【文献】
Duprez, L. et al.,Intermediate Domain of Receptor-interacting Protein Kinase 1(RIPK1) Determines Switch between Necroptosis and RIPK1 Kinase-dependent Apotosis,The Journal of Biological Chemistry,2012年 4月27日,Vol.287, No.18,Pages 14863-14872
【文献】
BALATONI, C. E. et al.,Epigenetic Silencing of Stk39 in b-Cell Lymphoma Inhibits Apotosis from Genotoxic Stress,The American Journal of Pathology,2009年10月,Vol.175, No.4,Pages 1653-1661
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
がんを有する対象が(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドに対する増大した応答し易さを有するか否かを予測する方法であって、対象から採取した生物学的試料中のTNF、RIPK1およびSTK39のmRNA発現のレベルを決定し、決定された発現レベルに基づき、前記応答し易さが予測される、方法。
(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドを含有する、がんを有する対象を選択的に処置するための医薬であって、当該対象が、
当該対象由来の生物学的試料が、対象から採取した生物学的試料中のTNF、RIPK1およびSTK39を含むバイオマーカーの発現のレベルについてアッセイされ、および
当該試料が、対象が(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドに対し増大した応答し易さを有することを示す発現のレベルを有すること
に基づき選択され、ここで、前記発現レベルが、対照と比較して、TNFおよびRIPK1の増大した発現のレベルならびにSTK39の低減した発現のレベルである、医薬。
がんを有する対象を選択的に処置するための、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドを含む医薬であって、
当該対象が、対照と比較して、TNFおよびRIPK1の増大した発現のレベルならびにSTK39の低減した発現のレベルを有する、医薬。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
IAPインヒビターを受ける患者の潜在的臨床利益を最大とするためには、IAPインヒビターに対してより応答し易い腫瘍を有する患者を選択できることが重要である。本明細書中で記載される方法は、IAPインヒビター処置から利益を得る可能性が高い患者を決定するために使用できる複数のバイオマーカーの同定に基づく。本発明のバイオマーカーは、日常的な臨床検査のために意図的に最適化させた。
【0014】
バイオマーカー
本発明のバイオマーカーとしては、以下の遺伝子:CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1の3つ以上が挙げられる。上で特定した3つ以上のバイオマーカーの発現レベルを分析することによって、IAPインヒビターが治療的により有効である可能性が高いがんを有する個体を選択することが可能である。
【0015】
本発明のバイオマーカーは、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、MAPK14、TNFおよびRIPK1(相対的mRNA発現がより高い);ならびにSTK39(相対的mRNA発現がより低い)のmRNAレベルを決定することを含む。1つの例において、発現プロフィールは、以下の遺伝子CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1のうちの3つ以上のmRNAレベルまたは発現レベルの比を表す一連の値であり得る。別の例において、発現プロフィールは、STK39、TNFおよびRIPK1のmRNAレベル、またはこれらの3つの遺伝子についてのmRNA発現レベルの比を表す一連の値であり得る。高いまたは低いmRNA発現は、対照試料または一連の対照試料と比較した、がんを有する個体由来の試料におけるmRNAの量を意味し得る。別の例において、がんを有する個体由来の試料の中の、他に対応する、この3つ(TNF、RIPK1またはSTK39)の遺伝子の1つのより高い発現のレベルは、IAPインヒビターが治療的により有効である可能性が高いがんを有する個体を選択するであろう。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、STX39、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、およびMAPK14からなる群より選択される少なくとも2つのマーカーのmRNA発現を決定することを含む。1つの例において、この2つのマーカーは、CCL5およびSTK39である。なお別の例において、本発明は、STK39の発現のレベルを決定することを含む。
【0017】
IAPインヒビター
本開示における使用のためのIAPインヒビターの例としては、任意のIAPインヒビターが挙げられる。1つの例において、本発明は、式M−L−M’の化合物を含み、式中、MおよびM’は、各々独立して、式(I)のモノマー部分であり:
【0018】
【化1】
式中、
R
1は、(C
1〜C
4)アルキルまたは水素であり;
R
2は、水素、(C
1〜C
4)アルキル、ハロ−置換(C
1〜C
4)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、−CH
2−(C
3〜C
6)シクロアルキル、ベンジル、HO−(C
1〜C
4)アルキル−またはCH
3NHC(O)−であり;
R
3は、(C
1〜C
4)アルキル、ハロ−置換(C
1〜C
4)アルキル、または水素であるか;
または、R
2は、R
2が結合している窒素原子と共に、R
3と一緒になって、各々独立してN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ−環原子を任意選択で含む3〜6員ヘテロ環式環を形成し;
Qは、(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、−OH、−C(O)−(C
1〜C
4)アルキル、−O−C(O)−(C
1〜C
4)アルキル、−NH
2、−NH−(C
1〜C
4)アルキル、−N((C
1〜C
4)アルキル)
2、−NH−C(O)−(C
1〜C
4)アルキル、−NHSO(C
1〜C
4)アルキル、−NHSO(フェニル)、−N((C
1〜C
4)アルキル)−SO(C
1〜C
4)アルキル、−N((C
1〜C
4)アルキル)−SO(フェニル)、−NHSO
2(C
1〜C
4)アルキル、−NHSO
2(フェニル)、−N((C
1〜C
4)アルキル)−SO
2(C
1〜C
4)アルキル、または−N((C
1〜C
4)アルキル)−SO
2(フェニル)であり;
oは、0、1、または2であり;
Aは、少なくとも1つのN環ヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール環であり;
Dは、結合、−C(O)−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−SO
2−、−N((C
1〜C
4)アルキル)−、−N((C
1〜C
4)アルキル−OH)−、−N((C
3〜C
6)シクロアルキル)−、−NHC(O)−、−N((C
1〜C
4)アルキル)C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)−N((C
1〜C
4)アルキル)−、−N((C
1〜C
4)アルキル−CO
2−(C
1〜C
4)アルキル)−、−(C
1〜C
4)アルキレン、(C
2〜C
6)アルケニレン、−CH(OH)−、−C(O)−(C
1〜C
4)アルキレン、−NH−(C
1〜C
4)アルキレン、−S−(C
1〜C
4)アルキレン、−S(O)−(C
1〜C
4)アルキレン、−SO
2−(C
1〜C
4)アルキレン、−NHSO
2(C
1〜C
4)アルキレン、−NHSO(C
1〜C
4)アルキレン、または−CH(R)−、であり、式中、Rは、NH
2、−NH((C
1〜C
4)アルキレン)フェニル)、−NH(C
1〜C
4)アルキル、−O((C
1〜C
4)アルキレン)フェニル)または−O(C
1〜C
4)アルキルであり、ここで、((C
1〜C
4)アルキレン)フェニル)または(C
1〜C
4)アルキルは、ハロによって任意選択で置換されており;
A
1は、H、CF
3、フェニル、ナフチル、部分または完全飽和(C
3〜C
6)シクロアルキル、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜12員部分または完全飽和ヘテロ環、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロアリールであり、
ここで、前記フェニル、ナフチルおよび前記ヘテロアリールは、ハロ、(C
1〜C
4)アルキル、ハロ−置換(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、−C(O)NHCH
3、−C(O)N(CH
3)
2、CN、またはNO
2から各々独立して選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、前記ヘテロ環および前記シクロアルキルは、フェニルまたは各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールと任意選択で縮合しており、前記ヘテロ環、前記シクロアルキル、前記縮合ヘテロ環および前記縮合シクロアキルは、オキソ、ハロ、(C
1〜C
4)アルキル、ハロ−置換(C
1〜C
4)アルキル、または(C
1〜C
4)アルコキシによって任意選択で置換されており;
Wは、結合、(C
1〜C
10)アルキレン、(C
1〜C
10)アルケニレン、((C
1〜C
4)アルキレン)
m−(Y)
n−B、((C
1〜C
4)アルケニレン)
m−(Y)
n−Bであり、式中、mおよびnは、各々独立して0または1であり、Yは、フェニレン、ナフチレン、部分または完全飽和3〜6員シクロアルキレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む完全または部分飽和5〜6員ヘテロシクレン、または各々独立してO、S、またはNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10−ヘテロアリーレンであり、Bは、結合、−O−、(C
1〜C
4)アルキレン、または−(CH
2)(フェニレン)であり、
ここで、前記(C
1〜C
10)アルキレン、(C
1〜C
10)アルケニレン、(C
1〜C
4)アルキレン、または(C
1〜C
4)アルケニレン部分は、アルキレン鎖中に点在する酸素または窒素原子を任意選択で含み、オキソ、−CF
3、フェニル、ナフチル、各々独立してO、S、またはNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロアリール、部分または完全飽和5〜6員シクロアルキル、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む完全または部分飽和5〜6員ヘテロ環、および/または1つまたは複数のハロによって任意選択で置換されており、
ここで、前記部分または完全飽和ヘテロシクレンは、各々独立してオキソ、(C
1〜C
4)アルキル、またはハロから選択される1〜2個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、前記ヘテロアリールまたは前記ヘテロアリーレンは、ハロまたは(C
1〜C
4)アルキルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、前記フェニレン、前記フェニル、前記ナフチル、前記ナフチレン、前記シクロアルキレン、または前記シクロアルキルは、各々独立してハロ、−CF
3、(C
1〜C
4)アルキル、または(C
1〜C
4)アルコキシから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
または、Wが、((C
1〜C
4)アルキレン)
m−(Y)
n−Bまたは((C
1〜C
4)アルケニレン)
m−(Y)
n−Bであり、Lが、NR
5−C(O)−X
2−C(O)−NR
5−または−NR
5−S(O)
2−X
2−S(O)
2−NR
5−である場合、Bは、任意選択で、R
5が結合している窒素と共にR
5と一緒になって、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、1H−ピロリル、ピペリジニル、1H−インドリル、インドリニル、1H−ジヒドロイミダゾリル、1H−イミダゾリル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−b]ピラジニル、オキサゾリジニル、およびチアゾリジニルからなる群より選択されるヘテロ環式環を形成し、ここで、前記ヘテロ環式環は、各々独立して(C
1〜C
4)アルキル、−OH、またはオキソから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており;
Lは、−C(O)−NR
5−X
1−NR
5−C(O)−、−S(O)
2−NR
5−X
1−NR
5−S(O)
2−、−NR
5−C(O)−X
2−C(O)−NR
5−、および−NR
5−S(O)
2−X
2−S(O)
2−NR
5−からなる群より選択されるリンカー基であり、
式中、R
5は、水素、(C
1〜C
4)アルキル、ベンジル、またはシクロヘキシルであり;
X
1は、
(i)結合、
(ii)(C
1〜C
10)アルキレン、(C
2〜C
10)アルケニレン、(C
2〜C
10)アルキニレン、((C
1〜C
10)アルキレン)−(O(C
1〜C
6)アルキレン)
p−、または(C
1〜C
10)アルキレン−NH(C
1〜C
6)アルキレン(式中、pは0、1または2である)、
(iii)フェニレン、ナプチレン、フルオレニレン、9H−フルオレン−9−オニレン、9,10−ジヒドロアントラセニレン、アントラセン−9,10−ジオニレン、部分または完全飽和(C
3〜C
8)シクロアルキレン、各々独立してO、S、またはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロアリーレン(ここで、前記フェニレンは、任意選択で(C
5〜C
6)シクロアルキルと縮合している)、
(iv)(フェニレン)−G−(フェニレン)、(式中、Gは、結合、O、S、−NH−、−N=N−、−S=S−、−SO
2−、(C
1〜C
6)アルキレン、(C
2〜C
6)アルケニレン、(C
2〜C
10)アルキニレン、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリール、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレンであり、ここで、前記フェニレンは、任意選択でフェニルに縮合している)、
(v)((C
1〜C
6)アルキレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルキレン)
s、または((C
1〜C
6)アルケニレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルケニレン)
s(式中、rおよびsは、各々独立して0、1、または2であり;Z
1は、−O−、−N=N−、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、フェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレンであり、ここで、前記ヘテロアリーレンおよび前記ヘテロシクレンは、フェニル、フェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレンに任意選択で縮合している)、または
(vi)(C
1〜C
20)アルキレンまたは−NH−((C
1〜C
20)アルキレン)−NH−(ここで、前記アルキレンは、アルキレン鎖中に点在する1〜6個の酸素原子、および任意選択で、アルキレン鎖中に点在する1〜2個のフェニレン基を含む)であるか;
または、X
1は、任意選択で、R
5基の両方が結合する窒素と共にR
5基の両方と一緒になって、2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタンを形成し;
X
2は、
(i)結合、または−O−、−NH−、または−N((C
1〜C
4)アルキル)−、
(ii)(C
1〜C
10)アルキレン、−(O(C
1〜C
6)アルキレン)
p−、−((C
1〜C
6)アルキレンO)
q−、−O−((C
1〜C
6)アルキレンO)
q−、(C
2〜C
10)アルケニレン、((C
1〜C
10)アルキレン)−(O(C
1〜C
6)アルキレン)
p−、−O−((C
1〜C
10)アルキル)−O−、または(C
1〜C
10)アルキレン−NH(C
1〜C
6)アルキレン、または(C
2〜C
10)アルキニレン、(式中、pおよびqは、各々独立して1、2、または3である)、
(iii)フェニレン、ナプチレン、フルオレニレン、9H−フルオレン−9−オニレン、9,10−ジヒドロアントラセニレン、アントラセン−9,10−ジオニレン、部分または完全飽和(C
3〜C
8)シクロアルキレン、各々独立してO、S、またはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロアリーレン(ここで、前記フェニレンは、任意選択で(C
5〜C
6)シクロアルキルに縮合している)、
(iv)(フェニレン)−G−(フェニレン)、または−O−(フェニレン)−G−(フェニレン)−O−(式中、Gは、結合、O、S、−NH−、−N=N−、−S=S−、−SO
2−、(C
1〜C
6)アルキレン、(C
2〜C
6)アルケニレン、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリール、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレンであり、ここで、前記フェニレンは、任意選択でフェニルに縮合している)、
(v)((C
1〜C
6)アルキレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルキレン)
s、((C
1〜C
6)アルケニレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルケニレン)
s、または−(O(C
1〜C
3)アルキレン)
u−Z
2−((C
1〜C
3)アルキレンO)
v−、(式中、r、s、u、およびvは、各々独立して0、1、または2であり;Z
1およびZ
2は、−O−、−N=N−、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、フェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレン(ここで、前記ヘテロアリーレンおよび前記ヘテロシクレンは、任意選択で、フェニル、フェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレンに縮合している)、または
(vi)(C
1〜C
20)アルキレンまたは−NH−((C
1〜C
20)アルキレン)−NH−(ここで、前記アルキレンは、アルキレン鎖中に点在する1〜6個の酸素原子、および任意選択で、アルキレン鎖中に点在する1〜2個のフェニレン基を含む)であり;
ここで、X
1およびX
2の前記(ii)群の部分は、1つまたは複数のフルオロ原子、またはハロ、オキソ、アミノ、フェニル、ナフチル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、または各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロ環から各々独立して選択される1〜2個の置換基によって各々独立して置換されており、ここで、前記フェニル、前記シクロアルキル、および前記ヘテロ環は、各々独立してハロ、(C
1〜C
4)アルキル、またはトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、X
1およびX
2の前記(iii)および(iv)群の部分は、各々独立して(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、ハロ、アミノ、−OH、ベンジル、または縮合した5〜6員シクロアルキルから選択される1〜4個のsubstitutentsによって任意選択で置換されており、ここで、前記(C
1〜C
4)アルキル、前記(C
1〜C
4)アルコキシ、および前記縮合シクロアルキルは、ハロ、(C
1〜C
4)アルキルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、X
1およびX
2の前記(v)群の部分は、各々独立してハロ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、またはフェニルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されている
化合物、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0019】
別の例において、IAPインヒビター化合物は、式M−L−M’の化合物であってもよく、式中、MおよびM’は、各々独立して式(I)のモノマー部分であり:
【0020】
【化2】
式中、
R
1は、(C
1〜C
4)アルキル、重水素化メチル、または水素であり;
R
2は、(C
1〜C
4)アルキルまたは水素であり;
R
3は、(C
1〜C
4)アルキルまたは水素であり、または、
R
1またはR
2は、R
1またはR
2に結合している窒素と共に、R
3と一緒になって、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルを形成し;
R
4は、
(i)(C
1〜C
10)アルキル、(C
2〜C
10)アルケニル、(C
2〜C
10)アルキニル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、フェニル、各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む3〜7員ヘテロ環、または各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜9員ヘテロアリールであるか、または
(ii)R
4a−(C
1〜C
6)アルキレン(式中、R
4aは、(C
3〜C
6)シクロアルキル、フェニル、各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む3〜7員ヘテロ環、または各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜9員ヘテロアリールである)であり、
ここで、前記R
4および前記R
4aは、ハロ、ヒドロキシル、−SH、−CO
2H、(C
1〜C
4)アルキル、ハロ−置換(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、(C
1〜C
4)アルキル−S−、−SO
2、−NH
2または−NO
2から選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、ここで、前記のシクロアルキル部分および前記のヘテロ環部分の環員の1つは、任意選択でオキソまたはチオンと置き換えられ;
A、B、およびDは、CR
5であり、Eは、Nであり、
A、BおよびEは、CR
5であり、Dは、Nであり、
A、DおよびEは、CR
5であり、Bは、Nであり、
B、DおよびEは、CR
5であり、Aは、Nであり、
AおよびBは、両方ともNであり、DおよびEは、両方ともCR
5であり、
AおよびEは、両方ともNであり、BおよびDは、両方ともCR
5であるか、または
BおよびEは、両方ともNであり、AおよびDは、両方ともCR
5であり(式中、R
5は、各々独立してH、F、−CH
3または−CF
3から選択される);
Vは、式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1g)、(1h)、(1i)、(1j)、または(1k)から選択される部分であり:
【0021】
【化3】
(式中、*は、Lに対する結合の点を示し、
R
6aおよびR
6bは、各々独立してH、(C
1〜C
3)アルキル、Cl、またはCNであり、ここで、R
6aおよびR
6bの少なくとも1つは、Hまたは(C
1〜C
3)アルキルである);
Wは、結合または(C
1〜C
4)アルキレンであり;
R
7は、各々独立して、ハロ、−CH
3、−CF
3、−CNまたは−OCH
3であり;
pは、式(1a)または(1e)について0、1、2、3または4であり、
pは、式(1b)、(1c)、(1d)、(1f)、(1i)または(1j)について0、1、2または3であり、
pは、式(1g)または(1h)について0、1または2であり;
Lは、−NR
8−X
1−NR
8−であり、式中、各R
8は、独立して、H、(C
1〜C
4)アルキル、またはハロ−置換(C
1〜C
4)アルキルから選択され、X
1は、
(i)結合、
(ii)(C
1〜C
10)アルキレン、(C
2〜C
10)アルケニレン、(C
2〜C
10)アルキニレン、((C
1〜C
10)アルキレン)−(O(C
1〜C
6)アルキレン)
q−、または(C
1〜C
10)アルキレン−NH(C
1〜C
6)アルキレン(式中、qは、0、1または2である)、
(iii)フェニレン、ナプチレン、フルオレニレン、9H−フルオレン−9−オニレン、9,10−ジヒドロアントラセニレン、アントラセン−9,10−ジオニレン、部分または完全飽和(C
3〜C
8)シクロアルキレン、各々独立してO、S、またはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロアリーレン(ここで、前記フェニレンは、任意選択で(C
5〜C
6)シクロアルキルに縮合している)、
(iv)(フェニレン)−G−(フェニレン)(式中、Gは、結合、O、S、−NH−、−N=N−、−S=S−、−SO
2−、(C
1〜C
6)アルキレン、(C
2〜C
6)アルケニレン、(C
2〜C
10)アルキニレン、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリール、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレンであり、ここで、前記フェニレンは、任意選択でフェニルに縮合している)、
(v)((C
1〜C
6)アルキレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルキレン)
s、または((C
1〜C
6)アルケニレン)
r−Z
1−((C
1〜C
6)アルケニレン)
s(式中、rおよびsは、各々独立して0、1、または2であり;Z
1は、−O−、−N=N−、(C
3〜C
6)シクロアルキレン、フェニレン、ビスフェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレンであり、ここで、前記ヘテロアリーレンおよび前記ヘテロシクレンは、フェニル、フェニレン、各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員部分または完全飽和ヘテロシクレン、または各々独立してO、SまたはNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロアリーレンに任意選択で縮合している)、または
(vi)(C
1〜C
20)アルキレンまたは−NH−((C
1〜C
20)アルキレン)−NH−(ここで、前記アルキレンは、アルキレン鎖中に点在する1〜6個の酸素原子、および任意選択で、アルキレン鎖中に点在する1〜2個のフェニレン基を含む)であるか;
または、X
1は、任意選択で、R
8基が結合した窒素と共にR
8基の1つまたは両方と一緒になって、4〜14員ヘテロシクレン、(4〜6員ヘテロシクリル)−(C
1〜C
6)アルキレン−(4〜6員ヘテロシクリル)、またはビス−(4〜6員ヘテロシクレンを形成し、ここで、前記ヘテロシクレンおよび前記ヘテロシクリル部分は、任意選択でO、SおよびNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含み、X
1およびR
8は、オキソまたは各々独立してヒドロキシルまたは(C
1〜C
4)アルキルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており;
ここで、X
1の前記(ii)群の部分は、1つまたは複数のフルオロ原子、またはハロ、オキソ、アミノ、フェニル、ナフチル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、または各々独立してO、NまたはSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜6員ヘテロ環から各々独立して選択される1〜2個の置換基によって各々独立して置換されており、ここで、前記フェニル、前記シクロアルキル、および前記ヘテロ環は、各々独立してハロ、(C
1〜C
4)アルキル、またはトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、X
1の前記(iii)および(iv)群の部分は、各々独立して(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、ハロ、アミノ、−OH、ベンジル、または縮合の5〜6員シクロアルキルから選択される1〜4個のsubstitutentsによって任意選択で置換されており、ここで、前記(C
1〜C
4)アルキル、前記(C
1〜C
4)アルコキシ、および前記縮合シクロアルキルは、ハロ、または(C
1〜C
4)アルキルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されており、
ここで、X
1の前記(v)群の部分は、各々独立してハロ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C
1〜C
4)アルキル、(C
1〜C
4)アルコキシ、またはフェニルから選択される1〜3個の置換基によって任意選択で置換されている
化合物、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0022】
なお別の例において、IAPインヒビター化合物は、式(IV)の化合物を含み得る:
【0023】
【化4】
式中、
R
1およびR
3は、各々独立してメチルまたはエチルであり;
R
2は、H、メチル、エチル、クロロメチル、ジクロロメチルまたはトリフルオロメチルであり;
R
4は、C
1〜C
4アルキルまたはC
3〜C
7シクロアルキルであり;
R
5は、Hであり;
Uは、式(V)の構造であり:
【0024】
【化5】
式中、
(a)Xは、Nであり;
R
6、R
6’、R
7およびR
7’は、Hであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、またはNの原子、またはC
0〜8アルキルであり、ここで、アルキル鎖中の炭素原子のうちの1つまたは複数は、O、SまたはNから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、ここで、アルキルは、非置換または置換であり;
nは、0であり;
Rcは、Hであり;
Rdは、Ar
1−D−Ar
2であり、式中、Ar
1およびAr
2は、各々独立して置換または非置換のフェニルまたはhetであり、Dは、ハロによって任意選択で置換されたC
1アルキルであり、ここで、Ar
1のフェニルまたはhetは、(Rb)nおよびDの両方に結合しており、Ar
2のフェニルまたはhetは、DおよびR
5の両方に結合しているか;
(b)Xは、Nであり;
R
6、R’
6、R
7、およびR’
7は、Hであるか;または
R
6は、−C(O)−C
1〜C
4アルキル−フェニルおよびR’
6、R
7であり、R’
7は、Hであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、またはN原子、またはアルキル鎖中の炭素原子のうちの1つまたは複数がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子によって置き換えられていてもよいC
0〜8アルキルであり、ここで、アルキルは、非置換であるかまたは置換であり;
nは、0であり;
Rcは、Hであり;
Rdは、Ar
1−D−Ar
2である(式中、Ar
1およびAr
2は、各々独立して置換または非置換のフェニルまたはhetであり、Dは、N(Rh)であり、式中、Rhは、H、Me、−CHO、−SO
2、−C(O)、−CHOH、−CF
3または−SO
2CH
3であり、ここで、Ar
1のフェニルまたはhetは、(Rb)nおよびDの両方に結合しており、Ar
2のフェニルまたはhetは、DおよびR
5の両方に結合している)か;
(c)Xは、Nであり;
R
6、R’
6、R
7、およびR’
7は、Hであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、またはN原子、またはアルキル鎖中の炭素原子のうちの1つまたは複数がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子によって置き換えられていてもよいC
0〜8アルキルであり、ここで、アルキルは、非置換または置換であり;
nは、0であり;
Rcは、Hであり;
Rdは、Ar
1−D−Ar
2であり、式中、Ar
1およびAr
2は、各々独立して、置換または非置換のフェニルまたはhetであり、Dは−O−であり、ここで、Ar
1のフェニルまたはhetは、(Rb)nおよびDの両方に結合しており、Ar
2のフェニルまたはhetは、DおよびR
5の両方に結合しているか;または
(d)Xは、Nであり;
R
6、R’
6、R
7、およびR’
7は、Hであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、またはN原子、またはアルキル鎖中の炭素原子のうちの1つまたは複数がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子によって置き換わってもよいC
0〜8アルキルであり、ここで、アルキルは、非置換または置換であり;
nは、0であり;
Rcは、Hであり;
Rdは、Ar
1−D−Ar
2であり、式中、Ar
1およびAr
2は、各々独立して置換または非置換のフェニルまたはhetであり、Dは、S、S(O)、またはS(O)
2であり、ここで、Ar
1のフェニルまたはhetは、(Rb)nおよびDの両方に結合しており、Ar
2のフェニルまたはhetは、DおよびR
5の両方に結合しているか;
(e)Xは、Nであり;
R
6、R’
6、R
7、およびR’
7は、Hであり;
RaおよびRbは、独立して、O、S、またはN原子、またはアルキル鎖中の炭素原子のうちの1つまたは複数が、O、SまたはNから選択されるヘテロ原子によって置き換わっていてもよいC
0〜8アルキルであって、式中、アルキルは、非置換または置換であり;
nは、0であり;
Rcは、Hであり;
Rdは、Ar
1−D−Ar
2であり;
Ar
1およびAr
2は、各々独立して、置換または非置換のフェニルまたはhetであり、Dは、C(O)であり、ここで、Ar
1のフェニルまたはhetは、(Rb)nおよびDの両方に結合しており、Ar
2のフェニルまたはhetは、DおよびR
5の両方に結合している
化合物、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0025】
化合物の特定の例としては、以下が挙げられる:
(S,S,S)−N,N’−(3,3’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(1−(5−((S)−1−((S)−3−メチル−2−((S)−2−(メチルアミノ)−プロパンアミド)ブタノイル)ピロリジン−2−イル)ピリジン−3−イル)−1H−インドール−4−カルボキサミド);
(S,S,S)−N,N’−(1,4−フェニレンビス−(メチレン))ビス(1−(5−((S)−1−((S)−3−メチル−2−((S)−2−(メチルアミノ)−プロパンアミド)ブタノイル)ピロリジン−2−イル)ピリジン−3−イル)−1H−インドール−4−カルボキサミド);
(S,S,S)−N,N’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(1−(5−((S)−1−((S)−3−メチル−2−((S)−2−(メチルアミノ)プロパンアミド)ブタノイル)ピロリジン−2−イル)ピリジン−3−イル)−1H−インドール−4−カルボキサミド);
(S,S,S)−N,N’−((1S,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジイル)ビス(1−(5−((S)−1−((S)−3−メチル−2−((S)−2−(メチルアミノ)プロパンアミド)ブタノイル)ピロリジン−2−イル)ピリジン−3−イル)−1H−インドール−4−カルボキサミド);および
(S,S,S)−N,N’−(3,3’−(エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(プロパン−3,1−ジイル))ビス(1−(5−((S)−1−((S)−3−メチル−2−((S)−2−(トリジュウテロメチルアミノ)プロパンアミド)ブタノイル)ピロリジン−2−イル)ピリジン−3−イル)−1H−インドール−4−カルボキサミド);
ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス−{[(S)−6−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−5−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−6−オキソ−ヘキシル]−アミド};
デカン二酸ビス−{[(S)−6−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−5−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−6−オキソ−ヘキシル]−アミド};
デカン二酸ビス−({4−[(S)−3−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−3−オキソ−プロピル]−フェニル}−アミド);
ノナン二酸ビス−{[(S)−6−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−5−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−6−オキソ−ヘキシル]−アミド};
ヘプタン二酸ビス−({4−[(S)−3−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−3−オキソ−プロピル]−フェニル}−アミド);および
ノナン二酸ビス−({4−[(S)−3−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−((S)−2−メチルアミノ−プロピオニルアミノ)−3−オキソ−プロピル]−フェニル}−アミド);
(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオン
またはその薬学的に許容できる塩。
【0026】
他のIAPインヒビターの例としては、2005年10月20日に公開されたWO05/097791において開示された化合物が挙げられ、この開示は、本明細書によって、本出願中に参照によって組み込まれる。式(I)の範囲内の好ましい化合物は、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり、本明細書中以後化合物IIとする。
【0027】
他のIAPインヒビターの例としては、関連のWO2008134679およびUS20060014700において開示されるものが挙げられる。1つの例において、化合物は、GDC−0152である。
【0029】
さらなるIAPインヒビターとしては、WO04/005284、PCT/US2006/013984、PCT/US2006/021850に開示される化合物が挙げられ、これらの全ては、本明細書によって、本出願中に参照によって組み込まれる。
【0030】
本開示における使用のための他のIAPインヒビター化合物としては、WO06/069063、WO05/069888、US2006/0014700、WO04/007529、US2006/0025347、WO06/010118、WO05/069894、WO06/017295、WO04/007529、WO05/094818において開示されるものが挙げられる。
【0031】
それぞれの場合において、本出願の引用が上に挙げられた場合、この化合物に関連する主題は、本明細書によって、本出願中に参照によって組み込まれる。同様に、上で開示された化合物のその薬学的に許容できる塩、対応するラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体ならびに、存在する場合、その中に開示される対応する結晶変態、例えば、溶媒和物、水和物および多型が含まれる。開示の組み合わせにおいて活性成分として使用される化合物は、それぞれ引用された文献中に記載されるように、調製し、投与することができる。上で提示された2つより多くの別個の活性成分の組み合わせもまた、本開示の範囲内であり、すなわち、本開示の範囲内の薬学的組み合わせは、3つ以上の活性成分を含み得る。
【0032】
試料の調製
増殖性疾患を有する個体から採取した細胞の任意の適切な試験試料を使用できる。一般に、細胞の試験試料または組織試料は、がんを有する対象から生検または外科的切除術によって得られる。細胞、組織または体液の試料は、ニードル吸引生検によって取り出してもよい。このために、シリンジに取り付けられた微細な針を皮膚を通して目的の組織内に挿入する。この針は、代表的には、超音波またはコンピュータ断層撮影法(CT)画像化を用いて、目的の領域に導く。針が組織内に挿入されると、シリンジによって真空が作り出されることにより、細胞または体液がニードルを通じて吸引され、シリンジ内に回収できる。細胞または組織の試料はまた、切開生検またはコア生検によって取り出してもよい。このために、円錐形、円筒形、またはわずかな組織を目的の領域から取り出す。この種の生検を導くために、CT画像化、超音波、または内視鏡が一般に使用される。より詳細には、がん性病変全体を摘出生検または外科的切除によって取り出してもよい。本発明において、試験試料は、代表的に、外科的切除の一部として取り出された細胞の試料である。
【0033】
例えば、組織の試験試料は、後の使用のために、例えば、RNAlater(Ambion;Austin Tex.)中に保存しても、または瞬間凍結して−80℃で保存してもよい。生検組織試料はまた、固定液、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたは酢酸/エタノールによって固定してもよい。固定された組織試料は、蝋(パラフィン)またはプラスチック樹脂内に包埋してもよい。包埋された組織試料(または凍結組織試料)は、薄い切片に切断してもよい。また、固定されたまたは蝋に包埋された組織試料または凍結組織試料から、RNAまたはタンパク質も抽出できる。細胞の試料または組織の試料は、がんを有する対象から取り出されると、当該分野で周知の技術および以下に記載される通りの技術を用いたRNAまたはタンパク質の単離のために、処理されてもよい。
【0034】
がんを有する患者から採取した生検からのRNAの抽出の例としては、例えば、グアニジンチオシアネート溶解した後、CsCl遠心分離することが(Chirgwinら、Biochemistry 18:5294-5299、1979)が挙げられ得る。単一細胞由来のRNAは、単一細胞由来のcDNAライブラリーを調製するための方法(例えば、Dulac, Curr. Top. Dev. Biol. 36:245、1998;Jenaら、J. Immunol. Methods 190:199、1996を参照されたい)に記載される通りに得ることができる。1つの実施形態において、RNA集団は、表1に詳述する通り、目的の配列について富化し得る。富化は、例えば、ランダムヘキサマーおよびプライマー特異的cDNA合成、またはcDNA合成およびテンプレート指向型インビトロ転写に基づく多数回の直線的増幅(例えば、Wangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:9717、1989;Dulacら、前出;Jenaら、前出を参照されたい)によって達成できる。試料からRNAを単離する他の方法は、当該分野で公知であり、Trizol(Invitrogen)、グアニジニウムチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出、PureLink Micro−to−Midi Total RNA Purification System(invitrogen)、RNeasy kit(Qiagen)、Oligotex kit(Qiagen)、PureYield(商標)RNA Midiprep(Promega)、PolyATtract System 1000(Promega)、Maxwell(R)16 System(Promega)、SV Total RNA Isolation(Promega)、ToTALLY RNA(商標)Kit(Ambion)、Poiy(A)Purist(商標)Kit(Ambion)および任意の他の方法が挙げられる。RNA試料を抽出および分析するための方法は、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(SambrookおよびRussell(編)、第3版(2001)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、USA)中に開示されている。
【0035】
mRNA発現プロフィールは、新鮮な組織、凍結組織、ホルマリンまたは他の固定液中で処理した組織(FFPE)などの対象から採取された生検において実施し得る。詳細には、試料がFFPE試料である場合、RNAは、Qiagen RNeasy FFPE extraction kit(Qiagen)を用いてFFPE切片から抽出され、そしてランダムヘキサマーおよびABI’s High Capacity cDNA archive kit(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いてcDNAへ逆転写される。
【0036】
腫瘍またはがんを有する対象は、一般的に、哺乳動物対象、例えば類人猿である。例示的な実施形態において、対象はヒトである。本明細書中で使用される場合、患者および対象の用語は、同義である。
【0037】
任意のがんまたは腫瘍を、本発明の方法に従ってスクリーニングし得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:結腸がん、肺がん、膵臓がん、胃がん(gastric cancer)、前立腺がん、および肝細胞癌、基底細胞癌、乳がん、骨肉腫、軟組織肉腫、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、血液がん、髄芽細胞腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓がん、卵巣がん、髄膜腫、神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、黒色腫、胃がん(stomach cancer)、食道がん、胆管がん、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、グリア細胞がん、多発性骨髄腫、結腸がん、神経外胚葉性腫瘍、神経内分泌腫瘍、肥満細胞腫およびゴーリン症候群、神経膠腫、結腸直腸がん、GIST、胃−食道がん、骨髄増殖性異常増殖ならびに急性白血病。
【0038】
バイオマーカーの発現の検出
1つの例において、本方法は、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1のうち3つ以上の遺伝子の、目的の試料中での発現を決定することを含む。具体的には、本発明は、TNFおよびRIPK1ならびに以下のバイオマーカー:CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39およびMAPK14のうちの1つまたは複数の、目的の試料中での発現のレベルを決定することを含む。別の例において、本発明は、STK39およびCCL5の発現のレベルを決定することを含む。なお別の例において、本発明は、STK39の発現のレベルを決定することを含む。目的の遺伝子配列は、特異的にこの遺伝子を検出するために使用し得る薬剤、例えば、この遺伝子から転写されたRNAまたはこの遺伝子にコードされたポリペプチドを使用して、検出し得る。
【0039】
1つの実施形態において、本方法は、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1の核酸配列のコード配列の一部に対し相補的であるヌクレオチド配列、例えば、少なくとも10、15、25または40ヌクレオチド、および最大でコード配列の全てまたはほぼ全てを含む核酸プローブを提供すること;がん性細胞を有する哺乳動物由来の組織試料を得ること;前記核酸プローブを、がんを有する患者から採取した生検から得られたRNAと、(例えば、ノーザンブロット、インサイチューハイブリダイゼーションアッセイ、PCRなどにおいて)ストリンジェントな条件下で接触させること;ならびに、このプローブとRNAとのハイブリダイゼーションの量を決定することを含む。核酸は、RNAの富化および/または増幅の間またはその後に標識し得る。
【0040】
バイオマーカー:CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1は、アレルバリアントおよび他のファミリーメンバーを含む、天然に存在する配列をも含むことが企図される。本発明のバイオマーカーはまた、コードの縮重から得られた列挙する配列、ならびにまた、本発明の遺伝子に十分に相同である配列、および本発明の遺伝子に対しストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列に、相補的である配列をも含む。
【0041】
ハイブリダイゼーションのための条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、N.Y. (1989)、6.3.1-6.3.6において見出し得る。非常にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の、好ましい非限定の例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃での遠心分離、続く、0.2×SSC、0.1%SDS中で、50〜65℃での遠心分離による1回または複数回の洗浄である。「十分に相同である」により、第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に対し、十分な数または最小限の数の同一または等価である(例えば、類似の側鎖を有するアミノ酸残基)アミノ酸残基またはヌクレオチドを含む、バイオマーカーのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味し、これにより、第1および第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、共通の構造ドメインまたはモチーフ、および/または共通の機能活性を共有する。例えば、このドメインのアミノ酸配列にわたって、共通の構造ドメインを共有するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列が、少なくとも約50%の相同性、少なくとも約60%の相同性、少なくとも約70%、少なくとも約80%、および少なくとも約90〜95%の相同性を有し、本明細書中で十分に相同であると規定される。さらに、少なくとも約50%の相同性、少なくとも約60〜70%の相同性、少なくとも約70〜80%、少なくとも約80〜90%、および少なくとも約90〜95%の相同性を有し、共通の機能活性を共有する、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列が、本明細書中で、十分に相同であると規定される。
【0042】
配列の比較および2つの配列間の相同性百分率の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成し得る。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定の例は、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68のアルゴリズムであり、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されている。このようなアルゴリズムは、Altschulら(1990) J. MoI. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(version2.0)に組み込まれている。BLASTヌクレオチドサーチは、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12によって実施でき、本発明のTRL核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質サーチは、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3によって実施でき、表1に列挙された遺伝子/オリゴヌクレオチドによってコードされるタンパク質配列に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップアラインメントを得るために、Altschulら(1997) Nucleic Acids Research 25(17):3389-3402に記載されるように、Gapped BLASTを利用し得る。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用した場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用し得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定の例は、MyersおよびMiller、CABIOS (1989)のALIGNアルゴリズムである。アミノ酸配列を比較するためのALIGNプログラムを利用する場合、PAMl 20重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用し得る。
【0043】
本発明は、がんを罹患する対象から採取された腫瘍生検中でのCXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1の3つ以上の遺伝子の発現を測定することを含む。この発現レベルは、IAPインヒビターに応答性である可能性が高い腫瘍を有する患者を可能性が低い患者と識別するために使用し得るスコアを作成するために、分析し、使用し得る。
【0044】
1つの実施形態において、本発明の方法は、表1に列挙されたCXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1のうちの任意の3つを測定することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、少なくとも少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つまたは少なくとも9つの本明細書中で記載されたバイオマーカーを測定することを含む。
【0046】
本発明のバイオマーカーはまた、その発現のレベルまたは遺伝子産物が予測可能なバイオマーカーとして表1において同定された遺伝子の任意の組み合わせを含む。これらの遺伝子配列を含む本発明のバイオマーカーは当該分野で公知である。
【0047】
本発明の方法において、表1に記載の3つ以上の遺伝子の発現のレベルを測定し、分析し、対照と比較する。比較のための対照は、当業者によって決定し得る。1つの例において、この対照は、カットオフ値として作用する値の選択によって決定される。例えば、この値は、例えば、表1に記載される3つ以上の遺伝子において増大を有する試験試料と記載される3つ以上の遺伝子において増大を示さない試料との間を識別する値であってもよい。別の例において、本発明のバイオマーカーの遺伝子発現プロフィールが、高い発現および低い発現についての閾値が特徴付けられている試料の対照セットの遺伝子発現プロフィールと比較される(例えば、百分位数として)。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、対照を予め決定し、IAPインヒビターに対して応答性を示し易い腫瘍を有する対象を選択するために使用し得るスコアを作成する。
【0049】
本発明のバイオマーカーは、当該分野で公知の任意の方法、例えば逆転写酵素PCR(RT−PCR)を用いて測定し得る。この方法は、当該分野で公知であり、上述されている任意の技術を用いて、例えば、商用製造業者、例えばQiagen由来の精製キット、緩衝液セットおよびプロテアーゼを用いることによって、mRNAを単離することを含む。逆転写ステップは、状況および発現プロファイリングの目的ならびに誘導されるcDNAに応じて代表的には、特異的プライマー、ランダムヘキサマー、またはオリゴ−dTプライマーを用いて開始され、次いで、その後のPCR反応のテンプレートとして使用し得る。次いで、TaqMan(登録商標)RT−PCRを例えば、市販の装置を用いて、実施し得る。
【0050】
次いで、単離されたmRNAは、当該分野で公知の任意の方法、例えばマイクロアレイ分析、定量的(「リアルタイム」)PCR、ノーザンブロッティングおよびヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、さらに分析し得る。1つの例において、二重標識蛍光発生プローブを介して蓄積したPCR産物を測定するリアルタイム定量的PCR(例えば、TaqMan(登録商標)プローブを使用する)が、使用される。リアルタイムPCRは、各標的配列についての内部競合物質が正規化のために使用される定量的競合PCR、および、試料中に含まれる正規化遺伝子またはハウスキーピング遺伝子をRT−PCRのために用いる定量的比較PCR適合する。さらなる詳細については、例えば、Heldら、Genome Research 6:986-994 (1996)を参照されたい。リアルタイムPCRアッセイにおいて、陽性反応は、蛍光シグナルの蓄積によって検出される。Ct(サイクル閾値)は、閾値を超える(すなわち、バックグラウンドレベルを超える)蛍光シグナルに必要なサイクル数として規定される。Ctレベルは、試料中の標的核酸の量に反比例する(すなわち、Ctレベルが低いほど、試料中の標的核酸の量はより多くなる)。多くのリアルタイムアッセイは、40サイクルの増幅を受ける。
【0051】
別の例において、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1のうちの3つ以上の遺伝子に対応する1つまたは複数のプローブを含むマイクロアレイが、使用される。マイクロアレイの使用は、アレイ表面上に標識標的核酸のハイブリダイゼーションパターンの生成をもたらす。標識核酸の得られたハイブリダイゼーションパターンは、種々の方法で、標的核酸の特定の標識に基づいて選択された特定の検出様式により、可視化または検出し得る。代表的な検出手段としては、シンチレーションカウンティング、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量測定、発光測定、光散乱などが挙げられる。
【0052】
別の例において、TaqMan(登録商標)Low Density Array(TLDA)カードを使用でき、これは、CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39、MAPK14、TNFおよびRIPK1のうちの3つ以上に対応する1つまたは複数のプローブを含み得る。この方法は、同時のリアルタイムPCR反応を実施する微少流体カードを使用する。
【0053】
1つの例において、検出の方法は、市販のアレイスキャナー(Affymetrix、SantaClara、Calif.)、例えば、417Arrayer、418Array Scanner、またはAgilent GeneArray Scannerを利用する。このスキャナーは、インターフェースおよび使い易いソフトウェアツールと共にシステムコンピュータから制御される。アウトプットは、種々のソフトウェアアプリケーションに直接インポートし得るか、またはそれによって直接読み取り得る。スキャニングデバイスは、例えば、米国特許第5,143,854号および第5,424,186号において記載される。
【0054】
データ分析
試料分析操作を容易にするために、デバイスからのリーダーによって得られたデータは、デジタルコンピュータを用いて分析し得る。代表的には、コンピュータは、デバイスからのデータの受領および保存、ならびに収集したデータの分析および報告、例えば、バックグラウンドの減算、制御が適切に実施されたかの評価、シグナルの正規化、蛍光データを解釈してハイブリダイズされた標的の量を決定すること、バックグラウンドの正規化などのために、適切にプログラムされる。
【0055】
キット
本発明は、本明細書中で記載されたバイオマーカーの発現レベルを決定するためのキットをさらに提供する。このキットは、IAPインヒビターによる処置の利益を受ける人を決定するために有用であり得る。このキットは、表1において同定された遺伝子のプローブを含み得、試験試料の遺伝子発現を測定するために使用し得る。1つの実施形態において、このキットは、コンピュータシステムのメモリにロードされ得、測定された発現値をリスクスコアに変換し得る、発現プロフィール分析ソフトウェアを含む、コンピュータ可読媒体を含む。キットは、さらに、核酸対照、緩衝液および使用のための指示書を含み得る。
【0056】
投与
本明細書中で記載されたIAPインヒビターは、任意の通常許容できる当該分野で公知の様式を介して、本明細書で開示されたバイオマーカーに基づいてIAPインヒビターにより応答し易いことが決定されている個体に基づき、単独で、または1つまたは複数の治療剤と組み合わせて、治療有効量で選択的に投与し得る。治療有用量は、対象の疾患の重症度、年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力および他の要因に基づいて、広範に変動し得る。
【0057】
当業者は、本発明の実施において使用し得る、本明細書中で記載されたものと類似または均等な多くの方法および材料を認識する。実際に、本発明は、記載された方法および材料に何ら限定されない。本発明の目的のために、以下の用語が、下に規定される。
【実施例】
【0058】
実施例1 IAP応答のためのバイオマーカー
IAPインヒビターに対する応答を予測するためのバイオマーカーを開発するために、薬理学的データを遺伝子データおよびmRNA発現データと共に統合する、統計学的な枠組みが用いられた。Cancer Cell Line Encyclopedia collection(Barretina JS、Caponigro G、Stransky Nら(2012) Nature;483:603-7)の一部として作成されたゲノムデータを用い、遺伝子コピー数、mRNA発現データおよび突然変異データが、1つの行列に集められた。72時間の増殖アッセイを用いた500株を超える腫瘍細胞株のパネルに対して、種々のIAPアンタゴニストの単剤細胞活性を評価した。これらの細胞株は、IC50データの分布、および個々の応答の手作業のキュレーションに基づき、感受性(sensitive)、中程度(intermediate)および抵抗性(refractory)のクラスに分類された。IAPアンタゴニスト感受性細胞株を抵抗性細胞株と識別可能であるゲノム「特徴」を同定するために、統計学的検定を適用した。TNFおよびRIPK1はとりわけ、異なるmRNA発現を示すトップランクの遺伝子であり、この2つの遺伝子は、1つまたはいくつかの細胞株が関与する以前の実験研究に基づき、IAPアンタゴニストに対するアポトーシス性の応答についての証拠を有する。したがって、限定された実験における以前の観察を大きなデータセットに対して系統的に拡大することができ、そのmRNAが抵抗性の株と比較して感受性の株において差次的に発現した、さらなる7つの遺伝子のセット(CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39およびMAPK14)が同定された。
【0059】
9つの遺伝子サインならびに2つの遺伝子TNF/RIPK1サインに基づいて、Naive Bayes分類子を用いる、予測可能な機械学習モデルが確立された。これらの予測可能モデルは、表2における予測可能パフォーマンス(ROC曲線下面積またはAUC)により示した通り、IAPアンタゴニストに対する細胞株応答率を有意に増大する。いくつかのモデルカットオフレジームにおいて、これは、出願人らのシリーズにおけるIAPアンタゴニストの1つである(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドに対する応答率において、何らの選択を適用されていないランダムなまたは「あらゆる」(all-comers)細胞株と比較して、2〜3倍の増大と換算される。例えば、各モデルについての感受性と特異性との間の平衡化パフォーマンスを得るために最適化されたモデルカットオフにおいて、サインは、クロス検証において、16〜18%の応答率を生じ、これに対して、何ら選択のないランダムにおいては、8%の応答であった。この改善された応答率を、感受性であると予測された、細胞株の化合物にナイーブなセット(表2におけるAUC)の独立した実験的試験において、さらに評価した。
【0060】
【表2】
【0061】
さらに、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドを、三種陰性乳がんモデル、NSCLCモデルおよび膵臓がんモデルを代表する55個の患者由来腫瘍モデルにおいて、単剤の活性について試験した。応答の範囲を、腫瘍退縮から効果なしまでの範囲で観察した。2遺伝子、3遺伝子および9遺伝子のサインが、細胞株データと一致する率で応答について富化し得る(表3)ことが観察された。したがって、このサインについて、独立したインビボの評価を提供した。例えば、感受性と特異性との間の平衡化パフォーマンスを得るために最適化したモデルカットオフにおいて、サインは、約30%の応答率を生じ、それに対して、ランダムにおいては、11%の応答率であった。前記の7つの新規な候補遺伝子の中で、STK39のより低いレベルが、インビボでの(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド応答と強い相関を示すことが見出された(
図1)。異種移植片研究からの結果は、TNF、RIPK1およびSTK39(「3遺伝子」サイン)が、インビボでの(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド応答を驚くほど良好に予測することを示した(表3)。
【0062】
【表3】
【0063】
3つのmRNAのこのセットが、また別のIAPアンタゴニストに対する応答をも予測することを示した。
【0064】
RT−PCRにより原発性ヒト腫瘍異種移植片におけるTNF、RIPK1、およびSTK39のmRNAを定量する方法(
図1〜3)を、以下のように行った。RNAを、Qiagenからの「RNeasy Mini Kit」(カタログ番号74106)を用いて、マウスにおいて増殖した原発性ヒト腫瘍から抽出した。cDNAを、Applied Biosystemsからの「High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit」(パート番号4368813)を用いて合成した。cDNAを、Applied Biosystemsからの「Taqman Preamp Master Mix(2×)」キット(パート番号4384266)を用い、50ngのcDNAおよび14サイクルの事前増幅を用いて、事前増幅した。TaqmanリアルタイムPCRを、5μlの事前増幅したcDNAにより、Applied Biosystemsからのアッセイ:TNF assay ID Hs99999043_m1;RIPK1 assay ID Hs00355392_m1;STK39 assay ID Hs00202989_m1を用いて、384ウェルプレート形式で行った。リアルタイムPCR結果を、3つの対照遺伝子:B2M assay ID Hs99999907_m1;HUWE1 assay ID Hs00948075_m1;UBC assay ID Hs00824723_m1に対して正規化した。
本発明は以下の態様を含み得る。
[請求項1]
対象から採取した生物学的試料中のTNFおよびRIPK1、ならびに以下のバイオマ
ーカー:CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC5、CDYL、STK39お
よびMAPK14のうちの1つまたは複数のmRNA発現のレベルを決定することを含む
、がんを有する対象の生物学的試料を分析する方法であって、対照と比較したバイオマー
カーの発現のレベルが、対象がアポトーシスタンパク質インヒビター(IAP)のインヒ
ビターに対する増大した応答し易さを有するか否かの指標を提供する、方法。
[2]
がんを有する対象を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−
[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル
}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドによる処置のために選
択する方法であって、対象から採取した生物学的試料中のTNF、RIPK1およびST
K39のmRNA発現のレベルを決定し、それにより、(S)−N−((S)−1−シク
ロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2
−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピ
オンアミドに対する増大した応答し易さを予測することを含む、方法。
[3]
がんを有する対象を選択的に処置する方法であって、
対象由来の生物学的試料を、対象から採取した生物学的試料中のTNFおよびRIPK
1、ならびに以下のバイオマーカー:CXLC10、CCL5、NFKBIA、HERC
5、CDYL、STK39およびMAPK14のうちの1つまたは複数の発現のレベルに
ついてアッセイすること、および
試料が、対象が(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4
−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−
2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドに対し増大した応答し易さ
を有することを示す発現のレベルを有することに基づき、対象に(S)−N−((S)−
1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾ
ール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ
−プロピオンアミドを選択的に投与することを含む、方法。
[4]
がんを有する対象をIAPインヒビターにより選択的に処置する方法であって、
対象がTNFおよびRIPK1の増大した発現のレベルならびにSTK39の低減した
発現のレベルを有する結果として、対象に対し、IAPインヒビターを投与することを含
む、方法。
[5]
がんを有する対象を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−
[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル
}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドにより選択的に処置す
る方法であって、
対象がTNFおよびRIPK1の増大した発現のレベルならびにSTK39の低減した
発現のレベルを有する結果として、対象に対し、(S)−N−((S)−1−シクロヘキ
シル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル
]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンア
ミドインヒビターを投与することを含む、方法。
[6]
アッセイした発現のレベルが、少なくとも4つのバイオマーカーを含む、請求項1また
は請求項3に記載の方法。
[7]
アッセイした発現のレベルが、少なくとも5つのバイオマーカーを含む、請求項1また
は請求項3に記載の方法。
[8]
がんが、乳がん、卵巣がんまたは肺がんである、上記請求項のいずれかに記載の方法。
[9]
mRNA発現レベルが、RT−PCRを用いて決定される、上記請求項のいずれかに記
載の方法。
[10]
試料中の先行請求項のいずれかに記載のバイオマーカーのmRNA発現のレベルを決定
するための複数の薬剤および使用のための指示書を含むキット。