(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記洗濯物の前記脱水率に基づいて前記ドラム内の前記防水機能を有する洗濯物が溜まった洗濯水を含むか否かを判断することは、前記脱水率が基準脱水率より低い時、前記ドラム内の前記防水機能を有する洗濯物が溜まった洗濯水を含むと判断することであり、
前記ドラム内の前記防水機能を有する洗濯物が溜まった洗濯水を含む場合は、前記洗濯物を脱水することを制御するステップでの前記ドラムの回転速度は低い、請求項1に記載の洗濯物処理装置の制御方法。
前記ドラム中に水がない環境で前記ドラム内の布量を測定することは、前記洗濯物から汚染物質を除去する洗い行程前に前記ドラム内の布量の測定が行われることを含む、請求項1に記載の洗濯物処理装置の制御方法。
前記ドラム中に水がない環境で前記ドラム内の布量を測定することは、前記洗濯物から洗剤を除去するすすぎ行程後、前記ドラムからの排水段階が終了した後に前記ドラム内の第1脱水布量を測定することを含む、請求項1に記載の洗濯物処理装置の制御方法。
溜まった洗濯水を前記ドラムから除去する行程は、前記ドラム中の洗濯物を解すために、ドラムの正回転及び逆回転の少なくとも一つを少なくとも1回行うことを含む、請求項13に記載の洗濯物処理装置の制御方法。
溜まった洗濯水を前記ドラムから除去する行程は、前記ドラム中の洗濯物を解すために、ドラムの正回転及び逆回転の少なくとも一つを行う前に、タブに洗濯水を供給することをさらに含む、請求項15に記載の洗濯物処理装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に説明される洗濯物処理装置は、脱水機能を有するいかなる洗濯装置にも適用可能である。本発明の洗濯物処理装置は、洗濯物を投入する投入口がキャビネットの上部に設けられているトップローディング方式、洗濯物を投入する投入口がキャビネットの前面(または側面)に設けられているフロントローディング方式のいずれにも適用可能である。
【0020】
以下では本発明の洗濯物処理装置がトップローディング方式の洗濯機を基準にして説明されるが、フロントローディング方式の洗濯機はもとより、脱水機能のみを有する脱水機または脱水機能を有する乾燥機などを含め、脱水機能を有する洗濯物処理装置のいずれにも同様の適用が可能である。
【0021】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る洗濯機100は、筐体を形成するキャビネット110を備えている。また、該キャビネット110の内部には、洗濯水を貯留するタブ120が設けられている。なお、該タブ120の内部には、多数の通孔を有するドラム130が回転可能に設けられている。また、タブ120の底面にはドラム130を回転させる駆動モーター140が設けられている。このタブ120は懸架装置150によりキャビネット110に支持されている。
【0022】
また、キャビネット110は、上部が開口した下部キャビネット112と、該下部キャビネット112の開口した上部に結合されたトップカバー111を備えている。
【0023】
下部キャビネット112は、側面パネル116、前面パネル117、ベース113及び後面パネル119を備えている。ここで、側面パネル116、前面パネル117、ベース113及び後面パネル119は一体に形成されているとよい。
【0024】
トップカバー111は、下部キャビネット112の開口した上部に結合されて、タブ120及びドラム130を有する閉鎖空間を形成する。トップカバー111には、洗濯物を投入するための洗濯物投入口(図示せず)が設けられている。また、トップカバー111には洗濯物投入口を開閉するドア115が取り付けられている。また、トップカバー111の一側には、洗濯行程などを入力するためのコントロールパネル180が設けられている。使用者はコントロールパネル180を用いて洗濯機を制御すればよい。すなわち、使用者は、コントロールパネル180に設けられた入力部(図示せず)を介して洗濯行程を選択したり、洗濯行程の開始及び終了、洗濯機の駆動を制御したりできる。一方、キャビネット110のベース113にはキャビネット110を支持するレッグ170が設けられている。レッグ170はベース113の下面に設けられるとよい。
【0025】
図3を参照すると、洗濯機の制御方法は、洗剤などを使って汚れた洗濯物を洗う洗い行程(S20)を含んでいる。また、洗い行程(S20)が完了した洗濯物から洗剤などを除去するすすぎ行程(S30)を含んでいる。また、すすぎ行程(S30)が完了した洗濯物から水分を除去する脱水行程(S40)を含んでいる。さらに、洗い行程(S20)を行う前にドラム中の洗濯物量(以下、布量)を感知する基礎布量感知段階(S10)を含んでいる。
【0026】
洗い行程(S20)は、洗濯水を使って汚れた洗濯物から汚染物質を除去する行程である。具体的に、洗い行程(S20)は、給水段階(S21)、洗い段階(S22)及び排水段階(S23)を含んでいる。給水段階(S21)は、給水源から洗濯水を取り込んでタブに洗濯水を供給する段階である。洗い段階(S22)は、ドラムを回転させて洗濯物から汚染物質を除去する段階である。洗い段階(S22)でドラムは正回転または逆回転をしつつ洗濯物から汚れを落とすことができる。なお、洗い段階(S22)で洗剤などがドラム中に供給されるとよく、該洗剤などは洗濯物から汚染物質を分離させる機能を担う。洗い段階(S22)が終了すると、洗濯水を洗濯機の外部に排出する排水段階(S23)が行われる。排水段階(S23)では排水ポンプを用いてタブ中の洗濯水を外部に排出するとよい。洗い行程(S20)において、給水段階(S21)、洗い段階(S22)及び排水段階(S23)は1回以上行われればよい。布量または洗濯物の汚染の度合に基づいて給水段階(S21)、洗い段階(S22)及び排水段階(S23)の繰返し回数が可変してもよい。
【0027】
すすぎ行程(S30)は、洗い行程(S20)済みの洗濯物から洗剤と汚染物質を除去する行程である。具体的に、すすぎ行程(S30)は、給水段階(S31)、すすぎ段階(S32)及び排水段階(S33)を含んでいる。給水段階(S31)では、給水源から洗濯水を取り込んでタブに洗濯水を供給する段階である。すすぎ段階(S32)は、ドラムを回転させて洗濯物から洗剤と汚染物質を除去する段階である。すすぎ段階(S32)においてドラムは正回転または逆回転をしつつ洗濯物から洗剤と汚染物質を分離することができる。なお、すすぎ段階(S32)で柔軟剤などがドラム中に供給されてもよく、この柔軟剤などは、洗濯物への静電気発生を防止し且つ洗濯物をソフトにする機能を担う。すすぎ段階(S32)が終了すると、洗濯水を洗濯機の外部に排出する排水段階(S33)が行われる。排水段階(S33)では排水ポンプを用いてタブ中の洗濯水を外部に排出するとよい。このすすぎ行程(S30)において給水段階(S31)、すすぎ段階(S32)及び排水段階(S33)は1回以上行われればよい。布量または洗濯物の汚染の度合に基づいて給水段階(S31)、すすぎ段階(S32)及び排水段階(S33)の繰返し回数が可変してもよい。
【0028】
脱水行程(S40)は、洗濯物から水分を除去する行程である。脱水行程(S40)ではドラムを高速で回転させ、遠心力を用いて洗濯物から水分を除去する。脱水行程(S40)の詳細は後述する。
【0029】
さらに、使用者がコントロールパネル180を用いて洗濯コースなどを選択し、洗い行程(S10)が行われる前にドラム130中の布量を感知する布量感知段階(S10)が行われるとよい。または、布量感知段階(S10)は、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)の終了後に行われてもよい。
【0030】
布量感知段階(S10)は、ドラム130中の布量を感知する段階である。ここで、布量を感知する方法には様々なものがある。
【0031】
布量を感知する方法としては、大きく、慣性の大きさを用いて布量を感知する方法、及び電極センサーを用いて布量を感知する方法がある。
慣性の大きさを利用する方法は、ドラム130中の布量が多いほど慣性が大きくなり、慣性が大きいほど、ドラム130を加速させたり減速させるのにかかる電力または電流が大きくなり、ドラム130を加速させたり減速させるのにかかる時間が増加するということに着目している。
【0032】
慣性の大きさを利用する方法の一例として、ドラム130を一定速度に加速させるのにかかる所要の時間を測定する。ドラム130中の布量が多い場合は、ドラム130が一定速度に到達するまでに長い時間がかかり、布量が少ない場合は、ドラム130が一定速度に到達するまでに短い時間がかかるだろう。この所要の時間と布量との相関関係は、洗濯機の制御部またはメモリーにテーブルとして格納しておくとよい。
【0033】
他の例として、ドラム130を一定の加速度に加速させるのにかかる電流量を測定してもよい。このとき、電流量は一定時間測定されるとよい。ドラム130中の布量が多い場合は、ドラム130を一定の加速度に加速させるのに多い電力量が消費され、布量が少ない場合は、小さい電力量が消費される。この消費される電力量と布量との相関関係は、洗濯機の制御部またはメモリーにテーブルとして格納しておくとよい。
【0034】
上述した例の他にも、ドラム130を一定速度に一定時間維持させるのに消費される電流量や、ドラム130を一定速度に加速させた後、一定速度以下に減速させるのにかかる時間または停止させるのにかかる時間を用いて布量を測定してもよい。
【0035】
電極センサーを利用する方法は、大韓民国特許出願第10−2006−0034062号、第10−2006−0034064号、第10−2006−0022301号公報の他、多数の公知技術によって布量を測定すればよい。
【0036】
一方、防水機能を有する織物製の洗濯物を洗濯するとき、洗濯物の内部に洗濯水が溜まる場合がある。洗濯過程で洗濯物中にしみ込んだ洗濯水は脱水行程(S40)で排出されるべきであるが、洗濯物の防水機能により、脱水行程(S40)で洗濯水が洗濯物中にそのまま滞留することがある。すなわち、風船内に水を入れた場合のように、防水機能の洗濯物が風船の機能をしてしまい、洗濯物内の洗濯水が外部に抜けない場合がある(以下では、洗濯水が内部に溜まっている洗濯物を「ウォーターフィルドランドリー(water-filled laundry)という)。特に、脱水行程(S40)において、内部に溜まっている洗濯水を有する洗濯物が収容されたドラム130を高速で回転させると、一瞬にして洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が消えながらドラム130中の洗濯物に偏心が発生する。初期脱水過程で偏心を感知する時、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいる状態でドラム130の偏心を測定し、偏心を除去する過程が行われる。このような偏心除去過程においても洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が解消されないで脱水が進行されることがある。すなわち、洗濯機の制御部は、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が含まれている場合を偏心のない状態と認識した上で脱水を進行することがある。この状態で脱水が進行され、脱水の進行中に洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が除去されると、除去された洗濯物の内部に溜まっている洗濯水により洗濯物に偏心が発生する。洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去により発生した偏心は、ドラム130の回転過程に振動及び騒音を発生させる。このような振動によりドラム130がタブ120と衝突することがある。特に、ドラム130が高速で回転する脱水過程中に発生した偏心については、その偏心量が小さくても、高速で回転するドラム130によりドラム130とタブ120との衝撃量が増加することがあり、この衝撃量により、トップカバーに設けられたドアが分離されたり、トップカバーがキャビネットから分離されたりする危険がある。
【0037】
本発明では、脱水行程(S40)において、上述した洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の量を感知し、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の解消により発生する偏心及び振動を防止する洗濯機の制御方法を提供する。
【0038】
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る洗濯機の制御方法において、脱水行程(S40)は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいるか否かを判断する段階(S45)を有している。また、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)で、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が存在しないと判断されると、ドラムを回転させて脱水を進行する脱水段階(S47)を有している。上記洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)で、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいると判断されると、エラーメッセージ表示(S46)後に脱水行程(S40)を終了したり、又は、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行っている。
【0039】
上記洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)は、脱水行程(S40)の初期に行われ、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が存在するか否か判断する。
【0040】
図5を参照すると、上記洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)は、脱水率判断段階(S460)を含んでいる。この脱水率判断段階(S460)は、洗濯物の脱水率R
sを判断し、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高いと、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいないと判断し、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低いと、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいると判断する。この時、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低いと、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行うか、エラーメッセージを表示(S46)したのち脱水行程(S40)を終了する。また、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高いと、脱水段階(S47)を行う。
【0041】
脱水率判断段階(S460)では、洗濯物の脱水率R
sに基づいて洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の存在有無を判断する。脱水率R
sは、特定状況における洗濯物の基礎布量I
0と、基準RPM(R
f、reference RPM)にドラムを加速させて洗濯物の水分を除去した状態で測定した洗濯物の基準慣性値I
fとの比(ratio)と定義される。
【0042】
すなわち、脱水率R
s=D
0/I
fである。
【0043】
脱水率R
sを定性的に説明すれば、洗濯物の含水量を特定基準に固定した状態における布量である基礎布量I
0と、ドラムを基準RPM(R
f)に加速させて洗濯物の水分を除去した状態における洗濯物の慣性値である基準慣性値I
fとの比率になる。ドラムを基準RPM(R
f)に加速させると、ドラム中の洗濯物の水分はこの基準RPMの速度に比例して除去される。このとき、基準RPMが高いほど、除去される水分の量は多くなり、基準RPMが低いほど、除去される水分の量は少なくなる。好ましくは、ドラムを基準RPMに加速させて洗濯物の水分を一定量除去するとよい。この脱水率R
sが高いほど、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいない確率が高く、脱水率R
sが低いほど、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいる確率が高い。すなわち、脱水率R
sが高いということは、R
fに加速しながら洗濯物中の水分が多く除去された意味と解釈し、脱水率R
sが低いということは、R
fに加速しながら洗濯物の水分が少なく除去された意味と解釈すればよい。洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含む場合に、R
fにドラムが加速した後にも洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が除去されなかったとすれば、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の重さまたは慣性により、基準慣性値I
fは、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含まない場合に比べて高く測定される。そのため、脱水率R
sは低く測定される。
【0044】
逆に、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含まない場合は、R
fにドラムが加速しながら水分が一定量除去されたため、基準慣性値I
fは低く測定される。そのため、脱水率は高く測定される。
【0045】
基礎布量I
0は、R
fにドラムを加速させる前に測定される布量で、特定環境で測定される布量を意味し、基礎布量感知段階(S10)で感知すればよい。
【0046】
基礎布量I
0は、洗い行程(S20)前に測定される初期布量D
0であってよい。この場合、基礎布量感知段階(S10)は洗い行程(S20)前に行われる。基礎布量I
0として初期布量D
0を用いる場合において、特定環境とは、洗濯物が洗濯水に濡れていない環境を意味する。通常、使用者は衣類のような洗濯物を着用した後すぐに洗濯を行うから、洗濯物は水に濡れていない状態、すなわち、乾燥した状態でドラム中に投入される。そのため、基礎布量感知段階(S10)で測定される初期布量D
0は乾燥布量となる。したがって、基礎布量I
0として、洗濯水に濡れていない洗濯物の乾燥布量である初期布量D
0を用いることができる。
【0047】
または、基礎布量I
0は、すすぎ行程(S30)において排水段階(S33)が終了した後に測定した第1脱水布量W
1であってもよい。この場合、基礎布量感知段階(S10)は、すすぎ行程(S30)における排水段階(S33)の終了後に行われる第1脱水布量感知段階でよい。基礎布量I
0として第1脱水布量W
1を用いる場合において、特定環境とは、洗濯物が洗濯水に充分に濡れた環境を意味する。すすぎ行程(S30)において給水段階(S31)とすすぎ段階(S32)を経ると、洗濯物は洗濯水に充分に濡れた状態となる。この状態で排水段階(S33)を行ってタブ120中の洗濯水を排出すると、洗濯水に充分に濡れている洗濯物が残る。この状態で洗濯物はそれ以上洗濯水を吸収できない過飽和状態となる。そのため、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)が終了した後に測定される第1脱水布量W
1は、過飽和布量となる。したがって、基礎布量I
0として、洗濯水を過飽和状態に含有している洗濯物の布量である第1脱水布量W
1を用いることができる。
【0048】
一方、本発明の一実施例に係る洗濯機制御方法の脱水行程(S40)において、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)は含水率判断段階(S450)を含んでもよい。
【0049】
含水率R
wの高い高含水布は、洗濯物が水分を含有できる度合が相対的に高い洗濯物を意味する。高含水布としては、手拭いなどのような、綿織物で作られた洗濯物が挙げられる。逆に、低含水布は、洗濯物が水分を含有できる度合が相対的に低い洗濯物を意味する。
【0050】
含水率判断段階(S450)は、洗濯物が含水率R
wの低い低含水布であるか否かを判断する段階である。含水率判断段階(S450)で、洗濯物が基準含水率R
Wfよりも低い低含水布と判断された場合には、脱水段階(S47)を行う。また、含水率判断段階(S450)で、洗濯物が基準含水率R
Wfよりも高い高含水布と判断された場合には、脱水率判断段階(S460)を行う。しかし、これに限定されず、含水率判断段階(S450)は脱水率判断段階(S460)の後に行われてもよい。
【0051】
洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいると、洗濯物の内部に形成された洗濯物の内部に溜まっている洗濯水により、含水率R
wが高く測定され、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいないと、含水率R
wが低く測定されるだろう。これにより、含水率R
wを用いて、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいるか否かを判断することができる。
【0052】
含水率判断段階(S450)で判断基準として用いられる含水率R
wは、洗濯物が水分を保持している度合を意味する。含水率R
wが高いほど、洗濯物は水分を吸収、保持している能力が高く、含水率R
wが低いほど、水分を吸収、保持している能力が低い。
【0053】
含水率R
wは、初期布量D
0と第1脱水布量W
1との比率と定義できる。
【0054】
すなわち、含水率R
w=W
1/D
0と定義できる。上述した通り、初期布量D
0は、水分を含んでいない状態の乾燥布量を意味し、第1脱水布量W
1は、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)が終了した後に洗濯物が洗濯水に充分に濡れている過飽和状態の布量を意味する。したがって、乾燥布量(すなわち、初期布量D
0)に比べて第1脱水布量W
1が高い場合に含水率R
wが高く、乾燥布量に比べて第1脱水布量W
1が低い場合に含水率R
wが低い。手拭いのような洗濯物の含水率R
wが高い。または、綿製の下着も含水率R
wが高い。
【0055】
上述した説明では含水率R
wを初期布量D
0と第1脱水布量W
1との比率と定義したが、洗濯物が水分を含有できる度合を測定できる数値であればいずれも利用可能である。後述するが、基準RPM(R
f)に加速させた後に第2脱水布量W
2を測定してもよい。含水率R
wが高い場合に、基準RPMにドラムを加速させる過程で水分が多く除去されるので、第1脱水布量W
1に比べて第2脱水布量W
2が小さく測定される。含水率R
wが低い場合には、含水率R
wの高い洗濯物に比べて、第2脱水布量が相対的に大きく測定される。そのため、含水率R
wを、第1脱水布量W
1と第2脱水布量W
2との比率、または第1脱水布量W
1と第2脱水布量W
2との差値と第1脱水布量W
1との比率と定義してもよい。すなわち、含水率R
w=第1脱水布量W
1−第2脱水布量W
2/第1脱水布量W
1と定義してもよい。
【0056】
すなわち、R
w=W
1/W
2、またはW
1−W
2/W
1と定義できる。
【0057】
このように、含水率R
wを定義できる数値は様々であり、洗濯物が水分を保持している能力を測定できるいかなる数値であってもよい。
【0058】
上述したように、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)は脱水率判断段階(S460)または含水率判断段階(S450)を含んでいてもよく、好ましくは、脱水率判断段階(S460)、含水率判断段階(S450)両方を含んでいるとよい。
【0059】
脱水率判断段階(S460)で脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいる場合と判断でき、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいない場合と判断できる。
【0060】
また、含水率判断段階(S450)で含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも低い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいない場合と判断でき、含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも高い場合は、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいる場合と判断できる。
【0061】
洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)が脱水率判断段階(S460)及び含水率判断段階(S450)の両方を含む場合には、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低く、且つ含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも高い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいる場合と判断できる。この場合、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行ったり、またはエラーメッセージ表示(S46)後に脱水行程(S40)を終了すればよい。
【0062】
洗濯物の脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高く、且つ含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも高い場合は、洗濯物を手拭いのような高含水布と判断できる。この場合、脱水段階(S47)を行う。
【0063】
また、洗濯物の脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高く、且つ含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも低い場合は、一般洗濯物と判断できる。この場合も、脱水段階(S47)を行う。
【0064】
また、洗濯物の脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低く、且つ含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも低い場合は、防水機能を有するアウトドア衣類のような低含水布と判断できる。この場合も、脱水段階(S47)を行う。
【0065】
洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)は、含水率判断段階(S450)、脱水率判断段階(S460)の両方を含むことが好ましいか、必ずしもこれに限定されない。
【0066】
一例として、手拭いを洗濯するタオルコースを別に備えており、使用者が手拭いのみをドラムに投入し、タオルコースを選択して洗濯する場合には、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)が含水率判断段階(S450)のみで構成されてもよい。また、アウトドア衣類のような低含水布を洗濯する防水布コースを別に備えている場合には、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)が脱水率判断段階(S460)のみで構成されてもよい。
【0067】
図6に示すように、本発明の一実施例によれば、脱水率判断段階(S460)で脱水率R
sの範囲に従ってドラムの脱水回転速度を別々にして脱水を行うこともできる。
【0068】
本発明の一実施例によれば、脱水率判断段階(S460)で脱水率R
sを少なくとも2区間に分け、各区間におけるドラムの回転速度を別々にして脱水を行う。
【0069】
本発明の一実施例では、脱水率R
sを3個の区間に分けている。すなわち、脱水率R
sが第1脱水率R
sf1を超過する第1区間と、第2脱水率R
sf2超過第1脱水率R
sf1以下である第2区間と、第2脱水率R
sf2未満である第3区間とに区別している。
【0070】
脱水率R
sが第1区間に該当すれば、洗濯物に内部に溜まっている洗濯水が含まれていないと判断し、正常RPMであるR1でドラムを回転させて脱水段階(S471)を行う。例えば、ドラムの回転速度R1は800RPM以上でよく、最大1010RPMでよい。
【0071】
脱水率R
sが第2区間に該当すれば、洗濯物に内部に溜まっている洗濯水が含まれている可能性が多少存在したり或いは洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の大きさまたは量が少ないと判断し、上記正常RPMであるR1よりも低いRPMであるR2でドラムを回転させて脱水段階(S472)を行う。例えば、ドラムの回転速度R2は430RPM以上でよく、最大500RPMでよい。
【0072】
脱水率R
sが第3区間に該当すれば、洗濯物に内部に溜まっている洗濯水が含まれている可能性が高く、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の大きさまたは量も多いと判断する。
【0073】
脱水率R
sが第3区間に該当すれば、脱水率R
sが第3区間と判断された判断回数Nをカウントし(S463)、この判断回数Nが基準回数N0以上であれば、エラーメッセージを表示(S46)し、脱水行程(S40)を終了する。判断回数Nが基準回数N0未満であれば、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行い、再び脱水率判断段階(S460)に移行する。この判断回数Nが基準回数NO以上である場合は、少なくとも1回は洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を実行したが、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)の実行にもかかわらず脱水率R
sが再度第3区間に該当する場合であるから、エラーメッセージを表示(S46)し、脱水行程(S40)を終了する。ここで、基準回数N0は2回でよい。
【0074】
洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)は布解し段階を含むとよい。布解し段階は、ドラム130の正回転及び逆回転の少なくとも一つを1回以上反復することで、ドラム130中における絡んだ布を解す段階である。この布解し段階では、一定時間ドラム130の正回転を反復するか、或いは逆回転を反復してもよく、またはドラムの正回転と逆回転を反復してもよい。この布解し段階でドラム130が正逆回転を反復しながら洗濯物の内部に溜まっている洗濯水も除去されるはずである。この布解し段階の実行前にタブ120に洗濯水を供給する給水段階を含んでもよい。さらに、布解し段階の実行前に給水段階を含む場合には、布解し段階の実行後に排水段階を行ってタブ120中の洗濯水を排水することが好ましい。
【0075】
図9を参照して、本発明の一実施例に係る洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)を説明する。
【0076】
まず、本発明の一実施例に係る洗濯物処理装置の洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S45)において脱水率R
sと含水率R
wを測定する方法について説明し、以降、本発明の一実施例に係る洗濯物処理装置の制御方法について説明する。
【0077】
本実施例では、含水率R
w及び脱水率R
sを算定する基礎値を、ドラムが回転するのに消費される電流量に基づいて算定する。
【0078】
脱水率R
sを定義する値である基礎布量I
0と基準慣性値I
fはいずれも洗濯物の重さに比例し、洗濯物の重さは洗濯物の慣性値に比例する。そのため、洗濯物の重さまたは慣性値が高いほど、洗濯物の収容されているドラムを一定の加速度で回転させるのにかかるトルクの量も増加する。該トルクの量は、駆動モーターに印加される電流の量に比例する。そのため、基礎布量I
0または基準慣性値I
fは、ドラムを一定の加速度で一定時間回転させるのにかかる総電流量に比例する。したがって、上記電流量を測定して基礎布量I
0と基準慣性値I
fを測定でき、脱水率R
sを算定することができる。
【0079】
含水率R
wを算定するのに必要な第1脱水布量W
1も洗濯物の重さに比例し、洗濯物の重さは洗濯物の慣性値に比例するので、ドラムを一定の加速度で一定時間回転させるのにかかる総電流量に比例する。その他、反復する説明は省略する。
【0080】
まず、本実施例に係る脱水率R
sを算定する方法について説明する。
【0081】
上述した通り、脱水率R
sは、特定状況における洗濯物の基礎布量I
0と、基準RPM(R
f、reference RPM)にドラムを加速させて洗濯物の水分を除去した状態で測定した洗濯物の基準慣性値I
fとの比(ratio)と定義できる。そして、基礎布量I
0と基準慣性値I
fは、ドラムを一定の加速度に一定時間加速させるのにかかる総電流量に依存する。
【0082】
上述した通り、基礎布量I
0は、特定環境における洗濯物の布量を意味し、特定環境としては、洗濯物が洗濯水に濡れていない環境、または洗濯物が洗濯水を過飽和状態に含有している環境が挙げられる。そのため、基礎布量I
0は、洗い行程(S20)前に測定した初期布量D
0、またはすすぎ行程(S30)で排水段階(S33)が終了した後に測定した第1脱水布量W
1でよい。
【0083】
本実施例では、基礎布量I
0が初期布量D
0である場合に、基礎布量I
0は初期布量電流量A
0でよい。また、基礎布量I
0が第1脱水布量W
1である場合に、基礎布量I
0は第1脱水布量電流量A
1でよい。また、基準慣性値I
fは、以下に説明される基準電流量A
fであればよい。
【0084】
まず、初期布量電流量A
0と基準電流量A
fを測定する方法について説明する。
【0085】
基礎布量I
0が初期布量D
0である場合に、脱水率R
sは、初期布量電流量A
0と基準電流量A
fで定義できる。すなわち、脱水率R
s=初期布量電流量A
0/基準電流量A
fである(R
s=A
0/A
f)。
【0086】
本実施例において、脱水率R
sを定義する基礎布量I
0は、洗い行程(S20)前に行われる基礎布量感知段階(S10)で測定した初期布量D
0であってよい。本実施例によれば、基礎布量感知段階(S10)において初期布量D
0は、ドラムを初期布量感知速度に一定時間維持させるのにかかる総電流量である初期布量電流量A
0で測定できる。この初期布量電流量A
0は、ドラムに投入された初期布量D
0と比例する関係にあり、初期布量電流量A
0と実際にドラムに投入される初期布量D
0との相関関係を反復的な実験から導出したテーブルにより初期布量D
0を定義するとよい。または、初期布量電流量A
0を初期布量D
0と定義してもよい。
【0087】
ここで、一定時間は30secでよく、初期布量感知速度は30rpmでよい。この場合、初期布量電流量A
0は、乾燥状態の洗濯物が収容されているドラムを30rpmの速度に30sec間維持するのにかかる総電流量となる。
【0088】
脱水率R
sを定義する変数のうち、基準慣性値I
fを測定する基準慣性値測定段階(S42)について説明する。
【0089】
基準慣性値測定段階(S42)は、すすぎ行程(S30)済みの洗濯物が収容されたドラムを第1RPMに加速させる第1加速段階(S421)を含む。さらに、該第1RPM未満である第2RPMに減速させる減速段階(S422)を含む。また、この第2RPMからドラムを基準時間△t
fの間に基準加速度で加速させるのにかかる総電流量である基準電流量A
fを測定する基準電流量測定段階(S423)を含む。本実施例では、基準慣性値I
fを基準電流量A
fに基づいて定義できる。したがって、基準電流量A
fをノーマルライズした数値または基準電流量A
fに従属する数値を基準慣性値と定めることができる。本実施例では、基準電流量A
fを基準慣性値I
fと定義する。
【0090】
図7及び
図9を参照すると、すすぎ行程(S30)が完了した後、ドラムが第1RPMに加速する第1加速段階(S421)を行う。この第1RPMは、約450RPMでよい。第1加速段階(S421)の実行後に直ちに減速段階(S422)を行ってもよいが、所定時間△t
mの間にドラムの回転速度を第1RPMに維持した後、減速段階(S422)を行うことが好ましい。ここで、所定時間△t
mは5secまたは10secでよい。
【0091】
減速段階(S422)では、ドラムの回転速度を第1RPMから第2RPMへと減速させる。この時、ドラム130を回転させる駆動モーター140の電源を遮断して減速させてもよく、駆動モーター140に逆方向の電圧を印加してドラムを減速させてもよい。第2RPMは約270RPMでよい。減速段階(S422)の実行後に直ちに基準電流量測定段階(S423)を行ってもよいが、所定時間△t
mの間にドラムの回転速度を第2RPMに維持してから基準電流量測定段階(S423)を行うことが好ましい。ここで、所定時間△t
mは5secまたは10secでよい。
【0092】
この基準電流量測定段階(S423)では、第2RPMに減速したドラムを基準時間△t
fの間に基準加速度で加速させるのにかかる総電流量である基準電流量A
fを測定する。ここで、基準加速度は3.4rpm/sでよく、基準時間△t
fは38secでよい。したがって、この場合、減速段階(S422)で270rpmに減速したドラムを3.4rpm/sの加速度で38sec間加速させるのにかかる総電流量が基準電流量A
fとなる。
【0093】
本実施例では、基礎布量I
0が第1脱水布量W
1である場合に、基礎布量I
0は第1脱水布量電流量A
1であってもよい。
【0094】
基礎布量I
0が第1脱水布量W
1である場合に、脱水率R
sは、第1脱水布量電流量A
1と基準電流量A
fで定義できる。すなわち、脱水率R
s=第1脱水布量電流量A
1/基準電流量A
fとなる。すなわち、R
s=A
1/A
fである。
【0095】
この基準電流量A
fは、上述した実施例と同一であるので、反復する説明を省略する。以下、第1脱水布量電流量A
1の測定方法について説明する。
【0096】
本実施例で、脱水率R
sを定義する基礎布量I
0は、第1脱水布量感知段階(S41)で測定した第1脱水布量W
1であってもよい。第1脱水布量感知段階(S41)は、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)が終了した後に行われる。そのため、第1脱水布量感知段階が行われる前における洗濯物は過飽和状態である。
【0097】
本実施例によれば、第1脱水布量感知段階(S41)で第1脱水布量W
1は、ドラムを一定時間第1脱水布量感知速度に維持させるのにかかる総電流量である第1脱水布量電流量A
1で測定してもよい。この第1脱水布量電流量A
1は、ドラムに収容された第1脱水布量W
1と比例する関係にあり、第1脱水布量電流量A
1と実際にドラムに投入される第1脱水布量W
1との相関関係を反復的な実験から導出したテーブルにより、第1脱水布量W
1を定義するとよい。または、第1脱水布量電流量A
1を第1脱水布量W
1と定義してもよい。
【0098】
ここで、一定時間は30secでよく、第1脱水布量感知速度は30RPMでよい。この場合、第1脱水布量電流量A
1は、過飽和状態の洗濯物が収容されたドラムを30rpmの速度に30sec間維持するのにかかる総電流量となる。
【0099】
一方、
図8を参照すると、本発明の他の実施例によれば、上記第1脱水布量電流量A
1を、過飽和状態の洗濯物が収容されたドラムを一定時間△t
sの間に第1加速度で加速させるのにかかる総電流量である第1加速電流量A
sに取り替えてもよい。第1加速電流量A
sは、第1脱水布量電流量A
1と比例の相関関係を有する。すなわち、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)が終了したのち洗濯物が過飽和した状態で、該洗濯物が収容されたドラムを一定速度に一定時間維持するのにかかる第1脱水布量電流量A
1と、この洗濯物が収容されたドラムを第1時間△t
sの間に第1加速度で加速させるのにかかる第1加速電流量A
sは比例する。したがって、第1脱水布量電流量A
1に代えて第1加速電流量A
sを用いてもよい。第1時間△t
sは45secで、第1加速度は3.4rpm/sでよい。一方、第1加速電流量A
sの測定は第2RPMに到達する前に行われることが好ましい。すなわち、過飽和した洗濯物から可能な限り水分が少なく除去された状態で第1加速電流量A
sを測定することが好ましい。したがって、第1加速電流量A
sは、脱水行程(S40)の初期に測定され、好ましくは、ドラムが270rpmの速度に到達する前に測定されることが好ましい。
【0100】
この場合、脱水率R
sは、第1加速電流量A
sと基準電流量A
fとの比率と定義すればよい。すなわち、脱水率R
s=第1加速電流量A
s/基準電流量A
fである。
【0102】
以下、本実施例に係る含水率R
wを算定する方法について説明する。
【0103】
上述した通り、含水率R
wは、洗濯物が水分を保持している度合を意味する。
【0104】
含水率R
wは、初期布量D
0と第1脱水布量W
1との比率と定義できる。すなわち、含水率R
w=第1脱水布量W
1/初期布量D
0である(R
w=W
1/D
0)。
【0105】
本実施例では、含水率R
wを算定するに、一定加速度でドラムを一定時間回転させるのにかかる電流量を用いる。
【0106】
そのため、本実施例で、含水率R
wは、洗い行程(S20)前に行われる基礎布量感知段階(S10)で測定した初期布量電流量A
0と、第1脱水布量感知段階で測定した第1脱水布量電流量A
1との比率と定義できる。
【0107】
したがって、含水率R
w=第1脱水布量電流量A
1/初期布量電流量A
0と定義できる。
【0109】
第1脱水布量電流量A
1と初期布量電流量A
0を測定する方法は、脱水率R
sを算定する方法における、第1脱水布量電流量A
1と初期布量電流量A
0を測定する方法と同一であり、反復する説明を省略する。
【0110】
一方、上述した通り、第1脱水布量電流量A
1は、過飽和状態の洗濯物が収容されたドラムを第1加速度で一定時間加速させるのにかかる総電流量である第1加速電流量A
sに取り替えてもよい。
【0111】
したがって、含水率R
w=第1加速電流量A
s/初期布量電流量A
0と定義できる。
【0113】
図7及び
図9を参照して、本発明の一実施例に係る洗濯物処理装置の制御方法について説明する。
【0114】
本発明の一実施例に係る洗濯物処理装置の制御方法は、初期布量電流量測定段階(S101)を含むとよい。さらに、第1脱水布量電流量測定段階(S41)を含んでもよい。また、基準慣性値I
fを測定する基準慣性値測定段階(S42)を含んでもよい。また、含水率R
w及び脱水率R
sの少なくとも一方を用いて、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいるか否かを判断段階(S450,S460)を含んでもよい。また、洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S450,S460)によって脱水を行う脱水段階(S471,S472)を含んでもよい。
【0115】
初期布量電流量測定段階(S101)では、洗い行程(S20)が行われる前にドラム中の洗濯物量を感知する。初期布量電流量A
0測定段階(S101)は、ドラムを初期布量感知速度に一定時間維持させ、これに消費される総電流量を測定して初期布量電流量A
0として測定できる。ここで、一定時間は30secで、初期布量感知速度は30RPMでよい。この場合、初期布量電流量A
0は、乾燥状態の洗濯物が収容されたドラムを30rpmの速度に30sec間維持するのにかかる総電流量となる。初期布量電流量測定段階(S101)が完了すると、洗い行程(S20)及びすすぎ行程(S30)が行われる。
【0116】
第1脱水布量電流量測定段階(S41)は、すすぎ行程(S30)の排水段階(S33)が終了した後にドラム中の布量を測定する段階である。第1脱水布量電流量測定段階(S41)が行われる前に洗濯物は過飽和状態である。
【0117】
上記第1脱水布量電流量測定段階(S41)は、ドラムを第1脱水布量感知速度に一定時間維持させ、これに消費される総電流量を測定して第1脱水布量電流量A
1として測定できる。ここで、一定時間は30secで、第1脱水布量感知速度は30RPMでよい。この場合、第1脱水布量電流量A
1は、過飽和状態の洗濯物が収容されたドラムを30rpmの速度に30sec間維持するのにかかる総電流量となる。
【0118】
基準慣性値測定段階(S42)は、脱水率R
sの算定に必要な基準慣性値I
fを測定する段階である。
【0119】
基準慣性値測定段階(S42)は、すすぎ行程(S30)が完了した洗濯物が収容されたドラムを第1RPMに加速させる第1加速段階(S421)を含む。また、第1RPM未満である第2RPMに減速させる減速段階(S422)を含む。また、第2RPMからドラムを基準時間△t
fの間に基準加速度で加速させるのにかかる総電流量である基準電流量A
fを測定する基準電流量測定段階(S423)を含む。本実施例では、基準電流量A
fを基準慣性値I
fと定義する。
【0120】
第1加速段階(S421)では、ドラムを第1RPMに加速させる。この第1加速段階(S421)では、ドラムを第1RPMに連続して加速させてもよく、
図9のように段階的に加速させてもよい。この第1RPMは約450RPMでよい。第1加速段階(S421)の実行後に直ちに減速段階(S422)を行ってもよいが、所定時間△t
mの間にドラムの回転速度を第1RPMに維持した後、減速段階(S422)を行うことが好ましい。ここで、所定時間△t
mは5secまたは10secでよい。
【0121】
減速段階(S422)では、ドラムを第1RPMから第2RPMへと減速させる。この時、ドラムを回転させる駆動モーター140の電源を遮断して減速させてもよく、駆動モーター140に逆方向の電圧を印加してドラムを減速させてもよい。ここで、第2RPMは第1RPM未満である。第2RPMは約270RPMでよい。減速段階(S422)の実行後に直ちに基準電流量測定段階(S423)を行ってもよいが、所定時間△t
mの間にドラムの回転速度を第2RPMに維持した後、基準電流量測定段階(S423)を行うことが好ましい。ここで、所定時間△t
mは5secまたは10secでよい。
【0122】
上記基準電流量測定段階(S423)では、第2RPMに減速したドラムを、基準時間△t
fの間に基準加速度で加速させるのにかかる総電流量である基準電流量A
fを測定する。このとき、基準加速度は3.4rpm/sで、基準時間△t
fは38secでよい。したがって、この場合、減速段階(S422)で270rpmに減速したドラムを、3.4rpm/sの加速度で38sec間加速させるのにかかる総電流量が基準電流量A
fとなる。
【0123】
洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階(S450,S460)では、脱水率R
s及び含水率R
wの少なくとも一方を用いて、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいるか否かを判断する。
【0124】
この洗濯物の内部に洗濯水が溜まっているか否かの判断段階は、脱水率判断段階(S460)または含水率判断段階(S450)を含み、好ましくは、脱水率判断段階(S460)と含水率判断段階(S450)の両方を含む。含水率判断段階(S450)と脱水率判断段階(S460)の実行順序は限定されないが、好ましくは、含水率判断段階(S450)が脱水率判断段階(S460)の前に行われるとよい。
【0125】
このような実施例によれば、脱水率R
sは、第1脱水布量電流量A
1/基準電流量A
fと定義できる。また、含水率R
wは、第1脱水布量電流量A
1/初期布量電流量A
0と定義できる。すなわち、R
s=A
1/A
f、R
w=A
1/A
0でよい。
【0126】
含水率判断段階(S450)で、含水率R
wが基準含水率R
wfよりも低い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいない場合と判断でき、含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも高い場合は、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水を含んでいる場合と判断できる。含水率判断段階(S450)で含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも低いと脱水段階(S471)を行い、含水率R
wが基準含水率R
Wfよりも高いと脱水率判断段階(S460)を行う。
【0127】
脱水率判断段階(S460)で脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいる場合と判断でき、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高い場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいない場合と判断できる。脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも低いと、エラーメッセージを表示(S46)したのち脱水行程(S40)を終了したり、又は洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行えばよく、脱水率R
sが基準脱水率R
sfよりも高いと、脱水段階(S471,S472)を行い、脱水行程(S40)を終了する。
【0128】
一方、本発明の一実施例によれば、脱水率判断段階(S460)で脱水率R
sを少なくとも2つの区間に分け、各区間におけるドラムの回転速度を別々にして脱水を行う。
【0129】
実施例によって、脱水率R
sは3個の区間に分けられてもよい。すなわち、脱水率R
sが第1脱水率R
sf1を超過する第1区間と、第2脱水率R
sf2超過第1脱水率R
sf1以下である第2区間と、第2脱水率R
sf2未満である第3区間とに区別してもよい。この実施例では、脱水率判断段階(S460)は、第1脱水率R
sf1を用いる第1脱水率判断段階(S461)、及び第2脱水率R
sf2を用いる第2脱水率判断段階(S462)を含むとよい。
【0130】
脱水率R
sが第1区間に該当する場合は、洗濯物に内部に溜まっている洗濯水が含まれていない場合と判断し、正常RPMであるR1でドラムを回転させて脱水段階(S471)を行う。例えば、ドラムの回転速度R1は、800RPM以上でよく、最大1010RPMでよい。
【0131】
脱水率R
sが第2区間に該当する場合は、洗濯物が内部に溜まっている洗濯水を含んでいる可能性が相対的に低いか、或いは洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の大きさまたは量が相対的に少ない場合と判断し、正常RPMであるR1よりも低いRPMであるR2でドラムを回転させて脱水段階(S472)を行う。例えば、ドラムの回転速度R2は430RPM以上でよく、最大500RPMでよい。
【0132】
脱水率R
sが第3区間に該当する場合は、洗濯物に含水泡が含まれている可能性が高く、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の大きさまたは量も多い場合と判断する。
【0133】
脱水率R
sが第3区間に該当すれば、脱水率R
sが第3区間と判断された判断回数Nをカウントし(S463)、この判断回数Nが基準回数N0以上であれば、エラーメッセージを表示(S46)し、脱水行程(S40)を終了する(
図6参照)。判断回数Nが基準回数N0未満であれば、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を行い、再び脱水率判断段階(S460)に移行する。判断回数Nが基準回数NO以上である場合は、少なくとも1回は洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)を実行したが、洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)の実行にもかかわらず脱水率R
sが再度第3区間に該当する場合であるから、エラーメッセージを表示(S46)し、脱水行程(S40)を終了する。ここで、基準回数N0は2回でよい(
図6参照)。
【0134】
上記洗濯物の内部に溜まっている洗濯水の除去段階(S44)は布解し段階を含んでもよい。布解し段階は、ドラム130の正回転及び逆回転の少なくとも一つを1回以上反復することで、ドラム130中における絡んだ布を解す段階である。この布解し段階により、ドラム130が正逆回転を反復しながら洗濯物の内部に溜まっている洗濯水が除去されるだろう。この布解し段階の実行前にタブ120で洗濯水を供給する給水段階を含んでもよい。さらに、布解し段階の実行前に給水段階を含む場合には、布解し段階の実行後に排水段階を行ってタブ120中の洗濯水を排水することが好ましい。
【0135】
一方、上述した通り、第1脱水布量電流量A
1は第1加速電流量A
sに代えてもよい。この場合、脱水率R
sは、第1加速電流量A
s/基準電流量であればよい。また、含水率R
wは、第1加速電流量A
s/初期布量電流量A
0であればよい。
【0136】
図8及び
図9を参照すると、第1脱水布量電流量A
1を第1加速電流量A
sに代える場合は、第1脱水布量電流量測定段階(S41)を第1加速電流量測定段階(S410)に取り替えるとよい。しかし、これに限定されず、第1脱水布量電流量測定段階(S41)、第1加速電流量測定段階(S410)の両方を行ってもよい。
【0137】
第1加速電流量測定段階(S410)では、過飽和状態の洗濯物が収容されたドラムを第1時間△t
sの間に第1加速度で加速させるのにかかる総電流量を測定する。すなわち、すすぎ行程(S30)の排水行程(S33)が終了した後、第1加速電流量測定段階(S410)が行われるとよい。ここで、第1時間△t
sは45secで、上記第1加速度は3.4rpm/sでよい。
【0138】
この第1加速電流量測定段階(S410)は上記第1加速段階(S421)で行えばよい。この場合、第1加速電流量測定段階(S410)は、第2RPMに到達する前に行われることが好ましい。すなわち、第1加速電流量A
sは脱水行程(S40)の初期に測定され、好ましくは、ドラムが270rpmの速度に到達する前に測定されるとよい。より好ましくは、第1加速電流量A
sは、120RPM〜270RPMの区間で測定されるとよい。第1加速電流量測定段階(S410)が第1加速段階(S421)中に行われる場合に、第1加速電流量測定段階(S410)が行われた後、第2RPMから第1RPMへとドラムを直ちに加速させてもよいが、好ましくは、所定時間△t
mの間に第2RPMでドラムの速度を維持させるとよい。ここで、所定時間△t
mは5secまたは15secでよい。
【0139】
一方、
図9を参照すると、第2加速電流量測定段階を行ってもよい。第2加速電流量測定段階では、洗濯物が収容されたドラムを第2時間の間に第2加速度で加速させるのにかかる総電流量を測定する。この第2加速電流量測定段階は、上記第1加速段階(S421)で行われるとよい。さらに、第2加速電流量測定段階は、第1加速電流量測定段階(S410)の後に行われることが好ましい。すなわち、第1加速電流量測定段階(S410)を行った後、第1加速段階(S421)が終了する前に行われるとよい。換言すれば、第2RPMから第1RPMへと加速しる区間で測定されるのが好ましい。したがって、第2加速電流量A
2は、270RPM〜450RPMの区間で測定すればよい。ここで、第2時間は38secでよく、第2加速度は3.4rpm/sでよい。
【0140】
以上様々な実施例及び図面を参照して本発明を説明してきたが、本発明は、これらの実施例及び図面に限定されるものではなく、当該技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能である。