特許第6513922号(P6513922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6513922熱収縮性筒状ラベル、及びラベル付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6513922
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】熱収縮性筒状ラベル、及びラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/04 20060101AFI20190425BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20190425BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20190425BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   G09F3/04 B
   G09F3/04 C
   G09F3/02 W
   G09F3/02 F
   B65D23/08 B
   B65D23/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-204727(P2014-204727)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-75748(P2016-75748A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】大矢 祐司
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−237198(JP,A)
【文献】 特開昭63−301988(JP,A)
【文献】 米国特許第06107244(US,A)
【文献】 特開2003−255839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00−3/04
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムの裏面が内側となるように筒状に形成された筒状フィルムと、
前記筒状フィルムの表面側及び裏面側の少なくとも一方側に設けられた装飾印刷層と、を有し、
前記装飾印刷層が、金属又は半金属を含み且つ一方面に複数の凹凸を有する板状薄片を含み、
前記熱収縮性フィルムに積層された装飾印刷層が、JIS K 7105に準拠して測定される全光線透過率が50%以上の光透過性を有し、
前記装飾印刷層が、ホログラム調の外観を呈する、熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
前記板状薄片の複数の凸部が、規則的に配列されている、請求項1に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
前記装飾印刷層が、筒状フィルムの裏面側に設けられており、その装飾印刷層の裏面側に、白色着色剤を含む背景印刷層が設けられている、請求項1または2に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
三次元曲面部を有する容器と、前記三次元曲面部を含んで前記容器に熱収縮装着された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状ラベルと、を有し、
前記装飾印刷層の設けられた領域が前記三次元曲面部に装着されている、ラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム調の外観を有する熱収縮性筒状ラベル及びそれが装着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性フィルムを筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルが多様な用途に用いられている。なお、熱収縮性筒状ラベルは、シュリンクラベル、シュリンクチューブなどとも呼ばれる。
前記熱収縮性筒状ラベルは、商品名などの文字、装飾的な模様などのデザインを表示するための装飾媒体として利用されている。また、装飾効果を高めるため、ホログラム調の外観を有する熱収縮性筒状ラベルも知られている。ここで、ホログラム調の外観とは、光の干渉縞によって視覚上虹色のように見える外観をいう。
従来、ラベルにホログラム調の外観を付与する方法としては、ホログラム箔転写シートをラベルに転写する方法が知られている(特許文献1)。前記ホログラム箔転写用シートは、剥離層を有するシートと、前記剥離層の表面に積層され且つホログラム調の表面凹凸を有する樹脂層と、この樹脂層の表面に積層されたアルミニウム蒸着膜と、このアルミニウム蒸着膜の表面に積層された接着剤層と、を有する。この転写シートの接着剤層をラベルに接着し、剥離層を有するシートを引き剥がすことにより、ラベルにホログラム箔が転写される。
しかしながら、熱収縮性筒状ラベルに前記ホログラム箔を転写した場合には、熱収縮性筒状ラベルを被着体に装着した後に、ホログラム効果が消失する又は非常に小さくなるという問題点がある。ホログラム効果が消失する理由は、明確ではないが、次のように推定される。熱収縮性筒状ラベルは、加熱して熱収縮させることにより被着体に装着されるラベルであり、前記ホログラム箔が転写された熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させると、ホログラム箔もそれに追従して収縮させられるので、樹脂層の表面の凹凸が乱れ、ホログラム調の外観を消失する又はその外観が見え難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−320795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、熱収縮させた後も良好なホログラム調の外観を有する熱収縮性筒状ラベル及びその熱収縮性筒状ラベルが容器に熱収縮装着されたラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究した結果、複数の凹凸を有する板状の薄片を含む印刷層を形成することにより、上記目的を達成できる熱収縮性筒状ラベルに想到した。
【0006】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮性フィルムの裏面が内側となるように筒状に形成された筒状フィルムと、前記筒状フィルムの表面側及び裏面側の少なくとも一方側に設けられた装飾印刷層と、を有し、前記装飾印刷層が、金属又は半金属を含み且つ一方面に複数の凹凸を有する板状薄片を含み、前記熱収縮性フィルムに積層された装飾印刷層が、JIS K 7105に準拠して測定される全光線透過率が50%以上の光透過性を有し、前記装飾印刷層が、ホログラム調の外観を呈する
【0007】
本発明の好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記板状薄片の複数の凸部が、規則的に配列されている。
本発明の好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記装飾印刷層が、筒状フィルムの裏面側に設けられており、その装飾印刷層の裏面側に、白色着色剤を含む背景印刷層が設けられている。
【0008】
本発明の別の局面によれば、ラベル付き容器を提供する。
本発明のラベル付き容器は、三次元曲面部を有する容器と、前記三次元曲面部を含んで前記容器に熱収縮装着された上記熱収縮性筒状ラベルと、を有し、前記装飾印刷層の設けられた領域が前記三次元曲面部に装着されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、複数の凹凸を有する板状薄片を含む装飾印刷層が設けられているので、熱収縮させた後も良好なホログラム調の外観を有する。
かかる熱収縮性筒状ラベルが容器の三次元曲面部に熱収縮装着されたラベル付き容器は、見る角度によって色彩が大きく変化するホログラム調の外観を有し、装飾性に優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の熱収縮性筒状ラベルを構成するラベル形成用基材を裏面側から見た正面図。
図2図1のII−II線で切断した横断面図。
図3図1のIII−III線で切断した横断面図。
図4】本発明の熱収縮性筒状ラベルの斜視図。
図5】同熱収縮性筒状ラベルを上方から見た平面図。
図6図4のVI−VI線で切断した横断面図(シール部の横断面図)。
図7】板状薄片を一方面側から見た平面図。
図8】(a)は、板状薄片の一方面の一部分を拡大した平面図であって、1つの実施形態に係る凹凸形状を示す平面図、(b)は、同(a)のVIIIb−VIIIb線で切断した断面図、(c)は、凹凸形状の変形例を示す断面図。
図9】(a)は、板状薄片の一方面の一部分を拡大した平面図であって、更なる変形例に係る凹凸形状を示す平面図、(b)は、同(a)のIXb−IXb線で切断した断面図。
図10】(a)は、本発明の第1例に係るラベル付き容器の正面図、(b)は、第2例に係るラベル付き容器の正面図。
図11】(a)は、本発明の第3例に係るラベル付き容器の正面図、(b)は、第4例に係るラベル付き容器の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ただし、本明細書において、「裏面」とは、筒状ラベルを形成したときにその筒状内側となる面をいい、「表面」とは、前記裏面の反対面(他方の面)を指し、筒状ラベルを形成したときにその筒状外側となる面をいう。筒状内側は、筒状ラベルの径内方向を意味し、筒状外側は、筒状ラベルの径外方向を意味する。
また、本明細書において、「横方向」は、ラベル形成用基材の1つの方向であって、この基材が筒状ラベルに形成されたときにはその筒状ラベルの周方向に相当し、「縦方向」は、基材の面内で前記横方向と略直交する方向をいう。
なお、各図において表された形状、大きさ、各層の厚み及びそれらの相対的な比率などは、実際の寸法とは異なっていることに留意されたい。
【0012】
[1つの実施形態]
図1は、本発明の筒状ラベルを形成するために用いられる、ラベル形成用基材を裏面側から見た正面図であり、図2及び図3は、その基材の各部で切断した断面図である。図4は、本発明の熱収縮性筒状ラベルの斜視図であり、図5は、その熱収縮性筒状ラベルを上方から見た平面図であり、図6は、その熱収縮性筒状ラベルのシール部を切断した断面図である。
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、後述するラベル形成用基材2を筒状に形成したものである。
一般に、熱収縮性筒状ラベルは、容器などの被着体に対する装着方法に従って、予め筒状に形成された熱収縮性筒状ラベルと、被着体に装着すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルと、に大別できる。これらの熱収縮性筒状ラベルは、いずれも熱収縮性フィルムを有する基材を筒状に形成した筒状フィルムからなる点において共通しているが、その違いは、被着体に装着される前から筒状となっているか、又は、被着体に装着する前には葉状の基材の状態であって、被着体に装着すると同時に筒状となる点である。本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、前記2つのいずれのタイプでもよい。
以下、図面などを含めて前者のタイプの熱収縮性筒状ラベル1について説明する。
【0013】
(ラベル形成用基材)
ラベル形成用基材2は、熱収縮性筒状ラベル1を構成する基本部材である。
前記ラベル形成用基材2は、図1乃至図3に示すように、平面視矩形状の熱収縮性フィルム3と、金属又は半金属を含み且つ一方面に複数の凹凸を有する板状薄片を含む装飾印刷層4と、を有し、好ましくは、デザインを表示したデザイン印刷層5をさらに有し、より好ましくは、背景印刷層6をさらに有する。前記ラベル形成用基材2は、必要に応じて、前記熱収縮性フィルム3、装飾印刷層4、デザイン印刷層5及び背景印刷層6以外の他の機能層を有していてもよい。前記他の機能層としては、表面保護層、滑り層などが挙げられる。
このラベル形成用基材2の裏面が内側となるように、これを筒状にして、その第1側端部21の表面側に第2側端部22を重ねて接着することにより、図4乃至図6に示すような、本発明の熱収縮性筒状ラベル1が得られる。
なお、機械的生産過程では、ラベル形成用基材は、通常、複数のラベル形成用基材が連続的に繋がった長尺状の基材連続体として製造される。使用に際して、その連続体を所定長さに切断することにより、個々のラベル形成用基材2が得られる。
【0014】
(熱収縮性フィルム)
前記熱収縮性フィルム3としては、その裏面側に設けられた層を筒状ラベルの外側から視認するために透明なフィルムが用いられる。なお、本明細書において、ある部材が「透明」とは、その部材の表面側からその部材の裏面側に設けられた層の色彩及び表示を視認できる程度の透光性を有することをいう。前記熱収縮性フィルム3の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。前記全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
前記熱収縮性フィルム3は、熱収縮性を有していることを条件として、例えば、自己伸縮性も有してもいてもよく、或いは、自己伸縮性を有していなくてもよい。自己伸縮性は、フィルムに拡張力を加えるとそのフィルムが伸び、その拡張力を解除するとフィルムがほぼ元の寸法に戻る性質をいう。
【0015】
前記熱収縮性は、所要温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱されると収縮する性質をいう。熱収縮性フィルム3は、横方向(横方向は、筒状フィルムに形成した際に、周方向となる)に少なくとも熱収縮し、必要に応じて、縦方向にも若干熱収縮又は熱伸張し得るものでもよい。
熱収縮性フィルム3の横方向における熱収縮率は、被着体に密着させることができる程度以上であれば特に限定されず、例えば、90℃に加熱した際の横方向における熱収縮率は、30%以上であり、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。なお、熱収縮性フィルム3が縦方向にも若干熱収縮又は熱伸張する場合、その90℃に加熱した際の縦方向における熱収縮率は、例えば、−3%〜15%である。前記縦方向の熱収縮率のマイナスは、熱伸張を意味する。前記90℃に加熱した際の熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、フィルムを90℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
式:熱収縮率(%)=[{(横方向(又は縦方向)の元の長さ)−(横方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(横方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
【0016】
熱収縮性フィルム3は、装飾印刷層が設けられる面が高い平滑性を有するものが好ましい。平滑性が高い熱収縮性フィルム3を用いることにより、板状薄片が配向し易くなり、熱収縮性筒状ラベルが良好なホログラム調の外観を呈する。詳しくは、装飾印刷層4に含まれる複数の板状薄片は、その一方面を装飾印刷層4の表面に対して平行又は鋭角状に傾斜し且つその装飾印刷層4の厚み方向に積み重なって配向していると考えられ、前記のように平滑性の高い面に装飾印刷層4を設けることにより、板状薄片の配向が乱れ難くなり、その結果、良好なホログラム調の外観を呈する熱収縮性筒状ラベルが得られる。
【0017】
前記熱収縮性フィルム3の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂を含む延伸フィルムが挙げられる。また、熱収縮性フィルム3は、単層構造でもよく、複層構造でもよい。平滑性が高く、印刷溶剤耐性に優れていることから、少なくとも装飾印刷層の設けられる面がポリエステル系樹脂層で構成された熱収縮性フィルムが好ましい。また、熱収縮後でも板状薄片の配向が比較的崩れにくいことから、収縮曲線が緩やかであるポリスチレン系樹脂層又はポリオレフィン系樹脂層を含む熱収縮性フィルムを用いることが好ましい。これらの事項を考慮して、特に、熱収縮性フィルム3は、表裏面層にポリエステル系樹脂層を有し、且つ中間層にポリスチレン系樹脂層又はポリオレフィン系樹脂層を有する異種積層フィルムが好ましい。
前記矩形状の熱収縮性フィルム3は、縦方向に沿う第1側端部21と、この第1側端部21に横方向において対向する、縦方向に沿う第2側端部22と、をそれぞれ有する。前記第1側端部21は、熱収縮性フィルム3の1つの側端部において上縁から下縁にまで縦方向に延びる帯状領域である。前記第2側端部22は、熱収縮性フィルム3のもう1つの側端部において上縁から下縁にまで縦方向に延びる帯状領域である。前記第1側端部21及び第2側端部22は、筒状フィルム(筒状ラベル)を形成する際に重ね合わせて接着される、シール部を構成する。
前記第1側端部21及び第2側端部22の横幅は、それぞれ特に限定されないが、通常、3mm〜20mmであり、好ましくは5mm〜15mmである。前記横幅とは、横方向における長さである。
【0018】
(装飾印刷層)
装飾印刷層4は、後述する板状薄片を含む印刷層である。本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、前記装飾印刷層4が設けられているので、熱収縮前後において、ホログラム調の外観を有する。
装飾印刷層4は、熱収縮性フィルム3の表面側及び裏面側の少なくとも一方側に設けられ、好ましくは、熱収縮性フィルム3の表面側又は裏面側の何れか一方側に設けられる。
熱収縮性フィルム3を通じて装飾印刷層4を見た方が良好なホログラム調の外観を呈することから、前記装飾印刷層4は、熱収縮性フィルム3の裏面側に設けられていることが好ましい。特に、板状薄片が配向し易くなることから、熱収縮性フィルム3の表面及び裏面の少なくとも一方に接して設けられ、好ましくは、熱収縮性フィルム3の裏面に接して設けられる。
【0019】
装飾印刷層4は、ホログラム調の外観を見せたい領域に設けられる。従って、装飾印刷層4は、熱収縮性フィルム3の所望の領域に設けられ、例えば、熱収縮性フィルム3の全体に設けられていてもよく、或いは、その一部分に設けられていてもよい。もっとも、シール部はフィルム同士を直接接着することによって強固となるので、シール部を構成するフィルム重ね合わせ面には、装飾印刷層が設けられていないことが好ましい。詳しくは、装飾印刷層4は、熱収縮性フィルム3の上縁と、下縁と、第1側端縁(第1側端部21側の側縁21a)と、第2側端部22の境界線22bと、によって囲われる領域内(以下、この領域を特定領域という場合がある)に設けられている。装飾印刷層4は、前記特定領域内の全体に設けられていてもよく、又は、その特定領域内の一部分に設けられていてもよい。好ましくは、図示のように、装飾印刷層4は、前記特定領域内の一部に設けられる。
例えば、図示例では、前記特定領域内の一部に装飾印刷層4が設けられ、その領域内の一部には、装飾印刷層が設けられていない部分39(以下、非装飾印刷部という)が存在する。その非装飾印刷部39は、前記特定領域内の1箇所に形成されていてもよく、独立した2箇所以上に形成されていてもよい。
【0020】
装飾印刷層4は、不透明でもよいが、好ましくは光透過性を有する。前記光透過性は、装飾印刷層4を通じて、その裏面側に設けられた色彩を視認できる性質をいう。例えば、装飾印刷層4は、例えば、その全光線透過率(JIS K7105)が50%以上、好ましくは60%以上の光透過性を有する。前記装飾印刷層4の全光線透過率は、装飾印刷層4を積層した熱収縮性フィルム3を用いて測定した値である。
装飾印刷層4の厚みは、適宜設定できるが、前記光透過性を有する装飾印刷層4の厚みは、例えば、0.5μm〜5μmである。
【0021】
装飾印刷層4は、複数の板状薄片と、バインダー樹脂と、を含み、必要に応じて、各種の添加剤を含む。装飾印刷層4は、複数の板状薄片が、前記バインダー樹脂中においてその装飾印刷層4の面方向に略均一に分散している。このように面方向に板状薄片が略均一に分散していることにより、熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させた後も板状薄片の凹凸が消失し難くなる。なお、複数の板状薄片は、装飾印刷層4の厚み方向にも略均一に分散していることが好ましいが、厚み方向においては、不均一であってもよい。
【0022】
板状薄片7は、図7に示すように、金属又は半金属を含む板状のものであって、その一方面に複数の凹凸を有する板状である。前記凹凸は、板状薄片7の固有の形状でもよく、或いは、板状薄片7に付加された何らかの物質に基づいていてもよいが、好ましくは、板状薄片7の固有の形状である。
前記金属としては、金、銀、銅、チタン、アルミニウム、錫、亜鉛、クロム、ニッケル、マグネシウム、ガリウムなどが挙げられる。半金属は、金属と非金属の中間的性質を示すものをいう。半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどが挙げられる。板状薄片は、金属、半金属若しくはこれらの2種以上の複合物、又は、これらの金属、半金属若しくは複合金の酸化物、硫化物、酸化炭化物若しくは酸化窒化物などから形成されている。板状薄片は、好ましくは金属から形成され、より好ましくはアルミニウムから形成される。板状薄片は、板状の薄いものであり、その製法は、特に限定されないが、容易に凹凸を形成できることから、蒸着膜を砕いた蒸着薄片であることが好ましく、金属蒸着膜を砕いたものがより好ましく、凹凸形状が付与された金属蒸着膜を砕いた蒸着薄片がさらに好ましい。
前記板状薄片7は、前記金属など又は金属の酸化物などからなるが、その表面が薄く透明な樹脂層などの被覆層によって被覆されていてもよい。ただし、板状薄片7が前記被覆層で被覆されている場合でも、前記凹凸形状は板状薄片7に基づく(つまり、前記複数の凹凸は、板状薄片7の固有の形状である)ことが好ましい。
【0023】
板状薄片7の厚みは、特に限定されず、例えば、10nm〜1000nmであり、好ましくは、50nm〜800nmである。
板状薄片7の平面視形状は、略矩形状、鱗片状、略円形状などの定形でもよく、不定形でもよい。図示例の板状薄片7は、不定形であり、従って、装飾印刷層4は、様々な平面視形状の板状薄片7が含まれている。
板状薄片7の面積(平面視形状の面積)は、特に限定されず、例えば、5平方μm〜2000平方μmである。なお、不定形な板状薄片7においては、前記面積範囲に含まれないものもある。
板状薄片7のアスペクト比は、特に限定されず、例えば、2〜1000である。
ただし、前記アスペクト比は、[板状薄片の平面視に於ける最大長さ/板状薄片の厚み]で求められる。
また、板状薄片7の平面視に於ける最大長さ:幅長さは、例えば、1:1〜10:1である。板状薄片7の平面視における最大長さは、板状薄片7をその一方面に対する垂線方向から見て、最大幅となる箇所での長さをいう(図7に、符号W1で示す)。板状薄片7の平面視における幅長さは、板状薄片7の面内で前記最大長さの箇所に対して直交する方向における板状薄片の最大長さをいう(図7に、符号W2で示す)。
【0024】
板状薄片7は、少なくとも一方面に複数の凹凸が形成されている。従って、板状薄片7は、例えば、図8(b)及び図9(b)に示すように、その一方面及び反対面の双方面に複数の凹凸が形成されていてもよく、或いは、図8(c)に示すように、その一方面のみに複数の凹凸が形成されていてもよい。
凹凸は、相対的は概念であり、一方面に形成された凹部72の底を基準面とした場合、それよりも突出している箇所が凸部71である。図8(b)及び図9(b)のように、双方面に凹凸が形成されている場合において、一方面の凸部71に対応して反対面において凹部74が形成され且つ一方面の凹部72に対応して反対面において凸部73が形成されていてもよく、或いは、特に図示しないが、一方面の凸部71と反対面の凹部74が対応していなくてもよい。
【0025】
凸部71の平面視形状は、特に限定されず、例えば、図8(a)に示すように、平面視略円形状でもよく、図9(a)に示すように、平面視略矩形状でもよく、その他、図示しないが、所望の形状でもよい。なお、本明細書において、略円形状は、真円状の他、楕円状及びオーバル状を含む意味であり、略矩形状は、長方形状及び正方形状の他、少なくとも1つの角が直角でない四角形を含む意味である。
板状薄片7の複数の凸部71は、規則的に配列されていてもよく、不規則に配列されていてもよいが、好ましくは、規則的に配列される。
また、複数の板状薄片7は、その凸部71の平面視形状が同じでもよいし、異なっていてもよい。凸部71の平面視形状が異なる複数の板状薄片7は、例えば、平面視略円形状の凸部を有する板状薄片と、平面視略矩形状の凸部を有する板状薄片とが混在している場合などが挙げられる。
【0026】
前記板状薄片7は、表面に凹凸が形成され且つその表面に剥離剤が塗布された支持板の表面に、アルミニウムを蒸着し、そのアルミニウム蒸着膜を支持板の表面から剥離した後、任意に粉砕することにより得ることができる。なお、得られたアルミニウム蒸着膜には、前記支持板の表面の凹に対応する凸部と、支持板の表面の凸に対応する凹部が形成され、そのアルミニウム蒸着膜を粉砕することにより、上記凸部71及び凹部72を有する板状薄片7が得られる。
前記アルミニウムに代えて、任意の金属又は半金属を用いることにより、アルミニウム以外の金属又は半金属の蒸着膜を得ることができ、また、必要に応じて、酸素含有ガスなどの反応ガスと共に前記金属などを蒸着することにより、金属又は半金属の酸化物などからなる蒸着膜を得ることができる。これを粉砕することにより、金属又は半金属の酸化物や硫化物からなる板状薄片、アルミニウム以外の金属又は半金属からなる板状薄片を形成できる。
【0027】
前記バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ニトロセルロースやセルロース・アセテート・ブチレートなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂は、1種単独で又は2種以上を併用できる。好ましくは、ウレタン樹脂及びセルロース系樹脂の少なくとも何れであり、より好ましくは、ガラス転移温度が0度以下のウレタン樹脂が用いられる。
前記添加剤として、例えば、顔料などの着色剤、沈降防止剤、滑剤、分散安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。
【0028】
前記板状薄片7の含有量は、特に限定されないが、余りに少ないとホログラム調の外観を十分に有さないことから、装飾印刷層4の全体を100質量%とした場合に、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。
また、前記板状薄片7の含有量の上限は、特に限定されず、装飾印刷層4の全体を100質量%とした場合に、例えば、50質量%である。もっとも、余りに多くの板状薄片7を含有させると、装飾印刷層の光透過性が低下するので、上記光透過性を有する装飾印刷層4を形成する場合には、板状薄片7の含有量は、装飾印刷層4の全体を100質量%とした場合に、例えば、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。
【0029】
前記装飾印刷層4の形成方法は、特に限定されず、装飾印刷層形成材料を、公知の印刷法、塗工法などによって熱収縮性フィルム3に塗布し、固化させることによって形成できる。
装飾印刷層形成材料は、前記板状薄片7、バインダー樹脂及び任意の添加剤を含み、必要に応じてこれらを溶解させる溶剤を含んでいてもよい。装飾印刷層4はこのような形成材料を塗布した後、乾燥固化して形成され得る。
前記溶剤は、特に限定されず、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などが挙げられる。
所望の領域に容易に装飾印刷層4を形成できることから、装飾印刷層形成材料を公知の印刷法にて塗布し、装飾印刷層4を形成することが好ましい。
【0030】
(デザイン印刷層)
デザイン印刷層5は、商品名、絵柄、成分表示、注意書きなどの各種デザイン表示が表された印刷層である。デザイン印刷層5は、従来公知の印刷インキを用いて形成できる。なお、図2及び図3において、デザイン印刷層を、塗潰しを含んだ細斜線で示している。デザイン印刷層5は、その全部又は一部が光透過性を有していてもよく、又は、全部が不透明でもよい。なお、デザイン印刷層5の光透過性は、上記装飾印刷層4の光透過性と同義である(上記装飾印刷層4の光透過性の欄の説明において、装飾印刷層4をデザイン印刷層5に読み替えるものとする)。
【0031】
デザイン印刷層5は、デザイン表示を見せたい領域に設けられる。従って、デザイン印刷層5は、熱収縮性フィルム3の所望の領域に設けられる。デザイン印刷層5は、熱収縮性フィルム3の全体に設けられていてもよいが、上記装飾印刷層4と同様の理由から特定領域内の全体又は一部分に設けられる。
デザイン印刷層5は、熱収縮性フィルム3の裏面側に設けられていてもよく、熱収縮性フィルム3の表面側に設けられていてもよい。デザインが傷付き難くなることから、デザイン印刷層5は、図2及び図3に示すように、熱収縮性フィルム3の裏面側に設けられていることが好ましい。
【0032】
デザイン印刷層5が裏面側に設けられる場合において、デザイン印刷層5は、図2及び図3に示すように、(1)非装飾印刷部39における熱収縮性フィルム3の裏面に接して設けられていてもよく、或いは、(2)装飾印刷層4の裏面に接して設けられていてもよく、或いは、(3)熱収縮性フィルム3と装飾印刷層4の間に設けられていてもよい。デザイン印刷層5は、前記(1)乃至(3)から選ばれる少なくとも1つの態様により、熱収縮性フィルム3に設けられる
【0033】
前記(1)のデザイン印刷層5が非装飾印刷部39における熱収縮性フィルム3の裏面に接して設けられる場合、そのデザイン印刷層5の裏面側には、後述する背景印刷層6が設けられていてもよく(図2参照)、或いは、背景印刷層が設けられていなくてもよい(図示せず)。前記(1)の場合、非装飾印刷部39においては通常のデザイン表示(通常のデザイン表示は、ホログラム調の外観を伴わないデザイン表示。以下、同様)を視認できる。
【0034】
前記(2)のデザイン印刷層5が装飾印刷層4の裏面に接して設けられる場合にも、そのデザイン印刷層5の裏面側には、後述する背景印刷層6が設けられていてもよく(図2参照)、或いは、背景印刷層が設けられていなくてもよい(図示せず)。デザイン表示が綺麗に見るので、デザイン印刷層5の裏面側には背景印刷層6が設けられていることが好ましい。
ただし、(2)の態様の場合、デザイン表示を筒状ラベルの外側から視認するため、装飾印刷層4は光透過性を有するものが用いられる。前記(2)の場合、筒状ラベルの外側から見たときに、デザイン表示がホログラム調の外観を伴って視認される。前記(1)と前記(2)の態様を併用することにより、通常のデザイン表示とホログラム調の外観を伴ったデザイン表示を視認できる熱収縮性筒状ラベルを構成できる。かかる通常のデザイン表示とホログラム調の外観を伴ったデザイン表示とを併有する熱収縮性筒状ラベルは、ホログラム調の外観が際立つので好ましい。
【0035】
前記(3)のデザイン印刷層5が熱収縮性フィルム3と装飾印刷層4の間に設けられている場合にも、そのデザイン印刷層5の裏面側には、後述する背景印刷層6が設けられていてもよく(図2参照)、或いは、背景印刷層が設けられていなくてもよい(図示せず)。(3)の態様の場合であって、デザイン印刷層5が光透過性を有する場合、ホログラム調の外観を伴ったデザイン表示を視認できる。もっとも、前記(2)と(3)の態様を比べると、前記(2)の態様の方が、デザイン表示がより印象強いホログラム調に見えるようになる。また、(3)の態様の場合であって、デザイン印刷層5が不透明である場合には、通常のデザイン表示を視認でき、そのデザイン表示の周辺がホログラム調に見えるようになる。
デザイン印刷層5の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜5μm程度である。
【0036】
(背景印刷層)
背景印刷層6は、無模様一色又は無模様多色の印刷層である。背景印刷層6は、不透明であることが好ましい。なお、本明細書において、不透明とは、全く光を通さない場合の他、その裏面側の表示又は色彩が若干透けて見える場合を含む意味である。
この無模様一色の印刷層としては、例えば、白色着色剤を含む印刷層(通常、この印刷層は白色を呈する)、銀色着色剤を含む印刷層(通常、銀色を呈する)、黒色着色剤を含む印刷層、白色、銀色及び黒色以外の色彩の着色剤(例えば、赤色など。以下、特定色という)を含む印刷層などが挙げられる。無模様多色の印刷層としては、例えば、無模様銀色と無模様白色が塗り分けられ又は塗重ねられた印刷層、特定色と白色、銀色又は黒色とが塗り分けられ又は塗重ねられた印刷層、特定色が2種以上塗り分けられ又は塗重ねられた印刷層、特定色が2種以上と白色、銀色及び黒色から選ばれる2種以上とが塗り分けられ又は塗重ねられた印刷層などが挙げられる。
【0037】
背景印刷層6は、好ましくは、装飾印刷層4の裏面に積層される。背景印刷層6は、装飾印刷層4の裏面全体に重ねて設けられていてもよく、装飾印刷層4の裏面の一部分に設けられていてもよい。好ましくは、背景印刷層6は、少なくとも装飾印刷層4の裏面全体に重ねて設けられる。
【0038】
さらに、装飾印刷層4の裏面に背景印刷層6が設けられる場合、その背景印刷層6は、デザイン印刷層5が設けられた領域及びデザイン印刷層5が設けられていない領域の何れか一方又は双方に設けられていてもよいが、少なくともデザイン印刷層5が設けられていない領域において装飾印刷層4の裏面に背景印刷層6が設けられている領域を有する(装飾印刷層4と背景印刷層6が重なる領域を有する)ことが好ましい。この重なる領域においては、後述するように、装飾印刷層4に背景印刷層6が相乗して、優れたホログラム調の外観を呈し、かかる効果をより顕著に奏することから、その背景印刷層6が白色着色剤を含む印刷層であることがより好ましく、白色顔料を含む白色印刷層であることが特に好ましい。
また、背景印刷層6は、非装飾印刷部39における熱収縮性フィルム3の裏面の全部又は一部に対応して積層されていてもよい。非装飾印刷部39に対応して背景印刷層6を設ける場合、その非装飾印刷部39における熱収縮性フィルム3の裏面の全部又は一部には、上記デザイン印刷層5が設けられていることが好ましい。なお、前記非装飾印刷部39に対応するフィルムの裏面全部にデザイン印刷層5が設けられる場合には、そのデザイン印刷層5の裏面に背景印刷層6が設けられ、裏面の一部にデザイン印刷層5が設けられる場合には、そのデザイン印刷層5の裏面及びフィルムの裏面に背景印刷層6が設けられることが好ましい。もっとも、デザイン印刷層が全く設けられていない非装飾印刷部のフィルムの裏面に背景印刷層を設けてもよい(図示せず)。
【0039】
前記背景印刷層6は、例えば、白色顔料などの着色剤を含む着色インキをベタ状に又は適宜な箇所にスポット的に塗布することにより形成できる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、アルミナホワイトなどを用いることができるが、装飾印刷層4に背景印刷層6が相乗して特に優れたホログラム調の外観を呈することから、白色顔料は酸化チタンを含むことが好ましい。例えば、前記白色着色剤を含む印刷層は、その印刷層全体を100質量%とした場合に、酸化チタンを30質量%〜80質量%含んでいるものが好ましい。
背景印刷層6の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜5μm程度である。
【0040】
(熱収縮性筒状ラベル)
ラベル形成用基材2の第1側端部21の表面及び第2側端部22の裏面の少なくともいずれか一方に接着剤、粘着剤又は溶剤(以下、接着剤、粘着剤又は溶剤を「接着剤等」と記す場合がある)を塗布し、ラベル形成用基材2を丸めて筒状にし、第1側端部21の表面に第2側端部22の裏面に重ね合わせ、その重ね合わせ部分の全部又は一部を前記接着剤等を介して接着してシール部を形成することにより、図4乃至図6に示すような熱収縮性筒状ラベル1が得られる。なお、溶剤は、熱収縮性フィルム3が溶剤接着可能な材質の場合に用いることができる。前記第1及び第2側端部21,22の重ね合わせ構成からなるシール部の重ね合わせ面(第1側端部21の表面及び第2側端部22の裏面)は、何れもフィルム面であるため、強固に接着したシール部を構成できる。
上記熱収縮性筒状ラベル1は、例えば、熱収縮性フィルム3を筒状に形成した筒状フィルムの裏面に、順に、デザイン印刷層5、装飾印刷層4及び背景印刷層6が設けられている領域を有する。
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、様々な被着体に装着して使用される。被着体は、特に限定されないが、代表的には、飲料、調味料、化粧品、シャンプーなどが収納された容器である。特に、化粧品などの比較的高額な商品に、本発明の熱収縮性筒状ラベル1を装着することにより、その高額な商品のイメージに合致し、商品価値を高めることができる。容器の材質は、特に限定されず、代表的にはポリエチレンテレフタレート製容器などの比較的薄肉の可撓性を有する合成樹脂製容器を例示できるが、ガラス製、金属製などであってもよい。
熱収縮性筒状ラベル1を被着体に被せた後、加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル1が熱収縮して被着体に装着される。
【0041】
図10及び図11は、容器に熱収縮性筒状ラベルが熱収縮装着されたラベル付き容器を示している。
図10において、容器9は、下方から順に、胴部91と、肩部92と、蓋部93と、を有する。この胴部91は、外周長が大きい2つの大径部911,911と、その2つの大径部911,911の間に外周長が小さい小径部912と、を有する。また、肩部92は、上方に向かうに従って外周長が次第に小さくなるように形成されている。図10の容器9の胴部91及び肩部92の横断面形状は、略円形状であるが、その横断面形状が略矩形状などでもよい。
大径部911から小径部912の間における胴部91の外形は、三次元曲面状を成しており、この部分は、三次元曲面部となっている。肩部92の外形も三次元曲面状を成しており、この肩部92も三次元曲面部となっている。
図10(a)のラベル付き容器11において、熱収縮性筒状ラベル1は、大径部911及び小径部912を含む胴部91に熱収縮装着されている。従って、熱収縮性筒状ラベル1の装飾印刷層4が設けられた領域が、容器9の三次元曲面部に密着して装着されている。
図10(b)のラベル付き容器12において、熱収縮性筒状ラベル1は、大径部911及び小径部912を含む胴部91及び肩部92に熱収縮装着されている。従って、熱収縮性筒状ラベル1の装飾印刷層4が設けられた領域が、容器9の三次元曲面部に密着して装着されている。
【0042】
図11において、容器9は、下方から順に、胴部91と、肩部92と、蓋部93と、を有する。この胴部91は、直胴状(直胴状は、上下方向において、その外周長が殆ど変わらない形状)である。また、肩部92は、上方に向かうに従って外周長が次第に小さくなり、肩部92は、三次元曲面部となっている。図11の容器9の胴部91及び肩部92の横断面形状は、略円形状であるが、その横断面形状が略矩形状などでもよい。
図11(a)のラベル付き容器13において、熱収縮性筒状ラベル1は、胴部91及び肩部92に熱収縮装着されている。従って、熱収縮性筒状ラベル1の装飾印刷層4が設けられた領域が、容器9の三次元曲面部に密着して装着されている。
図11(b)のラベル付き容器14において、熱収縮性筒状ラベル1は、胴部91のみに熱収縮装着されている。従って、このラベル付き容器14においては、熱収縮性筒状ラベル1が容器9の三次元曲面部には装着されていない。
【0043】
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、その外側から装飾印刷層4を視認でき、虹色の如きホログラム調の外観を有する。特に、装飾印刷層4が光透過性を有し且つその装飾印刷層4の裏面側に設けられた背景印刷層6が白色着色剤を含む印刷層である場合には、白色着色剤が装飾印刷層4を透過した光をより多く反射するので、装飾印刷層4のホログラム調外観に白色感が加わり、両層が重なっている範囲においては、優れたホログラム調の外観を有する。このホログラム調の外観は、熱収縮性筒状ラベル1を熱収縮させる前及び熱収縮させた後も同様に有する。本発明の熱収縮性筒状ラベル1が熱収縮させた後もホログラム調の外観を有する理由は、明確ではないが、本発明者らは、熱や熱収縮性フィルムの収縮応力によって板状薄片7の凹凸が消失し難いためと推定している。
また、本発明のラベル付き容器11乃至14は、熱収縮性筒状ラベル1のホログラム調の外観により、装飾性に優れている。特に、三次元曲面部を含んで熱収縮性筒状ラベル1が装着されているラベル付き容器11乃至13は、装飾印刷層4の設けられた領域が三次元曲面状を成し、見る角度によって色彩が大きく変化するホログラム調の外観を呈するので好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 熱収縮性筒状ラベル
2 基材
3 熱収縮性フィルム
4 装飾印刷層
5 デザイン印刷層
6 背景印刷層(白色の印刷層)
7 板状薄片
9 容器
11,12,13,14 ラベル付き容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11