(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止部材の前記係合部から前記第1接合部の下端までの上下方向長さは、前記第1接合部の下端から前記注出口部の下端までの上下方向長さの1/2より長い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパウチ容器。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。なお、本明細書において「略**」との記載は、略半分を例に挙げて説明すると、完全に半分はもとより、実質的に半分と認められる場合を含む意図である。
【0009】
実施形態では、底ガゼットシートを備えたスタンディングパウチを例示するが、自立性を有さない平パウチなど、他のパウチ形態に本発明の構成を適用してもよい。本明細書では、パウチ容器を平坦な面上に起立させたときに、その鉛直方向(
図1における長手方向)を「上下方向」として鉛直下方側を「下」、鉛直上方側を「上」とし、パウチ容器の幅方向(
図1における左右方向)を「横方向」とし、パウチ容器の前後方向を「表裏方向」として説明する。図面では、上下方向をX軸方向、横方向をY軸方向、表裏方向をZ軸方向としてそれぞれ示す。
【0010】
以下では、パウチ容器に充填される内容物を粉ミルクやプロテイン粉末、小麦粉、洗剤、入浴剤等のトイレタリー製品、砂糖、塩等の調味料などを意図する粉状物100として説明する。但し、内容物は粉状物100等の固形物に限定されず、例えば半固形物、又は液状物であってもよい。
【0011】
図1は、実施形態の一例であるパウチ容器10の正面図である。
図1に示すように、パウチ容器10は、表面シート11(第1壁面シート)と、表面シート11に対向配置された裏面シート12(第2壁面シート)とを備え、各壁面シートに囲まれた容器内部空間に粉状物100(後述の
図4等参照)を収容する軟包材容器である。各壁面シートは、容器の表面部及び裏面部をそれぞれ形成するシート材であり、
図1に示す例ではいずれも上下方向(X軸方向)に長く延びた平面視略矩形状を有する。パウチ容器10の上部の各壁面シートの間には、粉状物100を取り出す際に、当該粉状物の取り出し口19(後述の
図5等参照)が形成される。
【0012】
パウチ容器10には、容器の底面部を形成する底ガゼットシート13が設けられている。底ガゼットシート13は、容器下部に位置する各壁面シートの内面に展開可能に接合されている。パウチ容器10は、粉状物100を収容したときに底ガゼットシート13が船底型に展開して自立可能となる。底ガゼットシート13は、表面シート11に対向配置された第1面シートと、裏面シート12に対向配置された第2面シートとを含み、当該各シートの上端同士が連接した上向きガゼットシートである。パウチ容器10は、粉状物100が収容されていない状態において各壁面シートが互いに略接触した扁平形状を有し、底ガゼットシート13は折り畳まれた状態である。
【0013】
パウチ容器10は、取り出し口19に設けられた封止部材20と、各壁面シートの内面に接合された内装シート30とを備える。本実施形態では、各壁面シートの内面に封止部材20が接合されており、封止部材20よりも下方に内装シート30が配置されている。内装シート30は、表面シート11に対向配置された第1面シート31と、裏面シート12に対向配置された第2面シート32とを有する。詳しくは後述するが、内装シート30は下向きガゼットシートであって、筒状に形成された注出口部34を有する。
【0014】
底ガゼットシート13及び内装シート30の横方向(Y軸方向)の両端縁は、各壁面シートの横方向両端縁に至っていることが好適である。即ち、各ガゼットシートはパウチ容器10の横方向全長に亘って設けられている。この場合、長尺体を用いた生産性の高いプロセスによってパウチ容器10を製造することができる(後述の
図10参照)。内装シート30は、底ガゼットシート13と封止部材20の間に設けられ、一般的には底ガゼットシート13よりも封止部材20に近い位置に設けられる。
【0015】
パウチ容器10は、互いに対向配置された各壁面シートの横方向両端縁に上下方向に沿って形成されたサイドシール部14を有する。サイドシール部14は、各壁面シートの間に、底ガゼットシート13及び内装シート30を挿入した状態で形成される。サイドシール部14は、壁面シート同士を接合すると共に、各壁面シートと二つのガゼットシートを接合する。また、パウチ容器10の下部には、底ガゼットシート13と各壁面シートを接合する底シール部16が形成される。底ガゼットシート13には、横方向両端部に切欠き17が形成されており、切欠き17を介して各壁面シートが直接接合される。粉状物100を容器内部空間に充填した後、容器上端縁に上シール部15を形成することで、容器内部空間が密閉される(後述の
図4参照)。
【0016】
本実施形態では、容器上部に位置する各壁面シートのサイドシール部14に、開封用の切欠きであるノッチ18が形成されている。ノッチ18は、封止部材20よりも容器上部において横方向に並んで二つ形成されている。ノッチ18から横方向に沿って各壁面シートを切断することにより、
図1に一点鎖線で示す取り出し口形成予定部19pに、粉状物100の取り出し口19が形成される。
【0017】
パウチ容器10を構成する各シート材は、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。シート材の厚みは、例えば10μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。また、各シール部はヒートシールにより形成されることが好ましいため、シート材にはヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好ましく、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば共押出法、接着剤を用いたドライラミネーション法、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション法等により行うことができる。
【0018】
なお、ヒートシールにより形成されるシール部は、各シート材のシーラント層を対向させた状態で当該シート材を熱圧着して形成される。内装シート30は、パウチ容器10の密閉性向上等の観点から、サイドシール部14において第1面シート31と第2面シート32が接合していることが好適である。また、内装シート30には後述する第2接合部37が形成される。従い、内装シート30にはシート材の両面にシーラント層を有する両面ヒートシール性の複層シートを用いることが好ましい。
【0019】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。ベースフィルム層の厚みは、例えば10μm〜200μmであり、好ましくは10μm〜100μmである。
【0020】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。シーラント層の厚みは、例えば20μm〜200μmであり、好ましくは30μm〜180μmである。
【0021】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。ガスバリア層の厚みは、例えば0.1μm〜20μmであり、好ましくは0.2μm〜10μmである。
【0022】
各壁面シートには、商品名やデザイン(絵柄)、メーカー名、原材料・使用上の注意事項等の商品説明、背景色などを表示するためのデザイン印刷層(図示せず)を設けることが好適である。底ガゼットシート13及び内装シート30にもデザイン印刷層等の印刷層を設けてもよい。デザイン印刷層は、例えばグラビア印刷等の公知の方法によりベースフィルム層の内面に形成できる。各図面では、説明の便宜上、壁面シートの全体を透明なものとして図示しているが、実際には、各壁面シートに不透明なデザイン印刷層が形成される場合が多く、当該印刷層が形成された部分から容器内部は視認できない。
【0023】
以下、
図2〜
図9を更に参照し、特に封止部材20及び内装シート30について詳説する。
図2は
図1中のAA線断面図であり、
図3はパウチ容器10の上部拡大図である。
図4〜
図9は、粉状物100が充填されたパウチ容器10を示す図である。
【0024】
図1〜
図3に示すように、封止部材20は、互いに係合する一対の係合部(凸部23、凹部24)を有する。封止部材20は、例えば2枚の係合部付きシート21,22から構成される。
図2に示す例では、表面シート11の内面に係合部付きシート21が、裏面シート12の内面に係合部付きシート22がそれぞれ接合されている。係合部付きシート21は凸部23を有する凸部付きシートであり、係合部付きシート22は凹部24を有する凹部付きシートである。封止部材20は、凸部23が凹部24に嵌合することで、取り出し口19を閉じて容器内部空間を再封する。
【0025】
内装シート30は、二つの第1接合部36と、二つの第2接合部37とを形成して構成される、上下方向両端が開口した筒状の注出口部34と、内装シート30の下端から第1接合部36に亘って設けられた切断補助線38とを有する。注出口部34は、封止部材20の係合部よりも上方に引き出されて使用される。第1接合部36は、横方向に沿って、第1面シート31の外面S2と表面シート11、並びに第2面シート32の外面S2と裏面シート12をそれぞれ接合して形成される。本実施形態では、第1接合部36の全体が封止部材20よりも下方に位置している。第2接合部37は、横方向に離れた二箇所において、第1面シート31及び第2面シート32の内面同士を接合して形成される。各第2接合部37は、内装シート30の下部から第1接合部36に亘って形成される。
【0026】
内装シート30は、上述の通り第1面シート31と第2面シート32の下端同士が連接した下向きガゼットシートである。内装シート30(下向きガゼットシート)において、第1接合部36は内装シート30の上部に形成され、第2接合部37は内装シート30の下端から第1接合部36に亘って形成されることが好ましい。そして、内装シート30の下部における各第2接合部37の間には貫通孔が形成される。内装シート30の上部では、サイドシール部14以外の部分において、第1面シート31と第2面シート32の内面同士は接合しておらず、また各シートは連接していない。即ち、当該貫通孔を形成することによって、内装シート30には上下方向両端に開口部34a,34bをそれぞれ有する注出口部34が設けられる。当該貫通孔は、開口部34bとなる孔であって、例えば内装シート30の下端から当該シートを所望の形状に切り抜いて形成される。
【0027】
本明細書では、注出口部34が封止部材20よりも上方に引き出されていない状態(収容状態)において、注出口部34の上端に位置する開口部を開口部34a、注出口部34の下端に位置する開口部を開口部34bとする。なお、上記貫通孔の代わりに、例えば折り目線33に沿って貫通孔形成用切断補助線を形成しておき、注出口部34の使用時に貫通孔を形成可能な構成としてもよい。
【0028】
本実施形態では、内装シート30の横方向中央に注出口部34が形成されている。内装シート30は、注出口部34と、その他の部分である非注出口部35とを有し、非注出口部35の下端に横方向に沿って折り目線33(第1面シート31と第2面シート32の境界線)が形成されている。注出口部34と非注出口部35の間には、第2接合部37が形成されている。即ち、内装シート30は第2接合部37によって注出口部34と非注出口部35に区画されている。非注出口部35は、正面視略三角形状を有し、注出口部34の横方向両側に形成される。非注出口部35を切除せず残しておくことで、後述の長尺体を用いた製造プロセスにおいて内装シート30の良好な搬送性が得られる。なお、非注出口部35の端縁はサイドシール部14で各壁面シートに接合されていると共に、第2接合部37により塞がれており、非注出口部35内に粉状物100が入り込まないように構成されている。
【0029】
注出口部34は、封止部材20の係合部を超えて上方に引き出し可能な上下方向長さを有する。具体的には、第1接合部36の下端から注出口部34の下端までの上下方向長さL
34cが、封止部材20の係合部から第1接合部36の下端までの上下方向長さL
20を超える長さである。ここで、上下方向長さL
34cとは、第1接合部36の下端から注出口部34の下端までの上下方向に沿った最短の長さである。上下方向長さL
20とは、封止部材20の係合部(下端)から第1接合部36の下端までの上下方向に沿った最短の長さである。L
34c>L
20とすることで、封止部材20の係合部よりも上方まで注出口部34を引き出し可能となり、注出口部34は封止部材20上を覆って封止部材20に粉状物100が接触することを防止する。
【0030】
上下方向長さL
34cは、取り出し口形成予定部19p(取り出し口19)から第1接合部36の下端までの上下方向長さL
19を超える長さであることが好ましい。上下方向長さL
19とは、取り出し口形成予定部19pから第1接合部36の下端までの上下方向に沿った最短の長さである。この場合、取り出し口19よりも上方まで注出口部34を引き出し可能となり、封止部材20の上方に位置する各壁面シートにも粉状物100が付着せず、より確実に封止部材20に対する粉状物100の付着を抑制できる。
【0031】
上下方向長さL
20は、上下方向長さL
34cの1/2より長いことが好ましい。この場合、例えば上方に引き出した注出口部34を略半分に折り畳んで封止部材20よりも容器下部側の容器内部空間に再び収容することが容易になる(後述の
図8,9参照)。但し、L
20を長くし過ぎると、L
19<L
34cとすることが難しくなり、またパウチ容器10の容量が減少する場合があるから、好ましくはL
34c×1/2<L
20<L
34c×2/3(且つL
19<L
34c)である。
【0032】
第1接合部36は、注出口部34と各壁面シートとの間から粉状物100が漏れ出すことを防止するシール部である。第1接合部36は、いずれも一方のサイドシール部14から他方のサイドシール部14に亘って形成されることが好適である。本実施形態では、二つの第1接合部36が表裏方向(Z軸方向)に対向する位置に正面視帯状に形成されており、各第1接合部36はサイドシール部14を介して繋がっている。即ち、内装シート30の上部には、注出口部34の筒周方向の全長に亘って第1接合部36が環状に形成されている。第1接合部36は内装シート30の上端よりもやや下方に形成されており、第1接合部36が形成された部分には内装シート30と各壁面シートとの間に粉状物100が通るような隙間が存在しない。
【0033】
第2接合部37は、注出口部34を構成する第1面シート31と第2面シート32との間から粉状物100が漏れ出すことを防止するシール部である。第2接合部37は、いずれも内装シート30の下部から第1接合部36に亘って正面視帯状に形成されている。第2接合部37は、内装シート30の下端から第1接合部36まで連続的に形成されることが好適である。本実施形態では、内装シート30の下端からサイドシール部14と第1接合部36の各交点まで各第2接合部37が連続的に形成されている。
【0034】
各第2接合部37は、それらの各下端の間隔より各上端の間隔が広く設けられていることが好適である。例えば、各第2接合部37は内装シート30の上部から下部に向かって互いの間隔が狭くなるように、正面視略ハの字状に形成されることが好ましい。この場合、注出口部34の周長は上から下に向かって次第に短くなり、開口部34bは開口部34aよりも小さくなる。例えば、注出口部34は上部よりも下部が小さくなった正面視略台形形状を有し、非注出口部35は上部よりも下部が大きくなった正面視略三角形状を有する。例えば、上方に引き出された注出口部34を鉛直下方に向けたときに、粉状物100は第2接合部37に沿うように流動するが、かかる第2接合部37によれば粉状物100をスムーズに流動させることができ、粉状物100の取り出しが容易になる。また、注出口部34を引き出す操作も容易になる。
【0035】
切断補助線38は、各第2接合部37或いは各第2接合部37より横方向外方両側に設けられる。即ち、切断補助線38は各第2接合部37上か、或いはそれよりも外側に形成されていればよい。好ましくは各第2接合部37上に切断補助線38が形成され、
図3に示す例では、各第2接合部37の幅方向中央部に切断補助線38がそれぞれ形成されている。注出口部34は、切断補助線38で内装シート30を切断することにより当該シートの他の部分である非注出口部35から分離される。そして、切り離された注出口部34は封止部材20の係合部よりも上方に引き出し可能である。切断補助線38としては、第2接合部37に沿った内装シート30の切断を可能にするものであれば特に限定されず、一般的にはミシン目線、ハーフカット線、又はこれらの組み合わせが例示できる。切断補助線38に沿った内装シート30の切断を容易にすべく、切断補助線38の先端に切込みを形成しておくことが好ましい。
【0036】
注出口部34のうち第1接合部36よりも内装シート30の下方に位置する非接合部34cは、筒の内側に向いた内面S1が筒の外側に向くように折り返すことができる(後述の
図5,6参照)。非接合部34cは、各第1接合部36、第2接合部37に囲まれた部分であって、第1面シート31と第2面シート32の内面同士が接合されておらず、また当該各シートが各壁面シートにも接合されていない部分である。即ち、注出口部34は、上述の折り返しができる非接合部34cを有し、非接合部34cを折り返すことで封止部材20の係合部よりも上方に引き出される。なお、注出口部34が非注出口部35から分離されていない状態において、注出口部34の内側に向いた面を内面S1、注出口部34の外側に向いた面を外面S2とする。
【0037】
図4は、粉状物100を充填した開封前のパウチ容器10を示す図である。
パウチ容器10は、粉状物100の充填により各壁面シートが互いに離間し、底ガゼットシート13が展開して、特に容器下部が膨らんだ形態となる。こうして、パウチ容器10の自立性が発現する。粉状物100は、パウチ容器10の上端開口部から内装シート30よりも容器下部側の内部空間に充填されることが好ましい。パウチ容器10には、粉状物100が充填された後、容器上端縁に上シール部15が形成される。これにより、粉状物100が充填された容器内部空間が密閉される。
【0038】
図5及び
図6は、注出口部34を上方に引き出した状態を示す図である。
パウチ容器10は、ノッチ18から各壁面シートを横方向に切断することにより開封され、容器上部に取り出し口19が形成される。容器内部空間に充填された粉状物100を取り出す際には、注出口部34が封止部材20の係合部よりも上方に引き出される。注出口部34は、上述の通りL
19<L
34cであるから、取り出し口19よりも上方に引き出し可能である。即ち、注出口部34の先が取り出し口19から容器外側に突出する。つまり、封止部材20及び封止部材20よりも上方に位置する各壁面シートの内面が筒状の注出口部34に覆われる。
【0039】
内装シート30は、例えば注出口部34の下部が上方に引っ張られることで、切断補助線38に沿って切断される。注出口部34は、切断補助線38で内装シート30が切断されたときに非注出口部35から切り離され、非接合部34cの内面S1が注出口部34の外側に、外面S2が注出口部34の内側にそれぞれ向くように非接合部34cの面が反転して折り返される。そして、開口部34bが注出口部34の上端に位置し、当該上端が封止部材20を超えて取り出し口19から突出するように、注出口部34が上方に引き出される。
【0040】
図7は、注出口部34を用いて粉状物100を取り出す様子を示す。
パウチ容器10では、容器上部に形成された取り出し口19を鉛直下方に向けることで、取り出し口19よりも上方に引き出された注出口部34の筒内を通って粉状物100が取り出される。上方に引き出された注出口部34は、上述の折り返し状態においても上下方向両端が開口しており、容器内部空間と容器外部を連通させる。つまり、上述の構成を備えたパウチ容器10によれば、粉状物100は封止部材20だけでなく、封止部材20よりも上方に位置する各壁面シートの内面にも付着せず、注出口部34の筒内を通って取り出される。筒状に形成された注出口部34を用いることにより、例えば取り出し口19の傾斜角度を大きくなり過ぎて粉状物100が一気に流れた場合でも封止部材20の汚染を防止することができる。また、封止部材20よりも上方に位置する各壁面シートの内面に粉状物100が付着すると、例えば取り出し口19を鉛直上方に向けたときに当該粉状物が落下して封止部材20に付着するが、注出口部34を取り出し口19よりも上方に引き出し可能とすることで、かかる封止部材20の汚染も防止される。従い、パウチ容器10によれば、封止部材20を衛生的に保つことができると共に、封止部材20に対する粉状物100の付着に起因してパウチ容器10の密閉性が損なわれることを高度に抑制できる。
【0041】
図8及び
図9は、パウチ容器10の再封形態を示す図である。
注出口部34を取り出し口19よりも上方に引き出して粉状物100の一部を取り出した場合に、封止部材20を閉じてパウチ容器10を再封することができる。このとき、注出口部34の外側に向いた内面S1が内側に向くように注出口部34を再度折り返し、元の状態に戻してもよいが、好ましくは注出口部34を折り畳んで封止部材20よりも容器下部側の内部空間に収容する。具体的には、注出口部34のうち、第1接合部36よりも上方に引き出された部分(以下、「折り返し部」とする)を封止部材20の係合部と第1接合部36の間に折り畳んで収容する。本実施形態では、L
34c×1/2<L
20であるから、折り返し部を略半分に折り曲げることで、係合部と第1接合部36の間に容易に収容することができる。従い、パウチ容器10の再封において、折り返し部を再び元の状態に戻す必要がないので、手指に対して粉状物100が付着し難く、再封操作が容易になる。
【0042】
図10を参照しながら、パウチ容器10の製造方法の一例について説明する。
図10は、パウチ容器10の製造工程のうち各シート材の長尺体を積層して各シール部を形成する工程を示す。以下では、長尺体の長手方向を「MD方向」、幅方向を「TD方向」とする。
【0043】
図10に示すように、まず表面シート11、裏面シート12、底ガゼットシート13、封止部材20を構成する係合部付きシート21,22、及び内装シート30の長尺体(以下、長尺体11z,12z,13z,21z,22z,30zとする)をそれぞれ準備して互いに積層する。長尺体13zには切欠き17となる貫通孔17zが、長尺体30zには第2接合部37及び切断補助線38がそれぞれMD方向に略等間隔で形成されている。各長尺体の積層工程では、長尺体11zと長尺体12zを重ね合わせ、長尺体11z及び長尺体12zの下部に長尺体13zを、上部に長尺体21z,22zをそれぞれ挿入し、長尺体21z,22zと長尺体13zとの間に長尺体30zを挿入する。長尺体21z,22zは、凸部23が凹部24に嵌合した状態で積層される。
【0044】
互いに積層された上記各長尺体には、ヒートシール工程でサイドシール部14、底シール部16、及び第1接合部36が形成され、長尺体13z,30zが長尺体11z,12zの内面に接合される。なお、第1接合部36を形成する際には遮蔽版を内装シート30の間に位置させ、表裏方向Zに内装シート30の内面同士が接合しないようにしてヒートシールする。次に、例えばダイカットロール等を用いて、サイドシール部14のMD中央部でTD方向に沿って上記各長尺体をカットし、個々の容器サイズに分割する。このとき、サイドシール部14にノッチ18が形成される。こうして、
図1に示すパウチ容器10が得られる。パウチ容器10の上端開口部から粉状物100を容器内に収容した後、上シール部15を形成することで、
図4に示す容器内に粉状物100が収容されたパウチ容器10が得られる。なお、上記長尺体の状態で粉状物100を収容し、上シール部15を形成してから個々の容器サイズに分割してもよい。
【0045】
上述のように、パウチ容器10は各シート材の長尺体を用いた簡便で生産性の高いプロセスにより製造することができる。
【0046】
図11は、パウチ容器10の変形例であるパウチ容器10xを示す図である。
パウチ容器10xは、パウチ容器10と同様に内装シート30xの外面S2が表面シート11の内面及び裏面シート12の内面にそれぞれ接合された第1接合部36xを有するが、封止部材20が内装シート30xに接合されている点で、パウチ容器10と異なる。封止部材20は、内装シート30xの上部において内面S1に接合されている。
図11に示す例では、凸部23を有する係合部付きシート21が第1面シート31の内面S1に、凹部24を有する係合部付きシート22が第2面シート32の内面S1にそれぞれ接合されている。
【0047】
パウチ容器10xでは、第1接合部36xの上端が封止部材20より上方に位置しており、封止部材20が注出口部34xの筒内に設けられている。第1接合部36xの下端は、パウチ容器10と同様に封止部材20より下方に位置している。この場合も、第1接合部36xの下端から注出口部34xの下端までの上下方向長さL
34cxは、封止部材20の係合部から第1接合部36の下端までの上下方向長さL
20を超える長さであり、非接合部34cxを折り返して封止部材20の係合部よりも上方まで注出口部34xを引き出し可能である。また、上下方向長さL
34cxは、図示しない取り出し口形成予定部19p(取り出し口19)から第1接合部36の下端までの上下方向長さL
19を超える長さであることが好ましい。
【0048】
パウチ容器10xでは、封止部材20が内装シート30xに接合されているため、例えばパウチ容器10の場合よりも内装シート30xの上下方向長さを短くすることができ、内容物の充填量を多くすることができる。この場合も、上下方向長さL
20を上下方向長さL
34cxの1/2より長くすることで、注出口部34xを略半分に折り畳んだ状態で封止部材20よりも下方の容器内部空間に収容することができる。
【0049】
図12は、パウチ容器10の変形例であるパウチ容器10yを示す図である。
パウチ容器10yは、注出口部34の内面S1に接合された摘み部39を有する点で、パウチ容器10と異なる。摘み部39は、例えば指先で摘まれて、注出口部34を上方に引き出す際に使用される。摘み部39は、注出口部34の下部に設けられることが好適である。
図12に示す例では、摘み部39が第1面シート31の内面S1に接合されているが、第2面シート32の内面S1に接合されていてもよく、第1面シート31及び第2面シート32の両方に設けられていてもよい。摘み部39は、例えば指先で摘まみ易いものであれば、その形状、寸法等は特に限定されない。注出口部34は、上述の通り上方に引き出されたときに内面S1が外側に向いて折り返されるため、摘み部39は粉状物100に触れることがなく、粉状物100の取り出しを阻害しない。なお、摘み部39の接合方法も特に限定されず、摘み部39はヒートシールにより内面S1に接合されてもよく、接着剤(粘着剤を含む)を用いて接合されてもよい。摘み部39は、タックシートから構成されていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、内装シートとして下向きガゼットシートを用いた形態を例示したが、内装シートは、例えば互いに分離した第1面シートと第2面シートを重ね合わせて構成されていてもよい。