(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
飛行装置が飛行に用いる電力を供給する電池の容量を示す電池容量情報、前記飛行装置の飛行予定経路の少なくとも一部の地点の位置を示す位置情報、及び前記位置情報に基づいて特定される飛行予定経路の周辺環境を示す環境情報と、前記飛行装置の飛行予定速度を示す速度情報とを取得する情報取得部と、
前記環境情報と前記飛行予定経路と前記速度情報とに基づいて、前記飛行予定経路に沿って目的地まで飛行するために要する所要電力を推定する推定部と、
前記所要電力と前記電池容量情報とに基づいて、前記飛行予定経路に沿って前記目的地まで飛行可能であるか否かの判定結果を出力する出力部と、
を有する判定装置。
前記出力部は、前記飛行装置が前記飛行予定経路に沿って飛行できないと判定した場合に、前記経路情報生成部に前記飛行予定経路と異なる代替飛行経路を生成させ、前記代替飛行経路を出力する、
請求項6に記載の判定装置。
前記出力部は、前記経路情報生成部が生成した複数の前記代替飛行経路の候補のうち、前記目的地までの到達時間が最短となる代替飛行経路の候補を前記代替飛行経路として出力する、
請求項7又は8に記載の判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
[飛行システムS1の概要]
図1は、第1の実施形態に係る飛行システムS1の構成を示す図である。飛行システムS1は、飛行経路決定装置1及び飛行装置2を有する。
【0020】
飛行経路決定装置1は、飛行装置2の飛行経路を決定する装置であり、例えばサーバ、コンピュータ又はスマートフォンである。飛行経路決定装置1は、ユーザが入力した飛行装置2の出発地及び目的地等のように飛行経路の決定に必要な情報を取得し、取得した情報に基づいて飛行予定経路を決定する。飛行経路決定装置1は、飛行装置2が飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定する判定装置として機能する。
【0021】
飛行経路決定装置1は、飛行予定経路の周辺環境と、飛行装置2が飛行に用いる電力を供給する電池の容量とに基づいて、飛行装置2が飛行予定経路に沿って目的地まで飛行可能であるか否かをシミュレーションして、飛行可否に関する判定結果を出力する判定装置として機能する。飛行予定経路の周辺環境は、例えば、飛行予定経路における風の向き、風速、降雨・降雪状態及び気温である。
【0022】
ユーザは、飛行経路決定装置1の判定結果が、目的地まで飛行できないことを示している場合は、飛行条件を変更して再度シミュレーションをさせることができる。飛行経路決定装置1は、飛行予定経路に沿って目的地まで飛行できないと判定した場合、代替の飛行予定経路の候補をユーザに提示する。
【0023】
図2は、飛行経路決定装置1が実行するシミュレーションの概要について説明するための図である。ユーザが、出発地、目的地、及び通過位置P1〜P8を入力すると、飛行経路決定装置1は、ディスプレイ(不図示)に、
図2に示すような飛行予定経路を地図に重ねて表示する。飛行経路決定装置1は、通過位置P1〜P8の少なくともいずれかにおける風の向き及び風速に基づいて、目的地まで飛行が可能であるか否かを判定する。
図2は、位置P2において風速5mの南西の風が想定され、位置P4において風速10mの西の風が想定されていることを示している。詳細は後述するが、飛行経路決定装置1は、飛行予定速度、飛行装置2の機種、飛行装置2が搬送する物品の重量及び形状等の他の情報にさらに基づいて飛行可否を判定してもよい。
【0024】
ユーザは、飛行経路決定装置1におけるシミュレーション結果に基づいて決定した飛行予定経路を飛行装置2に設定する。飛行経路決定装置1は、例えばユーザの指示に基づいて、ネットワークN、携帯電話網の基地局3及び無線通信回線Wを介して、飛行装置2に飛行予定経路を送信する。飛行経路決定装置1は、飛行予定経路とともに、飛行予定経路を決定する際に用いた周辺環境に関する情報も飛行装置2に送信してもよい。
【0025】
飛行装置2は、例えば飛行経路決定装置1から受信した飛行予定経路に沿って飛行する。飛行装置2は、例えばサーバにより構成される飛行経路決定装置1、又はプロモやスマートフォン等の携帯型端末から受信した制御情報に基づいて、飛行予定経路に沿って飛行する。飛行装置2は、飛行予定経路に沿って自律飛行してもよい。飛行装置2は、一部の機能を自律的に動作させ、一部の機能を飛行経路決定装置1又は携帯型端末から受信した制御情報に基づいて動作させてもよい。
【0026】
飛行装置2は、飛行している間、風の向き、風の速さ及び降雨・降雪状態等の周辺環境を監視する。飛行装置2は、周辺環境に基づいて、目的地まで飛行するための所要電力を推定し、推定した所要電力と電池残量とを比較することにより、目的地まで到達できるかどうかを判定する。
【0027】
図3は、飛行装置2が飛行中に実行する判定処理の概要について説明するための図である。
図3は、飛行装置2が位置P4付近を飛行しており、風速10mの北東の風を受けていることを示している。飛行経路決定装置1がシミュレーションをした際の位置P4においては風速10mの西の風が想定されていたにもかかわらず、飛行中には風速10mの北東の風を受けている場合、東に向かって飛行している飛行装置2の所要電力はシミュレーション時よりも大きくなる。その結果、飛行装置2が目的地まで到達できない可能性がある。飛行装置2は、目的地まで到達できないと判定した場合に、飛行経路を変更したり、飛行条件を変更したりすることにより、飛行中の墜落事故を未然に防ぐ。
以下、飛行経路決定装置1及び飛行装置2の構成及び動作について詳細に説明する。
【0028】
[飛行経路決定装置1の構成]
図4は、飛行経路決定装置1の構成を示す図である。飛行経路決定装置1は、操作部11と、通信部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15は、情報取得部151と、経路情報生成部152と、推定部153と、出力部154とを有する。
【0029】
操作部11は、ユーザが各種の情報を入力したり、飛行経路決定装置1に実行させる処理内容を設定したりするためのデバイスである。操作部11は、例えばキーボード及びマウスにより構成されている。操作部11は、表示部13に重ねて設けられたタッチパネルであってもよい。操作部11は、ユーザの操作内容に応じた信号を経路情報生成部152に通知する。
【0030】
通信部12は、ネットワークNを介して、飛行装置2を含む外部の装置と情報を送受信するための通信インターフェースである。通信部12は、例えばネットワークNに接続するためのLAN(Local Area Network)を有する。
【0031】
表示部13は、ユーザに提示する各種の情報を表示するためのデバイスである。表示部13は、例えばディスプレイである。表示部13は、出力部154から入力される情報を表示する。
【0032】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含んで構成されている。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部14は、ユーザが入力した各種の情報、及び制御部15が生成した各種の情報を一時的に記憶する。
【0033】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、飛行装置2の飛行予定経路の決定、及び飛行装置2が目的地まで到達できるか否かの判定等の各種の処理を実行する。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部151、経路情報生成部152、推定部153、及び出力部154として機能する。
【0034】
情報取得部151は、操作部11から入力された情報、又は通信部12が受信した情報を取得する。具体的には、情報取得部151は、飛行装置が飛行に用いる電力を供給する電池の容量を示す電池容量情報、飛行装置2の飛行予定経路の少なくとも一部の地点の位置を示す位置情報、位置情報に基づいて特定される飛行予定経路の周辺環境を示す環境情報、並びに出発時刻及び目的地への到着時刻を示す時刻情報を取得する。
【0035】
情報取得部151は、位置情報として、少なくとも出発地及び目的地の緯度・経度を示す位置情報を取得する。情報取得部151は、例えば
図2に示した位置P1〜P8のように、出発地と目的地との間の複数の位置の緯度・経度を示す位置情報を取得する。また、情報取得部151は、飛行可能区域、飛行禁止区域及び建物等の構造物の情報を含む三次元地図を取得する。情報取得部151は、地図を表示部13に表示し、表示した地図においてユーザがタッチした位置を、飛行予定経路の少なくとも一部の地点の位置として取得してもよい。
【0036】
環境情報は、例えばユーザが操作部11を用いて入力した風の向き、風速又は降雨・降雪状態に関する情報である。情報取得部151は、通信部12を介して、天気情報を配信する外部のサーバから環境情報を取得してもよい。情報取得部151は、出発地と目的地との間の飛行予定経路から所定の範囲内を飛行中の複数の飛行装置2から周辺環境に関する環境情報を取得してもよい。
【0037】
環境情報は、後述の経路情報生成部152により用いられる。情報取得部151は、直前の所定の時間以内に取得した環境情報を経路情報生成部152に通知し、所定の時間より前に取得した環境情報を削除する。このようにすることで、経路情報生成部152は、新しい環境情報に基づいて経路情報を生成することが可能になる。
【0038】
情報取得部151は、飛行装置2の機種を示す機種情報を取得してもよい。機種情報は、例えば飛行装置2の型名である。情報取得部151は、予め飛行装置2の型名に関連付けて記憶部14に記憶されている飛行装置2の電池容量、重量、及び無風状態で単位距離(例えば100m)を飛行するために必要な電力(以下、単位消費電力という)等のように、飛行性能に影響する情報を機種情報として取得してもよい。
【0039】
また、情報取得部151は、飛行装置2の飛行予定速度を示す速度情報をさらに取得してもよい。情報取得部151は、例えば、ユーザにより入力された機種情報に基づいて特定されるデフォルトの飛行速度を飛行予定速度として取得する。情報取得部151は、ユーザが操作部11を用いて入力した飛行速度を飛行予定速度として取得してもよい。
【0040】
情報取得部151は、飛行装置2が運搬する物品の重量及び形状に関する物品情報をさらに取得してもよい。ユーザは、例えば、操作部11を用いて物品情報を入力する。ユーザは、運搬する物品の画像を入力し、情報取得部151は、入力された画像に基づいて物品の形状を特定してもよい。
【0041】
経路情報生成部152は、情報取得部151が取得した出発地及び目的地を含む位置情報に少なくとも基づいて、飛行予定経路を示す経路情報を生成する。経路情報生成部152は、例えば、ユーザが出発地と目的地のみを入力した場合、出発地と目的地とを直線で結んだ経路を飛行予定経路の候補(以下、飛行予定経路候補という)とする。経路情報生成部152は、ユーザが、出発地と目的地との間の一以上の通過位置を設定した場合、通過位置を通過する経路を飛行予定経路候補とする。経路情報生成部152は、出発地と目的地との間において、情報取得部151が取得した三次元地図に基づいて、飛行装置2が飛行可能なエリアとして指定された範囲に含まれるように飛行予定経路候補を決定してもよい。
【0042】
また、経路情報生成部152は、環境情報に基づいて飛行予定経路候補を決定してもよい。経路情報生成部152は、例えば、環境情報に基づいて、目的地までの到達時間又は消費電力が最小になるように飛行予定経路候補を決定することで、飛行予定経路候補がそのまま使用される確率を高めることができる。
【0043】
経路情報生成部152は、決定した飛行予定経路候補の通過位置を示す情報を推定部153及び出力部154に通知する。経路情報生成部152は、出力部154から、他の飛行予定経路候補を要求する指示を受けると、先に決定した飛行予定経路候補と異なる代替の飛行予定経路候補を決定し、決定した代替の飛行予定経路候補の通過位置を示す情報を推定部153及び出力部154に通知する。
【0044】
経路情報生成部152は、代替の飛行予定経路候補を決定する際に、経路上に電池の交換又は充電が可能な拠点が存在する経路を選択してもよい。このようにすることで、飛行経路決定装置1は、目的地まで直行することが困難な場合であっても、途中で電池の交換又は充電をすることにより目的を達成する方法をユーザに提示することが可能になる。
【0045】
推定部153は、情報取得部151が取得した環境情報と、経路情報生成部152から入力された飛行予定経路候補の経路情報とに基づいて、飛行予定経路に沿って目的地まで飛行するために要する電力(所要電力)を推定する。推定部153は、例えば、飛行予定経路に沿って飛行する場合の飛行距離を単位距離で除算した値に単位消費電力を乗算することにより、所要電力の基準値を算出する。そして、推定部153は、環境情報が示す風の向き、風速及び降雨・降雪状態に基づいて、算出した基準値を補正することにより、飛行予定経路の周辺環境が考慮された所要電力の推定値を算出する。
【0046】
具体的には、推定部153は、飛行装置2が飛行する向きに対する風の向きと風速に関連付けて予め定められた係数を基準値に乗算することにより、推定値を算出する。例えば、飛行装置2が飛行する向きに対して逆向きの風が吹いていることが想定される場合、推定部153は、基準値に1.5の係数を乗算することにより、無風状態における所要電力の基準値の1.5倍の推定値を算出する。逆に、飛行装置2が飛行する向きと同じ向きの風が吹いていることが想定される場合、推定部153は、基準値に0.5の係数を乗算することにより、無風状態における所要電力の基準値の0.5倍の推定値を算出する。
【0047】
推定部153は、情報取得部151が、飛行予定経路上の複数の位置に対応する環境情報を取得した場合、環境情報が取得された位置の間の区間ごとに所要電力の推定値を算出する。推定部153は、複数の区間の複数の推定値を合算することにより、飛行装置2が出発地から目的地まで飛行予定経路に沿って飛行した場合の所要電力の推定値を算出する。
【0048】
推定部153は、推定値を算出するにあたって、環境情報以外のさまざまな情報をさらに用いることができる。推定部153は、例えば、風の抵抗の受けやすさに影響する飛行装置2の形状、雨に濡れた場合の飛行性能等のような、機種情報に関連付けられた飛行装置2の特性をさらに用いる。このようにすることで、推定部153は、推定値の精度を向上させることができる。
【0049】
推定部153は、飛行装置2が飛行する速度にさらに基づいて所要電力の推定値を算出してもよい。具体的には、推定部153は、予め記憶部14に記憶された、飛行速度と単位消費電力との関係に基づいて、飛行速度に対応する所要電力を算出することにより、飛行速度に応じた所要電力の推定値を算出する。推定部153は、記憶部14に記憶された過去の飛行記録に基づいて、良好な燃費又は少ない消費電力で長い距離を飛行できる速度を特定してもよい。推定部153は、このようにして特定した速度に基づいて所要電力の推定値を算出することで、所要電力をできるだけ小さくできる速度で飛行した場合の最小所要電力を算出することができる。
【0050】
推定部153は、飛行装置2が搬送する物品の重量及び形状を示す物品情報にさらに基づいて所要電力の推定値を算出してもよい。推定部153は、飛行装置2が搬送する物品の重量を飛行装置2の自重に加算して得られる総重量に基づいて、無風状態における基準値を算出する。そして、推定部153は、物品の形状と風の向き及び風速とに基づいて、物品が受ける抵抗の大きさに基づいて基準値を補正する。
【0051】
推定部153は、飛行装置2に物品が搭載されている位置及び物品の向きにさらに基づいて基準値を補正してもよい。このように、推定部153が、物品が搭載されている位置及び物品の向きを使用することにより、物品が受ける風の抵抗の大きさの影響が反映された推定値を算出することができるので、推定値の精度が向上する。推定部153は、算出した推定値を出力部154に通知する。
【0052】
なお、以上の説明においては、推定部153が、環境情報に対応する係数を基準値に乗算することにより推定値を決定する例を示したが、推定部153が推定値を決定する方法はこれに限らない。記憶部14が、環境情報を始めとする各種の情報と推定値とを関連付けたテーブルを記憶しており、推定部153は、記憶部14が記憶しているテーブルを参照することにより推定値を決定してもよい。
【0053】
出力部154は、推定部153が算出した所要電力の推定値と、情報取得部151が取得した電池容量情報とに基づいて、飛行装置2が飛行予定経路に沿って目的地まで飛行可能であるか否かの判定結果を出力する。具体的には、出力部154は、所要電力の推定値が、電池容量情報が示す電池容量未満である場合、目的地まで飛行可能であると判定し、所要電力の推定値が、電池容量情報が示す電池容量以上である場合、目的地まで飛行可能でないと判定する。また、出力部154は、目的地まで飛行可能であると判定した場合、目的地までの到達時間を出力してもよい。
【0054】
出力部154は、目的地まで飛行可能でないと判定した場合、経路情報生成部152に対して、他の飛行予定経路の候補に対して所要電力の推定値を算出するように指示する。出力部154は、経路情報生成部152に対して、複数の異なる飛行速度で飛行する場合の複数の所要電力の推定値を算出するように指示してもよい。出力部154は、経路情報生成部152が代替飛行予定経路の候補に対して算出した推定値が電池の容量未満である場合、代替飛行予定経路の候補を、推奨する代替飛行経路として出力する。また、出力部154は、複数の異なる飛行速度に対応する複数の所要電力に基づいて決定した飛行速度を出力する。
【0055】
出力部154は、飛行装置2が目的地まで到達することができる複数の代替飛行予定経路の候補を経路情報生成部152が生成した場合、複数の候補のそれぞれの飛行距離と飛行速度とに基づいて、出発地から目的地までの飛行時間を算出してもよい。この場合、出力部154は、複数の候補のうち、目的地までの到達時間が最短となる代替飛行予定経路の候補を代替飛行予定経路として出力する。
【0056】
出力部154は、飛行装置2が目的地まで飛行可能となる飛行予定経路を示す情報、及び飛行速度を示す情報を、表示部13に表示させてもよく、通信部12を介して飛行装置2に送信してもよい。また、出力部154は、複数の飛行予定経路候補を示す情報をユーザの端末(例えば、プロモやスマートフォン)に送信し、ユーザに、複数の飛行予定経路候補から1つの飛行予定経路候補を選択させてもよい。出力部154は、ユーザにより選択された飛行予定経路候補を、飛行装置2に送信してもよい。出力部154は、ユーザが選択した飛行予定経路を用いた場合に、風等の周辺環境の影響で飛行装置2が目的地まで到達できないと判定した場合、その旨をユーザ端末に送信し、他の飛行予定経路候補を選択させてもよい。
以上のように、ユーザは、飛行経路決定装置1を用いて飛行可否をシミュレーションし、飛行装置2が目的地まで到達可能な飛行予定経路を飛行装置2に設定することができるので、飛行装置2の飛行の目的を達成できる確率が向上する。
【0057】
[飛行経路決定装置1の動作フローチャート]
図5は、飛行経路決定装置1の動作のフローチャートである。まず、情報取得部151は、操作部11を介してユーザが入力した電池容量情報、又は通信部12を介して飛行装置2から受信した電池容量情報を取得する(S11)。また、情報取得部151は、操作部11を介して、ユーザが入力した飛行予定経路の少なくとも一部の地点の位置を示す位置情報を取得する(S12)。また、情報取得部151は、操作部11又は通信部12から入力された、位置情報に対応する位置の周辺の環境情報を取得する(S13)。ステップS11〜S13までの処理順序は任意である。
【0058】
続いて、経路情報生成部152は、情報取得部151が取得した位置情報に基づいて、飛行予定経路の候補を決定する(S14)。続いて、推定部153は、経路情報生成部152が決定した候補となる飛行予定経路を飛行装置2が飛行した場合の所要電力を推定する(S15)。
【0059】
出力部154は、推定部153が推定した所要電力が、情報取得部151が取得した電池容量情報が示す電池容量よりも小さい場合(S16においてYES)、飛行予定経路とともに、目的地まで飛行可能であることを示す判定結果を出力する(S17)。出力部154は、推定部153が推定した所要電力が、情報取得部151が取得した電池容量情報が示す電池容量以上である場合(S16においてNO)、経路情報生成部152に代替の飛行予定経路を決定するように要求する(S18)。
【0060】
制御部15は、ステップS14からS18までの処理を繰り返し、飛行可能な飛行予定経路がある場合、目的地まで飛行可能であることを示す判定結果を出力する。ステップS14において、経路情報生成部152が、代替の飛行予定経路候補を決定できない場合(S14においてNO)、出力部154は、飛行不可能であることを示す判定結果を出力する(S19)。
【0061】
[飛行装置2の構成]
続いて、飛行装置2の構成について説明する。
図6は、飛行装置2の構成を示す図である。飛行装置2は、GPS受信機20と、周辺環境センサー21と、通信部22と、電池23と、飛行機構24と、記憶部25と、制御部26とを有する。制御部26は、位置特定部261と、環境特定部262と、残量特定部263と、推定部264と、判定部265と、飛行条件変更部266とを有する。
【0062】
GPS受信機20は、GPS(Global Positioning System)の衛星から送信される電波を受信し、受信した電波に含まれる緯度・経度の特定に用いる情報を位置特定部261に通知する。
【0063】
周辺環境センサー21は、風の向き、風速及び降雨状況等の周辺環境の状態を検出するためのセンサーである。周辺環境センサー21は検出した周辺環境の状態を示す情報を環境特定部262に通知する。
【0064】
通信部22は、無線通信回線を介して情報を送受信するための無線通信モジュールである。通信部22は、例えばLTE(Long Term Evolution)回線に接続するための無線通信モジュールであり、飛行経路決定装置1、他の飛行装置、又は外部装置との間で情報を送受信する。通信部22は、飛行経路決定装置1、他の飛行装置、又は外部装置から受信した周辺環境に関する環境情報を環境特定部262に通知する。
電池23は、飛行装置2を飛行させるための電力を供給する。電池23は、飛行装置2の各部に電力を供給する。
【0065】
飛行機構24は、プロペラ、プロペラを回転させるモーター及び方向舵等を含む。飛行機構24は、飛行制御部267の制御に基づいてこれらの機構を動作させることで、飛行速度及び飛行方向を変化させることができる。
【0066】
記憶部25は、ROM及びRAMを含む記憶媒体である。記憶部25は、制御部26が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部25は、例えば飛行経路決定装置1から受信した、目的地までの飛行予定経路を示す経路情報を記憶している。記憶部25は、例えば飛行経路決定装置1が飛行予定経路を決定した際に用いた、飛行予定経路の周辺環境を示す基準環境情報をさらに記憶してもよい。
【0067】
制御部26は、例えばCPUであり、飛行装置2の各部を制御する。制御部26は、記憶部25に記憶されたプログラムを実行することにより、位置特定部261、環境特定部262、残量特定部263、推定部264、判定部265、飛行条件変更部266及び飛行制御部267として機能する。
【0068】
位置特定部261は、GPS受信機20から入力された緯度・経度を特定するための情報に基づいて、飛行装置2が飛行中の現在位置を特定する。位置特定部261は、特定した現在位置を示す位置情報を推定部264に通知する。
【0069】
環境特定部262は、周辺環境センサー21又は通信部22から入力された情報に基づいて、飛行中の周辺環境の状態を特定する。具体的には、環境特定部262は、飛行装置2が飛行中の位置における風の向き、風速及び降雨・降雪状態を特定する。環境特定部262は、特定した周辺環境に関する情報を推定部264に通知する。環境特定部262は、通信部22が他の飛行装置又は外部装置から受信した現在位置から目的地までの少なくとも一部の位置に対応する環境情報に基づいて、現在位置から目的地までの飛行予定経路周辺の周辺環境の状態を特定してもよい。
【0070】
残量特定部263は、電池23が出力する電圧を監視し、電圧値に基づいて電池23の残量を特定する。残量特定部263は、特定した電池23の残量を推定部264に通知する。
【0071】
推定部264は、現在位置から目的地までの飛行予定経路と環境特定部262が特定した周辺環境とに基づいて、飛行装置2が目的地まで飛行するために要する電力を推定する。推定部264は、例えば、推定部153と同様の方法で所要電力を推定することができる。
【0072】
推定部264は、例えば、飛行予定経路に沿って飛行する場合の現在位置から目的地までの飛行距離を単位距離(例えば100m)で除算した値に、飛行装置2の単位距離あたりの単位消費電力を乗算することにより、所要電力の基準値を算出する。そして、推定部264は、環境特定部262が特定した風の向き、風速及び降雨・降雪状態に基づいて、算出した基準値を補正することにより、飛行予定経路の周辺環境が考慮された所要電力の推定値を算出する。
【0073】
具体的には、推定部264は、飛行装置2が飛行する向きに対する風の向きと風速に関連付けて予め定められた係数を基準値に乗算することにより、推定値を算出する。例えば、環境特定部262が、飛行装置2が飛行中の向きに対して逆向きの風が吹いていることを特定した場合、推定部264は、基準値に1.5の係数を乗算することにより、無風状態における所要電力の基準値の1.5倍の推定値を算出する。逆に、環境特定部262が、飛行装置2が飛行中の向きと同じ向きの風が吹いていることを特定した場合、推定部264は、基準値に0.5の係数を乗算することにより、無風状態における所要電力の基準値の0.5倍の推定値を算出する。
【0074】
推定部264は、通信部22が他の飛行装置又は外部装置から受信した現在位置から目的地までの少なくとも一部の位置に対応する環境情報に基づいて、所要電力の推定値を算出してもよい。推定部264は、環境特定部262が、現在位置から目的地までの間の飛行予定経路上の複数の位置に対応する環境情報を取得した場合、環境情報が取得された位置の間の区間ごとに所要電力の推定値を算出する。推定部264は、複数の区間の複数の推定値を合算することにより、飛行装置2が現在位置から目的地まで飛行予定経路に沿って飛行した場合の所要電力の推定値を算出する。
【0075】
推定部264は、さまざまな環境情報を利用することができる。推定部264は、例えば、各地に設置された天候情報を得るためのセンサーからリアルタイムで収集した天候情報を環境情報として利用することができる。推定部264は、他の飛行装置から収集した環境情報や、過去の飛行履歴に基づいて推定される環境情報を利用してもよい。
【0076】
推定部264は、推定値を算出するにあたって、環境情報以外のさまざまな情報をさらに用いることができる。推定部264は、例えば、風の抵抗の受けやすさに影響する飛行装置2の形状、雨に濡れた場合の飛行性能等のような、機種情報に関連付けられた飛行装置2の特性をさらに用いることで、推定値の精度を向上させることができる。
【0077】
推定部264は、飛行装置2が飛行する速度にさらに基づいて所要電力の推定値を算出してもよい。具体的には、推定部264は、予め記憶部25に記憶された、飛行速度と単位消費電力との関係に基づいて、飛行速度に対応する所要電力を算出することにより、飛行速度に応じた所要電力の推定値を算出する。
【0078】
推定部264は、飛行装置2が搬送する物品の重量及び形状を示す物品情報にさらに基づいて所要電力の推定値を算出してもよい。推定部264は、飛行装置2が搬送する物品の重量を飛行装置2の自重に加算して得られる総重量に基づいて、無風状態における基準値を算出する。そして、推定部264は、物品の形状と風の向き及び風速とに基づいて、物品が受ける抵抗の大きさに基づいて基準値を補正する。推定部264は、飛行装置2に物品が搭載されている位置及び物品の向きにさらに基づいて基準値を補正してもよい。推定部264は、算出した推定値を判定部265に通知する。
【0079】
判定部265は、所要電力と電池の残量との関係に基づいて、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定する。判定部265は、推定部264が推定した所要電力が電池残量未満である場合、目的地まで飛行可能であると判定し、所要電力が電池残量以上である場合、目的地まで飛行可能でないと判定する。判定部265は、判定結果を飛行条件変更部266及び飛行制御部267に通知する。
【0080】
判定部265は、環境特定部262が特定した飛行中の周辺環境と、記憶部25が記憶している、飛行予定経路の決定に用いられた基準環境情報が示す周辺環境との差が所定の大きさ以上になった場合に、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定してもよい。例えば、判定部265は、飛行予定経路を決定する際に追い風が想定されていた位置において向かい風を受けている場合、飛行予定経路を決定する際に想定されていた追い風の風速よりも実際の風速が小さくなっている場合、又は飛行予定経路を決定する際に想定されていた向かい風の風速よりも実際の風速が大きくなっている場合に、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定する。このようにすることで、判定部265は、目的地に到達できないリスクが生じた時点で、目的地に到達できるかどうかを速やかに判定することができる。
【0081】
判定部265は、目的地まで到達できると判定した場合、現在位置から目的地までの飛行予定経路と環境特定部262が特定した周辺環境とに基づいて、目的地に到達するまでの時間を推定してもよい。判定部265は、予め設定された出発予定時刻、目標到達時刻及び到達までに要する時間に基づいて、目標到達時刻までに目的地に到達できないと判定した場合、飛行条件変更部266に飛行経路を変更するように指示する。
【0082】
飛行条件変更部266は、判定部265が、飛行装置2が目的地まで飛行可能でないと判定した場合、又は目標到達時刻までに目的地に到達できないと判定した場合、当初の飛行予定経路と異なる代替飛行経路を決定する。飛行条件変更部266は、代替飛行予定経路の候補を決定すると、推定部264に対して所要電力の推定値を算出するように指示する。飛行条件変更部266は、推定部264が代替飛行予定経路の候補に対して算出した推定値が電池残量未満である場合、代替飛行予定経路の候補を、推奨する代替飛行経路として飛行制御部267に通知する。
【0083】
飛行条件変更部266は、飛行装置2が目的地まで到達することができる複数の代替飛行予定経路の候補を生成し、複数の候補のそれぞれの飛行距離と飛行速度とに基づいて、現在位置から目的地までの飛行時間を算出してもよい。この場合、飛行条件変更部266は、複数の候補のうち、目的地までの到達時間が最短となる代替飛行予定経路の候補を代替飛行予定経路として飛行制御部267に通知する。
【0084】
飛行条件変更部266は、経路上に電池の交換又は充電が可能な拠点が存在する代替飛行経路に決定してもよい。このようにすることで、飛行装置2は、目的地まで直行することが困難な場合であっても、途中で電池の交換又は充電をすることにより目的地まで到達することが可能になる。
【0085】
また、飛行条件変更部266は、飛行中の速度で目的地まで飛行するために要する所要電力よりも、所要電力を小さくすることができる代替速度に飛行速度を変更してもよい。飛行条件変更部266は、飛行速度の変更に先立ち、複数の異なる飛行速度で飛行する場合の複数の所要電力の推定値を算出するように推定部264に対して指示する。飛行条件変更部266は、推定部264が複数の異なる飛行速度で飛行する場合の複数の所要電力を推定すると、複数の異なる飛行速度のうち、推定部264が算出した推定値が電池残量未満である飛行速度の中で最大の飛行速度を、代替飛行速度に決定する。飛行条件変更部266は、変更後の代替飛行速度を飛行制御部267に通知する。
【0086】
飛行制御部267は、飛行機構24を制御することにより、飛行装置2を飛行予定経路に沿って飛行させる。飛行制御部267は、判定部265が飛行予定経路に沿って目的地まで到達できないと判定した場合に、飛行条件変更部266から通知された代替飛行経路及び代替飛行速度に基づいて、飛行条件を変更する。
【0087】
[飛行装置2の動作フローチャート]
図7は、飛行装置2の動作のフローチャートである。飛行装置2が飛行を開始すると、位置特定部261は、飛行中の現在位置を特定する(S21)。また、環境特定部262は、飛行中の現在位置の周辺環境の状態を特定する(S22)。また、残量特定部263は、電池23の残量を特定する(S23)。推定部264は、周辺環境に少なくとも基づいて、現在位置から目的地までの飛行のための所要電力を推定する(S24)。
【0088】
続いて、判定部265は、所要電力が電池残量よりも小さいか否かを判定する(S25)。判定部265は、所要電力が電池残量よりも小さいと判定した場合(S25においてYES)、飛行制御部267に飛行をそのまま継続するように指示する(S26)。判定部265は、所要電力が電池残量以上であると判定した場合(S25においてNO)、飛行条件変更部266に対して、飛行条件を変更するように指示する(S27)。飛行条件変更部266は、飛行経路又は飛行速度を変更し、飛行制御部267は変更後の飛行経路又は飛行速度に基づいて飛行する。
【0089】
制御部26は、目的地に到着するまでの間(S28においてNO)、ステップS21からS27までの処理を繰り返す。制御部26は、目的地に到着すると(S28においてYES)、処理を終了する。
【0090】
[変形例]
以上の説明においては、飛行装置2が目的地に到達できない場合、飛行装置2が飛行経路又は飛行速度を変更して目的地に到達する方法について説明したが、飛行装置2は、目的地まで飛行する代わりに、出発地に戻ってもよい。飛行装置2が出発地に戻ることを可能にするために、記憶部25は、出発地から現在位置までの飛行経路における周辺環境の履歴を示す履歴情報をさらに記憶する。
【0091】
推定部264は、記憶部25に記憶された履歴情報に基づいて、現在位置から出発地に戻るために要する所要電力を推定する。具体的には、推定部264は、履歴情報が示す、現在位置から出発地までの複数の位置における風の向き及び風速に基づいて、現在位置から出発地まで戻るために要する電力を推定する。
【0092】
判定部265は、現在位置から出発地まで戻るために要する電力が電池の残量よりも小さい間に、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定する。そして、判定部265が、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できないと判定した場合に、飛行条件変更部266は、出発地に戻るように飛行条件を変更し、出発地に戻る飛行経路を代替飛行経路に決定する。このようにすることで、飛行装置2は、目的地まで到達できない場合に出発地まで戻ることで、飛行中に墜落する事故が発生することを予防できる。
【0093】
[第1の実施形態に係る飛行経路決定装置1及び飛行装置2による効果]
以上説明したように、飛行経路決定装置1においては、推定部153が、環境情報と経路情報とに基づいて、飛行装置2が飛行予定経路に沿って目的地まで飛行するために要する所要電力を推定する。そして、出力部154が、推定部153が推定した所要電力と電池容量情報とに基づいて、飛行予定経路に沿って目的地まで飛行可能であるか否かの判定結果を出力する。このようにすることで、飛行装置2を飛行させるユーザが、飛行装置2を飛行させる前に、目的地まで到達可能であるかどうかを確認することができるので、飛行中に墜落する事故を予防できる。
【0094】
また、出力部154は、ユーザが入力した飛行予定経路を用いると目的地に到達できない場合に、代替の飛行予定経路候補をユーザに提示する。このようにすることで、飛行経路決定装置1は、ユーザが想定していた飛行予定経路を用いて目的地に到達できない場合であっても、目的地に到達することが可能な経路で飛行装置2を飛行させることを可能にする。
【0095】
また、本実施形態に係る飛行装置2においては、推定部264が、飛行装置2が飛行中の位置から目的地までの飛行予定経路と周辺環境とに基づいて、目的地まで飛行するために要する所要電力を推定する。そして、判定部265が、所要電力と電池の残量との関係に基づいて、飛行予定経路に沿って目的地まで到達できるか否かを判定する。判定部265が、目的地まで到達できないと判定した場合、飛行条件変更部266が飛行条件を変更し、目的地又は出発地に向かうようにすることで、飛行装置2が飛行中に墜落することを防止できる。
【0096】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る飛行システムS2の構成を示す図である。第2の実施形態においては、ユーザが、操縦装置4を用いて飛行装置2を操縦可能である点で、第1の実施形態と異なる。操縦装置4は、飛行装置2が目的地まで到達できるか否かを判定する機能を有しており、本実施形態の飛行装置2は、第1の実施形態の飛行装置2と異なり、目的地まで到達できるか否かを自機で判定できなくてもよい。
【0097】
操縦装置4は、プロポ、スマートフォン及びタブレットのように、飛行装置2を操縦するための制御情報を、無線通信回線を介して送信可能な飛行制御装置である。ユーザが操縦装置4を操作すると、操縦装置4は、操作内容に応じた制御情報を飛行装置2に送信する。
【0098】
操縦装置4は、飛行装置2が飛行中の位置から目的地までの飛行予定経路と周辺環境とに基づいて、目的地まで飛行するために要する所要電力を推定し、目的地まで到達できない場合に、警告情報を表示する。ユーザは、警告表示に基づいて飛行経路を変更することができる。以下、操縦装置4の構成及び動作について説明する。
【0099】
図9は、操縦装置4の構成を示す図である。操縦装置4は、通信部41と、表示部42と、操作部43と、記憶部44と、制御部45とを有する。制御部45は、位置特定部451と、環境特定部452と、残量特定部453と、推定部454と、判定部455と、飛行条件変更部456と、制御情報生成部457とを有する。
【0100】
通信部41は、無線通信回線Wを介して飛行装置2及び他の装置と情報を送受信するための無線通信モジュールである。通信部41は、無線通信回線Wを介して、飛行装置2から、飛行中の位置、周辺環境、電池残量を示す飛行情報を取得する。また、通信部41は、飛行装置2を制御するための制御情報を送信する。
【0101】
表示部42は、各種の情報を表示するディスプレイである。表示部42は、飛行装置2から受信した飛行情報を表示したり、目的地まで飛行が可能であるかどうかに関する判定結果を表示したり、変更後の飛行条件を表示したりする。
【0102】
操作部43は、飛行装置2を操縦するための操作をするためのデバイスであり、例えば、飛行方向及び飛行速度を制御するためのジョイスティック又はボリュームを含む。操作部11は、表示部13の表面に設けられたタッチパネルをさらに含んでもよい。
【0103】
記憶部44は、ROM及びRAMを含む記憶媒体である。記憶部44は、制御部45が実行するプログラムを記憶している。
制御部45は、CPUであり、記憶部44に記憶されたプログラムを実行することにより、位置特定部451、環境特定部452、残量特定部453、推定部454、判定部455、飛行条件変更部456及び制御情報生成部457として機能する。
【0104】
位置特定部451は、
図6に示した位置特定部261に対応しており、通信部41を介して飛行装置2から受信した位置情報に基づいて、飛行装置2の現在位置を特定する。環境特定部452は、環境特定部262に対応しており、通信部41を介して飛行装置2から受信した環境情報に基づいて、飛行装置2の周辺環境の状態を特定する。環境特定部452は、残量特定部263に対応しており、飛行装置2から受信した電池残量情報に基づいて、飛行装置2の電池の残量を特定する。
【0105】
推定部454は、推定部264に対応しており、位置情報及び環境情報に基づいて、現在位置から目的地まで飛行する場合の所要電力を推定する。判定部455は、判定部265に対応しており、推定部454が推定した所要電力と残量特定部453が特定した電池残量とに基づいて、飛行装置2が目的地まで到達可能であるか否かを判定する。判定部455は、判定結果を表示部42に表示する。
【0106】
飛行条件変更部456は、飛行条件変更部266に対応しており、判定部455が、飛行装置2が目的地まで到達できないと判定した場合に、代替の飛行経路又は代替の飛行速度等を決定し、飛行条件を変更する。飛行条件変更部456は、変更後の飛行条件を表示部42に表示するとともに、制御情報生成部457に通知する。
【0107】
制御情報生成部457は、操作部43から入力されたユーザの操作内容、又は飛行条件変更部456から入力された変更後の飛行条件を含む制御情報を生成する。制御情報生成部457は、通信部41を介して、制御情報を飛行装置2に送信する。このようにすることで、飛行装置2は、制御情報に基づいて、変更後の飛行条件に従って飛行をする。
【0108】
[第2の実施形態の操縦装置4による効果]
以上説明したように、操縦装置4において、推定部454は、飛行装置2の現在位置及び周辺環境に基づいて目的地までの所要電力を推定し、判定部455が、所要電力と電池残量とに基づいて、飛行装置2が目的地まで飛行できるか否かを判定する。そして、判定部455が、飛行装置2が目的地まで飛行できないと判定した場合、判定部455が判定結果を表示部42に表示する。このようにすることで、飛行装置2が、第1の実施形態のように目的地まで飛行できるか否かを自機で判定できない場合であっても、操縦装置4を用いて飛行装置2を操縦するユーザは、飛行装置2が目的地まで到達できないということを認識することができる。そして、ユーザは、飛行経路を変更したり飛行速度を変更したりすることで、飛行装置2の墜落を防ぐことができる。
【0109】
また、判定部455が、飛行装置2が目的地まで飛行できないと判定した場合、制御情報生成部457は、飛行条件の変更内容を含む制御情報を生成し、生成した制御情報を飛行装置2に送信することもできる。このようにすることで、操縦装置4は、ユーザが操縦をできない状態であっても飛行装置2に変更後の飛行条件を含む制御情報を送信することができるので、飛行装置2の墜落を防ぐことができる。
【0110】
(変形例)
以上の説明においては、操縦装置4において、所要電力と電池残量とに基づいて、飛行装置2が目的地まで飛行できるか否かを判定する場合について説明したが、このような判定は、操縦装置4以外の装置で実行してもよい。例えば、サーバが、飛行装置2から位置情報、電池残量、環境情報、機体情報、速度・方向情報を受信し、目的地までの到達可否及び到達可能時刻を算出し、最適な飛行予定経路を飛行装置2又は操縦装置4にレコメンドしてもよい。このように、所要電力及び電池残量に基づく判定処理の実行主体は、上記の説明に記載された例に限定されない。
【0111】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。