特許第6513680号(P6513680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6513680
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】炉頂ガス循環高炉設備を操業する方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 5/06 20060101AFI20190425BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20190425BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20190425BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20190425BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20190425BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20190425BHJP
   C10K 1/32 20060101ALI20190425BHJP
   C10K 1/14 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C21B5/06
   C21B5/00 321
   F27D17/00 104G
   B01D53/62 100
   B01D53/81
   B01D53/78
   C10K1/32
   C10K1/14
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-541342(P2016-541342)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公表番号】特表2017-503922(P2017-503922A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014075872
(87)【国際公開番号】WO2015090900
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】13306802.3
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・グラント
【審査官】 印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02584052(EP,A1)
【文献】 特開昭55−113814(JP,A)
【文献】 特開昭49−062308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 5/00 − 9/00
F27D 17/00
B01D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉ガス(3)を生成する炉頂ガス循環高炉(1)を含む高炉設備を操業する方法であって、
a.前記高炉ガス(3)を脱炭酸して、CO富化リッチテールガスの流れ(8)と、COの含有量が3%vol以下の脱炭酸高炉ガスの流れ(9)とを得るステップと、
b.前記高炉により生成されなかった炭化水素含有ガス状燃料(10)を変換して、COおよびH合計で少なくとも70%volと、最大で7%volの炭化水素とを含む変換ガスの流れ(15)を生成するステップと、
c.発熱量が2.8〜7.0MJ/Nmあり、かつ(i)前記テールガスの流れ(8)の一部と、(ii)前記変換ガスの流れ(15、18)の少なくとも第一の部分とを含む低発熱量のガス状燃料(27)を生成し、および前記低発熱量のガス状燃料(27)を、熱風炉(20)を加熱するために使用するステップと、
d.前記熱風炉(20)内で前記脱炭酸高炉ガスの流れ(9)の少なくとも70%volを700℃〜1300℃の温度まで加熱して、加熱された脱炭酸高炉ガス(21、29)を生成するステップと、
e.前記加熱された脱炭酸高炉ガス(21、29)を前記高炉(1)内に注入するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記炭化水素含有ガス状燃料(10)は天然ガスおよび/またはコークス炉ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素含有ガス状燃料(10)の部分燃焼が、前記変換ガスの流れ(15、18)を生成するために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
燃料改質プロセスが、前記変換ガスの流れ(15、18)を生成するために使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素含有燃料(10)は、改質剤としてCOを使用して改質される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱風炉(20)の上流で、強化された脱炭酸高炉ガスの流れ(19)を得るために、前記変換ガスの流れ(15、18)の少なくとも一部が前記脱炭酸高炉ガス(9)と混合される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記低発熱量ガス状燃料(27)は、前記強化された脱炭酸高炉ガスの流れの第一の部分(26)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
部分燃焼リアクタ(14)内での前記炭化水素含有ガス状燃料の部分燃焼が、前記変換ガスの流れを生成するために使用され、前記強化された脱炭酸高炉ガスの流れ(10)の第二の部分(16)が、前記部分燃焼リアクタ(14)を加熱するために使用される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
燃料改質プロセスが改質装置(14)内で実行されて、前記変換ガスの流れ(15、18)が生成され、前記強化された脱炭酸高炉ガスの流れの第三の部分(16)が、前記改質装置(14)を加熱するために使用される、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記脱炭酸高炉ガスの流れ(9)の80〜90%volが前記熱風炉(20)内で加熱され、および前記高炉(1)内に注入される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱された脱炭酸高炉ガスは、(a)炉床羽口(1b)を介して、または(b)炉床羽口(1b)とシャフト羽口(1c)も介して、前記高炉(1)内に注入される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
VPSA、PSA、または化学的吸収ユニット(7)が前記高炉ガスの脱炭酸に使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱風炉(20)は、前記低発熱量ガス状燃料(27)を空気(28)と燃焼させることによって加熱される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉頂ガス循環高炉での鉄の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼業界は、世界のCO排出量中の大きな比率を占める。現在、鉄鋼業によるこうした排出量、およびしたがって「カーボンフットプリント」を大幅に削減するための努力が払われ続けている。
【0003】
鋼鉄の製造方法には2種類ある:
1.鉄鉱石およびコークスが装入され、石炭等の可燃物もまた燃料および還元剤として注入され得る高炉(blast furnace)(BF)内で鉄鉱石から鉄を生産する方法;その後、このようにして生産された鉄が酸素転炉(basic oxgen furnace)(BOF)内で精錬されて鋼鉄となる。
2.電気アーク炉(electric arc furnace)(EAF)内でスクラップまたは直接還元鉄(direct reduced iron)(DRI)を溶融する方法。
【0004】
高炉方式は電気アーク炉方式よりかなり多くのCOを生成することが広く認められており、BF/BOFルートのCO排出量はEAF/DRIルートのCO排出量の約1.3倍、EAF/スクラップルートのCO排出量の約4.3倍である。
【0005】
高炉での鉄生産により生成されるCO排出量を削減するために、炉頂ガス循環高炉(top gas recycling blast furnace)(TGRBF)が開発された。TGRBFは、高炉ガス(blast furnace gas)(BFG)の実質的に全部を、そこからCOの実質的に全部を除去した後に高炉内に再注入するために使用することにより、コークス消費量およびCO排出量を削減する。TGRBFでは、従来の(TGRBF以外の)噴射空気または酸素富化噴射空気の代わりに酸素が使用される。
【0006】
TGRBFの概念の有効性は、パイロットスケール高炉を使って実証されている。高炉の炉頂ガスからCOを除去したもの(脱炭酸BFG)をリサイクルすることにより、CO排出量の約25%を削減できることが証明された。COの隔離および(例えば地中)貯留を実現できれば、CO排出量の約50%を削減できる。
【0007】
従来のTGRBF以外の高炉においては、BFの上流の熱風炉内で(任意選択により酸素富化された)噴射空気を加熱することによりエネルギー効率の改善が図られている。
【0008】
最も多くの場合、熱風炉の加熱に使用される主な燃料はBFGである。したがって、BFGがしばしば少量のコークス炉ガス(COG)または天然ガス(NG)で増熱されて、火炎温度が熱風炉内で必要なドーム温度を達成できるように十分に高められる。
【0009】
TGRBFの場合、エネルギー効率は、有利には、同様にBFの上流で脱炭酸BFGを加熱することにより向上させることができる。
【0010】
欧州特許出願公開第A−2584052号明細書には、TGRBFを含む高炉設備の特定の操業方法が記載されている。
【0011】
前記の既知の方法によれば、高炉からの炉頂ガスがCO富化プロセスガスの流れとCO減損プロセスガスの流れとに分離される。欧州特許出願公開第A−2584052号明細書による方法の例示されている好ましい実施形態によれば、燃料ガスおよび酸化性ガスがバーナに供給され、このようにして生成された高温の排ガスが再生式ヒータの加熱に使用される。燃料ガスは、低カロリテールガスと、コークス炉ガス等の高カロリガスとの混合物である。酸化性ガスは、空気または再生式ヒータからの排ガスと純酸素との混合物とすることができる。
【0012】
加熱フェーズの後、CO富化プロセスガスは加熱された再生式ヒータ内で加熱され、還元ガスとして高炉に戻される(吹込みフェーズ)。
【0013】
前記の既知の方法の1つの実施形態によれば、吹込みフェーズの開始時に再生式ヒータ内に酸化性ガスが存在しないことは、加熱から吹込みフェーズへの切り替え中に、まずバーナへの酸素供給を停止し、その一方で燃料ガス混合物を連続的にバーナに供給して、再生式ヒータ内に存在する残留酸素を使い切ることによって確実にされる。酸化性ガスの全部が再生式ヒータからなくなると、再生式ヒータへの燃料ガス混合物(および排ガス)の供給が中断され、前記再生式ヒータの吹込みフェーズを安全に開始できる。
【0014】
しかしながら、TGRBFの場合と同様に、目的は、脱炭酸炉頂ガスを可能な限り多くリサイクルすることによって、コークスの消費とそれに伴うCO生成量とを最小化することであり、通常、リサイクルされた脱炭酸BFGを加熱する熱風炉を加熱するためのBFGは、ほとんどまたは全く残らない。
【0015】
パイロットスケールTGRBFでの実証中、脱炭酸BFGは、プロパンまたは天然ガス等の補助的な高発熱量炭化水素ガス燃料を使ってペブルヒータ内で加熱された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、TGRBFのエネルギー効率を改善することである。より詳しくは、本発明の目的は、TGRBFのエネルギー効率を、リサイクルされた脱炭酸BFGを熱風炉で加熱することによって改善することである。本発明の他の目的は、リサイクルされた脱炭酸BFGを、TGRBFによって生成されたBFG以外の燃料をできるだけ使用せずに、熱風炉内で加熱することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、リサイクルされた炉頂ガスを加熱する熱風炉と、これらの熱風炉を加熱するのに有利な燃料ガスを生成するためのガス変換リアクタとを含むTGRBF設備内での鉄の生産に関する。
【0018】
本発明は、より具体的には、BFGを生成するTGRBFを含む高炉設備を操業する方法を提供し、これは、
a.生成されたBFGを脱炭酸して、CO富化リッチテールガスの流れと、COの含有量が3%vol以下の脱炭酸BFGの流れとを得るステップと、
b.高炉により生成されなかった炭化水素含有ガス状燃料を変換して、合計(すなわち、CCO+CH2)で少なくとも70%vol、好ましくは少なくとも80%vol、より好ましくは少なくとも90%volのCOおよびHと、最大で7%vol、好ましくは最大で6%volの炭化水素とを含む変換ガスの流れを生成するステップと、
c.発熱量が2.8〜7.0MJ/Nm、好ましくは5.5〜6.0MJ/Nmであり、かつ(i)テールガスの流れの一部と、(ii)変換ガスの流れの少なくとも一部とを含む低発熱量のガス状燃料を生成し、および前記低発熱量のガス状燃料を、熱風炉を加熱するために使用するステップと、
d.熱風炉内で脱炭酸BFGの流れの少なくとも70%volを700℃〜1300℃、好ましくは850℃〜1000℃、より好ましくは880℃〜920℃の温度まで加熱して、加熱された脱炭酸BFGを生成するステップと、
e.加熱された脱炭酸BFGを高炉内に注入するステップと
を含む。
【0019】
このようなTGRBFプロセスにおいて、高炉の炉頂から出るBFGを脱炭酸する前に、好ましくはそこから粉塵が除去され、いわゆる「クリーン」BFGが残る。TGRBF除塵システムは、特に水とBFGとの直接接触を通じて微細粉塵粒子を除去するスクラバおよび/または同様に微細粉塵を除去する電気集塵装置を含んでいてもよい。
【0020】
BFG、または除塵後のクリーンBFGは、CO除去システムに入り、脱炭酸される。CO除去システムは、VPSA、PSA、COをBFGから物理的に分離する吸着剤を用いるシステム、またはCOをBFGから除去するアミン等の化学的吸収剤を用いるシステムとすることができる。(クリーン)BFGの脱炭酸により、そこからCOの実質的に全部が除去され、「生成」ガス、すなわち、主としてCOおよびHからなり、COおよびNが少量である脱炭酸BFGが残る。
【0021】
TGRBFプロセスの限界内で、この生成ガスのうちの可能な限り多くが少なくとも700℃、好ましくは少なくとも900℃まで加熱されてから、それが高炉に、一般には炉床羽口において、または場合により炉床羽口と、スタックレベルのスタック羽口との両方で戻される。高炉に注入されるリサイクルされたCOおよびHは、還元ガスを生成するために通常使用されるコークスからの炭素に置き換わり、酸化鉄鉱石を還元して金属鉄にする。
【0022】
脱炭酸中にBFGから除去されるCOは一般に、ガス脱炭酸ユニットから出るテールガスの約80〜90%を占める(COおよびHは少量)。このテールガスは実質的に発熱量を有さす、したがって、不活性ガスとして使用できるか、または地中貯留のためにさらに処理できる。
【0023】
一般に、BF熱風炉は、主に可燃物としてCOおよびHを含む低発熱量ガスによって加熱されるように設計される。したがって、熱風炉を加熱するための低発熱量ガスの燃焼中に、大量の高温の燃焼ガスが生成される。熱風炉のバーナは通常、単純で堅牢な設計であり、セラミック煉瓦から製造され、低発熱量ガスを導入するための中央垂直ラインと周囲の水平空気穴とを有する。
【0024】
低発熱量ガスは一般にBFGであり、前記BFGはCOGで増熱され(5.5〜6.0MJ/Nm)、熱風炉内で十分なドーム温度を達成するのに十分な火炎温度が得られるようにしてもよい。
【0025】
COGが利用できない、または利用可能なCOGが別の用途に使用されるBF操業の場合、(COGの代わりに)NGで増熱されたBFGを使って、適当な発熱量が達成されてきた。しかしながら、「混合ガス」(BFG+NG)中に炭化水素が高い濃度で存在することにより、熱風炉のバーナおよび燃焼室において、ガス状炭化水素の燃焼特性により、激しく振動することがよくある。これらの振動は、熱風炉の設備に深刻な損傷を与えかねない。これらの振動は、少なくとも一部に、燃料中に存在する炭化水素の分解によると考えられている。BFG+COGの炭化水素の含有量は低いため、このような混合物の場合にこの問題はそれほど顕著ではない。
【0026】
したがって、炭化水素をほとんどまたは全く含まない低発熱量のガスを使用することによってのみ、BF熱風炉を確実に加熱することができる。
【0027】
例えばTGRBFの場合など、熱風炉の加熱に利用可能なBFGが不十分であるときに熱風炉が使用される場合、熱風炉を加熱するには、BFGの代わりに、炭化水素をほとんどまたは全く含まない別の低発熱量燃料を使用しなければならない。
【0028】
TGRBFの場合、例えば、CO富化テールガス(発熱量が〜1.0MJ/kg)を天然ガスまたはCOGと混合して、熱風炉のために発熱量が5.5〜6.0MJ/Nmの低発熱量ガスを生成することを考慮できる。しかしながら、その場合、テールガスの増熱に必要な天然ガスまたはCOGの量が多く、この混合物が従来の熱風炉の燃焼室で燃焼されるときに重大な振動の問題を生じるため、この選択肢は保持できない。
【0029】
この例を、5.9MJ/Nmの発熱量を必要とする熱風炉を備える高炉設備に関して、以下の表1〜4に示す。
【0030】
表1は、従来の(TGRBF以外の)高炉により生成されたBFGの一般的な組成および発熱量、COGの一般的組成および発熱量、ならびに上述の発熱量に対応するBFGとCOGとの混合物(混合ガス)の組成を示している。
【0031】
表1の最後の段は、TGRBFの場合に前記熱風炉がリサイクルされた脱炭酸BFGの流れを900℃まで加熱できるのに十分なエネルギーを提供するために必要な混合ガスの体積、ならびに前記混合ガスに含まれるBFGおよびCOGのそれに対応する体積を示している。
【0032】
発熱量が5.9MJ/Nmであり、BFGとCOGとからなる混合ガスの場合、この混合ガスには体積で5.5%の炭化水素が含まれるであろう。
【0033】
【表1】
【0034】
表2は、BFGが(COGの代わりに)NGで増熱され、それ以外の要素がすべて等しいときの状況を示している。その場合、混合ガスの炭化水素濃度は40%増加する。これに加えて、混合ガスの水素濃度は75%減少する。このような混合ガスは、その燃焼中に生成される振動により、熱風炉の加熱に適していない。
【0035】
【表2】
【0036】
TGRBF高炉においては、熱風炉内で使用するためのBFGが不十分であるため、熱風炉を使用するのであれば、代わりの低発熱量燃料を発見するか、作り出さなければならないであろう。
【0037】
表3および4は、低カロリガスがテールガス、およびそれぞれCOGと天然ガスとを使って生成され、それ以外の要素は表1に関して説明したものと同じ仮説のケースを示している。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
再び、表1に示されているBOFとCOGとからなる混合ガスと比較して、混合ガス中の炭化水素レベルがかなり高く、Hレベルがかなり低いことがわかり、それによって再び、これらの混合ガスが熱風炉の加熱に不適当となる。
【0041】
それゆえ、本発明は明確に、TGRBFの場合のように、十分なBFGが利用できない場合に高炉の熱風炉を加熱する際の使用に適した補助的な低発熱量ガス状燃料を作るための、大いに必要とされる方法を提供する。
【0042】
本発明は、TGRBFのリサイクルされた脱炭酸BFGを加熱するために、従来のBFから知られている既存の(タイプの)熱風炉を引き続き使用する方法を提供する。これは、リサイクルされた脱炭酸BFGを加熱するための、全く新しいシステムを設計することによって達成される。
【0043】
本発明の1つの実施形態によれば、炭化水素含有ガス状燃料は天然ガスおよび/またはコークス炉ガスを含む。一般に、炭化水素含有ガス状燃料は、天然ガスもしくはコークス炉ガス、またはその混合物からなる。
【0044】
炭化水素含有ガス状燃料を変換する1つの方法は、その部分燃焼である。炭化水素含有燃料の別の変換方法は、燃料改質プロセスの利用である。これらの方法はまた、組み合わせても使用できる。
【0045】
そのため、当技術分野では改質プロセスを使ってBFGを改善することが知られている。
【0046】
米国特許第3,884,677号明細書は、炭化水素、好ましくは油を使って、BFG中のCOを炭化水素と反応させて、生成ガス中に高炉に戻されるCOがほとんど残らないようにすることによって高炉ガスを「再生」することを教示している。CO除去プロセスは、従来のプロセスを通じて遂行され、リサイクルガスのCO含有量を低化させるための(V)PSAまたは化学的吸収剤を使用しない。このプロセスの最大の欠点は、反応の実行に高炉ガスの約1/2が燃料として必要であることである。その結果、リサイクルのための残りのBFGはより少なく、したがって、置き換え可能なコークスの量が限定される。しかしながら、BFGの約1/2が「再生」されるが、処理しなければならないガスの総量はかなり多く、すなわち800〜1000Nm BFG/thm程度である。これによって、膨大な量のガスを処理できるリアクタを建造するために相当な資本投入が必要となる。
【0047】
米国特許出願公開第2011/0209576 A1号明細書は、固体炭化水素の使用を教示しており、これはまず、フラッシュ脱蔵されて合成ガスが作られ、それが回収された炉頂ガスを改質プロセスにより処理するために使用される。この発明の目的は、BFG中のCOをCOに変換する代わりに、フラッシュ脱蔵ユニット内で作られた合成ガスで改質することによって、(V)PSAまたは化学的吸収ユニット等のCO除去システムを不要にすることである。この発明は、米国特許出願公開第2011/0209576 A1号明細書に、必要な資本投資額は(V)PSAに必要な額より小さいとの記載はあるものの、大量のBFGを変換する必要があり、実質的な投資を要するという点で、米国特許第3,884,677号明細書と同じ問題を有する。
【0048】
本発明に関連して、炭化水素含有燃料を改質するための1つの考えられる方法は、蒸気改質である。炭化水素含有燃料の好ましい改質方法では、改質剤としてCOを使用する。これは当技術分野で、乾式改質として知られる。本発明によれば、乾式改質(COを使用)は、COG、NG、または高炉により生成されない他のあらゆる炭化水素燃料等の炭化水素含有ガス状燃料を改質するために既知の方法で使用できる。その場合、改質プロセスは好ましくは、COを豊富に含む(一般に80〜90%vol)テールガスを使って炭化水素含有燃料を処理し、COおよびHを豊富に含むガスを生成し、これは、前記ガスをテールガスで希釈して熱風炉燃焼と適合する程度まで発熱量を下げた後に容易に熱風炉内で燃焼できる。本発明によれば、好ましくはテールガスの状態の蒸気とCOとの両方を、変換ガスの流れを生成するための改質剤として使用することも可能である。
【0049】
低発熱量のガス状燃料は、変換ガスの流れの全部または少なくとも一部とテールガスの流れの一部との混合物からなっていてもよく、テールガスで変換ガスが希釈され、それによって発熱量が熱風炉の安全な動作に必要なレベルまで下がる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、熱風炉の上流で、変換ガスの流れの少なくとも一部が脱炭酸BFGと混合されて、強化された脱炭酸BFGの流れが得られる。脱炭酸BFGを強化することによって、生成ガスの水素含有量が増大して高炉プロセスが改善され、水素は高炉の安定化に役立つことが知られているため、スムーズな還元プロセスが提供される。
【0051】
この場合、低発熱量ガス状燃料は、強化された脱炭酸BFGの流れの第一の部分を含むか、それからなっていてもよい。部分燃焼リアクタ内での炭化水素含有ガス状燃料の部分燃焼を使って変換ガスの流れを生成する場合、強化された脱炭酸BFGの流れの第二の部分が、部分燃焼リアクタを加熱するために使用されてもよく、この場合、前記第二の部分は好ましくは空気と燃焼する。燃料改質プロセスが改質装置内で行われて、変換ガスの流れが生成される場合、強化された脱炭酸BFGの流れの第三の部分は、例えば前記第三の部分を空気と燃焼させることによって、改質装置を加熱するために使用されてもよい。これに関して、強化された脱炭酸BFGの流れの第一、第二および第三の部分への言及は、単に前記部分の異なる用途を区別するためのものにすぎない。「第二の部分」への言及は、必ずしもプロセス内で「第一の部分」も使用されることを必要とするとはかぎらず、また、「第三の部分」への言及も、必ずしも「第一の部分」および/または「第二の部分」も使用されることを必要とするとはかぎらない。しかしながら、本発明によれば、前記「第一の部分」、「第二の部分」および「第三の部分」を如何様に組み合わせて使用することも完全に可能である。
【0052】
それゆえ、本発明によれば、高炉ガスから得られる、例えば(V)PSAにより生成され、COを85〜95%vol含むテールガスを使って炭化水素含有ガス状燃料、例えばコークス炉ガスおよび/または天然ガスを改質して、リサイクルされた脱炭酸BFGをそれが高炉に注入される前に強化することが可能となる。本発明のこの実施形態では、高発熱量ガス(炭化水素をほとんどまたは実質的に全く含まない)を提供するのに十分な余分の脱炭酸BFGが提供され、これはその後、残りのテールガスと混合して、熱風炉を加熱するための低発熱量燃料を作ることができる。それと同時に、リサイクルされた脱炭酸BFG中の水素の割合が高められ、それによってコークスの消費量をさらに削減し、それゆえ、全体としてのCO排出量も削減できる。
【0053】
有利には、脱炭酸BFGの流れの100%vol未満がリサイクルされ、高炉内に注入される。好ましくは、脱炭酸BFGの流れの80〜90%volが熱風炉内で加熱されて、高炉へと注入される。
【0054】
TGRBFの成功は、可能な限り多くの脱炭酸BFGをリサイクルする能力に依存する。しかしながら、BFGのリサイクルにより、高炉プロセスにおいて窒素蓄積等の新たな問題が生じる可能性がある。窒素には高炉内で多くの用途があり、例えば、(i)微粉炭を羽口まで運ぶため、(ii)器具のパージ、(iii)ロックホッパに供給される材料の加圧等に使用され、表1〜4に示されているように、従来のBFの場合のように空気または酸素富化空気の代わりに酸素で操業されるTGRBFの場合でも、BFGには幾分かの窒素が含まれる。BFG中の窒素のほとんどは、炉頂から出て、ガスクリーニングシステム(存在する場合)を通り、CO除去システムを通り、それが脱炭酸BFGと共に高炉に戻る。それゆえ、脱炭酸BFGのリサイクルにより、TGRBFのガス循環路内の窒素蓄積物は還元ガスを希釈し、その結果、生産性が損なわれるか、または生産性を保つために高炉の燃料率を増大させることが必要になる可能性がある。脱炭酸BFGの一部のパージ、すなわち、脱炭酸BFGの前記部分を高炉に戻さないことによって、BFG内のこのような窒素の蓄積を防止することが可能である。
【0055】
本発明の、および特に変換ガスの流れの全部または少なくとも一部が脱炭酸BFGと混合されて脱炭酸BFGが強化される実施形態の特定の利点は、本発明のプロセスにより、脱炭酸BFGを高炉にリサイクルすることと熱風炉を加熱することとの両方のために、十分な炉頂ガスおよびしたがって脱炭酸BFGも提供されることである。
【0056】
加熱された脱炭酸BFGは、炉床羽口を介して、および任意選択によりシャフト羽口も介して、高炉内に注入されてよい。
【0057】
前述のように、VPSA、PSA、または化学的吸収ユニットがBFGの脱炭酸に使用されてもよい。
【0058】
熱風炉を加熱するために、低発熱量ガス状燃料は、いずれの適当な燃焼酸化剤で燃焼されてもよく、これは一般には空気である。
【0059】
本発明は、利用可能なCO除去技術の使用を活用する。比較的少量のガス、すなわち炭化水素含有ガス状燃料が変換されて、COおよびHを豊富に含むガスが生成され、これは他のテールガスで希釈された後に熱風炉内で直接使用でき、および/またはCO除去ユニットからの脱炭酸BFGと混合して、リサイクルガスをH富化し、それによって高炉内での還元をより容易にするために使用できる。
【0060】
COおよびH富化ガスがCO除去ユニットからの脱炭酸BFGと混ざると、より高発熱量の富化された脱炭酸BFGが生成され、その一部を、残りのテールガスの一部で希釈した後に熱風炉を加熱するために使用できる。高炉に注入される残りのリサイクルされた脱炭酸BFGは、その脱炭酸BFGの全部を単にリサイクルするTGRBFと少なくとも同じコークス比低減を実現するのに十分である。その目的は、熱風炉を加熱するために十分なCO+H富化ガスを提供し、それと同時に、すべての生成ガスを実質的にリサイクルすることによって予想される当初の大幅なコークス比の低減を維持することである。
【0061】
本発明とその利点とは、図1および2に関して説明されている以下の例を読めば、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明によるプロセスの2つの実施形態の概略図である。
図2】本発明によるプロセスの2つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、本発明の好ましい実施形態を示している。高炉1には、炉頂からコークスおよび鉄鉱石2が装入され、これが高炉1内で降下する。実質的に純粋な酸素22、微粉炭(または他の有機可燃物質)23が、リサイクルされた脱炭酸高炉ガス(生成ガスとも呼ばれる)21と共に炉床羽口1bに注入される。任意選択により、リサイクルされた生成ガスの一部29がシャフト羽口1cに注入され、高炉内で炉床羽口において生成されたガスと組み合わされて、還元ガス1dを生成し、これは高炉1内で上昇して鉄鉱石およびコークス2と接触し、鉄鉱石に含まれる酸化鉄を還元して金属鉄とする。この金属鉄は、引き続き高炉1の底部へと降下して、そこで酸化物の不純物を含むスラグと共に除去(排出)される1a。高炉ガス(BFG)3は高炉1から出て、初期除塵ユニット4へと移動し、そこで、粉塵中の大型粒子が除去される。続いて第二の除塵システム5へと進み、これは粉塵の微粒子を除去して「クリーンガス」6を生成する。クリーンガス6は、任意選択で脱水され、その後、CO除去システム7に入る。CO除去システム7は、真空圧力スイング吸着システム(vacuum pressure swing adsorption system)(VPSA)、圧力スイング吸着システム(pressure swing adsorption system)(PSA)、または化学的吸収システム、例えばアミンベースの吸収システム、または(クリーン)BFGからCOを除去する他のあらゆる種類のシステムとすることができる。現実的に除去不可能な部分(<10%vol)を除き、COの実質的に全部が7で除去される。
【0064】
クリーンガスの流れ6はCO分離中に2つの流れ、すなわちCO富化テールガス8とCO減損生成ガスまたは脱炭酸BFG 9とに分割される。CO富化テールガス8は補助的な燃料ガス10、および必要に応じて流れ10aと混合されてガス組成物11を提供し、これを改質または部分燃焼して、(a)熱風炉を加熱するための低発熱量燃料中での使用、および(b)高炉内にリサイクルするための脱炭酸BFG 9との混合に適した(以下参照)、所望の(低炭化水素の)CO+H含有混合物が生成される。改質または部分燃焼プロセス中で使用されるCO富化テールガスの量は、使用されるプロセス、混合物の処理(改質および/または部分酸化)プロセス、およびリアクタ14内の圧力に依存する。リアクタ14内で、および低発熱量燃料中で使用される(以下参照)テールガス8の量はバルブ8bおよび25aを用いて調整され、これはまた、システムから出る(パージ)テールガス8aの量も決定する。
【0065】
CO減損生成ガスの流れ(脱炭酸BFG)9は、CO除去システム7から上昇した圧力(一般に4〜8bar)で排出され、NGまたはCOGの改質および/または部分酸化から得られる合成ガス(変換ガス)18で強化され、前記合成または変換ガスは主としてリアクタ14からのCOおよびHからなる。COGまたはNG 10と(任意選択による)流れ10aおよびCO富化テールガス8は通常、14内で行われる改質および/または部分酸化プロセスの反応速度を改善するために加圧する必要がある。これらのガスの加圧はコンプレッサ12によって行われ、加圧されたガス混合物13が生成されて、これらがリアクタ14内で改質および/または部分燃焼される。ガス13を、COとHとを豊富に含む混合物(流れ15)に変換した後に、ガス15は、高炉への注入に適した圧力まで減圧する必要があり得る。これは、ガスエキスパンダ17を用いて達成される。エキスパンダの入口と出口との間の圧力低下に応じて、エキスパンダ17からのエネルギーを使って発電できる。
【0066】
強化されたガスの流れ19は、流れ9を流れ18と混合することから得られる。流れ19の一部26は、分岐されて熱風炉を加熱するための低発熱量燃料として使用されることになる「混合ガス」27を作る。流れ19の、混合ガス27に使用されるこの部分26は、バルブ26aを使って調整される。混合ガス27は、熱風炉20の加熱に適した発熱量を有する。混合ガス27は、CO富化テールガスの一部25を使って生成され、その部分25の流速は、流れ19の一部26と混合されるようにバルブ25aにより調整される。混合ガス27の発熱量は一般に低く(5.5〜6.0MJ/Nm)、混合ガスは、(a)熱風炉の燃焼室内の振動を防止するために炭化水素の含有量が低く、(b)スムーズな燃焼を容易にするためにCOおよびHの含有量が高い。流れ19の他の部分(流れ16)は、リアクタ14を加熱するための燃料として使用される。流れ16の流速は、バルブ26bを使って調整される。空気の流れ28は、熱風炉を加熱するための流れ27を燃焼させるための酸化剤として使用され、空気の流れ24は、リアクタ14を加熱するための流れ16を燃焼させるための酸化剤として使用される。
【0067】
強化されたガスの流れ19は熱風炉20内で加熱されて、700℃より高く、1300℃もの高さの温度のガスの流れ21および29が生成される。しかしながら、高炉までのパイプラインをライニングする酸化物耐火材が減少する可能性を防止するために、流れ21の好ましい温度は850℃〜1000℃、より好ましくは880℃〜920℃である。ガスの流れ29は、特定のTGRBFの構成に応じて使用されてもされなくてもよい。流れ21および29間の流速の分配はバルブ30によって制御される。
【0068】
図2は第二の実施形態を示しており、高炉1に炉頂からコークスおよび鉄鉱石2が装入され、それが高炉内で降下する。実質的に純粋な酸素22、微粉炭(または他の有機可燃物質)23が、リサイクルされた脱炭酸高炉ガス(生成ガス)21と共に炉床羽口1bに注入される。任意選択により、リサイクルされた生成ガスの一部29がシャフト羽口1cに注入され、高炉内で炉床羽口において生成されたガスと組み合わされて、還元ガス1dを生成し、これは高炉1内で上昇して鉄鉱石およびコークス2と接触し、鉄鉱石に含まれる酸化鉄を還元して金属鉄とする。この金属鉄は、引き続き高炉の底部へと降下して、そこで酸化物の不純物を含むスラグと共に除去(排出)される1a。高炉ガス(BFG)3は高炉1から出て、初期除塵ユニット4へと移動し、そこで、粉塵中の大型粒子が除去される。続いて第二の除塵システム5へと進み、これは粉塵の微粒子を除去して「クリーンガス」6を生成する。クリーンガス6は、任意選択で脱水され、その後、CO除去システム7に入る。CO除去システム7は、真空圧力スイング吸着システム(VSPA)、圧力スイング吸着システム(PSA)、およびアミン等の化学的吸収システム、または「クリーンガス」からCOを除去する他のあらゆる種類のシステムとすることができる。現実的に除去不可能な部分(<10%)を除き、COの実質的に全部が7で除去される。
【0069】
クリーンガスの流れ6はCO分離中に2つの流れ、すなわちCO富化テールガス8とCO減損生成ガス(脱炭酸BFG)9とに分割される。CO富化テールガス8は補助的燃料10、および必要に応じて流れ10aと混合されてガス組成物11を提供し、これを改質または部分燃焼して、熱風炉を加熱するための低発熱量燃料中で使用するための所望の(低炭化水素の)CO+H混合物が生成され得る。改質または部分燃焼プロセス中で使用されるCO富化テールガスの量は、使用されるプロセス、混合物の処理(改質または部分酸化)プロセス、およびリアクタ14内の圧力に依存する。そのために使用されるテールガス8の量はバルブ8bおよび25aを用いて調整され、これはまた、システムから出るテールガス8aの量も決定する。
【0070】
CO減損生成ガスの流れ9は、上昇された圧力(一般に4〜8bar)でCO除去システム7から出て、高炉内でリサイクルされる部分19とリアクタ14とを加熱するために使用される別の部分16に分割される。COGまたはNG 10および流れ10aと、CO富化テールガス8とは通常、リアクタ14内で起こる改質または部分酸化プロセスの反応速度を改善するために加圧する必要がある。これらのガスの加圧はコンプレッサ12で行われ、加圧されたガスの混合物13が生成され、これはリアクタ14内で改質および/または部分燃焼される。ガス13をCOおよびHを豊富に含む混合物(流れ15)に変換した後、ガスの流れ15は、高炉内に注入するのに適当な圧力に減圧する必要があり得る。これは、ガスエキスパンダ17を使って行われる。ガスエキスパンダ17の入口と出口との間の圧力低下に応じて、エキスパンダからのエネルギーを発電に使用できる。COおよびH富化の流れ15が17で膨張されて、今度はCOおよびHが適切に豊富であり、かつ炭化水素が十分に減損した流れ18となった後に、これは、熱風炉内で使用されるのに十分に低い発熱量(5.5〜6.0MJ/Nm)(流れ27)とするために、COリッチな流れ25と混合される。空気の流れ28は、熱風炉を加熱するための燃焼酸化剤の流れ27として使用され、空気の流れ24は、リアクタ14を加熱するための燃焼酸化剤の流れ16として使用される。
【0071】
生成ガスの流れ19は熱風炉20内で加熱されて、700℃より高く、1300℃もの高さの温度のガスの流れ21および29が生成される。しかしながら、高炉までのパイプラインをライニングする酸化物耐火材が減少する可能性を防止するために、流れ21の好ましい温度は850℃〜1000℃、より好ましくは880℃〜920℃である。ガスの流れ29は、特定のTGRBFの構成に応じて使用されてもされなくてもよい。流れ21および29間の流速の分配はバルブ30によって制御される。
【0072】
表5は、一方で、欧州においてパイロットスケールで実証された先行技術のTGRBFと、他方で、図1に示されるような本発明の好ましい実施形態によるTGRBFとの違いを、改質された天然ガスおよび改質されたCOGがリサイクルされた炉頂ガスの強化に使用される場合の両方について示す。
【0073】
この例は、TGRBFの性能を計算するために最初に使用された高炉モデルを使って、実際の高炉データから、還元効率と熱損失とを考慮して計算された。
【0074】
このモデルは、加熱された(900℃)リサイクルガスの50%を炉床羽口から、および50%をシャフト羽口から注入するTGRBFをシミュレートしている。
【0075】
次に、熱風炉の動作に関する本発明の利点を説明するために、TGRBFの動作を、FeOレベルで同じガス利用、同じ熱損失総量、および下側高炉での熱損失の同じ割合の好ましい実施形態を含むようにモデル化した。
【0076】
COGの水素含有量により、コークス比の最大の削減は、本発明の好ましい実施形態において教示されているように、改質されたCOGを使用するTGRBFについて予測される。COGと共に本発明を使用した場合には、25kg/thmのコークス比削減が期待される。改質された天然ガスを使用した場合にも大幅なコークス比削減を達成でき、本発明によって21kg/thmのコークス比削減を予測できる。
【0077】
表5に示される3つのケースのすべてにおいて、レースウェイ断熱火炎温度(RAFT)と炉頂温度とは、高炉操業者により一般に受け入れられている限度内である。しかしながら、表5の基準TGRBFは、RAFT(2300℃)と炉頂ガス温度(200℃)との両方において、その最大限度で動作している。好ましい実施形態を使ったTGRBFに関して計算された予測は、RAFTが一般に合意されている最大値より十分に低く、高炉がより快適に動作することを示している。本発明の好ましい実施形態を用いたTGRBFには、供給する必要がある酸素がより少ない。
【0078】
表5はまた、COGまたはNGから改質され、脱炭酸高炉ガスを強化するために使用される余分なガスによって、リサイクル比全体(表5の最後の段)が80.0〜81.5%までどのように低下するかも示している。これにより、
・熱風炉を加熱し、
・改質装置を加熱し、
・還元の反応速度を改善する
ために十分な残留ガスが得られる。
【0079】
これは、より大幅なコークス比削減を実現するために90%より多くをリサイクルする必要のある基準TGRBFと対照的である。リサイクルされた供給ガスの残留分(〜10%)は、熱風炉の加熱には不十分であり、この場合、熱風炉の加熱に燃料(COGまたはNG)を使用することが必要となるであろう。
【0080】
【表5】
図1
図2