(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定手段により、前記ユーザ端末が前記所定のエリア外から前記所定のエリア内に移動したと判定された場合に、前記転送制御手段は、前記電話網に対して前記転送設定の解除を実施する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のユーザ端末。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態では、ユーザ端末100が自動的に屋外/屋内を判定して、転送設定/解除を行うこととしているが、判定する対象は屋外/屋内に限るわけではなく、所定のエリアの内か外かを判定して転送設定/解除を行うことも可能である。すなわち、屋内/屋外の判定は、より一般的には、所定のエリア内/所定のエリア外の判定と言い換えることができる。
【0013】
(システム構成)
図1に本発明の実施の形態に係るシステム構成を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るシステムは、転送元電話網500と転送先電話網600を有する。転送元電話網500は、例えば0ABJ番号を使用する固定電話網である。本実施の形態では、当該電話網が転送元の電話網になるため、「転送元電話網500」と称している。転送元電話網500は、呼接続、呼の転送等の様々な呼制御を行う呼制御システム400を有する。また、呼制御システム400は、転送設定を実行する転送設定サーバ410を有している。
【0014】
転送先電話網600は、例えば、スマートフォン等の携帯端末による通話を可能とするVoIP網、携帯電話網等である。本実施の形態では、当該電話網が転送先の電話網になるため、これを「転送先電話網600」と称している。
【0015】
転送元電話網500と転送先電話網600は相互接続されている。転送元電話網500と転送先電話網600からなる電話網は、「呼の転送を行う電話網」の例である。
【0016】
図1には、転送元電話網500に接続される発信端末300及び屋内端末200が示されている。また、ユーザ端末100が示されている。
図1に示すように、屋内端末200は、家等の建物の中(屋内)に設置されている。屋内端末200は、一般的な固定電話機であるが、これに限られない。
【0017】
ユーザ端末100は、無線LAN機能を備えるとともに、転送先電話網600に無線(又は有線)で接続して、転送先電話網600を介して呼の発着信を行うことが可能な一般的なスマートフォンであることを想定している。ただし、ユーザ端末100としてスマートフォンを使用することは、一例に過ぎず、ユーザ端末100として、例えばPC、タブレット等を使用することも可能である。
【0018】
また、ユーザ端末100は、インターネット経由で転送設定サーバ410にアクセスして、転送設定等を実行することが可能である。
【0019】
本実施の形態では、ユーザは、自分が屋内に位置するときに、屋内端末200の電話番号に対する着信を屋内端末200で受け、屋外に位置するときに、屋内端末200の電話番号に対する着信をユーザ端末100で受けることができる。このような受信を行うために、本実施の形態におけるユーザ端末100は、自身が屋内から屋外に出たことを検知すると、転送設定サーバ410に対して自動的に転送設定を実施し、自身が屋外から屋内に入ったことを検知すると、転送設定サーバ410に対して自動的に転送解除を実施する。
【0020】
図2に、ユーザ端末100の構成図を示す。
図2に示すように、ユーザ端末100は、転送制御実行判定部101、転送制御実行部102、電話機能部103、及び無線LAN機能部104を備える。なお、
図2は、ユーザ端末100において本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものである。また、
図2に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分や機能部の名称はどのようなものでもよい。
【0021】
ユーザ端末100における転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋内に位置するか、それとも屋外に位置するかを判定し、その判定結果に基づいて転送設定サーバ410に対する転送設定もしくは転送解除を行うか否かを決定する。
【0022】
転送制御実行部102は、転送制御実行判定部101による決定(転送設定実行もしくは転送解除実行)に従って、転送設定サーバ410に対する転送設定/転送解除を実行する。
【0023】
電話機能部103は、転送先電話網600に接続して通話を行うための機能部である。電話機能部103は、ユーザ端末100に予め備えられている携帯電話機能であってもよいし、VoIPアプリケーションをユーザ端末100にインストールすることにより実現される機能部であってもよい。いずれの場合でも、本実施の形態の電話機能部103は、3G/LTE/Wimax等により、無線基地局と接続し、携帯電話網等を介してインターネットに接続する機能を含んでいる。
【0024】
無線LAN機能部104は、無線LANにより無線LANアクセスポイントに接続し、無線LANでの通信を行う機能部である。
【0025】
本実施の形態に係るユーザ端末100は、3G/LTE/Wimax等の無線アクセス機能及び無線LAN機能部104を有するコンピュータ(スマートフォン等)に、本実施の形態における転送制御実行部102及び転送制御実行判定部101の処理内容を含むプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、ユーザ端末100が有する機能は、当該コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ、ハードディスクなどのハードウェア資源を用いて、転送制御実行部102及び転送制御実行判定部101で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0026】
(屋内/屋外の判定について)
本実施の形態におけるユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、無線LAN機能を利用して、ユーザ端末100が屋内に位置しているか、屋外に位置しているかの判定を実施する。具体的には以下のとおりである。
【0027】
本実施の形態では、屋内端末200が設置される屋内に、無線LANアクセスポイント(無線LANルータ等)が設置されている。ユーザ端末100は、無線LAN機能部104により、当該無線LANアクセスポイントから受信する電波の強度が所定値以上の場合に、自動的に当該無線LANに接続する。無線LANをアクセス回線として利用することで、例えば、インターネット経由でWebサービスの利用等を行うことができる。
【0028】
ユーザ端末101が、屋内の無線LANに接続している場合、ユーザ端末101が屋内に位置している可能性が高い。従って、本実施の形態における転送制御実行判定部101は、ユーザ端末101が屋内の無線LANに接続されている場合に、ユーザ端末101が屋内に位置していると判定し、接続されていない場合に、ユーザ端末101は屋外に位置していると判定する。ただし、後述するように、屋外の判定については、屋内の無線LANに接続されていないこと以外の判定も可能である。
【0029】
無線LANの電波は多数飛び交っているため、転送制御実行判定部101は、無線LANに接続されている場合に、屋内端末200が設置されている屋内の無線LANに接続しているかどうかを判定する必要がある。本実施の形態では、この判定をSSID(Service Set Identifier、アクセスポイントの識別名)を用いて行っている。
【0030】
すなわち、転送制御実行判定部101に対して、屋内の無線LANのSSIDを予め登録しておく。そして、無線LAN機能部104により無線LAN接続がなされた場合に、転送制御実行判定部101は、無線LAN機能部104から、接続している無線LANのSSIDを取得し、このSSIDと登録しているSSIDとを比較し、これらが一致した場合に、屋内の無線LANに接続していると判断する。
【0031】
無線LAN機能部104により無線LAN接続がなされたが、接続した無線LANのSSIDと登録しているSSIDとが異なる場合、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100は屋内に位置していないと判断できる。
【0032】
なお、SSIDを使用することは一例に過ぎず、他の情報を用いて屋内の無線LAN接続の有無を判定してもよい。一例として、無線LANに接続する際に使用するパスワードを用いて判定することとしてもよい。また、SSIDとパスワードの両方を用いて判定することとしてもよい。
【0033】
また、無線LAN機能を用いて屋内/屋外の判定を行うことは一例に過ぎず、他の方法で屋外/屋内を判定してもよい。
【0034】
例えば、ユーザ端末100がGPS機能を備えている場合、当該GPS機能を使用して屋内/屋外を判定することも可能である。この場合、転送制御実行判定部101に予め屋内における所定の位置(中心位置等)と、距離の閾値を登録しておく。そして、転送制御実行判定部101は、GPS機能により取得されるユーザ端末100の現在位置と、登録されている所定の位置との距離を算出し、距離が閾値以下であれば屋内に位置すると判断し、距離が閾値よりも大きければ屋外に位置すると判断することができる。
【0035】
また、ユーザ端末100が、電話機能部101等により有線で転送先電話網100に接続される場合、ユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、電話機能部101が有線で転送先電話網100に接続されたことを検知した場合に、「屋外」であると判断してもよい。
【0036】
(システムの動作)
次に、上述した構成を備えるシステムの動作について説明する。以下で説明する例では、屋内/屋外の判定を無線LAN機能を用いて行うものとする。また、屋内端末200の電話番号を電話番号Aとし、ユーザ端末100の電話番号を電話番号Bとする。
【0037】
更に、以下の例では、ユーザ端末100における電話機能部103が既に備えられており、電話機能部103により転送先電話網600を利用した通話が可能な状態であるとする。すなわち、電話機能部103がVoIPアプリケーションにより実現される場合、当該VoIPアプリケーションは既にインストールされ、起動されているものとする。ただし、VoIPアプリケーションが、電話機能に加えて、転送制御実行判定部101及び転送制御実行部102の機能を有することとしてもよく、その場合、下記のステップS101で、電話機能部103、転送制御実行判定部101、及び転送制御実行部102がユーザ端末100内に備えられる。
【0038】
<ユーザによる準備手順>
まず、ユーザによる準備手順を
図3のフローチャートを参照して説明する。ステップS101において、ユーザがユーザ端末100を操作することにより、例えば、サービス事業者により指定されたWebサイトにアクセスし、当該Webサイトから、転送制御実行判定部101及び転送制御実行部102の機能を含むアプリケーション(プログラム)をダウンロードし、当該アプリケーションをユーザ端末100にインストールし、起動する。
【0039】
ステップS101が完了すると、ユーザ端末100上(例:ユーザ端末100のタッチパネル上)には、転送制御実行判定部101により、無線LANのSSIDの入力画面が表示される。ステップS102において、ユーザは、当該入力画面から、屋内で使用する無線LANのSSIDを入力する。入力されたSSIDは、ユーザ端末100におけるメモリ等の記憶手段に格納される。
【0040】
なお、上記のように手動で入力することのほか、転送制御実行判定部101により、電波を捕捉している無線LANのSSIDを画面表示し、ユーザが、屋内の無線LANのSSIDを選択することで、屋内で使用する無線LANのSSIDを記憶手段に格納することとしてもよい。
【0041】
ユーザ端末100には、転送制御実行判定部101により、転送設定用の情報を入力するための入力画面が表示されており、ステップS103において、ユーザは、当該入力画面から転送設定用の情報を入力する。ここで入力する情報は、例えば、転送設定/解除のためのアクセス先となる転送設定サーバ410のアドレス情報(IPアドレスもしくはFQDN)、転送設定サーバ410に入るためのIDとパスワード、転送元の電話番号A、転送先の電話番号Bである。
【0042】
上記のようにして入力された情報は、ユーザ端末100の記憶手段に格納され、転送設定/解除の際に利用される。
【0043】
なお、転送設定サーバ410のアドレス情報、パスワード/ID等を、ステップS101でダウンロードするアプリケーションに含めることで、ここでの入力をしないこととしてもよい。
【0044】
<屋内から屋外への移動の場合の動作>
次に、
図4を参照して、ユーザ端末100が屋内から屋外に移動する場合におけるシステムの動作を説明する。
【0045】
図4に示す動作の前提として、最初にユーザ端末100が屋内に位置し、転送設定がなされておらず、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされていないという状態を示す情報を保持しているものとする。当該状態を示す情報により、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされていないことを把握する。
【0046】
ユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、定期的にユーザ端末100が屋内に位置しているか、屋外に位置しているかを判定する。ユーザ端末100が屋内の無線LANに接続している間、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋内に位置していると判定し、転送設定の処理を実行しない。ここでの判定は、より詳細には、転送制御実行判定部101が、「ユーザ端末100が屋内に位置している」かつ「転送設定がなされていない」ことを検知することで、転送解除の処理を実行しないという判定を含むこととしてもよい。
【0047】
ステップS201において、ユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋内の無線LANに接続していないことを検知する。これにより、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋外に位置していると判定する。「屋内の無線LANに接続していない」状態には、無線LANに全く接続していない場合に加え、無縁LANに接続しているが、当該無線LANのSSIDが屋内の無線LANのSSIDとは異なる場合を含む。
【0048】
屋内の無線LANに接続していないことを検知し(屋外であることを検知し)、かつ、現時点で転送設定がなされていないことを把握した転送制御実行判定部101は、転送設定サーバ410に対して転送設定を実行することを決定し、転送設定の実行を転送制御実行部102に指示する。
【0049】
また、転送制御実行判定部101は、「3G/LTE/Wimax等の無線アクセス回線に接続している、又は、屋内の無線LAN以外の無線LANに接続している」ことを「屋外」の判定条件とし、この条件により「屋外」と判定し、かつ、「現時点で転送設定がなされていない」場合に、転送設定を実行することを決定し、転送設定の実行を転送制御実行部102に指示することとしてもよい。また、ユーザ端末100の機能により、「3G/LTE/Wimax等の無線アクセス回線に接続している、又は、屋内の無線LAN以外の無線LANに接続している」ことと、「屋内の無線LANに接続する」こととが同時に発生し得る場合には、上記の「屋外」の条件に、「屋内の無線LANに接続されていないこと」を加えた条件を「屋外」の条件としてもよい。
【0050】
上記の例に関して、「3G/LTE/Wimax等の無線アクセス回線に接続している、又は、屋内の無線LAN以外の無線LANに接続している」状態となることで、ユーザ端末100は、無線アクセス回線等を経由してインターネットに接続し、転送設定サーバ410に接続することができる。
【0051】
ただし、この条件を使用せずに、「屋内の無線LANに接続されていないこと」でもって転送設定の実行を決定することも可能であり、その場合、転送制御実行部102は、「3G/LTE/Wimax等の無線アクセス回線に接続する、又は、屋内の無線LAN以外の無線LANに接続する」という状態になれば転送設定を実行し、この状態にならなければ、転送設定を実行しない、という動作を行う。
【0052】
ステップS202の時点で、ユーザ端末100は、3G/LTE/Wimax等の無線アクセス回線に接続している、もしくは、屋内の無線LAN以外の無線LANに接続しており、そのため、ユーザ端末100はインターネットに接続できるものとする。
【0053】
ステップS202において、ユーザ端末100の転送制御実行部102は、インターネット経由で、転送設定サーバ410にID/パスワードを用いてアクセスし、転送設定情報(転送元:電話番号A、転送先:電話番号B)を転送設定サーバ410に送信することにより、転送設定を実施する。なお、ここでの転送設定情報は一例に過ぎず、より細かな設定情報(転送時間帯、無応答時転送、話中時転送等)を含めてもよい。
【0054】
ステップS203では、転送設定サーバ410の機能により呼制御システム400において、電話番号A(屋内端末200)宛ての着信信号は、電話番号B(ユーザ端末100)に転送するという転送設定がなされる。転送設定がなされると、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされていることを示す状態情報を記憶手段に格納する。
【0055】
その後、発信端末300から、電話番号A(屋内端末200)を宛先とする発信がされる。ステップS204において、当該発信にかかる着信信号は、呼制御システム400に送られる。
【0056】
仮に転送設定がされていないものとすると、
図4の点線で示すように、当該着信信号は屋内端末200に届くが、本例では、上記の転送設定がなされているので、ステップS205において転送処理がなされ、当該着信信号は、電話番号B(ユーザ端末100)に向けて転送される。これにより、着信信号は、転送先電話網600に転送され(ステップS206)、転送先電話網600からユーザ端末100に送信される(ステップS207)。ユーザ端末100は、発信端末300から発信された電話番号A(屋内端末200)宛ての着信信号を受信することができ、発信端末300との間で通話を行うことができる。
【0057】
<屋外から屋内への移動の場合の動作>
次に、
図5を参照して、ユーザ端末100が屋外から屋内に移動する場合におけるシステムの動作を説明する。
【0058】
図5に示す動作の前提として、最初にユーザ端末100が屋外に位置し、転送設定サーバ410に対して転送設定がなされており、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされているという状態を示す情報を保持している。当該状態を示す情報により、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされていることを把握する。
【0059】
前述したとおり、ユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、定期的にユーザ端末100が屋内に位置しているか、屋外に位置しているかを判定している。ユーザ端末100が屋内の無線LANに接続していない間、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋外に位置している(あるいは、屋内に位置していない)と判定し、転送解除の処理を実行しない。
【0060】
ステップS301において、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が、屋内の無線LANに接続していることを検知したことで、ユーザ端末100が屋内に位置していると判定する。「屋内の無線LANに接続している」とは、無線LANに接続し、かつ、当該無線LANのSSIDが、予め設定しておいたSSIDと一致することである。
【0061】
屋内の無線LANに接続していることを検知し、かつ、現時点で転送設定がなされていることを把握した転送制御実行判定部101は、転送解除を実行することを決定し、転送解除の実行を転送制御実行部102に指示する。
【0062】
ステップS302において、ユーザ端末100の転送制御実行部102は、インターネット経由で、転送設定サーバ410にID/パスワードを用いてアクセスし、転送解除情報を転送設定サーバ410に送信することにより、転送解除を実施する。転送解除情報には、「転送元:電話番号A、転送先:電話番号B」として設定されている転送設定を解除することを指示する情報が含まれる。なお、"「転送元:電話番号A、転送先:電話番号B」として設定されている転送設定"を指定する情報は、この設定を識別するIDでもよいし、「転送元:電話番号A、転送先:電話番号B」を含む情報であってもよい。
【0063】
ステップS303において、呼制御システム400は、電話番号A(屋内端末200)宛ての着信信号を、電話番号B(ユーザ端末100)に転送するという転送設定を解除する。また、ユーザ端末100の転送制御実行判定部101は、転送設定がなされていない旨の情報を保持する。
【0064】
その後、発信端末300から、電話番号A(屋内端末200)を宛先とする発信がされる。ステップS304において、当該発信にかかる着信信号は、呼制御システム400に送られる。この時点で転送設定は解除されているので、ステップS305において、当該着信信号は屋内端末200に届く。これにより、ユーザは、発信端末300から発信された電話番号A(屋内端末200)宛ての着信を屋内端末200にて受けることができる。
【0065】
<屋内/屋外の判定の契機について>
上記の例では、転送制御実行判定部101は定期的に屋内/屋外の判定を行うこととしているが、転送制御実行判定部101は、定期的ではなく、所定の契機を検知した場合に、屋内/屋外の判定を行うこととしてもよい。所定の契機は、例えば、ユーザ端末100が、無線LANに接続している状態から、3G/LTEにより携帯電話網(ここでは転送先電話網600)に接続した状態になることである。また、逆に、ユーザ端末100が、3G/LTEにより携帯電話網に接続している状態から、無線LANに接続した状態になることも所定の契機となる。
【0066】
また、上記の例では、転送制御実行判定部101は、転送設定がなされているか否かを示す情報を管理することで、定期的に実行される屋内/屋外の判定により転送設定/解除の実行が繰り返し行われることを回避しているが、転送設定がなされているか否かを示す情報を管理しない方法を採用することも可能である。この場合、定期的に実施する屋内/屋外の判定の中で、ある時点で実施する屋内/屋外の判定結果が、その直前に実施した判定結果と同じであれば転送設定/解除を行わず、直前に実施した判定結果と異なる場合に、当該時点での判定結果に基づく転送設定/解除の実行を決定する。
【0067】
例えば、最初の判定で屋内と判定され、次の判定で屋外と判定された場合に、ユーザ端末100が屋内から屋外に移動したと判定し、転送設定の処理を実施し、その次の判定で屋外と判定された場合は、転送設定/解除の処理を実施しない。
【0068】
なお、転送設定がなされているか否かを示す情報を管理する場合において、転送設定がなされていない状態で、屋外と判定することは、ユーザ端末100が屋内から屋外に移動したと判定する場合の例である。
【0069】
また、例えば、最初の判定で屋外と判定され、次の判定で屋内と判定された場合に、ユーザ端末100が屋外から屋内に移動したと判定し、転送解除の処理を実施し、その次の判定で屋内と判定された場合は、転送解除/設定の処理を実施しない。
【0070】
なお、転送設定がなされているか否かを示す情報を管理する場合において、転送設定がなされている状態で、屋内と判定することは、ユーザ端末100が屋外から屋内に移動したと判定する場合の例である。
【0071】
(変形例)
図1に示したシステムでは、転送元電話網500と転送先電話網600が別々のサービス事業者(例:固定電話事業者と携帯電話事業者)であることを想定しているが、ある電話番号から別の電話番号への転送を行うサービスは、このような複数事業者間に限らず、1つのサービス事業者内あるいは企業網内においても提供することが可能である。
【0072】
一例として、内線電話番号(外線電話番号)宛ての呼を、外線電話番号(内線電話番号)に転送するサービスが想定できる。本発明に係る技術はこのような1サービス事業者内(あるいは企業網内)で提供される転送サービスにも適用可能である。以下、1サービス事業者内で実施されることが想定される転送サービスに対して本発明の係る技術を適用する例を変形例として説明する。以下では、これまでに説明した例と異なる部分を中心に説明する。また、これまでに説明した例を便宜上、基本例と呼ぶ。
【0073】
<システム構成>
図6は、変形例におけるシステム構成図である。
図6に示すように、変形例に係るシステムは、電話網800を有する。電話網800は、呼制御システム700を含み、当該呼制御システム700により、呼接続、呼の転送等の様々な呼制御を行う。変形例では、呼制御のプロトコルとしてSIPを用いるが、これは例であり、SIP以外のプロトコルを使用してもよい。また、呼制御システム700は、転送設定を実行するための転送設定サーバ710を含む。基本例と同様にして、ユーザ端末100は、インターネット経由で転送設定サーバ710にアクセスし、転送設定/解除等を行うことが可能である。
【0074】
変形例における呼制御システム700は、呼の転送時に、着信信号に、発信元の電話番号と転送元の電話番号(発信元から発信された時点での宛先の電話番号)を含め、これらの電話番号を含む着信信号を転送先の端末に送信することが可能である。
【0075】
また、ユーザ端末100は、転送された着信を受けた場合に、発信元の電話番号及び転送元の電話番号を着信履歴として表示し、ユーザによる発信ボタン操作等により、転送元の電話番号を発信元とする、発信元への折り返し発信を行うことが可能である。
【0076】
図7に、変形例におけるユーザ端末100の構成図を示す。
図7に示すように、変形例のユーザ端末100は、着信履歴処理部105を有する点が基本例におけるユーザ端末100と異なる。着信履歴処理部105以外の機能部については、基本例と同様である。着信履歴処理部105は、例えば、転送制御実行判定部101と転送制御実行部102に対応するアプリケーション(プログラム)に対する追加機能として加えられてもよいし、着信履歴処理部105が単独のアプリケーション(プログラム)として提供されてもよいし、VoIPアプリケーションの一部として着信履歴処理部105の機能が提供されてもよい。
【0077】
<屋内から屋外への移動の場合の動作>
次に、
図8を参照して、ユーザ端末100が屋内から屋外に移動する場合における変形例に係るシステムの動作を説明する。以下では、発信端末300の電話番号を電話番号Cとする。また、ユーザ端末100の電話機能部103は、自分の電話番号Bではない電話番号である電話番号Aを発信元とする発信が可能なように設定がされている。一例として、電話機能部103に、呼制御システム700を使用するためアカウント情報として、電話番号Aのアカウント情報を設定しておく。これ以外の動作の前提、屋内/屋外の判定、転送設定の実施判定、転送設定の実施内容については基本例と同じである。
【0078】
ステップS401において、転送制御実行判定部101は、ユーザ端末100が屋外に位置していると判定し、ステップS402において、転送制御実行部102が、転送設定情報を転送設定サーバ710に送信することで転送設定を実施する。ステップS403において、呼制御システム700で転送設定がなされる。
【0079】
その後、発信端末300から、電話番号A(屋内端末200)を宛先とする発信がされる。ステップS404において、当該発信にかかる着信信号(発信元の電話番号=電話番号C)は、呼制御システム700に送られる。
【0080】
ステップS405において、転送処理がなされ、当該着信信号は、電話番号B(ユーザ端末100)に向けて転送される。着信信号は、ユーザ端末100に届く(ステップS406)。これにより、ユーザ端末100は、発信端末300から発信された電話番号A(屋内端末200)宛ての着信信号を受信することができ、発信端末300との間で通話を行うことができる。
【0081】
本変形例では、ステップS406において、ユーザ端末100の電話機能部103が転送された着信信号を受信する。この着信信号は、具体的にはINVITEメッセージである。例えば、当該INVITEメッセージのFromヘッダには、発信元の電話番号Cが含まれ、routeヘッダ、viaヘッダ等には、転送元の(元の宛先の)電話番号Aが含まれている。
【0082】
着信時に、着信履歴処理部105は、電話機能部103から着信信号(INVITEメッセージ)を取得し、転送経路に関する所定のヘッダ(例:routeヘッダ、viaヘッダ)に電話番号が含まれている場合に、当該着信信号は転送されてきた信号であると判断し、当該所定のヘッダに含まれる電話番号(本例では電話番号A)を転送元の電話番号として取得する。また、着信履歴処理部105は、発信元の電話番号(本例では電話番号C)を取得し、これらの電話番号Aと電話番号Cを含む着信履歴を記憶手段に格納する。ここでは、電話番号Aは、転送元の電話番号として格納され、電話番号Cは発信元の電話番号として格納される。
【0083】
その後、ユーザは、ユーザ端末100から発信端末300に対する折り返し発信を行うものとする。ここでは、例えば、ユーザによるユーザ端末100に対する操作に基づき、着信履歴処理部105が、上記の着信時に格納した着信履歴を読み出し、着信履歴をディスプレイ(タッチパネル等)に表示する。このときに表示される画面には、上記の着信履歴の情報として、発信元の電話番号としての電話番号Cが表示され、転送元の電話番号としての電話番号Aが表示される。
【0084】
ユーザは、例えば、発信元の電話番号Cを指定して、折り返し発信を指示する。この指示に基づいて、着信履歴処理部105は、転送元の電話番号である電話番号Aを発信元とした、電話番号C宛ての発信を行うように電話機能部103に指示する。
【0085】
そして、
図8のステップS407において、電話機能部103は、電話番号C宛ての発信を行う。ここで送出される発信信号(INVITEメッセージ)における発信元を示すヘッダ(例:Fromヘッダ)には、電話番号Aが記述されている。発信信号は、呼制御システム700を経由して、発信端末300に送信される(ステップS408)。発信端末300には、例えば、発信元の電話番号として電話番号Aが表示される。これにより、発信端末300のユーザは、ステップS404で発信した宛先から折り返しの電話がかかってきたと認識する。このように、変形例においては、転送設定がされている場合でも、転送呼を発信した発信元に対して、転送元の電話番号を発信元とする折り返し発信を行うことができる。
【0086】
なお、転送呼の折り返し発信の場合でも、設定により、ユーザ端末100は、電話番号Bを発信元とする発信を行うことも可能である。また、電話番号Aを発信元として発信を行った場合、ユーザ端末100は、発信履歴における発信元電話番号として電話番号Aを記録する。
【0087】
(実施の形態のまとめ)
以上、説明したように、本実施の形態によれば、呼の転送を行う電話網に接続する機能を有するユーザ端末であって、前記ユーザ端末が所定のエリア内に位置しているか、もしくは所定のエリア外に位置しているかを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定された場合に、前記電話網に対して転送設定を実施する転送制御手段とを備えるユーザ端末が提供される。
【0088】
前記転送設定は、例えば、前記所定のエリア内に設置される端末宛ての着信信号を、前記ユーザ端末に転送するための設定である。
【0089】
前記判定手段により、前記ユーザ端末が前記所定のエリア外から前記所定のエリア内に移動したと判定された場合に、前記転送制御手段は、前記電話網に対して前記転送設定の解除を実施することとしてもよい。
【0090】
前記ユーザ端末は、例えば、前記所定のエリアにおいて使用される無線LANを識別するための特定の識別情報を保持しており、前記判定手段は、前記ユーザ端末が接続している無線LANの識別情報と、前記特定の識別情報とが一致することを検知した場合に、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内に位置していると判定することとしてもよい。
【0091】
前記判定手段は、前記ユーザ端末が所定のエリア内に位置しているか、もしくは所定のエリア外に位置しているかの判定を定期的に実行し、ある時点での判定結果が前記所定のエリア外であり、直前の判定結果が前記所定のエリア内である場合に、当該時点において前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定することとしてもよい。
【0092】
前記ユーザ端末は、前記転送設定がなされているか否かを示す情報を保持しており、前記判定手段は、当該情報に基づいて前記転送設定がなされていないことを検知し、かつ、前記ユーザ端末が前記所定のエリア外に位置していることを検知した場合に、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定することとしてもよい。
【0093】
また、前記ユーザ端末は、前記電話網から転送に係る着信信号を受信した場合に、当該着信信号に含まれる発信元電話番号と転送元電話番号とを着信履歴として格納し、前記着信履歴に基づいて、前記転送元電話番号を発信元として有する発信信号を、前記発信元電話番号宛てに送信することにより折り返し発信を実行する手段を備えることとしてもよい。
【0094】
本実施の形態によれば、電話網に対する転送設定を、転送が必要なときに自動的に行うことが可能となる。これにより、ユーザは、外出の都度、転送設定を行うことなく、外出先で転送に係る呼の着信を受けることができる。また、ユーザが屋内にいる場合には、屋内端末宛ての着信を屋内端末で受信することができる。
【0095】
(第1項)
呼の転送を行う電話網に接続する機能を有するユーザ端末であって、
前記ユーザ端末が所定のエリア内に位置しているか、もしくは所定のエリア外に位置しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定された場合に、前記電話網に対して転送設定を実施する転送制御手段と
を備えることを特徴とするユーザ端末。
(第2項)
前記転送設定は、前記所定のエリア内に設置される端末宛ての着信信号を、前記ユーザ端末に転送するための設定である
ことを特徴とする第1項に記載のユーザ端末。
(第3項)
前記判定手段により、前記ユーザ端末が前記所定のエリア外から前記所定のエリア内に移動したと判定された場合に、前記転送制御手段は、前記電話網に対して前記転送設定の解除を実施する
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載のユーザ端末。
(第4項)
前記ユーザ端末は、前記所定のエリアにおいて使用される無線LANを識別するための特定の識別情報を保持しており、
前記判定手段は、前記ユーザ端末が接続している無線LANの識別情報と、前記特定の識別情報とが一致することを検知した場合に、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内に位置していると判定する
ことを特徴とする第1項ないし第3項のうちいずれか1項に記載のユーザ端末。
(第5項)
前記判定手段は、前記ユーザ端末が所定のエリア内に位置しているか、もしくは所定のエリア外に位置しているかの判定を定期的に実行し、ある時点での判定結果が前記所定のエリア外であり、直前の判定結果が前記所定のエリア内である場合に、当該時点において前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定する
ことを特徴とする第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載のユーザ端末。
(第6項)
前記ユーザ端末は、前記転送設定がなされているか否かを示す情報を保持しており、前記判定手段は、当該情報に基づいて前記転送設定がなされていないことを検知し、かつ、前記ユーザ端末が前記所定のエリア外に位置していることを検知した場合に、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定する
ことを特徴とする第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載のユーザ端末。
(第7項)
前記電話網から転送に係る着信信号を受信した場合に、当該着信信号に含まれる発信元電話番号と転送元電話番号とを着信履歴として格納し、
前記着信履歴に基づいて、前記転送元電話番号を発信元として有する発信信号を、前記発信元電話番号宛てに送信することにより折り返し発信を実行する手段
を備えることを特徴とする第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載のユーザ端末。
(第8項)
呼の転送を行う電話網に接続する機能を有するユーザ端末が実行する転送制御方法であって、
前記ユーザ端末が所定のエリア内に位置しているか、もしくは所定のエリア外に位置しているかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記ユーザ端末が前記所定のエリア内から前記所定のエリア外に移動したと判定された場合に、前記電話網に対して転送設定を実施する転送制御ステップと
を備えることを特徴とする転送制御方法。
(第9項)
コンピュータを、第1項ないし第7項のうちいずれか1項に記載のユーザ端末における各手段として機能させるためのプログラム。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。