【文献】
日亜化学工業150lm/W 白色LEDの電気的光学特性,LEDの最新動向,日本,株式会社 東レリサーチセンター調査研究部,2010年 5月,第1刷,171-182頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外側ガラスシート(1)および内側ガラスシート(2)の2枚のガラスシートと、前記ガラスシートを組み立てる中間層シート(5、9、6、7、8)とを含む、自動車車両の合わせガラスルーフであって、前記中間層シートは、前記2枚のガラスシートの間に配置された、LCタイプ(液晶フィルム)(3)の視感透過率を制御するための制御アセンブリと、発光ダイオード(LED)(14)に基づく照明要素とを含み、前記LCアセンブリ(3)および前記LED(14)の厚さ部分が重ね合わせられ、前記LED(14)は、前記LCアセンブリ(3)の下側に配置されている、ルーフ。
前記ダイオード、およびこれらのダイオードと車室との間に位置する前記要素は、光束が、座標CIE1931:(0,2600;0,3450)、(0,4000;0,4000)、(0,4500;0,4000)、(0,3150;0,2900)、(0,2350;0,2000)の点によって規定された外周内に含まれるスペクトルを示すように、選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のルーフ。
前記ルーフの、外面(1)および内面(2)の前記2つの面を構成する2枚のガラスシートを含み、前記シートの少なくとも一方は、強い吸収性の着色ガラスからなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のルーフ。
前記外側ガラスシート(1)と前記LCフィルム(3)との間に置かれた中間層シート(5)が、着色されており、およびUVに対するスクリーンを構成している、請求項1〜9のいずれか1項に記載のルーフ。
前記ダイオード(14)および/または前記LCフィルム(3)を制御するために、前記ルーフに組み込まれた容量型センサー(30)を備えるスイッチ制御部を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のルーフ。
前記アセンブリの構成要素である、ガラスシート(1、2)、中間層シート(5、6、10、7、8)、LCフィルム(3)、反射層(11)が、前記LCフィルム(3)の活性状態において、積分球を用いてEN410規格に従って測定される前記透過率を、多くとも30%まで、好ましくは多くとも20%まで、特に好ましくは、多くとも10%まで制限する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のルーフ。
前記LCフィルム(3)は、前記活性状態において、ASTMD1003規格に従って、前記面に対して直角方向に拡散を測定するヘーズが12%以下、好ましくは10%以下であるように、選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のルーフ。
前記LCフィルム(3)は、前記活性状態において、前記ASTMD1003規格に従って、前記面に垂直の方向に対して20°までの角度に対する前記拡散を測定する前記ヘーズが20%以下、好ましくは15%以下であるように、選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のルーフ。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、透明状態から半透明状態への切り替えを可能にし、両状態において、透過率が制限されたままである、電子制御されるルーフに関する。本発明は、透過特性を変更する手段として液晶(LC)フィルムの使用を提案する。
【0009】
ガラス張りのルーフの発展は、多数の問題を生じ、かつ新たな実装への道を開いた。いくつかの機能は、これらのルーフの特殊性を考慮して変更されてもよい、または変更される必要がある。
【0010】
これらの機能の中でも、環境照明、または「読書灯」とみなされる照明に対応する、より局所的な照明の問題であるかに関わらず、車室内の照明を考える。伝統的に、そのような照明に使用された手段は、ルーフ、またはルーフを覆う内部に配置される。また、照明手段は、アセンブリの一部を形成することが多く、このアセンブリは、フロントガラスの上側を部分的に覆って延在し、かつ内部のバックミラーの台座、フロントガラスワイパーや外部ヘッドライトのトリガーを制御する様々なセンサーを含み、このアセンブリはまた、多様な周波数の電波(リモート料金支払い、GPS…)に基づいたデータ通信手段、または赤外線カメラなどの運転を支援するためのキャリアである。当該アセンブリは、所望の透明性に対して局所的に障害となり、これが、「ガラス張り」の解決法の選択の動機となる。
【0011】
本発明は、透明性を著しく損なわない設計の、車室内を照明する手段を組み込むことによって、これらのルーフを形成する板ガラスの最適な使用を提案する。この組み込みは、下記で説明するように、これらのガラス張りのルーフにあつらえた新しい配置構成を利用できるようにする。
【0012】
本発明に従って選択されたモードは、合わせガラスに配置された発光ダイオード(LED)の使用である。この選択は、以前に、例えば特許出願、国際公開第2004/062908号パンフレット、欧州特許第1 437 215号明細書および欧州特許第1 979 160号明細書において提案されている。これらの特許出願によれば、ダイオードは、2枚のガラスシートを関連付けるプラスチック中間層に含まれる。当該出願によれば、LEDは、細い導線によって(欧州特許第1 979 160号明細書)、または透明な導電層(欧州特許第1 437 215号明細書)によってのいずれかで、給電される。
【0013】
照明にLEDを使用する原理は別として、従来技術では、これらの製品を、製造者の要求に適合できるようにする条件に関しての、およびそれら製品が当該積層体構造に実際に組み込み可能である/組み込まれるかどうか/どのようにそれら製品の組み込みが行われるか、の問題を未解決のままにしている。従来技術はまた、同じ板ガラスへの、これらの照明手段の、および透過率の制御を可能にするものの、組み込みに関する問題を無視している。それゆえ、本発明人らは、これらの問題に対する解決法を提案する。
【0014】
関係している照明のモードに関する要件は、特に読書用の構成のためには、十分なパワーを有することである。
【0015】
発光体の形態で情報を表示するためにLEDを使用することは、既に想定されている。情報の表示は、表示装置が車両の外部からの光に曝される板ガラスに配置されるときでも、すなわち、換言すると、表示装置が逆光にあるときでも、比較的低いパワーを必要とするにすぎない。LEDが発する光は、非常に小さい領域に集中するため、限られたパワーでも、外部の光に対して十分なコントラストが得られる。同じことは、「照明」への応用では当てはまらない。点光源は、やや不都合でさえある可能性がある。これらの非常に明るい点光源を直接見る場合には、眩しいというリスクがあり、このリスクは、給電される電力が増すにつれて、増大する。この眩しさが引き起こし得る網膜の残像は、規格(IEC62471)にまとめられている現象である。この規格によれば、製造者の要請に基づく照明は、例えば「RG1」レベルに留まる必要がある。
【0016】
ダイオードが発する光を減衰させる要素を、および特に当該板ガラスに依存して、所与の照明レベルをもたらすために必要なルミナスパワーを決定するときに、比較的大量の光が、ガラスのシート、中間層、および発せられた光束が辿る経路に配置された任意の要素において吸収されることを、考慮する必要がある。
【0017】
本発明による照明によって必要とされるルミナスパワーは、有利には、複数のダイオード間で割り当てられる。複数のダイオードを使用することには、いくつもの利点がある。第1の利点は、例えば、個々のパワーが小さいダイオードのみを使用し得ることである。市販のダイオードのパワーが、かなり大きくされているとしても、適度なパワーのダイオードは、たとえ単にそれらが安価であるという理由であっても、有利なままである。それらはまた、最もパワフルなダイオードの視感度効率が最善であるとは限らないという点で、有利である。それゆえ、最善の効率に対応するパワー範囲からダイオードを選択することが好ましい。この方法はまた、下記でより詳細に説明する、ダイオードが使用される熱的条件に関連したネガティブな結果を制限するという要求に対処している。
【0018】
ダイオードのエネルギー変換効率はまた、時間の経過と共に、著しく改善されている。所与のパワーに関し、近年の製品によって生成される熱量は、低下する傾向にある。それにもかかわらず、最善のエネルギー変換効率−すなわち光に変換される電力の割合−は、一般的に30%以下、最も一般的には約15〜20%である。それゆえ、かなりの量の熱が、ジュール加熱によって生成される。
【0019】
積層体内でのダイオードの位置では、動作中に生成される熱は簡単には除去されない。高パワーでは、ダイオードの動作によって、局所的な加熱が生じ、最終的には、この熱が、ダイオード自体を、電力供給回路にあるはんだを、またはそのダイオード、特に液晶フィルムに接触するかまたはそのすぐ近くにある積層体ルーフに存在する要素を損傷させ得る。ガラスシートは、損傷なく、温度上昇に耐えるが、他の構成要素、特に液晶は、比較的厳しい制限範囲内に、通常100℃未満、さらには、多くの場合85℃未満に、温度を維持する必要がある。このため、本発明によれば、必要な総パワーを、この総パワーの一部のみを振り分けるように、いくつかのダイオードに分配することが好ましく、さらに、これらのダイオードは、かなりの距離離間した状態に維持する。
【0020】
実験により、合わせガラスルーフに対応する環境における所与のパワーのダイオードの温度の変化に対する評価が可能になる。この評価は、ダイオードに関し、熱は、それと接触する材料を通した伝導によって本質的に放散されることを考慮している。PVBなどの材料で作製された熱可塑性中間層は、良好な導体ではなく、有機またはミネラルガラスのシートでもない。それゆえ、使用されるダイオードのパワーを制限するように注意する必要がある。実験では、想定した実装条件および利用可能なダイオードのエネルギー変換効率下では、電力は、好ましくは2w以下である必要があり、通常1w以下またはさらには0.5wである必要があることを示している。予期した通り、良好なエネルギー変換効率に向けて進歩している場合、または換言すると、より少量のパワーが熱の形態で放散される場合、パワーは、リスクなく、増大させることができるであろう。この進歩を継続することにより、4wまたはさらには5wまでのダイオードの使用につながり得る。
【0021】
所与の電力に関し、ダイオードの光束は、かなりの程度まで変化し得る。必要なダイオードの数を不必要に増やさないようにするために、および積層体へのそれらの組み込みを複雑にしないようにするために、使用されるダイオードのパワーは、15lm/w以上、好ましくは40lm/w以上、特に好ましくは75lm/w以上である。対照的に、それらの寿命にとって有害な加熱および/または積層体の他の構成要素の損傷のリスクを冒さないようにするために、それらのパワーを過度に増大させないことが好ましい。ダイオードの個々のパワーは、有利には、100ルーメン毎電気ワット未満に留まる。
【0022】
必要なルミナスパワーは、実質的に車両および当該使用(読書灯、環境照明またはコーテシ(courtesy)照明)に依存して、変化し得る。
【0023】
例示として、読書灯に関し、必要な照明は、約10〜100ルクス、すなわち、車両の車室の構成に依存して、1lm以上、好ましくは2lm以上であり、および50lm以上に達し得る、照明される物体上の光束である。車室の環境照明に関し、ルミナスパワーは、通常、少し少ない。通常の照明は、1ルクス以上であり、および10ルクス以上に達し得る。これらの条件下では、車室全体に対する環境照明用の光束は、2〜60ルーメンに及び得る。
【0024】
照明に影響を及ぼす別の要因は、光束の向きに関する。最も一般的なダイオードでは、ダイオードに対面する空間全体にわたって、放射が広がる。このために、ダイオードは、光束を一方の側にのみ方向付ける反射素子を含む。ダイオードは、発せられた光束を集中させかつ方向付ける光学的手段を備えてもよいが、これらの手段は、屈折率が同様の媒質によって囲まれているときには効果がないことに留意されたい。エポキシ樹脂タイプの合成材料からなるこれらのオプティクスは、ポリビニル−ブチラールまたはEVAなどの積層体の中間層の熱可塑性材料とは、十分に異なる屈折率を示さない。それゆえ、追加的な手段が有利には使用されて、ビームの方向を制御する。例示的な実施形態を下記に示す。
【0025】
実際、読書灯への応用では、ダイオードのパワーは、板ガラスの構成要素での吸収を考慮しながら、板ガラスから、板ガラスの平面に対して垂直に、および各ダイオードによって40°の立体角内で発せられる光度が、10cd以上、好ましくは15cd以上であるように、選択される。
【0026】
最も適切で入手可能なダイオードが発する光束を考慮して、読書灯は、2〜20個、好ましくは6〜15個のダイオードを含むのが有利である。よりパワフルなダイオードでは、十分に効率が良い場合には、それらの1つのみで十分である。車室内の一般的な照明では、ダイオードの数は、この車室のサイズに依存し、先の場合よりも遥かに多くてもよい。ルーフの領域に言及すると、このルーフに分配されるダイオードの数は、約6〜40/m
2、通常10〜30/m
2とし得るのが有利である。
【0027】
読書灯または環境照明の問題であるかに関わらず、ダイオードが生成する熱を簡単に放散できるようにするために、ダイオードを互いに一定の距離に保つことが好ましい。少なくとも各ダイオード間の間隔は10mmが好ましく、および少なくとも20mmであるのが有利である。
【0028】
従来のパッケージングを用いた場合、ダイオードが発する光束は、ビーム角の大きいビームを形成し、この角度は、180°程度の大きさとしてもよく、および使用されるパッケージに依存して、少なくとも120°である。この特殊性は、ダイオードがルーフに均一に分配されるときには、環境照明またはコーテシ照明にふさわしい。
【0029】
光ビームが大きなビーム角を有する場合、その強さは、全ての方向において均一ではない。その強さは、ダイオードの半導体の平面に対して垂直な方向において最大であり、および最大のビーム角に達するまで低下する。この分配について、下記で例としておよび添付図面で詳細に説明する。
【0030】
強さが、ルーフにダイオードを好適に配置することによって選択され得る1つの方向において大きくても、この固有の部分的な「指向性」は十分ではない場合がある。小さなビーム角のビームを獲得するために光束を方向付けることが好ましいとし得る。
【0031】
1つ以上のダイオードから生じる光ビームのビーム角を小さくするために、それらダイオードに対面して、収束レンズを形成するのが有利である。このレンズにダイオードが装着される場合には、このレンズが積層体において有効なままであるようにするために、その屈折率は、レンズが挿入される中間層材料の屈折率とは異なる必要がある。最も一般的な製品は、エポキシ樹脂レンズを有し、その屈折率は、従来の中間層材料の屈折率と、実質的に異ならない。この状況では、必要な収束を達成するために、レンズは、ダイオード上ではなく、車室の方に向く板ガラスの面に、すなわち位置4に配置される。原理上、当該レンズは、ガラスシート自体の面を変化させることによって形成され、それゆえ、その面の一体部分とし得る。それにもかかわらず、実装コストの理由で、レンズが、ダイオードに対面して配置される追加部品の形態を取るようにすることが有利である。当該部品は、ガラスとし得る透明材料だけでなく、必要がある場合には、十分に透明かつ抵抗性のあるポリマーでも作製される。
【0032】
車室中へのこの追加レンズの突出を最小限にするためには、フレスネルレンズが好ましい。そのようなレンズでは、照明することが望まれるゾーンのサイズに最良に対応するビームのビーム角を選択することが可能である。読書灯では、15〜40°のビーム角によって、この読書ゾーンから光源を隔てる距離を考慮して、照明されるゾーンのサイズを調整できるようにする。
【0033】
固定指向性照明の場合には、レンズは、車室の方に面するガラスシートの内側面に配置され、かつこの面に接着式に、変更不可能に結合される。例えばガラスシートの面にわたってレンズを平行移動することによって方向を変更し得る方向付け可能なビームを想定することも可能である。そのような手段は、シートの表面における隆起を必然的に追加する装置が存在することを必要とする。
【0034】
光ビームは、上述の通り、例えば各ダイオードに関連させた、ある種のダイアフラムによって制限され得る。この方法は、光学装置に反して、発せられた光束の限られた部分のみを送ることができるようにする。ダイアフラムの使用と上述したようなレンズを組み合わせることも可能にする。
【0035】
好都合にも、本発明による板ガラスは、活性状態にあるLCフィルムに透過および拡散によって貫通して(透過率)、測定された光(ISO9050規格に従って)が、入射光の30%以下、好ましくは20%未満、または実際にはさらには10%であるように、構成される。この割合は、遥かに低いとし得る。それにもかかわらず、本発明による板ガラスは、有利には、活性状態におけるLCフィルムの、総合的な透過および拡散の率(透過率)が、3%以上、好ましくは、5%以上を示す。
【0036】
当該透過は、以下説明するような様々な方法で、特に入射光の一部を吸収するシートを使用することだけでなく、部分的にLCフィルムによっても、調整され得る。
【0037】
吸収が、ガラスシートおよび中間層によって得られる場合、全体的におよび/または個別に、これらの要素は、非常に吸収性が高いとし得る。しかし、このタイプの強力な吸収はまた、発光(luminous)およびエネルギー関連の透過をさらに低減させるおよび/または例えば板ガラスの色合いを制御するために、透過率制御要素を含むルーフの組成においても有利とし得る。
【0038】
積層体ルーフにおけるLCフィルムの選択は、プライバシーの側面からの要請および眩しさがないことを満たすことを可能にする。
【0039】
LCフィルムの構造およびそれらの作用モードに関係するが、フィルムの活性部分の単位体積当たりの液晶の充填量が同一である場合には、拡散効果はフィルムの厚さで増大することは言うまでもない。実際、市販の製品は、非活性状態において、一般的に0.5mm未満、またはさらには0.3mm未満の厚さに関して、約95%以上という非常に著しい拡散にまで至る。この程度の拡散は、通常、製造者の期待に応えるのに十分であるため、これよりも厚い必要はないようである。
【0040】
LCフィルムの生産において、厚さはまた、構成要素の調整モードに干渉することに留意されたい。例示として、PDLC(「ポリマー分散液晶」)タイプの製品は、圧力下で、変形に対する感度が比較的高いとし得る。不要な変形を防止するために、厚さの維持は、ポリマー中に硬質の透明粒子を導入し、多くのスペーシングシムを形成することによって、行われ得る。それにもかかわらず、光学特性を損なわないようにするために、厚さ、およびこれらのたくさんの粒子の存在を制限できるようにすることが好ましい。
【0041】
製造者によって必要とされる条件は、LCフィルムが、活性モードにおいて電場を受けたときに、ヘーズとも呼ばれる残留拡散が可能な限り少なくなるようにして、板ガラスを通した視知覚が、少なくとも一定の入射角度下では、ほぼ透明となるように備えることである。
【0042】
ヘーズは、ASTMD1003規格に従って測定される。LCを使用して発光特性を制御する際は、透過された光束は、拡散光を含み、およびこれは、おそらく直接透過され得る。測定は、拡散光の特異性を考慮して、積分球を用いて行われる。測定は、全体として「透過率」と称する。透過率の測定は、ISO9050規格に従って実施され、D65発光体および10°の角度に関して決定がなされる。同様に、反射測定が、同じ規格、同じ発光体および同じ角度に従って行われる。エネルギー伝達は、ISO13837規格に従って測定される。
【0043】
LCフィルムが活性化されない場合、実際には、直接的な視感透過率がない。実際には、透過された全ての光は、拡散形態にある。
【0044】
特にガラスシートおよび中間層シートによって行われる光吸収(luminous absorption)は、必然的に透過光を低下させることを考えると、LCフィルムゆえにヘーズが存在することは、観察者にはあまり知覚されない。このため、クリアな板ガラスを損なわせると考えられる程度のヘーズは、それにもかかわらず、ルーフの応用において容認される。それにもかかわらず、製造者の期待に応えるために、板ガラスが適切な電場の印加によって活性化されるときには、LCフィルムの選択によって、本発明によるルーフのヘーズは、有利には、12%未満、好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下に維持される。当該測定は、板ガラスの面に対して実質的に垂直な方向に行われる。
【0045】
拡散率は、公知の方法で、印加された電場に応じて変調され得る。結晶の向きは、直接この電場に依存する。電場の増大は、実質的に液晶を含むポリマーからなる機能材料を覆う電極間の短絡に対応する破損のリスクを生じることなく、フィルムが耐えることができる程度に制限されたままである。耐えることができる電圧は、一部には、フィルムの厚さに依存し得る。前述した理由のために、この厚さは制限される。これらの条件下では、普通のフィルムが耐えることができる電圧は、約220Vである。
【0046】
さらに、実際、市販のフィルムの場合には、拡散は、もはや、約110Vの印加電圧以下の閾値を越えては知覚的に低減されない。本発明による残留ヘーズの決定に関しては、周波数50Hzの交流モードで65Vの値で測定が行われる。上述のヘーズの値は、特に環境温度という普通の外部条件下で測定される。
【0047】
LCフィルムは、常に、上述のような残留拡散を保持する。この拡散は、板ガラスの面に対して垂直な方向に制限される必要があるが、同様に、好ましくは、入射角度は比較的小さいままであり、垂直からほとんど逸脱しない。拡散は、垂直方向から逸脱するにつれて、大きくなる傾向を有する。活性状態では、本発明によれば、拡散は、好ましいことに、面に垂直な方向に対して20°までの観察角度に対し、20%未満、特に好ましくは15%未満に留まる。
【0048】
上述の通り、残留拡散は、完全に排除されなくてもよいが、光は、その一部が、板ガラスを構成する様々な要素によって吸収されるため、その知覚は、ますます煩わしさを感じなくなる。LCフィルムは、活性されるか否かに関わらず、限られた部分に関して、この吸収に寄与する。残りの吸収は、主に、ガラスシートおよびおそらくは中間層シートに起因する。
【0049】
「透明な」構成にある、電子制御された液晶の組織は、吸収に寄与するが、限定されている。さらに説明する理由により、所望の透過を実質的により少なくする必要がある場合、ガラスシートおよび中間層シートは、感知できる方法で、透過を低減させることに関与する必要がある。この場合、この吸収は、依然として非常に著しいとし得る。好ましくは、少なくとも60%以上である。当該吸収は、装置が「透明」または「拡散」状態にあるかどうかに干渉する。透明状態では、吸収は、発光およびエネルギー関連の透過を低減させることに寄与し、おそらく、板ガラスに含まれる要素のマスキングおよび残留拡散のマスキングに関与する。
【0050】
積層体を構成するために使用されるガラスシートは、原理上、同じ組成であり、および任意選択的には同じ厚さにでき、かつこれにより、2つのシートが例えば同時に曲げられる、前もっての付形を容易にし得るが、これらガラスシートは、液晶フィルムの保護の理由から、吸収に関して同じ特性を示さないことが好ましい。
【0051】
ガラスシートは、好ましくは、透過光の色が、ちょうど反射光のように、可能な限り中間色であるように、選択される。概して、板ガラスは灰色またはわずかに青みがかった色を有する。
【0052】
おそらくは存在する着色された中間層が、光の吸収に関与する。それら中間層の使用は、ガラスシートが全体的に十分な吸収性を有しない板ガラスには、予想される。この状況は、特に液晶フィルムの保護に、吸収性の弱い、外向きのガラスシートを使用するときに、直面する。
【0053】
LCフィルムを含む板ガラスに着色シートが存在することはまた、満足のいく色の表現に寄与する。通常、LCフィルムは、特に反射において、わずかに黄色い色合いを示す傾向がある。車両の乗員によって知覚されるこの見た目を避けるために、ガラスシートを、および任意選択的には、LCフィルムと車室の方に向くこのガラスシートとの間に配置された中間層シートを着色して、この黄色の色調をマスクすることが望ましい。通常、中間色の色合い、好ましくは灰色または青みがかった灰色のガラスシートが選択される。同様に、LCフィルムの上側に配置された中間層シートは、車両の外部から見られるLCフィルムに起因する色合いをマスクできる。
【0054】
ガラスシートおよび/または中間層シートの色の選択は、車室内での反射における色合いが、CIELab系(10°でD65 発光体)において、以下のような値になるようにされる。
10<L
*<55、−10<a
*<3および−10<b
*<5
および、好ましくは:
−6<a
*<0および−6<b
*<0
【0055】
本発明によるルーフは、さらに、有利には、内部反射の重要性に関する要請に応じる必要がある。後者は、LCフィルムがどのような状態にあるかに関わらず、好ましくは、15%未満、有利には10%未満である。
【0056】
審美的な理由だけでなく、安全性のためにも、ルーフは、活性状態にあるか否かにかかわらず、可視領域において過剰な外方反射を示してはいけない。好ましくは、外方反射は、20%未満、特に好ましくは15%未満である。
【0057】
製造者はまた、今回は審美的な理由のために、外側への反射が比較的中間色であること、別の言い方をすると、ルーフの見かけの色が強すぎないことが求められる。特に、紫色の色味は避けるべきである。灰色または青の色調は、車両の幅広い色味のほとんどと調和できる。
【0058】
CIELab測色データ(10°でD 65発光体)によれば、活性状態または非活性状態における外方反射での色は、好ましくは以下の制限範囲内にある。
10<L
*<60、−12<a
*<3および好ましくは−7<a
*<2
−12<b
*<5および好ましくは−2<b
*<1
【0059】
透過色も制御される必要がある。未活性状態(unactivated state)では、透過率が非常に低いと、色はほとんど知覚できない。活性状態における透過は、好ましくは以下の通りである。
15<L
*<75、−10<a
*<5および好ましくは−8<a
*<0
−10<b
*<3および好ましくは−5<b
*<3
【0060】
透過光の演色評価数は、少なくとも85、好ましくは90である。
【0061】
実際、車室内に入り込む全体的なエネルギー伝達は、特に車両の駐車時に、それゆえ、LCフィルムが活性化されていないときには、可能な限り制限されることが特に望ましい。本発明によれば、板ガラスのエネルギー伝達は、これらの条件下では、有利には、10%未満、好ましくは8%未満、または実際にはさらには5%未満である。活性状態では、エネルギー伝達は少し多いが、板ガラスの他の構成要素に起因して、制限内に留まっている。
【0062】
エネルギー伝達を適切な条件下に留めるために、既に特定した要素とは別に、本発明による板ガラスは、有利には、赤外線を選択的にフィルタリングする手段を含む。このタイプのフィルターは、特に、フィルターの選択性に寄与する誘電体薄層に関連する、銀に基づいた1層以上の金属薄層を含むものである。これら層のアセンブリは、積層体に挿入された、特にPETのキャリアシート上に配置されるか、またはガラスシート上に直接適用されるかのいずれかである。どちらの場合にも、このフィルターは、LCフィルムの上側の積層体内に置かれて、このフィルムの保護に著しく貢献する。
【0063】
選択されたこれら層の組織は、有利には、効果的なフィルターを得るためにいくつもの銀層を含みかつ色、特に反射における色の制御を可能にした組織である。これら層の、特に効果的なアセンブリは、特許出願、国際公開第2011/147875号パンフレットに説明されているようなものである。この出願では、推奨される組織は、3層の銀層および誘電体層を含み、アセンブリは、特に、銀層の厚さで選択され、観察目線が低くても、反射における色は満足いくものである。
【0064】
実際、液晶フィルムの特有の特性は、それらの温度に対する感度である。80℃を越えると、またはさらには60℃であっても、それらフィルムは、もはや、印加された電場の変化に反応しない場合がある。この障害は、温度が遥かに高いレベルに達しない限り、可逆的である。強い日射しに曝されるルーフの温度は、一層容易にこれらの値に達し、それらの構成要素はより吸収性が高くなり得る。
【0065】
それゆえ、加熱を防止するために、可能な限り早期に、入射光の経路に沿って当該赤外線フィルターを配置する努力をする。赤外線の吸収を最小限にするために、露出される第1のガラスシートは、好ましくはクリアガラスかまたはさらにはエクストラクリアガラスのものである。赤外線反射組織はまた、好ましくは、ガラスシートに直接適用される。それゆえ、反射される入射放射線は、単に、クリアガラスシートを2度通過して、温度をわずかに上昇させるだけである。
【0066】
LCフィルムの構成要素は、UVに過度に曝されることによって、劣化され得る。中間層の選択によって、この曝露を著しく制限することが可能になる。そのことは、特に、PVB中間層にも当てはまり、PVB中間層は、生来、UVに対するスクリーンを形成して、後者の非常に少ない割合のみを通過できるようにする。0.38mm厚さの標準的なPVBフィルムの場合には、UVの95%超が吸収される。この割合は、追加的な吸収剤(「PVB UVカット」)で補うことによって、99%を超え得る。UVの透過を非常に弱める構成要素を含むエチレン酢酸ビニル(EVA)に基づくポリマーも、提案される。
【0067】
車室の方に向くガラスシートはまた、例外的に、クリアガラス製とし得る。これは、ほとんどの場合、吸収性であり、およびエネルギー伝達を全体的に低下させることに寄与する。その伝達が制限されるとき、板ガラス中に存在する非透明性要素が、乗員の視界から少なくとも部分的にマスクされるようにできる。そのことは、例えば活性化されていないときのダイオード自体だけでなく、板ガラス中に組み込まれかつその全面にわたって均一に延在していない任意の要素にも当てはまる。
【0068】
好ましくは、車室の内部の方に向くガラスシートは、強い吸収性を有する。ダイオードが発した光は、部分的に、吸収される。好ましくは、ダイオードが発し、板ガラスにおいて吸収される光は、好ましくは、50%以下、好ましくは40%以下である。
【0069】
読書灯を形成するためには、発した光は、板ガラスを通過することによる変更とは無関係に、好ましくは白色であるか、または非常にわずかに色付けられている。照明を特徴付けるCIE 1931系の(x,y)色座標は、一方ではダイオードの放射だけでなく、他方では、中間層および車室の方に向くガラスシートの透過も考慮して、有利には、座標:(0,2600;0,3450)、(0,4000;0,4000)、(0,4500;0,4000)、(0,3150;0,2900)、(0,2350;0,2000)を有する点によって規定される外周(この外周は、いわゆる冷たい光および暖かい光の双方を含む)で表わされ、および好ましくは、より正確に非常に弱く着色された光を目的としている座標で点によって規定される外周で表わされるようにされる。
【0070】
一般的に、本発明によるルーフの生産に関し、板ガラスの付形および組み立てに使用される処理に耐える構成要素の能力を心に留めることが推奨される。車両のルーフの湾曲は、一般的に、おそらくはこれらの板ガラスの縁部を除いて、比較的強められていない。ミネラルガラスシートの付形は、少なくともそれらの一方に関し、およびほとんどの場合、双方に関し、ガラスの軟化を引き起こす高温(650〜700℃)に曝す必要のある処理を含む。
【0071】
代替例では、比較的厚い曲がったシートを薄い厚さの平面シートと組ませて、この平面シートを厚いシートの湾曲に沿って機械的に進めて、合わせガラスの形成に取り組むことにある。特にガラスシートによって耐えることができる応力ゆえに、必要な湾曲が比較的適度に留まる場合にのみ、この技術を実行することが想定される。このタイプのアセンブリは、例えば特許出願BE2011/0415号明細書(2011年7月4日出願)またはさらには特許出願BE2012/0036号明細書(2012年1月16日出願)に説明されているようなものである。このタイプのアセンブリの場合、これら層の組織は、比較的脆弱なときでも、平面的なシート上に配置されることを条件に、熱処理の温度にのみ曝され、積層体のアセンブリを完了する。
【0072】
このアセンブリモードでは、平面的なガラスシートは、学的に強化されたガラスシートが有利である。
【0073】
実際、LCフィルムは、温度上昇に対する感度を有するが、これらフィルムを積層体へ組み立てるための熱処理は、これらフィルムを損傷させない。当該処理は、通常、最大でも120℃での、圧力下での熱処理である。
【0074】
本発明人らには、合わせガラス中へのLCフィルムの組み立ては、残留拡散に関連した変更を導入することが多いことが明らかである。正確に研究された仕組みを用いなくても、フィルム単独での観察では、積層体中の残留ヘーズの減少に気づく。この限定的な減少は、おそらく、外面の状態の変化と関係がある。この外面は、フィルム単独では、電極の壁(通常PETフィルム)からなる。一方、積層体製品では、外面は、粗さが遥かに低減されたガラスシートである。
【0075】
積層体中へのLCフィルムの挿入は、好ましくは、1つまたは複数の中間層シートに収容されるハウジングを取り付けることによって、容易にされる。
【0076】
ダイオードの導入条件は、液晶フィルムの場合のように、高温または機械的応力に対してこれらダイオードが比較的脆弱であることを考慮する必要がある。ダイオードの性質は、通常、非常に長期間にわたっておよび/または攻撃的な化学的環境条件下に置かれないことを条件として、アセンブリ温度に耐えることを可能にする。それにもかかわらず、当該温度は、ダイオードとそれらの電力供給回路との間の接続を形成するために使用される材料の選択に関して取られるべき、いくつかの事前の対策を必要とする。この接続は、特に伝導性接着剤によって形成されるとき、熱に対する感度を有する。はんだを使用することによって、必要がある場合には、より高い温度に耐えることができる。
【0077】
機械的応力は、主に、アセンブリから生じる圧力の結果である。これらの圧力の影響を最小限にするために、ダイオードを、過度の力のない状態で、中間層の材料に挿入するように配置することが必要である。
【0078】
第1の条件は、ダイオードを挿入できるようにするために、中間層が十分に厚いことを保証することである。
【0079】
従来のダイオードは、それらのパッケージングでは、通常、高さ1.5mm未満、ほとんどの場合1mm未満、またはさらには高さ0.7mm未満である。当該高さは、使用される従来の中間層の厚さに完全に匹敵する。例示として、厚さ0.76mmおよび0.38mmのPVBシートが市販されている。さらに、これらの合わせガラスにおいて、必要に応じて複数の中間層を関連付けることが通例である。本発明によれば、それゆえ、中間層の厚さは、ダイオードの高さに少なくとも等しい。追加的な事前の対策として、ダイオードを包み込むことを目的とした中間層の厚さは、ダイオードの高さよりも大きい、例えばこの高さの1.5倍以上である一方、板ガラスの全厚を不必要に増さないようにするために、必要とされる厚さにすぎないように、選択される。
【0080】
ダイオードの機械的抵抗力、およびこれらダイオードの電力供給回路への接続の機械的抵抗力はなおさらのこと、アセンブリの最中に、これらダイオードを中間層の材料に挿入できるようにする必要がある。従来のセラミックパッケージングは強い抵抗性を示す。中間層材料は、通例、熱処理の最中に十分に軟化され、単に圧力を加えることによって、ダイオードが挿入されるようにできる。
【0081】
上述のプロセスは、あまり一般的ではないプロセスで置き換えてもよく、このあまり一般的ではないプロセスでは、ひとたび様々な要素が適所に置かれたら、中間層の形成は、室温で、流体の形態で材料を適用し、その後、例えば架橋によって硬化させて、行う。
【0082】
これらダイオードの電力供給回路は、様々な方法で形成され得る。それらのうちの1つは、細いワイヤーを使用することにあり、これらワイヤーを、有利には、欧州特許第1 979 160号明細書に説明されているように、ダイオードを備える中間層中へと挿入する。これらの非常に細いワイヤーの存在は、板ガラスが体系的に低視感透過率を有する場合には、実際には、知覚できない。この実施形態での主な困難は、中間層中にダイオードを配置することである。
【0083】
本発明によれば、電力供給回路およびダイオードを、中間層材料とは異なるキャリア上に配置することが好ましい。積層体のガラスシートの一方のシートの問題であるとし得るが、これは、このシートが、曲げに使用されるタイプの熱処理を受ける必要がないことを条件とする。前に進める方法は、例えば、導電層で被覆されたシートを曲げることにある。この層では、電力供給回路が、曲げが行われる前または行われた後に、形成される。ひとたびシートが曲げられたら、ダイオードは、電力供給回路上の適切な箇所に配置される。しかしながら、湾曲した基板にダイオードを取り付けることは、自動化することが依然として困難な作業である。
【0084】
比較的厚みのある曲がったシートと、厚いシートの湾曲に沿って機械的に進むようにされた厚さの薄い平面シートとを結び付ける、合わせガラスの形成を実施することにある、上記で説明した代替例は、湾曲したシートにダイオードを配置する必要がある困難を回避する。この技術の実施は、平面シートに課された湾曲が、応力に耐えながら比較的目立たない状態を維持していることを仮定してのみ、予想される。
【0085】
ダイオードに、可能な限り強い照明をもたらすようにするために、ダイオードは、車室の方に向くガラスシートに可能な限り近くにある必要がある。ダイオードを支える比較的薄い平面シートが予想される場合には、これらダイオードは、必然的に、凸面に置かれる。この位置では、ダイオードに給電する導電性の給電層は、引張応力に耐える。これは、湾曲が小さいままでありかつ応力が制限されているため、特定の困難を全く引き起こさない。それにもかかわらず、1つの特殊性は、使用されるダイオードのタイプの結果である。具体的には、ガラスシートで構成されたダイオードのキャリアに対応する側面から離れるように光束を方向付ける必要がある。この場合、使用されるダイオードは、必然的に、「リバース」タイプである。
【0086】
上述のアセンブリのモードでは、電力供給回路を形作るのに役立つ導電層は、薄いシート上に形成される。当該ガラスシートの厚さが非常に薄い(例えば厚さ0.8mm、またはさらには約0.4mm)ときには、層を適用することは簡単ではない。これらの層を構成するために従来使用される技術は、特に層の適用段階でシートの平面性を適切に制御することが困難であるため、欠陥を引き起こす。
【0087】
ダイオードが予め取り付けられる、サイズが大きい比較的薄いシートを取り扱うことが困難であることを考えると、異なる方法で進めることが可能である。問題は、積層体中へ、実際のガラスシートおよび中間層自体とは無関係な要素を挿入する点にある。この態様では、回路およびダイオードは、積層体中に挿入される薄いキャリア要素上に、配置される。このキャリア要素は、ルーフの領域に対して比較的サイズが小さいとし得る。キャリア要素のサイズは、有利には、ダイオードを適切に配置するのに必要であるように制限されている。読書灯に関し、例えばキャリアの領域は、数平方デシメートル以下に制限され得る。
【0088】
キャリアは、有利には、軟質ポリマーシートによって形成され得る。当該シートの変形に対する抵抗力は、有利には、それらを中間層材料へ挿入する最中、ダイオードの向きを維持するのに十分な高さである。シートは、いくつもの重ね合わせた材料で構成され得る。特に、ポリエチレングリコールテレフタレート(PET)のシート、または同様の、導電回路用のキャリアの機能を果たすものを含み得る。導電層の組織で被覆されるこのタイプのシートは、市販されている。これらのポリマー要素に関し、ダイオードの取り付けは、顕著に温度上昇しない場合にのみ行われ得る。なぜなら、高温での当該材料の脆性のためである。ダイオードは、例えば、伝導性接着剤によって適所に取り付けられる。PETシートは、引張りに対して非常に抵抗力を有するが、非常に軟質である。それゆえ、これらシートは、有利には、ダイオードを簡単に正しく位置決めできるようにするために、あまり簡単に撓むように変形できない材料で作製されたシートを連想する。
【0089】
回路およびダイオードを保持するキャリア要素はまた、有利には、薄いガラスプレートから形成され得る。寸法の制限があり得ることを考えて、プレートは、特に厚さが薄い、例えば0.5mm以下とし得る。そのような薄い厚さのシートは、積層体ルーフの湾曲に適合するように簡単に変形可能であるという利点がある。曲げに対する抵抗力を改善するために、これらのシートは、化学的に強化されることが有利である。さらに、ガラス製の要素は、回路にダイオードを締結するためにはんだを使用することに匹敵する温度に耐えることができる。
【0090】
上述の挿入された当該キャリアは、本質的に透明材料である。これらは、実質的にルーフの視感透過率特性の変更を生じない。これらのキャリアの寸法があまり大きくないため、および非透明部分を有することを容認できることを仮定して、PCB(「プリント回路基板」)タイプの電子回路の構造において、伝統的な材料を使用することが可能となり、これらの製品は、非常に安価であるという利点を有する。
【0091】
ダイオードキャリアの挿入は、好ましくは、1つ以上の中間層シートにハウジングを作ることによって、容易になる。この態様は、従来、様々な要素、特に太陽電池を、合わせガラスに、およびさらには欧州特許第1 171 294号明細書で説明されているように、ルーフに挿入するために、使用されている。
【0092】
電力供給回路の構成は、いくつもの条件を満たす必要がある。第1に、均一な透明性を最良に保持するために好ましいように、透明なダイオードキャリアを使用する場合には、電力供給回路自体が、好ましくは、視感透過率の実質的な変更を生じないか、または、より正確には、その存在が、実際に視覚的に気づきにくい状態にあるようなものである。この場合、この回路は、例えば、本質的に透明な導電性コーティングで構成される。しかしながら、非常に細いワイヤーも使用され得る。
【0093】
透明な回路に関し、有利には、いわゆる「TCO」(「薄い導電性酸化物」)タイプの、または少なくとも1層の金属層を含む組織の導電性の薄層が使用される。これらの導電層は、非常に薄く、および特に太陽電池分野などの多くの分野で使用される。そのような酸化物層の導電率は、金属層よりも低く、これは、通常、それらの厚さが実質的に厚い必要があることを意味する。あらゆる場合において、数十ナノメートルの厚さでも、視感透過率に対する影響が限られても、板ガラス自体の全体的な透過が非常に弱いので、煩わしくない。
【0094】
導電層の選択ではまた、それらの電気特性を考慮する必要がある。導電性酸化物層は、通常、導電率が比較的低い、または換言すると、無視できない抵抗を有する。導電性酸化物層の抵抗は、例えば約10Ω/□以上である。金属層を含む組織の抵抗は、1〜5Ω/□程度と低いが、ある程度の脆性を有し、これは、それらの品質にも関わらず、導電性酸化物層が好ましい状態に維持されることを意味する。
【0095】
実際、ダイオードに給電するときのジュール効果があまり影響を与えないようにするために、層の固有抵抗を十分に低いレベルに維持することが重要である。ダイオードに関しては、抵抗に比例してさらに加熱を強めることは、導電層によって占有される領域全体にわたる生成された熱の分配を意味するとしても、避ける必要がある。
【0096】
ダイオードに給電するために使用される電気回路は、従来の方法で導電層で形成される。薄いガラスプレートからなるキャリアでは、従来の態様は、例えば、事前に均一にキャリアを覆っている層を切り取ることにある。この切り取りは、有利には、レーザアブレーションによって実施される。PETのものなどの薄膜からなるキャリアでは、回路は、好ましくは、印刷技術を使用して形成される。
【0097】
車両にガラス張りのルーフを配置することは、少なくとも一部には、実際に等しく美的でありかつ機能的であることを目的としている。このため、これらのルーフに関連付けられた全ての手段が、この目的の達成に寄与することが好ましい。照明手段がルーフに含まれて存在することは、必然的に、これらの手段に対する特有の電源および制御装置を伴う必要がある。
【0098】
ダイオードは、特定の電圧を必要とする。上述の通り、この電圧は、約数ボルト(ほとんどの場合2〜4V)である。必然的に、車両の他の部材に給電する電圧を調整する手段を含む必要があり、この電圧は、乗用車を扱うかまたは大きなユーティリティ・ビークルを扱うかに依存して、12〜14V程度であるか、または48V程度である。変圧手段は、小型化されていても、板ガラスの積層体内には取り付けることはできない。機能に寄与する全ての要素を一緒に保持する必要性に関して、必要な1つまたは複数の変圧器は、板ガラスの近くに配置され得る。好都合にも、変圧器は、板ガラスの縁部をマスクするエナメルゾーンの下側に配置される。
【0099】
照明は、単純なスイッチによって制御され得る。伝統的な態様では、スイッチは、照明手段のすぐ近くに置かれるため、複雑な回路を回避し、かつ作動された手段の識別を容易にする。従来のスイッチは、ガラス張りのルーフの選択に起因する透明性に関する要望に応えていない。
【0100】
本発明は、同様に本質的に透明であるダイオードを制御する手段の使用を提案する。このために、本発明は、スイッチを使用することを提案し、スイッチの動作は、電気量に関連付けられたパルスによって作動されるリレーによって、トリガーされる。好ましくは、使用されるスイッチは容量性スイッチである。この態様は、ダイオードを備えるルーフに含まれる要素の実際の構造を最適にする。
【0101】
センサーは、好ましくは、直接的な接触がない。この場合、センサーは、板ガラスの内部に配置される。好都合にも、センサーは、ダイオードの電力供給回路が形成される導電層に組み込まれる。このセンサーは、例えば、ダイオードの電力供給回路とは無関係に画成されたゾーンからなる。そこで、静電容量の変化が、手を板ガラス内の電極の箇所の方へ動かすことによる電場の変化によって、間接的に引き起こされる。ガラスシートを介在させることにより、誘発された変化を制限し、その結果、検出閾値が低くされ、おそらく、寄生トリガリング(parasitic triggering)に対する感度を高める。
【0102】
感度レベルを設定するときに、スイッチがトリガーを行う閾値が、例えば、外側ガラスシート上に水が存在することに対応する場合の閾値よりも確実に高くすることを、特に推奨する。液晶フィルムの上側に配置されかつ板ガラス全体を覆う赤外線反射組織は、これらの寄生トリガリングを妨ぎかつ接地されると一層効果的であるスクリーンを構成する。
【0103】
液晶フィルムに給電するAC電流供給は、ダイオードの機能を遥かに低下させる寄生信号も引き起こしがちでもある。ダイオードの給電の方に向く液晶フィルムの導電層の接地は、この寄生的な機能を回避することを可能にする。
【0104】
実施形態では、ダイオードに給電する導電回路が、ルーフにおいてほとんど知覚できないことまたは全く知覚できないことが好ましい。上述の通り、導電層に容量センサーを構成する場合、導電層は、簡単には識別できない。使用者が触知性手段を使用してこの「スイッチ」の位置を簡単に決めることができるようにすることが可能である。ルーフの内側面の表面に、特にフレスネルレンズタイプの隆起した手段であるが、単純な艶消しのオーバーレイの存在で、十分とし得る。車両の接触が作動されるとすぐに永久的に非常に弱い電力が給電されるダイオードを追加することによって、または、読書灯を非常に低い動作レベルで動作したままにしている間に同様の方法で、光学的にセンサーを配置することも可能である。
【0105】
ダイオードの電源を入れることが、有利には、板ガラスに組み込まれた容量性スイッチによって制御される場合、同じことがLCフィルムの制御にも当てはまる。平易化によるこの制御は、有利には、照明の制御と同様の方法で板ガラスに導入される。別の言い方をすると、容量センサーの電極は、同様に透明のキャリアに適用される透明導電層に形成される。この導電層から給電される照明ダイオードがない限りにおいて、導電層に規定されるパターンは比較的単純であることは言うまでもない。任意選択的に、単に照明のスイッチに関しては、このスイッチの位置を知らせる信号を送る要素を配置することが可能であり、これは、そうでなければ、識別が困難であるからである。好ましい態様は、電極を構成する導電層から同様に給電される位置決めダイオードが存在することによることからなる。このダイオードは、その役割を有していて、低電力である。
【0106】
本発明を、図面に示す例を参照して、詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1の要素のアセンブリは、本発明による例示的な実施形態を構成する。要素は、組み立て前の要素として示されている。この図では、シートの湾曲は、明瞭にするために、示されていない。実際、ガラス張りのまたはそうでないルーフは、通常、その「設計」、空気力学、および隣接する要素間の良好な表面連続性に対応する「平らな」外観のために選択された接合部用のボディシェルに固定される縁部で、湾曲がより強められている。
【0109】
図1に概略的に示す板ガラスは、2枚のガラスシート、外側ガラスシート1、および内側ガラスシート2を含む。上述の理由から、シート1は、好ましくは、そのエネルギー吸収を最小限にするために、クリア、またはさらにはエクストラクリアなガラスである。逆に、内側シートは、好ましくは、強く着色されている。内側シートは、液晶フィルムがその透明な状態にあるとき、避けられない残留ヘーズが認識されるのを弱めるために、視感透過率を制限することに関与する。
【0110】
図1の例では、シート1は、赤外線反射層のアセンブリ11のキャリアである。このIRフィルターの効果を上げるために、国際公開第2011/147875号パンフレットに説明されているような、2層またはさらには3層の銀層を含む、銀層と誘電体層との積層体が好ましい。
【0111】
強く着色されたシート2には、例えば、特許、FR2738238号明細書、または特許、欧州特許第1680371号明細書に記載されているような灰色のガラス、または欧州特許第887320号明細書に記載されているような緑の色調の灰色のガラス、または欧州特許第1140718号明細書に記載されているような青の色調の灰色のガラスが使用される。
【0112】
図1には、板ガラスの縁部をマスクするために従来使用されているエナメルパターンのないガラスシートが示されている。このタイプのエナメルは、例えば、シート1の内側面、それゆえ位置2に配置され、接着接合部を全て隠し、かつ板ガラスの縁部に接続部を局所化し得る。マスキングエナメルはまた、位置4に、換言すると、車室の内部に露出する板ガラスの面に配置され得る。位置2および位置4にマスクを配置することも可能である。
【0113】
本発明による板ガラスは、少なくとも2つの異なる機能要素、一方では液晶フィルム3、および他方では、照明ダイオードを含む少なくとも1つのアセンブリ4を含む。このアセンブリは、提示する形態では、複数の発光ダイオード用の電力供給回路を形成する導電層を支えるキャリア上に構成される。
【0114】
中間層材料のシートも存在する。これらのシートは、一般的役割は様々な構成要素を組み立てることであるが、ある種の特性を示す。
【0115】
シート9は、板ガラスの縁部まで延在しない液晶フィルム3用のフレームを構成する。フレームは、あつらえたように適合して、フィルムの寸法に対応する。このフレームは、当該結晶を含む敏感な材料を、板ガラスの外部の媒質、特に湿分との接触から保護する。このフレーム9の厚さは、フィルム自体の厚さと同一でなくとも、同様程度であるため、合わせガラスへフィルム3が挿入されていても、層間剥離を引き起こす恐れのある局所的な層厚差を、全く生じない。
【0116】
シート10は、一定の厚さであるとき、ダイオードを担持するアセンブリ4が挿入されるハウジングを設けた状態で配置される。図は、板ガラスの構成を可能な限り単純に示すために、単一のアセンブリ4を示す。実際、読書灯を構成する手段に関し、いくつかの類似のアセンブリが車両のルーフに分布される。
【0117】
図示の例では、ダイオード14のキャリアは、クリアなガラスプレート4(例えば厚さ0.45mm)からなる。ダイオード14は、導電性酸化物層15(
図2)に構成される電力供給回路に溶接されるかまたは接着される。ガラスプレート4上でのダイオードの高さは、例えば0.86mmである。
【0118】
中間層シート5は、有利には、UVスクリーンの役割のために選択されたシートである。例えば、抗UV特異的PVBである。さらに、ガラスシート1は、有利にはクリアガラスであり、外側から見える板ガラスの色は、中間層シート5の色によって決定され得る。特に、ルーフの色と、ボディシェルの残りの部分の色とを調和させるように中間層を選択することが可能である。
【0119】
液晶フィルムの構造は、最も一般的には、
図3に示すタイプである。電場の印加を可能にする2つの電極13が両側面に配置される液晶機能層12を含む。電極13は、有利には、軟質キャリア、例えば、導電性の透明な薄層33で覆われたPET32の薄いシートからなる。これらの層は、例えばITO(「インジウムスズ酸化物」)のものである。
【0120】
PVBなどの伝統的な材料で作製された熱可塑性材料5および6のシートは、液晶フィルム3の表面全体を接着できるようにし、そのフィルムのPET面には、PET単独では接着が可能ではない、要素の相互接着を保証する材料の存在が要求される。
【0121】
全ての中間層シートは、可視スペクトルに対してある程度の透明性を示すが、この例では、シート5および/または6は、色付きガラスシートに起因する吸収と共同して、板ガラスの全体の透過性をもたらすために、強く色付けされている。通常の色付きのPVBでは、伝統的な厚さの単一シートによる吸収では不十分とし得る。これは、この例において2枚のシートが色付きPVBで作製されている理由である。他の構成では、より厚みのあるまたはより強く色付けられたシートであれば、単一シート、好ましくはシート5で十分である。
【0122】
中間層の性質は、板ガラスの特性に干渉し得る。それらの化学組成は、不要な反応を引き起こし得る。例えば、いくつかの中間層、例えば最も一般的にはPVBの可塑剤は、特に熱の影響下で移動し得ることが知られている。この状況は、例えば、フレーム9を形成する中間層の材料と接触するLCフィルム3の縁部で生じ得る。フレーム9からフィルム3の方への可塑剤の移動は、局所的なヘーズを出現させ得る。この非審美的なヘーズは、エナメルバンド21によってマスクされ得る。それにもかかわらず、接触を回避する手段を使用することによって、この欠陥の出現を防止することが可能である。これは、例えば、フィルム3の縁部に、PETの薄膜からなるバリアを置くことによって、得られる。別の手段は、フレーム9として、移動する傾向のある製品、特にEVA(エチレン酢酸ビニル)タイプの製品を持っていない中間層のみを使用することにある。
【0123】
別の機構は、板ガラスの光学的品質を損なう傾向を有する。出願、国際公開第2009/050195号パンフレットに詳細に説明されているように、イオン、特にアルカリイオンを含むPVBタイプの製品は、導電性回路と接触すると茶色に色付けられ得る。さらに、この弊害は、当該層の導電率の変更を伴い得る。上述の公報は、これらの弊害が、ある含量の一価イオンの存在、特にPVBタイプのある種の材料中に存在する残留アルカリイオンから生じることを証明している。これらの欠点を避けるために、寸法の大きい、それゆえ、あまり移動しないイオンを含む中間層の使用が提案される。
【0124】
このため、これらの特徴に適合する材料において、ダイオード14に給電する導電層15と接触する中間層シート7を使用することが好ましい。例示のために、そのような材料は、株式会社クラレから名称TROSIFOL Solarで市販されている。
【0125】
様々な中間層の厚さは、好ましくは、板ガラスの厚さ、それゆえ重量を不必要に増さないようにするために、必要なだけに厳密に限定される。それゆえ、中間層シートは、ダイオード14の包み込みを目的としたものを除いて、最も薄く、すなわち既製で入手可能なものでは0.38mmである。アセンブリプロセスの過程で軟化される中間層へダイオードを確実に良好に組み込めることを保証するために、ダイオードに対面する1つまたは複数の中間層は、それらのキャリア上のダイオードの高さに少なくとも等しい厚さを提供する必要がある。事前の対策として、わずかに厚みのある中間層が使用される。これは、0.8〜1.5mm程度のキャリアシート4上のダイオードの高さに関して、厚さが合計で1.14+0.76mm、すなわち2mm近くになる2つの中間層7および8が使用される理由である。
【0126】
アセンブリの最中、真空下で熱処理を受ける中間層シートは、互いにおよびガラスおよびPETシートにくっつく。真空が維持されることによって、捕捉され得る気泡を、排出することを可能にする。
【0127】
例では、ガラスシート1および2は、それぞれ厚さ1.6mmおよび2.1mmである。組み立てられた板ガラスの全厚は7.54mmである。
【0128】
シート1は、光学特性が、厚さ4mm未満、および発光体A:
TL A4 90%;TE4 86%
のクリアガラスで作製される。シート2は、特性が以下の通りである灰色のガラスで作製される:
TL A4 17%;TE4 15%;λ
D 490nm;P 1.8
(ここで、λ
Dは主波長であり、およびPは刺激純度である)。
【0129】
位置2に赤外線反射層、および灰色のPVBの何枚かの中間層シートを含む、組み立てられた板ガラスは、以下の光学特性を示す:
− 液晶フィルムは、未活性状態にある
TL A 3.1%;TE 1.4%;λ
D 586nm;P 5.7;および演色評価数(D65 EN 410) 96。
CIELab座標では、透過におけるこの色合いは:
L
*20.5、a
*0.7、b
*1.3
によって特徴づけられる。外方反射では、反射率は12.2%で確立され、および色座標は、
L
*41.6、a
*−3.0、b
*−4.0
であり、
車両内部での反射は4.3%である;
− 液晶フィルムは、65Vおよび50Hz下で活性状態にあり、
TL A 6.0%;TE 3.0%;λ
D 555nm;P 4.0;および演色評価数(D65 EN 410) 93。
CIELab座標では、透過における色合いは:
L
*29.3、a
*1.7、b
*−1.9
である。外方反射では、反射率は12.2%で確立され、および色座標は、
L
*41.6、a
*−3.3、b
*−3.5
であり、
車両内部での反射は4.3%である。
【0130】
図2は、アセンブリ後の
図1の板ガラスを概略的な部分的な断面図で示す。特に外部から、下にあるLCフィルムの境界を隠す、不透明の黒色エナメルバンド21が追加されている。このようにして、板ガラスの外観は、ダイオードを支える挿入された要素4を除いて、ある種の均一性を示す。挿入されるPVB中間層とは屈折率がわずかに異なるガラス製のキャリアプレート4の使用は、完全にはマスクされないが、非常に吸収性の高いシート2があるために、ほとんど見えない状態にある。
【0131】
図4は、ITO導電層15で覆われたガラスプレート4からなるキャリア上でのダイオード14の配置を概略的に示す。
【0132】
導電層15は切り取られて、ダイオード14の電力供給回路を構成する。これらダイオードは、この層に接着される。これらダイオードは、限定領域内に制限されることによって、十分なパワーの集中ビームを獲得するようにする。導電性回路は、電力供給電極を分離するように構成され、各ダイオードは、2つの電極のそれぞれに直接リンクされるかまたはリンクされない。ダイオードは、直列にまたは並列に、または
図5に示すように直列を構成するサブセットに装着され得る。直列装着の利点は、電力供給回路を単純にすることである。明らかな欠点は、ダイオードの故障のリスクであり、これは、直列装着のアセンブリの故障を引き起こす。
【0133】
例えば
図5に、概略的な回路を示す。上方から見ると、プレート4は、プレートのほとんどに適用される導電層を含む。この層は分割されて、ダイオード14の電力供給回路を構成する。この層は、2つの対称的な部分で構成され、これら部分は、ジュール加熱によってこの層に生じた熱を可能な限り分散させるために、大きな領域を保持する。これらの導体の面の寸法はまた、ダイオード14のそれぞれに実質的に同一の供給電流を保証するように決定される。各部分は、4個のダイオードに給電し、およびそれ自体は、電力供給電極(+,−)にそれぞれ対応する2つ(28および29)に分割される。4個の直列に装着されたダイオード14は、それぞれ、2つの電極にリンクされる。
【0134】
回路を形成するために、層15は、最初に、ガラスシート4の全面にわたって均一に延在させる。この場合、いくつかの縁部は、任意選択的に被覆されていない。この層にある様々なゾーンは、例えば、よく知られている従来の方法を使用したレーザによるアブレーションによりこの層に印をつけられた線21によって、分離される。アブレーションの幅は、ゾーンが互いに電気的に良好に絶縁されることを保証するのに必要な幅に制限される。
【0135】
ダイオードは、作動中に生じた熱を可能な限り最良に分配するように、分配される。ダイオードは、結果として生じる発光(luminous emission)を閉じ込めるのに必要な、限定された距離だけ、互いに離間される。この例では、ダイオードは、6×12cmの矩形に配置される。
【0136】
例として、導電層は、抵抗が10Ω/□のインジウムスズ酸化物(ITO)の層である。ITO層は、特にその無彩色性(color neutrality)ゆえに、有利である。特に、透過における外観には実質的に影響を及ぼさない。
【0137】
図5はまた、互いに入れ子状になりかつ導体25、26にリンクされた2つの要素を含む電極30を示す。電極およびその導体はまた、ダイオードの電力供給回路のように、切り取られた導電層で作製されている。この電極30は、ダイオードのスイッチを制御する容量可変タイプの回路でのアセンブリにリンクされる。電極の充電時間は、その静電容量に依存し、静電容量はそれ自体が、直ぐ近くに配置されかつ電磁場を変更する導電性要素に依存して、変化する。それゆえ、この方向の操作者の動きは、ダイオードのスイッチリレーをトリガーする。必要がある場合には、回路はまた、公知の通り、様々な強さの照明のために異なる電力レベルを給電可能にする調光器を含んでもよく、各パルスは、1つのレベルから別のレベルへの変化を引き起こす。
【0138】
寄生トリガリングを制限するために、電極30を装置(図示せず)に接続するための導体25および26の表面領域は、電極自体の近傍では可能な限り小さくしてある。赤外線反射フィルム11は、車両の外部からの容量センサーのトリガリングを防止するスクリーンを構成する。このスクリーンは、LCフィルムの制御電極によって構成されるものに追加される。
【0139】
図示の例のガラスプレート4は、さらに、制御電極の位置を示す役割を果たすダイオード22を含む。このダイオードは、読書灯のダイオードと比較すると、電力が非常に低いものである。これは、例えば読書灯のダイオードが点灯されないときに、動作する。ダイオード22はまた、導電層15において切り取られる導体23、24によって給電される。
【0140】
読書灯に適合する条件は、例えば、所与の十分な照明を、表面上に、設定距離で、与えることである。一例では、ルーフと照明される表面との間の距離は、0.6mであり、照明される表面は、半径0.25mの円に固定される。この表面に必要とされる最小限の照明は、例えば55ルクスである。
【0141】
当該例では、使用されるダイオードは、日亜からのNS2W150Aダイオードである。「冷白色」の光を生じる平均的なパワーのダイオードの問題である。これらダイオードは、3.2Vの電圧で、およびそれぞれ25mAの電流で給電される。
【0142】
製造者によって与えられる光度は、0.150Aの電流に対し17.4cdである。当該範囲では、光度は、電流にほぼ比例すると推定され得る。それゆえ、ダイオードに対して垂直な方向に沿ったこの光度は、約2.9cdとなる。この光度は、
図6のグラフに示されるように、考慮される方向に従って変化する。それゆえ、上述の条件下で望まれる、被照明ゾーンにほぼ対応するように、垂直方向の両側で23°の角度で、光束の方向を変更する光学的な手段がなくても、ダイオードによって発せられる光度は、約10.45cdである。積層体にダイオードを挿入する影響、および特に反射、およびビームの経路に沿った光吸収を考慮することが必要である。最終的には、必要な照明を達成するために、このタイプの約8個のダイオードが、読書灯を形成するために必要である。
【0143】
パワーが限られた複数のダイオードの使用はまた、局所加熱を制御することは別として、ダイオードを直接観察することから生じ得る眩しさを低減させる。この効果は、さらに、光ビームのある程度の散乱を促すことによって、例えばダイオードに対応する箇所における内側シートを艶消しにすることによって、最小限にし得る。
【0144】
ダイオードが発した光束は、
図8のグラフに示されかつ全体的に参照符号Nを付した境界線で表わされる色座標によって特徴づけられる。製造者によって提供されるような範囲は、使用者の選択に残された異なる種類に対応する複数の部分にさらに分割される。製造者は、必要がある場合には、これらの分割部分のうちのただ1つの部分に全て配置されるように、予めダイオードを選択することを提案する。色を狭めることのできるこの選択は、これに関連したコストが追加的にかかる。同じグラフは、本発明による好ましい色に対応する外周Pを示している。ダイオードの色を大部分カバーするこの色はまた、ダイオードと車室との間に置かれるガラスシートへのインシデンス、および任意選択的には、中間層が着色される場合には中間層へのインシデンスを考慮することに留意されたい。
【0145】
先の例では、ダイオードは、「冷白色」とみなされるわずかに青みがかった白色光の光束を発する。「暖かい」光が好ましい場合、NS2L150Aと呼ばれる日亜製品などの同じタイプの製品が選択され得る。これらのダイオードのスペクトルは、Mを付した外周に対応する。
【0146】
上述の通り、よりパワフルなダイオードが任意選択的に使用されるが、追加的なコストとは別に、それらは、寿命が短いという欠点を有する。
【0147】
積層体に8個のダイオードを配置することによって、破壊的な加熱を生じることはない。25℃の環境温度における動きのない環境での連続的に動作する場合には、実質的に水平方向の位置に配置されている板ガラスでは、温度は約35℃に上昇する。これらの温度は、ダイオードも、板ガラスの構成要素も劣化させない。
【0148】
集中手段がなくても、選択されたダイオードが発した光束は、
図6のグラフに示すように分配される。このグラフでは、光度のスケールは、水平軸上にある。同心の半円は、垂直方向に配置される最大強度の0〜100%の強度の割合を表している。強度は、グラフから、方向に対応する直線が円Cと交差する点において、読み取られる。光度は、光源に対する垂直方向に対して角度が増すにつれて、急速に低下する。角度60°では、もはや、およそ半分以下である。この光度分布は、照明することが望まれるこの領域外で、一定のルミノシティが煩わしくない場合には、満足であるとし得る。逆が真であると仮定すると、光ビームを制限することが推奨される。
【0149】
図2と類似の
図7は、板ガラスから出る光束を概略的に示す。ダイオード14が発する光束は、広開口ビームとして分布される。ダイオードのパッケージングの一部を形成する反射器以外の装置を用いずに、初期光束は、原点においてある角度にわたって生じる。換言すると、この初期光束は、ダイオードのパッケージングの構成に依存して180°程度の大きさとしてもよくかつ通常120°以上で、中間層材料およびシート2において、生じる。これは、角度α
1で表わされる。
【0150】
ビームを制限したいとき、追加的な措置が必要とされる。
図7は、ダイオードに面する板ガラスの面4上でのフレスネルレンズ31の使用を概略的に示す。このようにして、ビーム角はα
2まで小さくされる。
【0151】
より小さなビーム角のビームを生じることができる別のモードは、ダイアフラムを使用して、光束を、所望の方向に向けられた部分へ制限することにある。ダイアフラムは、車室の方に向いているガラスシート2の面に適用された不透明のエナメルパターン32からなってもよい。この配置構成は、各ダイオードに個別に適用される必要がある。それゆえ、ダイオード、および不透明のエナメル層にあるアパーチャのそれぞれの位置が、厳密に確立されていることが必要である。
【0152】
図6のグラフは、ダイアフラムを用いてビームを制限するこの方法の一例の効果を示す。ダイアフラムは、アパーチャを規定する2つの矢印によって表わされる。エナメル32は、光源から3mmに配置され、これは、ダイオードと同じサイズである、すなわちサイズが約2.5mmである。エナメルのないアパーチャは、0.5mmである。この構成では、ビーム角は48°である。
【0153】
本発明によるガラス張りのルーフは、有利には、いくつかの機能を組み合わせる。機能の中でも、上述の通り、照明するためにガラス張りのルーフを使用するだけでなく、視感透過率を制御して変化させることができるようにする手段を提供することが有利であり、これは、この変化が同時に発生するか否かに関わらない。
【0154】
LCフィルムの使用によって、2つの異なる状態間、透明状態と拡散状態との間で透過の方法を変更することが可能になる。電場を印加せずに、板ガラスは、拡散し、かつ求められる「プライバシー」の側面を確実にする。LCフィルムの2つの状態間での視感透過率の目に見える変化はまた、この側面に加わるが、制限は残る。
【0155】
板ガラスの構造はまた、全て使用モードにあるとき、眩しさのない側面を与えるようなものである。
【0156】
ダイオードのスイッチについての説明は、LCフィルムの動作を制御することができるスイッチに関して、当てはまり得る。センサーはまた、有利にはダイオードの制御に関して説明したものと類似する、導電性で透明な薄層で構成された、透明な電極を含む。ちょうど、ダイオードが連想される、センサーに関して、LCフィルムの制御を行うセンサーは、このセンサーの位置の信号を送る要素を含み得る。ここでも、低パワーのダイオードを使用するのが有利である。導電層で構成される回路は、電極を除き、このキャリアが、当該ダイオードを給電する導体を2つのみ含む限りにおいて、より単純であることがかなり明白である。
【0157】
図7では、積層体に存在する機能要素が、それらの取り得る相互依存性を考慮する相対位置にある。例示として、発光ダイオードによって形成された照明手段は、視感透過率を制御するために使用されるフィルムの下側に配置されることは明らかであるため、それらダイオードが生じる光束は、このフィルムによって設定される光吸収の変化とは無関係である。
【0158】
視感透過率を制御するために使用されるフィルム、および照明手段は、給電される必要がある。それらは、必然的に、板ガラスの縁部を介して車両の一般的な電源に接続される。接続用の電気ケーブルは、通常、透明ではない。板ガラスの限られた透明性を妨害しないようにするために、特に不規則な接着接合部のマークをマスクするための、通常不透明のエナメル部分を含む板ガラスの外周ゾーンにおいて、これらのケーブルを隠すように注意する。
【0159】
図3に、LCタイプのフィルムの構造が、概略的に示されている。この構造は、電場の印加に敏感な粒子を含むポリマーからなる中心要素12を含む。この中心要素12の両面で、および中心要素の面のそれぞれにわたって延在して、2つの電極13は、制御に必要な電圧を印加できるようにする。既知の通り、電極13は、有利には、導電性の薄層で被覆された本質的に透明なシートからなる。これらは、ほとんどの場合、厚さ数十ミクロンのポリエチレングリコールテレフタレート(PET)のシートからなり、これは、良好な透明性と、高い機械抵抗性を組み合わせている。これらのシートでは、導電層は、有利には、TCOタイプのもの、例えばITO(インジウムスズ酸化物)層である。