(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乗物用シートを構成するクッションフレーム又はバックフレームの少なくとも一方を構成する部品のうち、シート幅方向外側にある外側フレーム部品と、シート幅方向内側にある内側フレーム部品とが配設された状態で駆動する第一装置と、
該第一装置に前記外側フレーム部品と前記内側フレーム部品とを配設する第二装置と、を備えるシートフレーム組付ユニットであって、
前記第二装置は、横並び状態で前記外側フレーム部品を配置する動作を行った後に、前記外側フレーム部品の間に、前記内側フレーム部品を設置する動作を行い、
前記第一装置は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品が配設された状態で駆動することで、前記外側フレーム部品を移動させて前記内側フレーム部品に組み付けられる位置に至らせることを特徴とするシートフレーム組付ユニット。
前記第二装置は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品の複数の部品を保持する保持部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシートフレーム組付ユニット。
前記保持部は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品のうち種類の異なるものを保持する部位を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のシートフレーム組付ユニット。
乗物用シートを構成するクッションフレーム又はバックフレームの少なくとも一方を構成する部品のうち、シート幅方向外側にある外側フレーム部品と、シート幅方向内側にある内側フレーム部品とが配設された状態で駆動する第一装置と、
該第一装置に前記外側フレーム部品と前記内側フレーム部品とを配設する第二装置と、を用いて、前記クッションフレーム又は前記バックフレームを組み付けて製造するシートフレーム製造方法であって、
前記第二装置によって、横並び状態で前記外側フレーム部品を配置した後に、前記外側フレーム部品の間に、前記内側フレーム部品を設置する設置工程と、
前記第一装置によって、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品が配設された状態で前記外側フレーム部品を移動させ前記内側フレーム部品に組み付けられる位置に至らせる組付工程と、を備えることを特徴とするシートフレーム製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗物用シートが異なる形状の複数の部品から構成される場合には、ロボットによって各構成部品を効率的に組み付けることは困難であった。
例えば、構成部品を設置するロボット又は構成部品自体が、他の構成部品に接触することによって、設置した他の構成部品に位置ずれが生じたり、構成部品の搬送軌道にずれが生じたりすることがあった。
また、構成部品に対するロボットによる保持する部分が異なると、同一搬送経路で構成部品を搬送したときには、構成部品が設置される位置が一定しないことになる。このため、保持部分が同一部分となるように、ロボットによって保持させる前に、各構成部品を整列させなくてはならならず製造効率が低下することがあった。
【0005】
さらに、上記のように位置ずれが生じた状態で複数の構成部品が設置された場合に、連続して構成部品相互間に溶接を施すときには、溶接部分の寸法精度が低くなることがあった。
また、形状の異なる構成部品を保持可能とするため、複数種類の保持部を有するセットロボットを用いる場合があるが、この場合、構成部品の形状に合わせて保持部を変更する作業が必要となるため、製造効率が低下することがあった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗物用シートのクッションフレーム又はバックフレームによって構成されるシートフレームの製造効率を高めることが可能なシートフレーム組付ユニット及びシートフレーム製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、シートフレームを構成する構成部品相互間の溶接の寸法精度を高めることにある。
本発明の他の目的は、第二装置の同一の保持部によって複数の構成部品を保持可能とすることにある。
本発明の他の目的は、第二装置の同一の保持部によって複数種類の構成部品を保持可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明に係るシートフレーム組付ユニットによれば、乗物用シートを構成するクッションフレーム又はバックフレームの少なくとも一方を構成する部品のうち、シート幅方向外側にある外側フレーム部品と、シート幅方向内側にある内側フレーム部品とが配設された状態で駆動する第一装置と、該第一装置に前記外側フレーム部品と前記内側フレーム部品とを配設する第二装置と、を備えるシートフレーム組付ユニットであって、前記第二装置は、横並び状態で前記外側フレーム部品を配置する動作を行った後に、前記外側フレーム部品の間に、前記内側フレーム部品を設置する動作を行い、前記第一装置は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品が配設された状態で駆動することで、前記外側フレーム部品を移動させて前記内側フレーム部品に組み付けられる位置に至らせることにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、第二装置によって、外側フレーム部品を横並び状態で配置した後に、外側フレーム部品の間に内側フレーム部品を設置することで、内側フレーム部品を搬送する際に外側フレーム部品に重なる経路を取ることを抑制しやすくなるため、各部品が干渉することを抑制できる。また、第二装置によって、内側フレーム部品であるパイプやロッド等が、外側フレーム部品の間において左右方向にずれて第一装置に設置されたとしても、第一装置によって移動させられる外側フレーム部品に内側フレーム部品が押圧されることによって配置が調整される。このため、シートフレームの組み付けを効率化できる。
【0009】
また、前記クッションフレーム又は前記バックフレームに対して溶接を施す溶接装置を備え、前記溶接装置は、前記第一装置によって移動された前記外側フレーム部品と前記内側フレーム部品とに溶接を施すようにすると好ましい。
上記構成によれば、クッションフレームとバックフレームとに一の工程で溶接を施すことができるので、溶接によるひずみの発生を少なくすることができ、寸法精度を高めることができる。
【0010】
また、前記第二装置は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品を保持する保持部を有し、該保持部は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品を保持する複数の面を有すると好ましい。
上記構成によれば、部品の形状に合わせて第二装置における当該部品の保持面を変えることで、同一保持部で各部品を保持することができる。
【0011】
また、前記第二装置は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品の複数の部品を保持する保持部を有すると好ましい。
上記構成によれば、複数の保持部を有する第二装置を用いることで、複数の部品を一度に保持することができる。
【0012】
前記保持部は、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品のうち種類の異なるものを保持する部位を有すると好ましい。
上記構成によれば、保持部が種類の異なるものを保持することが可能となる。
【0013】
また、前記課題は、本発明に係るシートフレーム製造方法によれば、乗物用シートを構成するクッションフレーム又はバックフレームの少なくとも一方を構成する部品のうち、シート幅方向外側にある外側フレーム部品と、シート幅方向内側にある内側フレーム部品とが配設された状態で駆動する第一装置と、該第一装置に前記外側フレーム部品と前記内側フレーム部品とを配設する第二装置と、を用いて、前記クッションフレーム又は前記バックフレームを組み付けて製造するシートフレーム製造方法であって、前記第二装置によって、横並び状態で前記外側フレーム部品を配置した後に、前記外側フレーム部品の間に、前記内側フレーム部品を設置する設置工程と、前記第一装置によって、前記外側フレーム部品及び前記内側フレーム部品が配設された状態で前記外側フレーム部品を移動させて前記内側フレーム部品に組み付けられる位置に至らせる組付工程と、を備えることにより解決される。
【0014】
上記構成によれば、第二装置によって、外側フレーム部品を横並び状態で配置した後に、外側フレーム部品の間に内側フレーム部品を設置することで、内側フレーム部品を搬送する際に外側フレーム部品に重なる経路を取ることを抑制しやすくなるため、各部品が干渉することを抑制できる。また、第二装置によって、内側フレーム部品であるパイプやロッド等が、外側フレーム部品の間において左右方向にずれて第一装置に設置されたとしても、第一装置によって移動させられた外側フレーム部品に内側フレーム部品が押圧されることによって配置が調整される。このため、シートフレームの組み付けを効率化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シートフレームの組み付けを効率化できる。
また、本発明によれば、溶接部分の寸法精度を高めることができる。
また、本発明によれば、同一保持部で各部品を保持することができる。
また、本発明によれば、同一保持部で複数部品を保持することができる。
また、本発明によれば、同一保持部で種類の異なる部品を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、シートフレーム組付ユニット及びシートフレーム製造方法に関するものであり、特に、シートフレームの製造効率を高めることが可能なシートフレーム組付ユニット及びシートフレーム製造方法に関するものである。
以下において、本発明の実施形態に係るシートフレーム組付ユニットUについて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下において、シートフレーム(乗物用シート)を基準とするシート幅方向は、シートフレーム完成前の状態における左右方向又は内外方向と同じ方向を意味し、前後方向は、シート幅方向に垂直な方向であり、シートフレームの前後方向と同じ方向を意味する。
【0018】
(シートフレーム1の構成について)
まず、本実施形態に係るシートフレーム組付ユニットUによって組み付けられるシートフレーム1の構成について
図1を参照して説明する。
なお、
図1は、本発明の実施形態に係るシートフレーム1の斜視図である。
シートフレーム1は、図示せぬシートクッションの骨組みであり、構成部品としてのクッションフレーム2と、図示せぬシートバックの骨組みであり、構成部品としてのバックフレーム3とから主に構成されている。
【0019】
クッションフレーム2は、シート幅方向左右に配設された、外側フレーム部品及び構成部品としての左右のサイドフレーム2aと、左右のサイドフレーム2aのシート前後方向後ろ側に両端部を接続された、内側フレーム部品及び構成部品としての連結フレーム2bと、左右のサイドフレーム2aのシート前後方向前側にシート幅方向両端部を接続された、内側フレーム部品及び構成部品としてのパンフレーム2cと、から構成されている。
バックフレーム3は、シート幅方向左右に配設された、外側フレーム部品及び構成部品としての左右のサイドフレーム3aと、左右のサイドフレーム3aの下側に、両端部を接続された、内側フレーム部品及び構成部品としてのメンバーフレーム3bと、左右のサイドフレーム3aの上側に両端部を接続された、内側フレーム部品及び構成部品としての上部フレーム3cと、から構成されている。
【0020】
(シートフレーム組付ユニットUの構成について)
次に、シートフレーム組付ユニットUの主な構成について
図2を参照して説明する。
なお、
図2は、シートフレーム組付ユニットUを示す模式的な斜視図である。
シートフレーム組付ユニットUは、シートフレーム1の各部品を保持、搬送し、第一装置としてのセット装置6に設置する第二装置としてのセットロボット4と、シートフレーム1の各部品をセットするセット装置6と、シートフレーム1に溶接を施す溶接装置としての溶接ロボット8と、これらを制御する制御装置Cと、から主に構成されている。
【0021】
詳細には、セットロボット4は、部品棚5に設けられたサイドフレーム2a、連結フレーム2b、サイドフレーム3a等の構成部品を保持、搬送し、セット装置6に設置する機能を有する。
セットロボット4は、水平面内において回転可能である回転台4aと、回転台4aの上部に下端側を、鉛直面内において回動可能に取り付けられた下側回動部4bと、下側回動部4bの上部に下端側を、鉛直面内において回動可能に取り付けられた上側回動部4cと、から構成されている。
【0022】
上側回動部4cの先端側には、直方体状の保持部4dが取り付けられている。この保持部4dの内部には電磁石が内蔵されており、セットロボット4は、保持部4dの磁力によって、保持部4dにおける側面の4面と先端側の面の合計5面(換言すると複数の保持部位)で、シートフレーム1の磁性を有する金属製の各構成部品を保持する。
このように、セットロボット4は、電磁石等の磁性の高い材料を備える保持部4dを有することで、複数、且つ、複数種類の構成部品を保持することが可能である。
【0023】
なお、保持部4dの側面を4面でなく、3面にしてもよく、さらに複数の面を備えるようにしてもよい。
さらには、構成部品を保持する保持部は、上記のような電磁石を備える保持部4dの他に、クランプ具を備えるものや、吸着具を備えるものであってもよく、これらを複数備えるものであってもよい。複数の保持部からなるものであれば、多種の複数の部品を適切に効率よく保持することが可能となる。
【0024】
セット装置6は、シートフレーム1の各構成部品であるサイドフレーム2a、連結フレーム2b、パンフレーム2c、サイドフレーム3a、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cを支持し、溶接可能な状態に組み合わせる位置に各構成部品の一部を移動させる装置である。
セット装置6は、シートフレーム1を構成する各部品が載置される載置台6aを備える。この載置台6aは、前後方向、横方向、回転方向に移動可能に、下から順に配設された、横移動レール6m、前後移動レール6h、第1ベースプレート6i、回転土台6j及び第2ベースプレート6kを備える。
【0025】
具体的には、横移動レール6mは、上部に載置される前後移動レール6hを横方向に摺動可能に支持し、横方向に延在する一対のレールである。
前後移動レール6hは、上部に載置される第1ベースプレート6iを前後方向に摺動可能に支持し、前後方向(横移動レール6mの延在方向に垂直な方向)に延在する一対のレールである。前後移動レール6hは、図示せぬモータの駆動力によって、横移動レール6mに沿って横方向に移動することとなる。
【0026】
第1ベースプレート6iは、回転土台6jが載置される長方形状の平板である。
回転土台6jは、第1ベースプレート6iに対して第2ベースプレート6kを、鉛直軸を中心に回動させる部材である。
第2ベースプレート6kは、第1ベースプレート6iと同様に長方形状の平板であり、回転土台6j上に載置されている。第2ベースプレート6kは、その上部に後述する支持部6b,6c,6d、搬送レール6e、搬送台6f、支持部6g、バック側支持部材7及び支持部7a,7b,7cが取り付けられている。これらの詳細な構成については後述する。このように載置台6aが構成されていることで、載置台6a上に配設されるシートフレーム1を構成する各部品における、セットロボット4や溶接ロボット8に対する相対的な位置が調節可能となっている。
【0027】
なお、上記の載置台6aにおける、直線方向の動作及び回動方向の動作を実現する機構は、飽くまで例示であり本発明を限定するものではなく、セットロボット4や溶接ロボット8等の周囲の環境に応じて多種多様な機構を採用することができる。
【0028】
溶接ロボット8は、組み合わせられたクッションフレーム2及びバックフレーム3の所定の位置に溶接を施す機能を有する。
溶接ロボット8は、回転台8aと、下側回動部8bと、上側回動部8cと、から構成されており、これらの動作に係る構成については、セットロボット4と略同一の構成である。溶接ロボット8は、上側回動部8cの先端に溶接ヘッド8dを備える点でセットロボット4と異なる。
【0029】
制御装置Cは、セットロボット4、セット装置6及び溶接ロボット8の駆動を制御する装置である。具体的には、制御装置Cの制御により、セットロボット4は、部品棚5から各構成部品をピックアップし、セット装置6上に設置し、セット装置6は、設置された各構成部品を支持しつつ、これらが組み合うように移動させ、溶接ロボット8は、組み合わせられた構成部品に溶接を施す。この制御装置Cによる詳細なシートフレーム1の製造手順については後述する。
【0030】
(各構成部品のセット装置6への支持状態について)
クッションフレーム2及びバックフレーム3を構成する各構成部品(サイドフレーム2a、連結フレーム2b、パンフレーム2c、サイドフレーム3a、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3c)の支持状態について、
図3及び
図4を参照して説明する。
なお、
図3は、クッションフレーム2及びバックフレーム3のそれぞれの構成部品を取り付けた状態のセット装置6を一方向から示す斜視図、
図4は、
図3に示す方向と異なる他方向から示す斜視図である。
【0031】
セット装置6は、上記のように、載置台6aに加え、載置台6aの第2ベースプレート6k上に設けられた支持部6b,6c,6d、搬送レール6e、搬送台6f、支持部6g、バック側支持部材7及び支持部7a,7b,7cを備える。
【0032】
このうち、支持部6b,6c,6dは、パンフレーム2c、連結フレーム2b及びメンバーフレーム3bをそれぞれ左右方向に移動可能に下方から支持するものである。
支持部6bは、左右方向に延在するパンフレーム2cを支持可能とするため、左右方向に長尺の直方体状に形成されている。
また、支持部6cには、上部で連結フレーム2bを下方から支持可能としつつ、左右方向に移動可能とするため、側方視U字状の溝が形成されている。
同様に、支持部6dは、上部でメンバーフレーム3bを下方から支持可能としつつ、左右方向に移動可能とするため、側方視凹字状に形成されている。
【0033】
また、搬送台6fは、前後方向に延在する平板状に形成されており、下方に前後一対設けられて左右方向に延在する搬送レール6eによって、左右方向に移動可能に支持されている。搬送台6fは、モータM1の駆動力によって、搬送台6f上の支持部6gに支持されたサイドフレーム2aを左右方向内側、つまり、連結フレーム2b、メンバーフレーム3b及びパンフレーム2c側に移動する機能を有する。
支持部6gは、正面視C字状に形成されており、左右方向内側が開放されて前後に配された2個の部材と、左右方向外側、且つ、下側において、これらを前後に連結する部材とから構成されている。
なお、搬送台6f、一対の搬送レール6e、支持部6g及びモータM1は、左右方向両側に設けられている。
【0034】
バック側支持部材7は、正面視逆U字状に形成され、載置台6aの第2ベースプレート6kの上面に固定されている。
支持部7aは、上部フレーム3cを支持する機能を有し、上面視U字状に形成されており、開放側が前側に位置する向きでバック側支持部材7の上部の前面に、左右に一対取り付けられている。
支持部7bは、上部フレーム3cの上部を上下に挟持する機能を有し、上下に水平に配置された平板によってクランプするようにして上部フレーム3cを挟持する。
支持部7cは、サイドフレーム3aを支持する機能を有し、バック側支持部材7の一対の立設部分におけるそれぞれの前面に、それぞれ設けられたモータM2を介して一対取り付けられている。支持部7cは、上面視C字状に形成されており、左右方向内側に開放側が位置するようにモータM2に取り付けられており、モータM2によって左右方向に移動可能に取り付けられている。
【0035】
(シートフレーム1の組付方法について)
次に、
図5A〜
図5Dを参照して、シートフレーム1の組付方法について説明する。なお、
図5Aは、サイドフレーム2a,3aをセット装置6に設置した状態を示す模式図、
図5Bは、
図5Aに示す状態から、さらに連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cをセット装置6に設置した状態を示す模式図である。また、
図5Cは、
図5Bに示す状態から、セット装置6によってサイドフレーム2a,3aを移動させた状態を示す模式図、
図5Dは、
図5Cに示す状態から、各構成部品の所定箇所に溶接を施した状態を示す模式図である。
【0036】
まず、制御装置Cによって制御されたセットロボット4は、設置工程において、部品棚5上に置かれたサイドフレーム2a,3aを、
図5Aに模式的に示すようにセット装置6の左右に並んだ横並び状態で取り付ける。詳細には、セットロボット4は、サイドフレーム2a,3aを磁力によって保持部4dに保持させ、セット装置6の支持部6g及び支持部7cに、これらのそれぞれを支持させるようにセット装置6に取り付ける。
【0037】
その後、制御装置Cによって制御されたセットロボット4は、部品棚5上に置かれた連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cを、
図5Bに模式的に示すように、左右のサイドフレーム2a,3aの間に位置するようにセット装置6に取り付ける。詳細には、セットロボット4は、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cを磁力によって保持部4dに保持させ、支持部6c,6b,6d,7a,7bに、これらのそれぞれを支持させるようにセット装置6に取り付ける。
【0038】
このように、シートフレーム1の外側のフレーム部品であるサイドフレーム2a,3aをセット装置6に取り付けた後に、シートフレーム1の内側のフレーム部品である連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cをセット装置6に取り付けるようにすると不具合が生じることを抑制でき、取付効率を高めることができる。
具体的には、セット装置6の支持部6g,7cは、左右方向において内側に開放側が向けられている。このため、これらの開放側からサイドフレーム2a,3aを支持部6g,7cに支持させるためには、セットロボット4によって、サイドフレーム2a,3aを左右方向内側に搬送した後に、左右方向外側に搬送して取り付ける必要がある。
このときに、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cが既に配置されている場合には、これらの当接することで干渉することがないように、換言すると、これらに重なる経路を取ることを抑制するために精密な動作が必要となり、作業効率が低くなる。
【0039】
また、支持部6b,6c,6d,7a,7bの取り付け側は、上側又は前側にあるため、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cをこれらに取り付ける際には、バック側支持部材7を左右方向に動作させる必要がない。
このため、上記手順によれば、サイドフレーム2a,3aをセット装置6に取り付ける際に、他の構成部品が干渉することがなく、さらに、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cをセット装置6に取り付ける際にも、左右に離れて取り付けられた他の構成部品に干渉することがない。
【0040】
そして、組付工程において、制御装置Cによって制御されたセット装置6のモータM1,M2は、搬送台6fを押圧すること、及び支持部7cに移動荷重を直接加えることによって、サイドフレーム2a,3aを、搬送レール6eに沿って左右方向の内側に移動させる。サイドフレーム2a,3aは、モータM1,M2によって、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cから所定以上の荷重が加わる位置まで、換言すると、これらに組み合わせられる位置に至るまで移動することとなる。
【0041】
例えば、連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3bが予め定められた中心位置から左右方向にずれて設置されている場合には、それぞれ左右に設けられたサイドフレーム2a,3aがモータM1,M2によって左右方向中心側に移動するときに、サイドフレーム2a,3aの一方側のみに連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3b等が当接することとなる。そして、連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3bは、左右方向に移動可能に下側から支持部6b,6c,6dによって支持されているため、サイドフレーム2a,3aの左右方向中心側の移動に伴って、左右方向中心側に移動することとなる。
【0042】
そして、
図5Cに示すように、左右のサイドフレーム2a,3aが、連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3bを挟持する位置、つまり、組み合わせられる位置に至るまで移動したときには、連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3bは左右方向中心位置に移動していることとなる。このようにして、連結フレーム2b、パンフレーム2c又はメンバーフレーム3bの左右方向の位置が調節されることとなる。
さらに、制御装置Cは、このような状態になることで、モータM1及びM2の回転動力に対する反力が加わり、所定以上の荷重が加わったときに、モータM1,M2の動作を停止するように制御する。
【0043】
そして、左右のサイドフレーム2a,3a、連結フレーム2b、パンフレーム2c、メンバーフレーム3b及び上部フレーム3cが組み合わせられた後に、
図5Dに示すように、制御装置Cは、溶接ロボット8を制御して、各構成部品に溶接を施すことによって溶接部Wを形成する。詳細には、溶接ロボット8は、左右のサイドフレーム2aと連結フレーム2b及びパンフレーム2cとの重なる部位、並びにサイドフレーム3aとメンバーフレーム3b及び上部フレーム3cとの重なる部位に溶接を施す。
このようにセットロボット4、セット装置6及び溶接ロボット8を用いて、クッションフレーム2及びバックフレーム3を接合することによって、シートフレーム1の製造の一部を効率的に行うことが可能となる。特に、各構成部品を支持した状態で、一の工程でクッションフレーム2及びバックフレーム3に溶接を施すことができるため、溶接によるひずみの発生を抑制でき、寸法精度を高めることができる。
【0044】
上記実施形態においては、クッションフレーム2と、バックフレーム3との両方をまとめて組み付けて製造できるため製造効率が高いが、これらを別々に組み付けるようにしてもよく、一方のみに上記製造方法を適用するようにしてもよい。例えば、クッションフレーム2を構成する部材を先に載置台6a上に載置し、その後バックフレーム3を構成する部材をバック側支持部材7に取り付けるようにしてもよい。
【0045】
具体的には、クッションフレーム2の幅方向外側の部材であるサイドフレーム2aをセットロボット4によって載置台6a上に載置した後、クッションフレーム2の幅方向内側の部材である連結フレーム2b及びパンフレーム2cを載置する。その後、バックフレーム3を構成する幅方向外側の部材であるサイドフレーム3aをセットロボット4によってバック側支持部材7に取り付け、バックフレーム3を構成する幅方向内側の部材である上部フレーム3cをバック側支持部材7に取り付ける。そして、モータM1及びモータM2によって、各フレームの幅方向外側の部材を内側に移動させるようにしてもよい。
クッションフレーム2を構成する部材を取り付ける載置台6aと、バックフレーム3を構成する部材を取り付けるバック側支持部材7とは、上下の位置が異なる。このため、上記の取付順序であっても、セットロボット4によるそれぞれの取付作業は相互に干渉せず、作業効率の低下を招かない。
【0046】
なお、本発明に係る乗物用シートとは、車両、船舶、航空機又は産業機械その他のシートを含むものである。
【0047】
また、上記実施形態においては、セットロボット4によってセット装置6へシートフレーム1の構成部品を設置する設置工程、及びセット装置6によってシートフレーム1を組み付ける組付工程と、溶接ロボット8によるシートフレーム1に対して溶接を施す溶接工程とを、異なる場所で行うようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、サイドフレーム2a又は支持部7cの左右方向の移動に対しての駆動力を生じさせるものとしてモータM1,M2を例示したが、駆動力を生じさせるものであればこれらに限定されない。例えば、エアシリンダや油圧シリンダ、リニアアクチュエータ等の駆動装置であってもよい。