特許第6512911号(P6512911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512911
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/34 20060101AFI20190425BHJP
   B01J 23/63 20060101ALI20190425BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20190425BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20190425BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190425BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20190425BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20190425BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   B01J37/34ZAB
   B01J23/63 A
   B01J23/42 A
   B01J23/44 A
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01J37/16
   B01J37/02 101C
   B01J37/02 301D
   B01J37/08
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-80916(P2015-80916)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2016-198725(P2016-198725A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021765
【氏名又は名称】新日本電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105441
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 久喬
(74)【代理人】
【識別番号】100107892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 俊太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智晴
(72)【発明者】
【氏名】新開 泰治
(72)【発明者】
【氏名】井上 修治
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 巧
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−136993(JP,A)
【文献】 特開2002−273239(JP,A)
【文献】 特開2003−013105(JP,A)
【文献】 特開2016−163879(JP,A)
【文献】 特開2016−179427(JP,A)
【文献】 特開2013−013864(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0244003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/86,53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元性を有する溶媒に、セラミック基材粒子を分散し、かつ貴金属塩を溶解した錯化反応溶液を調製する第一工程、前記錯化反応溶液に、マイクロ波照射による加熱を行い、前記貴金属イオンを還元し、還元した貴金属微粒子を前記セラミック基材粒子に担持する第二工程、及び、溶媒を除去する第三工程、更に、表面沈殿処理により、前記セラミック基材粒子の表面に酸化物被膜を形成する第四工程を含むことを特徴とする排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【請求項2】
前記表面沈殿処理で、酸素イオン伝導酸化物が形成されることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【請求項3】
前記表面沈殿処理で、酸素吸放出可能な酸化物が形成されること特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【請求項4】
前記表面沈殿処理で形成される成分が、セリア単独、またはさらにイットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【請求項5】
前記表面沈殿処理で形成される成分が、アルミナまたはシリカを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法に関し、特に、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、高い触媒活性寿命が得られる排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貴金属触媒は、通常、酸化物粒子等の担体に担持されて使用される。例えば、自動車排ガス等の内燃機関から排出されるガスの浄化触媒では、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を組み合わせた金属触媒が広く使用され、これら金属触媒は、そのまま触媒として使用されるのではなく、通常、活性アルミナ(γ−アルミナ、ρ−アルミナ、χ−アルミナ、η−アルミナ、δ−アルミナ、κ−アルミナ、θ−アルミナ、無定形アルミナ等)系酸化物やセリア・ジルコニア系酸化物等の微粒子の表面に担持された触媒として使用される。前記担体とする酸化物微粒子は、金属粒子を高分散化して凝集を防ぎ、有効な金属触媒の表面積を維持する目的で使用される。
【0003】
自動車排ガス浄化では、貴金属等の触媒金属を酸化物微粒子に担持した触媒は、更に、金属ハニカムあるいはセラミックスハニカムの内壁にウォッシュコート(被覆)され、触媒コンバーター(ハニカム触媒構造体)として使用される。例えば、自動車排ガス中のCO、NOx、HCを全て浄化する触媒として三元触媒(Three way catalysts:TWC)が知られている。
【0004】
近年の排ガス規制の強化に伴い、触媒の高活性や高寿命等の性能を向上すべく、触媒金属及びその担体酸化物についてそれぞれ検討されている。特に、より過酷な使用環境下でも触媒金属の凝集・シンタリングや粒成長を抑制して高寿命化する技術の要求が高い。
【0005】
貴金属等の触媒金属を酸化物等の担体に担持する方法は、触媒金属となる金属塩や金属コロイドと担体粒子の両方を水や有機溶媒に溶解又は分散し、その後、溶媒を蒸発させて熱処理する。溶媒を蒸発する前に還元剤を添加して溶解させた金属塩を還元して担体表面に析出する処理をすることもある。また、熱処理する際に還元雰囲気で行って担持金属を還元させることもある。
【0006】
前述の担持方法とは異なる方法として、特許文献1には、環境負荷の問題、コストの問題を改善させるのに有利な貴金属触媒担持方法として、貴金属元素を含有する前駆体とマイクロ波吸収性を有する担体とを含有する混合物粉末にマイクロ波を照射させて熱処理することにより、前記前駆体を還元処理させて前記貴金属のナノ粒子を分散させた状態で前記担体に担持させることが開示されている。
【0007】
金属触媒の担持方法ではないが、特許文献2には、簡便な方法で効率よく貴金属ナノ材料を製造する方法として、貴金属酸化物分散液にアルコール類等の還元剤を添加し、マイクロ波を照射して前記貴金属酸化物分散液を加熱還元してナノロッド等の貴金属ナノ粒子を作製する方法が開示されている。更に、前記分散液に担体を含有させると貴金属を担体に担持できることも開示されている。
【0008】
特許文献3には、酸化物担体に担持させるクラスターを構成する貴金属の原子数を容易に制御する方法として、有機多座配位子と貴金属原子からなる多核錯体を酸化物担体上に析出させ、該析出酸化物担体にマイクロ波を照射して有機多座配位子を分解もしくは燃焼させて除去して、酸化物担体の表面に貴金属のクラスターを担持させる方法が開示されている。
【0009】
特許文献4には、炭化水素の水素化処理触媒の製造方法として、結晶性アルミノシリケートゼオライトおよび/または多孔性無機酸化物からなる担体に貴金属を含有する水素化活性成分含有水溶液を含浸した後、マイクロ波を照射する方法が開示されている。前記方法によれば、水素化活性成分である貴金属が均一に高分散しているため、軽油、芳香族及び複素芳香族炭化水素等の水素処理に使用して高い水素化脱硫活性と水素化活性を有し、硫黄および窒素化合物に対して高い耐性を示し、活性劣化が少ないとしている。
【0010】
特許文献5には、パラジウムナノ粒子の製造方法として脂肪族アミンであるオレイルアミンで保護されたパラジウムナノ粒子及び前記パラジウムナノ粒子とパラジウム以外の貴金属を含む二元系金属ナノ粒子の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5324304号公報
【特許文献2】特開2008−24968号公報
【特許文献3】特開2006−55807号公報
【特許文献4】特開2003−284961号公報
【特許文献5】特開2011−17071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように自動車排ガス浄化触媒において、より過酷な使用環境下でも触媒金属の凝集・シンタリング・粒成長と呼ばれる粗大化(以下、「粒成長」と記す。)を抑制して高寿命化する技術の要求が高くなっている。触媒金属の粒成長を抑制して触媒活性寿命を延ばすためには、担持触媒金属及び担体のそれぞれを工夫することも大切であるが、本発明者らは触媒金属の担持方法によって前記問題解決ができるのではないかと着想した。
【0013】
触媒金属の担持方法については、上述のような一般的な方法の他に特許文献1〜4に記載のようにマイクロ波を利用する方法が開示されている。しかしながら、触媒金属の粒成長を抑制するようなマイクロ波利用の仕方ではなく、それに関する示唆もなされていない。
【0014】
特許文献1には、貴金属前駆体とマイクロ波吸収性を有する担体との固体状態、もしくは溶剤がわずかに残っている状態の混合物にマイクロ波を照射している。そのため、担体への局所的な選択加熱により温度分布が不均一となる。その結果、貴金属族触媒粒子に一部凝集が見られ、得られる貴金属触媒粒子の粒度分布も大きいという問題点がある。
【0015】
特許文献2、4には、「担持状態は強固で且つ均一となる」、「活性劣化が少ない」等の記載があるが、具体的にどの程度であるかの記載も示唆もなく、触媒金属の粒成長をどの程度抑制できるがどうかは明確ではない。
【0016】
特許文献5には、オレイルアミンを用いてパラジウムナノ粒子及びパラジウムとパラジウム以外の貴金属との二元系金属ナノ粒子の製造方法が記載されている。しかしながら、担体への担持方法の記載も示唆もない。
【0017】
本発明では、上記問題点に鑑みてなされたものであり、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、触媒の高活性や高寿命等の性能を有する排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、触媒金属の担持方法によって、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制できる排ガス浄化用貴金属担持触媒を作製できるのではないかという着想のもとに種々の検討をした結果、触媒金属を担持する際にマイクロ波を照射することによって、目的とする排ガス浄化用貴金属担持触媒を作製できることを見出した。
【0019】
更に、本発明者らは、前記のようにして触媒金属を担持した後、更に表面沈殿処理を施すと触媒金属の粒成長を抑制できる効果がより優れたものになることも見出した。また、本発明で担持した触媒金属は、表面沈殿処理する際に担持金属の溶出が抑制されるという効果も見出して、本発明を完成した。
【0020】
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0022】
(1)還元性を有する溶媒に、セラミック基材粒子を分散し、かつ貴金属塩を溶解した錯化反応溶液を調製する第一工程、前記錯化反応溶液に、マイクロ波照射による加熱を行い、前記貴金属イオンを還元し、還元した貴金属微粒子を前記セラミック基材粒子に担持する第二工程、及び、溶媒を除去する第三工程、更に、表面沈殿処理により、前記セラミック基材粒子の表面に酸化物被膜を形成する第四工程を含むことを特徴とする排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【0023】
(2)前記表面沈殿処理で、酸素イオン伝導酸化物が形成されることを特徴とする上記(1)に記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【0024】
(3)前記表面沈殿処理で、酸素吸放出可能な酸化物が形成されること特徴とする上記(1)又は(2)に記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【0025】
(4)前記表面沈殿処理で形成される成分が、セリア単独、またはさらにイットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の酸化物を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【0026】
(5)前記表面沈殿処理で形成される成分が、アルミナまたはシリカを含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法によれば、これまで以上に過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、触媒の高活性や高寿命等の性能を有する排ガス浄化用貴金属担持触媒が得られる。排ガス浄化用貴金属担持触媒は、特に高い温度に曝される自動車排ガス浄化用貴金属担持触媒として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】製品粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったXRDチャートを示す図である。
図2】製品粉末に対して、空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったXRDチャートを示す図である。
図3】パラジウムナノ粒子のSEM(Scanning Electron Microscope、走査電子顕微鏡)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明者らは、還元性を有する溶媒に分散したセラミック基材粒子と、溶解した貴金属塩との両方が存在する錯化反応溶液にマイクロ波を照射して、貴金属触媒をセラミック基材粒子に担持させると、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、触媒の高活性や高寿命等の性能を有する排ガス浄化用貴金属担持触媒とすることができることを見出し、本発明に至った。更に酸化物被膜の表面沈殿処理を施すことによって担持金属の溶出を抑制できることも見出して、本発明をなしたものである。
【0037】
本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法は、還元性を有する溶媒に、セラミック基材粒子を分散し、かつ貴金属塩を溶解した錯化反応溶液を調製する第一工程、前記溶液にマイクロ波を照射する第二工程、及び、溶媒を除去する第三工程、更に、酸化物被膜の表面沈殿処理する第四工程を含むことを特徴とするものである。
【0038】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0039】
本発明の溶媒とは、還元性を有し、貴金属塩と錯体を形成することができれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで常温とは、20℃±15℃をいう。特に、溶媒としての1級アミンは貴金属塩と錯体を形成することができ、貴金属錯体に対する還元能を効果的に発揮するため好ましい。1級アミンは貴金属微粒子の生成時に表面修飾剤として機能するため、1級アミンの除去後においても貴金属微粒子の二次凝集を抑制することができる。また、1級アミンは貴金属錯体を還元して貴金属微粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点の高いものが好ましい。
【0040】
すなわち、1級アミンとしては、貴金属塩と錯体を形成させることができる沸点が140℃以上のものが好ましく、180℃以上のものがより好ましい。脂肪族アミンの炭素数が7〜18のものが該当し、脂肪族1級アミンを好適に用いることができ、例えば炭素数が8である脂肪族アミンのC17N(ヘプチルアミン)の沸点は157℃である。沸点とハンドリングの容易性から、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミンの3種類が特に好ましい。1級アミンは溶剤兼2電子還元剤として働くので、1級アミンの量は貴金属塩中に含まれる金属換算の貴金属1molに対して1mol以上用いることが好ましく、1.2mol以上用いることがより好ましく、2mol以上用いることがさらに望ましい。1級アミンの量が1.2mol未満では、還元剤としての1級アミンが不足するため、十分に還元反応が進行せずに収率が悪化する。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは、貴金属塩中に含まれる金属換算の貴金属1molに対して20mol以下とすることが好ましい。
【0041】
本発明のセラミック基材粒子とは、貴金属を担持できる酸化物粒子であり、公知の酸化物粒子を用いることができる。前記セラミック基材粒子(酸化物粒子)の例としては、セリア・ジルコニア系複合酸化物、セリウム・プラセオジウム系酸化物、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ等の粒子が挙げられる。
【0042】
前記セラミック基材粒子は、貴金属を高分散して担持する観点から、比表面積10m/g以上であるのが好ましい。より好ましくは比表面積35m/g以上である。比表面積は大きいほど貴金属を高分散して担持することができるのでより好ましいが、酸化物粒子では大きな比表面積は通常150m/gまでであるのが現実的である。より耐久性に優れた排ガス浄化触媒とするには、基材粒子の比表面積が耐久試験で低下し難いのが好ましい。特に好ましい基材粒子の表面積は、1150℃で24時間の耐久試験後でも30%以上維持できる変化率の小さいものである。セラミック基材粒子が、セリア、セリア・ジルコニア系複合酸化物、またはジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア、またはアルミナであるのがより耐熱性に優れている(比表面積の変化率が小さくできる)のでより好ましい。
【0043】
また、セラミック基材粒子が、酸素吸放出可能な酸化物であるのが三元触媒等の触媒活性が高くなるのでより好ましい。酸素吸放出可能な酸化物としては、例えば、セリア、セリア・ジルコニア系酸化物、セリウム・プラセオジウム系酸化物等が挙げられる。
【0044】
セラミック基材粒子(以下単に基材粒子と言うことがある)を溶媒に分散する方法は、どのような方法でもよいが、例えば、ペイントシェーカー分散、超音波分散、ビーズミル分散、高せん断ホモジナイザー分散等がある。より好ましい方法は、超音波分散である。
【0045】
本発明の貴金属とは、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)である。排ガス浄化触媒としてより好ましいのは、銀、白金、パラジウム、ロジウムである。
【0046】
本発明の貴金属塩とは、溶媒に溶けて錯体形成化しマイクロ波照射によって分解する貴金属化合物(出発原料)であり、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、塩化白金酸、塩化白金、塩化ロジウム、硝酸銀等が挙げられる。より好ましい貴金属化合物(貴金属塩)は、酢酸パラジウム、塩化パラジウムである。
【0047】
前記第一工程における錯化反応溶液を調製する加熱方法としては、どのような加熱方法でも良いが、例えば、オイルバス、マントルヒーター、マイクロ波等の加熱源を用いる方法がある。加熱温度としては、20℃以上〜120℃以下の範囲内の温度で加熱することが好ましい。加熱温度が20℃未満であると錯化反応溶液を調製することが困難となり、一方、120℃を超えて加熱しても錯化反応が飽和しているので、熱損失となり好ましくない。
【0048】
第一工程で調整された前記錯化反応溶液にマイクロ波照射する第二工程における本発明のマイクロ波とは、周波数300MHzから3THzの電磁波であり、金属塩が添加された錯化反応液をマイクロ波照射して加熱することにより、貴金属錯体を金属に還元して貴金属微粒子を生成させる。マイクロ波での加熱温度は140℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度の上限は特に限定するものではないが、250℃以下とすることが望ましい。マイクロ波照射で錯化反応液を140℃以上で加熱することにより、マイクロ波が錯化反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、錯化反応液全体を所望の均一な温度にすることができ、貴金属錯体の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、粒径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。さらに貴金属触媒粒子はマイクロ波を選択的に吸収することで未反応の貴金属錯体を消費し、核成長しながらセラミック担体と強固に固着させることができる。
【0049】
前記溶液にマイクロ波を照射する方法は、特に限定するものではないが、例えば使用周波数は2.45GHz、錯化反応溶液1kg当たりのマイクロ波出力は0.5〜5.0kW/kg、マルチモード方式の加熱条件で製造することができる。
【0050】
本発明の第三工程における溶媒を除去する方法としては、溶媒を除去して貴金属が担持された基材粒子を回収できる方法であれば、どのような方法でも良いが、例えば、静置分離、遠心分離等の方法がある。より好ましい方法は、遠心分離である。
【0051】
本発明によって基材粒子に担持されている貴金属は、該基材粒子の表面に分散して存在する。分散している貴金属は、金属又は酸化物で存在して10nm以下のサイズであるのがより好ましい。貴金属の担持量(=貴金属/(貴金属+基材粒子))は、特に特定しないが、0.1質量%〜10質量%の範囲がより好ましい。
【0052】
更に、表面沈殿処理により、酸化物被膜を形成する第四工程を含むことで、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制できる効果がより優れたものになる。
【0053】
本発明の表面沈殿処理とは、貴金属を担持した基材粒子を分散させた液相中から水酸化物や酸化物を形成させる処理である。液相中から形成される前記水酸化物や酸化物を熱処理してもよく、本発明の表面沈殿処理では前記熱処理する場合も含まれる。または、貴金属を担持した基材粒子を分散させた液相中から酸化物前駆体を形成し、熱処理して酸化物を形成する場合も本発明の表面沈殿処理である。前記溶液中から水酸化物や酸化物を形成させる表面沈殿処理としては、例えば、酸化物や水酸化物を形成する金属塩を溶解し、溶液のpHを変化させて酸化物や水酸化物を形成する方法、溶解している金属塩に添加剤を加えて溶解度の小さな塩に変化させて酸化物前駆体を析出させる方法(この場合には、更に酸化物前駆体を熱処理して酸化物を形成する)、金属アルコキシド等の加水分解反応する化合物を溶解し、水を加えて加水分解させて酸化物や水酸化物を形成する方法、等がある。
【0054】
本発明の表面沈殿処理で形成される酸化物(以下、表面沈殿膜ともいう。)は、貴金属を担持した基材粒子の表面の一部又は全体に存在することになる。また、表面沈殿膜は、担持された貴金属の周囲に存在してもいいし、一部あるいは全体を覆っていてもよい。
【0055】
表面沈殿膜は、酸素イオン伝導酸化物を含む方が三元触媒等の触媒活性が高くなるので好ましい。酸素イオン伝導酸化物としては、例えば、ジルコニア系酸化物、セリア系酸化物、セリア・ジルコニア系酸化物、セリウム・プラセオジウム系酸化物等が挙げられる。
【0056】
表面沈殿膜は、酸素吸放出可能な酸化物を含む方が三元触媒等の触媒活性がより高くなるのでより好ましい。酸素吸放出可能な酸化物としては、例えば、セリア系酸化物、セリア・ジルコニア系酸化物、セリウム・プラセオジウム系酸化物等が挙げられる。
【0057】
また、前記表面沈殿処理によって形成される成分が、セリア単独、またはさらにイットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の酸化物を含むのがより好ましい。
【0058】
また、前記表面沈殿処理によって形成される成分が、アルミナ又はシリカを含むのがより好ましい。
表面沈殿膜を形成するための出発原料としては、例えば、膜成分となる原料の塩化物、硝酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法によれば、過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、触媒の高活性や高寿命等の性能を有する排ガス浄化用貴金属担持触媒を製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下に発明例、比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下で用いる%は、特に断らない限り質量%であり、製品を構成する酸化物中の該当する酸化物の質量%である。ここで、参考例はNo.1〜5で、発明例はNo.1〜18で、比較例はNo.24〜26である。
【0060】
本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒は実際の使用時に高温雰囲気中にさらされても担持された貴金属粒子が劣化(成長、粗大化)しないことに特徴がある。この貴金属粒子の劣化の評価には粉末X線回折法を用い各担持金属の(111)面(例:Ag:37.92°、Rh:41.05°、Pd:40.11°、Pt:39.74°)の強度、半値幅で判定しており、強度が大きく半値幅が小さくなるにつれ粒子は成長している。
【0061】
参考例1
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ、新日本電工株式会社製、商品名;NDK21、比表面積;85m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、セリア・ジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、セリア・ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液(溶媒)を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してセリア・ジルコニアにパラジウムを担持した製品粉末を得た(第三工程)。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1のような粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0062】
(比較例24)
参考例1と同じ基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、NDK21、比表面積;85m2/g)に対して、3.16gの硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加して室温で溶解し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、参考例1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持セリア・ジルコニア(CZ)を得た。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1に示すように参考例1と比較して大きくPd粒子が成長したチャートが得られた。
【0063】
参考例1と比較例24とを対比すると、図1に示すように、本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒は実際の使用時に高温雰囲気中に曝されても担持された貴金属粒子が劣化(成長、粗大化)しないことが確認された。
【0064】
(比較例25)
30gの基材粒子としてのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、NDK21、比表面積;85m/g)に対して、3.98gの塩化白金酸水溶液を基材粒子に添加して室温で溶解し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、700℃で3時間焼成して、Pt担持セリア・ジルコニア(CZ)を得た。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1の比較例24と同様に大きくPt粒子が成長したチャートが得られた。
【0065】
(比較例26)
30gの基材粒子としてのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、NDK21、比表面積;85m/g)に対して、3.08gの塩化ルテニゥム水溶液を基材粒子に添加して室温で溶解し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、700℃で3時間焼成して、Pt担持セリア・ジルコニア(CZ)を得た。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1の比較例24と同様に大きくRh粒子が成長したチャートが得られた。
【0066】
参考例2)
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのジルコニア(ZrO2)(新日本電工株式会社製、商品名PCS、比表面積31m2/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.98gの塩化白金酸を加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化白金酸を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して220℃で5分加熱することによって、ジルコニアに白金を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアに白金を担持した製品粉末を得た(第三工程)。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1参考例1と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0067】
参考例3)
参考例2と同様に、300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)を加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、その分散液に3.84gの塩化ロジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化ロジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して220℃で5分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニアにロジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアにロジウムを担持した製品粉末を得た(第三工程)。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1参考例1と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0068】
参考例4)
300gのヘプチルアミンに基材粒子として30gのアルミナ(Al)(新日本電工株式会社製、商品名AKP−G15、比表面積;148m/g)を加え、超音波で30分解砕し、アルミナ分散液を得た。その後、そのアルミナ分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、アルミナにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してアルミナにパラジウムを担持した製品粉末を得た(第三工程)。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図1参考例1と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0069】
参考例5)
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、商品名NDK21、比表面積;85m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に2.36gの硝酸銀を加え、窒素フロー下、80℃で10分加熱することによって硝酸銀を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して180℃で5分加熱することによって、セリア・ジルコニアに銀を担持したスラリースラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアに銀を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた粉末に対して、空気中1100℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2参考例5に示すように粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0070】
発明例1
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、NDK21、比表面積;85m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.98gの塩化白金酸を加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化白金酸を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して220℃で5分加熱することによって、セリア・ジルコニアに白金を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアに白金を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら酸化ジルコニウム3.2g相当を含むオキシ塩化ジルコニウム溶液及び酸化イットリウム0.8g相当を含む塩化イットリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に水酸化イットリウム含有水酸化ジルコニウムの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、イットリア安定化ジルコニア表面沈殿膜(YSZ)を形成した白金を担持したセリア・ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面沈殿膜は、基材粒子であるセリア・ジルコニア30gに対する膜質量は4gであった。
得られた製品粉末に対して参考例1〜5よりもさらに過酷な空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2発明例1に示すように粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0071】
発明例2
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、NDK21、比表面積;85m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.84gの塩化ロジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化ロジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して220℃で20分加熱することによって、セリア・ジルコニアにロジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにロジウムを担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら酸化セリウム4.0g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化セリウム(CeO)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化セリウム(CeO)の表面沈殿膜形成Rh担持セリア・ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化セリウム(CeO)の表面沈殿膜は、基材粒子であるセリア・ジルコニア30gに対する膜質量は4gであった。得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0072】
発明例3
300gのオクチルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、商品名M40−A1、比表面積;69m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、セリア・ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにパラジウムを担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら酸化セリウム1.0g相当を含む硝酸イットリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化イットリウム(Y)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化イットリウム(Y)表面沈殿膜形成Pd担持セリア・ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化イットリウム(Y)の表面沈殿膜は、基材粒子であるセリア・ジルコニア30gに対する膜質量は1gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0073】
発明例4
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのセリア・ジルコニア(CZ)(新日本電工株式会社製、商品名NDK21、比表面積;85m/g)を加え、超音波で30分解砕し、セリア・ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に2.50gの塩化パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、セリア・ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにパラジウムを担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら硝酸ランタン1.0g相当を含む硝酸ランタン溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化ランタン(La)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化ランタン表面沈殿膜を形成したPd担持セリア・ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化ランタン(La)の表面沈殿膜は、基材粒子であるセリア・ジルコニア30gに対する膜質量は1gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0074】
発明例5
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのジルコニア(ZrO)(新日本電工株式会社製、商品名PCS、比表面積;31m/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に2.36gの硝酸銀を加え、窒素フロー下、80℃で10分加熱することによって硝酸銀を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して180℃で5分加熱することによって、ジルコニアに銀を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアに銀を担持した製品粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらセリウム1.0g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化セリウム(CeO)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化ランタン表面沈殿膜を形成したPd担持セリア・ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化セリウム(CeO)の表面沈殿膜は、基材粒子であるセリア・ジルコニア30gに対する膜質量は1gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0075】
発明例6
300gのオレイルアミン(溶媒)に基材粒子として30gのジルコニア(ZrO)(新日本電工株式会社製、商品名PCS、比表面積;31m/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.84gの塩化ロジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化ロジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して220℃で20分加熱することによって、ジルコニアにロジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにロジウムを担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらプラセオジム0.4g相当を含む塩化プラセオジム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化プラセオジム(Pr11)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化プラセオジム表面沈殿膜を形成したRh担持ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化プラセオジム(Pr11)の表面沈殿膜は、基材粒子であるジルコニア30gに対する膜質量は0.4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0076】
発明例7
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのジルコニア(ZrO)(新日本電工株式会社製、商品名PCS、比表面積;31m/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにパラジウムを担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらネオジム0.4g相当を含む塩化ネオジム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化ネオジム(Nd)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化ランタン表面沈殿膜を形成したPd担持ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化ネオジム(Nd)の表面沈殿膜は、基材粒子であるジルコニア30gに対する膜質量は0.4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0077】
発明例8
300gのヘプチルアミンに基材粒子として30gのジルコニア(ZrO)(新日本電工株式会社製、商品名OG、比表面積;11m/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアにパラジウムを担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらサマリウム6g相当を含む酢酸サマリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化サマリウム(Sm)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化サマリウム表面沈殿膜を形成したPd担持ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化サマリウム(Sm)の表面沈殿膜は、基材粒子であるジルコニア30gに対する膜質量は6gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0078】
発明例9
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのジルコニア(ZrO)(新日本電工株式会社製、商品名OG、比表面積;11m/g)を加え、超音波で30分解砕し、ジルコニア分散液を得た。その後、そのジルコニア分散液に3.98g塩化白金酸を加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化白金酸を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、ジルコニアに白金を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してジルコニアに白金を担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらガドリウム6g相当を含む硝酸ガドリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面に酸化ガドリウム(Gd)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、酸化ガドリウム表面沈殿膜を形成したPd担持ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。酸化ガドリウム(Gd)の表面沈殿膜は、基材粒子であるジルコニア30gに対する膜質量は6gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0079】
発明例10
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)ジルコニアを加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、そのイットリア安定化ジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアにパラジウムを担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらアルミニウム4g相当を含む硝酸アルミニウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にアルミナ(Al)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、アルミナ表面沈殿膜を形成したPd担持イットリア安定化ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。アルミナ(Al)の表面沈殿膜は、基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア30gに対する膜質量は4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0080】
発明例11
300gのドレシルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)ジルコニアを加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、そのイットリア安定化ジルコニア分散液に3.16gの酢酸パラジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニアにパラジウムを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアにパラジウムを担持した粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらアルミニウム4g相当を含む硝酸アルミニウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にアルミナ(Al)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、アルミナ表面沈殿膜を形成したPd担持イットリア安定化ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。アルミナ(Al)の表面沈殿膜は、基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)30gに対する膜質量は4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0081】
発明例12
300gのオクチルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)を加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、そのイットリア安定化ジルコニア分散液に2.36g硝酸銀を加え、窒素フロー下、80℃で10分加熱することによって硝酸銀を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して170℃で20分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)に銀を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアに銀を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらLa4g相当を含む硝酸La溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にLaの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、La表面沈殿膜を形成したAg担持イットリア安定化ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(La)は、基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)30gに対する膜質量は4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0082】
発明例13
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)を加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、そのイットリア安定化ジルコニア分散液に3.84g塩化ロジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化ロジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して170℃で20分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)にロジウム(Rh)を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアにロジウムを担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら硝酸Zr及び硝酸Y溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、YSZ表面沈殿膜を形成したRh担持イットリア安定化ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(YSZ)は、基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)30gに対する膜質量は1gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0083】
発明例14
300gのヘプチルアミンに基材粒子として30gのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(新日本電工株式会社製、商品名TZ−8Y、比表面積;10m/g)を加え、超音波で30分解砕し、イットリア安定化ジルコニア分散液を得た。その後、そのイットリア安定化ジルコニア分散液に3.16gの酢酸Pdを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸Pdを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)にパラジウム(Pd)を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してイットリア安定化ジルコニアにパラジウム(Pd)を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら硝酸Ce溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末(YSZ)粒子の表面にCeOの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、CeO表面沈殿膜を形成したPd担持イットリア安定化ジルコニア製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(CeO)は、基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)30gに対する膜質量は1gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0084】
発明例15
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのアルミナ(Al)(新日本電工株式会社製、商品名AKP−G15、比表面積;148m/g)を加え、超音波で30分解砕し、アルミナ分散液を得た。その後、そのアルミナ分散液に3.98gの塩化白金酸を加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化白金酸を溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して235℃で5分加熱することによって、アルミナに白金を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してアルミナに白金を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら塩化Y溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にYの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、Y表面沈殿膜を形成したPt担持アルミナ製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(Y)は、基材粒子であるアルミナ(Al)30gに対する膜質量は0.4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0085】
発明例16
300gのドデシルアミンに基材粒子として30gのアルミナ(Al)(新日本電工株式会社製、商品名AKP−G15、比表面積;148m/g)を加え、超音波で30分解砕し、アルミナ分散液を得た。その後、そのアルミナ分散液に3.98gの塩化ロジウムを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって塩化ロジウムを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して235℃で5分加熱することによって、アルミナにロジウム(Rh)を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してアルミナにロジウム(Rh)を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら塩化La溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にLaの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、La表面沈殿膜を形成したRh担持アルミナ製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(La)は、基材粒子であるアルミナ(Al)30gに対する膜質量は0.4gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0086】
発明例17
300gのオクチルアミンに基材粒子として30gのアルミナ(Al)(新日本電工株式会社製、商品名AKP−G15、比表面積;148m/g)を加え、超音波で30分解砕し、アルミナ分散液を得た。その後、そのアルミナ分散液に3.16gの酢酸Pdを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって酢酸Pdを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、アルミナにPdを担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してアルミナにパラジウム(Pd)担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながら塩化Al溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にAlの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行い、Y表面沈殿膜を形成したPd担持アルミナ製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(Al)は、基材粒子であるアルミナ(Al)30gに対する膜質量は6gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0087】
発明例18
300gのオレイルアミンに基材粒子として30gのアルミナ(Al)(新日本電工株式会社製、商品名AKP−G15、比表面積;148m/g)を加え、超音波で30分解砕し、アルミナ分散液を得た。その後、そのアルミナ分散液に3.24gの硝酸Pdを加え、窒素フロー下、120℃で20分加熱することによって硝酸Pdを溶解させて錯化反応液を得た(第一工程)。次いで、その錯化反応液に、マイクロ波を照射して140℃で5分加熱することによって、アルミナにパラジウム(Pd)を担持したスラリーを得た(第二工程)。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してアルミナにパラジウム(Pd)を担持した基材粉末を得た(第三工程)。
得られた基材粉末に対して、水を加え150mlのスラリーとし、撹拌しながらケイ酸Na溶液を添加し、アンモニア水でpHを9に調整、基材粉末粒子の表面にSiOの表面沈殿膜を沈殿させた。得られたスラリーを、2%アンモニア水を用いて3回洗浄した後、120℃乾燥、700℃焼成、乳鉢粉砕を行いSiO表面沈殿膜を形成したPd担持アルミナ製品粉末を得た(第四工程)。表面沈殿膜(SiO)は、基材粒子であるアルミナ(Al)30gに対する膜質量は6gであった。
得られた製品粉末に対して空気中1150℃で5時間の耐熱劣化加速試験を行い、XRD測定を行ったところ図2と同様に粒子の成長が無く、ほとんど劣化が見られないチャートが得られた。
【0088】
以上の実施例に述べたように、本発明によれば、これまで以上に過酷な使用環境下でも触媒金属の粒成長を抑制でき、触媒の高活性や高寿命等の性能を有する排ガス浄化用貴金属担持触媒が得られることが確認できた。
【0089】
【表1】
【0090】
参考1
300gのオレイルアミンに1.5gのPdに相当する酢酸パラジウム3.16gを加え、窒素フロー下、オイルバスで120℃、20分加熱することによって酢酸パラジウムを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、周波数2.45GHz、マイクロ波出力500W、マルチモードの条件でマイクロ波を照射して140℃、5分加熱することによって、パラジウムナノ粒子スラリーを得た。
スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いてそれぞれ3回洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してパラジウムナノ粒子粉末を得た。
得られたパラジウムナノ粒子のSEM(Scanning Electron Microscope、走査電子顕微鏡)写真を図3に示した。図3より、平均粒径10nm以下の球形の略均一な粒子が形成されていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の製造方法によって得られた排ガス浄化用貴金属担持触媒は、耐久性に優れ、排ガス浄化システムに好適に使用できる。
図1
図2
図3