特許第6512894号(P6512894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6512894処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512894
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20190425BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190425BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   H01L21/30 569C
   H01L21/304 643A
   H01L21/30 564C
   G03F7/30 501
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-66617(P2015-66617)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-187000(P2016-187000A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−084324(JP,A)
【文献】 特開2005−108978(JP,A)
【文献】 特開2011−233907(JP,A)
【文献】 特開2016−139665(JP,A)
【文献】 特開2012−191141(JP,A)
【文献】 特開2014−168734(JP,A)
【文献】 特開2013−071026(JP,A)
【文献】 特開2004−280082(JP,A)
【文献】 特開2010−103131(JP,A)
【文献】 特開平11−204416(JP,A)
【文献】 特開2003−178965(JP,A)
【文献】 特開2015−068438(JP,A)
【文献】 特開2008−008415(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0781457(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/027、
G03F 7/30、
B05C 7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を流通させる処理液流路と、
前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、
前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路に設けられ、処理液を流通させる開口部を有する弁座と、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記開口部に通して前記開口部との隙間を調整することで前記処理液流路の絞りを調整するニードルと、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記ニードルの先端部が突出するように前記ニードルに取り付けられることで前記ニードルと連動し、前記下流側処理液流路の体積を変化させるダイアフラムと、
前記ニードルを駆動させる弁体駆動部と、
前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルを移動させて前記処理液の流量を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理液供給装置において、
前記弁体駆動部は、モータであることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の処理液供給装置において、
前記制御部は、前記弁体駆動部で前記ニードルをサックバック基準位置に移動させて前記処理液の流量を少なくさせた後、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じ、更に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを移動させて前記処理液流路の体積を大きくすることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記制御部は、前記下流側処理液流路の体積を大きくした状態の前記ニードルの位置から、予め設定された流量になる位置に、前記弁体駆動部で前記ニードルを移動させて、前記処理液流路を前記開閉弁で開けることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項5】
処理液を流通させる処理液流路と、
前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記処理液流路の絞りを調整する弁体と、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記弁体と連動し、前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部と、
前記弁体を駆動させる弁体駆動部と、
前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて前記処理液の流量を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記下流側処理液流路の体積を大きくした状態の前記弁体の位置から予め設定された流量になる位置に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて、更に、前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開けることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項6】
請求項4に記載の処理液供給装置において、
予め設定された流量となる位置に前記ニードルを下降させる際に、前記弁体駆動部により、前記予め設定された流量になるように前記ニードルの下降速度を変更することを特徴とする処理液供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記処理液流路は、単一部品で構成されていることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項8】
請求項1から4、6のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記ニードルよりも下流に設けられ、配管を介在して前記処理液流路と接続し、前記処理液を吐出する吐出ノズルを更に備えていることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記処理液は、現像液であることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項10】
請求項1から4、6、8のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記制御部は、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを往復移動させることを特徴とする処理液供給装置。
【請求項11】
処理液を流通させる処理液流路と、
前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記処理液流路の絞りを調整する弁体と、
前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部と、
前記弁体を駆動させる弁体駆動部と、
前記弁体よりも下流に設けられ、配管を介在して前記処理液流路と接続し、前記処理液を吐出する吐出ノズルと、
を備えることを特徴とする処理液供給装置の制御方法であって、
前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくする工程と、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて前記処理液の流量を調整する工程と、
容器に入っている液体に前記吐出ノズルの先端部を浸す工程と、
前記吐出ノズルの先端部を前記液体に浸した状態でかつ、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を往復移動させる工程と、
を備えることを特徴とする処理液供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板を処理する基板処理装置において、基板に対して処理液を供給する処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処理液として現像液を供給する場合、従来の処理液供給装置は、図8のように、現像液を吐出する吐出ノズル111と、現像液供給源113から吐出ノズル111に現像液を送るための配管115とを備えている。配管115には、ポンプPおよび開閉弁117が介在して設けられている。
【0003】
開閉弁117は、流量調整可能に構成されており、気体供給部147により、気体を出し入れすることで駆動される。また、操作者は、開閉弁117の流量調整ハンドル118を回転させることで、開閉弁117が開状態において、任意の流量(流速)の現像液を流すことができる。
【0004】
なお、処理液として例えばフォトレジスト液を供給する場合、従来の処理液供給装置は、吐出ノズルと開閉弁との間にサックバック弁が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5442232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現像液を供給する場合においても、基板上等への現像液のぼた落ちを防止することが望まれている。また、上述のように、現像液の流量調整は、操作者が感覚的に流量調整ハンドル118を回転させることによって行われるので、流量調整が難しい。そのため、処理液の流量調整を容易にできることが望ましい。また、例えば、配管を流れる現像液の流量が多い(すなわち流速が大きい)と、開閉弁で流路を速く閉じた際に、その閉動作時の衝撃で現像液がちぎれて、現像液がぼた落ちしてしまう。そのため、より確実にぼた落ちを防止することが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整を合理的な構成で行える処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法を提供することを第1目的とする。また、第2目的は、より確実にぼた落ちを防止できる処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る処理液供給装置は、処理液を流通させる処理液流路と、前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路に設けられ、処理液を流通させる開口部を有する弁座と、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記開口部に通して前記開口部との隙間を調整することで前記処理液流路の絞りを調整するニードルと、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記ニードルの先端部が突出するように前記ニードルに取り付けられることで前記ニードルと連動し、前記下流側処理液流路の体積を変化させるダイアフラムと、前記ニードルを駆動させる弁体駆動部と、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルを移動させて前記処理液の流量を調整する制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る処理液供給装置によれば、処理液流路を開閉させる開閉弁よりの下流には、処理液を流通させる開口部を有する弁座と、開口部に通して前記開口部との隙間を調整することで処理液流路の絞りを調整するニードルと、ニードルと連動し、開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させるダイアフラムが設けられている。ニードルは、弁体駆動部で駆動される。ダイアフラムは、ニードルの先端部が突出するようにニードルに取り付けられることでニードルと連動する。制御部は、処理液流路を開閉弁で閉じている際に、弁体駆動部でニードルと連動するダイアフラムを移動させて下流側処理液流路の体積を大きくする。そのため、サックバックでき、処理液のぼた落ちを防止できる。また、制御部は、処理液流路を開閉弁で開いている際に、弁体駆動部でニードルを移動させて処理液の流量を調整する。そのため、操作者の感覚により調整されていた処理液の流量調整を弁体駆動部によって容易に調整できる。また、同一の弁体駆動部で、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整ができるので、個別に弁体駆動部等を設ける構成に比べて、構成の無駄を省き、省スペースなものにすることができる。そのため、基板ごとに異なる流量で処理液を供給でき、また、同一基板において、処理液の流量を途中で変えることができる。
【0010】
また、上述の処理液供給装置において、前記弁体駆動部は、モータであることが好ましい。弁体駆動部がモータであることで、複数回に分けて、すなわち多段階にサックバックさせることが容易である。また、流量調整のためのニードル位置の変えることが容易である。
【0011】
また、上述の処理液供給装置において、前記制御部は、前記弁体駆動部で前記ニードルをサックバック基準位置に移動させて前記処理液の流量を少なくさせた後、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じ、更に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを移動させて前記処理液流路の体積を大きくすることが好ましい。これにより、処理液流路を開閉弁で閉じる際に、処理液の流量が少なくなるので、処理液の流量が多いことで生じる処理液のぼた落ちを抑えることができる。すなわち、より確実にぼた落ちを防止することができる。
【0012】
また、上述の処理液供給装置において、前記制御部は、前記下流側処理液流路の体積を大きくした状態の前記ニードルの位置から、予め設定された流量になる位置に、前記弁体駆動部で前記ニードルを移動させて、前記処理液流路を前記開閉弁で開けることが好ましい。サックバックさせるとニードルの位置が変動するが、処理液流路を開閉弁で開けた際に、予め設定された流量の処理液を供給することができる。
【0013】
また、本発明に係る処理液供給装置は、処理液を流通させる処理液流路と、前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記処理液流路の絞りを調整する弁体と、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記弁体と連動し、前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部と、前記弁体を駆動させる弁体駆動部と、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて前記処理液の流量を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、前記下流側処理液流路の体積を大きくした状態の前記弁体の位置から予め設定された流量になる位置に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて、更に、前記下流側処理液流路の体積を大きくし、前記処理液流路を前記開閉弁で開けることを特徴とするものである。
本発明に係る処理液供給装置によれば、処理液流路を開閉させる開閉弁よりの下流には、処理液流路の絞りを調整する弁体と、弁体と連動し、開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部が設けられている。弁体は、弁体駆動部で駆動される。制御部は、処理液流路を開閉弁で閉じている際に、弁体駆動部で弁体と連動する体積変化部を移動させて下流側処理液流路の体積を大きくする。そのため、サックバックでき、処理液のぼた落ちを防止できる。また、制御部は、処理液流路を開閉弁で開いている際に、弁体駆動部で弁体を移動させて処理液の流量を調整する。そのため、操作者の感覚により調整されていた処理液の流量調整を弁体駆動部によって容易に調整できる。また、同一の弁体駆動部で、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整ができるので、個別に弁体駆動部等を設ける構成に比べて、構成の無駄を省き、省スペースなものにすることができる。そのため、基板ごとに異なる流量で処理液を供給でき、また、同一基板において、処理液の流量を途中で変えることができる。
また、処理液流路を開閉弁で開ける際に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて、前記下流側処理液流路の体積を更に大きくして予め設定された流量する。そのため、処理液が押し出されず、更にサックバックされる。そのため、液だれする心配がない。
【0014】
また、上述の処理液供給装置の一例は、予め設定された流量となる位置に前記ニードルを下降させる際に、前記弁体駆動部により、前記予め設定された流量になるように前記ニードルの下降速度を変更することである。例えば、予め設定された流量となる位置にニードルを下降させる際であって、吐出ノズルより処理液が吐出されてしまうときに、ニードルの下降速度を変更して予め設定された流量で吐出ノズルより吐出する。これにより、ニードル移動により吐出する処理液の流量を、処理液流路を開閉弁で開けているときの流量に近づけることができる。
【0015】
また、上述の処理液供給装置において、前記処理液流路は、単一部品で構成されていることが好ましい。これにより、開閉弁と流量調整機能を有するサックバック弁を一体とした構成とすることができ、簡易な構成とすることができる。
【0016】
また、上述の処理液供給装置の一例は、前記ニードルよりも下流に設けられ、配管を介在して前記処理液流路と接続し、前記処理液を吐出する吐出ノズルを更に備えていることである。これにより、吐出ノズル内に処理液を吸引でき、また、吐出ノズルから吐出する処理液を流量調整できる。
【0017】
また、上述の処理液供給装置において、前記処理液の一例は、現像液である。現像液のぼた落ちを防止し、現像液を流量調整できる。
【0018】
また、上述の処理液供給装置の一例は、前記制御部は、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記ニードルと連動する前記ダイアフラムを往復移動させることである。例えば、処理液として現像液を吐出する吐出ノズルの先端部を純水に浸し、純水を吸引させたり、吸引した純水を一定時間保持したり、吸引した純水を押し出したりすることにより、吐出ノズル先端を洗浄させることができる。
【0019】
本発明に係る処理液供給装置の制御方法は、前記処理液流路を開閉させる開閉弁と、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記処理液流路の絞りを調整する弁体と、前記開閉弁よりも下流に設けられ、前記開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部と、前記弁体を駆動させる弁体駆動部と、前記弁体よりも下流に設けられ、配管を介在して前記処理液流路と接続し、前記処理液を吐出する吐出ノズルと、を備えることを特徴とする処理液供給装置の制御方法であって、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を移動させて前記下流側処理液流路の体積を大きくする工程と、前記処理液流路を前記開閉弁で開いている際に、前記弁体駆動部で前記弁体を移動させて前記処理液の流量を調整する工程と、容器に入っている液体に前記吐出ノズルの先端部を浸す工程と、前記吐出ノズルの先端部を前記液体に浸した状態でかつ、前記処理液流路を前記開閉弁で閉じている際に、前記弁体駆動部で前記弁体と連動する前記体積変化部を往復移動させる工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る処理液供給装置の制御方法によれば、処理液流路を開閉させる開閉弁よりの下流には、処理液流路の絞りを調整する弁体と、弁体と連動し、開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部が設けられている。弁体は、弁体駆動部で駆動される。制御により、処理液流路を開閉弁で閉じている際に、弁体駆動部で弁体と連動する体積変化部を移動させて下流側処理液流路の体積を大きくする。そのため、サックバックでき、処理液のぼた落ちを防止できる。また、制御により、処理液流路を開閉弁で開いている際に、弁体駆動部で弁体を移動させて処理液の流量を調整する。そのため、操作者の感覚により調整されていた処理液の流量調整を弁体駆動部によって容易に調整できる。また、同一の弁体駆動部で、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整ができるので、個別に弁体駆動部等を設ける構成に比べて、構成の無駄を省き、省スペースなものにすることができる。そのため、基板ごとに異なる流量で処理液を供給でき、また、同一基板において、処理液の流量を途中で変えることができる。
また、吐出ノズルの先端部を液体に浸した状態でかつ、処理液流路を開閉弁で閉じている際に、弁体駆動部でニードルと連動するダイアフラムを往復移動させている。例えば、処理液として現像液を吐出する吐出ノズルの先端部を純水に浸し、純水を吸引させたり、吸引した純水を一定時間保持したり、吸引した純水を押し出したりすることにより、吐出ノズル先端を洗浄させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る処理液供給装置および処理液供給装置の制御方法によれば、処理液流路を開閉させる開閉弁よりの下流には、処理液流路の絞りを調整する弁体と、弁体と連動し、開閉弁よりも下流の下流側処理液流路の体積を変化させる体積変化部が設けられている。弁体は、弁体駆動部で駆動される。制御により、処理液流路を開閉弁で閉じている際に、弁体駆動部で弁体と連動する体積変化部を移動させて下流側処理液流路の体積を大きくする。そのため、サックバックでき、処理液のぼた落ちを防止できる。また、制御により、処理液流路を開閉弁で開いている際に、弁体駆動部で弁体を移動させて処理液の流量を調整する。そのため、操作者の感覚により調整されていた処理液の流量調整を弁体駆動部によって容易に調整できる。また、同一の弁体駆動部で、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整ができるので、個別に弁体駆動部等を設ける構成に比べて、構成の無駄を省き、省スペースなものにすることができる。
【0022】
また、制御により、弁体駆動部で弁体をサックバック基準位置に移動させて処理液の流量を少なくさせた後、処理液流路を開閉弁で閉じ、更に、弁体駆動部で弁体と連動する体積変化部を移動させて処理液流路の体積を大きくする。これにより、処理液流路を開閉弁で閉じる際に、処理液の流量が少なくなるので、処理液の流量が多いことで生じる処理液のぼた落ちを抑えることができる。すなわち、より確実にぼた落ちを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】開閉弁と、流量調整機能を有するサックバック弁を示す縦断面図である。
図3】開閉弁と、流量調整機能を有するサックバック弁の動作を説明するためのタイミング図である。
図4】(a)は、処理液供給装置の動作を説明するための図であって、基板に対する吐出ノズルの位置を示す図であり、(b)は、(a)の位置関係における吐出量(流量)の一例を示す図であり、(c)は、(a)の位置関係における吐出量(流量)の他例を示す図である。
図5】変形例に係る、開閉弁と、流量調整機能を有するサックバック弁の動作を説明するためのタイミング図である。
図6】変形例に係る、開閉弁と、流量調整機能を有するサックバック弁を示す縦断面図である。
図7】変形例に係る処理液供給装置の動作を説明するための図である。
図8】従来の処理液供給装置の概略構成を示すブロック図である。
【実施例】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、開閉弁と、流量調整機能を有するサックバック弁を示す縦断面図である。
【0025】
<基板処理装置1の構成>
図1を参照する。基板処理装置1は、略水平姿勢で基板Wを保持して回転させる保持回転部2と、処理液を供給する処理液供給部3とを備えている。処理液は、例えばフォトレジスト液の塗布液、現像液、溶剤、または純水等のリンス液が用いられる。処理液供給部3は、本発明の処理液供給装置に相当する。
【0026】
保持回転部2は、例えば真空吸着により基板Wの裏面を保持するスピンチャック4と、スピンチャック4を略垂直方向の回転軸AX周りに回転させ、モータ等で構成される回転駆動部5とを備えている。保持回転部2の周りには、基板Wの側方を囲うように、上下移動可能なカップ6が設けられている。
【0027】
処理液供給部3は、基板Wに対して処理液を吐出する吐出ノズル11と、処理液を貯留するタンクなどで構成される処理液供給源13と、処理液供給源13から吐出ノズル11まで処理液を送るための処理液配管15とを備えている。処理液配管15には、処理液供給源13から順番に、ポンプP、開閉弁17および、流量調整機能を有するサックバック弁19が介在されている。なお、処理液配管15には、その他の構成を介在させてもよい。例えば、ポンプPと開閉弁17との間には、フィルタ(図示しない)が介在されてもよい。なお、処理液配管15は、本発明の配管に相当する。
【0028】
吐出ノズル11は、ノズル移動機構21により、基板Wの外側の待機ポット23と基板W上方の吐出位置との間で移動される。ノズル移動機構21は、支持アームおよびモータ等で構成されている。なお、吐出ノズル11は、サックバック弁19よりも下流に設けられ、処理液配管15を介在して後述する処理液流路70と接続する。
【0029】
ポンプPは、処理液を吐出ノズル11に送り出すためのものである。開閉弁17は、処理液の供給と処理液の供給停止を行う。サックバック弁19は、開閉弁17の動作と組み合わせることで処理液をサックバック(吸引)し、また、処理液の流量(流速)を調整する。開閉弁17とサックバック弁19は、後で詳細な説明を行う。なお、流量調整機能を有するサックバック弁19は、サックバック機能を有する流量調整弁とも言える。
【0030】
処理液供給部3は、中央演算処理装置(CPU)などで構成された制御部31と、基板処理装置1を操作するための操作部33とを備えている。制御部31は、基板処理装置1の各構成を制御する。操作部33は、液晶モニタなどの表示部と、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスク等の記憶部と、キーボード、マウス、および各種ボタン等の入力部とを備えている。記憶部には、開閉弁17およびサックバック弁19を制御するための条件や、その他、基板処理条件が記憶されている。
【0031】
<開閉弁17と、流量調整機能を有するサックバック弁19>
次に、開閉弁17およびサックバック弁19の詳細な構成を説明する。図2を参照する。開閉弁17は、後述する上流側流路43、開閉室内流路50、連結流路51、弁室内流路63、下流側流路67からなる処理液流路70を開閉させる。サックバック弁19は、開閉弁17の動作と組み合わせて、処理液をサックバックし、また、処理液の流量を調整する。
【0032】
〔開閉弁17の構成〕
開閉弁17は、処理液配管15の経路途中に設けられており、上流側流路43、開閉室41、サックバック弁19の弁室61と連通する連結流路51とを直列に連結して構成されている。処理液配管15は、上流側継手部71により開閉室41に取り付けており、開閉弁17の上流側流路43と流路接続している。開閉弁17は、後述するようにその開閉動作によって開閉室41内において、処理液の流れを流通状態と遮断状態とに切り替える。
【0033】
上流側流路43の端部は開閉室41の底部に連通接続されている。なお、処理液配管15の他端部はポンプPに接続されている。よって、ポンプPから送り出された処理液は上流側流路43を通過して開閉室41の開閉室内流路50に流れ込む。
【0034】
開閉室41は中空の箱状部材であり、その内部にはピストン42と、バネ47と、隔壁45と、弁体としてのダイヤフラム46とが設けられている。ピストン42は、開閉室41の内部にて図面の縦方向に沿って摺動自在に構成されている。バネ47は、ピストン42の上面と開閉室41の上部内壁面との間に配置されている。
【0035】
隔壁45は開閉室41の内部を上下に仕切る平板状の部材であって、その中央部にはピストン42が貫通している。ピストン42は隔壁45に対して摺動自在ではあるものの、ピストン42と隔壁45との接触部分は完全にシールされており、気体配管48aから開閉室41に空気が送り込まれたときにその空気が隔壁45よりも下側(ダイヤフラム46側)に漏れることはない。
【0036】
ダイヤフラム46の周縁部は開閉室41の内壁面に固設されている。ダイヤフラム46の中央部はピストン42の下端部と固設されている。
【0037】
開閉室41の底部中央には第1弁座44が設けられている。連結流路51は、開閉室41の第1弁座44と後述するサックバック弁19の弁室61の弁室内流路63とを連通接続する。
【0038】
開閉室41の側壁には、気体供給部48からの気体を吸気および排気させるための吸排気口49が設けられている。気体供給部48は、制御部31により制御される。気体供給部48は、気体供給源、気体開閉弁およびスピードコントローラ等(いずれも図示しない)で構成される。気体供給部48は、制御部31の制御によって気体配管48aを通じて吸排気口49に気体を供給することができ、また、吸排気口49から気体を排気させてことができる。
【0039】
以上のような開閉弁17の構成において、気体供給部48から吸排気口49を介して開閉室41内部に気体が供給されると、ピストン42がバネ47の弾性力に抗して押し上げられた状態(図2の実線で示す状態)となる。ピストン42が押し上げられると、それに固設されたダイヤフラム46が変形されて第1弁座44から離間する。
【0040】
図2の実線で示すように、弁体であるダイヤフラム46が第1弁座44から離間すると、上流側流路43、開閉室内流路50、連結流路51とがそれぞれ連通状態となり、ポンプPから送り出された処理液は上流側流路43から開閉室内流路50、連結流路51、後述する弁室内流路63、下流側流路67を経て吐出ノズル11に到達し、吐出ノズル11から基板Wに向けて処理液が吐出されることとなる。すなわち、図2で示す状態が処理液流路70が開放された処理液が流通する状態である。すなわち、処理液流路70を開閉弁17で開けている状態(開状態)である。
【0041】
逆に、気体供給部48から吸排気口49を介して開閉室41内部に気体が排気されると、開閉室41内の圧力が低くなり、バネ47の復元力に抗してピストン42を押し上げる圧力が存在しなくなる。このため、バネ47の復元力によって図2の点線で示すようにピストン42が押し下げられる。ピストン42が押し下げられると、それに固設されたダイヤフラム46が図2の点線で示すように変形されて第1弁座44に密着する。
【0042】
図2に示すように、弁体であるダイヤフラム46が第1弁座44に密着すると、開閉室流路50と連結流路51とが遮断された状態となり、ポンプPから送り出された処理液は、連結流路51側へと流れることができず、処理液の流れが停止する。すなわち、処理液流路70を開閉弁17で閉じている状態(閉状態)になる。
【0043】
このように、気体供給部、ピストン42、バネ47等が弁体としてのダイアフラム46を作動させる作動手段として機能するものである。
【0044】
〔流量調整機能を有するサックバック弁19の構成〕
サックバック弁19は、図2のように、開閉弁17よりも下流に設けられている。サックバック弁19は、中空の箱状部材である弁室61と、弁室61内部を図2の上下方向に移動可能に設けられたニードル62と、下流側流路67とを備えている。
【0045】
弁室61内部には、処理液を流通させる弁室内流路63が設けられている。また、弁室61の底部中央にはニードル62を受ける第2弁座64が設けられており、第2弁座64には、例えば、処理液が流れる開口部64aが設けられている。開口部64aは、下流側流路67と流路接続している。処理液配管15は、下流側継手部72により弁室61に取り付けており、サックバック弁19の下流側流路67と流路接続している。第2弁座64がニードル62を受けると、ニードル62で開口部64aが塞がれる。これにより、弁室内流路63と下流側流路との流路間が閉じられる。
【0046】
また、ニードル62は、弁室内流路63と下流側流路67との間に形成される流路幅(開口部64aの開口具合)、換言すれば処理液流路70流路の絞りを調整するように構成されている。すなわち、ニードル62は、第2弁座64の開口部64aとの隙間を調整することで、その隙間を流れる処理液の流量を調整できるようになっている。
【0047】
また、サックバック弁19は、ニードル62の先端部に取り付けられたダイアフラム66と、ニードル62を図2の上下方向に駆動させるモータ68とを備えている。ダイアフラム66の周縁部は、弁室61内部の側壁61aに固定されており、ダイアフラム66は、ニードル62の移動方向を横切るように弁室61内部を隔てている。
【0048】
また、ダイアフラム66は、図2のように、ニードル62と連動する。これにより、ダイアフラム66は、開閉弁17よりも下流の連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を変化させることできる。つまり、ニードル62の移動により、第2弁座64との隙間の調整と、連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積の変化が同時に行われる。
【0049】
ニードル62は、本発明の弁体に相当し、ダイアフラム66は、本発明の体積変化部に相当する。モータ68は、本発明の弁体駆動部に相当する。
【0050】
モータ68は、制御部31により、例えばパルス数が与えられて制御される。モータ68の回転は、図示しない機構で変換されて、ニードル62に上下方向の駆動力が与えられる。例えば、制御部31は、開閉弁17が閉状態のときに、モータ68でニードル62と連動するダイアフラム66を移動させて連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を大きくし、サックバックする。また、制御部31は、開閉弁17が開状態のときに、モータ68でニードル62を移動させて処理液の流量を調整する。なお、モータ68には、ニードル62の上下方向の正確な移動量を得られるように、ロータリーエンコーダ等の図示しないセンサが取り付けられていることが好ましい。
【0051】
また、開閉弁17とサックバック弁19は、隣り合わせに配置されている。そのため、開閉弁17とサックバック弁19は、一体的に構成されて、簡易な構成となっている。また、開閉弁17の上流側流路43と、サックバック弁19の下流側流路67と、開閉室内流路50と弁室内流路63とを連結する連結流路51とは、単一部品で構成されてもよい。この場合、例えば、図2の破線Lの下側の開閉室41および弁室61のように、開閉室41の一部と、弁室61の一部とが単一部品で構成されてもよい。
【0052】
また、上流側流路43、開閉室内流路50、連結流路51、弁室内流路63および下流側流路67は、処理液を流通させる処理液流路70を形成する。なお、連結流路51、弁室内流路63および下流側流路67は、本発明の下流側処理液流路に相当する。
【0053】
<基板処理装置1の動作>
次に、基板処理装置1の動作のうち、特に、処理液供給部3の動作について説明する。図3は、開閉弁17と流量調整機能を有するサックバック弁19の動作を説明するためのタイミング図である。制御部31は、予め設定された吐出条件(レシピ)に基づき、基板処理装置1の各構成を制御する。
【0054】
本発明では、開閉弁17の開閉に応じて、サックバック弁19のモータ68でニードル62を移動させることで、処理液のサックバック(ぼた落ち防止)と流量調整を行っている。この際、サックバックすると流量調整が乱れ、流量調整するとサックバックが乱れる。本発明は、その点を考慮した動作となっている。
【0055】
なお、サックバック弁19において、モータ68でニードル62を昇降させるが、上昇は、ニードル62と第2弁座64とが離れる動作であり、下降は、ニードル62と第2弁座64とが近づく動作である。また、図3および後述する図5において、ニードル62位置が“0”とは、処理液が流通するか否かに関わらず、ニードル62と第2弁座64とが最も接近した位置を示す。
【0056】
まず、図1の基板処理装置1において、図示しない搬送機構により保持回転部2に基板Wが搬送される。保持回転部2は、基板Wの裏面を保持し、保持した基板Wを回転させる。また、ノズル移動機構21は、基板W外側の待機ポット23から基板W上方の吐出位置に吐出ノズル11を移動させる。制御部31は、開閉弁17およびサックバック弁19を制御して、吐出ノズル11から処理液を吐出する。なお、ポンプPは、駆動されており、開閉弁17が開状態になると、処理液供給源13に貯留された処理液が送り出される。
【0057】
図3の時間t0において、開閉弁17は、開状態であり、吐出ノズル11より処理液が吐出されている。また、開閉弁17が開いている際に、サックバック弁19では、モータ68でニードル62を位置NAに移動させて、位置NAに対応する処理液の流量に調整させている。
【0058】
制御部31は、吐出ノズル11からの処理液の吐出を停止させる際において、開閉弁17を閉状態にさせる前に、流量を少なくして、より確実にぼた落ちを防止する動作を行う。すなわち、時間t1において、制御部31は、モータ68でニードル62をサックバック基準位置SB0に移動させて、処理液の流量を少なくさせる。その後、時間t2において、制御部31は、処理液流路70の開閉室内流路50と連結流路51間を開閉弁17で閉じ、閉状態にする。
【0059】
更に、時間t3において、制御部31は、モータ68でニードル62をサックバック実行位置SB1に移動させて、サックバックを行う。言い換えると、制御部31、モータ68でニードル62と連動するダイアフラム66を移動させて、連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を大きくする。これにより、吐出ノズル11の先端内部の処理液がサックバック(吸引)される。なお、時間t2と時間t3は、同じタイミングであってもよい。時間t2が時間t3よりも少々遅れてもよい。また、サックバックは、ニードル62の移動量SDが設定されている。移動量SDは、一定であってもよく、変化させてもよい。
【0060】
基板Wへの処理液の吐出が終了し、保持回転部2上の基板Wの入れ替えを行う。すなわち、図1の保持回転部2は、基板Wの回転を停止し、基板Wの保持を解除する。ノズル移動機構21は、吐出ノズル11を基板Wの外側の待機ポット23に移動させる。そして、図示しない搬送機構により、基板Wが入れ替えられる。上述のように、保持回転部2は、基板Wの裏面を保持し、保持した基板Wを回転させる。また、ノズル移動機構21は、基板W外側の待機ポット23から基板W上方の吐出位置に吐出ノズル11を移動させる。
【0061】
再度、吐出ノズル11から処理液を吐出する。本発明のサックバック弁19の構造上、サックバック動作のためにニードル62が移動する。ニードル62が移動すると、再度の流量調整が必要となる。制御部31は、時間t4において、連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を大きくした状態のニードル62のサックバック実行位置SB1から、予め設定された流量になる位置に、モータ68でニードル62を移動させて、時間t5において、開閉弁17を開ける。
【0062】
時間t4の動作について、2つの制御例を説明する。2つの制御例とは、位置NBに上昇させる場合と、位置NCに下降させる場合である。
【0063】
まず、サックバック実行位置SB1から位置NBにニードル62を上昇させる場合について説明する。制御部31は、時間t4において、サックバック実行位置SB1から位置NBに、モータ68でニードル62を上昇させる。ニードル62を上昇させると、ニードル62と連動するダイアフラム66も上昇する。そのため、更にサックバックされることになる。その状態で、時間t5において、制御部31は、処理液流路70を開閉弁17で開けて、吐出ノズル11から処理液を吐出する。処理液流路70を開閉弁17で開ける際に、サックバック実行位置SB1から上昇させるので、吐出ノズル11から処理液が押し出されず、更にサックバックされる。そのため、液だれの心配がない。
【0064】
次に、サックバック実行位置SB1から位置NCにニードル62を下降させる場合について説明する。制御部31は、時間t4において、サックバック実行位置SB1から位置NCに、モータ68でニードル62を下降させる。ニードル62を下降させるので、処理液を押し出すことになる。そのため、ニードル62の下降量によっては、吐出ノズル11から処理液が吐出される可能性がある。
【0065】
そこで、制御部31は、予め設定された流量Fとなる位置NCにニードル62を下降させる際に、モータ68により、予め設定された流量Fになるようにニードル62の移動速度を変更する。すなわち、ニードル62の位置NCでの流量Fと同じまたは近づけた流量Fになるように、ニードル62の下降速度(図3の勾配81参照)を調整する。続けて、制御部31は、時間t6において、制御部31は、処理液流路70を開閉弁17で開けて、吐出ノズル11から処理液を吐出する。ニードル62の下降速度を調整し、続けて、開閉弁17を開状態にさせるので、予め設定された流量Fの処理液を連続して自然に流すことができる。
【0066】
所定時間、吐出ノズル11から処理液を吐出した後、上述のように、時間t6において、サックバック弁19のニードル62をサックバック基準位置SB0に下降させて、流量を少なく調整した後、時間t7において、開閉弁17を開状態にさせる。時間t8において、サックバック弁19のニードル62をサックバック実行位置SB1に上昇させて、ニードル62と連動するダイアフラム66を上昇させることで、サックバックさせる。
【0067】
次に、図4(a)〜図4(c)を参照して、同一基板W内で吐出流量を変更させる場合について説明する。本発明によれば、図3の位置NAと位置NBのように、異なる基板W毎に、または、複数の基板がセットになっている場合はセット毎に、流量調整が容易である。更に、同一基板W内においても流量調整が容易である。
【0068】
図4(a)は、基板Wに対する吐出ノズル11の位置を示す図である。そして、図4(b)は、図4(a)の位置関係における吐出量(流量)の一例を示す図である。吐出ノズル11から処理液を吐出しつつ、ノズル移動機構21により、基板Wの中心Cから基板Wの端部Eに吐出ノズル11を移動させる場合がある。この場合、端部Eから例えば50mmの幅に対して、図4(b)のように、吐出量を増やしてもよい。また、必要によっては、減らしてもよい。また、図4(c)のような傾斜で、吐出ノズル11から処理液を吐出させてもよい。
【0069】
本実施例によれば、処理液流路70を開閉させる開閉弁17よりの下流には、弁室内流路63と下流側流路67との間に形成される流路幅(開口部64aの開口具合)を調整するニードル62と、ニードル62と連動し、開閉弁17よりも下流の連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を変化させるダイアフラム66が設けられている。ニードル62は、モータ68で駆動される。制御部31は、処理液流路70を開閉弁17で閉じている際に、モータ68でニードル62と連動するダイアフラム66を移動させて連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を大きくする。そのため、サックバックでき、処理液のぼた落ちを防止できる。また、制御部31は、処理液流路70を開閉弁17で開いている際に、モータ68でニードル62を移動させて処理液の流量を調整する。そのため、操作者の感覚により調整されていた処理液の流量調整をモータ68によって容易に調整できる。また、同一のモータ68で、処理液のぼた落ち防止と処理液の流量調整ができるので、個別にモータ68等を設ける構成に比べて、構成の無駄を省き、省スペースなものにすることができる。そのため、基板Wごとに異なる流量で処理液を供給でき、また、同一基板Wにおいて、処理液の流量を途中で変えることができる。
【0070】
また、本実施例によれば、開閉弁17は主に開閉に用いられ、サックバック弁19は、詳細な調整が行える構成になっている。そのため、例えば、開閉弁17を簡易なものを選択することができる。
【0071】
また、モータ68は、サックバック弁19のニードル62を駆動するので、複数回に分けて、すなわち多段階にサックバックさせることが容易である。また、流量調整のためのニードル62位置の変えることが容易である。
【0072】
また、制御部31は、モータ68でニードル62をサックバック基準位置SB0に移動させて処理液の流量を少なくさせた後、処理液流路70を開閉弁17で閉じ、更に、モータ68でニードル62と連動するダイアフラム66を移動させて処理液流路70の体積を大きくする。これにより、処理液流路70を開閉弁17で閉じる際に、処理液の流量が少なくなっているので、処理液の流量が多いことで生じる処理液のぼた落ちを抑えることができる。すなわち、より確実にぼた落ちを防止できる。
【0073】
また、制御部31は、連結流路51から弁室内流路63、下流側流路67までの流路体積を大きくした状態のニードル62の位置から、予め設定された流量になる位置に、モータ68でニードル62を移動させて、処理液流路70を開閉弁17で開ける。サックバックさせるとニードル62の位置が変動するが、処理液流路70を開閉弁17で開けた際に、予め設定された流量の処理液を供給することができる。
【0074】
また、処理液流路70を開閉弁17で開ける際における、予め設定された流量になる位置へのニードル62の移動は、上昇である。処理液流路70を開閉弁17で開ける際に、ニードル62を上昇させて予め設定された流量するので、処理液が押し出されず、更にサックバックされる。そのため、液だれする心配がない。
【0075】
また、予め設定された流量となる位置にニードル62を下降させる際に、モータ68により、予め設定された流量になるようにニードル62の下降速度(図3の勾配81参照)を変更する。例えば、予め設定された流量となる位置にニードル62を下降させる際であって、吐出ノズル11より処理液が吐出してしまうときに、ニードル62の下降速度を変更して予め設定された流量で吐出ノズル11より吐出する。これにより、ニードル62移動により吐出する処理液の流量を、処理液流路70を開閉弁17で開けている時の流量に近づけることができる。
【0076】
また、処理液供給装置3は、ニードル62よりも下流に設けられ、配管を介在して処理液流路70と接続し、処理液を吐出する吐出ノズル11を更に備えている。これにより、吐出ノズル11内に処理液を吸引でき、また、吐出ノズル11から吐出する処理液を流量調整できる。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0078】
(1)上述した各実施例では、図3の時間t1のように、開閉弁17を閉状態にさせる前に、サックバック弁19のニードル62をサックバック基準位置SB0に下降させていた。この点、サックバック基準位置SB0に下降させる動作を必要としない場合は、ニードル62を移動させずに、開閉弁17を閉状態にさせてもよい。
【0079】
図5の時間t11において、サックバック弁19のニードル62の位置NAを下降せずに、開閉弁17を閉状態にする。時間t12において、予め設定された移動量SDで、ニードル62を位置SB2に上昇させる。すなわち、ニードル62に連動するダイアフラム66を上昇させて、サックバックさせる。基板Wの入れ替えが行われた後、ニードル62を位置NAよりも低い位置NCで、再度、吐出ノズル11から処理液を吐出する。
【0080】
この場合の動作例を説明する。ノズル移動機構21により、吐出ノズル11を待機ポット23に移動させる。この状態で、時間t13において、ニードル62を位置NCに下降させる。この際、吐出ノズル11から処理液が押し出されても、待機ポット23で回収される。そして、時間t15において、ニードル62を移動量SDで位置SB3に上昇させる。すなわち、ニードル62と連動するダイアフラム66により、サックバックさせる。図5の時間t14〜時間t15の符号83のように、開閉弁17を開状態にさせて、処理液をダミーディスペンスさせてもよい。
【0081】
その後、ノズル移動機構21により、待機ポット23から基板W上方へ吐出ノズル11が移動される。時間t16において、ニードル62を下降させて流量調整し、時間t17において、開閉弁17を開状態にさせて吐出ノズル11から処理液を吐出させる。また、時間t18において、開閉弁17を閉状態にさせて吐出ノズル11からの処理液吐出を停止させ、時間t19において、ニードル62に連動するダイアフラム66により、サックバックさせる。
【0082】
また、時間t13において、上述のように、基板W上において、ニードル62の位置NCでの流量Fと同じまたは近づけた流量Fになるように、ニードル62の下降速度(図3図5の勾配81参照)を調整して、吐出ノズル11から処理液を押し出しつつ、流量調整させてもよい。そして、続けて、開閉弁17を開状態にさせてもよい。
【0083】
(2)上述した実施例および変形例(1)では、サックバック弁19の体積変化部として、ダイアフラム66が設けられていた。この点、図6のように、ニードル82には、ニードル82の移動方向を横切るように隔壁82aが設けられ、隔壁82aは、Oリングなどの気密保持部材82bを介在させて、弁室61内部の側壁に接して移動可能であってもよい。
【0084】
(3)上述した実施例および各変形例において、例えば処理液として現像液を用いる場合がある。これにより、現像液のぼた落ちを防止し、現像液を流量調整できる。図7のように、制御部31は、ノズル移動機構21により、吐出ノズル11を待機ポット23等に移動させて、純水等が滞留する容器85に吐出ノズル11の先端部を浸す。そして、制御部31は、上流側流路43を閉じている際に、サックバック弁19のモータ68でニードル62と連動するダイアフラム66を往復移動させる。吐出ノズル11の先端部を純水に浸し、純水を吸引させたり、吸引した純水をそのまま一定時間保持したり、吸引した純水を押し出したりすることで、吐出ノズル11先端を洗浄させることができる。図7において、符号86が現像液層であり、符号87が空気などの気体層であり、そして、符号88が純水である。
【0085】
(4)上述した実施例および各変形例では、開閉弁17は、エアオペレートバルブであったが、サックバック弁19のようにモータ駆動であってもよい。また、開閉弁17の弁体は、ダイアフラム46で構成するようにしていたが、サックバック弁19のニードル62のように、流量調整可能であってもよい。また、開閉弁17は、図2のような構成であるが、他の既知の構成であってもよい。
【0086】
(5)上述した実施例および各変形例では、図3のように、サックバック基準位置SB0は、処理液を流している。必要によっては、サックバック基準位置SB0は、処理液を流通させないようにしてもよい。
【0087】
(6)上述した実施例および各変形例では、サックバック弁19の内の各流路は、単一部品で構成されていたが、個別の部品であってもよい。すなわち、開閉弁17とサックバック弁19とが個別に構成される。この場合、開閉弁17とサックバック弁19は、処理液配管15を介在して接続される。
【符号の説明】
【0088】
1 … 基板処理装置
3 … 処理液供給部
11 … 吐出ノズル
15 … 処理液配管
17 … 開閉弁
19 … サックバック弁
31 … 制御部
43 … 上流側流路
50 … 開閉室内流路
51 … 連結流路
62,82 … ニードル
63 … 弁室内流路
66 … ダイアフラム
67 … 下流側流路
68 … モータ
70 … 処理液流路
81 … 勾配
t1〜t8,t11〜t19 … 時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8