特許第6514038号(P6514038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514038
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び保守システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20190425BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20190425BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20190425BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   G06F3/048
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 386
   G03G21/00 500
   B41J29/42 F
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-110267(P2015-110267)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-224690(P2016-224690A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年1月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】平間 雅之
【審査官】 桜井 茂行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−049855(JP,A)
【文献】 特開2006−203808(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0164675(US,A1)
【文献】 特開2003−219086(JP,A)
【文献】 特開2014−115874(JP,A)
【文献】 特開2010−004483(JP,A)
【文献】 特開2014−174717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00−29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00−21/04
G03G 21/10−21/14
G03G 21/20
G06F 3/01
G06F 3/048−3/0489
G06F 3/09 −3/12
G06F 3/14 −3/153
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
第1状態に対応付けて、該第1状態に関連する第1ガイド画像を用いて作業内容を提示する第1ガイダンス情報を、予め記憶する記憶部と、
前記第1状態又は第2状態を検出する検出部と、
外部装置と通信する通信部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記表示部にガイダンス情報に基づく画像を表示させる制御部と
を具え、
前記検出部で前記第2状態を検出すると、前記制御部は、前記通信部を用いて該第2状態に基づき装置の状態を表す装置情報を前記外部装置へ送信させ、前記通信部を用いて前記外部装置から前記第1ガイド画像の少なくとも一部と第2ガイド画像とを組み合わせた作業内容を提示させる第2ガイダンス情報を受信し、前記通信部で受信した該第2ガイダンス情報に基づく画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第2ガイド画像は、前記外部装置により前記第1ガイド画像の一部に対し修正操作がなされることにより作成された
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置と、当該情報処理装置の保守に関する情報を管理する外部装置と、前記情報処理装置及び前記外部装置との間で情報を授受させる通信手段とを有する保守システムであって、
前記情報処理装置は、
画像を表示する表示部と、
第1状態に対応付けて、該第1状態に関連する第1ガイド画像を用いて作業内容を提示する第1ガイダンス情報を、予め記憶する記憶部と、
前記第1状態又は第2状態を検出する検出部と、
前記外部装置と通信する通信部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記表示部にガイダンス情報を表示させる制御部と
を具え、
前記外部装置は、
前記情報処理装置における前記第1状態と異なる前記第2状態に関する装置の状態情報に対応付けて、前記第1ガイド画像の少なくとも一部と第2ガイド画像とを組み合わせた作業内容を提示させる第2ガイダンス情報を記憶可能な第2記憶部と、
前記通信手段を介して前記情報処理装置との間で情報を送受信する外部通信部と、
前記第2記憶部及び前記外部通信部を制御する第2制御部と
を具え、
前記情報処理装置は、前記検出部で前記第2状態を検出した場合、前記制御部により前記通信手段を用いて前記第2状態に基づき装置の状態を表す装置情報を前記外部装置へ送信し、
前記外部装置は、前記情報処理装置から受信した前記第2状態に基づく前記装置情報に対応する前記第2ガイダンス情報が前記第2記憶部に記憶されていると、前記外部通信部を用いて前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、前記通信部を用いて前記外部装置から前記第2ガイダンス情報を受信した場合、前記制御部により該第2ガイダンス情報に基づく画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする保守システム。
【請求項4】
前記外部装置は、
前記第2記憶部、前記外部通信部及び前記第2制御部を有する保守サーバと、
前記情報処理装置における各状態に精通したオペレータにより操作され、前記通信手段を介して少なくとも前記保守サーバと情報を授受するオペレータ端末と
により構成され、
前記オペレータ端末は、前記第1状態と異なり且つ前記保守サーバの前記第2記憶部に前記第2ガイダンス情報が記憶されていない未登録状態に関連する作業内容を提示する未登録ガイダンス情報を、前記オペレータの操作に基づき作成し、直接又は前記保守サーバを経由して前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、前記通信部により前記未登録ガイダンス情報を受信した場合、前記制御部により該未登録ガイダンス情報に基づく画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項3に記載の保守システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記第1ガイダンス情報及び前記未登録ガイダンス情報に基づく画像を前記表示部に表示したことにより前記第2状態が解消した場合、該第2状態が解消したことを表す結果情報を前記通信部により前記外部装置へ送信し、
前記外部装置の前記保守サーバは、前記オペレータの操作に基づき前記オペレータ端末から登録の指示を受信した場合、前記第2状態と前記未登録ガイダンス情報とを対応付け、新たな第2ガイダンス情報として前記第2記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項4に記載の保守システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記オペレータによる、前記第1ガイド画像の一部に対する修正操作により、前記未登録ガイダンス情報に含まれる未登録ガイド画像を作成する
ことを特徴とする請求項4に記載の保守システム。
【請求項7】
前記第1ガイド画像は、文字、図形、画像又はこれらの組合せであり、
前記修正操作は、前記第1ガイド画像の一部を表示させないマスク操作である
ことを特徴とする請求項6に記載の保守システム。
【請求項8】
前記第1ガイド画像は、文字、図形、画像又はこれらの組合せであり、
前記修正操作は、前記第1ガイド画像に対し文字、図形、画像又はこれらの組合せを追加する追記操作である
ことを特徴とする請求項6に記載の保守システム。
【請求項9】
前記情報処理装置の前記制御部は、前記第2ガイダンス情報に基づく画像を前記表示部に表示させる場合、当該第2ガイダンス情報を構成する前記第2ガイド画像又は前記第1ガイド画像の表示状況を表す進捗情報を、直接又は前記保守サーバを経由して前記オペレータ端末へ送信し、
前記オペレータ端末は、受信した前記進捗情報を基に、前記情報処理装置における前記第2ガイダンス情報に基づいた前記第2ガイド画像又は前記第1ガイド画像の表示状況を前記オペレータに通知する
ことを特徴とする請求項4に記載の保守システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及び保守システムに関し、例えばプリンタを保守する保守システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタにおいては、トナーが不足した場合や用紙が詰まった場合のように、障害が発生して用紙に画像を正しく形成できない場合、内蔵するセンサ等を利用してこのことを検出し、表示画面等を介してユーザに通知するものが広く普及している。
【0003】
このような障害が発生した場合、プリンタは、ユーザやサービスマン等によって障害を解消する障害解消作業が実施されることにより、この障害を解消することができる。特にユーザは、多くの場合、実施すべき障害解消作業の内容を知らないため、プリンタの取扱説明書等を参照しながら作業を行う。しかしながらユーザにとって、取扱説明書等を参照しながら作業を行うことは、手間がかかり、大きな負担となってしまう。
【0004】
そこでプリンタのなかには、予め予想される障害に対し、ユーザが作業すべき内容を文章や画像等により説明したガイダンスを作成しておき、これを予め記憶しておくものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このプリンタは、検出した障害の内容に応じたガイダンスを表示画面に表示することにより、当該ユーザに障害解消作業を円滑に行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−264072号公報(第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリンタのような情報処理装置では、様々な障害が発生することがある。このため情報処理装置では、障害の内容が比較的軽微であり、ユーザにより障害解消作業を行い得る場合であっても、その障害に対応したガイダンスを用意していない場合がある。
【0007】
このような場合、情報処理装置のユーザは、例えば当該情報処理装置の保守サービスを行う保守センタに連絡し、当該情報処理装置の保守に精通したオペレータと電話越しに会話することにより、障害解消作業の説明を聞き取りながら実際の作業を行うことになる。或いは、保守センターから派遣されたサービスマンが、情報処理装置の設置場所まで移動して、障害解消作業を行うことになる。このため情報処理装置では、障害を解消するために、ユーザやオペレータ、或いはサービスマンに多大な負担をかける場合がある、という問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、障害の解消に要する負担を軽減し得る情報処理装置及び保守システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理装置においては、画像を表示する表示部と、第1状態に対応付けて、該第1状態に関連する第1ガイド画像を用いて作業内容を提示する第1ガイダンス情報を、予め記憶する記憶部と、第1状態又は第2状態を検出する検出部と、外部装置と通信する通信部と、検出部の検出結果に基づき表示部にガイダンス情報を表示させる制御部とを設け、検出部で第2状態を検出すると、制御部は、通信部を用いて該第2状態に基づき装置の状態を表す装置情報を外部装置へ送信させ、通信部を用いて外部装置から第1ガイド画像の少なくとも一部と第2ガイド画像とを組み合わせた作業内容を提示させる第2ガイダンス情報を受信し、受信部で受信した該第2ガイダンス情報に基づく画像を表示部に表示させるようにした。
【0010】
また本発明の保守システムにおいては、情報処理装置と、当該情報処理装置の保守に関する情報を管理する外部装置と、情報処理装置及び外部装置との間で情報を授受させる通信手段とを有する保守システムであって、情報処理装置には、画像を表示する表示部と、第1状態に対応付けて、該第1状態に関連する第1ガイド画像を用いて作業内容を提示する第1ガイダンス情報を、予め記憶する記憶部と、第1状態又は第2状態を検出する検出部と、外部装置と通信する通信部と、検出部の検出結果に基づき表示部にガイダンス情報を表示させる制御部とを設け、外部装置には、情報処理装置における第1状態と異なる第2状態に関する装置の状態情報に対応付けて、第1ガイド画像の少なくとも一部と第2ガイド画像とを組み合わせた作業内容を提示させる第2ガイダンス情報を記憶可能な第2記憶部と、通信手段を介して情報処理装置との間で情報を送受信する外部通信部と、第2記憶部及び外部通信部を制御する第2制御部とを設け、情報処理装置は、検出部で第2状態を検出した場合、制御部により通信手段を用いて第2状態に基づき装置の状態を表す装置情報を外部装置へ送信し、外部装置は、情報処理装置から受信した第2状態に基づく装置情報に対応する第2ガイダンス情報が第2記憶部に記憶されていると、外部通信部を用いて情報処理装置へ送信し、情報処理装置は、通信部を用いて外部装置から第2ガイダンス情報を受信した場合、制御部により該第2ガイダンス情報に基づく画像を表示部に表示させるようにした。
【0011】
本発明は、第1ガイダンス情報に基づく画像を参照したユーザの作業では情報処理装置の障害を解消できなかった場合であっても、外部装置から第2状態に応じた第2ガイダンス情報を当該情報処理装置が受信して、これに基づく画像を表示部に表示させる。これにより本発明では、この第2ガイダンス情報に基づく画像を参照したユーザの作業によって第2状態を解消する可能性が格段に高まり、オペレータが電話等を介して口頭で説明する手間や、サービスマンが情報処理装置の設置場所まで移動して作業を行う手間等を軽減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、障害の解消に要する負担を軽減し得る情報処理装置及び保守システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】保守システムの全体構成を示す略線図である。
図2】プリンタの構成を示す略線図である。
図3】基本ガイド画面の構成を示す略線図である。
図4】保守サーバの構成を示す略線図である。
図5】オペレータ端末の構成を示す略線図である。
図6】保守シーケンス(1)を示す略線図である。
図7】保守シーケンス(2)を示す略線図である。
図8】新たな拡張ガイド画面の作成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.保守システムの構成]
図1に示すように、本実施の形態による保守システム1は、プリンタ2、保守サーバ3及びオペレータ端末4がインターネット5を介して互いに接続された構成により、当該プリンタ2に対する保守サービスを行うようになっている。
【0016】
プリンタ2は、ユーザUの職場や自宅等である設置場所L1に設置されている。保守サーバ3及びオペレータ端末4は、設置場所L1から離れた保守センタS1に設けられている。保守センタS1には、画像形成装置の構成や保守に関する十分な知識を有すると共に、オペレータ端末4を操作可能なオペレータRが待機している。
【0017】
また設置場所L1及び保守センタS1には、電話機6及び7がそれぞれ設置されている。電話機6及び7は、電話回線8により互いに接続可能となっている。このため設置場所L1のユーザU及び保守センタS1のオペレータRは、電話機6及び7をそれぞれ利用して電話回線を接続させることにより、互いに会話することができる。
【0018】
プリンタ2は、いわゆるMFP(Multi Function Peripheral)となっており、媒体としての用紙に画像を形成する(すなわち印刷する)プリンタ機能の他、画像を読み取るイメージスキャナとしての機能や通信機能を有しており、これらの組み合わせによりプリンタ、複写機(コピー機)及びファクシミリ装置等として動作することができる。
【0019】
図2に示すように、プリンタ2は、その内部において、制御部11、記憶部12、通信部13、表示操作部14、印刷部15及び検出部16がバス10を介して相互に接続されている。制御部11は、プリンタ2の全体を統括的に制御している。
【0020】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、印刷処理やガイダンス表示処理等の種々の処理を行う。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ等でなり、印刷処理やガイダンス表示処理等の種々の処理に必要な各種設定値等、種々の情報を記憶している。
【0021】
通信部13は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3u/ab等の規格に準拠した有線LAN(Local Area Network)又はIEEE802.11a/b/g/n/ac等の規格に準拠した無線LANにより、インターネット5と接続されている。この通信部13は、所定の変調処理や復調処理等を行いながら、制御部11から供給された種々の情報やデータをインターネット5との間で種々の情報を送信又は受信する。また通信部13は、図示しないコンピュータ装置とも接続されており、画像データやその印刷指示等を受信して制御部11へ供給する。
【0022】
表示操作部14は、図示しないタッチパネル及び物理キーの組み合わせにより構成されている。このうちタッチパネルは、各種情報や操作入力用の画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、ユーザによる操作指示等を入力するタッチセンサとが一体化されている。また物理キーは、プリンタ2の動作モード(コピー、ファクシミリ、プリンタ等)を切り替えるモード切替キーや数字キー、及び方向キーや決定キー等により構成されている。
【0023】
印刷部15は、図示しない露光装置や定着装置、及び用紙の搬送機構等を有している。印刷部15は、用紙を搬送すると共に、制御部11から供給される画像データに基づいてトナーによる像を形成し、このトナーの像を用紙に転写して定着させることにより印刷を行う。検出部16は、光学センサ等の各種センサや各種スイッチ等でなり、プリンタ2内における用紙の搬送路における紙幣の有無や、印刷部15におけるトナーの残量等、各部の状態を検知して、これを制御部11へ通知する。
【0024】
さらに記憶部12は、基本ガイダンス記憶領域21及び装置情報記憶領域22を有している。一般にプリンタ2では、例えばトナー不足や内部での紙詰まりのように、発生頻度が比較的高く、且つユーザU(図1)の作業により解消し得るような障害(以下これを基本障害又は第1状態とも呼ぶ)が発生し得る。
【0025】
そこで基本ガイダンス記憶領域21には、この基本障害を解消するためにユーザUが行うべき作業を画像や文章により説明した基本ガイダンス(以下これを第1ガイダンス情報とも呼ぶ)が、複数格納されている。各基本ガイダンスは、1又は2以上の基本ガイド画面(以下これを第1ガイド画像とも呼ぶ)によって構成されると共に、その表示順序が決められている。
【0026】
基本ガイド画面は、画像、文章や図形、或いはこれらの組合せにより構成されている。例えば図3に示すように、基本ガイド画面D1は、プリンタ2を表す画像G1、注目箇所や動作の方向を表す矢印A1及びA2、文章と画像との対応を表す丸付き数字N1及びN2、文字枠F1に囲まれた文章T1、並びにボタンB1がそれぞれ適宜配置されている。この基本ガイド画面D1は、プリンタ2の本体上部に設けられた「カバー」と呼ばれる部分を開放して内部にアクセスするための作業手順を、文章及び画像により説明したものである。
【0027】
プリンタ2の制御部11は、検出部16からの検出結果を基に基本障害が発生したと判断した場合、これに対応した基本ガイダンスを記憶部12の基本ガイダンス記憶領域21から読み出し、当該基本ガイダンスに含まれる基本ガイド画面を表示操作部14に順次表示していく。プリンタ2は、ユーザUによりこの基本ガイダンスに従った作業が順次行われることにより、基本障害を解消することができる。
【0028】
また装置情報記憶領域22には、プリンタ2に関する種々の情報を表す装置情報として、装置識別情報、装置構成情報、装置設定情報及び装置状態情報を記憶している。このうち装置識別情報は、装置を個別に識別するための情報であり、例えば各プリンタ2に個別に割り当てられた識別番号等が含まれる。装置構成情報は、着脱可能な部品(いわゆるオプション部品)の装着状態を表す情報である。装置設定情報は、ユーザUにより設定された内容を表す情報であり、例えば印刷濃度や待機状態に移行するまでの時間等を表す情報が含まれる。
【0029】
装置状態情報は、大きく分けて装置使用履歴情報と消耗品残量情報とに分けられる。装置使用履歴情報は、装置の使用履歴を表す情報であり、例えば稼働時間、印刷枚数、或いは一定枚数ごとの交換が必要な消耗部品における直近の交換からの印刷枚数等が含まれる。消耗品残量情報は、ドラムや搬送ベルトのように交換が必要な部品の寿命や、トナーのように補充が必要な部品の残量等が含まれる。
【0030】
保守サーバ3(図1)は、インターネット5に接続されたサーバであり、クラウドサーバとも呼ばれる。以下では、この保守サーバ3及び後述するオペレータ端末4をまとめて外部装置とも呼ぶ。この保守サーバ3は、図4に示すように、その内部において、制御部31、記憶部32及び通信部33がバス30を介して相互に接続されている。
【0031】
第2制御部としての制御部31は、保守サーバ3の全体を統括的に制御している。この制御部31は、制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、障害対応処理や通信処理等の種々の処理を行う。
【0032】
第2記憶部としての記憶部32は、記憶部12と同様、RAMやハードディスクドライブ等でなり、種々の情報を記憶する他、基本ガイダンス記憶領域41、拡張ガイダンス記憶領域42及び障害情報記憶領域43を有している。基本ガイダンス記憶領域41には、プリンタ2の他、様々な機種に記憶されているそれぞれの基本ガイダンス及びそれぞれを構成する基本ガイド画面が格納されている。
【0033】
拡張ガイダンス記憶領域42には、上述した基本ガイダンスと同様にユーザUに対し文章や画像によって作業の手順や詳細を説明する拡張ガイダンス(以下これを第2ガイダンス情報とも呼ぶ)が登録されている。ただしこの拡張ガイダンスは、上述した基本障害に含まれない障害(以下これを拡張障害又は第2状態とも呼ぶ)を解消するための作業を説明するものとなっており、基本ガイド画面と異なる拡張ガイド画面(以下これを第2ガイド画像とも呼ぶ)が含まれている。また障害情報記憶領域43は、後述する障害情報を記憶するための記憶領域となっている。
【0034】
外部通信部としての通信部33は、通信部13と同様、IEEE802.3u/ab等の規格に準拠した有線LAN又はIEEE802.11a/b/g/n/ac等の規格に準拠した無線LANにより、インターネット5と接続されている。この通信部33は、所定の変調処理や復調処理等を行いながら、インターネット5を介して受信した種々の情報やデータを制御部31へ供給し、また当該制御部31から供給される種々の情報やデータをインターネット5へ送信する。
【0035】
オペレータ端末4(図1)は、インターネット5に接続されたコンピュータ装置であり、オペレータRにより操作される。このオペレータ端末4は、図5に示すように、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54及び操作部55がバス50を介して接続された構成となっている。
【0036】
制御部51は、制御部11及び制御部31と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、保守対応処理や拡張ガイダンス作成処理等の種々の処理を行う。記憶部52は、記憶部12及び記憶部32と同様、RAMやハードディスクドライブ等でなり、種々の情報を記憶する。
【0037】
通信部53は、通信部13及び通信部33と同様、IEEE802.3u/ab等の規格に準拠した有線LAN又はIEEE802.11a/b/g/n/ac等の規格に準拠した無線LANにより、インターネット5と接続されている。表示部54は、例えば液晶ディスプレイでなり、種々の表示画面を表示してオペレータRに視認させる。操作部55は、例えばキーボード及びマウスでなり、オペレータRの操作入力を受け付ける。
【0038】
[2.保守シーケンス]
ところで保守システム1では、プリンタ2において障害が発生した場合、図6及び図7に示す保守シーケンスを行うようになっている。因みに図6及び図7は、保守システム1を構成するプリンタ2、保守サーバ3及びオペレータ端末4がそれぞれ実行する各処理に関する相互の対応を表すものであるが、説明の都合上、ユーザU及びオペレータRが行うべき作業や操作との対応についても併記している。
【0039】
プリンタ2の制御部11は、電源が投入されるとプリンタ障害対応処理手順RT2を開始してステップSP1へ移り、検出部16により障害を検出するのを待ち受け、検出した障害が拡張障害であれば次のステップSP2へ移る。
【0040】
因みに制御部11は、検出した障害が基本障害であれば、上述したように、記憶部12の基本ガイダンス記憶領域21から基本ガイダンスの各基本ガイド画面を順次読み出して表示操作部14に表示し、ユーザUに障害解消作業を行わせる。この場合、制御部11は以降の処理を行わない。
【0041】
ステップSP2において制御部11は、表示操作部14に所定の障害通知画面を表示する。この障害通知画面には、プリンタ2の内部で障害を検出した旨及び障害の内容が文章や画像により表示されている。さらに障害通知画面には、障害に関する情報(以下これを障害情報と呼ぶ)及びプリンタ2に関する情報(すなわち装置情報記憶領域22に記憶されている装置情報)を保守サーバ3へ送信することの可否をユーザUに問い合わせるメッセージと、ユーザUの操作指示を受け付けるためのボタン等が表示される。制御部11は、ユーザから送信を許可する指示を受け付けると、次のステップSP3へ移る。
【0042】
ステップSP3において制御部11は、通信部13によりインターネット5(図1)を介して障害情報及び装置情報を保守サーバ3へ送信し、次のステップSP4へ移る。因みに制御部11は、ステップSP2において障害通知画面に対しユーザUから障害情報の送信を禁止する指示を受け付けた場合には、このステップSP3以降の処理を行わない。
【0043】
一方、保守サーバ3の制御部31は、電源が投入されると、保守サーバ障害対応処理手順RT3を開始してステップSP21へ移る。ステップSP21において制御部31は、通信部33により、インターネット5を介してプリンタ2からの障害情報及び装置情報を待ち受け、この障害情報及び装置情報を受信すると、次のステップSP22へ移る。
【0044】
ステップSP22において制御部31は、新たな識別コードを生成し、これをステップSP21において受信した障害情報及び装置情報と対応付けて、記憶部32の障害情報記憶領域43に記憶させ、次のステップSP23へ移る。因みに制御部31は、障害情報が送信されてくる度に新たな識別コードを生成することにより、障害を個別に識別し得るようになっている。ステップSP23において制御部31は、ステップSP22において生成した識別コードを通信部33からプリンタ2へ送信し、次のステップSP24へ移る。
【0045】
これに応じてプリンタ2の制御部11は、ステップSP4において、通信部13により、保守サーバ3から識別コードを受信して、次のステップSP5へ移る。ステップSP5において制御部11は、所定の識別コード表示画面を表示操作部14に表示させて、次のステップSP6(図7)へ移る。この識別コード表示画面には、ステップSP4において受信した識別コードの他、保守センタS1の電話番号が表示されている。
【0046】
これに応じてユーザUは、表示操作部14に表示された電話番号を確認した上で電話機6(図1)を操作し、電話回線8を介して電話機7と回線接続して、保守センタS1にいるオペレータRと通話する。このときユーザUは、表示操作部14に表示された識別コードを読み上げてオペレータRに伝える。
【0047】
一方、オペレータ端末4の制御部51は、電源が投入されると、オペレータ端末障害対応処理手順RT4を開始してステップSP41へ移る。ステップSP41において制御部51は、オペレータRがユーザUから聞き取った識別コードが入力されると、通信部53からこの識別コードを保守サーバ3へ送信して、次のステップSP42へ移る。
【0048】
これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP24において通信部33によりオペレータ端末4からの識別コードを受信し、次のステップSP25へ移る。ステップSP25において制御部31は、受信した識別コードを検索キーとして、記憶部32の障害情報記憶領域43の障害情報を検索して、次のステップSP26へ移る。
【0049】
ステップSP26において制御部31は、ステップSP25における検索結果を通信部33によりオペレータ端末4へ送信して、次のステップSP27(図7)へ移る。このとき制御部31は、障害情報記憶領域43において識別コードと対応付けて記憶している障害情報及び装置情報を読み出し、さらにこれらと対応する基本ガイダンス及び拡張ガイダンスを基本ガイダンス記憶領域41及び拡張ガイダンス記憶領域42からそれぞれ読み出して、これらを検索結果として送信する。
【0050】
これに応じてオペレータ端末4の制御部51は、通信部53により保守サーバ3から検索結果、すなわち障害情報、装置情報、基本ガイダンス及び拡張ガイダンスを受信すると、このうち障害情報及び装置情報を表示部54に表示して、次のステップSP43(図7)へ移る。このときオペレータRは、表示部54に表示された障害情報及び装置情報を参照し、さらに電話機7(図1)を介してユーザUから聞き取った障害の状況等を総合的に勘案することにより、この障害に対する解消策を決定する。
【0051】
ここでオペレータRは、受信した拡張ガイダンスの内容も参照した上で、保守サーバ3の拡張ガイダンス記憶領域42に記憶されている既存の拡張ガイダンスでは障害を解消できないと判断した場合、新たに拡張ガイダンスを作成する。このことは、プリンタ2において発生した障害が拡張障害であり、且つこれに対応した拡張ガイダンスが保守サーバ3に登録されていないことを意味する。以下、このような障害を未登録障害又は未登録状態とも呼ぶ。
【0052】
このときオペレータ端末4は、ステップSP43(図7)において、オペレータRの操作に従って新たな拡張ガイダンス(以下これを未登録ガイダンス情報とも呼ぶ)を作成し、次のステップSP44へ移る。この場合、新たな拡張ガイダンスは、複数の基本ガイド画面、拡張ガイド画面及び新たな拡張ガイド画面を適宜組み合わせたものとなる。この新たな拡張ガイド画面(以下これを未登録ガイド画像とも呼ぶ)は、オペレータ端末4において、オペレータRの操作に従い、ステップSP42において受信した基本ガイド画面を利用しながら作成される。
【0053】
例えば図8(A)に示す基本ガイド画面D2には、画像G2並びにボタンB3及びB4が表示されている。ここで、画像G2の一部のみ隠蔽したい(すなわちマスクしたい)場合、オペレータ端末4は、オペレータRの指示に基づき、図8(B)に示すように、背景と同色の長方形によりマスク領域M1を設定する。因みに図8(B)では、説明の都合上、マスク領域M1を破線により表しているが、実際の画像では、背景と当該マスク領域M1との間に境界線は表示されない。
【0054】
さらに他の図形や文章等を追加する場合、オペレータ端末4は、オペレータRの操作指示に基づき、図8(C)に示すように、画像G2の一部に重ねるようにして、矢印A3及び文字枠F2を作成し、当該文字枠F2の内部に文章T2を追加する。以下、このように作成されたガイド画面を、拡張ガイド画面D3と呼ぶ。
【0055】
ここで拡張ガイド画面D3を表す情報には、基本ガイド画面D2を利用していること、及びこの基本ガイド画面D2に対する変更箇所を表す情報、すなわちマスク領域M1の位置及び大きさ、矢印A3の始点及び終点それぞれの位置並びに線の種類、文字枠F2の位置及び大きさ、並びに文章T2の内容等が含まれる。
【0056】
ステップSP44(図7)において制御部51は、作成された新たな拡張ガイダンス(以下これを未登録拡張ガイダンスとも呼ぶ)を、通信部53により保守サーバ3へ送信する。これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP27において、通信部33によりこの拡張ガイダンスを受信すると共に、プリンタ2へ送信して、すなわち中継して、次のステップSP28へ移る。
【0057】
これに応じてプリンタ2の制御部11は、ステップSP6において、通信部13により保守サーバ3から拡張ガイダンスを受信して、次のステップSP7へ移る。ステップSP7において制御部11は、受信した拡張ガイダンスを表示操作部14に表示する。これに応じてユーザUは、表示操作部14に順次表示されるガイド画面に従った作業を行う。
【0058】
このとき制御部11は、拡張ガイダンスの拡張ガイド画面が、例えば図8(C)に示した拡張ガイド画面D3のように基本ガイド画面を利用したものであった場合、記憶部12の基本ガイダンス記憶領域21から当該基本ガイド画面を読み出し、これとの変更箇所を表す情報に基づいて拡張ガイド画面を生成した上で、表示操作部14に表示させる。
【0059】
また制御部11は、ステップSP7において、表示操作部14に表示するガイド画面を更新する度に、進捗状態を表す進捗情報を通信部13により保守サーバ3へ送信する。これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP28において、通信部33により進捗情報を受信すると共に当該進捗情報をオペレータ端末4へ送信、すなわち中継する。
【0060】
これに応じてオペレータ端末4は、ステップSP45において、通信部53により進捗情報を受信し、この進捗情報を基に、プリンタ2における拡張ガイダンスの進捗状態、すなわち何れのガイド画面が表示されているのかを、表示部54に表示する。オペレータRは、この進捗状態を参照することにより、プリンタ2において拡張ガイダンスに従ったユーザUの作業がどの程度進んでいるかを把握することができる。
【0061】
やがてプリンタ2の制御部11は、拡張ガイダンスにおける最後のガイド画面を表示し終えると、次のステップSP8へ移る。ステップSP8において制御部11は、改めて検出部16によりプリンタ2の各部における最新の状態を検出し、これを結果情報として通信部13から保守サーバ3へ送信した後、次のステップSP9へ移ってプリンタ障害対応処理手順RT2を終了する。
【0062】
これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP29へ移り、通信部33により結果情報を受信すると共にオペレータ端末4へ送信し、すなわち中継して、次のステップSP30へ移る。またオペレータ端末4の制御部51は、ステップSP46へ移り、通信部53により結果情報を受信し、この結果情報の内容を表示部54に表示して、次のステップSP47へ移る。オペレータRは、この結果情報を参照することにより、プリンタ2において障害が解消したか否かを知ることができる。
【0063】
ステップSP47において制御部51は、所定の確認画面を表示部54に表示することにより、ステップSP43において作成した拡張ガイダンスを保守サーバ3に登録するか否かをオペレータRに問い合わせる。ここで制御部51は、オペレータRから登録の指示を受け付けると、これを通信部53から保守サーバ3へ送信した後、次のステップSP48へ移ってオペレータ端末障害対応処理手順RT4を終了する。因みに制御部51は、オペレータRから登録しない旨の指示を受け付けた場合には、保守サーバ3へ何も送信しない。
【0064】
これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP30へ移り、通信部33によりオペレータ端末4から登録指示を受信すると、その次のステップSP31へ移る。ステップSP31において制御部31は、ステップSP27において受信した未登録拡張ガイダンス、すなわちステップSP43においてオペレータRにより作成された新たな拡張ガイダンスを拡張ガイダンス記憶領域42に登録した後、次のステップSP32へ移って保守サーバ障害対応処理手順RT3を終了する。
【0065】
またオペレータRは、ステップSP42において保守サーバ3から受信した拡張ガイダンスにより障害を解消し得ると判断した場合、オペレータ端末4におけるステップSP43及び44の各処理を省略させる。この場合、オペレータ端末4の制御部51は、保守サーバ3からこの拡張ガイダンスをプリンタ2へ送信させる指示を、通信部53から保守サーバ3へ送信する。
【0066】
これに応じて保守サーバ3の制御部31は、ステップSP27において、通信部33によりこの指示を受信すると共に、この指示に従った拡張ガイダンスを記憶部32の拡張ガイダンス記憶領域42から読み出してプリンタ2へ送信する。これによりプリンタ2の制御部11は、ステップSP7において、新たな拡張ガイダンスを受信した場合と同様に、既存の拡張ガイダンスを表示操作部14に表示することができる。
【0067】
[3.効果等]
以上の構成において、保守システム1では、プリンタ2において拡張障害が発生し、障害情報が保守サーバ3へ送信された場合、オペレータRの判断により、この障害に適した拡張ガイダンスが選択されて保守サーバ3からプリンタ2へ送信される。これに応じてプリンタ2は、オペレータRの判断に基づいた、障害の解消に適した拡張ガイダンスを表示操作部14に表示できる。
【0068】
このとき保守システム1は、プリンタ2の表示操作部14に表示されるガイド画面の文章や画像をユーザUに参照させることにより、当該ユーザUに対し、行うべき作業の内容を内容に把握させることができる。すなわちユーザUは、従来のように電話を介してオペレータRから説明を聞き取りながら作業を行う場合よりも、極めて容易に且つ正確に、当該作業の内容を十分に理解した上で実行することができる。またオペレータRも、ユーザUに対する作業内容の説明に画像や文章を用いることができるので、作業内容によっては、口頭のみにより説明するよりも容易に説明することもできる。
【0069】
このように保守システム1では、基本ガイダンスのみではユーザUが障害を解消できなかった場合、オペレータRに選択された拡張ガイダンスに従って当該ユーザUが作業を行うことにより、障害の解消に至る可能性を格段に高めることができる。
【0070】
また保守システム1では、オペレータRにより、保守サーバに登録されている拡張ガイダンスでは障害を解消できないと判断された場合、当該オペレータRにこの障害に対応した新たな拡張ガイダンスを作成させた上で、プリンタ2へ送信させる。このため保守システム1では、プリンタ2において事前に想定されていなかった障害が発生したとしても、新たな拡張ガイダンスに従ったガイド画面をユーザUに参照させながら、作業を行わせることができる。
【0071】
さらに保守システム1では、オペレータRに新たな拡張ガイダンスを作成させる場合、当該拡張ガイダンスを構成する拡張ガイド画面を作成する際に、プリンタ2に既に記憶されている既存の基本ガイド画面を利用させることができる。具体的には、既存のガイド画像の一部に対してマスクを施し、また矢印等の新たな画像や文章等を追加することができる(図8)。
【0072】
このため保守システム1では、オペレータRに、何も無い状態から画像を新たに描く場合のように多大な労力をかけさせること無く、必要最小限の労力により、作業内容を理解しやすいようなガイド画面を容易に作成させることができる。また保守システム1では、新たに作成されたガイド画面のうち、基本ガイド画面についてはプリンタ2へ送信する必要が無く、当該基本ガイド画面との差分を表す情報を送信すれば良いため、通信処理に要する負荷を抑えることができる。
【0073】
そのうえ保守システム1では、オペレータRの判断により、新たに作成された拡張ガイダンスを障害情報と対応付けて、保守サーバ3に記憶させることができる。これにより保守システム1では、次回以降に同様の障害が発生した場合に、障害情報の一致度合等に基づいてこの拡張ガイダンスを利用できるので、オペレータRの負担を軽減することができる。
【0074】
また保守システム1では、プリンタ2の表示操作部14に拡張ガイダンスの各拡張ガイド画面を表示する際に、進捗情報をオペレータ端末4へ送信して表示部54に表示させる。これによりオペレータRは、この進捗情報を認識した上で、電話機6及び7を介してユーザUと会話をしながら、拡張ガイダンスをさらに補足するような説明を口頭で追加することもできる。
【0075】
以上の構成によれば、保守システム1では、プリンタ2に予め記憶されている基本ガイダンスに従った作業ではユーザUが障害を解消できなかった場合、オペレータRの判断により、必要に応じて新たな拡張ガイダンスが作成された上で、この障害に適した拡張ガイダンスが選択されて保守サーバ3からプリンタ2へ送信される。これに応じてプリンタ2は、オペレータRの判断に基づいた、障害の解消に適した拡張ガイダンスを表示操作部14に表示でき、ユーザUにその内容を把握させながら作業を行わせ、障害の解消を図る。これにより保守システム1では、ユーザUが内容を十分に理解した上で作業を実行できるので、当該ユーザUの作業により障害を解消できる可能性を格段に高めることができる。
【0076】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、ステップSP47(図7)においてオペレータ端末4がオペレータRから指示を受け付けた場合にのみ、新たに作成した拡張ガイダンスを保守サーバ3に登録する、すなわち拡張ガイダンス記憶領域42(図4)に記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばオペレータRから指示を受けること無く、新たに作成された拡張ガイダンスを無条件で保守サーバ3に登録しても良い。
【0077】
また上述した実施の形態においては、オペレータ端末4がオペレータRの指示に基づいて新たな拡張ガイダンスを作成する際に、既存の基本ガイダンスに含まれる基本ガイド画面を利用して拡張ガイド画面を作成する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば既存の拡張ガイダンスに含まれる拡張ガイド画面を利用しても良く、或いは何もない状態から拡張ガイド画面を作成しても良い。
【0078】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ2から送信される障害情報等を基に、オペレータRの判断により、保守サーバ3からプリンタ2へ送信する拡張ガイダンスを決定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば保守サーバ3がプリンタ2から障害情報等を受信した段階で、自らこの障害情報等に合致する拡張ガイダンスを選択してプリンタ2へ送信するようにしても良い。さらにこの場合、拡張ガイダンスに従ったユーザUの作業では障害を解消できなかった場合に、初めてオペレータ端末4へ障害情報等を送信するようにしても良い。これらの場合、オペレータRの作業を省略又は削減できるため、当該オペレータRの負担を格段に軽減することができる。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ2が保守サーバ3との間でのみ情報の送受信を行い、当該プリンタ2とオペレータ端末4との間では、保守サーバ3により情報を中継させる場合について述べた(図6及び図7)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプリンタ2が保守サーバ3及びオペレータ端末4の何れに対しても情報を直接送受信するようにしても良い。これにより、通信部13において情報を送受信する相手を切り替える必要が生じるものの、保守サーバ3による中継処理を省略することができる。
【0080】
さらに上述した実施の形態においては、ステップSP3(図6)においてユーザUの許可を得た場合にのみ、障害情報及び装置情報を保守サーバ3へ送信する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば予めユーザUの操作により障害情報等の送信を許可する設定がなされていれば、障害の発生時に、改めてユーザUの許可を得ること無く障害情報を保守サーバ3へ送信しても良い。
【0081】
さらに上述した実施の形態においては、ステップSP7(図7)において、ユーザUの許可を得ること無く、進捗情報を保守サーバ3経由でオペレータ端末4へ送信する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばステップSP3において障害情報等を送信する場合と同様に、その都度若しくは初回のみ、ユーザUに進捗情報を送信することについて許可を求めるようにしても良い。或いは、上述した場合と同様、進捗情報の送信を許可するか否かを予めユーザUに設定させるようにしても良い。ステップSP8において送信する結果情報についても同様である。
【0082】
さらに上述した実施の形態においては、ステップSP7(図7)において進捗情報を、またステップSP8において結果情報を、それぞれ保守サーバ3経由でオペレータ端末4へ送信する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば電話機6及び7を介した会話によって、オペレータRがユーザUから進捗や結果の報告を受ける場合に、進捗情報及び結果情報をそれぞれ送信しないようにしても良い。
【0083】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ2のユーザUが電話機6等を介して口頭でオペレータRに識別コードを伝え、当該オペレータRがこれをオペレータ端末4に入力することにより保守サーバ3から障害情報等を受信し、これを表示部54に表示してオペレータRに視認させる場合について述べた。このため保守サーバ3は、プリンタ2から障害情報等を受信した際に識別コードを生成して当該プリンタ2へ送信し、この識別コードを表示操作部14に表示させることでユーザUに通知させる必要があった。
【0084】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばプリンタ2から障害情報等を受信した際に、これを自動的にオペレータ端末4へ送信するようにしても良い。この場合、保守システム1では、オペレータRにユーザUから識別コードを聞き取らせる作業や、これをオペレータ端末4へ入力させる作業を省略することができる。
【0085】
さらに上述した実施の形態においては、保守サーバ3の記憶部32における拡張ガイダンス記憶領域42に拡張ガイダンスを記憶させておき、オペレータ端末4が当該保守サーバ3から必要な拡張ガイダンスを受信するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばオペレータ端末4の記憶部52に予め拡張ガイダンスを記憶させておくようにしても良い。これにより、保守サーバ3から拡張ガイダンスを受信する処理を省略できる。基本ガイダンスについても同様である。
【0086】
さらには、例えば保守サーバ3にオペレータ端末4の機能を包含させ、すなわち操作部や表示部を設けて、保守システム1をプリンタ2、保守サーバ3及びインターネット5により構成しても良い。この場合、オペレータRは、保守サーバ3を操作することにより、上述した実施の形態と同様の作業を行うことができる。
【0087】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ2が拡張ガイダンスを受信した場合、これを表示操作部14に表示する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば受信した拡張ガイダンスを記憶部12に記憶させておき、次回以降に同様の障害が発生した場合に、保守サーバ3に障害情報等を送信する前に、検出部16による障害の検出結果に応じて、当該拡張ガイダンスを表示操作部14に表示しても良い。これにより、保守サーバ3やオペレータ端末4とやり取りすること無く、障害の解消を図ることが可能となる。
【0088】
さらに上述した実施の形態においては、プリンタ2の表示操作部14に基本ガイダンス及び拡張ガイダンスを表示し、ユーザUにこれを参照させて、障害を解消するための作業を行わせる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばユーザUがスマートフォンやタブレット端末のような、画像表示機能及び通信機能を有するユーザ端末装置を保有している場合に、当該ユーザ端末装置に拡張ガイダンス等を送信して表示させるようにしても良い。
【0089】
さらに上述した実施の形態においては、保守システム1においてプリンタ2の障害を解消する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置等、種々の情報処理装置の障害を解消する場合に本発明を適用しても良い。
【0090】
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0091】
さらに上述した実施の形態においては、表示部としての表示操作部14と、検出部としての検出部16と、記憶部としての記憶部12と、通信部としての通信部13と、制御部としての制御部11とによって情報処理装置としてのプリンタ2を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる表示部と、検出部と、記憶部と、通信部と、制御部とによって情報処理装置を構成しても良い。
【0092】
さらに上述した実施の形態においては、情報処理装置としてのプリンタ2と、外部装置としての保守サーバ3及びオペレータ端末4と、通信手段としてのインターネット5とにより保守システムとしての保守システム1を構成し、情報処理装置を、表示部としての表示操作部14と、記憶部としての記憶部12と、検出部としての検出部16と、通信部としての通信部13と、制御部としての制御部11とにより構成し、外部装置を、第2記憶部としての記憶部32及び52と、外部通信部としての通信部33及び53と、第2制御部としての制御部31及び51とにより構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる情報処理装置と、外部装置と、通信手段とにより保守システムを構成し、情報処理装置を、その他種々の構成でなる表示部と、記憶部と、検出部と、通信部と、制御部とにより構成し、外部装置を、その他種々の構成でなる第2記憶部と、外部通信部と、第2制御部とにより構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、例えば表示画面にガイダンスを表示してユーザに簡単な保守作業を行わせるプリンタ、及びその保守を行う保守システムでも利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1……保守システム、2……プリンタ、3……保守サーバ、4……オペレータ端末、5……インターネット、6、7……電話機、8……電話回線、10、30、50……バス、11、31、51……制御部、12、32、52……記憶部、13、33,53……通信部、14……表示操作部、15……印刷部、16……検出部、21、41……基本ガイダンス記憶領域、22……装置情報記憶領域、42……拡張ガイダンス記憶領域、43……障害情報記憶領域、54……表示部、55……操作部、D1、D2……基本ガイド画面、D3……拡張ガイド画面、R……オペレータ、U……ユーザ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8