【実施例】
【0091】
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は、NMRスペクトル法、質量分析法等により行った。
【0092】
明細書の記載を簡略化するために実施例において以下に示すような略号を用いることもある。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、dddは二重の二重の二重線、tは三重線、dtは二重の三重線、tdは三重の二重線、ttは三重の三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brtは幅広い三重線およびJは結合定数を意味する。
【0093】
実施例1
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(ブレフェラミド、化合物1)
【化9】
工程1.N−(4−ヒドロキシブチル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(1.80g,6.25mmol)をジクロロメタン(12.5mL)に溶解し、ヨードベンゼンジアセテート(3.11g,9.66mmol)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(145mg,0.94mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。ジオキサン(8mL)、水(4mL)および硫酸(0.2mL)を順次加え、続けて(2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジン(2.01g,6.66mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。続いて、ギ酸(12mL)を加え、40℃で9時間撹拌した。反応液に水(150mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(200mL)、飽和重曹水(200mL)および飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(3:2)で溶出)で精製し、N−(2−(7−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミドを得た(1.11g,1.99mmol,32%(3工程))。
【0094】
工程2.N−(2−(7−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(1.11g,1.99mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、炭酸カリウム(1.11g,3.98mmol)およびp−メルカプト安息香酸(614mg,7.97mmol)を加え、40℃で10時間撹拌した。反応液に水(60mL)を加え、酢酸エチル(40mL)で4回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(100mL)、飽和重曹水(100mL)および飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。該残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.39mL,9.96mmol)および塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイル(1.00g,4.98mmol)のアセトン溶液(10mL)を加え,室温で2時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(50mL)を加え、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(50mL)、飽和重曹水(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(2:3)で溶出)で精製し、N−(2−(7−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミドを得た(431mg,0.825mmol,41%(2工程))。
【0095】
工程3.N−(2−(7−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミド(321mg,0.614mmol)を酢酸エチル(5mL)およびメタノール(5mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム−炭素(150mg)を加え、水素雰囲気(1気圧)下室温で5時間撹拌した。反応液を濾過し、該濾液を減圧留去した。該残渣をジクロロメタン(8mL)に溶解し、トリエチルアミン(260μL)および無水酢酸(120μL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(30mL)、飽和重曹水(30mL)および飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出)で精製し、4−(3−(2−(4−(メトキシメトキシ)フェニルアミド)エチル)−1H−インドール−7−イルオキシ)フェニル−エタノレートを得た(144mg,0.303mmol,49%(2工程))。
【0096】
工程4.4−(3−(2−(4−(メトキシメトキシ)フェニルアミド)エチル)−1H−インドール−7−イルオキシ)フェニル−エタノレート(144mg,0.303mmol)をアセトニトリル(4mL)および水(4mL)に溶解し、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(259mg,1.21mmol)を加え、60℃で18時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。該残渣をメタノール(2.5mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(2.5mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液に飽和重曹水(15mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(49:1)で溶出)で精製し、化合物1を得た(50mg,0.127mmol,42%(2工程))。
【0097】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果は、J. Org. Chem. 2005, 70, 8854-8858に記載のものと完全に一致した。
【0098】
実施例2
4−ヒドロキシ−N−(2−(7−(4−ヒドロキシフェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)ベンズアミド(化合物2)
【化10】
N−(2−(7−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミド(8.2mg,0.016mmol)を酢酸エチル(0.5mL)およびメタノール(0.5mL)に溶解し、20% 水酸化パラジウム−炭素(3.0mg)を加え、水素雰囲気(1気圧)下室温で5時間撹拌した。反応液を濾過し、該濾液を減圧留去した。残渣をメタノール(0.5mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(0.5mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に飽和重曹水(10mL)を加え,酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(1:2)で溶出)で精製し、化合物2を得た(3.2mg,0.008mmol,53%(2工程))。
【0099】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, アセトン-d
6) δ 8.75 (1H, brs), 8.15 (1H, brs), 7.66 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.54 (1H, brs), 7.26 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.08 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.98 (1H, brs), 6.80 (1H, t, J = 7.9 Hz), 6.78 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.73 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.71 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.39 (1H, d, J = 7.9 Hz), 3.57 (2H, q, J = 5.8 Hz), 2.93 (2H, t, J = 5.8 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 166.9, 160.8, 154.4, 150.4, 145.2, 131.3, 129.8 (2C), 129.0, 127.5, 123.6, 120.9 (2C), 119.9, 116.9 (2C), 115.6 (2C), 114.4, 114.2, 109.2, 41.2, 26.5.
EIMS m/z (rel. int) 388 [M]
+ (18), 251 (100), 238 (11).
HREIMS m/z 388.1411 (C
23H
20O
4N
2の計算値388.1423).
【0100】
実施例3
N−(3−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−3−オキソプロピル)−4−(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド(化合物3)
【化11】
工程1.テトラヒドロフラン(50mL)およびアセトニトリル(3.8mL,72.2mmol)を−78℃で撹拌し、n−ブチルリチウム(1.56M ヘキサン溶液)(46.0mL)を30分間かけて滴下した。さらにJ. Org. Chem. 2005, 70, 7505-7511に記載の製法により合成された2,3−ビス(メトキシメトキシ)ベンズアルデヒド(3.96g,17.52mmol)のテトラヒドロフラン溶液(25mL)を30分間かけて滴下し、該温度を−78℃に維持しながら1時間撹拌した。0℃に昇温し、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加え、ジエチルエーテル(100mL)で3回抽出した。得られたジエチルエーテル層を合わせて、水(500mL)および飽和食塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(7:3)で溶出)で精製し、3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシプロパンニトリルを得た(2.56g,9.56mmol,55%)。
【0101】
工程2.水素化リチウムアルミニウム(429mg,11.3mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に懸濁し、0℃で撹拌した。3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシプロパンニトリル(1.21g,4.52mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を加え、70℃で4時間撹拌した。0℃に冷却し、1M 水酸化ナトリウム水溶液(60mL)を加えた。反応液をセライト濾過し、該濾液を酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。該残渣をジクロロメタン(8.0mL)に溶解した。0℃でトリエチルアミン(1.0mL)およびクロロギ酸9−フルオレニルメチル(1.675g,6.47mmol)を順次加え、2時間撹拌した。反応液に0.5M 塩酸(30mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出)で精製し、(9H−フルオレン−9−イル)メチル 3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシプロピルカルバメートを得た(1.017g,2.06mmol,46%(2工程))。
【0102】
工程3.(9H−フルオレン−9−イル)メチル 3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−ヒドロキシプロピルカルバメート(114mg,0.231mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解した。イミダゾール(78.4mg,1.152mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(83.4mg,0.553mmol)を順次加え、45℃で8時間撹拌した。反応液に0.1M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)および飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(3:1)で溶出)で精製し、(9H−フルオレン−9−イル)メチル 3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)プロピルカルバメートを得た(105mg,0.173mmol,75%)。
【0103】
工程4.(9H−フルオレン−9−イル)メチル 3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−プロピルカルバメート(88.7mg,0.146mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解し、ピペリジン(50μL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧留去し、該残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(8:1)で溶出)で精製し、3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパン−1−アミンを得た(46.6mg,0.121mmol,83%)。
【0104】
工程5.4−(4−(メトキシメトキシ)フェノキシ)安息香酸(31.0mg,0.113mmol)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解し、0℃で撹拌した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(32.8mg,0.171mmol)、3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチル−シリルオキシ)プロパン−1−アミン(43.8mg,0.113mmol)およびトリエチルアミン(25μL)を順次加え、2時間撹拌した。反応液に0.2M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)および飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−クロロホルム(1:4)で溶出)で精製し、N−(3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピル)−4−(4−(メトキシメトキシ)フェノキシ)ベンズアミドを得た(38.3mg,0.060mmol,53%)。
【0105】
工程6.N−(3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピル)−4−(4−(メトキシメトキシ)フェノキシ)ベンズアミド(35.0mg,0.055mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解した。0℃にて、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1.0M テトラヒドロフラン溶液)(50μL)を加え、1時間撹拌した。反応液に0.2M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)および飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)に溶解し、ピリジニウムジロメート(103mg,0.182mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応液にジエチルエーテル(15mL)を加え、セライト濾過し、該濾液を水(10mL)、飽和重曹水(10mL)および飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。該残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(3:2)で溶出)で精製し、N−(3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−(4−(メトキシメトキシ)フェノキシ)ベンズアミドを得た(18.4mg,0.035mmol,64%(2工程))。
【0106】
工程7.N−(3−(2,3−ビス(メトキシメトキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−(4−(メトキシメトキシ)フェノキシ)ベンズアミド(13.2mg,0.025mmol)をジクロロメタン(1.4mL)に溶解した。0℃にて、トリフルオロ酢酸(0.6mL)を加え、2時間撹拌した。反応液を減圧留去し、該残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(1:2)で溶出)で精製し、化合物3を得た(9.4mg,0.024mmol,95%)。
【0107】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 7.62 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.24 (1H, dd, J = 8.2, 1.2 Hz), 7.05 (1H, dd, J = 8.2, 1.2 Hz), 7.01 (1H, t, J = 6.1 Hz), 6.86 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.76 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.75 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.77 (2H, q, J = 6.1 Hz), 3.31 (2H, t, J = 6.1 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 205.9, 167.3, 161.8, 153.7, 149.6, 147.9, 145.6, 128.7 (2C), 127.5, 121.5 (2C), 121.4 (2C), 121.1, 120.6, 119.2, 116.3 (2C), 116.0, 38.1, 34.6.
EIMS m/z (rel. int) 393 [M]
+ (37), 230 (20), 213 (100).
HREIMS m/z 393.1211 (C
22H
19O
6Nの計算値393.1212).
【0108】
実施例4
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−メトキシベンズアミド(化合物4)
【化12】
化合物1(9.4mg,0.024mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、炭酸カリウム(10.6mg,0.077mmol)およびヨウ化メチル(2.5μL,0.040mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。反応液に0.5M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)および飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムで溶出)で精製し、化合物4を得た(4.4mg,0.011mmol,45%)。
【0109】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 7.72 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.46 (1H, dd, J = 8.3, 1.1 Hz), 6.89 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 8.3, 1.1 Hz), 6.79 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.51 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.86 (2H, q, J = 5.9 Hz), 3.82 (3H, s), 3.30 (2H, t, J = 5.9 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 201.7, 166.9, 162.2, 151.9, 150.1, 145.6, 142.7, 128.7 (2C), 126.9, 125.3, 121.2, 119.9 (2C), 118.4, 116.4 (2C), 114.6, 113.7 (2C), 55.4, 39.0, 35.1.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (100), 254 (88), 135 (79).
HREIMS m/z 406.1553 (C
23H
22O
5N
2の計算値406.1529).
【0110】
実施例5
N−(3−(2−アミノ−3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−メトキシベンズアミド(化合物5)
【化13】
化合物1(9.4mg,0.024mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、炭酸カリウム(10.6mg,0.077mmol)およびヨウ化メチル(2.5μL,0.040mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。反応液に0.5M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)および飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(49:1)で溶出)で精製し、化合物5を得た(4.8mg,0.011mmol,48%)。
【0111】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.74 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 8.4, 1.2 Hz), 6.95 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.91 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.87 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.86 (1H, brs), 6.83 (1H, dd, J = 8.4, 1.2 Hz), 6.64 (2H, br. s), 6.53 (1H, t, J = 8.4 Hz), 3.86 (2H, q, J = 5.4 Hz), 3.83 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.32 (2H, t, J = 5.4 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.7, 166.8, 162.1, 156.0, 145.7, 142.7, 128.7 (2C), 125.3, 121.2, 119.8 (2C), 118.3, 115.0 (2C), 114.6, 113.7 (2C), 55.7, 55.4, 39.0, 35.0.
EIMS m/z (rel. int) 420 [M]
+ (61), 269 (100), 135 (48).
HREIMS m/z 420.1710 (C
24H
24O
5N
2の計算値420.1685).
【0112】
実施例6
N−(3−(2−アミノ−3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物6)
【化14】
化合物6は、(2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(4−(メトキシフェノキシ)フェニル)ヒドラジンを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0113】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.64 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.45 (1H, dd, J = 8.3, 1.1 Hz), 6.93 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.86 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.85 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 8.3, 1.1 Hz), 6.63 (2H, brs), 6.52 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.86 (2H, q, J = 5.8 Hz), 3.79 (3H, s), 3.31 (2H, t, J = 5.8 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.6, 167.5, 159.5, 155.9, 149.9, 145.6, 142.7, 128.9 (2C), 126.0, 125.2, 121.2, 119.7 (2C), 118.2, 115.5 (2C), 114.9 (2C), 114.7, 55.7, 38.9, 35.1.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (3), 268 (100), 121 (29).
HREIMS m/z 406.1535 (C
23H
22O
5N
2の計算値406.1529).
【0114】
実施例7
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−3−メトキシベンズアミド(化合物7)
【化15】
化合物7は、塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイルの代わりに塩化3−メトキシベンゾイルを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0115】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.46 (1H, dd, J = 8.3, 1.0 Hz), 7.23-7.38 (3H, m), 7.00-7.08 (2H, m), 6.88 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.79-6.84 (1H, m), 6.64 (2H, brs), 6.52 (1H, t, J = 8.3 Hz), 6.30 (1H, brs), 3.87 (2H, q, J = 5.5 Hz), 3.83 (3H, s), 3.32 (2H, t, J = 5.5 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.5, 167.6, 159.8, 152.5, 149.6, 145.8, 142.7, 135.8, 129.6, 125.1, 121.0, 120.0 (2C), 118.7, 118.2, 117.8, 116.5 (2C), 114.6, 112.3, 55.4, 38.8, 35.2.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (95), 255 (100), 151 (54), 135 (44).
HREIMS m/z 406.1550 (C
23H
22O
5N
2の計算値406.1529).
【0116】
実施例8
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−アセトアミド(化合物8)
【化16】
化合物8は、塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイルの代わりに無水酢酸を用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0117】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.44 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 6.89 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 6.82 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.63 (2H, brs), 6.53 (1H, t, J = 8.3 Hz), 6.22 (1H, brs), 5.47 (1H, brs), 3.68 (2H, q, J = 5.4 Hz), 3.22 (2H, t, J = 5.4 Hz), 1.97 (3H, s).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.4, 170.4, 152.3, 149.7, 145.8, 142.6, 125.1, 121.0, 120.0 (2C), 118.2, 116.4 (2C), 114.6, 38.9, 34.6, 23.3.
EIMS m/z (rel. int) 314 [M]
+ (98), 254 (100).
HREIMS m/z 314.1259 (C
17H
18O
4N
2の計算値314.1267).
【0118】
実施例9
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−フルオロベンズアミド(化合物9)
【化17】
化合物9は、塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイルの代わりに塩化4−フルオロベンゾイルを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0119】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.79 (2H, dd, J = 8.5, 5.3 Hz), 7.50 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 7.11 (2H, dd, J = 9.0, 8.5 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 6.81 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.54 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.82 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.34 (2H, t, J = 6.0 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 201.8, 167.4, 166.6 (d, J = 229.9 Hz), 164.1, 153.5, 149.1, 146.3, 142.6, 129.5 (2C, d, J = 8.6 Hz), 125.1, 120.9, 120.2 (2C), 118.4, 116.4 (2C), 115.7 (2C, d, J = 21.5 Hz), 114.9, 38.9, 35.6.
EIMS m/z (rel. int) 394 [M]
+ (46), 254 (100), 123 (39).
HREIMS m/z 394.1327 (C
22H
19O
4N
2Fの計算値394.1329).
【0120】
実施例10
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−シクロヘキサンカルボキサミド(化合物10)
【化18】
化合物10は、塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイルの代わりに塩化シクロヘキサンカルボニルを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0121】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.44 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.90 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.78-6.87 (3H, m), 6.63 (2H, brs), 6.52 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.23 (1H, brs), 5.56 (1H, brs), 3.66 (2H, q, J = 5.7 Hz), 3.20 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.05 (1H, tt, J = 12.2, 3.9 Hz), 1.73-1.86 (4H, m), 1.35-1.48 (2H, m), 1.17-1.31 (4H, m).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.6, 176.2, 152.2, 149.9, 145.7, 142.6, 125.2, 121.1, 120.0 (2C), 118.3, 116.5 (2C), 114.6, 45.5, 39.0, 34.4, 29.6 (2C), 25.7 (3C).
EIMS m/z (rel. int) 382 [M]
+ (100), 254 (90).
HREIMS m/z 382.1854 (C
22H
26O
4N
2の計算値382.1893).
【0122】
実施例11
N−(3−(2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−カルボキサミド(化合物11)
【化19】
化合物11は、塩化4−(メトキシメトキシ)ベンゾイルの代わりに塩化テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニルを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0123】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.68 (1H, brs), 7.45 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.83 (1H, dd, J = 8.3, 1.2 Hz), 6.80 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.76 (2H, brs), 6.62 (1H, brs), 6.54 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.99 (2H, ddd, J = 11.3, 3.8, 2.2 Hz), 3.65 (2H, q, J = 5.6 Hz), 3.41 (2H, td, J = 11.3, 3.4 Hz), 3.21 (2H, t, J = 5.6 Hz), 2.33 (1H, tt, J = 10.7, 5.0 Hz), 1.70-1.83 (4H, m).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 201.8, 175.1, 153.4, 149.1, 146.2, 142.5, 125.1, 120.9, 120.2 (2C), 118.3, 116.4 (2C), 114.9, 67.4 (2C), 42.2, 38.8, 34.9, 29.2 (2C).
EIMS m/z (rel. int) 384 [M]
+ (100), 328 (20), 254 (78).
HREIMS m/z 384.1673 (C
21H
24O
5N
2の計算値384.1685).
【0124】
実施例12
N−(3−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物12)
【化20】
化合物12は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−メトキシフェニル)ヒドラジンを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0125】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3-CD
3OD (4:1)) δ 7.63 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.37 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.86 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.60 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.88 (3H, s), 3.80 (2H, q, J = 5.7 Hz), 3.29 (2H, t, J = 6.6 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3-CD
3OD (4:1)) δ 202.0, 168.2, 160.4, 147.5, 141.6, 129.0 (2C), 125.5, 122.6, 117.2, 115.4, 114.7, 113.3 (2C), 55.9, 39.0, 35.3.
EIMS m/z (rel. int) 314 [M]
+ (41), 177 (100), 121 (67), 44 (77).
HREIMS m/z 314.1258 (C
17H
18O
4N
2の計算値314.1267).
【0126】
実施例13
N−(3−(2−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物13)
【化21】
化合物13は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(ベンジルオキシ)フェニル)ヒドラジンを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0127】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.35 (1H, d, J = 8.1 Hz), 6.78-6.84 (3H, m), 6.48 (1H, t, J = 8.1 Hz), 3.72 (2H, q, J = 6.6 Hz), 3.28 (2H, t, J = 6.6 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 202.6, 170.2, 162.0, 146.3, 142.4, 130.2 (2C), 126.5, 122.9, 118.9, 118.0, 116.1 (2C), 115.7, 39.8, 37.2.
EIMS m/z (rel. int) 300 [M]
+ (87), 163 (57), 121 (100), 44 (91).
HREIMS m/z 300.1128 (C
16H
16O
4N
2の計算値300.1110).
【0128】
実施例14
N−(3−(2−アミノ−3−(4−メチルフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物14)
【化22】
化合物14は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(p−トリルオキシ)フェニル)ヒドラジンを用いる以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0129】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.68 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.63 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.13 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.82-6.88 (3H, m), 6.80 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.55 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.74 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.31 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.30 (3H, s).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 202.4, 170.2, 162.0, 156.2, 146.1, 144.6, 134.0, 131.3 (2C), 130.2 (2C), 127.4, 126.4, 123.5, 119.9, 118.9 (2C), 116.1 (2C), 115.4, 39.9, 37.1, 20.7.
EIMS m/z (rel. int) 390 [M]
+ (100), 303 (16), 252 (82), 226 (25), 121 (17).
HREIMS m/z 390.1577 (C
23H
22O
4N
2の計算値390.1580).
【0130】
実施例15
N−(3−(2−アミノ−3−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物15)
【化23】
化合物15は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンを用いる以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0131】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.77 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.60 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.04-7.08 (3H, m), 6.81 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.65 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.74 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.33 (2H, t, J = 6.8 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 202.4, 170.2, 162.0, 161.9, 145.1, 143.7, 130.2 (2C), 129.3, 128.2 (2C, q, J = 3.6 Hz), 126.7, 126.2, 125.8 (q, J = 32.2 Hz), 125.7 (q, J = 270.8 Hz), 120.5, 117.9 (2C), 116.1 (2C), 115.6, 39.9, 37.1.
EIMS m/z (rel. int) 444 [M]
+ (100), 306 (90), 280 (41), 121 (30).
HREIMS m/z 444.1296 (C
23H
19O
4N
2F
3の計算値444.1297).
【0132】
実施例16
N−(3−(2−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物16)
【化24】
化合物16は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(3,4−ジメトキシフェノキシ)フェニル)ヒドラジンを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0133】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.61 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.87 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.86 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.80 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.70 (1H, d, J = 2.7 Hz), 6.55 (1H, t, J = 8.3 Hz), 6.47 (1H, dd, J = 8.0, 2.7 Hz), 3.80 (3H, s), 3.77 (3H, s), 3.74 (2H, t, J = 6.6 Hz), 3.31 (2H, t, J = 6.6 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 202.4, 170.2, 162.0, 152.4, 151.6, 146.8, 146.6, 144.4, 130.2, 127.1, 126.4, 122.9, 119.8, 116.1 (2C), 115.4, 113.9, 110.5 (2C), 104.9, 57.0, 56.5, 39.9, 37.1.
EIMS m/z (rel. int) 436 [M]
+ (100), 299 (85), 284 (47), 272 (19), 121 (52).
HREIMS m/z 436.1656 (C
24H
24O
6N
2の計算値436.1634).
【0134】
実施例17
N−(3−(2−アミノ−3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物17)
【化25】
化合物17は、2−(4−(ベンジルオキシ)フェノキシ)フェニル)ヒドラジンの代わりに(2−(4−クロロフェノキシ)フェニル)ヒドラジンを用いること以外は、化合物1と同様の製法にしたがって合成された。
【0135】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.70 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.67 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.30 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.97 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.93 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.80 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.60 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.74 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.30 (2H, t, J = 6.8 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 202.4, 170.2, 162.1, 157.6, 144.9, 131.4, 130.8 (2C), 130.2 (2C), 129.0, 128.4, 126.4, 124.9, 120.2, 119.8 (2C), 116.0 (2C), 115.5, 39.9, 37.1.
EIMS m/z (rel. int) 412 [M+2]
+ (38), 410 [M]
+ (100), 274 (38), 272 (83), 246 (36), 121 (56).
HREIMS m/z 410.1046 (C
22H
19O
4ClN
2の計算値410.1033).
【0136】
実施例18
8−(4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリン−1−オン(化合物18)
【化26】
J. Org. Chem. 2005, 70, 8854-8858に記載の製法により合成された8−(4−ベンジルオキシフェノキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−β−カルボリン−1−オン(299mg,0.778mmol)を酢酸エチル(3mL)およびエタノール(3mL)に溶解し、20% 水酸化パラジウム−炭素(60mg)を加え、水素雰囲気(1気圧)下室温で4時間撹拌した。反応液を濾過し、該濾液を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(9:1)で溶出)で精製し、化合物18を得た(171.7mg,0.583mmol,75%)。
【0137】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 11.69 (1H, br.s), 9.23 (1H, br.s), 7.53 (1H, br.s), 7.30 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.97 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.77 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.59 (1H, d, J = 8.0 Hz), 3.51 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.92 (2H, t, J = 6.8 Hz).
13C-NMR (150 MHz, DMSO-d
6) δ 161.4, 153.4, 148.7, 144.7, 128.8, 127.8, 127.4, 120.0 (2C), 119.9, 118.9, 115.9 (2C), 114.6, 110.8, 41.0, 20.5.
EIMS m/z (rel. int) 294 [M]
+ (100), 265 (14), 237 (49).
HREIMS m/z 294.0992 (294.1004の計算値C
17H
14O
3N
2).
【0138】
実施例19および20
N−(3−(2−アミノ−3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−アミノベンズアミド(化合物19)およびN−(3−(2−アミノ−3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−3−オキソプロピル)−4−アセチルアミノベンズアミド(化合物20)
化合物19:
【化27】
化合物20:
【化28】
工程1.N−(2−(7−(4−クロロフェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(172mg,0.364mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、炭酸カリウム(100mg,0.728mmol)およびp−メルカプト安息香酸(225mg,1.46mmol)を加え、40℃で10時間撹拌した。反応液に水(15mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で4回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(30mL)、飽和重曹水(20mL)および飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタン(4mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.300mL,2.16mmol)および塩化4−アセトアミドベンゾイル(194mg,1.08mmol)のアセトン溶液(5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、水(30mL)、飽和重曹水(30mL)および飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(9:1)で溶出)で精製し、N−(2−(7−(4−クロロフェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−4−アセトアミドベンズアミドを得た(29mg,0.065mmol,18%(2工程))。
【0139】
工程2.N−(2−(7−(4−クロロフェノキシ)−1H−インドール−3−イル)エチル)−4−アセトアミドベンズアミド(29mg,0.065mmol)をアセトニトリル(1mL)および水(1mL)に溶解し、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(60mg,0.281mmol)を加え、60℃で48時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をメタノール(1mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(1mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液に飽和重曹水(10mL)を加え、酢酸エチル(15mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(99:1)で溶出)で精製し、化合物19を得た(3mg,0.007mmol,10%(2工程))。また、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(49:1)で溶出)で精製し、化合物20を得た(2mg,0.005mmol,7%(2工程))。
【0140】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析およびNMRによって解析した。EIMSおよびNMRの結果を以下に示す。
化合物19:
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.71 (1H, dd, J = 8.2, 1.3 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.31 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.97 (1H, dd, J = 8.2, 1.3 Hz), 6.94 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.66 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.60 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.73 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.32 (2H, t, J = 6.9 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 202.5, 170.5, 157.6, 153.2, 144.9, 144.8, 130.8 (2C), 129.9 (2C), 129.0, 128.5, 124.9, 123.2, 120.2, 119.8 (2C), 115.5, 114.7 (2C), 40.0, 37.0.
EIMS m/z (rel. int) 411 [M+2]
+ (4), 409 [M]
+ (12), 274 (29), 272 (69), 136 (47), 120 (100).
HREIMS m/z 409.1219 (C
22H
20O
3N
3Clの計算値409.1193).
化合物20:
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 7.71 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.55 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 8.2, 1.2 Hz), 7.37 (1H, br.s), 7.25 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.92 (1H, dd, J = 8.2, 1.2 Hz), 6.88 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.87 (1H, t, J = 6.3 Hz), 6.56 (1H, t, J = 8.2 Hz), 6.53 (2H, br.s), 3.84 (2H, q, J = 5.7 Hz), 3.30 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.17 (3H, s).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 201.6, 168.3, 166.6, 155.5, 143.8, 143.1, 140.8, 129.9, 129.8 (2C), 128.4, 128.0 (2C), 126.6, 123.4, 119.0 (2C), 118.9 (2C), 118.8, 114.8, 38.9, 35.0, 24.7.
EIMS m/z (rel. int) 453 [M+2] (2), 451 [M]
+ (5), 274 (40), 272 (100), 136 (34), 120 (49).
HREIMS m/z 451.1278 (C
24H
22O
4N
3Clの計算値451.1299).
【0141】
実施例21
N−(2−(3−(4−メトキシフェノキシ)ベンゾイルアミノ)エチル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物21)
【化29】
工程1.N−(tert−ブトキシカルボニル)エチレンジアミン(202mg,1.26mol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、3−(4−メトキシフェノキシ)安息香酸(385mg,1.58mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(660μL,3.80mmol)および(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウム(810mg,1.89mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(40mL)および飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(2:3)で溶出)で精製し、tert−ブチル 2−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミド)エチルカルバメートを得た(467mg,1.33mmol,96%)。
【0142】
工程2.tert−ブチル 2−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミド)エチルカルバメート(101mg,0.261mmol)をメタノール(2.5mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(2.5mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を減圧留去し、残渣をジクロロメタン(5mL)に溶解し、4−(メトキシメトキシ)安息香酸(63mg,0.342mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(200μL,1.15mmol)、および(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミドオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウム(173mg,0.404mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(40mL)および飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶出)で精製し、N−(2−(4−(メトキシメトキシ)フェニルアミド)エチル)−3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアミドを得た(80mg,0.178mmol,68%(2工程))。
【0143】
工程3.N−(2−(4−(メトキシメトキシ)フェニルアミド)エチル)−3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアミド(49mg,0.109mmol)をメタノール(1.5mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(1.5mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(19:1)で溶出)で精製し、化合物21を得た(39mg,0.096mmol,88%)。
【0144】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.38 (1H, br.s), 8.00 (1H, br.s), 7.69 (1H, br.s), 7.63 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.44 (1H, ddd, J = 7.9, 2.0, 1.2 Hz), 7.40 (1H, dd, J = 2.0, 1.2 Hz), 7.29 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.02 (1H, ddd, J = 7.9, 2.0, 1.2 Hz), 6.93 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.86 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.79 (2H, d, J = 8.8 Hz), 3.77 (3H, s), 3.53-3.60 (4H, m).
13C-NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 169.0, 168.6, 160.2, 158.7, 156.0, 149.5, 135.5, 129.7, 129.0 (2C), 124.7, 120.8 (2C), 120.7, 120.5, 116.2 (2C), 115.2, 114.9 (2C), 55.5, 40.5, 40.2.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (100), 269 (40), 256 (23), 227 (69), 121 (73).
HREIMS m/z 406.1505 (C
23H
22N
2O
5の計算値406.1529).
【0145】
実施例22
N−(2−(2−(4−メトキシフェノキシ)ベンゾイルアミノ)エチル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物22)
【化30】
化合物22は、3−(4−メトキシフェノキシ)安息香酸の代わりに、2−(4−メトキシフェノキシ)安息香酸を用いる以外は、化合物21と同様の製法にしたがって合成された。
【0146】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.87 (1H, dd, J = 7.8, 1.7 Hz), 7.57 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.37 (1H, td, J = 7.8, 1.7 Hz), 7.13 (1H, td, J = 7.8, 1.7 Hz), 6.92 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.85 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.71-6.80 (3H, m), 3.79 (3H, s), 3.62 (2H, t, J = 5.9 Hz), 3.55 (2H, t, J = 5.9 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 170.4, 164.3, 162.0, 158.2, 157.8, 150.1, 133.6, 131.8, 130.2 (2C), 126.2, 123.8, 122.2 (2C), 121.9, 118.3, 116.1 (2C), 116.0 (2C), 56.1, 40.7, 40.6.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (25), 215 (100).
HREIMS m/z 406.1549 (C
23H
22N
2O
5の計算値406.1529).
【0147】
実施例23
N−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−4−オキソブタンアミド(化合物23)
【化31】
4−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−オキソブタン酸(26mg,0.122mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、3−(4−クロロフェノキシ)アニリン(26mg,0.136mmol)および4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(37mg,0.134mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(20mL)および飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(19:1)で溶出)で精製し、化合物23を得た(11mg,0.026mmol,21%)。
【0148】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.36 (1H, t, J = 1.5 Hz), 7.32 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.24-7.28 (2H, m), 6.97 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.73-6.70 (3H, m), 2.65-2.74 (4H, m).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 173.1, 172.6, 158.7, 157.4, 155.3, 141.6, 131.7, 131.0, 130.8 (2C), 129.4, 123.4 (2C), 121.4 (2C), 116.2 (2C), 116.1, 115.2, 111.6, 32.8, 32.4.
EIMS m/z (rel. int) 412 [M+2]
+ (4), 410 [M]
+ (11), 303 (25), 301 (67), 221 (33), 219 (100), 191 (92), 109 (84).
HREIMS m/z 410.1019 (C
22H
19N
2O
4Clの計算値410.1033).
【0149】
実施例24
N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物24)
【化32】
工程1.3−(4−クロロフェノキシ)アニリン(55mg,0.250mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニン(59mg,0.312mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(130μL,0.776mmol)および(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウム(145mg,0.339mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(40mL)および飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(3:7)で溶出)で精製し、tert−ブチル 3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピルカルバメートを得た(61mg,0.155mmol,62%)。
【0150】
工程2.tert−ブチル 3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピルカルバメート(53mg,0.135mmol)をメタノール(1.5mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(1.5mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を減圧留去し、残渣をジクロロメタン(3mL)に溶解し、4−(メトキシメトキシ)安息香酸(32mg,0.175mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(100μL,0.574mmol)および(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウム(90mg,0.210mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液に0.3M 塩酸(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わせて、飽和重曹水(40mL)および飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(39:1)で溶出)で精製し、N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミドを得た(38mg,0.082mmol,61%(2工程))。
【0151】
工程3.N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミド(28mg,0.063mmol)をメタノール(1mL)に溶解し、塩酸−メタノール試薬(5〜10%)(1mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール(19:1)で溶出)で精製し、化合物24を得た(9mg,0.022mmol,35%)。
【0152】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.66 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.32-7.36 (1H, m), 7.28 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.24-7.27 (2H, m), 6.95 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.83 (2H, J = 8.8 Hz), 6.70-6.74 (1H, m), 3.67 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.65 (2H, t, J = 6.5 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 170.8, 168.4, 160.3, 157.2, 155.5, 139.6, 129.8, 129.5 (2C), 128.8 (2C), 128.2, 124.7, 120.0 (2C), 115.1 (2C), 114.8, 114.2, 110.4, 36.5, 36.0.
EIMS m/z (rel. int) 412 [M+2]
+ (3), 410 [M]
+ (8), 275 (6), 273 (20), 221 (24), 219 (73), 121 (100).
HREIMS m/z 410.1014 (C
22H
19N
2O
4Clの計算値410.1032).
【0153】
実施例25
N−(2−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−2−オキシエチル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物25)
【化33】
化合物25は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに3−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを、また、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0154】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, アセトン-d
6) δ 7.74 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.18-7.27 (3H, m), 6.98 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.89 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.86 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.65-6.72 (1H, m), 4.14 (2H, s), 3.81 (3H, s).
13C-NMR (100 MHz, アセトン-d
6) δ 167.8, 160.5, 158.8, 155.8, 149.7, 141.7, 138.9, 129.6, 129.0 (2C), 124.1, 120.7 (2C), 115.1 (2C), 114.7 (2C), 113.8, 113.1, 109.2, 55.4, 43.7.
EIMS m/z (rel. int) 392 [M]
+ (44), 215 (100), 121 (27).
HREIMS m/z 392.1385 (C
22H
20N
2O
5の計算値392.1372).
【0155】
実施例26
N−(3−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物26)
【化34】
化合物26は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに3−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0156】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.67 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.24-7.19 (3H, m), 6.98 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.89 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.63-6.71 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.67 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.64 (2H, t, J = 6.6 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 170.7, 168.5, 160.2, 158.6, 155.7, 149.6, 139.2, 129.4, 128.7 (2C), 124.6, 120.6 (2C), 114.9 (2C), 114.6 (2C), 113.7, 112.9, 109.1, 55.3, 36.3, 35.8.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (55), 269 (23), 215 (100), 121 (28).
HREIMS m/z 406.1504 (C
23H
22N
2O
5の計算値406.1529).
【0157】
実施例27
N−(4−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−4−オキソブチル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物27)
【化35】
化合物27は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに3−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを、また、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−アミノブタン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0158】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.66 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.25-7.17 (3H, m), 6.97 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.81 (2H, d, J = 8.3 Hz), 6.61-6.66 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.44 (2H, t, J = 6.7 Hz), 2.40 (2H, t, J = 6.7 Hz), 1.95 (2H, quint, J = 6.7 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 183.4, 172.4, 168.7, 160.1, 158.7, 155.8, 149.8, 139.5, 129.5, 128.8 (2C), 120.7 (2C), 115.0 (2C), 114.7 (2C), 113.8, 112.9, 109.2, 55.5, 39.2, 34.5, 25.4.
EIMS m/z (rel. int) 420 [M]
+ (100), 270 (16), 257 (36), 215 (96), 121 (84).
HREIMS m/z 420.1693 (C
24H
24N
2O
5の計算値420.1684).
【0159】
実施例28
N−(2−(2−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−2−オキソエチル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物28)
【化36】
化合物28は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに2−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを、また、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0160】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.67 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.00-7.11 (2H, m), 6.90 (2H, d, J = 9.1 Hz), 6.83 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.80 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.77-6.86 (2H, m), 4.19 (2H, s), 3.77 (3H, s).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 166.9, 160.8, 154.4, 150.4, 145.2, 131.3, 129.8 (2C), 129.0, 127.5, 123.6, 120.9 (2C), 119.9, 116.9 (2C), 115.6 (2C), 114.4, 114.2, 109.2, 41.2, 26.5.
EIMS m/z (rel. int) 392[M]
+ (24), 215 (100).
HREIMS m/z 392.1385 (C
22H
20N
2O
5の計算値392.1372).
【0161】
実施例29
N−(3−(2−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物29)
【化37】
化合物29は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに2−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0162】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 8.15 (1H, dd, J = 7.8, 1.3 Hz), 7.66 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.04 (1H, td, J = 7.8, 1.3 Hz), 7.01 (1H, td, J = 7.8, 1.3 Hz), 6.93 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.88 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.82 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.73 (1H, dd, J = 7.8, 1.3 Hz), 3.80 (3H, s), 3.71 (2H, t, J = 6.2 Hz), 2.73 (2H, t, J = 6.2 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 170.8, 168.2, 160.1, 155.9, 149.1, 148.1, 128.7 (2C), 127.8, 124.7, 124.6, 122.5, 122.0, 120.4 (2C), 116.1, 114.9 (2C), 114.7 (2C), 55.3, 36.3, 35.8.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (25), 215 (100).
HREIMS m/z 406.1535 (C
23H
22N
2O
5の計算値406.1529).
【0163】
実施例30
N−(3−(4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物30)
【化38】
化合物30は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに4−(4−メトキシフェノキシ)アニリンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0164】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.68 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.47 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.94 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.90 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.87 (2H, d, J = 9.3 Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.8 Hz), 3.80 (3H, s), 3.69 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.66 (2H, t, J = 6.5 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 170.5, 168.4, 160.2, 155.5, 154.5, 150.3, 132.7, 128.8 (2C), 124.6, 121.5 (2C), 120.1 (2C), 117.9 (2C), 115.0 (2C), 114.6 (2C), 55.4, 36.2, 36.0.
EIMS m/z (rel. int) 406 [M]
+ (48), 215 (100), 121(24).
HREIMS m/z 406.1542 (C
23H
22N
2O
5の計算値406.1527).
【0165】
実施例31
N−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニルカルボニル)アゼチジン−3−カルボキサミド(化合物31)
【化39】
化合物31は、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりに1−(tert−ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0166】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.50 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.30-7.34 (1H, m), 7.29 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.21-7.27 (2H, m), 6.93 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.78 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.69 (1H, dt, J = 6.6, 2.7 Hz), 4.44-4.50 (2H, m), 4.25-4.31 (1H, m), 4.18-4.23 (1H, m), 3.55 (1H, tt, J = 8.6, 6.1 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 172.5, 172.3, 162.0, 158.8, 157.2, 141.3, 131.2, 131.1 (2C), 130.9 (2C), 129.5, 124.5, 121.4 (2C), 116.2 (2C), 116.1, 115.5, 111.6, 56.9, 52.7, 35.5.
EIMS m/z (rel. int) 424 [M+2]
+ (1), 422 [M]
+ (3), 287 (1), 285 (4), 274 (20), 272 (41), 121 (100).
HREIMS m/z 422.1004 (C
23H
19O
4N
2Clの計算値422.1033).
【0167】
実施例32
N−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニルカルボニル)ピロリジン−3−カルボキサミド(化合物32)
【化40】
化合物32は、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりに1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−3−カルボン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0168】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。NMRスペクトルにおいて、標題化合物は2種の配座異性体の混合物(混合比1:1)として観測された。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.38 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.31-7.35 (1H, m), 7.19-7.29 (4H, m), 6.89-6.94 (2H, m), 6.77 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.65-6.71 (1H, m), 3.62-3.83 (3H, m), 3.52-3.61 (1H, m), 3.16-3.22 (0.5H, m), 3.04-3.11 (0.5H, m), 2.20-2.27 (0.5H, m), 2.04-2.20 (1.5H, m).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 173.6 (0.5C), 172.8 (0.5C), 172.1 (0.5C), 171.9 (0.5C), 160.9, 158.8, 157.3, 141.5 (0.5C), 141.4 (0.5C), 131.1, 130.9 (2C), 130.4 (2C), 129.5, 128.2, 121.4 (2C), 116.1, 116.0 (2C), 115.4, 111.6 (0.5C), 111.5 (0.5C), 53.2 (0.5C), 50.5 (0.5C), 50.3 (0.5C), 47.2 (0.5C), 46.6 (0.5C), 44.8 (0.5C), 31.4 (0.5C), 29.5 (0.5C).
EIMS m/z (rel. int) 438 [M+2]
+ (6), 436 [M]
+ (17), 317 (4), 315 (12), 221 (3), 219 (9), 190 (100), 121 (85).
HREIMS m/z 436.1177 (C
24H
21O
4N
2Clの計算値436.1190).
【0169】
実施例33
N−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニルカルボニル)ピペリジン−3−カルボキサミド(化合物33)
【化41】
化合物33は、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりに1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−カルボン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0170】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.29 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.18-7.27 (5H, m), 6.93 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.75-6.81 (2H, m), 6.66-6.70 (1H, m), 3.72-3.82 (1H, m), 3.25-3.36 (1H, m), 3.05-3.20 (2H, m), 2.49-2.61 (1H, m), 1.96-2.05 (1H, m), 1.66-1.85 (2H, m), 1.47-1.58 (1H, m).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 174.1, 173.2, 160.7, 158.7, 157.3, 141.4, 131.1, 130.8 (2C), 130.2 (2C), 129.5, 127.3, 121.4 (2C), 116.2 (2C), 116.1, 115.4, 111.5, 46.3, 45.0, 44.0, 29.0, 26.2.
EIMS m/z (rel. int) 452 [M+2]
+ (13), 450 [M]
+ (35), 331 (9), 329 (24), 204 (100), 121 (85).
HREIMS m/z 450.1344 (C
25H
23O
4N
2Clの計算値450.1346).
【0171】
実施例34
N−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニルカルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド(化合物34)
【化42】
化合物34は、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンの代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−DL−プロリンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0172】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CD
3OD) δ 7.45 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.35-7.38 (1H, m), 7.28 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.23-7.27 (2H, m), 6.93 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.77 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.68-6.71 (1H, m), 4.57 (1H, t, J = 7.3 Hz), 3.66-3.74 (1H, m), 3.55-3.62 (1H, m), 2.26-2.33 (1H, m), 1.92-2.07 (2H, m), 1.79-1.87 (1H, m).
13C-NMR (150 MHz, CD
3OD) δ 173.2, 172.1, 161.1, 158.8, 157.3, 141.4, 131.1, 130.8 (2C), 130.7 (2C), 129.5, 127.8, 121.5 (2C), 116.1, 115.9 (2C), 115.4, 111.6, 62.9, 52.0, 31.1, 26.6.
EIMS m/z (rel. int) 438 [M+2]
+ (1), 436 [M]
+ (3), 218 (14), 190 (40), 121 (100).
HREIMS m/z 436.1153 (C
24H
21O
4N
2Clの計算値436.1190).
【0173】
実施例35
N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)チオフェン−2−カルボキサミド(化合物35)
【化43】
化合物35は、4−(メトキシメトキシ)安息香酸の代わりに2−チオフェンカルボン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0174】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 9.44 (1H, br.s), 7.74 (1H, br.t, J = 6.3 Hz), 7.48 (1H, dd, J = 3.8, 1.0 Hz), 7.41 (1H, dd, J = 4.9, 1.0 Hz), 7.25-7.27 (1H, m), 7.21 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.15-7.19 (2H, m), 6.99 (1H, dd, J = 4.9, 3.8 Hz), 6.87 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.62-6.66 (1H, m), 3.59 (2H, q, J = 6.3 Hz), 2.58 (2H, t, J = 6.3 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 170.6, 163.1, 157.2, 155.5, 139.5, 138.4, 130.3, 129.9, 129.6 (2C), 128.4, 128.2, 127.7, 120.1 (2C), 114.8, 114.3, 110.4, 36.5, 36.1.
EIMS m/z (rel. int) 402 [M+2] (17), 400 [M]
+ (41), 221 (37), 219 (100), 182 (27), 140 (20), 111 (46).
HREIMS m/z 400.0652 (C
20H
17O
3N
2ClSの計算値400.0648).
【0175】
実施例36
N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)チオフェン−3−カルボキサミド(化合物36)
【化44】
化合物36は、4−(メトキシメトキシ)安息香酸の代わりに3−チオフェンカルボン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0176】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 9.38 (1H, br.s), 7.85 (1H, dd, J = 3.0, 1.2 Hz), 7.65 (1H, br.t, J = 6.1 Hz), 7.34 (1H, dd, J = 5.1, 1.2 Hz), 7.25-7.27 (1H, m), 7.25 (1H, dd, J = 5.1, 3.0 Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.16-7.19 (2H, m), 6.87 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.62-6.66 (1H, m), 3.59 (2H, q, J = 6.1 Hz), 2.58 (2H, t, J = 6.1 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 170.6, 164.0, 157.3, 155.5, 139.5, 136.7, 129.9, 129.6 (2C), 128.7, 128.3, 126.4, 126.0, 120.1 (2C), 114.8, 114.3, 110.4, 36.5, 35.8.
EIMS m/z (rel. int) 402 [M+2] (8), 400 [M]
+ (21), 221 (36), 219 (100), 182 (24), 140 (21), 111 (46).
HREIMS m/z 400.0652 (C
20H
17O
3N
2ClSの計算値400.0648).
【0177】
実施例37
N−(3−(3−(4−クロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)ピリジン−4−カルボキサミド(化合物37)
【化45】
化合物37は、4−(メトキシメトキシ)安息香酸の代わりにイソニコチン酸を用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0178】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ 8.93 (1H, br.s), 8.63 (2H, d, J = 5.7 Hz), 7.92 (1H, br.t, J = 6.1 Hz), 7.58 (2H, d, J = 5.7 Hz), 7.23 (1H, t, J = 2.2 Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.19 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.16 (1H, dd, J = 7.9, 2.2 Hz), 6.87 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.65 (1H, dd, J = 7.9, 2.2 Hz), 3.66 (2H, q, J = 6.2 Hz), 2.63 (2H, t, J = 6.2 Hz).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3) δ 170.4, 166.1, 157.4, 155.5, 150.3 (2C), 141.2, 139.4, 130.0, 129.7 (2C), 128.4, 121.1 (2C), 120.2 (2C), 114.8, 114.4, 110.5, 36.2, 36.1.
EIMS m/z (rel. int) 397 [M+2]
+ (12), 395 [M]
+ (33), 221 (40), 219 (100).
HREIMS m/z 395.1041 (C
21H
18O
3N
3Clの計算値395.1037).
【0179】
実施例38
N−(3−(3−(3,4−ジクロロフェノキシ)フェニルアミノ)−3−オキソプロピル)−4−ヒドロキシベンズアミド(化合物38)
【化46】
化合物38は、3−(4−クロロフェノキシ)アニリンの代わりに3−(3,4−ジクロロフェノキシ)アニリンを用いる以外は、化合物24と同様の製法にしたがって合成された。
【0180】
生成物は、EIMS(電子衝撃質量スペクトル)法による質量分析及びNMRによって解析した。EIMS及びNMRの結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 7.62 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.37 (1H, t, J = 1.9 Hz), 7.31 (1H, dd, J = 8.2, 2.2 Hz), 7.27-7.21 (2H, m), 7.01-7.08 (1H, m), 6.83-6.77 (3H, m), 6.65-6.73 (1H, m), 3.64 (2H, t, J = 5.1 Hz), 2.62 (2H, t, J = 5.1 Hz).
13C-NMR (100 MHz, CD
3OD) δ 170.7, 168.4, 160.1, 156.1, 139.6, 132.7, 130.6, 129.8, 128.7 (2C), 128.6, 126.1, 124.5, 120.0, 117.7, 115.3, 114.9 (2C), 114.4, 110.7, 36.2, 35.8.
EIMS m/z (rel. int) 446 [M+2]
+ (1), 444 [M]
+ (2), 311 (4), 309 (27), 307 (42), 257 (9), 255 (63), 253 (100), 121 (85), 55 (93).
HREIMS m/z 444.0652 (C
22H
18N
2O
4Cl
2の計算値444.0644).
【0181】
試験例1:OPNプロモーター制御下におけるルシフェラーゼ発現阻害効果の確認方法
pGL-3ベクター basic (Promega)のマルチクローニング部位にヒトOPNプロモーター配列(−765から23)を組み込んだ、レポーターベクターpOPN1-lucは、動物細胞にトランスフェクションするとルシフェラーゼを発現する。該pOPN1-lucを、ピューロマイシン耐性遺伝子(ピューロマイシン−N−アセチル−トランスフェラーゼ遺伝子(puromycin-N-acetyl-transferase gene))を発現するpPUR(Clontech)と共にヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549にトランスフェクトし、ピューロマイシン添加培地にて増殖可能である、ルシフェラーゼを発現する細胞を選択した。選択された細胞を「A549/OPNluc細胞」と称し、後述のOPNプロモーター制御下におけるルシフェラーゼ発現阻害効果の観察に使用した。
【0182】
被験化合物をA549/OPNluc細胞の培養液中に添加し、細胞内のルシフェラーゼ発現量に対する影響を観察した。ここで、被験化合物が細胞毒性または細胞増殖抑制効果を有している場合には、被験化合物の濃度に依存した生細胞数の減少により総ルシフェラーゼ発現量が低下し、被験化合物のOPNプロモーター制御下でのルシフェラーゼ発現阻害効果を正しく評価できないことが考えられる。このため、細胞増殖能力または細胞生存能力を発色測定により定量する方法であるWSTアッセイをまず実施し、被験化合物の細胞増殖に対するIC50(50%細胞増殖阻害濃度)を求めた。続いて、ルシフェラーゼ活性測定を実施し、被験化合物のOPNプロモーター制御下のルシフェラーゼ発現に対するEC50(50%ルシフェラーゼ発現抑制濃度)を求めた。
【0183】
(1−1)WSTアッセイ
A549/OPNluc細胞を、10% ウシ胎児血清(FCS)および1% ペニシリン・ストレプトマイシン(P/S)を添加したDMEM培地に3×10
4細胞/mLとなるよう懸濁し、これを96ウェルプレートの各ウェルに100μLずつ分注した。試験をトリプリケートで実施することから、対照群および各濃度の被験化合物添加群を、それぞれ3ウェルずつ準備した。分注後、96ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。
【0184】
本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)によって50 mmol/L溶液とし、−80℃で保存した。該化合物溶液を、DMSOによって2倍希釈系列として希釈し(通常は0.31 mmol/L〜20 mmol/Lの範囲)、2倍ずつ濃度の異なった被験化合物溶液をWSTアッセイのために準備した。
【0185】
細胞懸濁液を加えた各ウェルに、DMSOのみ(対照)または希釈した被験化合物(検体)の溶液を0.5μLずつ分注した(200倍希釈)。ボルテックスミキサーで混和した後、96ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で48±4時間培養した。続いて、Premix WST-1 Reagent(タカラバイオ)を10μLずつ各ウェルに添加した。ボルテックスミキサーで混和した後、96ウェルプレートを37℃, 5% CO
2条件下でインキュベートし、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad;BenchmarkまたはThermo Scientific;Varioskan Flash)を用いて60分後または120分後の吸光値(450nm)を測定した。
【0186】
対照のウェルおよび各濃度の検体ウェルの吸光値をそれぞれエクセルファイルに入力し、対照の平均吸光値に対する各濃度の検体ウェルの吸光値のパーセントを求めた。その値から最小二乗法により近似曲線式を求め、IC50値を計算した。
【0187】
(1−2)ルシフェラーゼアッセイ
細胞懸濁液を加えた各ウェルに、DMSOのみ(対照)または希釈した被験化合物(検体)の溶液を0.5μLずつ加えて200倍希釈した。ボルテックスミキサーで混和した後、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で48±4時間培養する工程まで、上述のWSTアッセイと同様の操作を行った。
【0188】
Luciferase Assay Systems(Promega:Cat# E1500)に含まれるLuciferase Assay Substrate(以下、LASと表記する)をLuciferase Assay Buffer(LAB)で溶解し、ルシフェラーゼ試薬を調製した。5×Cell Culture Lysis Reagent(以下、CCLRと表記する)を水で5倍希釈し、1×CCLRを調製した。
【0189】
培養48±4時間後、各ウェルの培地を完全に取り除き、1×CCLRを50μLずつ分注した。室温で30分間静置した後、各ウェル内の1×CCLRを測定用試料とした。化学発光測定用のチューブにルシフェラーゼ試薬を100μL加え、これに測定用試料20μLを添加して混和し、TD20/20(Promega)または、GloMax20/20(Promega)を用いて、化学発光(相対発光強度:RLU)を測定した。
【0190】
対照のRLUおよび各濃度の検体のRLUをそれぞれエクセルファイルに入力し、対照のRLUの平均値に対する各濃度の検体のRLUのパーセントを求めた。その値から最小二乗法により近似曲線式を求め、EC50値を計算した。また、対照のRLUの平均値に対する各濃度の検体のRLUのパーセントを、化合物が同濃度の時のWSTアッセイの吸光値のパーセント(対照に対する)で割った値から、最小二乗法により近似曲線式を求め、補正EC50値を計算した。補正EC50値は、細胞毒性または細胞増殖抑制効果による被験化合物の濃度に依存した生細胞数の減少によるRLUの低下を補正したEC50値である。
【0191】
被験化合物として化合物1〜38を用いて得られたIC50値、EC50値及び補正EC50値を表1に示す。
【表1】
【0192】
試験例2:ヒト癌細胞由来細胞株のOPN産生に対する化合物1、6、19、26および38の抑制効果
ブレフェラミド(化合物1)を、ヒト肝癌由来細胞株HepG2、ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549、ヒト腎細胞癌由来OUR-10またはヒト膵癌由来QGP-1の培養液に加え、2日間培養後の培養上清中のOPN量を、Human Osteopontin Immunoassay kit(R&D systems)を使用して測定した。化合物1添加群のOPN量とDMSO添加群(対照)のOPN量を比較することにより、確認試験を行った。また、ブレフェラミド誘導体である化合物6、19、26および38を非小細胞肺癌由来細胞株A549の培養液に加え、同様の確認試験を行った。
【0193】
化合物1、6、19、26および38は、細胞増殖抑制効果も有していることから、OPN産生量抑制効果を正しく評価するために、培養上清を除いてウェルに残った細胞に、ルシフェラーゼアッセイで使用した1×CCLR液を添加して細胞溶解液を調製し、その蛋白量をBCA Protein Assay Kit(Thermo Scientific)を使用して測定した。化合物1の添加によるOPN産生量への影響は、蛋白1mg量当たりのOPN量で比較した。
【0194】
(2−1)細胞培養液の調製(
図1、
図2、
図5および
図8〜
図10)
HepG2細胞またはA549細胞を、それぞれ10% FCSおよび1% P/Sを添加したDMEM培地に4×10
4細胞/mLとなるよう懸濁し、24ウェルプレートの各ウェルに500μLずつ分注した。試験をトリプリケートで実施することから、対照群および各濃度の被験化合物添加群を、それぞれ3ウェルずつ準備した。24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)内で24±4時間培養した。
【0195】
(2−2)細胞培養液の調製(
図3および
図4)
OUR-10細胞またはQGP-1細胞を、それぞれ10% FCSおよび1% P/Sを添加したRPMI1640培地に4×10
4細胞/mLとなるよう懸濁し、24ウェルプレートの各ウェルに500μLずつ分注した。試験をデュプリケートで実施するすることから、対照群および各濃度の被験化合物添加群を、それぞれ2ウェルずつ準備した。24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)内で24±4時間培養した。
【0196】
(2−3)化合物の添加
被験化合物である化合物1、6、19、26および38は、DMSOを用いて50 mmol/L溶液とし、−80℃で保存した。該化合物1溶液を、DMSOを用いて希釈し、2.5 mmol/Lおよび5 mmol/L(
図1)、3.125 mmol/Lおよび6.25 mmol/L(
図2)、6.25 mmol/Lおよび12.5 mmol/L(
図3)または5 mmol/Lおよび10 mmol/L(
図4)の濃度にそれぞれ調製した。HepG2、A549、OUR-10またはQGP-1細胞を培養している各ウェルに、それぞれ2種類の濃度の化合物1の溶液を2μLずつ添加した。対照ウェルには、DMSOのみ2μLずつ添加した。
【0197】
同様に、−80℃で保存された化合物6の50 mmol/L溶液を、DMSOを用いて希釈し、2.5 mmol/Lおよび5 mmol/L(
図5)の濃度にそれぞれ調製した。A549細胞を培養している各ウェルに、2種類の濃度の化合物6の溶液を2μLずつ添加した。対照ウェルには、DMSOのみ2μLずつ添加した。
また、−80℃で保存された化合物19、26および38の50 mmol/L溶液を、DMSOを用いて希釈し、3.125 mmol/Lおよび6.25 mmol/L(
図8〜
図10)の濃度にそれぞれ調製した。A549細胞を培養している各ウェルに、2種類の濃度の化合物19、26および38の溶液を2μLずつ添加した。対照ウェルには、DMSOのみ2μLずつ添加した。
【0198】
(2−4)細胞培養と試料の調製
24ウェルプレートを振揺し、ウェル内の溶液を混和した後、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で48±4時間培養した。続いて、培養上清全量を1.5 mLチューブに移し、細胞を含むウェルに、D-PBS(-)を500μL添加した。
【0199】
24ウェルプレートを軽く振揺してから、D-PBS(-)を除き、ルシフェラーゼアッセイで使用する5×CCLRを水で5倍希釈して1×CCLRを調製した。調製された1×CCLRを各ウェルに200μLずつ分注した。続いて、24ウェルプレートをロッキングシェーカーに置き、15分間ロッキングした。
【0200】
15分間ロッキングした後、24ウェルプレートの各ウェルから、細胞溶解液を1.5 mLチューブに移し、細胞破壊片等を除くために微量高速冷却遠心機にて4℃、15,000 rpmで1分間遠心分離した。得られた上清を蛋白量測定用試料とした。
【0201】
一方、1.5 mLチューブに移した培養上清を、細胞破壊片等を除くために微量高速冷却遠心機にて4℃、15,000 rpmで1分間遠心分離した。得られた上清をELISA用試料とした。
【0202】
(2−5)OPN蛋白量の測定
ELISA用試料は、QGP-1細胞の試料を除き(原液を使用)、以下のように希釈した。
A549細胞(20倍希釈):試料5μL+培養培地95μL
HepG2細胞(80倍希釈):試料2μL+培養培地158μL
OUR-10細胞(10倍希釈):試料10μL+培養培地90μL
【0203】
ELISAキットに含まれているOPN standardのバイアルに水1 mLを加え、穏やかに混和し、室温で15分間静置して200 ng/mL OPN Standardを調製した。続いて、表2に示されるように、OPN standardをキットに含まれている希釈液RD5-24によって段階希釈した。
【表2】
【0204】
キットに含まれる必要数のOPN MicroplateとRD1-6を準備し、RD1-6を100μLずつウェルに分注した。希釈したOPN standard(バイアルA〜H)および試料を、RD1-6を添加したウェルにさらに50μLずつ添加した。続いて、ウェル上部をシールでカバーし、室温で2時間静置した。この間に、キットに含まれているWash Buffer Concentrateを水で希釈し、Wash Bufferを調製した。
【0205】
2時間静置した後、各ウェル内の液を除去した。各ウェルにWash Bufferを250μL分注した後、Wash Bufferを除去し、ウェルを洗浄した。該洗浄操作を4回行った。
【0206】
OPN conjugateを各ウェルに200μLずつ分注した。続いて、ウェル上部をシールでカバーし、室温で2時間静置した。この間に、キットに含まれているColor Reagent AとColor Reagent Bを等量混和し、Substrate Solutionを調製した。
【0207】
2時間静置した後、各ウェル内の液を除去した。各ウェルにWash Bufferを250μL分注した後、Wash Bufferを除去し、ウェルを洗浄した。該洗浄操作を4回行った。
【0208】
Substrate Solutionを各ウェルに200μLずつ分注し、遮光して室温で30分間静置した。続いて、キットに含まれているStop Solutionを各ウェルに50μLずつ添加し、ウェルの液全体が青色から黄色になるまで、穏やかにボルテックスミキサーにて混和した。混和後、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad;BenchmarkまたはThermo Scientific;Varioskan Flash)を用いて、吸光値(450 nmおよび570 nm)を測定した。全ての測定データのOD 450 nmからOD 570 nmの値を減算し、以下の計算ではこの値を用いた。
【0209】
検量線サンプルの吸光値より、検量線を作成した。検量線の数式を用いて各サンプルの吸光値からOPN蛋白量を算出した。
【0210】
(2−6)細胞中の総蛋白量測定
蛋白量測定用試料10μLと水90μLを混和し、10倍希釈した。検量線サンプルを、表3に示されるように、BSA溶液を水で希釈して調製した。
【0211】
【表3】
【0212】
蛋白測定用キットに含まれているBCA試薬AとBCA試薬B(50:1)を混和し、Working Reagentを調製した。96ウェルプレートに検量線サンプル(バイアルA〜F)および10倍希釈した蛋白測定用試料をそれぞれ25μL分注した。試験をデュプリケートで実施することから、対照群および各濃度の被験化合物添加群を、それぞれ2ウェルずつ準備した。
【0213】
Working Reagentを各ウェルに200μLずつ添加し、ボルテックスミキサーで30秒間混和した。60℃で30分間加温した後、室温で15分間静置した。続いて、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad;BenchmarkまたはThermo Scientific;Varioskan Flash)を用いて吸光値(550 nm)を測定した。
【0214】
検量線サンプルの吸光値より、検量線を作成した。検量線の数式を用いて各ウェルの希釈した試料の総蛋白濃度を算出した。さらに、総タンパク濃度に希釈倍率(10倍)を乗算し、試料の総蛋白濃度を算出した。
【0215】
(2−7)OPN(蛋白)量の表示
OPN量(培養上清1 mL当たりの量)は、ELISA測定用の試料の全量(0.5 mL)当たりに換算された。該換算値を、OPN量を求めた試料と同じウェルの蛋白測定用試料全量(0.2 mL)中の蛋白量で割って、OPN量を細胞総蛋白1mg当たりに換算した。該蛋白1mg当たりのOPN量で、化合物1投与の影響を検討した。
【0216】
(2−8)統計処理
OPN量の統計処理には、エクセル統計Statcel 3を用いた。エクセルファイル上にて、被験化合物である化合物3を添加された試料のOPN量を、対照のOPN量との比較でDunnett検定した。
【0217】
図1は、化合物1添加によるHepG2細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物1は、濃度10μmol/Lの場合には対照群との間でOPN産生量に違いが認められなかったが、濃度20μmol/Lの場合には、1%未満の危険率において、対照群と比較してHepG2細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0218】
図2は、化合物1添加によるA549細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物1は、濃度を12.5μmol/Lから25μmol/Lに増加すると、濃度依存的にOPN産生を抑制することが確認された。濃度が12.5μmol/Lおよび25μmol/Lの場合、共に1%未満の危険率において、対照群と比較してA549細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0219】
図3は、化合物1添加によるOUR-10細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。OPN量は、対照群および化合物1添加群共にデュプリケートで実施した各2本の値はほぼ同じ値を示した。化合物1は、濃度25μmol/Lおよび濃度50μmol/Lの場合に、対照群と比較してOUR-10細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0220】
図4は、化合物1添加によるQGP-1細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。OPN量は、対照群および化合物1添加群共にデュプリケートで実施した各2本の値はほぼ同じ値を示した。化合物1は、濃度20μmol/Lの場合には対照群との間でOPN産生量に違いが認められなかったが、濃度40μmol/Lの場合には、対照群と比較してQGP-1細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0221】
図5は、化合物6添加によるA549細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物6は、濃度を10μmol/Lから20μmol/Lに増加すると、濃度依存的にOPN産生を抑制することが確認された。濃度が10μmol/Lおよび20μmol/Lの場合、共に1%未満の危険率において、対照群と比較してA549細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0222】
図8は、化合物19添加によるA549細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物19は、濃度を12.5μmol/Lから25μmol/Lに増加すると、濃度依存的にOPN産生を抑制することが確認された。濃度が12.5μmol/Lおよび25μmol/Lの場合、共に1%未満の危険率において、対照群と比較してA549細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0223】
図9は、化合物26添加によるA549細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物26は、濃度を12.5μmol/Lから25μmol/Lに増加すると、濃度依存的にOPN産生を抑制することが確認された。濃度が12.5μmol/Lおよび25μmol/Lの場合、共に1%未満の危険率において、対照群と比較してA549細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0224】
図10は、化合物38添加によるA549細胞のOPN産生抑制効果を表すグラフを示す。化合物38は、濃度を12.5μmol/Lから25μmol/Lに増加すると、濃度依存的にOPN産生を抑制することが確認された。濃度が12.5μmol/Lおよび25μmol/Lの場合、共に1%未満の危険率において、対照群と比較してA549細胞のOPN産生を有意に抑制することが確認された。
【0225】
図1〜
図4より、化合物1が、ヒト肝癌由来細胞株HepG2、ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549、ヒト腎細胞癌由来細胞株OUR-10およびヒト膵癌由来QGP-1のOPN産生を抑制することが確認された。また、
図5より、化合物6が、ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549のOPN産生を抑制することが確認され、そして、
図8〜
図10より、化合物19、26および38が、ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549のOPN産生を抑制することが確認された。
【0226】
試験例3:ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549の創傷治癒能に対する化合物1の抑制効果
OPNプロモーター制御下でのルシフェラーゼ発現を抑制するブレフェラミド(化合物1)は、実際に蛋白としてのOPN産生を抑制することが、
図1〜
図4に示される実験結果から確認された。続いて、OPNが産生されたことにより細胞に生じる生理的な機能が、被験化合物である化合物1によって抑制されるか否かを確認した。確認方法の一つとして、細胞の創傷治癒試験(Wound-Healing assay)を行った。該試験は、細胞の遊走能を調べる方法として一般的に知られている方法である。単層培養した細胞をピペットの先等で部分的に細胞を剥がした際に、傷のまわりの細胞が移動(遊走)することで傷の部分を埋めていくが、培養液中に被験化合物を添加することより、該機能に影響を与えるかを観察した。
【0227】
(3−1)創傷治癒試験(Wound-Healing assay)方法
ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549を、10% FCSおよび1% P/Sを添加したDMEM培地に3.5×10
5細胞/mLとなるように懸濁した。24ウェルプレートの各ウェルに、細胞懸濁液を500μL(1.75×10
5細胞)ずつ分注した。試験をトリプリケートで実施することから、対照群および各濃度の被験化合物添加群を、それぞれ3ウェルずつ準備した。分注後、24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。
【0228】
培養後、全てのウェルから培地を除去した。DMEMに0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)および1% P/Sを添加した培地(無血清培地)を全てのウェルに500μLずつ分注した。プレートを振揺した後、再度、全ウェルから培地を除去した。培地を除去した後、無血清培地を全てのウェルに500μLずつ分注した。
【0229】
被験化合物である化合物1は、DMSOで50 mmol/L溶液とし、−80℃で保存した。該化合物1溶液をDMSOで希釈し、3.125 mmol/Lおよび6.25 mmol/Lの濃度にそれぞれ調製した。A549細胞を培養している各ウェルには、化合物1の3.125 mmol/Lまたは6.25 mmol/Lの溶液を2μLずつ添加した。対照ウェルには、DMSOのみ2μLずつ添加した。
【0230】
24ウェルプレートを振揺し、ウェル内の溶液を混和した後、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。
【0231】
24ウェルプレート内の細胞を顕微鏡下で観察し、100%密集(confluent)であることを確認した後、20μL用のマイクロピペットチップの先端で、プレート底面の細胞に、1ウェルにつき3箇所傷をつけた。顕微鏡として、CCDカメラシステムのRetiga-2000 Fast 1394 Color(QImaging)を取り付けた倒立型リサーチ顕微鏡IX71(オリンパス)を使用した。
【0232】
顕微鏡で創傷部を観察し、創傷部が画像に収まるように調整して撮影した。倍率は40倍(接眼:×10、対物:×4)に設定した。撮影後、24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で48±4時間培養した。
【0233】
培養後、顕微鏡で創傷部を観察し、創傷部が画像に収まるように調整して撮影した。倍率は40倍(接眼:×10、対物:×4)に設定した。
【0234】
Image-Pro Plus 7.0J(MediaCybernetics社)を用いて、撮影した画像に基づいて、創傷部の面積を確認した。そして、
創傷治癒率(%) =100 - [創傷2日後の創傷面積/創傷直後の創傷部面積]×100
という計算式に基づいて、創傷治癒率(%)を算出した。対照群および2種類の濃度の化合物1投与群それぞれの創傷治癒率(%)の平均値を算出した。また、対照群の創傷治癒率に対する化合物処理群の創傷治癒率(%)も算出した。
【0235】
(3−2)統計処理
創傷治癒率の算出値の統計処理は、エクセル統計Statcel 3を用い、エクセルファイル上ですべての化合物1投与処理群の創傷治癒率を、対照との比較でDunnett検定を行うことにより実施された。
【0236】
図6は、化合物1添加によるA549細胞の創傷治癒抑制効果を表すグラフを示す。化合物1は、濃度12.5μmol/Lの場合には対照群との間で創傷治癒率に違いが認められなかったが、濃度25μmol/Lの場合には、1%未満の危険率において、対照群の間で創傷治癒率に有意差が確認された。すなわち、化合物1は、濃度25μmol/Lの場合に、A549細胞の創傷治癒を有意に抑制するものと認められる。
【0237】
試験例4:ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549の転移浸潤能に対する化合物1および化合物6の抑制効果
OPNが産生されたことにより細胞に生じる生理的な機能が、被験化合物によって抑制されるか否かを調べる2番目の試験として、マトリクス浸潤試験(Matrix-Invasion assay)を行った。該試験では、細胞外マトリクス成分であるコラーゲンまたはラミニン(マトリゲル、BD Bioscience社)をコーティングした、φ8μmの細孔(ポア)を有する膜が底部に張ってあるカップ(インサート)と、そのインサートを挿入する24ウェルプレートを準備した。無血清培地に懸濁した細胞を内側のインサートに入れ、外側の24ウェルプレートの各ウェルに細胞の転移および浸潤を誘引する物質(ここでは、ウシ胎児血清)を加えた培地を注入し、インサートのマトリゲルをコーティングした膜を通過して外側のウェルに現れる細胞数を観察した。
【0238】
マトリゲルは、細胞培養用の人工基底膜マトリックスであり、細胞外マトリックスタンパク質を豊富に含むEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫から抽出された可溶性基底膜調製品である。マトリゲルの主成分は、ラミニン、コラーゲンIV、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン/ニドジェンである。マトリゲルには、TGF-β、上皮細胞増殖因子、インシュリン様成長因子、線維芽細胞増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、およびEHS腫瘍に自然に産生される他の増殖因子も含まれる。
【0239】
具体的には膜の外側に浸潤してきたA549細胞に蛍光色素を取り込ませた後、膜から剥がし、その蛍光強度を測定した。同時に、数が既知である検量線作成用の細胞にも蛍光色素を取り込ませ、その蛍光強度から検量線を作成した。そして、近似曲線式から細胞数が未知である被験サンプルの浸潤細胞数を求めた。
【0240】
癌細胞は、外側の培地に加えたウシ胎児血清の刺激によりOPNを産生する。培養液にOPNが存在すると、細胞はOPNと結合し、その作用でマトリックスメタプロテイナーゼ(Matrix Metalloproteinase: MMP)というコラーゲンを分解する酵素を産生してマトリゲルを溶解し、さらに遊走能が高まるので外側のウェルに移動してくる。OPNプロモーター制御下でのルシフェラーゼ発現を抑制する、ブレフェラミド
(化合物1)およびその誘導体である化合物6のA549細胞のマトリクス浸潤機能に対する抑制効果を観察した。
【0241】
(4−1)マトリクス浸潤試験(Matrix-Invasion assay)方法
ヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549を、10% FCSおよび1% P/Sを添加したDMEM培地に1.8×10
5細胞/mLとなるよう懸濁した。該懸濁液を75 cm
2フラスコに10 mL分注し、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。同様に、検量線作成用にA549細胞の6×10
4細胞/mLの懸濁液を調製し、該懸濁液を25 cm
2フラスコに5 mL分注し、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。この日を作業の0日目とした。
【0242】
[翌日:作業1日目]
細胞をシードした75 cm
2フラスコから培地を除去した。培地を除去したフラスコに0.1% BSAおよび1% P/S添加DMEM培地(無血清培地)を10 mL分注し、細胞表面に一様に培地が浸透するようにフラスコを傾けた。続いて、フラスコから培地を除去した。
【0243】
培地を除去したフラスコに無血清培地を10 mL分注した。続いて、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。
【0244】
[作業2日目]
マトリゲル(10 mg/mL:BD Biosciences)を氷上で融解した。セルカルチャーインサート(24ウェル用、8.0μmポア:BD Biosciences)および無血清培地を氷冷した。マトリゲルを氷冷した無血清培地で25倍希釈し、マトリゲル溶液を調製した。
【0245】
24ウェルプレートに必要数のセルカルチャーインサートをセットし、マトリゲル溶液を50μLずつセルカルチャーインサートに分注し、チップの先でメンブレン全体にマトリゲル溶液を浸透させた。続いて、24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)に1〜2時間置いた。
【0246】
前日に無血清培地に交換した75 cm
2フラスコの細胞の培養上清を除去した。カルシウム・マグネシウム無添加リン酸緩衝生理食塩液(D-PBS(-))10 mLを分注し、細胞表面に一様にD-PBS(-)が浸透するようにフラスコを傾けた後、D-PBS(-)を除去した(該操作をD-PBS(-)による「洗浄操作」という。)。続いて、細胞剥離溶液(Cell Dissociation Solution/CDS:シグマ)を3〜5 mLフラスコに分注した。CDSを分注したフラスコを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)に入れて、約20分間加温(5分ごとにロッキング)し、細胞をフラスコ底部より剥離させる作業を行った(該操作をCDSによる「細胞剥離」という。)。
【0247】
300×gで遠心分離した後、上清を除去し、5 mLの無血清培地を用いて細胞を懸濁した。懸濁液の一部(10μL)を分取し、0.4%トリパンブルー溶液を10μL添加して軽くピペッティングした後、Burker-Turk血球計算盤を用いて細胞数を計数し、細胞濃度を求めた(該操作を「細胞数カウント」という)。
【0248】
無血清培地を用いて、2×10
5細胞/mLの細胞濃度の懸濁液を8 mL調製した。マトリゲル溶液によって表面をコートした後、炭酸ガス培養器で1〜2時間インキュベートしたカルチャーインサートに、調製した細胞懸濁液を0.5 mL(1×10
5細胞)ずつ穏やかに分注した。試験をトリプリケートで実施した。
【0249】
15 mLチューブに10% FCSおよび1% P/Sを添加したDMEM培地を5 mL分注した。該チューブに化合物1の50 mmol/L DMSO溶液を1.25μL(最終濃度12.5μmol/L)または2.5μL(最終濃度25μmol/L)を分注し、化合物1添加培地を調製した。同様に、化合物6の50 mmol/L DMSO溶液の1μL(最終濃度10μmol/L)を分注し、化合物6添加培地を調製した。10% FCSおよび1% P/Sを添加したDMEM培地の5 mLにDMSOを5μL添加し、対照群用添加培地を調製した。
【0250】
カルチャーインサートとプレートの隙間から、24ウェルプレートのウェルに化合物1添加培地、化合物6添加培地または対照群用添加培地を0.75 mLずつ分注した。続いて、24ウェルプレートを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で48±4時間培養した。
【0251】
[作業3日目]
25 cm
2フラスコで培養していたA549細胞の培地を除去し、無血清培地5 mLに交換した。続いて、25 cm
2フラスコを炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で24±4時間培養した。
【0252】
[作業4日目]
カルセインAM(50μg/バイアル:BD Biosciences)のバイアルを室温まで冷却し、DMSOを30μL添加して混和し、カルセインAM溶液を調製した。15 mLチューブにCDSを5 mL分注し、これにカルセインAM溶液を6μL添加して混和し、1×カルセインAM溶液(被験インサート用カルセインAM溶液)を調製した。一方、15 mLチューブにCDSを1.5 mL分注し、カルセインAM溶液を3.6μL添加して混和し、2×カルセインAM溶液(検量線用カルセインAM溶液)を調製した。
【0253】
(4−2)検量線用細胞の準備
前日に培地交換した25 cm
2フラスコの細胞の培養上清を除去し、D-PBS(-)5 mLを用いて、上述の洗浄操作を行った。さらに、CDS 3 mLを用いて上述の細胞剥離を行った。続いて、上述の細胞数カウントを行い、CDSを用いて5×10
5細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。そして、表4に示されるように、細胞懸濁液はCDSを用いて希釈した。96ウェルブラックプレート(コーニング)の各ウェルに、バイアルA〜H内の細胞懸濁液を50μLずつ分注した。試験をトリプリケートで実施した。
【表4】
【0254】
(4−3)カルセインAM染色
新しい24ウェルプレートの各ウェルにD-PBS(-)を0.75 mLずつ分注した。各インサートをピンセットで持ち上げながら、インサート内の培地をピペットによって除去し、D-PBS(-)0.75 mLを分注したウェルに移した。各インサートにD-PBS(-)を0.5 mL分注し、インサートをD-PBS(-)によって洗浄した。
【0255】
新しい24ウェルプレートを準備し、その各ウェルに1×カルセインAM溶液をそれぞれ0.35 mL分注した。D-PBS(-)によって洗浄したインサートをピンセットで持ち上げながら、インサート内のD-PBS(-)をピペットによって除去し、1×カルセインAM溶液を分注したウェルに移した(被験インサートの細胞の蛍光染色)。インサートを移した24ウェルプレートを、炭酸ガス培養器(37℃, 5% CO
2条件下)で1時間インキュベートした。30分おきにプレート側面を軽く叩いた。
【0256】
インキュベーションの間、細胞懸濁液を分注した96ウェルブラックプレートの各ウェルに、2×カルセインAM溶液を50μLずつ分注し、アルミホイルで包んでから室温に静置した(検量線用の細胞の染色)。
【0257】
(4−4)蛍光測定
1時間のインキュベーションが終了した後、インサートを含む24ウェルプレートを、内部の液がこぼれないように注意しながら振揺し、液を混和した。続いて、24ウェルプレートの各ウェルからピンセットを用いて各インサートを取り除いた。インサートを取り除いた各ウェルの液を、新しい96ウェルブラックプレートの各ウェルに100μLずつ3ウェルに移した(被験インサートの細胞用プレート)。
【0258】
マイクロプレートリーダー(Molecular Device;SpectraMax M5またはThermo Scientific; Varioskan Flash)を用いて、検量線用細胞および被験インサートの細胞用の96ウェルブラックプレートの各ウェルの蛍光を測定した(励起波長:485 nm, 蛍光波長:520 nm)。
【0259】
(4−5)総浸潤細胞数の算出
検量線用細胞の蛍光強度(RLU)をエクセルに入力し、最小二乗法により近似曲線(検量線)の数式を求めた。検量線の数式を用いて、96ウェルプレートの1ウェルあたりの蛍光強度から浸潤細胞数を算出した。その浸潤細胞数に3.5を乗じ、24ウェルプレートの1ウェル当たりの総浸潤細胞数を算出した。さらに、トリプリケートで実施しているので3ウェルの総浸潤細胞数の平均値を算出した。
【0260】
(4−6)統計処理
統計処理は、エクセル統計Statcel 3を用いて、エクセルファイル上で、化合物1および化合物6処理群の総浸潤細胞数を、陰性対照(Control)値との比較でDunnett検定を行うことにより実施された。
【0261】
図7は、化合物1または化合物6添加によるA549細胞のマトリクス浸潤抑制効果を表すグラフを示す。化合物1の濃度12.5μmol/Lおよび25μmol/Lと対照群の浸潤細胞数を比較すると、浸潤細胞数は化合物1の濃度に依存して減少した。濃度12.5μmol/Lの場合に5%未満の危険率、濃度25μmol/Lの場合には1%未満の危険率において、対照群と比較してA549の浸潤細胞数を有意に抑制することが確認された。また、化合物6の濃度10μmol/Lの場合にも5%未満の危険率において、対照群と比較してA549の浸潤細胞数を有意に抑制することが確認された。すなわち、化合物1は、濃度12.5μmol/Lおよび25μmol/Lの場合に、そして、化合物6は、濃度10μmol/L場合に、A549細胞のマトリクス浸潤を有意に抑制するものと認められる。