(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工作機械は、主軸に装着する工具の工具径と工具長とを含む工具データを格納した工具データベースを具備しており、オペレーターが目視にて位置決めした工具の先端点の座標を前記位置読取り部により読み取って前記3Dモデルの基準点とするようにした請求項4または5に記載の工作機械。
前記制御装置は、更に、生成した前記3Dモデルの1点を指定し、生成した前記3Dモデル外の他の1点を指定し、生成した前記3Dモデルの前記1点を該3Dモデル外の前記他の1点に重ね合わせるようにして、生成した前記3Dモデルの複製を生成し、複数の3Dモデルを生成するようにした請求項4〜7の何れか1項に記載の工作機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、進入禁止領域をZ−X平面内の複数の矩形によって定義している。特許文献1の工作機械は旋盤であり、チャックおよびチャックに保持されているワークは、主軸を中心として回転するため、進入禁止領域をZ−X平面内の複数の矩形によって定義することができるが、主軸の先端に回転工具を装着し、該回転工具をテーブルに取り付けられたワークに対して相対移動させて加工するフライス盤形式のマシニングセンタでは、特許文献1のような二次元的な進入禁止領域を設定しても、回転工具、工具ホルダおよび主軸と、テーブルおよびテーブルに固定されたワークとの干渉を防止することができない。
【0006】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、工具、工具ホルダ、主軸を含む主軸側構成物と、テーブル、テーブルに固定されたワークや治具を含むテーブル側構成物との干渉をシミュレーションするために用いる、特に、テーブルに固定されたワークや治具の簡易的な3Dモデルを、工作機械のオペレータが簡単に生成できるようにした3Dモデル生成方法および3Dモデルを機上で生成する工作機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、工作機械
の機上で、主軸側の構成物とテーブル側の構成物の干渉の有無を確認する干渉シミュレーションで用いる
3Dモデルを生成する3Dモデルの生成方法において、
3Dモデルの形状とスイープ方向を選択し、ジョグ送り釦またはハンドル送り装置を用いて主軸とテーブルとを相対的に移動する送り軸を
操作し、前記主軸側の構成物と前記テーブル側の構成物とを接近した少なくとも2ヶ所で位置決めし、少なくとも2ヶ所で位置決めされた前記送り軸の現在位置をそれぞれ取得し、取得した少なくとも2ヶ所の前記現在位置を基準点にして前記3Dモデルの
端面を生成し、所定方向に前記
端面をスイープさせることで、前記3Dモデルを生成する3Dモデル生成方法が提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、工作機械の機上で、主軸側の構成物とテーブル側の構成物との干渉の有無を確認する3Dモデルを生成する工作機械において、
3Dモデルの形状とスイープ方向を選択し、選択された3Dモデルと、3Dモデル上の少なくとも2ヶ所の基準点と、
スイープ方向とを表示する表示部と、主軸とテーブルとを相対移動する送り軸に対して、
ジョグ送り釦またはハンドル送り装置を用いて相対移動を変更する指令を入力する操作部と、前記送り軸の現在位置を取得する位置読取り部と、
取得した少なくとも2ヶ所の現在位置を基準点として3Dモデルの
端面を生成し、該
端面を前記
スイープ方向にスイープすることで前記3Dモデルを生成する制御装置とを具備する工作機械が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オペレータが、主軸とテーブルとを相対的に移動する送り軸を用いて、目視しながら、主軸側の構成物とテーブル側の構成物とを接近した少なくとも2ヶ所で位置決めし、少なくとも2ヶ所で位置決めされた送り軸の現在位置をそれぞれ取得し、取得した少なくとも2ヶ所の現在位置を基準点にして3Dモデルの表面を生成し、所定方向に表面をスイープさせることで、実際の治具や多数個取りワークの数に即した3Dモデルを容易に生成することが可能となる。よって、準備に多くの時間を取られることなく、正確に干渉シミュレーションしながら、安全に加工を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1を参照すると、本発明を適用する工作機械の一例が示されている。
図1において、本発明の好ましい実施の形態による工作機械100は、立形マシニングセンタを構成しており、工場の床面に固定された基台としてのベッド110、ベッド110の前方部分(
図1では左側)の上面で前後方向またはY軸方向(
図1では左右方向)に移動可能に設けられワークWが固定されるテーブル130、ベッド110の後端側(
図1では右側)で同ベッド110の上面に立設、固定されたコラム120、該コラム120の前面で左右方向またはX軸方向(
図1では紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられたサドル140、サドル140の前面で上下方向またはZ軸方向に移動可能に取り付けられ、主軸160を回転可能に支持する主軸頭150を具備している。
【0012】
テーブル130は、ベッド110の上面において水平なY軸方向(
図1の左右方向)に延設された一対のY軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられており、ベッド110には、テーブル130をY軸案内レールに沿って往復駆動するY軸送り装置として、Y軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたY軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、テーブル130には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。テーブル130には、また、テーブル130のY軸方向の座標位置を測定するY軸スケール(図示せず)が取り付けられている。
【0013】
サドル140は、コラム120の上方部分の前面においてX軸方向に延設された一対のX軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられている。コラム120には、サドル140をX軸案内レールに沿って往復駆動するX軸送り装置として、X軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたX軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、サドル140には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。コラム120には、また、サドル140のX軸方向の座標位置を測定するX軸スケール(図示せず)が取り付けられている。
【0014】
主軸頭150は、サドル140の前面においてZ軸方向(
図1では上下方向)に延設された一対のZ軸案内レールに沿って往復動可能に設けられている。サドル140には、主軸頭150をZ軸案内レールに沿って往復駆動するZ軸送り装置として、Z軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたZ軸サーボモータが設けられており、主軸頭150には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。サドル140には、また、主軸頭150のZ軸方向の座標位置を測定するZ軸スケール(図示せず)取り付けられている。回転工具TはZ軸送り装置によって、その中心軸線に沿って送られる。
【0015】
X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、Z軸サーボモータおよびX軸スケール、Y軸スケール、Z軸スケールは、工作機械100を制御する制御装置10に接続されている。制御装置10によって、X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、Z軸サーボモータへ供給される電力(電流値)が制御される。
【0016】
図2を参照すると、本発明を適用する工作機械の他の例が示されている。
図2において、本発明の第2の実施の形態による工作機械200は、横形マシニングセンタを構成しており、工場の床面に固定された基台としてのベッド210、ベッド210の前方部分(
図1では左側)の上面で前後方向またはZ軸方向(
図2では左右方向)に移動可能に設けられたテーブル230、ベッド210の後端側(
図2では右側)で同ベッド210の上面に左右方向またはX軸方向(
図2では紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられたコラム220、該コラム220の前面で上下方向またはY軸方向に移動可能に設けられたサドル240、サドル240に取り付けられ、主軸260を回転可能に支持する主軸頭250を具備している。本実施形態では、テーブル230の上面には上下方向に延びる回転軸線周りのB軸方向に回転可能に設けられた回転テーブル270が取り付けられている。回転テーブル270の上面270aには鉛直方向に配向された取付面を有したイケール280が取り付けられており、該イケール280の取付面280aにワークWが取り付けられる。
【0017】
テーブル230は、ベッド210の上面において水平なZ軸方向(
図2の左右方向)に延設された一対のZ軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられており、ベッド210には、テーブル230をZ軸案内レールに沿って往復駆動するZ軸送り装置として、Z軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたZ軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、テーブル230には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。テーブル230には、また、テーブル230のZ軸方向の座標位置を測定するZ軸スケール(図示せず)が取り付けられている。
【0018】
コラム220は、ベッド210上面においてX軸方向に延設された一対のX軸案内レール(図示せず)に沿って往復動可能に設けられている。ベッド210には、コラム220をX軸案内レールに沿って往復駆動するX軸送り装置として、X軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたX軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、コラム220には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。ベッド210には、また、コラム220のX軸方向の座標位置を測定するX軸スケール(図示せず)が取り付けられている。
【0019】
サドル240は、コラム220の前面においてY軸方向(
図2では上下方向)に延設された一対のY軸案内レールに沿って往復動可能に設けられている。コラム220には、サドル240をY軸案内レールに沿って往復駆動するY軸送り装置として、Y軸方向に延設されたボールねじ(図示せず)と、該ボールねじの一端に連結されたY軸サーボモータ(図示せず)が設けられており、サドル240には、前記ボールねじに係合するナット(図示せず)が取り付けられている。コラム220には、また、サドル240のY軸方向の座標位置を測定するY軸スケール(図示せず)取り付けられている。
【0020】
図3を参照すると、工作機械100、200を制御する、本発明の好ましい実施形態による制御装置が示されている。制御装置10は、読取り解釈部12、サーボモータ制御部14、干渉シミュレーション部16、3Dモデル生成部18、3Dモデル格納部20、表示部22を具備している。読取り解釈部12は、CAMシステム300からの加工プログラムを読取りこれを解釈し、サーボモータ制御部14へ移動指令を出力する。サーボモータ制御部14は、移動指令に基づいて工作機械100、200のX軸、Y軸、Z軸の送り装置の各々のサーボモータ310へトルク指令値または電流指令値を発する。サーボモータ制御部14は、また、操作部30からの移動指令に基づいて、サーボモータ310へトルク指令値または電流指令値を出力する。
【0021】
制御装置10は、更に、干渉シミュレーション部16、3Dモデル生成部18、複数の3Dモデル形状およびスイープの方向とを格納する3Dモデル格納部20、表示部22および操作部30を具備している。3Dモデル生成部18へは、位置読取り部320からX軸、Y軸、Z軸の各送り軸の位置が送出される。位置読取り部320は、X軸、Y軸、Z軸の各送り軸に設けられたX軸スケール、Y軸スケール、Z軸スケールによって構成することができる。或いは、サーボモータ310に設けられたロータリエンコーダ(図示せず)によって構成してもよい。3Dモデル生成部18へは、更に、3Dモデル格納部20から生成すべき3Dモデルの基本的な形状およびスイープの方向が出力される。
【0022】
図4を参照すると、操作部30を構成する操作盤400は、電子回路板、配線、コネクタ等の電気部品を収納した直方体状の筐体402、筐体402の正面パネルに取り付けられた液晶パネルやタッチパネルのような表示部404、工作機械100、200の制御装置10に必要な情報を入力したり、NCプログラムを編集するためのキーボード406、手動運転モードとMDIモードとを切換える釦を含む複数の釦集成体408、ジョグ送り釦410、非常停止釦412、ジョグ送りオーバーライド調節用の回転つまみ414を含んでいる。
【0023】
また、操作盤400には、ケーブル416を介してハンドル送り装置418が接続されている。ハンドル送り装置418は、電子回路板、配線、コネクタ等の電気部品を収納した直方体状の筐体420、筐体420の側面に設けられ押している期間にパルス信号の送信が可能になる許可ボタンとしてのイネーブルボタン422、筐体420の正面パネルに取り付けられた送り軸選択スイッチ424、手動パルス発生器426を含む。
【0024】
キーボード406、釦集成体408、ジョグ送り釦410、非常停止釦412、回転つまみ414、ハンドル送り装置418は制御装置10に必要な情報や指令を入力するための入力手段を構成する。また、表示部404がタッチパネルから形成される場合には、表示部404もまた制御装置10の入力手段を構成する。
【0025】
以下、
図5に示すフローチャートを参照して、本実施形態の制御装置10、特に3Dモデル生成部18の作用を説明する。
3Dモデル生成プロセスが開始される(ステップS10)と、自動工具寸法測定装置(図示せず)により主軸160、260に装着されている工具Tの工具寸法が測定される。工作機械100、200が、工具Tの工具径や工具長についての情報を各工具について割り当てられた工具番号に関連付けて格納した工具データベースを有している場合には、工具寸法測定に代えて、工具Tの工具番号から工具長、工具径を呼び出すようにできる。
【0026】
次いで、生成する3Dモデルの形状およびスイープ方向が選択される(ステップS12)。これは、工作機械100、200のオペレータが、操作盤400(操作部30)から入力することによって実施される。3Dモデルの形状は、例えば、三角柱、四角柱(立方体、直方体)その他の多角柱や円柱の柱状体とすることができる。スイープの方向は、柱状体の軸線の方向である。
【0027】
次いで、選択された3Dモデルの柱状体の一方の端面を定義する情報と、スイープ到達位置が入力される(ステップS16)。端面を定義する情報は、3Dモデルの柱状体が角柱である場合には、角柱の端面を形成する多角形の頂点の座標、柱状体が円柱である場合には、円柱の端面を形成する円の中心座標と半径、或いは、円周上の3点の座標とすることができる。本実施形態では、上記多角形の頂点の座標、円の中心座標および円周上の3点の座標は工具Tの先端位置を工作機械100、200の機械座標系、つまりX軸、Y軸およびZ軸スケールで読み取ることによって行われる。
【0028】
図6を参照すると、タッチパネルから成る表示部404に表示される画面が示されている。画面内には、3Dモデルの形状とスイープ方向を選択するダイアログボックス50、頂点1〜4の座標52、スイープの到達位置を指定する奥行き指定ボックス54、工具Tの先端位置の取得を制御装置10に指令するためのボタン56、および、3Dモデル生成の開始ボタン58が表示される。また、画面内には、生成された3Dモデルが表示される。
図6の例は、立形マシニングセンタ用で、Z軸が上下方向になるように表示される。
【0029】
図6は、四角柱500の端面502の頂点1〜4に工具Tの先端を配置することによって、角柱500の端面を規定する例を示している。オペレーターは、操作盤400のジョグ送り釦410またはハンドル送り装置418の手動パルス発生器426を用いて各送り軸に移動指令を与えることで工具Tの先端を実際に目視しながら任意の位置に配置することができる。また、
図6の例では、ダイアログボックス50でZ方向が指定され、奥行き指定ボックス54の自動の欄でモデルと指定されているため、スイープの方向(太い矢印)は、端面502からZ軸に沿ってテーブル130、230に接近する方向であり、スイープ方向にあるモデルに届く距離が自動で選ばれる。つまり、スイープ到達位置は、テーブル130、230の取付面130a、230aが自動的に選択される。
【0030】
図7は、直方体510の端面512の4つの頂点の1つの頂点1に工具Tの先端を配置し、該頂点1からX方向およびY方向に長さ(距離X、距離Y)を、例えば入力手段としてのキーボード406から入力することによって、端面512を規定する例を示している。
図7の例でも、スイープの方向は、端面512からZ軸に沿ってテーブル130、230に接近する方向であり、スイープ到達位置は、テーブル130、230の取付面130a、230aが自動的に選択される。
【0031】
図8は、直方体520の端面522の4つの頂点のうち対角線上のある2つの頂点1、2に工具Tの先端を配置することによって、端面522を規定する例を示している。
図8の例でも、スイープの方向は、端面522からZ軸に沿ってテーブル130、230に接近する方向であり、スイープ到達位置は、テーブル130、230の取付面130a、230aが自動的に選択される。
【0032】
図9は、円柱530の円形の端面532の円周上の3点1、2、3に工具Tの先端を配置することによって、端面532を規定する例を示している。
図9の例では、スイープの方向は、端面522からZ軸に沿ってテーブル130、230に接近する方向であるが、奥行き指定ボックスは、距離の欄で100と指定されているため、スイープ到達位置は、既述したテーブル130、230の取付面130a、230aが自動的に選択されるのではなく、端面532からZ軸方向に100mmの位置となっている。
【0033】
図10は、円柱540の円形の端面542の中心1に工具Tの先端を配置し、該円形の端面542の半径を、例えば入力手段としてのキーボード406から入力することによって、端面542を規定する例を示している。
図10の例でも、スイープの方向は、端面542からZ軸に沿ってテーブル130、230に接近する方向であり、スイープ到達位置は、テーブル130、230の取付面130a、230aが自動的に選択される。
【0034】
図11は、三角柱550の端面552の頂点1〜3に工具Tの先端を配置することによって、三角柱550の端面を規定する例を示している。
図11の例では、スイープの方向は、端面552からY軸に沿って回転テーブル270に接近する方向であり、スイープ到達位置は、回転テーブル270の取付面270aが自動的に選択される。特に、
図11の例は、
図2に示した横形マシニングセンタ200が、テーブル230にB軸方向に回転可能な回転テーブル270を取り付け、該回転テーブル270の上面または取付面270aに三面イケールを取り付け、該三面イケールにワークを固定する場合に有利である。
図11は横形マシニングセンタ用の例であるため、Z軸が左右方向になるように表示される。
【0035】
図12は、
図8と同様に、直方体560の端面562の4つの頂点のうち対角線上のある2つの頂点1、2に工具Tの先端を配置することによって、端面562を規定する例を示している。
図12の例では、スイープの方向は、端面562からY軸に沿って回転テーブル270に接近する方向であり、スイープ到達位置は、回転テーブル270の取付面270aが自動的に選択される。特に、
図12の例は、
図2に示した横形マシニングセンタ200が、テーブル230にB軸方向に回転可能な回転テーブル270を取り付け、該回転テーブル270の上面または取付面270aにイケール280を取り付け、該イケール280にワークWを固定する場合に有利である。つまり、
図12の例は
図2のイケール280を模擬している。
【0036】
図13は、回転テーブル270の取付面270aに固定されたイケール280を模擬する直方体形状の3Dモデル560(
図12)に取り付けられたワークWを模擬する例を示している。イケール280に取り付けられたワークWとしての直方体570の端面572の4つの頂点のうち対角線上のある2つの頂点1、2に工具Tの先端を配置することによって、端面572が規定される。
図13の例では、スイープの方向は、端面572からZ軸に沿ってイケール280としての直方体560に接近する方向であり、スイープ到達位置は、直方体560の取付面564が自動的に選択される。
【0037】
図14は、回転テーブル290が
図2の回転テーブル270のように、B軸方向ではなく、
図1の立形マシニングセンタ100のテーブル130上にA軸およびC軸方向に回転できるロータリテーブルを搭載している場合を示している。
図14では、円柱590の円形の端面592の円周上の3点1、2、3に工具Tの先端を配置することによって、端面592を規定し、該端面592をZ軸に沿って回転テーブル290に接近する方向に回転テーブル290の取付面290aまでスイープした後に、回転テーブル290をA軸方向に−90°(時計回りの方向に90°回転させ、円柱590の中心軸線がY軸に平行になるように円柱590が配向される。
【0038】
このように、3Dモデルの柱状体の一方の端面を定義する情報と、スイープ到達位置が入力されると、
図6〜
図14を参照しつつ説明したように、3Dモデルの柱状体500、510、520、530、540、550、560、570、590の一方の端面502、512、522、532、542、552、562、572、592を柱状体の中心軸線に沿ってスイープすることによって、3Dモデルが生成される(ステップS18)。ステップS14からステップS18を繰り返す(ステップS20においてYesの場合)ことによって複数の3Dモデルを生成することが可能となる。全ての3Dモデルが生成されると(ステップS20においてNoの場合)、フローチャートは終了する(ステップS22)。
【0039】
なお、工具Tが比較的太い工具である場合には、
図15に示すように、X軸、Y軸、Z軸方向の各オフセット量60を入力することによって、実際に工具Tの先端が配置された位置とは異なる位置Cに頂点や中心を設定することが可能となる。
【0040】
また、
図16は、上述のようにして生成した3Dモデルをコピーして、該コピーした3Dモデルを所望の位置に配置するための画面を示している。
図16に示す画面には、コピーボタン62、貼り付けボタン64が示されている。コピーは、現在生成されている3Dモデルまたは過去に生成した3Dモデルの一点を選択して、該一点の移動先の座標を入力して、貼り付けボタン64をタップまたはクリックすることによって行うことができる。
【0041】
このように、本実施形態では、3Dモデル生成部18で3Dモデルを生成し、生成した3Dモデルに基づいて、干渉シミュレーション部16において、主軸側の構成物としての工具T、工具ホルダ、主軸160、260と、テーブル側の構成物としてのワークWおよび/またはワークWを固定するための治具としてのイケール280との干渉の有無を確認するための干渉シミュレーションを行うことが可能となる。更に、生成した3Dモデルの情報を読取り解釈部12に出力して、工具T、工具ホルダおよび主軸160、260の進入禁止領域を設定可能となる。その際、工作機械100、200のオペレーターは、操作盤400のジョグ送り釦410またはハンドル送り装置418の手動パルス発生器426を用いて工具Tの先端を実際に目視しながら工具Tの先端を配置するだけで、或いは、工具Tの先端を配置した後に距離X、Y(
図7)、スイープ距離(
図9)または半径(
図10)といった簡単な数値(X)を入力するだけで、3Dモデル、特にテーブル130、230に取り付けられたワークや治具といったテーブル側構成物の3Dモデルを生成することができる。このように、工作機械の機上で3Dモデルを生成することができるため、オペレータによる段取り作業に起因する干渉を防止することができる。