(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512437
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 13/04 20060101AFI20190425BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
G01D13/04 Z
B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-95005(P2015-95005)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-211937(P2016-211937A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 翠
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−037438(JP,A)
【文献】
特開2007−249028(JP,A)
【文献】
特開2002−296078(JP,A)
【文献】
特開2008−128959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 13/04
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針と、前記指針を回動させる回動軸を有する指針駆動部と、前記回動軸に対応する個所に貫通孔が形成されており前記指針に指示される指標部を有する表示板と、を備えた表示装置であって、
前記表示板は、金属光沢を発する光反射層と、前記光反射層上に印刷形成された意匠層からなる旭光模様と、前記貫通孔を中心にした環状の傾斜部と、前記傾斜部に連なる平面部と、を有すると共に、
前記旭光模様は、前記傾斜部の明度が前記平面部の明度に比して低いことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記旭光模様は、多数の基本色ドットによって表示されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記基本色ドットは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)のドットを含むことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針に指示される表示板を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示板に金属調加工を施した表示装置が種々提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。斯かる表示装置は、被印刷シートの裏面に、金属光沢を発する光反射層をスクリーン印刷すると共に、被印刷シートの表面に、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−111685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した表示装置は、金属調の高い質感が得られるという利点はあるが、光反射層による光の反射が強いため、視認性が良くないという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、金属調の質感を保ちながら、光の反射を抑制して、高い視認性を得ることができる表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、指針10と、前記指針10を回動させる回動軸22aを有する指針駆動部22と、前記回動軸22aに対応する個所に貫通孔40aが形成されており前記指針10に指示される指標部41を有する表示板40と、を備えた表示装置であって、前記表示板40は、金属光沢を発する光反射層46と、前記光反射層46上に印刷形成された意匠層47からなる旭光模様42と、
前記貫通孔40aを中心にした環状の傾斜部40cと、前記傾斜部40cに連なる平面部40b,40dと、を有すると共に、前記旭光模様42は、前記傾斜部40cの明度が前記平面部40b,40dの明度に比して低いものである。
【0008】
また、本発明は、前記旭光模様42は、多数の基本色ドットによって表示されているものである。
【0009】
また、本発明は、前記基本色ドットは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)のドットを含むことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0010】
金属光沢を発する光反射層上に、意匠層からなる旭光模様を印刷形成することによって、金属調の質感を保ちながら、光の反射を抑制して、高い視認性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。車両用表示装置は、指針10と、回路基板20と、ケース体30と、表示板40と、液晶表示器50と、後面カバー60と、を備えている。
【0013】
指針10は、透光性樹脂からなる指示部11と、不透明な樹脂からなる指針キャップ12と、回動軸22aが圧入されるボス部13と、指示部11を載置する指針座14とを有しており、後述する指標部41を指示部11にて指示する。回路基板20は、基板本体21と、基板本体21の後面側に実装された指針駆動部22と、基板本体21の表面側に実装された発光素子24,25と、を備えており、表示板40の後側に配置されている。
【0014】
基板本体21は、平板状のガラスエポキシ系基材に、指針駆動部22を駆動させる駆動回路、発光素子24,25を発光させる発光回路等を形成した硬質プリント基板からなる。駆動回路及び発光回路は、夫々、配線パターン,抵抗,コンデンサ等によって構成される。駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動する。発光回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、発光素子24,25を発光させる。
【0015】
指針駆動部22は、可動磁石式駆動装置,ステッピングモータ等からなるものである。指針駆動部22の回動軸22aは、基板本体21に形成された貫通孔21aに挿入され、指針駆動部22の回動軸22aには、指針10が取り付けられる。指針10のボス部13は、表示板40に形成された貫通孔40aに挿入される。表示板40の貫通孔40aは、指針駆動部22の回動軸22aに対応する個所に形成されており、正面視で円形状になっている。
【0016】
基板本体21の駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動して、指針10は、制御信号に応じた回転角度で回動軸22aを回転させる。これによって、指針10が車両速度に応じた所定の回転角度で回転し、指針10の指示部11が後述する指標部41を指示する。
【0017】
発光素子24,25は、夫々、1個以上の発光ダイオード等によって構成される。発光素子24は、表示板40を透過照明する。発光素子25は、指針10の指示部11を光輝させる。発光素子24,25は、制御部から供給される制御信号に基づいて駆動され、車両運転者によって操作されるイルミネーションスイッチ等に応じてオン/オフされる。
【0018】
ケース体30は白色の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、このケース体30に回路基板20が固定されている。ケース体30は、垂直部31,傾斜部32,平行部33,傾斜部34,垂直部35を有している。ケース体30の垂直部31は、円筒形状になっており、前端が表示板40の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。ケース体30の垂直部31は、発光素子24が発する照明光と、発光素子25が発する照明光とが混合されることを防ぐ遮光壁になっている。
【0019】
ケース体30の傾斜部32は、垂直部31の外周面から逆円錐状に広がる形状になっている。ケース体30の傾斜部32は、発光素子24が発した照明光を平行部33,傾斜部34に向けて反射させる。ケース体30の平行部33は、表示板40と平行な平板形状になっている。ケース体30の傾斜部34は、逆円錐状になっており、平行部33の外周端に連なっている。ケース体30の傾斜部34は、発光素子24が発した照明光を表示板40に向けて反射させる。ケース体30の垂直部35は、円筒形状になっており、後端が回路基板20の前面に当接している。ケース体30の垂直部35は、傾斜部34の外周端に連なっている。ケース体30の垂直部35は、前端が表示板40の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。
【0020】
表示板40は、立体的にプレス成形されており、指標部41を囲むように形成された断面円弧状の突出部40eと、指標部41よりも内側(即ち、指標部41よりも貫通孔40a側)に形成された傾斜部40cと、を有している。表示板40の突出部40eと傾斜部40cの間は、平面部40dになっている。表示板40の傾斜部40cと貫通孔40aの間は、平面部40bになっている。表示板40の平面部40b,40dは、回路基板20と平行になっている。表示板40の傾斜部40cは逆円錐状になっており、表示板40の平面部40bは、平面部40dよりも回路基板20に近くなっている。
【0021】
表示板40は、透光性シートからなる基材44の前面に、白色層45,メタリック層46,意匠層47,黒色層48,オーバーコート層49を順次、スクリーン印刷にて形成したものである。白色層45は、基材44の全域に形成されている。メタリック層46は、指標部41の近傍を除いて、基材44の全域に形成されており、金属光沢を発するものである。意匠層47は、白色層45上に形成された多数の微細な基本色ドッドからなるものであり、前記基本色ドットは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の4色のドットを有している。
【0022】
黒色層48には開口48aが形成されており、この開口48aが指標部41になっている。基材44の後面には、光拡散層43が形成されている。表示板40の指標部41には、白色層45,オーバーコート層49が順次形成されている。指標部41の周囲には、黒色層48が形成されている。
【0023】
表示板40の中央には、液晶表示器50の画像を視認する矩形の窓部40gが形成されている。液晶表示器50は、2個の指針式計器(速度計及び回転計)の間に配置されている。液晶表示器50には、積算走行距離等の車両情報が表示される。
【0024】
次に、表示板40について更に詳述する。表示板40は、指標部41と、旭光模様42と、を有している。表示板40の指標部41は、貫通孔40aを中心とした円弧状に配置されており、発光素子24が発した照明光によって透過照明される。表示板40の旭光模様42は、有彩色の模様であり、旭光を模したものである。
【0025】
表示板40の旭光模様42は、光反射層46からなるものであり、貫通孔40aを中心にして放射状に広がる模様である。表示板40の旭光模様42は、傾斜部40cで明度が低くなっている。つまり、平面部40b,40dにおける旭光模様42の明度に比較して、傾斜部40cにおける旭光模様42の明度が低くなっている。
【0026】
本実施形態によれば、メタリック層46上に、意匠層47からなる旭光模様42を印刷形成することによって、金属調の質感を保ちながら、光の反射を抑制して、高い視認性を得ることができる。また、旭光模様42は、傾斜部40cの明度が平面部40b,40dの明度に比して低くなっているため、表示板40の立体感が強調される。
【0027】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、意匠層47の基本色ドットが、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の4色のドットからなるものであったが、例えば、意匠層47の基本色ドットが、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の3色のドットからなるものであっても良いし、任意の2色のドットからなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 指針
22 指針駆動部
22a 回動軸
24 発光素子
25 発光素子
40 表示板
40a 貫通孔
40b 平面部
40c 傾斜部
40d 平面部
41 指標部
42 旭光模様
46 メタリック層(光反射層)
47 意匠層