(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製氷室(1)内に、下向きに開口する一群のセル(11)を有する製氷ケース(10)と、製氷ケース(10)の下面側に対向配置されて、セル(11)に向かって製氷水を上向きに噴出する一群のノズル孔(12)を有する給水トレー(13)と、を備えるセル型製氷機において、
製氷ケース(10)は、ベース板(19)と、ベース板(19)の上面に配置される冷媒通路(20)と、ベース板(19)の下面に配置されて、一群のセル(11)を区画する区画体(21)とを含み、
区画体(21)は、外枠(35)と、外枠(35)の内部を区画する区画枠(36)とを含み、
区画枠(36)は縦枠(37)と横枠(38)で構成されており、区画枠(36)内には直線列状のセル列(C)の一群が形成されており、
各セル列(C)の端部に位置するセル(11)のベース板(19)には、当該セル(11)内に空気を導入するための空気導入孔(45)が形成されており、
各セル列(C)を構成する隣り合うセル(11)を仕切る縦枠(37)または横枠(38)には、空気導入孔(45)から導入された空気を隣のセル(11)へと送り込むための空気供給孔(46)が形成されており、
セル(11)のベース板(19)に設けられた空気導入孔(45)が、該ベース板(19)におけるノズル孔(12)に正対する領域を避けて設けられており、
空気供給孔(46)を有する縦枠(37)又は横枠(38)には、そのベース壁(19)との境界部分に係る上端部に、ベース板(19)の壁面を横向きに伝い流れた製氷水を受止めるための止水領域が形成されており、該止水領域の下方に空気供給孔(46)が設けられていることを特徴とするセル型製氷機。
冷媒通路(20)は、セル列(C)と交差する方向に延びる複数の直線通路(26)と、隣接する直線通路(26)の端部を連結する半円弧状の折り返し通路(27)とで、ベース板(19)の上面に蛇行状に配置されており、
冷媒通路(20)の一方端の直線通路(26a)は、冷媒通路(20)に冷媒を供給する供給管(28)に接続され、他方端の直線通路(26b)は、冷媒通路(20)から冷媒を回収する回収管(29)に接続されており、
供給管(28)に接続された直線通路(26a)が、空気導入孔(45)が形成されたセル(11)に臨むベース板(19)の壁面に重なるように配置されている請求項1または2に記載のセル型製氷機。
空気供給孔(46)は丸孔状に形成されており、ベース板(19)の下面から空気供給孔(46)の孔上縁までの上下距離(h)が、セル(11)の高さ寸法(H)の1/4以上で、2/3以下に設定されている請求項1から3のいずれかひとつに記載のセル型製氷機。
冷媒通路(20)が、ベース板(19)と、ベース板(19)の上面に固定されて、通路を画成する膨出部(25)を備えた通路板(24)で構成されている請求項1から5のいずれかひとつに記載のセル型製氷機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製氷皿では、冷媒通路を形成する冷媒プレートおよび製氷プレートに空気導入孔が開口されており、セル毎に空気導入孔が設けられているため、多数個の空気導入孔を避けるように冷媒通路を配置する必要がある。このため、特許文献1の製氷皿では、冷媒プレート等における冷媒通路の経路レイアウトに大きな制約が生じることが避けられず、製氷皿の冷却効率の向上に限界がある。つまり、特許文献1の製氷皿では、空気導入孔を避けるように冷媒プレート等に冷媒通路を配置する必要があるために、冷媒通路の経路レイアウトを自由に設定することが困難であり、製氷皿の冷却効率の向上に限界がある。かかる不都合は、特に小サイズの製氷室を備える製氷皿において顕著となる。
【0005】
その点、特許文献2の製氷皿では、冷媒通路が配置される底板以外の箇所、具体的には側壁に空気導入孔(空気孔7)を設けたために、該空気導入孔の存在が冷媒経路の経路レイアウトの設計自由度を損なうことはなく、製氷皿をより効率良く冷却することが可能である。しかし、空気導入孔が底板に接する位置に形成されているため、給水トレーから噴射された製氷水が底板に衝突して横向きに伝い流れたときに、該空気導入孔から製氷皿の外部へ製氷水が噴き出し、製氷室内に製氷水が漏れ出るおそれがある。このように空気導入孔から製氷水が漏れ出ると、これが製氷室内に貯留した氷に付着してその一部を融解させるおそれがある。製氷室内に製氷水が飛び散ると、該製氷室内で隣接する氷どうしが結着するおそれもある。
同様に、特許文献2の製氷皿では、底板に接する位置に空気供給孔が形成されているために、給水トレーから噴射された製氷水が底板に衝突して横向きに伝い流れたときに、空気供給孔から隣り合うセルに向かって製氷水が漏れ出るおそれもある。このように空気供給孔から製氷水が漏れ出ると、セル内での製氷水の流れに乱れが生じ、氷が十分に成長せずキューブ状ではない氷や内部に空気が混入した氷など、不適正な氷が生成されるおそれがある。
【0006】
本発明は、空気導入孔、および空気供給孔の二つの空気孔を備え、離氷時にセル内が負圧状態となることを的確に解消して離氷をスムーズに行うことができるセル型製氷機において、空気導入孔と空気供給孔の両空気孔から製氷水が漏れ出ることを効果的に防ぐことができ、従って製氷水の漏出に起因する不都合が生じ難く、しかも冷媒通路の経路レイアウトの設計自由度が高く、製氷皿(製氷ケース)の冷却効率に優れたセル型製氷機を得ることを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、製氷室内1に、下向きに開口する一群のセル11を有する製氷ケース10と、製氷ケース10の下面側に対向配置されて、セル11に向かって製氷水を噴出する一群のノズル孔12を有する給水トレー13とを備えるセル型製氷機を対象とする。製氷ケース10は、ベース板19と、ベース板19の上面に配置される冷媒通路20と、ベース板19の下面に配置されて、一群のセル11を区画する区画体21とを含む。区画体21は、外枠35と、外枠35の内部を区画する区画枠36とを含む。区画枠36は縦枠37と横枠38で構成されており、区画枠36内には直線列状のセル列Cの一群が形成されている。各セル列Cの端部に位置するセル11のベース板19には、当該セル11内に空気を導入するための空気導入孔45が形成されており、各セル列Cを構成する隣り合うセル11を仕切る縦枠37または横枠38には、空気導入孔45から導入された空気を隣のセル11へと送り込むための空気供給孔46が形成されている。セル11のベース板19に設けられた空気導入孔45が、該ベース板19におけるノズル孔12に正対する領域を避けて設けられている。空気供給孔46を有する縦枠37又は横枠38には、そのベース壁19との境界部分に係る上端部に、ベース板19の壁面を横向きに伝い流れた製氷水を受止めるための止水領域が形成されており、該止水領域の下方に空気供給孔46が設けられている。
ここで、「空気導入孔45が、該ベース板19におけるノズル孔12に正対する領域を避けて設けられている」とは、具体的には、空気導入孔45の開口縁で規定される領域が、ベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域に重ならないことを意味する。
【0008】
ノズル孔12がセル11に臨むベース板19の壁面の略中央と正対するように配置されており、空気導入孔45が外枠35側の内隅に設けられている形態を採ることができる。
【0009】
冷媒通路20は、セル列Cと交差する方向に延びる複数の直線通路26と、隣接する直線通路26の端部を連結する半円弧状の折り返し通路27とで、ベース板19の上面に蛇行状に配置されている。冷媒通路20の一方端の直線通路26aは、冷媒通路20に冷媒を供給する供給管28に接続し、他方端の直線通路26bは、冷媒通路20から冷媒を回収する回収管29に接続されている。そして、供給管28に接続された直線通路26aを、空気導入孔45が形成されたセル11に臨むベース板19の壁面に重なるように配置することができる。
【0010】
空気供給孔46は丸孔状に形成し、ベース板19の下面から空気供給孔46の孔上縁までの上下距離hは、セル11の高さ寸法Hの1/4以上で、2/3以下に設定することが好ましい。
【0011】
セル列Cの中途部にあるセル11に、当該セル11に空気を導入する補助導入孔47を形成する。補助導入孔47を、当該セル11における給水トレー13と正対するベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域と、導入孔45の開口縁で規定される領域が重ならないように設ける。
【0012】
冷媒通路20を、ベース板19と、ベース板19の上面に固定されて、通路を画成する膨出部25を備えた通路板24で構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセル型製氷機では、製氷ケース10に、セル11内に空気を導入するための空気導入孔45と、当該空気導入孔45から導入された空気を隣のセル11内に送り込むための空気供給孔46の二種の空気孔を設けた。これによれば、離氷時において製氷室1の空気を空気導入孔45からセル列Cの端部に位置するセル11内に流入させ、さらに当該セル11の空気を空気供給孔46から隣り合うセル11へと順次流入させることが可能となる。以上より、本発明によれば、離氷時にセル11内が負圧状態になるのを的確に解消することができるので、離氷動作をスムーズに行うことができる。
【0014】
そのうえで本発明においては、各セル列Cの端部に位置するセル11に臨むベース板19に空気導入孔45を形成している。これによれば、ベース板19の一辺の縁部近傍に空気導入孔45を位置させることができるので、セル毎に空気導入孔を形成する形態に比べて、冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度の向上を図ることができる。従って、本発明によれば、より効率的に製氷ケース10を冷却することができるような冷却効率に優れた冷媒通路20の経路レイアウトを実現することができる。つまり、本発明によれば、各セル列Cの一端に位置するセル11に臨むベース板19に空気導入孔45を形成したことにより、冷媒通路20の経路レイアウトを最適化して、冷却効率に優れた製氷ケース10を得ることができる。なお、当該作用効果は、特に冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度に乏しい、小サイズのセル11を備える製氷ケース10において、特に有用である。
【0015】
加えて、本発明においては、セル11のベース板19に設けられた空気導入孔45を、該ベース板19におけるノズル孔12に正対する領域を避けて設けたので、製氷時において、ノズル孔12から噴射された製氷水が空気導入孔45内に直接的に流れ込むことを効果的に防ぐことができる。つまり、本発明では、空気導入孔45を、該ベース板19におけるノズル孔12に正対する領域を避けて設けたことにより、ノズル孔12から噴射された製氷水が、空気導入孔45に進入して製氷ケース10の外部へ向かって噴き出す、或いは製氷ケース10から漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。
また、本発明においては、空気供給孔46を有する縦枠37又は横枠38のベース壁19との境界部分に係る上端部に、ベース板19の壁面を横向きに伝い流れた製氷水を受止めるための止水領域を形成し、該止水領域の下方に空気供給孔46を設けている。これによれば、製氷初期において、ノズル孔12上方のベース板19の壁面に衝突して、四方に広がるようにベース板19の壁面を横向きに伝い流れる製氷水を止水領域で受け止めて、空気供給孔46に直接的に流れ込むことを防ぐことができるので、ノズル孔12から噴射された製氷水が、空気供給孔46から噴き出す、或いは漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。
以上より、本発明によれば、空気導入孔45と空気供給孔46の二種の空気孔を製氷ケース10に設けながら、これら空気導入孔45と空気供給孔46からの製氷水の漏出問題を確実に解消し得る、信頼性に優れたセル型製氷機を得ることができる。
【0016】
ノズル孔12は、セル11に臨むベース板19の壁面の略中央と正対するように配置し、空気導入孔45を外枠35側の内隅に設けることができる。これによれば、空気導入孔45の一群を、製氷ケース10の縁寄りにより集約して位置させることができるので、冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度のさらなる向上を図ることができる。また、上記構成を採ることにより、ノズル孔12から噴射された製氷水のベース板19における衝突箇所と、空気導入孔45との間隔寸法を大きくすることができるので、製氷水が空気導入孔45に入り込むのをより確実に防ぐことができる。
【0017】
蛇行状の冷媒通路20の供給管28に接続された直線通路26aが、空気導入孔45が形成されたセル11に臨むベース板19の壁面に重なるように配置されていると、離氷時において、冷媒通路20に供給したホットガスで製氷ケース10を加熱したときには、空気導入孔45が形成されたセル列Cの一端側の付着面から融解が開始され、時間の経過に伴ってセル列Cの他方側に向かって融解を進行させることができる。より具体的には、冷媒通路20へホットガスを供給したときに、まず空気導入孔45が形成されたセル11の氷の付着面が融解されるとともに、空気導入孔45からセル11内に空気を流入させることができ、さらに、融解の進行に伴って空気供給孔46から隣り合うセル11へと空気を順次流入させることができる。以上より、離氷時には、各セル11に対して速やかに空気を流入させることができるので、セル11からの離氷動作を促進することができる。さらに、より短い時間で離氷させることができるので、離氷時の氷が過剰に融解されることを防ぐことができる。従って、氷の形状が崩れ難く、製氷不良の発生も防止できる利点もある。
【0018】
空気供給孔46は丸孔状に形成し、ベース板19の下面から空気供給孔46の孔上縁までの上下距離hは、セル11の高さ寸法Hの1/4以上で、2/3以下に設定することが好ましい。前記上下距離hがセル11の高さ寸法Hの1/4未満であると、空気供給孔46の孔上縁はベース板19の壁面を伝い流れる製氷水が縦枠37または横枠38に衝突する領域(止水領域)より下方に位置するが、ベース板19の下面と空気供給孔46の孔上縁との距離があまり大きくなく、製氷水が空気供給孔46に入り込むおそれがある。また、前記上下距離hがセル11の高さ寸法Hの2/3を超えると、離氷時にセル11の壁と接触している氷の付着面を大きく融解しなければ空気供給孔46から隣り合うセル11へと空気が流入しないため、その分氷の形状がいびつになったり、製氷すべきサイズよりも小さな氷となる製氷不良が生じやすい。これに対して、ベース板19の下面から空気供給孔46の孔上縁までの上下距離hを、セル11の高さ寸法Hの1/4以上で、2/3以下に設定すると、製氷水が空気供給孔46に入り込むのを効果的に抑えながら、氷の付着面を大きく融解させることなく適正に製氷を行うことができる。また、離氷を促進させることができる。
【0019】
セル列Cの中途部にあるセル11には、当該セル11に空気を導入する補助導入孔47を形成することができる。これによれば、空気導入孔45のみならず、補助導入孔47からもセル11内に空気を流入させることができる。つまり、離氷時に、空気導入孔45と補助導入孔47の双方からセル11内に空気を流入させることができる。以上より、本発明によれば、これら空気導入孔45と補助導入孔47の二つの導入孔から製氷ケース10内に空気を流入させることができるので、セル11内が負圧状態となることをさらに速やかに解消して、よりスムーズな離氷を実現できる。特に、補助導入孔47の開口縁で規定される領域が、ベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域に重ならない位置に、該補助導入孔47を設けることが望ましく、これによれば、製氷時において、ノズル孔12から噴射された製氷水が、補助導入孔47に入り込むことを効果的に抑えることができる。つまり、空気導入孔45と同様に、ノズル孔12から噴射された製氷水が、直接補助導入孔47から製氷ケース10の外に向かって噴き出したり、漏れ出すことを確実に防ぐことができる。
【0020】
ベース板19と、ベース板19の上面に固定されて、通路を画成する膨出部25を備えた通路板24で冷媒通路20を構成すると、例えば蛇行状に曲げ加工した銅パイプをベース板19の上面に固定して冷媒通路20を配置する場合に比べて、両板19・24を一体に固定するだけで、ベース板19の上面に冷媒通路20を配置できる。また、冷媒を直接ベース板19に接触させて、冷媒とベース板19の接触面積を著しく大きくできるので、効率よく製氷ケース10を冷却することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例)
図1から
図8に、本発明に係るセル型の製氷機の実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図面に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0023】
図2に示すようにセル型製氷機は、断熱箱として構成される上側の製氷室1と、製氷室1の下側に区画される機械室2を備えており、製氷室1内の上部に製氷ユニット3が配置される。機械室2の内部には、圧縮機4、凝縮器5、および送風ファン6などの冷却ユニットが配置される。図示していないが、製氷室1の前面には、製氷室1内の底部に貯留された氷を取出すための取出口が開口されており、この取出口は前後開閉可能な揺動ドアで開閉できる。
【0024】
図2および
図6に示すように、製氷ユニット3は、製氷室1の天井内面に固定したユニットベース9で支持されており、同ベース9の下面に固定した製氷ケース10と、製氷ケース10に設けた一群のセル11に製氷水を噴出供給する一群のノズル孔12を備えた給水トレー13と、給水トレー13の下面に設けた給水タンク14などで構成されている。製氷ユニット3は、先の部材の他に、給水トレー13および給水タンク14を製氷位置と離氷位置の間で上下傾動するトレー操作機構15と、給水トレー13および給水タンク14に常温の製氷水を供給する給水部16と、製氷されずに給水タンク14内に残った製氷水や給水トレー13の洗浄水を排水するための排水パン17などを備えている。製氷ユニット3は、製氷工程と離氷工程を交互に行ってキューブ状の氷を生成し製氷室1内に貯留する。
【0025】
図1および
図4に示すように製氷ケース10は、四角板状のベース板19と、ベース板19の上面に配置されて、蒸発器として機能する冷媒通路20と、ベース板19の下面に配置されて、一群のセル11を区画する区画体21を備えている。製氷時には凝縮器5から送給されて膨張弁(図示していない)で減圧膨張させたのちの冷媒液を、冷媒通路20で気化させて製氷ケース10を氷点以下に冷却する。また、離氷時には、圧縮機4から送給されたホットガスが冷媒通路20に送給されて製氷ケース10を加熱し、セル11内に生成されたキューブ状の氷の製氷ケース10との付着面を融解して、氷が製氷ケース10から分離するのを促進する。
図6に示すように製氷ケース10は、前後各2本のポスト22を介してユニットベース9に固定されている。
【0026】
図1および
図3に示すように冷媒通路20は、ベース板19と、同板19の上面に固定される通路板24とで構成される。通路板24は銅板を素材として形成されており、板面に形成した一筆書き状の膨出部25とベース板19で冷媒通路20を形成している。通路板24の平面部とベース板19とをロウ付けして接合することにより両者19・24を一体化し、ベース板19と膨出部25とで囲まれる空間が冷媒通路20として機能する。冷媒通路20は、前後方向にわたって延びる8個(複数)の直線通路26と、隣り合う一対の直線通路26の端部を連結する半円弧状の折り返し通路27とで蛇行状に配置される。冷媒通路20の上流側(一方端)の直線通路26aは、冷媒通路20に冷媒を供給する供給管28に接続されており、下流側(他方端)の直線通路26bは、冷媒通路20から冷媒を回収する回収管29に接続されている。本実施例においては、後述するトレー操作機構15の駆動アーム67と回収管29とが干渉するのを回避するために、冷媒通路20の下流端にS字管路30を一体に形成し、S字管路30を介して下流側の直線通路26bを回収管29に接続している(
図4参照)。
【0027】
上記のように、ベース板19と、一筆書き状の蛇行する通路を画成する膨出部25を備えた通路板24で冷媒通路20を構成すると、両板19・24をロウ付けして一体に接合するだけで、ベース板19の上面に冷媒通路20を簡便に配置できる。また、冷媒をベース板19に直接接触させて、冷媒とベース板19の接触面積を著しく大きくできるので、効率よく製氷ケース10を冷却することができる。
【0028】
ベース板19と、同板19の上面にロウ付けにより接合した通路板24で冷媒通路20を構成した場合には、ベース板19と通路板24のロウ付け部分の距離は、3.8mm以上であることが好ましい。これは、ロウ付け部分の距離が3.8mm未満であると、両板19・24を接合するロウ付け強度が不足するため、冷媒通路20に供給した冷媒の圧力で当該部分のロウ材にクラックや剥離が生じ、その部分から冷媒が漏れ出してしまうからである。
【0029】
図3に示すように区画体21は、外枠35と区画枠36で構成する。外枠35は一対の前後枠33と一対の左右枠34とで四角枠状に形成されている。また、区画枠36は前後方向に沿う13個の縦枠37と左右方向に沿う25個の横枠38で構成されて、直線列状のセル列Cの一群を形成し、かつ一群のセル11を格子状に区画している。外枠35および区画枠36を構成する各枠33・34・37・38はそれぞれアルミニウム製の帯板からなり、前後枠33および左右枠34は厚みが3mmの帯板を素材とし、また、縦枠37および横枠38は厚みが2mmの帯板を素材とする。各枠33・34・37・38にはそれぞれスリット39・40・41・42が形成されており、外枠35と区画枠36は、これらスリット39・40・41・42を利用して、組子状に組み込んだのちロウ付けして接合することにより一体化される。区画体21は、ベース板19の下面にロウ付けして接合されベース板19と一体化される。因みに、ベース板19は、上面に接合される通路板24、および下面に接合される区画体21とのロウ付け強度を向上するために、銅板材とアルミニウム板材を上下に接合したクラッド材からなる。
【0030】
一群のセル11は、一方向(左右方向)に並ぶ14個(複数)のセル11で構成されるセル列Cが前後方向に26列(複数列)設けられて格子状に配列される。これにより、製氷ケース10は下向きに開口する364個のセル11を備える。本実施例のセルサイズは、前後寸法が14mmであり、左右寸法が19mmであり、上下寸法が20mmである。なお、後述するセル11に向かって製氷水を噴出する給水トレー13のノズル孔12は、セル11に臨むベース板19の壁面の略中央と正対するように配置されている。
【0031】
図1、
図4および
図5に示すようにベース板19には、製氷ケース10の外部からセル11内に空気を流入させて、離氷時にセル11内が負圧状態になるのを解消するための空気導入孔45が開口されている。空気導入孔45は、同孔45が開口されたセル11における給水トレー13と正対するベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域と、空気導入孔45の開口縁で規定される領域が重ならないように開口されている(
図5参照)。また、空気導入孔45は、先述した供給管28に接続される直線通路26aが配置された側(製氷ケース10の左側)に位置するセル列C端のセル11に臨むベース板19に開口されており、さらに、当該セル11を画成する外枠35側の内隅寄りに開口されている。なお、通路板24の空気導入孔45に臨む位置には、空気導入孔45を製氷ケース10の外面に露出させるための、露出開口45aを開口している。
【0032】
上記のように、各セル列Cの一端に位置するセル11に臨むベース板19に、当該セル11内に空気を導入する空気導入孔45を形成すると、ベース板19の一辺の縁部近傍に空気導入孔45を位置させることができる。これによれば、セル毎に空気導入孔を形成する形態に比べて、冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度の格段の向上を図ることができるので、より効率的に製氷ケース10を冷却し得る、冷却効率に優れた冷媒通路20の経路レイアウトを実現できる。先述したロウ付け距離を3.8mm以上に設定した場合でも、冷却効率に優れた冷媒通路20の経路レイアウトを設定できる。冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度を向上したことにより、十分な冷却能力を発揮できる冷媒通路20の経路レイアウトを設定できなかった小サイズのセル11を備える製氷ケース10の場合であっても、十分な冷却能力を発揮できる最適な冷媒通路20の経路レイアウトを設定でき、冷却効率に優れた製氷ケース10とすることができる。
【0033】
また、ベース板19におけるノズル孔12に正対する領域を避けて空気導入孔45を設けると、より詳しくは、空気導入孔45の開口縁で規定される領域が、ベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域に重ならない位置に、該空気導入孔45を設けると、ノズル孔12から噴射された製氷水が、直接空気導入孔45から製氷ケース10の外に向かって噴き出すことがない。また、製氷初期において、ノズル孔12上方のベース板19の壁面に衝突して、四方に広がるようにベース板19の壁面を横向きに伝い流れる製氷水は、空気導入孔45の開口面を横切るように流れるので、ベース板19の壁面を伝い流れる製氷水が空気導入孔45に入り込むのを抑えることができる。
【0034】
また、セル11に臨むベース板19の壁面の略中央と正対するように配置されたノズル孔12に対して、空気導入孔45を外枠35側の内隅に設けると、空気導入孔45の一群を、製氷ケース10の縁寄りにより集約して位置させることができる。これにより、冷媒通路20の経路レイアウトの設計自由度のさらなる向上を図ることができる。また、ノズル孔12から噴射された製氷水のベース板19における衝突箇所と、空気導入孔45のとの間隔寸法を大きくすることができる。これにより、衝突直後に比べて水勢が弱まった製氷水が空気導入孔45の開口面を横切るように流れるので、製氷水が空気導入孔45に入り込むのをより抑えることができる。
【0035】
先の冷媒通路20の供給管28に接続された直線通路26aは、空気導入孔45が形成されるセル11に臨むベース板19の壁面に重なるように配置されている。このように、直線通路26aを空気導入孔45が形成されたセル11に臨むベース板19の壁面に重なるように配置すると、離氷時において、冷媒通路20へホットガスを供給したときに、まず空気導入孔45が形成されたセル11の氷の付着面が融解されるとともに、空気導入孔45からセル11内に空気を流入させることができ、さらに、融解の進行に伴って空気供給孔46から隣り合うセル11へと空気を順次流入させることができる。これより、離氷時には、各セル11に対して速やかに空気を流入させることができるので、セル11からの離氷動作を促進することができる。さらに、より短い時間で離氷させることができるので、離氷時の氷が過剰に融解されることを防ぐことができる。従って、氷の形状が崩れ難く、製氷不良の発生も防止できる利点もある。
【0036】
図1に示すように、各セル列Cの隣り合うセル11間の縦枠37(区画枠36)に、セル11内の空気を隣のセル11へと流入させる空気供給孔46が形成されている。各空気供給孔46は丸孔状に形成されており、製氷初期においてセル11に臨むベース板19の壁面を横向きに伝い流れた製氷水が縦枠37に衝突する領域(止水領域)よりも下方に設けられている。このように、製氷水が縦枠37に衝突する止水領域よりも下方に空気供給孔46を設けると、ベース板19の壁面を横向きに伝い流れた製氷水が、直接空気供給孔46から隣り合うセル11に向かって噴き出すことがない。製氷初期において、製氷水は縦枠37または横枠38に衝突して下向きに流下するが、流下する製氷水は空気供給孔46の開口面を横切るように流れるので、縦枠37または横枠38に衝突後流下した製氷水が空気供給孔46に入り込むのを抑えることができる。
【0037】
ベース板19の下面から空気供給孔46の孔上縁までの上下距離hは、セル11の高さ寸法Hの1/4以上で、2/3以下に設定することが好ましい(
図1参照)。上下距離hがセル11の高さ寸法Hの1/4未満であると、空気供給孔46の孔上縁はベース板19の壁面を伝い流れる製氷水が縦枠37に衝突する領域より下方に位置するが、ベース板19の下面と空気供給孔46の孔上縁との距離があまり大きくなく、製氷水が空気供給孔46に入り込むおそれがある。また、上下距離hがセル11の高さ寸法Hの2/3を超えると、離氷時にセル11の壁と接触している氷の付着面を大きく融解しなければ空気供給孔46から隣り合うセル11へと空気が流入しないため、その分氷の形状がいびつになったり、製氷すべきサイズよりも小さな氷となる製氷不良が生じやすい。これに対して、上下距離hをセル11の高さ寸法Hの1/4以上で、2/3以下に設定すると、製氷水が空気供給孔46に入り込むのを効果的に抑えながら、氷の付着面を大きく融解させることなく適正に製氷を行い、また、離氷を促進させることができる。本実施例においては、セル11の高さ寸法H20mmに対して、前記上下距離hを8mm(2/5)とした。
【0038】
図1および
図4に示すように、最前列および最後列を除くセル列Cの中途部のセル11において、当該セル11に空気を導入する補助導入孔47が形成されている。補助導入孔47は、給水トレー13と正対するベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域と、導入孔45の開口縁で規定される領域が重ならないように設けられている。本実施例では、セル列Cの左端から9番目のセル11に補助導入孔47を開口している(
図1参照)。空気導入孔45と同様に、通路板24の補助導入孔47に臨む位置には、補助導入孔47を製氷ケース10の外面に露出させるための、露出開口47aを開口している。
図4において、符号48はポスト22を固定するための固定孔である。
【0039】
セル列Cの中途部にあるセル11に補助導入孔47を形成すると、補助導入孔47からもセル11内に空気を流入させることができる。これによれば、離氷時に、空気導入孔45と補助導入孔47の双方からセル11内に空気を流入させて、セル11内の負圧状態をさらに速やかに解消できるので、より離氷を促進させることができる。加えて、補助導入孔47の開口縁で規定される領域が、ベース板19の壁面に投影したノズル孔12の開口縁で規定される領域に重ならない位置に、該補助導入孔47を設けたので、製氷時において、ノズル孔12から噴射された製氷水が、補助導入孔47に入り込むことを効果的に抑えることができる。つまり、ノズル孔12から噴射された製氷水が、直接補助導入孔47から製氷ケース10の外に向かって噴き出すことはなく、また、ベース板19の下面を伝い流れる製氷水が補助導入孔47に入り込むのを抑えることができる。
【0040】
本実施例では、補助導入孔47は各セル列Cの左端から9番目のセル11に設けたが、各セル列Cにおいて位置の異なるセル11に補助導入孔47を設けてもよい。例えば、前後中央から前側および後側のセル列Cに行くに従って、空気導入孔45が形成されたセル11に近づく、あるいは遠ざかるセル11に補助導入孔47を形成することができる。この場合には、補助導入孔47は、製氷ケース10の平面視において、逆く字状、あるいはく字状に並ぶように形成される。また、補助導入孔47は、冷媒通路20を避けるように、各セル列Cにおいて2個以上のセル11に設けることができる。
【0041】
図6に示すように給水トレー13は、下向きに開口する四角皿状のトレー本体50と、給水トレー13の下面に固定される水路枠51で構成されるプラスチック成型品からなる。水路枠51は、一群のセル11に対応して枝分かれする分岐水路52を備えており、各分岐水路52と正対するトレー本体50の上壁に、製氷水をセル11に向かって噴出供給する一群のノズル孔12が開口されている。先述したようにノズル孔12は、セル11の開口面の略中央に臨むように配置されており、ノズル孔12の周囲には、セル11内の製氷水を給水タンク14へと流下させる戻り孔54が設けられている(
図1参照)。水路枠51の基端部分には、給水タンク14に設けた加圧ポンプ55の吐出路56が接続されている。製氷時に加圧ポンプ55を駆動すると、給水タンク14内の製氷水が加圧ポンプ55で加圧されて各分岐水路52へと送給され、ノズル孔12からセル11内へ向かって噴出される。セル11内で氷結しなかった製氷水は、戻り孔54を介して給水タンク14へ還流される。
【0042】
給水タンク14は、上向きに開口する四角皿状のプラスチック成型品からなり、その底壁59は加圧ポンプ55の吸込口60へ向かって下り傾斜するように形成されている。給水タンク14は、離氷時に給水トレー13とともに下り傾斜するが、傾斜下端側の後壁側には、製氷工程で消費されなかった製氷水や、トレー洗浄水を排水パン17に排出する排水樋61が設けられている。
【0043】
給水トレー13および給水タンク14はトレーブラケット64に固定されており、同ブラケット64の上端に設けた傾動軸65で上下傾動可能に軸支されている。給水トレー13および給水タンク14はトレー操作機構15で傾動軸65の周りに上下操作されて、給水トレー13が製氷ケース10の下面に正対する製氷位置(
図6参照)と、給水トレー13が製氷ケース10から離れて下り傾斜する離氷位置(
図7参照)の間を上下傾動する。
図7に示すようにトレー操作機構15は、傾動モーター66と、同モーター66で往復傾動操作される前後一対の駆動アーム67と、駆動アーム67と給水トレー13の間に掛止した引張りコイル形の連動ばね68などで構成されている。制御部からの指令信号を受けて傾動モーター66が正逆転駆動されることにより、給水トレー13および給水タンク14は製氷位置と、離氷位置の間を上下傾動できる。
【0044】
図6に示すように給水部16は、給水トレー13の傾動基端の上方に配置した給水パイプ71と、給水パイプ71と図示していない水道管を接続する原水通路72と、原水通路72に設けた電磁弁73などで構成されている。給水パイプ71の下面には、給水トレー13に向かって製氷水(水道水)を供給する一群の給水孔74が開口されている。給水パイプ71から常温の水道水を送給することにより、製氷工程において給水タンク14の内部に所定量の製氷水を貯留することができ、あるいは、離氷工程において給水トレー13の上面にトレー洗浄水を供給することができる。
【0045】
以上のように構成したセル型の製氷機は、製氷工程と離氷工程を交互に行ってキューブ状の氷を生成し製氷室1内に貯留する。
(製氷工程)製氷工程が開始されると、離氷位置にある給水トレー13および給水タンク14をトレー操作機構15で製氷位置へと上昇傾動する。製氷位置においては、給水トレー13の上面は、
図6に示すように製氷ケース10の下面と正対して、ノズル孔12と戻り穴54が各セル11と正対している。製氷位置に達するのと同時に電磁弁73が開弁されて、給水トレー13および給水タンク14に製氷水が供給される。電磁弁73は、タイマーによる計時が開弁から所定時間が経過した時点で閉弁されて製氷水の供給を停止する。電磁弁73が閉弁されたのちに加圧ポンプ55が起動されて、給水タンク14内の製氷水が各分岐水路52を介してノズル孔12からセル11内へ向かって噴出される。冷媒通路20には、電磁弁73が閉弁される少し前か、閉弁されるのと同時に冷媒液が供給されて、製氷ケース10を冷却する。
【0046】
ノズル孔12からセル11内へ向かって噴射された製氷水は、ベース板19に衝突して四方に広がるようにベース板19を横向きに伝い流れたのち、セル11の側壁である縦枠37および横枠38の上部、すなわちベース板19の下面近傍の縦枠37および横枠38に衝突する。縦枠37および横枠38に衝突した製氷水は、縦横の枠37・38の表面を流下する。このとき、製氷水が製氷ケース10で冷却されてセル11の内面で徐々に氷結する。氷結しなかった製氷水は、戻り孔54から給水タンク14へと流下し、再度ノズル孔12からセル11内へと噴射される。以後、徐々に氷結し各セル11の内部にキューブ状の氷が成長するまでの間(約20〜30分)、ノズル孔12からセル11内へ向かって製氷水を噴出する。製氷工程が終了するのと同時に、加圧ポンプ55を停止して製氷水の供給が停止される。製氷が完了した状態においては、氷はセル11の外にまで成長し各氷の下面が結着して、
図8に想像線で示すように板チョコレート状の塊として一体化している。
【0047】
(離氷工程)離氷工程が開始されると、トレー操作機構15で給水トレー13および給水タンク14を製氷位置から離氷位置に切換えて、氷塊をセル11から給水トレー13上に落下させ、さらに、下り傾斜している給水トレー13に沿って製氷室1へと滑落させる。このとき、分離を促進させるために、圧縮機4から冷媒通路20にホットガスを送給して製氷ケース10を加熱することにより、セル11に接している氷の付着面を融解する。製氷ケース10の加熱により氷の付着面が融解すると、氷はその自重により落下しようとし、
図8に示すようにベース板19に開口した空気導入孔45から製氷室1の空気がセル11内へと流入する。続いて、氷とセル11の壁(ベース壁19、縦枠37および横枠38)の間の空気が空気供給孔46から隣りのセル11へと流入する。その後は順次空気供給孔46から隣りのセル11へと空気が流入して、セル11内の負圧状態が解消され、氷はスムーズに落下し離氷が完了する。なお、板チョコレート状に結着した氷は、給水トレー13の上面、あるいは製氷室1の底部に落下した時の衝撃で、個々の氷に分断される。
【0048】
図示しない離氷センサが氷の落下を検知すると、冷媒通路20に対するホットガスの送給が停止されるとともに、電磁弁73が所定時間開弁されて、給水トレー13上に残留した氷片を洗い流す。氷片の洗浄水は、トレー端から給水タンク14内へ流下して、排水樋61から排水パン17へ排出される。以後、製氷工程と離氷工程を繰り返し行う。氷の使用量よりも製氷量が上回り、製氷室1に貯留される氷の量が所定量に達したことを図示しない満氷センサが検知すると、製氷工程が停止され待機モードへと移行する。
【0049】
図9は、ノズル孔12をセル11の開口面の略中央から偏寄した位置に開口した変形例を示す。空気導入孔45は、セル11の上部内隅から離れた位置に開口されている。このように、空気導入孔45およびノズル孔12の開口位置は、平面視においてそれぞれの開口縁で規定される領域どうしが重ならなければ、自在に設定することができる。
【0050】
以上のように、本実施例に係るセル型製氷機によれば、冷媒通路20の経路レイアウトを最適化して、冷却効率に優れた製氷ケース10を得ることができる。また、製氷時においては、ノズル孔12から噴射された製氷水が空気導入孔45から噴き出す、或いは漏れ出すこと、およびベース板19の壁面を伝い流れる製氷水が空気供給孔46から噴き出す、或いは漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。さらに、離氷時においては、空気導入孔45と空気供給孔46を介してセル11内に空気を流入させて、セル11内が負圧状態になるのを的確に解消して、離氷を促進できる。このように、本実施例に係るセル型製氷機によれば、空気導入孔45と空気供給孔46の二種の空気孔を製氷ケースに設けながら、これら空気導入孔45と空気供給孔46からの製氷水の漏出問題を確実に解消し得る、信頼性に優れたセル型製氷機を得ることができる。
【0051】
上記の実施例では、キューブ状の氷を生成したが、円柱状、多角柱状、あるいは平面視が文字やキャラクターの輪郭形状を呈した柱状体であってもよい。これら場合には、セル11の平面形状が所望の形状になるよう区画体21を構成する。冷媒通路20は、ベース板19と通路板24で構成する必要はなく、ベース板19の上面に銅管からなる熱交換パイプを一体に固定することにより冷媒通路20として機能させることができる。空気供給孔46は直線状の丸孔以外に、空気の流入方向に向かって拡径、あるいは縮径するテーパー状の丸穴でもよい。また、断面形状が多角形状であってもよい。製氷ケース10を構成する素材は、銅、アルミニウムに限らず、合金を含む熱伝導性に優れた素材から選択すればよい。