(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
解放型構成において、前記リーフレットの間に形成されるポケットを更に備え、前記ポケットは前記流出端に向かっており、前記リーフレットの前記関節動作式端及び前記流出面によって、境界が付けられる、請求項1に記載の人工弁。
前記環状フレームが配達装置上の取付けのために放射方向に折り畳まれた状態へ折り畳まれ、人体内で放射方向に拡張された状態へ拡張されるように構成された、折り畳み可能で且つ拡張可能な環状フレームである、請求項1に記載の人工弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人工弁は、一般に円筒状ステントのようなフレーム及びリーフレットから成る。
リーフレットは、概して固定された流入
縁を有する。流入端は円筒状フレームの内側円周に沿って連続的に縫合される。すべてのリーフレットが開いて、人工弁フレームの内側表面に寄りかかるときに、血液は単一で且つ円形チャンネルを生成する人工弁の中を流れる。
逆にいえば、自然の心臓弁と同様に、リーフレットが内向きに偏向されて、各々に対して固定されるときに、人工弁は閉じられる。残念なことに、人工弁は弁周囲逆流(paravalvular leaks: PVL)、又は、人工弁の外側周辺での血液漏れを生じさせる場合がある。従っ
て、PVL及び/又は人工弁を通過する逆流の他の原因を最小化するステント装着された生体弁に対するニースが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において人工弁の実施形態が記載されており、それはステント/フレームと、フレーム内に装着されたバルブ部材とを含む。バルブ部材は、複数のリーフレットを含み、複数のリーフレットのそれぞれは、フレームの内側円周に沿って角度的に離間した継ぎ目タブの間でステント/フレーム・ルーメンを横切って延在する流入
縁及び関節動作式端を有する。隣接するリーフレットは、これらの流入
縁に沿って互いに固定されることができ、関節動作式端は血液の前方の流れで流出方向に流入
縁から突出している構造を有する。解放型構成において、リーフレットは人工弁を通る血液の前方の流れによって、内側へ放射方向に折り畳まれることができる。それによって、リーフレットの流入
縁とフレームとの間に複数の別個の流量領域が生成される。閉鎖型構成において、リーフレットの関節動作式端は血液の逆流によって外側へ放射方向に押し付けられ得る。それによって、複数の別個の流量領域が閉じられる。
【0007】
一つの態様において、バルブ部材と、流入端、流出端及び流入端から流出端まで延在する縦軸を有する環状フレームとを有する人工弁が提供される。バルブ部材は、環状フレーム内に載置されることができて、複数の柔軟なリーフレットから成ることができる。バルブ部材は、環状フレームの流入端と流出端との間に位置できる。各リーフレットは、流入面、流出面、実質的に非関節動作式流入端及び少なくとも一つの関節動作式流出端から成ることができる。隣接するリーフレットは、それらのそれぞれの流入
縁に沿って互いに貼り付けられることができる。解放型構成において、リーフレットは人工弁による血液の前方の流れによって、内側へ放射方向に折り畳まれ得る。それによって、リーフレットの流入
縁とフレームとの間に複数の別個の流量領域が生成される。閉鎖型構成において、リーフレットは血液の逆流によって外側へ放射方向に押し付けられることができる。それによって、複数の別個の流量領域を閉じる。
【0008】
幾つかの実施形態では、流入
縁のそれぞれがフレームの内側円周から離れて円周方向に離間する2つの箇所の間に延在する。隣接するリーフレットの流入
縁は、その箇所の間に延在する機械式サポート部材を用いることなく、直接結合され得る。
【0009】
幾つかの実施形態では、解放型構成において、ポケットはリーフレット間に形成される。そして、それは流出端に向かっており、リーフレットの関節動作式端及び流出面によって境界が付けられている。幾つかの実施形態では、ポケットに入る逆流が外側へ放射方向にリーフレットを押し付けるようにポケットが構成できる。
【0010】
幾つかの実施形態では、解放型構成において、流入
縁及びリーフレットは、一緒に三点星状の配置(star arrangement)を形成する。
【0011】
幾つかの実施形態では、閉鎖型構成において、関節動作式端は、フレームの内側表面に沿って並んでいる裾部及び/又はフレームと接触する。
【0012】
幾つかの実施形態では、閉鎖型構成において、流出面は人工弁の流出端に向かっており、流入面は人工弁の流入端に向かっている。
【0013】
幾つかの実施形態では、環状フレームは、折り畳み可能で且つ拡張可能な環状フレームである。そのフレームは、配達装置(delivery apparatus)上への取付けのため、放射方
向に折り畳まれた状態へ折り畳まれ、人体内部で放射状に拡張された状態へ拡張されるように構成され
る。
【0014】
幾つかの実施形態では、リーフレットの流入
縁はフレームに隣接する外側の縁部分を有する。そして、流入
縁は中央ハブを画定する。そして、中央ハブは人工弁の縦軸に対して外側の縁部分と実質的に同じ縦位置に位置する。
【0015】
別の態様においては、人工弁を介して血液を送る方法が提供される。その方法は、フレームと、フレームの流入端と流出端との間に位置する複数のリーフレットとを有する人工弁を形成するステップを備える。各リーフレットは、流入面と、流出面と、流入
縁と、少なくとも一つの関節動作式流出端と、を有することができる。方法には、人工弁を通る血液の前方の流れができるように内側へ放射方向に複数のリーフレットを折り畳むステップと、人工弁を通る血液の逆流を実質的に防止するためにフレームの内側表面に向けてリーフレットを放射方向に外側へ拡張するステップと、を更に備える。
【0016】
幾つかの実施形態では、ポケットは折り畳まれたリーフレットの間に形成される。そこにおいて、ポケットは流出端に向かっている。
【0017】
幾つかの実施形態では、拡張するステップは、流入面を流入端に向かわせるステップと、流出面を流出端に向かわせるステップと、を備える。
【0018】
幾つかの実施形態では、拡張するステップは、各リーフレットの関節動作式端のうちの少なくとも1つをフレームの内側に沿って並んでいる裾部及び/又はフレームと接触させるステップを備える。
【0019】
幾つかの実施形態では、拡張するステップは、逆血流をポケットに入れて、リーフレットを外側へ放射方向に押し付けるステップを備える。
【0020】
幾つかの実施形態では、折り畳むステップはリーフレットとフレームの内部との間に複数の別個の流量領域を生成する。
【0021】
別の態様においては、フレームと、フレームの流出端と流入端との間に位置する複数のリーフレットと、を有する人工弁を患者の体に移植するステップを備える、人工弁の移植方法が提供される。第1方向における気圧勾配によって、人工弁を通る血液の前方の流れを可能とするために人工弁の複数のリーフレットが内側へ放射方向に折り畳まれ得る。第2方向における気圧勾配によって、人工弁による血液の逆流を実質的に防止するために複数のリーフレッが外側へ放射方向に拡張させられ得る。
【0022】
幾つかの実施形態では、第2方向における気圧勾配は、リーフレットの流入面を人工弁の流入端に向かわせると共に、及びリーフレットの流出面を人工弁の流出端に向かわせる。
【0023】
幾つかの実施形態では、第2方向における気圧勾配によって、各リーフレットの少なくとも一つの関節動作式端が人工弁のフレーム及び/又はフレームの内側に沿って並んでいる裾部と接触する。
【0024】
幾つかの実施形態では、複数のリーフレットを拡張するステップはリーフレットの間に形成されるポケットを拡張ステップであって、ポケットが人工弁の流出端に向かっているステップを備える。
【0025】
幾つかの実施形態では、複数のリーフレットが放射方向に折り畳まれるステップによって、リーフレットの間に複数の別個の流量領域が生成される。
【0026】
開示された技術の前述の、そして他の、目的、特徴及びメリットは、添付の図面を参照して成された以下の詳細な説明からより明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において開示される人工弁の一実施形態は、ルーメンを画定するステント/フレームと開くために内側に撓曲し、閉じるために外側に撓曲することができる複数のリーフレットを有する。リーフレットは、フレームに円周方向に縫合された輪郭を示す流入
縁を有するよりはむしろ、フレームの内側円周に沿って離れて円周方向に離間された継ぎ目タブ間にルーメンを横切って外部へ延在する各流入
縁を有することができる。各流入
縁は、隣接するリーフレットの流入
縁に、その長さに沿って縫合される(又は取り付けられる)ことができる。このように、別個の流量領域は、各リーフレット流入
縁と内部ステント壁との間に生成され得る。リーフレットの関節動作式端は前方の血流で流出方向にそれらの各流入
縁から突出できる。人工弁の流入端と流出端との間の流体圧差に応じで、リーフレットはこのように解放位置と閉鎖位置との間で移動できる。
【0029】
血液が流出方向に流入端から人工弁を通って流れるときに、リーフレットはルーメンの中心に向かって内側へ放射方向に互いに押しつけられ得る。それによって、リーフレットの流入
縁とフレームとの間に別個の流通通路が画定される。(流入方向に流出端からの)逆血流は流出端に向かっている(ルーメンの中心へ向かう)リーフレット間の隙間に入ることができ、外側へ放射方向に関節動作式端を押し付けて、人工弁を閉じる。この閉鎖型構成において、リーフレットは、逆流に対する様々な潜在的リーク経路、例えばリーフレットと裾部との間に位置する空間及び/又はリーフレット間のいかなる空間を効果的に密閉できる。
【0030】
追加構造要素が随意的に含まれて協調するか又はリーフレットの放射方向の動きを補助することができるが、このような追加要素は本明細書において必要でない。このように、各種実施形態において、機械的アーム、ばね、支柱(strut)又は他の付属物を用いずに、リーフレットは、閉鎖型構成を帯びるために外側へ放射方向に拡張することができて、解放型構成を帯びるために、内側へ折り畳まれ得る。特に、隣接するリーフレットの流入
縁は、その間(例えば、フレームの内側円周に沿って離れて円周方向に離間する2の箇所の間に)に延在する(アーム、支柱、ばね、又は他の付属物のような)機械式サポート部材を用いることなく互いに直接結合されることができる。
【0031】
人工弁10は自然の大動脈の体循環(aortic annulus)に配置されるのに適している。
但し、心臓(僧帽弁、肺動脈弁及び/又は三尖弁)の他の自然弁を交換するのにも適していることができるあることができる。更に、人工弁10は、人体、例えば静脈弁(venous valve)内の他の弁を交換するのに適していることもできるあることができる。
【0032】
図1〜
図2を参照すると、一実施形態によれば、人工弁10は、縦軸Z(
図1)を画定する流入端14及び流出端16を有する環状フレーム又はステント12と、環状フレーム又はステント12に取り付けられた裾部18と、を備えることができる。裾部18は、示されているようにフレーム12内に配置される環状裾部であることができる。裾部18は、ファブリック(fabric)、組織(tissue)、膜(membrane)又は他の材料から成ることができ、フレーム12との直接接触から生じ得る破損又は損傷からリーフレット20を保護できる。必要に応じて、外側裾部(図示せず)は、例えば、自然の体環(annulus)に対してフレーム12を封止することを容易にし、且つ/又は自然の体環に対する損傷を低減するために、フレーム12の外側周辺に固定されることができる。幾つかの実施形態では、内側裾部及び外側裾部が一体となっており、他の実施形態では2つ以上の部材が使用される。
【0033】
人工弁の流入端14と流出端16との間に、複数の柔軟なリーフレット20から成るバルブ部材が位置する。
図3〜
図5及び
図7に示すように、各リーフレット20は2つの継ぎ目タブ22を備えることができ、継ぎ目タブ22はフレーム12の内側円周に沿って離れて角度的に離間している。例えば縫合材40によって裾部18は、フレーム12に固着できる。各継ぎ目タブ22は、巻き上げられることができて、リーフレット20のそれぞれの継ぎ目を画定するように、例えば縫合材によって、隣接するリーフレットの継ぎ目タブに連結していることができる。継ぎ目タブ22は、フレーム12及び/又は裾部18に縫合されることもできる。図に示すように、人工弁10は、三尖弁配置の一組の3枚のリーフレット20を有することができる。他の実施態様において、人工弁10は、異なる数のリーフレット(例えば2枚のリーフレット(例えば、二尖弁配置)又は4枚のリーフレットを有することができる。
【0034】
リーフレット20のそれぞれは、流入面24、流出面26、継ぎ目タブ22間に延在する流入
縁28(
図4及び
図7)、及びと少なくとも一つの関節動作式端30(
図1、
図3及び
図5)を更に備えることができる。関節動作式端30は、血液の前方の流れで流出端16の方向に流入
縁28から突出するように構成されることができる。
図4及び
図7に示すように、例えば(流入
縁28に対して垂直の)横方向の縫合材36及び/又は当業者に知られている他のいかなる生物学的適合性の接着剤によって、隣接するリーフレット20はそれぞれの流入
縁28の付近で各々に確実に取り付けられることが可能である。横方向の縫合材36は、長手方向の縫合材(流入
縁28の方向に)(図示せず)を随意的に伴うことができる。このように、様々な実施形態において、流入
縁28は、実質的に非関節動作式である。
図4及び
図7に示すように、各リーフレットの流入
縁28は、その他の2枚のリーフレットの流入
縁に固定されることができる。特に、隣接する流入
縁28は、補強層38によって覆われることができ、流入
縁28及び補強層38を通過する縫合材で、リーフレット20を一緒に固定するのを助ける。以下詳細に説明されるように、補強層38は、例えば、ファブリック(例えば、編まれたポリエチレンテレフタレート(PET)、DACRON(登録商標))、組織層、又は裾部18を形成するために用いる様々な他の材料のいずれかであることができる。
【0035】
流入
縁28のそれぞれは、フレーム12から人工弁の中心までそしてフレーム12に戻るある角度を成す経路(course)をたどることができる。(3枚のリーフレット20を有する人工弁10のために)示されたように、人工弁10の中心で各リーフレット20によって画定される角度は約120°であることができ、これらの角度の総合は約360°であることができる。他の実施態様において、流入
縁のある角度を成す経路は、互いに異なるが、まだ合計360°になる。幾つかの実施形態において、3枚のリーフレットより大きいかより少なく、それに伴ってある角度を成す経路は変更される。例えば、人工弁は90°の角を成す各々の経路をたどる流入
縁を有する4尖弁配置の4枚のリーフレットを有することができる。
【0036】
図示の実施形態では、流入
縁28は、一緒にZ軸に対して略垂直な平面を画定する。
図7及び
図8において最もよく示されているように、リーフレットのうちの流入
縁28のハブ42がそれらの縁部分44と実質的に同じ縦方向の位置である。他の実施形態(例示せず)において、ハブ42は、例えば、流入
縁の縁部分44に対して流入端14又は流出端16へ向かって長手方向にずれている。ハブ42が長手方向においてずれた幾つかの実施形態は、例えば、中央ハブ42が長手方向にずれていない類似の人工弁10と比較して改良された放射方向における圧縮性を発揮する。その理由は、たとえば、縫合材36及び/又は強化ファブリック38が縦方向におけるより大きな距離を持って散布され、その結果より密集しないからである。幾つかの実施形態では、少なくとも一つの縁部分44は、長手方向に変位される。
【0037】
ハブ42が流入端14の方へずれている幾つの実施形態において、中央ハブ42は、フレーム12のいかなる部分よりもより上流に延在する。他の実施態様において、ハブ42及びフレーム12の最も上流の部分は、実質的に同じ縦方向の位置を有する。他の実施態様において、ハブ42は、フレーム12の最も上流の部分の下流に配置される。以下において詳述するように、流入
縁28の幾つかの実施形態は、追加サポート部材を備えている。例えば幾つかの実施形態において、流入
縁28の一つ以上の部分、例えばハブ42が、例えば、縫合、スレッド、ファイバー又はワイヤを用いる放射方向に拡張される構成においてフレーム12から吊るされている。
【0038】
ハブ42の幾つかの実施形態はフレーム12の中心から放射方向にずれており、例えば、その場合にはフレームが卵形又はD形の非円形であり、且つ/又は、ずれた流れの軸(offset flow axis)が要求される。放射方向におけるオフセットは、上述したハブ42及
び/又は上記の縁部分の縦方向のオフセットと組み合わせられる。
【0039】
図1及び
図3において最も良く示されているように、関節動作式端30は、リーフレット20の各々の継ぎ目タブ22の間のほぼ中間地点を有する輪郭付けられた経路の各々をたどることができる。あるいは、関節動作式端30の頂点は、2つの継ぎ目タブ22のうちの1つの継ぎ目タブにその他の継ぎ目タブ22より近接して位置できる。
【0040】
様々な実施形態において、単一の湾曲した関節動作式端30を有することに替えて、一以上のリーフレット20がリーフレット20の形状に応じて、例えば2、3又は4つの関節動作式端のように、関節動作式端を多数にすることができる。このように、実施形態によっては、リーフレット20は、単一の流入
縁28と、例えば2、3、4又は5つの関節動作式端の複数の関節動作式端とを有し、多角形の形であることができる。幾つかの実施形態では、関節動作式端30は自由縁部(すなわち、連結構造を有しない)であるが、他の実施形態では、関節動作式端30はコード又は他の構造に連結されている。幾つかの実施形態では、一つ以上のリーフレット20は、自由の関節動作式端30及び非自由の関節動作式端30の組合せを有する。
【0041】
図1は、解放型構成にある人工弁10の流出端を示す。人工弁10は、放射方向に内側位置に位置する関節動作式端30と互いに対向する流出面26を有する。この構成において、血液は、フレーム12とリーフレット20との間に位置する複数の別個の領域34(
図3及び
図4)を通って流れることができる。
図3及び
図4に示すように、人工弁の端14、及び16の何れから見でも解放型構成の人工弁は、3本スポークホイール状配置又は三点星状配列(すなわち、メルセデス‐ベンツのロゴに類似)を形成できる。前方の血流によって、リーフレット20がこの放射方向に内側へ折り畳みた位置に折り畳まれる場合であっても、痕跡ポケット又は減少されたポケット32はリーフレット20の間のままに維持され、流出方向向きになっていて、関節動作式端30及び流出面26によって境界が付けられる。このポケット32は、いかなる逆血流(すなわち、流入方向の方への流れ)、又は前方の血流のパルスの通過に続き発生する場合がある背圧も捕えるように構成されることができる。このようにポケット32に入る血流又は圧力は、流出面26上に力を加えることができ、その結果、各リーフレット20を外側へ放射方向に押し付けて、関節動作式端30がフレーム12の方へ放射方向に離れて広がり、人工弁10を閉じる。一実施形態において、
図1及び
図3に示すように、ポケット32は、実質的に三角形であることができる。様々な他の実施形態において、例えば矩形、正方形、又は他の多角形のような形状の人工弁のリーフレットの数及び方向によって、このポケット32は、様々な他の形状となることができる。幾つかの実施形態において、流入面24は、解放型構成及び/又は閉鎖型構成において、凹状であることができる。同様に、幾つかの実施形態において、流出面26は解放型構成及び/又は閉鎖型構成において、凸状であることができる。
【0042】
図6及び
図7は、外側へ完全に押し付けられたリーフレット20を有する閉鎖型構成の人工弁10を示す。この構成において、関節動作式端30は最大限に離れて広げられることが可能であり、各関節動作式端30はフレーム12及び/又は裾部18と接触する。示すように、リーフレット20の内側は実質的に同一平面上に位置することができ、リーフレット20の内側は一般に、リーフレット20の多少のパッカリング又はカッピングを有し、縦軸Zに対して実質的に垂直である平面に位置する。
図6に示されているように、リーフレット20は、継ぎ目タブ22の流出対向面覆うために、外側へ放射方向に延在することができる。関節動作式端30はそれぞれ、裾部18及び/又はフレーム12を接触して延在することができ、その結果、人工弁10の閉鎖に影響を及ぼす。
【0043】
図示の実施形態において、リーフレット20が特大であり、関節動作式端30が流出端16の方へ延在する上向き端46(
図2)を定める。そして、上向き端46が裾部18にきつく適合し、又は裾部18に対して封止する。それによって、血液又は流体の逆流が防止される。また、そのオーバーサイジングによってリーフレット20が非円形の自然弁環の配備を収容できる。そこにおいて、幾つかの実施形態で、フレーム12は非円形の断面形状を取る。この閉鎖位置において、流出面26は通常流出端16に向かうことができ、流入面24は通常流入端14に向かうことができる。このように、幾つかの実施形態において、如何なる識別可能なポケットも、閉鎖型構成のリーフレット20の間に残ることができない。
【0044】
幾つかの実施形態では、閉鎖型構成において、リーフレット20は少なくとも部分的に重畳する。そうすると、1枚のリーフレットの流入面24が他のリーフレットの流出面26を少なくとも部分的に覆うことができる。他の実施態様において、リーフレット20は、閉鎖型構成において、著しく重畳しない。
【0045】
幾つかの実施形態において、リーフレット20の全ては、リーフレット材料の単一シート(又は他の単一部片)から形成される。
図8は、平坦化された構成において、並んで接続される3枚のリーフレット20を形成するリーフレット材料の典型的な単一シートを示す。リーフレット20は、波形の関節動作式端30と、まっすぐな流入
縁28と、を有することができる。他の実施態様において、流入
縁28及び/又は関節動作式端30のそれぞれが、他の形状を、例えば、凸状に、凹状に、円弧形に、及び/又は、ある角度をなすようになっていることができる。特に、関節動作式端30は、ハブ42が放射方向においてずれており、且つ/又は、フレーム12が非円形である実施形態において、最適に形づくられる。そのシートに対向する端部は互いに固定され、管状構成を形成することが可能である。その後、リーフレット材料のシートは、3枚のリーフレット20を形成するように折り畳まれることができる。本明細書に記載されているように、流入
縁28は結合して、リーフレット20がそれらの操作の構成を帯びることができる。
【0046】
代替的に、リーフレットを形成するために単一のシートが折り畳まれることに替えて、リーフレット材料のシートは3枚の別個のリーフレット20を形成するように切られ得る。そして、上述した又は図面に示された事項において、3枚の別個のリーフレット20は互いに固着されることができる。他の実施形態において、リーフレット材料のシートに沿って隣接の位置及び/又は非隣接の位置で、リーフレット20はリーフレット材料のシートとは別に、それぞれ切断される。
【0047】
リーフレット20は心膜組織(例えば、ウシ心膜組織)、生物学的適合性の合成材料、又は周知であり、本願明細書に組み込まれた米国特許第6,730,118号に記載されている、様々な他の適切な自然材料、又は合成材料から形成されることができる。一実施形態において、弁尖20は一緒に縫合され、薄いファブリック(例えば編まれたPET)又は組織材が製造中に縫合領域の頂上を包み(又は配置され)、リーフレット20を適所に確実に保ち、且つ/又はリーフレット材料の切断を防止する。組織又はファブリックは生物学的適合性を有してもよい。そうすると、移植されるときに、それはこの位置のままであることができる。
【0048】
図示の実施形態では、流入
縁28は、いかなる追加支持部材又はフレームワークも組み込まずに結合される。換言すれば、弁10の流入
縁28は、自己支持形である。他の実施形態(例示されず)は、流入
縁28において、少なくとも一つ、又は複数の追加支持部材、例えば、支柱又は梁を含む。例えば、追加支持部材は、例えばリーフレット20及び/又は補強層38によって囲まれた内部構造物であることができ、又は例えば露出された外部構造物であることができる。追加支持部材の幾つかの実施形態はフレーム12に直接連結される。その一方で、他の実施形態はリーフレット20及び/又は補強層38を介して間接的にフレームと連結される。追加支持部材の幾つかの実施形態のそれぞれは、フレーム材料として後述する一つ以上の材料から成る。幾つかの実施形態において、追加支持部材は、流入
縁における選択された位置の間、例えば、ハブ42とフレーム12、例えば、流入端14との間に延在する支線(guy wires)、スレッド、ファイバー、又は縫合材を
含む。
【0049】
裾部18は、薄い、可撓性のシート材料を含むことができ、例えば、ファブリック(ポリエチレン・テレフタル酸塩(PET)(商品名DACRON(登録商標)で販売される)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(商品名DYNEEMA PURITY(登録商標)に販売された)等)、組織(例えば、心膜組織)、PTFE、金属、スポンジ又はポリマーの様々な適切な材料のいずれかで形成されることができる。図示された実施形態では、裾部18は、望ましくは、流入端14から流出端16までフレーム12の全長にわたって延長する。他の実施態様において、裾部18は、フレーム12の全長より短く、例えばそれらの開位置におけるリーフレットの関節動作式端30の略同じ軸位置で、流入端14からフレーム上の位置にまで、延在することができる。
【0050】
フレーム12は、配達装置上の取付けのために放射方向に折り畳まれた状態へ折り畳まれるように構成された、折り畳み可能で且つ拡張可能がフレームであることができ、人体内部で放射方向に拡張された状態まで拡張される。放射方向に拡張された状態において、如何なるフレーム構成要素、又は機械式支柱/アーム又は他の付属物がルーメンに達しないか、又はフレームの縦中心軸線の方へ、内側へ放射方向に延在しないように、フレーム12が構成される。
【0051】
本明細書において使用しているように、「環状である」という用語は横断面(縦軸Zに対して垂直な平面に沿って取った)のいかなる閉形状を有するフレームにも関連でき、円形状/リング形状又は正方形の/矩形の形状、多角形の形状、トレフォイル状又は楕円形状を含むが、これに限定されるものではない。同様に、環状フレームは様々な3次元構造を備えることができ、円筒状構造(図に示すように)又はその長さに沿って異なる(縦軸Zに対して垂直な平面に沿った)断面プロファイルを有する非円筒状チューブ構造を含むが、これに限定されるものではない。
図1及び
図2に示すように、フレーム12はジグザグ支柱の複数の円周列を含むことができ、縦の支柱によって連結される。全体が本願明細書に参照によって組み込まれた米国特許第7,993,394号は、本願明細書において開示された人工弁の実施形態に使われ得る様々なフレームの実施形態の付加的な説明を提供する。フレーム12は、例えば、外科的移植のために、非折り畳み式、及び/又は、非拡張式であることもできる。
【0052】
ある実施形態において、フレーム12は、周知のように様々な適切な可塑的で拡張可能な材料又は自己拡張性の材料(ニチノールのようなニッケル‐チタン合金)の何れかでできていることができる。フレーム12を形成するために用いることができる適切な可塑的で拡張可能な材料としては、ステンレス鋼、ニッケル系合金(例えば、ニッケル‐コバルト-クロム合金)、ポリマー又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。具体例において、フレーム12は、例えばMP35N(登録商標)(SPPテクノロジーズ株式会社)として市販される(ASTM F562-02によって覆われた)UNSR30035のニッケル‐コバルト‐クロミウム-モリブデン合金で作られており、重量で35%のニッケル、35%のコバルト、20%のクロミウム及び10%のモリブデンから成る。フレーム12が可塑的で拡張可能な材料から作られるときに、人工弁10は送達装置のバルーン(又は他の膨張デバイス)上に放射方向において圧縮状態に圧着されることができる。
【0053】
本願明細書に開示された人工弁の実施形態は、配達装置、例えばカテーテルを使用して外科的に移植されることができて、且つ/またを、配達できる。配達装置は、患者の脈管構造に嵌入されることができて、周知の技術を使用している患者の体を通って前進できる。一実施形態では、人工弁は、配達装置が大腿動脈(femoral artery)に嵌入されて、大
動脈を通って自然の大動脈弁(又は心臓の他の自然の弁)へ前進する経大腿動脈過程において、配達できる。他の実施形態において、人工弁は経左室過程において配達され得る。
経左室過程において、配達装置は、胸部における小さい外科的な開口部と心臓の左室の壁の他の外科的な開口部とを介して嵌入される。そのような開口部は、前室壁上の露出された箇所に作られる。他の形態において、人工弁はトランス大動脈過程において、配達され得る。トランス大動脈過程において、配達装置は、胸部における小さい外科的な開口部及び上行大動脈における他の外科的な開口部を介して大動脈弁の上方の位置で嵌入される。
他の実施において、人工弁は、静脈内の移植のための交替静脈弁又は大動脈弁に対して低い流量を有する他の弁の代替である。
【0054】
人工弁が所望の配備位置(例えば、自然の大動脈弁内)に置かれるときに、配達装置のバルーンは人工弁を拡張させるために放射方向に拡張され得る。一実施形態において、人工弁10が完全に展開されると、裾部18は自然の弁の周囲組織と接触させられ、フレーム12の外面と周囲組織との封止を形成する。
【0055】
自己拡張性材料から作られるときに、人工弁は放射方向に圧縮された状態に圧着されることができて、シース又は配送カテーテルの等価な機構へ挿入されることで、圧縮状態に抑えられ得る。配達装置が人体に嵌入されて、前進させられて人工弁が所望の配備位置に置かれた後、人工弁は配達シースから前進できる。人工弁が配達シースから展開されるにつれて、人工弁はその機能的なサイズまで放射方向に自己拡張できる。
【0056】
本願明細書において開示される人工弁の他の実施形態が上記の可塑的で拡張可能な材料であるか自己拡張性材料のいずれかで作られることもでき、人工弁10に関連して上記の配達装置及び/又は配達技術のいずれかを利用して心臓に移植されることもできる点に留意する必要がある。
【0057】
代替的な実施形態では、人工弁は、リーフレット20が、図示されている装置に取り付けられた非放射方向に圧縮可能で拡張可能なフレームを備えると共に外科的に移植される人工弁であることができる。
(一般的な考慮点)
【0058】
説明の便宜上、この開示の実施形態の特定の態様、効果及び新規な特徴が、本願明細書において記載されている。開示された方法、装置及びシステムは、多少なりとも制限するものとして解釈されてはならない。それに替えて、本明細書における開示は、様々な開示された実施形態を単独使用による、又は相互間の様々な組合せ、及び下位組合せによるすべての新規で且つ非自明な特徴及び態様に導く。その方法、装置及びシステムは如何なる特定の態様又は特徴又はそれらの組み合わせにも限られず、開示された実施形態は一つ以上の如何なる特定の効果が存在すること、又は課題が解決されることを必要としない。
【0059】
本発明の特定の態様の実施形態又は実施例と組み合わせて記載されている特徴、整数、特性、合成物、化学部分又はグループは、もし互換性がなくなければ、本願明細書において記載されている他の如何なる態様の実施形態又は実施例にも適用できると理解されるべきである。少なくともそのような特徴及び/又はステップの幾つかが排他的となる組合せを除いて、この明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約書及び図面も含む)において、開示される特徴の全て及び/又は同様に開示される如何なる方法又はプロセスの全では、如何なる組合せにも組み込まれることができる。本発明は、如何なる前述の実施形態の詳細に制限されない。本発明は、この明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約書及び図面も含む)において、開示される特徴のうち、如何なる新規なもの又は如何なる新規な組合せにまで、あるいは、同様に開示される如何なる方法又はプロセスの如何なる新規なのも又は如何なる新規な組合せにまで拡張する。
【0060】
開示の便宜上、開示された方法の幾つかの動作が特定の経時的な順序で記載されているが、特定の配列が文言上要求されていない限り、その記載が組み替えを含むことを理解すべきである。例えば、順次に記載されている動作は、場合によって、組み替えられるか又は並行して実行されることができる。さらに、簡略化のために、添付された図は、開示された方法が他の方法と組み合わせて用いられることが可能である様々な方法を示すことができない。ここで使用しているように、用語「一つ(a/an)」及び「少なくとも一つの」は具体化された構成要素の一つ以上をカバーする。すなわち、特定要素の2つが存在する場合、これらの要素のうちの1つも存在する。このように、「一つの(an)」要素は存在する。用語「複数の(a plurality of)」及びそれの「複数個の(plural)」は具体化さ
れた構成要素の2以上を意味する。
【0061】
ここで使用しているように、挙げられた最後の2つの間に使用される用語「及び/又は」は、挙げられた要素の如何なる一つ以上を意味する。例えば、フレーズ「A、B及び/又はC」は、「A」、「B」、「C」、「A及びB」、「A及びC」、「B及びC」、又は、「A、B及びC」を意味する。
【0062】
ここで使用されてように、用語「連結された(coupled)」は、一般に物理的に連結されたか又は結合されたことを意味し、相反する特定の記載がない限り、連結された物品間に中間要素が存在することを除外しない。
【0063】
開示された原理が適用されることができる多くの可能な実施形態の観点から、例示の実施形態は単なる好適な実施形態であり、開示の範囲を制限すると解釈されてはならない。
むしろ、開示の範囲は、以下の請求項により定義される。従って、我々は、そのようなものすべてがこれらの請求項の範囲及び趣旨内であると主張する。