)、Arc4…弾性力(第2の弾性力)、B1…配線基板(第2の配線基板)、B2…配線基板(第1の配線基板)、P1〜P5…頂点、S1…実装面(第2の実装面)、S2…対向面(第2の対向面)、S3…実装面(第1の実装面)、S4…対向面(第1の対向面)、V…収容凹部、W…嵌合凸部。
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