特許第6513745号(P6513745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6513745相対血液体積を表す値を計算または近似するための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6513745
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】相対血液体積を表す値を計算または近似するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20190425BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20190425BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   A61M1/16 110
   A61M1/34
   G01N33/49 Y
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-144075(P2017-144075)
(22)【出願日】2017年7月26日
(62)【分割の表示】特願2013-545109(P2013-545109)の分割
【原出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-225822(P2017-225822A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】10015995.3
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/426,522
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】モイスル、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャムニー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ニーア、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーベル、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ウィスコッテン、セバスチャン
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−154741(JP,A)
【文献】 特開2006−288625(JP,A)
【文献】 特開2004−097781(JP,A)
【文献】 特表2008−504083(JP,A)
【文献】 特表2004−505708(JP,A)
【文献】 米国特許第07801598(US,B2)
【文献】 米国特許第07170591(US,B2)
【文献】 米国特許第07788038(US,B2)
【文献】 米国特許第05938938(US,A)
【文献】 米国特許第07785463(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 − 1/16
A61M 1/34
A61M 1/36
G01N 33/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する方法であって、この方法が:
患者の水分過剰(OH)レベルまたは水分過剰を反映する1つ以上の計算もしくは測定された値またはそれらの近似を得るステップと、
前記患者の前記水分過剰(OH)レベルまたは前記水分過剰を反映する前記得られた1つ以上の計算もしくは測定された値またはそれらの近似に基づいて、前記患者の血液処理の間の特定の時間点で計算または測定され得る前記患者の相対血液体積(RBV)を表す将来の値を、計算または近似するステップと、を含み、
ここにおいて、前記相対血液体積(RBV)を表す前記将来の値は、血液処理セッションの終了時までに到達すると計算または近似される前記相対血液体積の終了値(RBV_end)であり、および、
前記血液処理セッションの終了時までに到達する前記相対血液体積の前記終了値(RBV_end)は、以下のパラメータを考慮して計算または近似される、方法。
V_refillは、再充満体積を表す;
UFVは、限外ろ過体積を表す;
LTMは、患者の体の除脂肪質量を表す;
ATMは、患者の体の脂肪質量を表す;
OHは、血液処理セッションの開始時の、患者の水分過剰を表す;及び
K_Guytonは、Guyton因子であり、血管系内のどの部分に水分過剰が含まれるかを表す;
【請求項2】
前記相対血液体積(RBV)を表す前記将来の値を計算または近似するために、前記血液処理の開始時または開始前の絶対開始血液体積(BV_start)が考慮される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記絶対開始血液体積(BV_start)を評価するために、前記患者の体の前記除脂肪質量(LTM)を反映する少なくとも1つの値および患者の体の前記脂肪質量(ATM)を反映する少なくとも1つの値、またはそれらの近似が次のように考慮される、
BV_Start=BV0+OH/K_Guyton=0.1*LTM+0.01*ATM+OH/K_Guyton
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記相対血液体積(RBV)を表す前記将来の値は、低張性症状などの透析中の罹患事象を生じることなく血液処理セッションの終了時までに到達すると計算または近似される相対血液体積の終了値(RBV_end)である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
血液処理セッションの終了時までに到達する前記相対血液体積の前記終了値(RBV_end)が、以下の式を用いることによって、計算または近似される、請求項4に記載の方法。
(数6)
【数1】
【請求項6】
前記再充満体積(V_refill)は、以下の式によって得られる、請求項5に記載の方法。
(数7)
【数2】
式中:
a、b、c、dはパラメータであり;
hb_startは、血液処理セッションの開始時のヘモグロビン濃度を表す;
V_refillは、再充満体積を表す;
UFVは、限外ろ過体積を表す;
UFRは、限外ろ過率を表す;および
OHは、血液処理セッションの開始時又は開始前の、患者の水分過剰を表す。
【請求項7】
記計算または近似された前記相対血液体積の終了値(RBV_end)に基づいて血液処理装置を制御するステップを備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
特定の将来の血液処理セッションが継続する時間が、前記相対血液体積の終了値(RBV_end)を考慮することによって計算または最適化される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
処理セッションの終了時に前記血液処理によって達成されるべき前記相対血液体積(RBV)のターゲット値又はターゲット範囲が決定される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータが実行する方法の前記ステップを自動的に実行するように構成されたコンピュータを備える、装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行することによって提供される結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスをさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって計算または近似された前記相対血液体積(RBV)を表すターゲット値またはターゲット範囲に関して患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される、
請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
計算または近似された、前記相対血液体積(RBV)のターゲット値またはターゲット範囲として決定された前記相対血液体積の終了値(RBV_end)が測定されたら、前記処理セッションを終了または中断するように、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を含む、血液処理デバイス。
【請求項15】
透析によって患者を治療するための、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析によって患者を治療するための、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
コンピュータ上で実行された時に、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の時間点における相対血液体積を表す値、または患者の血液処理中もしくは患者の血液処理により観測または実測され得る患者の再充満体積を表す値を、計算または近似するための方法に関する。本発明はさらに、装置、血液処理デバイスに関し、さらにデジタル記憶手段、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液の体外処理中、患者の血液体積(BV)の減少、従って患者の相対血液体積(RBV)の減少が生じる。その減少は、処理の開始時における絶対血液体積(BV)、適用される場合は適用される限外ろ過率(UFR)などのような多数のパラメータに依存する。(非常に)高く設定された限外ろ過率(UFR)で治療される患者は、治療によって患者の体から吸引される流体量のために、例えば透析の間に虚脱に陥りやすい。(非常に)低く設定された限外ろ過率(UFR)にて治療される患者は、処理サイト(病院、クリニックまたはさらには処理器に繋がれた家庭)において不必要に時間を費やすことになり得る、またはさらに悪いことには適切な程度にまで患者の水分過剰(OH)レベルを低減させることなく、再び家に戻ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって、特定の時間点における相対血液体積(RBV)を表す値、または患者の血液処理中にもしくは患者の血液処理により観測もしくは実測され得る患者の再充満体積(V_refill)を表す値を、計算または近似するための方法、および/または将来の時点に関する相対血液体積(RBV)または将来的なある時点での絶対血液体積(BV)を予測するための方法を示唆する。また、本発明に従う方法を行うための装置が提供され、ならびに装置を含むデバイス、デジタル記憶手段、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従う方法は、請求項1の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の1つの態様において、絶対または相対血液体積を表す値または再充満体積を表す値を計算または近似または予測するための方法、あるいは将来の値(RBV_endと同様)を予測するための方法は、患者の水分過剰レベルを反映する1つ以上の計算もしくは測定された値またはそれらの近似を考慮する工程を含む。
【0005】
患者は、ヒトまたは動物のいずれかであることができる。患者は健常者であってもよく、病気であってもよい。患者は、医療的ケアを必要としていてもよく、またはしていなくてもよい。
【0006】
本発明に従う装置は、請求項11の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、装置は、本発明に従う方法を行うように構成される。
【0007】
本発明に従う血液処理デバイスは、請求項18の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、血液処理デバイスは、本発明に従う少なくとも1つの装置を含む。
【0008】
本発明に従うデジタル記憶手段は、請求項21の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、デジタル記憶手段、特にディスク、CDまたはDVD、フラッシュメモリ、USBメモリなどは、電気的に読取可能な制御シグナルを有し、これらは本発明に従う方法を実行するようにプログラム可能なコンピュータシステムと相互作用できる。
【0009】
本発明に従うコンピュータプログラム製品は、請求項22の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上でプログラム製品を実行する場合に、本発明に従う方法を実行するための機械読取可能なデータ媒体に記憶されるプログラムコードを有する。
【0010】
本発明に従うコンピュータプログラムは、請求項23の特徴の組み合わせによって定義される。従って、本発明の別の態様において、コンピュータプログラムは、コンピュータ上でプログラムを実行する場合に、本発明に従う方法の実行のためのプログラムコードを有する。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0012】
本発明に従う特定実施形態において、時間点は、特定の血液処理セッション内にある。一部の実施形態において、時間点は、血液処理セッションがまさに終了したときである。
【0013】
本発明に従う一部の実施形態において、値を観測または実測することは、値を測定すること、値を計算すること、または対象となる値に影響する他のパラメータの他の値から誘導もしくは決定することとして理解される。
【0014】
本発明に従う特定実施形態において、「血液処理により」測定、観測、計算または決定される値は、血液処理により変更されたパラメータの値を意味する。その値自体は、血液処理セッション中、血液処理セッション前または血液処理セッション後に測定、観測、計算または決定されてもよい。
【0015】
本発明に従う一部の実施形態において、血液処理は、血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析法であってもよい。
【0016】
本発明の特定実施形態において、値を「考慮すること」は、特に後に述べる数学的コンピュータ計算において値を考慮することを意味する。これは、考慮された値を指すまたはそれを含む数式によって、あるいは「考慮された」値を含む特定パラメータまたは値間の数学的関係を確立することによって行われ得る。本発明に従う一部の実施形態において、値を「考慮すること」は、例えば(数学的)式、コンピュータ、コントロールユニット、プロセッサなどに、インプットする入力値としてその値を用いることとして理解されてもよい。入力値は、例えば測定、ダイアグラム、スプレッドシート、テーブルなどを基点としてもよい。
【0017】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積または水分過剰レベルのようなパラメータを表すまたは反映する値は、そのパラメータを直接的にまたは間接的に記述するまたは示す値のいずれかを意味する。例えば本発明に従う特定実施形態において、患者の水分過剰を表すまたは反映する値は、ディメンジョン「リットル」が続く「3」であってもよく、一方で間接的に患者の水分過剰を誘導または決定または近似できる値も、ディメンジョン「キログラム」を有する「3」であってもよく、例えば腹囲であってもよい。
【0018】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積、相対血液体積、再充満体積または水分過剰のようなパラメータを表すまたは反映する値は、例えば「リットル」にて記述される絶対血液体積、相対血液体積、再充満体積もしくは水分過剰またはそれらの値として理解されるべきである。
【0019】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰「レベル」は、水分過剰の量または程度として理解され得る。用語「水分過剰」および用語「水分過剰レベル」の両方は、絶対値または相対値に関する場合がある。相対値として理解される場合、「水分過剰」は、流体除去を必要としない患者および/または腎臓が健常者のように作用している患者の正常水分状態に関連する場合がある。
【0020】
本発明に従う一部の実施形態において、水分過剰または水分過剰レベルは、腎臓障害のために過剰の水分除去を必要とする患者の体重と、患者の乾燥体重との差として定義される。乾燥体重は、過剰の流体が存在しないまたは除去されるべき過剰の流体はない条件での患者の体重であってもよい。患者の乾燥体重は、国際公開公報WO2006/002685A1におけるように定義され得る。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0021】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰および水分過剰レベル(これらの用語は、本発明に従う一部の実施形態において交換可能に使用されてもよい)は、血液処理セッションの開始直前、血液処理セッションの開始時、または血液処理セッション中の、患者の水分過剰または水分過剰値に関する。
【0022】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰または水分過剰レベルは、体内に蓄積された水または過剰の流体を意味し、当業者は、これを、血液処理によって−その一部または全体を−除去されるべき流体として理解する。
【0023】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰または水分過剰レベルは、腎臓が適切に作用した場合に、腎臓によって体から除去された体内に蓄積された水または過剰の流体に等しい。
【0024】
本発明に従う一部の実施形態において、一部のまたはすべての方法工程は、例えば1つ以上のプロセッサに対応するデバイスによって行われる。デバイスは、それぞれの方法工程を行うために適合および/または構成される。
【0025】
本発明に従う特定実施形態において、方法は、コンピュータで実施される方法である。
【0026】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、自動透析方法である。
【0027】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、絶対血液体積、相対血液体積または再充満体積を表す値を計算または近似または予測するための、または血液処理デバイスを制御するための操作者から独立した方法である。
【0028】
特定実施形態において、本発明に従う方法は、相対血液体積を表す値または再充満体積を表す値のいずれかを計算または近似または予測するための、血液処理の開始時または血液処理の開始前に、絶対開始血液体積を考慮することを包含する。
【0029】
一部の実施形態において、絶対開始血液体積を評価するために、除脂肪質量を反映する少なくとも1つの値および患者の体の脂肪質量を反映する少なくとも1つの値、および/またはそれらの近似が考慮される。
【0030】
本発明の特定実施形態において、再充満体積(V_refill)は、以下の式によって得られる(以下においても式(7)として対処される):
【数7】
【0031】
この式において、UFV、UFRおよびOHは、本明細書に使用される場合に、限外ろ過体積、限外ろ過率および水分過剰レベルを表す。「hb_start」は、処理セッションの開始前または開始時、例えば処理の開始直後の、血液、またはいずれかの他の好適な体液または組織中のヘモグロビン濃度である。
【0032】
本発明に従う特定実施形態において、パラメータaは0.6015に等しく、bは0.0097に等しく、cは0.0223に等しく、dは0.0442に等しい。
【0033】
本発明に従う一部の実施形態において、a、b、cおよびdの1つ以上は、負の値であってもよい。本発明に従う特定実施形態において、a、b、cおよびdの1つ以上は、0に等しい場合がある。
【0034】
a、b、cおよびdに関する上述された値は、本発明者らにより、本発明にとって有用であることがわかったが、上記式の使用は、もちろんそれらに限定されない。a、b、cおよび/またはdについて選択された値の偏差ももちろん可能であり、同様に想定される。
【0035】
もちろん、上記で与えられた式はまた、異なる方法で記述されてもよい。明らかなように、それは同様に別の構造、例えばV_refill=a*UFV/Hb+b*OH+...などを有していてもよい。
【0036】
一部の実施形態において、処理セッション全体にわたって合計されたまたは加えられた再充満体積が、計算または近似されてもよい。特定実施形態において、再充満体積に関する値は、特定の時点について計算または近似されてもよい。後者の場合、対象となる再充満体積値は、例えば指数関数または指数関数様の外挿または内挿から得られてもよい。
【0037】
本発明に従う一部の実施形態において、透析時の罹患事象、例えば低張性症状、急性発作、虚脱、痙攣、嘔吐、不調、悪心などを生じることなく、血液処理セッションの終了時に到達する相対血液体積の終了値が予測される。
【0038】
低張性症状、または急性発作は、本発明の特定実施形態において、低血圧または多かれ少なかれ突然生じる血圧降下に関連する、主観的に感じられる不快として定義される。
【0039】
本発明に従う一部の実施形態において、低張性症状、急性発作、または虚脱は、処理セッションの開始前または開始時において測定された収縮期血圧から、例えば30mmHgの低下を超える血圧の降下(または別に定義されたもしくは予め定義されたmmHg単位の低下)として定義される。
【0040】
本発明に従う特定実施形態において、低張性症状、急性発作、または虚脱は、患者の姿勢を変えること、または限外ろ過を停止すること、または例えばNaClの浸出液を供給することなどのような医療補助を必要とする患者の症状として定義される。
【0041】
本発明の特定実施形態において、方法は、本発明に従う方法によって計算または近似された相対血液体積に基づく血液処理装置を制御する工程を包含する。同様に、本発明の一部の実施形態において、方法は、本発明に従う方法によって計算または近似または予測された相対血液体積の終了値に基づいて血液処理装置を制御する工程を包含する。
【0042】
本発明の特定実施形態において、方法は、特定の将来の血液処理セッションが継続する処理期間または時間を計算または最適化する工程を包含する。計算または最適化は、本発明に従う方法から得られた、相対血液体積または相対血液体積の終了値を考慮することによって行われる。
【0043】
本発明に従う一部の実施形態において、方法は、患者の水分過剰レベルによって−またはそれらを考慮して−相対血液体積を、規格化されたまたは正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd)であるように補正する工程を包含する。
【0044】
本発明の特定実施形態において、方法は、処理セッションの終了時、血液処理によって満たされることが意図される相対血液体積のターゲット範囲を決定する工程を包含する。
【0045】
本発明の一部の実施形態において、装置は、コントローラまたはいずれか(他の)タイプのコンピュータである。
【0046】
本発明の多くの実施形態において、装置は、本発明に従う方法を行うための1つ以上のプロセッサのような対応するデバイスを含む。デバイスは、それぞれの方法工程を行うために適合および/または構成される。
【0047】
本発明の特定実施形態において、装置はモニタであるまたはモニタを含む。
【0048】
本発明の一部の実施形態において、装置は、本発明のいずれかの実施形態に従う方法を行うように構成される。
【0049】
本発明の特定実施形態において、装置は、それぞれの方法を行うことによって提供される結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスを含む。
【0050】
本発明の一部の実施形態において、装置は、本発明に従う方法によって計算または近似または予測される相対血液体積を表す値またはターゲット範囲に関連して、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される。
【0051】
特定実施形態において、制御は、一旦相対血液体積を表す計算もしくは近似された値またはターゲット範囲が処理によって達成または満たされた時点で、処理セッションが終了または中断されるというものである、−または絶対血液体積もしくは相対血液体積(RBV)が、特定もしくは所定の値未満に降下しないように限外ろ過率(UFR)が調節される。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、装置は、一旦相対血液体積の終了値またはターゲット範囲として予測されている相対血液体積の終了値が測定または計算された時点で、処理セッションが終了または中断されるように、患者の血液を処理するデバイスを制御するように構成される。これは、患者の一部に低張性症状を被ることなく達成または満たされる相対血液体積の終了値またはターゲット範囲であってもよい。
【0053】
本発明の特定実施形態において、本発明に従うデバイスは、透析によって患者を治療することを対象とする。
【0054】
本発明に従う一部の実施形態において、患者を治療するためのデバイスは、血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析によって処理するための機器である。
【0055】
本発明の特定実施形態において、装置は、一旦患者の絶対血液体積の閾値または所定値が検出または計算された時点で、処理セッションが終了または中断されるように、患者の血液を処理するデバイスを制御するように構成される。
【0056】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の絶対血液体積は、血液処理セッション中に決定される相対血液体積を考慮することによって、血液処理セッション中に決定される。
【0057】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰レベルは、患者の水分過剰または相対水分過剰(relOH:細胞外水分(ECW)を超える水分過剰)などを反映する測定された値および/または計算に基づいて近似、計算または定義される。本発明の特定実施形態で使用される場合に水分過剰の定義に関して、国際公開公報WO2006/002685A1を指し、ここでOHはa*ECW+b*ICW+c*体重に等しい。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、参考として本明細書に組み込まれる。水分過剰が異なる方法で決定され得ることが理解されるべきであり、それらのすべては、当業者に既知である。こうした方法の1つは、希釈を測定することを含み、それらに基づいて水分過剰を計算する。
【0058】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰レベルは、年齢補正された水分過剰または相対水分過剰(relAEOH)によって表されてもよい。そうする際に、特定の作用、例えば年齢による作用は、より相対的な値を得るために削除され得る。
【0059】
本発明に従う一部の実施形態において、患者の水分過剰レベルは、ただ1つの値、特にディメンジョン「リットル」を有する値によって表される。
【0060】
本発明に従う特定実施形態において、水分過剰レベルは、透析前に測定または近似され、あるいは患者の透析前値に基づく。
【0061】
本発明に従う一部の実施形態において、透析前(pre−Dx)値または計算は、直ちに、すなわち次の透析処理を開始するときまたは開始する数分前に得られたデータであってもよい。しかし、本発明は、これに限定されない。データはまた、いずれか他の時間点で得られ得る。Pre−Dxデータは、他のデータよりもより安定しているようである。そのため、それらを用いることが有利であり得る。
【0062】
本発明に従う特定実施形態において、ターゲット範囲は、相対血液体積および時間の両方を表すダイアグラムにて定義される。ターゲット範囲は、代わりにターゲット領域であってもよい。ダイアグラムは、別の方法ではプロットであってもよい。ダイアグラムは、「直交座標系」と呼ばれるデカルト座標系であってもよい。
【0063】
また、水和または水分過剰レベルを決定するために、いずれかの適切なモニタ、例えば生体インピーダンスまたは希釈技術に基づくモニタが使用され得る。
【0064】
水和状態または水分過剰レベルに関連するデータを得るためのモニタは、国際公開公報WO2006/002685A1に記載されるようなモニタであることができる。国際公開公報WO2006/002685A1のそれぞれの開示は、参考として本願に組み込まれる。もちろん、本発明は、WO2006/002685A1に記載されるような、生体インピーダンス測定によって患者の水和状態を決定するモニタに限定されないことを理解すべきである。希釈測定のような当該技術分野において既知の他の方法、および同様に当業者に既知のいずれかの他の方法も、同様に本発明によって想定および包含される。
【0065】
一部の実施形態において、装置はさらに、その装置によって与えられる結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスを含む。アウトプットデバイスは、ディスプレイ、プロッタ、プリンタまたはアウトプットを行うためのいずれか他の手段を有するモニタであってもよい。
【0066】
特定実施形態において、患者のヘモグロビン(Hb)レベル、質量または濃度は、計算および/または測定される。測定および計算は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によって、そのために好適ないずれかのデバイスを用いて、行われてもよい。特に、一部の実施形態において、それぞれのデータは、適切なモニタによって、体外血液ラインに含まれる血液サンプルおよび/または血液から、ヘモグロビン濃度または質量を測定することによって得られてもよい。測定は、光学センサによって血液の光学的特性を測定することによって、ならびに/または超音波センサによる超音波パルスの移行時間および/もしくは伝搬速度のような音響特性を評価することによって、行うことができる。
【0067】
特定実施形態において、装置は、ヘモグロビン(Hb)濃度(例えば、[g/dl]単位)を測定するための、および/またはDrukker,ParsonおよびMaherによる「Replacement of Renal Function by Dialysis」(Kluwer Academic Publisher,5th edition,2004,Dordrecht,The Netherlands,on pages 397 to 401「Hemodialysis machines and monitors」)に記載されるようないずれかのモニタによって、血液体積を決定するためのモニタを含み、そのそれぞれの開示は、参考として本明細書に組み込まれる。
【0068】
一部の実施形態において、モニタは、電気伝導度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0069】
特定実施形態において、モニタは、光学密度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0070】
一部の実施形態において、装置は、粘度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0071】
特定実施形態において、装置は、密度を測定することによって、血液体積および/またはヘモグロビン濃度を測定するように構成される。
【0072】
一部の実施形態において、装置は、電気伝導度センサ、光学センサ、粘度センサ、密度センサなどのような測定を行うための1つ以上の対応するプローブおよび/または1つ以上のセンサを含む。
【0073】
特定実施形態において、デバイスは、透析によって患者を治療するために使用されてもよい。
【0074】
特定実施形態において、デバイスは、血液ろ過、限外ろ過、血液透析などによって患者(または患者の血液)を治療するために使用されてもよい。
【0075】
実施形態は、以下の利点を1つ以上提供し得る。
【0076】
本発明によって、重篤な血圧降下、血圧急性発作または虚脱(後者はまた本明細書において罹患事象とも称される)なしに、患者によって高い確率で認容される相対血液体積についての終了値が、処理セッションの処理に先立ってまたは処理中の早期に(例えば、初期または開始Hb濃度の情報が必要である場合、処理が開始された後に(直後に)のみ、得られ得る値)決定されてもよい。これは、確実に予測される(RBV)基準に基づいて透析器を制御する可能性を提供してもよい。故に、前もって計算または予測された(臨界)相対血液体積は、有利なことには、相対血液体積のためのターゲット値として使用される得る。透析器は、これに応じて制御され得る。例えば、機器がプログラムされ、計算または予測された(臨界)相対血液体積が決定または得られたら、限外ろ過を停止する、またはターゲットRBVが下回らないように、UFRを調節することができる。
【0077】
さらに、特定実施形態において、透析時間または期間は、有利なことには、本発明の特定実施形態において最適化され得るが、これは、特定の患者に高い確率で許容され得る予測された相対血液体積に前もって気付くことにより、状況が必要とする限り迅速に予測された相対血液体積が得られるように透析器を制御できるからである。
【0078】
また、前もって一旦予測された相対血液体積が得られた時点、透析手順は、さらなる限外ろ過を必要とせず、推奨もされないことは明らかであるので、停止されてもよい。
【0079】
さらに、透析時間の最適化のために、本明細書に記載される制御は、特定実施形態において、所定の限外ろ過体積が最小量または最適な時間内で患者から吸引されることを確実にする。
【0080】
さらに、限外ろ過率は、透析期間が一旦設定された時点で、および相対血液体積または臨界相対血液体積が本発明によって予測もしくは計算された時点で、設定されてもよい。こうして決定された限外ろ過率は、血圧の重篤な低下(急性発作、虚脱など)を生じない。
【0081】
別の利点は、特定の再充満体積が既知となったら、対象となる患者の個々の再充満状態量が評価できるということであってもよい。再充満体積は、本発明に関して上記で記載されるように計算されてもよい。個々の再充満体積の評価は、毛細血管状態に関する患者の特定疾患または欠陥(例えば毛細血管漏出症候群の存在)を発見することに寄与し得、それは、浸透圧(アルブミン濃度)などを確認するのに役立ち得る。また、個々の再充満体積の評価は、より多くの個々の透析治療を提供できる。例えば、透析期間−これは少なくとも部分的には再充満体積から誘導され得る−は、患者の特定の必要性に適合されてもよい。多少なりとも、患者の再充満体積の特殊性を知ることは、患者の特定の必要性に治療をさらに適合させることに役立ち得る。
【0082】
さらに、上記で示される式の適切な使用により、次の処理セッションの開始のために予測される水分過剰レベルが見積もられてもよい。
【0083】
故に、本発明に従う方法、装置およびさらなるデバイスは、有利なことには、患者が不快さに苦しんだり、または不快さを感じ始めたりする前に、自動血液処理を如何にして自動的に停止するかという技術的問題を解決できる。本発明によって有利なことには解決され得る別の技術的問題は、過剰流体(または水分過剰)の意図されるまたは必要な除去を達成しながら、血液処理装置が患者の治療に必要とされる時間を如何にして短縮するかである。
【0084】
他の態様、特徴、および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】初期水分過剰(リットル単位)にわたって透析中の限外ろ過体積リットルあたりの相対血液体積降下を示す。
図2】別の分類表示において、図1のプロットに既に使用されるものを含むデータを示す。
図3】再充満体積参照に対して予測される場合の再充満体積間の関係を示す。
図4】予測された相対血液体積と処理の終了時に実際測定される相対血液体積との間の一致を示す。
図5】1つの単一処理セッション過程において測定される場合の相対血液体積を示す。
図6】血液処理器が本発明の特定実施形態に従って制御され得る方法の別の方法を示す。
図7】血液処理器が本発明の特定実施形態に従って制御され得る方法の別の方法を示す。
図8】血液処理器が本発明の特定実施形態に従って制御され得る方法の別の方法を示す。
図9】水分過剰に対する正常水分の相対血液体積を示す。
図10】本発明に従う方法を行うためのコントローラを備える第1の装置を示す。
図11】本発明に従う方法を行うためのコントローラを備える第2の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、透析中の%単位の限外ろ過流体リットルあたりの相対血液体積降下(簡潔に:%ΔRBV/UFV、UFVはリットル[L]単位で測定される)と初期水分過剰(リットル単位)との間の相関を示す。図1のデータは、限外ろ過によって治療される多数の患者から集められている。
【0087】
図1から理解され得るように、限外ろ過流体リットルあたりの相対血液体積降下は、透析前の水分過剰(「pre−Dx」水分過剰)が高くなるにつれて低くなる。
【0088】
図2は、図1のプロットに既に使用されたものと、追加の測定のデータとを含むデータを示す。図1図2との間の別の相違は、利用可能なデータを表す方法が異なることである。図2において、患者は、1リットル未満または1リットルを超えるいずれかの水分過剰OHで透析を開始するよう分類された。
【0089】
図1および図2の両方から理解され得るように、限外ろ過流体リットルあたりの相対血液体積降下(簡潔に:%ΔRBV/UFV[L])は、より高い水分過剰で透析を開始した患者は低くなり(数では24人の患者)、逆も同様である。さらに、図1と同様に、図2においては、1.3リットルを超える限界ろ過流体が引き抜かれた(UFV>1.3リットル)患者において観測された唯一のデータが示されている。
【0090】
同様に図1および図2から理解され得るように、処理セッションの終了時に到達されるべきターゲットRBV値を決定するために、または最適化されたもしくは臨界RBV値(RBV_criticalまたはRBV_min_tolerated)を決定するために、水分過剰レベルは、明らかに重要な情報であり、故に、個々のおよび最適なRBV_criticalまたはRBV_min_toleratedを設定する際に考慮されるべきである。
【0091】
図1および図2の表示は、過去に異なる相対血液体積値にて透析中、特定の患者が相対的なまたは重篤な血圧降下(低血圧事象または発作)を起こし、一方でその他の人はそうではなかった理由を理解するのに役立ち得る。その1つの理由は、水分過剰患者において、(間質内に含まれる水の量が多いため)増強された再充満であり得る;別の理由は、増強された絶対血液体積であり得る。
【0092】
また、図1および2は、特定の相対血液体積レベルまたは値が第1の透析セッション中に到達される場合に特定の患者が虚脱し得る一方で、その患者は、同じ相対血液体積が別の第2の透析セッション中に到達される場合には虚脱しない理由を理解するのに役立つ。
【0093】
以下には、例として、前記透析前の水分過剰の関連およびその偏差を反映する手法を説明する(ΔBVは、一般に透析中の絶対血液体積の降下または変化である):
【数1】

【数2】

【数3】

BV_startは、正常水分BV_0に血液区画に存在する過剰流体の一部を加えたものに等しい:

【数4】

BV_0は、0.1*LTM+0.01*ATMに等しいと仮定し、LTMは、筋肉質量であり、ATMは問題の患者の脂肪質量であり、再充満体積は次のように表現され得る:
【数5】

数式5を解いてRBV_endを求める:

【数6】

【0094】
本明細書内に示されるいずれかの式において、UFVは限外ろ過体積を表し、OHは、透析を開始する前の水分過剰を表す。
【0095】
V_refillは、例として、次のように見積もられてもよい:
【数7】
【0096】
上述のように、本発明に従う特定実施形態において、パラメータaは0.6015に等しく、bは0.0097に等しく、cは0.0223に等しく、dは0.0442に等しい。しかし、これは、限定として理解されるべきではない。いずれかの他の見積りも想定される。
【0097】
パラメータa、b、cおよびdについての上述の値は、実験的に実測される。それらは、優位性および交差検定のために段階的分析されている。
【0098】
UFV、UFRおよびOHに基づいて再充満体積を見積もる他の手法も、もちろん想定される。代替手法において、hb_startが含まれ得る。しかし、これは必須ではない。
【0099】
また、透析セッションの期間T_dialysisは、UFVをUFRで除することによって計算されてもよい。
【0100】
さらに、水分過剰OHは、関数f(UFV,UFR,LTM,ATM,hb_start,K_Guyton,RBV_end)によって表されてもよい。透析セッションの期間T_dialysisは、関数f(UFV,OH,hb_start,LTM,ATM,K_Guyton,RBV_end)によって表されてもよい。限外ろ過率UFRは、関数f(UFV,OH,hb_start,LTM,ATM,K_Guyton,RBV_end,T_dialysis)によって表されてもよい。
【0101】
図3は、再充満体積参照(リットル単位のVol_refill_ref)に対して式(5)で予測されるように、再充満体積(リットル単位のVol_refill)の関係を例示する。これらの参照値は、式(5)によって例示される処理について計算され、x軸に沿って示されたが、式(7)によって実測される値は、y軸に沿って示された。
【0102】
図3に対応する実施形態において、血液体積の拡張は、K_Guytonが一定値であることによって、水分過剰OHに比例すること、およびLTM、ATMなどは十分に補正されて決定されると考えられる。
【0103】
図3から理解され得るように、予測された再充満体積(リットル単位のVol_refill)は、実際に観測された再充満体積参照(リットル単位のVol_refill_ref)に非常に一致している。
【0104】
同様に、図3を参照して上記で示されたことはまた図4においても観測され得る。図4にプロットされたデータは、予測された相対血液体積RBV_pred[%単位]は、処理を開始する前に医師によって設定された限外ろ過体積が血液から引き抜かれた後に、到達する相対血液体積(RBV_end_reached[%単位])に非常に一致していることを示す。
【0105】
示される値の標準偏差(SD)は、+/−2.2%である。図4に示される各ポイントは、1つの完全な処理セッションを表す(合計、109回測定)。
【0106】
議論される図に示されるデータは、ここで、一定の限外ろ過率が適用されて行われた処理の間または処理によって得られたことに留意する。しかし、本発明の考えはまた、処理中に一定に保たれない限外ろ過率を用いて具現化されてもよいことが想定される。
【0107】
図5は、1つの単一処理セッションの過程で、測定される場合の相対血液体積を表す(RBV_meas[%]単位)。相対血液体積(RBV)は、セッションの期間(分単位の時間t)にわたって例示される。
【0108】
参照用語RBV_measは、時間tにわたって相対血液体積の実際に測定された過程を示す。参照用語RBV_predは、予測された相対血液体積を示す。わかるように、予測された終了相対血液体積と実際の終了相対血液体積との間に偏差はほとんどない(偏差は、図5の矢印で表される)。いかなる場合であっても、前もって計算または予測された相対血液体積RBV_predに基づいて透析装置を制御することは、図5に反映される特定の処理セッションにおける低血圧急性発作を引き起こさない。
【0109】
図6から図8は、本発明の特定実施形態に従って血液処理器が制御され得る方法をさらに説明することを目的とする。図6から図8において、相対血液体積RBVの過程は、時間t[分]経過によって例示される。データは、各処理セッションの開始時に4.7リットルの一定の正常水分絶対開始血液体積BV_0を有していた患者「46249」の3つの異なる透析処理中に記録された。患者の水分過剰OHは、1.4リットル(図6)と2.3リットル(図7)で異なっていた。これら3つのセッションにおいて、1.5リットル(図6)〜2.3リットル[L](図8)の限外ろ過体積がそれぞれ除かれた。
【0110】
図6から8のそれぞれにおいて、グラフRBV_priorは、処理の開始から、経過した時間の間の相対血液体積の進展を示す。本発明に関して、用語RBV_priorは、先行技術にてこれまで行われているように、血液体積モニタ測定の結果を反映する。RBV_prior(そのため、RBV_classicalまたはRBV_standardなどと呼ばれることもでき、すなわちBV(t)/BV_startとして計算される)は、測定される場合に相対血液体積を明らかにする。しかし、RBV_priorは、正常水分血液体積ではない。図6から8から理解され得るように、処理は、相対血液体積RBV_priorが100%で開始し、85〜95%の低下した相対血液体積にて終了する。故に、これらの図から容易に明らかであるように、処理の終了時に測定された相対血液体積は、同量の流体が各処理にて低下したとしても、相対血液体積は、処理の開始時において血液体積に関して異なる絶対値に対して決定されるので、処理によって異なり得る。こうした理由から、前もって設定または決定された相対血液体積の臨界または終了値に基づいて透析器を制御すること(または限外ろ過率もしくは体積を適切に設定すること)は、本発明によって達成され得ることとは対照的に−特定の患者に関しては従来の技術では困難な場合がある。
【0111】
本発明の一部の実施形態によれば、透析セッションの前に対象となる患者において実測される水分過剰について「補正された」相対血液体積RBV_normohyd(ここで、正常水分相対血液体積と呼ばれる)は、透析器を制御するために使用される。
【0112】
正常水分相対血液体積RBV_normohydは、例えば次のように計算され得る:
【数8】
式中、BV_absolute_startDialysisは、処理セッションの開始時における絶対血液体積を表し、式中、BV_0は、水分過剰により血管系に対して流体の寄与について補正された絶対血液体積を表す。Guyton因子K_Guytonは、血管系内に一部の水分過剰が含まれることを示す。
【0113】
このように、水分過剰の患者は、図6から8から理解され得るように、正常水分相対血液体積RBV_normohydが100%より高い状態で透析治療を開始される。図6の例において、患者は、1.4リットルの水分過剰で治療を開始した。1.5リットルが除去された。実際の血液体積BV_absolute_startDialysisは、4.7リットルに1.4/3を加えた5.2リットルであった。正常水分絶対開始血液体積BV_0は4.7リットルであった。Guyton因子K_Gytonは、水分過剰の一部が血管系内に含まれることを示しており、3であると仮定された。故に、患者は、透析セッションに関して110%(5.2リットル/4.7リットル)の仮想相対血液体積または正常水分相対血液体積で開始された。透析が終了した場合、正常水分相対血液体積RBV_normohydは100%である。4.7リットルの絶対血液体積は、それまでに回復される。水分過剰は、それまでに0リットルに低下されている。この処理において限外ろ過体積UFVが1.5リットルであったことを留め、患者の再充満体積は4.7リットルから、5.2から1.5リットル差し引いたものを差し引いた1リットルであった。
【0114】
図6から図8から容易に理解されるように、正常水分相対血液体積RBV_normohydに基づく透析を制御することは、100%の正常水分相対血液体積RBV_normohydがそれぞれの処理セッションにおいて到達したら、限外ろ過を停止するために十分事足りるので非常に容易であり、透析後に再充満が生じることはないことを仮定している。これは、処理の終了時に非常に低いUFRにて行われることによって達成でき、結果として血管および間質空間は、多かれ少なかれ(ろ過圧力の点で)平衡に近づく。上記から同様に明らかなように、100%の停止値は、各単回の処理、および特定の患者が治療されることを問わない、いずれにおいても正常水分の相対血液体積RBV_normohydに関して変更されないままであってもよい。ここで提案されるような機械の制御は、プログラム化労力を削減し得る。
【0115】
図7は、同じ患者の別の治療を反映する。2.3リットルのより高い水分過剰OHにより(図6の処理と比較した場合に、それは1.4リットルであった)、図7の透析は、117%の正常水分相対血液体積RBV_normohydで開始する(図6での112%に比較して)。
【0116】
加えて、図8に示されるように、処理の終了時に満たされるべき正常水分相対血液体積RBV_normohydについてのターゲット範囲TRを設定するために想定されてもよい。
【0117】
例えば、ターゲット範囲TRは、想定された100%未満および/または100%を超える値に対して3%、5%またはそれ以上に設定されてもよい。
【0118】
さらに、ターゲット範囲TRは、常に100%である正常水分相対血液体積RBV_normohydの終了値を必ずしもカバーしない。この範囲はまた、対象となる処理のためにいずれかの所望の終了値付近の領域をカバーするために使用されてもよい。故に、特定の状況下、ターゲット範囲は、患者によって、例えばそれぞれ90%または95%の終了値に関連付けられてもよい。
【0119】
図9は、水分過剰OHに関して示される正常水分相対血液体積RBV_normohydを示す。さらに、図9において、対象の透析処理のための開始点Dx_startおよび終了点Dx_endが例示される。処理の終了時に、正常水分相対血液体積RBV_normohydおよび水分過剰OHの両方の値について許容される図9のプロットでの領域を示すターゲット範囲TRが設定される。
【0120】
上記で記載されるようにOHの代わりに、OHの時間平均値(TAFO、事前および事後の水分過剰値間の平均)が、本発明の考えを具現化するために使用され得ることに留意し、これらに限定されないが、図9に関して記載される意図を含む。
【0121】
図9において、処理の2つの可能な方法または透析器を制御する方法をC1およびC2として示す。
【0122】
終了点C2において、患者は、正常水分の血液体積BVを有する;しかし、患者は、なおも水分過剰である。結果として、終了点C2が処理後に図9の例示に見られる、さらなる上昇をするような間質から血管への水の再結合が予測されるべきである(OHは、一定レベルに留まるが、血液体積BVが上昇する)。
【0123】
他方で、終了点C1において、患者が水分過剰でなく、また血液体積BVと間質との間の水の分配は平衡であることがわかったので、再結合はない。
【0124】
特定実施形態において、本発明に従う制御は、次のように想定される:
【0125】
処理の開始から10〜30分後、曲線の方向(例えば、図9の場合と同様の表示において)が決定される。曲線がターゲット範囲を満たす可能性が高いかどうかを評価される。この評価は、モニタ(目視)またはアルゴリズムのようなより精錬された手法を介して単に観測することによって行われてもよい。曲線は、ターゲット範囲内にて終了することを仮定する場合、何も行われなくてもよい。しかし、曲線が非常に急傾斜で下降する場合、C2と同様に、これは、血液体積が非常に迅速にまたは急激に低下することを示す場合があり、その両方が、再充満が制限または限定されることを示し得る。故に、それは、限外ろ過率UFRを制限すること、および透析処理の期間を延長することが賢明な場合がある。そのためには、曲線は、「平坦な状態」でターゲット範囲を最終的に満たし得る。
【0126】
対照的に、図9の曲線がターゲット範囲を超えて続く場合に、処理の制御は、曲線が再びターゲット範囲に向かうまで、および/またはターゲット範囲を満たすまたはそこで終了すると考えられるまで、限外ろ過率UFRを増大させ得る。
【0127】
制御方法または本方法を行うためのデバイスの特定実施形態において、操作される変数は、まず、限外ろ過率および/または透析処理の期間を含む。他には、追加の手段、例えば再充満を増強するための塩投与(salt boli and their administration)が想定される。
【0128】
図10は、本発明の第1の実施形態に従って方法を行うように構成されるコントローラ63を含む装置61を示す。装置61は、本発明に従う方法に必要とされる測定結果およびデータを含む外部データベース65に場合により接続される。データベース65はまた、装置61の内部手段であることができる。装置61は、コントローラ63または装置61自体にデータを入力するための手段67を場合により有していてもよい。こうしたデータは、設定された限外ろ過率、体から除去されるように計画されている限外ろ過率などまたはそれらの近似についての情報であってもよい。コントローラ63および/または装置61によって提供される結果は、モニタ60上に表示される得る、または−図10においては表示されないが、場合により含まれる−プロッタによってプロットされる得る、またはデータベース65もしくはいずれかの他の記憶手段によって記憶される得る。データベース65はまた、実行する場合に本発明に従う方法を開始するコンピュータプログラムを含むことができる。
【0129】
対応する測定に関して図11から理解され得るように、第2の実施形態に従う装置61は、水分過剰、除脂肪質量、脂肪質量または体の他のパラメータまたはそれらの近似を測定または計算するための手段の1つの例として生体インピーダンス測定手段69と(有線または無線によって)接続される得る。一般に、測定または計算手段は、本発明に従う方法に必要とされる測定結果およびデータを含む外部データベース65に加えて、または外部データベース65の代わりに(すなわち代入として)提供され得る。
【0130】
生体インピーダンス測定手段69は、接触抵抗のようなインピーダンスデータに対する影響に関して自動的に補足でき得る。
【0131】
こうした生体インピーダンス測定手段69の例は、Xitron Technologies社から、商標名「Hydra」として販売されるデバイスであり、これはさらに国際公開公報WO92/19153に記載されており、その開示は、参考として本願に明確に組み込まれる。
【0132】
生体インピーダンス測定手段69は、種々の電極を含んでいてもよい。図7において、単に2つの電極69aおよび69bが、生体インピーダンス測定手段69に取り付けられて示されている。追加の電極ももちろん想定される。
【0133】
暗示される各電極は、2つ以上の(「サブ」)電極を順に含むことができる。電極は、電流注入(「サブ」)電極および電圧測定(「サブ」)電極を含むことができる。すなわち、図11に示される電極69aおよび69bは、2つの注入電極および2つの電圧測定電極(すなわち合計4つの電極)を含むことができる。
【0134】
概して、本発明に従う装置は、計量手段、必要とされるデータをインプットするためのキーボード、タッチスクリーンなど、センサ、実験室との配線または通信リンク、いずれかの他のインプット手段などのような手段を提供され得る。
【0135】
同様に、装置61はさらに、水分過剰を反映させる値を得るための、および/または外部データベース65に加えて提供され得るもしくは外部データベース65の代わりに(すなわち代入として)提供され得る質量、体積もしくはHb濃度を反映させる値を得るための測定または計算手段のためにさらなる手段71を有していてもよい。
【0136】
手段71は、計量手段、必要とされるデータをインプットするためのキーボード、タッチスクリーンなど、センサ、実験室との配線または通信リンク、Hb濃度プローブ、いずれかの他のインプット手段として提供され得る。
【0137】
以下には、例示方法として、患者の絶対血液体積の閾値または所定値が検出または計算されたら、処理セッションが、停止または中断されるように、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される本発明に従う装置を作用させる方法が記載される:
【0138】
処理セッションの開始時の患者の絶対血液体積は、BV_start=BV_0+OH/K_Guytonとして既知である。以下の例において、BV_startは5.0Lである。ここで、処理中に数回、例えば血液体積モニタによって決定される相対血液体積は、BV_startが乗じられる。相対血液体積(%単位)が95%に降下したら、絶対血液体積は、5.0L*0.95=4.75Lとして計算されてもよい。
【0139】
絶対血液体積が、例えば4.0Lの閾値未満に降下したら、血液処理を停止させなければならないことが所望され得る。このために、相対血液体積は、血液処理セッション中に考慮される。もちろん、閾値は、各患者および/または処理セッションについて個々に設定されてもよい。
【0140】
もちろん、血液処理中に認容相対血液体積の近似または予測に関して上記で説明されたことは(また、請求項1の方法にて記載されること)は、特定実施形態において、絶対血液体積に関してもあてはまる場合がある。換言すれば、本発明によって、なおも認容される絶対血液体積を近似または予測することを可能にしてもよい。こうした認容絶対終了血液体積BV_endは、BV_startとRBV_predictedを乗じることによって得られてもよい。
【0141】
故に、相対血液体積に照らして、本発明に関して上記で記載されることはまた、多くの実施形態において、絶対血液体積についてもあてはまる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
〔1〕
特定の時間点での絶対血液体積(BV)もしくは相対血液体積(RBV)、または規格化されたもしくは正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd(t))を表す値、あるいは患者の血液処理の間または患者の血液処理により、観測または実測または計算または測定され得る患者の再充満体積(V_refill)を表す値を計算または近似または予測するための方法であって、この方法が:
患者の水分過剰(OH)レベルまたは水分過剰を反映する1つ以上の計算もしくは測定された値またはそれらの近似を考慮するステップ
を含む、方法。
〔2〕
相対血液体積(RBV)を表す値または再充満体積(V_refill)を表す値を計算または近似または予測するために、前記血液処理の開始時または開始前の前記絶対開始血液体積(BV_start)が考慮される、〔1〕に記載の方法。
〔3〕
前記絶対開始血液体積(BV_start)を評価するために、患者の体の除脂肪質量(LTM)を反映する少なくとも1つの値および患者の体の脂肪質量(ATM)を反映する少なくとも1つの値、またはそれらの近似が考慮される、〔2〕に記載の方法。
〔4〕
前記再充満体積(V_refill)が、以下の式によって得られる、〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の方法
【数9】
式中:
a、b、c、dはパラメータであり;
hb_startは、血液処理セッションの開始時のヘモグロビン濃度を表す;
V_refillは、再充満体積を表す;
UFVは、限外ろ過体積を表す;
UFRは、限外ろ過率を表す;および
OHは、例えば血液処理セッションの開始時の患者の水分過剰を表す。
〔5〕
血液処理セッションの終了時までに到達される相対血液体積(RBV)の終了値を、透析中の罹患事象、例えば低張性症状などを生じることなく、予測するステップ;
を包含する、〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕
血液処理装置が、〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の方法から誘導される相対血液体積(RBV)に基づいて、または〔5〕に記載の方法から誘導される相対血液体積(RBV)の終了値に基づいて制御される、〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕
特定の将来の血液処理セッションが継続する時間が、〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の方法から誘導される相対血液体積(RBV)、または〔5〕に記載の方法から誘導される相対血液体積(RBV)の終了値を考慮することによって計算または最適化される、〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕
前記相対血液体積(RBV)が、規格化されたまたは正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd、またはBV(t)/BV_0)であるように、患者の水分過剰(OH)レベルに関して補正される、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕
処理セッションの終了時に血液処理によって達成されるべき前記相対血液体積(RBV)、または正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd)それぞれのターゲット範囲が決定される、〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕
規格化されたまたは正常水分の相対血液体積(RBV_normohyd)が以下の式によって得られる、〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の方法
【数10】

式中:
BV_absolute_startDialysisは、処理セッション開始時の絶対血液体積を表す;
K_Guytonは、水分過剰の一部が血管系内に含まれることを示す;
OHは、例えば血液処理セッションの開始時の患者の水分過剰を表す;
RBV_prior(t)は、患者の相対血液体積を表す;および
BV_0は、例えば血液処理セッションの開始時に患者の正常水分血液体積を表す。
〔11〕
〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法を行うために構成される装置。
〔12〕
それぞれの方法を行うことによって提供される結果をアウトプットするためのアウトプットデバイスをさらに含む、〔11〕に記載の装置。
〔13〕
〔〕1から10のいずれか一項に記載の方法によって計算または近似または予測された相対血液体積(RBV)または規格化されたもしくは正常水分血液体積(RBV_normohyd)を表す値またはターゲット範囲に関して患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される、〔11〕または〔12〕に記載の装置。
〔14〕
〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法によって計算または近似または予測されたターゲット相対血液体積(RBV)、または規格化されたもしくは正常水分ターゲット血液体積(RBV_normohyd)を表す値またはターゲット範囲に関して、患者の血液を処理するために、デバイスを制御するように構成される、〔11〕から〔13〕のいずれか一項に記載の装置であって、ターゲット範囲はさらに、ターゲット水分過剰ステータスによって定義される、装置。
〔15〕
前記処理セッションが、患者が、透析中の罹患事象、例えば低張性症状などを起こすことがない時点で相対血液体積(RBV)の終了値またはターゲット範囲として予測されている前記相対血液体積(RBV)の終了値が測定または計算されたら、終了または中断されるように、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される、〔11〕から〔14〕のいずれか一項に記載の装置。
〔16〕
前記処理セッションが、患者の絶対血液体積の閾値または所定値が検出または計算されたら、停止または中断されるように患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成される、〔11〕から〔15〕のいずれか一項に記載の装置。
〔17〕
患者の絶対血液体積の閾値または所定値が検出または計算されたら、処理セッションが停止または中断されるように、患者の血液を処理するためのデバイスを制御するように構成され、前記患者の絶対血液体積が、血液処理セッション中に決定される相対血液体積を考慮することによって血液処理セッション中に決定される、〔11〕から〔16〕のいずれか一項に記載の装置。
〔18〕
〔11〕から〔17〕のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を含む、血液処理デバイス。
〔19〕
透析によって患者を治療するための、〔18〕に記載のデバイス。
〔20〕
血液ろ過、限外ろ過、および/または血液透析によって患者を治療するための、〔19〕に記載のデバイス。
〔21〕
〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法が実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと相互作用することができる、電気的に読取可能な制御シグナルを有するデジタル記憶手段、特にフラッシュドライブ、USBメモリ、ディスク、CDまたはDVD。
〔22〕
コンピュータ上でプラグラム製品を実行する場合に、〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法を実行するための機械読取可能なデータ媒体に記憶されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品。
〔23〕
コンピュータ上のプログラムを実行する場合に、〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
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図11