(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512881
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-51961(P2015-51961)
(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-173620(P2016-173620A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松原 淳一
【審査官】
中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−016682(JP,A)
【文献】
特開2010−231715(JP,A)
【文献】
特開平08−044979(JP,A)
【文献】
特開平08−273080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 17/02−17/12
G08B 19/00−21/24
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末機器のアドレスに関連付けて連動番号が付与され、同一の連動番号が付与された連動元の状態に基づき連動先を連動させる火災受信機において、
同一の連動番号が付与されている場合であっても、連動先のアドレスに連動から除外する連動元のアドレスを関連付けることで前記関連付けられた連動元の状態に基づき連動しないが別の連動元の状態に基づき連動する、あるいは連動元のアドレスに連動から除外する連動先のアドレスを関連付けることで連動元の状態に基づき前記関連付けられた連動先は連動しないが別の連動先は連動するように連動除外設定可能な連動設定情報を格納する記憶部と、
連動元の状態および前記連動設定情報の連動除外設定に基づき連動制御を行う連動制御部を備えたことを特徴とする火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時に、防火戸等の被制御機器を連動させる火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災受信機は、火災検出を行う火災感知器やベルおよび防火戸等の被制御機器が端末機器として接続されていて、火災の発生を検出すると、火災発生場所近辺の被制御機器を連動させ、火災発生を周囲の人に知らせたり煙の拡散や延焼を防いだりする。火災受信機は、それぞれ個別のアドレスが付与された火災感知器と被制御機器とを関連付けた連動設定情報を有し、その連動設定情報に従って、火元の火災感知器に関連付けて連動設定された被制御機器を連動させている。
連動設定としては、火災感知器の個々のアドレス毎に、被制御機器のアドレスを設定して連動させるアドレス割り付け方式のほかに、近年では1つの防災区画に設置される端末機器のアドレスに関連付けて連動番号(ゾーン番号)を設定し、火元である火災感知器と同一の連動番号が設定された被制御機器を連動させる連動番号方式がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
連動番号方式による連動設定は、同一防災区画内に設置される連動元となる火災感知器と連動先となる被制御機器に関連付けて同一の連動番号を付与するのみなので設定が容易であるが、ある火災感知器が連動元である場合に、ある被制御機器を連動先から除外するといった連動設定をする場合は、複数の連動番号を利用して連動設定を行う。
具体的には、
図2のように、1つの防災区画にアドレス(以下、ADと呼ぶことがある)01〜05の火災感知器とAD11〜AD15の被制御機器が設置されていて、火災感知器AD05が連動元である場合に被制御機器AD13を連動先から除外する場合は以下のように連動設定する。
1つめの連動設定は、
図4(a)に点線で示した火災感知器AD05を除いた、他の端末機器に関連付けて連動番号Z01を付与する。2つめの連動設定は、
図4(b)に点線で示した火災感知器AD01〜AD04、被制御機器AD13を除いた、他の端末機器に関連付けて連動番号Z02を付与する。付与した結果は、
図5の通りであり、連動番号Z01で連動元である火災感知器AD01〜AD04と連動先である被制御機器AD11〜AD15が連動設定され、連動番号Z02で連動元である火災感知器AD05と連動先である火災感知器AD11、AD12、AD14、AD15が連動設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−133549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、同一防災区画に設置されている一部の火災感知器や一部の被制御機器を連動元や連動先から除外するような場合には、複数の連動番号を使用して連動設定する必要があり、連動番号方式のメリットである設定の容易性が損なわれてしまう。特に、たった1つあるいは少数のアドレスを除外する場合であっても多くのアドレスにもう1つの連動番号を付与しなければならず連動設定に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災受信機は、
端末機器のアドレスに関連付けて連動番号が付与され、同一の連動番号が付与された連動元の状態に基づき連動先を連動させる火災受信機において、
同一の連動番号が付与されている場合であっても、連動先のアドレスに連動から除外する連動元
のアドレスを関連付けることで前記関連付けられた連動元の状態に基づき連動しないが別の連動元の状態に基づき連動する、あるいは連動元のアドレスに連動から除外する連動先のアドレスを関連付けることで連動元の状態に基づき前記関連付けられた連動先は連動しないが別の連動先は連動するように連動除外設定可能な連動設定情報を格納する記憶部と、連動元の状態および前記連動設定情報の連動除外設定に基づき連動制御を行う連動制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連動設定情報を作成する際に、作成者は端末機器設置図で同一防災区画に設置されている端末機器に対して同じ連動番号を設定し、その後に連動元の火災感知器のアドレスに連動先から除外する被制御機器のアドレスを設定するだけでよく、連動設定情報を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る火災受信機の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る火災受信機の連動設定情報の基となる端末機器設置図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る火災受信機の連動設定情報を示す図である。
【
図4】従来の火災受信機の連動設定情報の基となる端末機器設置図のイメージ図である。
【
図5】従来の火災受信機の連動設定情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る火災受信機10の一例を示す概略構成図である。
(火災受信機の構成)
火災受信機10は、伝送部11、火災判定部12、記憶部13、連動制御部14および警報部15を備える。
伝送部11は、伝送線20を介して、図示しない火災感知器や被制御機器等の端末機器と接続され、端末機器と通信して情報の授受を行って端末情報を収集する。
火災判定部12は、伝送部11が火災感知器から収集した火災感知器の端末情報に基づき、火災発生の判定を行う。なお、火災判定部12は、火災感知器が火災を判断するシステムにおいては、火災感知器からの端末情報に火災情報が含まれているか否かで火災発生を判定し、火災感知器が煙濃度や温度等のアナログ値を送信するシステムにおいては、アナログ値が所定の値を超えているか否かで火災発生を判定する。これ以降の説明においては、火災感知器が火災を判断するシステムとして説明する。
【0010】
記憶部13は、どの火災感知器が連動元である場合に、どの被制御機器を連動させる連動先とするか連動番号により関連付けた連動設定情報を格納している。
ここで、
図2の端末機器設置図のように1つの防災区画である壁で囲まれた部屋に、火災感知器AD01〜AD05と被制御機器AD11〜AD15が設置されている場合であって、火災感知器AD05が連動元のときにAD13を連動先から除外する連動設定情報について
図3に基づき説明する。
図3に示す連動設定情報において、一番左のアドレス列に端末機器のアドレスを表示し、アドレスに関連付けて付与する連動番号をその右の連動番号列に表示している。また、連動除外設定として一番右の除外情報列には、アドレスに関連付けて同一連動番号が設定されている場合であっても連動先から除外するアドレスを表示している。
【0011】
連動制御部14は、火災判定部12が火災発生と判定した場合に、記憶部13の連動設定情報に基づき、被制御機器に伝送部11から制御命令を送信させ、被制御機器を連動させる。
警報部15は、火災判定部12が火災発生と判断した場合に、表示灯やスピーカによる音声出力等により警報を行う。
【0012】
(火災受信機の動作)
火災受信機10の動作について説明する。
火災受信機10は、伝送部11が伝送線20に接続された端末機器と通信して、端末機器から端末情報を収集する。火災判定部12は、収集された火災感知器の端末情報に火災情報が含まれていないか判定する。火災受信機10は火災感知器の情報の収集と火災情報が含まれていないかの判定を繰り返し行う。
【0013】
火災判定部12は、収集された火災感知器の情報に火災情報が含まれている場合、火災発生と判定し、火災情報を送信した火災感知器(以下、連動元火災感知器と呼ぶ)のアドレスを警報部15および連動制御部14に通知する。
警報部15は、連動元火災感知器のアドレスの通知を受け取ると、表示灯や音声出力等により火災発生の警報を行う。
連動制御部14は、連動元火災感知器のアドレスの通知を受け取ると、記憶部13から連動設定情報を読み込み、連動元火災感知器に付与された連動番号を取得する。連動制御部14は、取得した連動番号と同じ連動番号が付与され、かつ、連動元火災感知器の除外情報にアドレスが設定されていない被制御機器に対して、伝送部11を通じて連動命令を送信して被制御機器を動作させる。
【0014】
具体的には、記憶部13に
図3の連動設定情報が格納されている場合、連動制御部14は連動元火災感知器がAD01であれば、連動番号Z01を取得し、除外情報にアドレスが設定されていないため、連動番号Z01が付与されている被制御機器AD11〜AD15に連動命令を送信して動作させる。また、連動制御部14は連動元火災感知器がAD05であれば、連動番号Z01を取得し、除外情報にAD13が設定されているので、連動番号Z01が付与されている被制御機器AD11〜AD15のうち、AD13を除いた被制御機器AD11,AD12、AD14、AD15に対して連動命令を送信して動作させる。
【0015】
上記のように、火災受信機10は、連動設定情報に基づき連動元火災感知器と同一連動番号が付与されている連動先の被制御機器を動作させるが、連動先のアドレスが火災感知器の除外情報に設定されている場合には、その連動先の被制御機器機は動作させない。そのため、連動設定情報を作成する際に、作成者は端末機器設置図で同一防災区画に設置されている端末機器に対して同じ連動番号を設定し、その後に連動元の火災感知器のアドレスに連動先から除外する被制御機器のアドレスを設定するだけでよく、連動設定情報を容易に作成することができる。
【0016】
なお、連動設定情報の除外情報として、火災感知器AD05に連動先から除外する被制御機器AD13を設定したが、被制御機器AD13に火災感知器AD05を設定して、連動元から除外するようにしてもよい。
また、除外情報としてアドレスを設定するのではなく、連動番号を設定するようにしてもよい。これにより、例えば1つの棟の全ての端末機器に同一の連動番号を設定し、階別や防災区画別にそれぞれの連動番号を設定して、ある階や防災区画については連動から除外する等の設定が容易にできる。
また、上記においては、端末機器に対する連動設定について説明したが、これに限定されるものではなく、端末機器と同様に連動番号を付与して連動設定する全てのものに適用することができる。例えば、連動元の一例として火災受信機の外部入力端子への入力があり、連動先の一例として火災受信機の外部出力端子からの出力がある。
また、上記においては、端末機器にアドレスを付与し、通信により情報の授受を行う、R型の火災受信機について説明したが、複数の火災感知器を接続した感知器回線毎に火災判断するP型の火災受信機に適応し、1つの感知器回線を1つの連動元として同様に連動設定することができる。
【符号の説明】
【0017】
10 火災受信機、11 伝送部、12 火災判定部、13 記憶部、14 連動制御部、15 警報部、20 伝送線、AD01〜AD05 火災感知器(連動元)、AD11〜AD15 被制御機器(連動先)