(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512939
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】電気機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
H05K7/18 D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-106025(P2015-106025)
(22)【出願日】2015年5月26日
(65)【公開番号】特開2016-219718(P2016-219718A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 祐司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 満
【審査官】
白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−022593(JP,A)
【文献】
特開2001−284833(JP,A)
【文献】
実開平05−043705(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H05K 5/00 − 5/06
H02B 1/00 − 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と梁により形成される開口部を有する筐体と、開口部を覆う外装パネルとを備えた電気機器収納用箱において、前記支柱の開口部の内側に防水片を設け、
前記防水片が、支柱と外装パネルの間の隙間と、支柱よりも筐体内側に搭載される内部機器との間に位置し、かつ前記防水片は、外装パネルに設けたフレーム部材との間に空間部を形成したものであることを特徴とする電気機器収納用箱。
【請求項2】
開口部の周囲に水切り部を形成した筐体と、この開口部を覆う外装パネルとを備えた電気機器収納用箱において、前記水切り部の開口部内側の上下方向に沿って防水片を設け、
前記防水片が、水切り部と外装パネルの間の隙間と、水切り部よりも筐体内側に搭載される内部機器との間に位置し、かつ前記防水片は、外装パネルに設けたフレーム部材との間に空間部を形成したものであることを特徴とする電気機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する筐体と、開口部を覆う外装パネルとを備えた電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器収納用箱は、フレーム構造またはモノコック構造の筐体とその開口部を覆う外装パネルとによって構成されている。本明細書において外装パネルには、扉体のほか側板や背面板が含まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、支柱と梁により直方体状の骨格を形成した電気機器収納用箱が開示されており、その
図9に示されるように、開口部を形成する支柱と外装パネルとの間にパッキンを介在させ、防水性能を確保している。
【0004】
しかし筐体の開口部にパッキンを設けた電気機器収納用箱は、パッキンが経年劣化すると防水性能を確保できなくなるおそれがあった。また、筐体と外装パネルとの隙間から筐体内に水が浸入した場合、内部機器に水が掛かるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−78265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、筐体と外装パネルとの隙間から筐体内に水が浸入した場合にも内部機器に水が掛かることを防止できる電気機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、支柱と梁により形成される開口部を有する筐体と、開口部を覆う外装パネルとを備えた電気機器収納用箱において、前記支柱の開口部の内側に防水片を設け
、前記防水片が、支柱と外装パネルの間の隙間と、支柱よりも筐体内側に搭載される内部機器との間に位置し、かつ前記防水片は、外装パネルに設けたフレーム部材との間に空間部を形成したものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、モノコック構造の電気機器収納用箱に関するもので、
開口部の周囲に水切り部を形成した筐体と、この開口部を覆う外装パネルとを備えた電気機器収納用箱において、前記水切り部の開口部内側の上下方向に沿って防水片を設け、前記防水片が、水切り部と外装パネルの間の隙間と、水切り部よりも筐体内側に搭載される内部機器との間に位置し、かつ前記防水片は、外装パネルに設けたフレーム部材との間に空間部を形成したものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支柱などの筐体と外装パネルとの隙間から筐体内に水が浸入した場合にも、開口部の内側に防水片を設けた構造であるので、内部機器に水が掛かるおそれがない。
【0012】
また、
本発明によれば、水の浸入をより効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の電気機器収納用箱の外観斜視図である。
【
図5】下部の防水片取付け状態を示す斜視図である。
【
図6】下部の防水片取付け状態を示す斜視図である。
【
図7】上部の防水片取付け状態を示す斜視図である。
【
図8】防水片の変形例を示す要部の水平断面図である。
【
図9】防水片の他の変形例を示す要部の水平断面図である。
【
図10】第2の実施形態を示す要部の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る電気機器収納用箱の外観斜視図である。この実施形態の電気機器収納用箱は、支柱1と梁2と梁3とによって直方体状のフレームを構成し、その上面に天板4を取付け、前後左右の開口部は
図1、
図2に示すように、扉体5、側板6、背面板7などの外装パネルを取付けたものである。このように、本実施形態の電気機器収納用箱は、支柱1と梁2,3により筐体を形成し、それらによって形成される筐体の開口部を、外装パネルである扉体5、側板6、背面板7などにより覆った構造となっている。扉体5は
図3に示されるように、蝶番5aによって支柱1に取付けられている。
【0015】
図3、
図4に示すように、支柱1の開口部の外側には第1の排水部である水切り部14が形成され、支柱1の開口部の内側には第2の排水部である防水片8が取付けられている。防水片8は水平断面がL字状であって、取付片8aと垂直片8bとからなる。防水片8は支柱1の全高にわたる部材であり、その取付片8aが支柱1に形成されている機器取付孔9にねじ10によって取付けられている。このように防水片8を支柱1にねじ止めしたので、ねじ10が外部に露出することがなく、防水性および外観に優れる。なお支柱1の機器取付孔9は2列に形成されていることが多く、外側の列の機器取付孔9を利用して防水片8をねじ止めすれば、内側の列の機器取付孔9を機器の取り付けに利用することができる。
【0016】
防水片8の垂直片8bは、筐体の開口部の内側に突出するように取付けられている。
図5と
図6に下部の取付け状態を示し、
図7に上部の取付け状態を示す。なお防水片8の取り付け方はねじ10に限定されるものではなく、リベットやラッチによる取付けとしてもよい。なおこれらの図に示される11は扉体5の内面に固定された機器取付用のフレーム部材である。また
図3、
図4に示される12は、支柱1と外装パネルとの間に設けられたパッキンである。ただし本発明においては、パッキン12を省略することもできる。
【0017】
図3に示されるように、防水片8は支柱1と扉体5間の隙間と、支柱1よりも筐体内側に搭載される内部機器の間に位置している。この実施形態では、防水片8の垂直片8bは外装パネルと平行に延びており、外装パネルである扉体5に設けたフレーム部材11との間に防水用の空間部13を形成している。このため、パッキン12が経年劣化して防水性が低下し、支柱1と扉体5間の隙間から水が浸入した場合にも、垂直片8bによって内部機器に水が掛かることを防止することができる。すなわち、支柱1と扉体5間の隙間から内部に浸入した水は防水片8に当たって流下する。このため底部には外部への排水構造を設けて置くことが望ましい。さらに、浸入する水が多量の場合であっても、空間部13により多量の水を空間部13内で流下させることができる。
【0018】
防水片8の取付け位置は必ずしも支柱1の扉体5側に限定されるものではなく、側板6、背面板7などの他の外装パネル側の支柱1に取付けてもよい。
【0019】
また
図8に示すように、防水片8の垂直片8bが外装パネルに近い側に来るように取付けることもできる。このため、浸入した水をより手前である外装パネル付近で流下させることで、より確実に支柱1と扉体5間の隙間から内部に浸入した水が内部機器に掛かることを防止することができる。
【0020】
さらに
図9に示すように、防水片8の垂直片8bをクランク状に折り曲げた形状とすることもできる。このため、フレーム部材11を用いない場合であっても、防水用の空間部13を形成することができる。このように防水片8は支柱1と扉体5間の隙間から内部に浸入した水が内部機器に掛かることを防止できるものであればよく、その形状は特に限定されるものではない。
【0021】
以上に説明した第1の実施形態は筐体がフレーム構造のものであったが、
図10に示す第2の実施形態では、筐体が支柱のないモノコック構造である。この第2の実施形態では、筐体は開口部の周囲に水切り部14を一体に形成したものであり、開口部を覆う外装パネルである扉体5が設けられている。水切り部14は側板6の端部を断面コ字状に屈曲させたもので、この水切り部14の開口部内側の上下方向に沿って、防水片8が取付けられている。12はパッキンである。
【0022】
防水片8の構造及び取付け方法は第1の実施形態と同様であり、水切り部14と外装パネルとの隙間から水が浸入しても、水が内部機器に掛かることを防水片8によって防止することができる。
【0023】
また、第1の実施形態と第2の実施形態のように、水切り部14と防水片8を設けることで、水切り部14から水が浸入しても、水が内部機器に掛かることを防水片8によって防止することで、内部機器に対して2重の防水対策を施すことが可能となる。
【0024】
また、筐体内への水の浸入は許容しても内部機器へ水が掛かることは許容しないキュービクルなどの電気機器収納用箱には、パッキン12を用いない場合もある。このような電気機器収納用箱であっても、第1の実施形態と第2の実施形態と同様に防水片8を設けることで、支柱1や水切部14と外装パネルとの隙間から水が浸入しても、水が内部機器に掛かることを防水片8によって防止することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 支柱
2 梁
3 梁
4 天板
5 扉体
5a 蝶番
6 側板
7 背面板
8 防水片
8a 取付片
8b 垂直片
9 機器取付孔
10 ねじ
11 フレーム部材
12 パッキン
13 防水用の空間部
14 水切り部