(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に先端側から装着されて、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き当てられる筒形ボディ(11)を用意することと、
前記筒形ボディ(11)内に弁体(20)を収容することと、
前記弁体(20)により開閉される弁孔(61)を有する弁孔構成体(60)を、前記筒形ボディ(11)の先端部に挿入して固定することと、を含むバルブ(10)の製造方法において、
前記弁孔構成体(60)から先端側へ直線状に突出する筒形壁(52)を設けておくと共に、前記筒形壁(52)において、軸方向の中間位置より先端側の部分の肉厚を前記中間位置より基端側の部分の肉厚よりも薄くしておき、
前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)に固定するにあたり、前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)の先端面と面一か又は前記筒形ボディ(11)の先端面より基端側に配置し、
前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)に固定した後、前記筒形壁(52)にシールワッシャ(17)を挿通することと、
前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より先端側の部分を外側へかしめて、前記シールワッシャ(17)を抜け止めすることと、をさらに含むバルブ(10)の製造方法。
流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に先端側から装着されて、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き当てられるバルブ本体(10H)を用意することと、
前記バルブ本体(10H)に挿入方向の先端側へ直線状に突出する筒形壁(52)を設けておくと共に、前記筒形壁(52)において軸方向の中間位置より先端側の部分の肉厚を前記中間位置より基端側の部分の肉厚よりも薄くしておくことと、
前記筒形壁(52)にシールワッシャ(17)を挿通することと、
前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より先端側の部分を外側へかしめて、前記シールワッシャ(17)を抜け止めすることと、を含むバルブ(10)の製造方法。
前記筒形壁(52)を設けるにあたり、前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より基端側の部分の長さを、前記シールワッシャ(17)の厚みより大きくする請求項5又は6に記載のバルブ(10)の製造方法。
前記筒形壁(52)を設けるにあたり、前記中間位置の内周面に先端側へ向かうに従って拡径するテーパ部(52T)を形成する請求項5乃至7のうち何れか1の請求項に記載のバルブ(10)の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シールワッシャを用いてシールを行う従来のバルブでは、バルブを装着する際に、バルブ装着孔にシールワッシャを組み付けることが忘れられるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、流体機器にバルブを装着する際のシールワッシャの組み付け忘れを防止することが可能なバルブ及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に装着されるバルブ(10)であって、前記バルブ装着孔(92)に先端側から装着されて、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き合わされる筒形ボディ(11)と、前記筒形ボディ(11)の先端部に挿入された状態で固定され、前記筒形ボディ(11)と同軸の弁孔(61)を有する弁孔構成体(60)と、前記筒形ボディ(11)内に収容されて前記弁孔(61)を開閉する弁体(20)と、前記弁孔構成体(60)から前記筒形ボディ(11)の先端側に突出した筒形壁(52)と、前記筒形壁(52)に挿通されて、前記筒形ボディ(11)の先端面と前記環状段差部(92D)との間をシールするシールワッシャ(17)と、を有し、前記弁孔構成体(60)は、前記筒形ボディ(11)の先端面と面一か又は前記筒形ボディ(11)の先端面より基端側に奥まるように配置され、前記筒形壁(52)は、軸方向の中間位置よりも先端側が拡径されるように折れ曲がって前記シールワッシャ(17)を抜け止めし
、前記筒形壁(52)の拡径部(52B)の肉厚が、前記中間位置よりも基端側に位置する部分(52A)の肉厚よりも薄くなっているバルブ(10)である。
【0007】
請求項2の発明は、流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に装着されるバルブ(10)であって、前記バルブ装着孔(92)に先端側から装着された状態で、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き合わされるバルブ本体(10H)と、前記バルブ本体(10H)の先端部に設けられて、装着方向の先端側に突出した筒形壁(52)と、前記筒形壁(52)に挿通されて、前記バルブ本体(10H)の先端面と前記環状段差部(92D)との間をシールするシールワッシャ(17)と、を有し、前記筒形壁(52)は、軸方向の中間位置よりも先端側が拡径されるように折れ曲がって前記シールワッシャ(17)を抜け止めしているバルブ(10)である。
【0008】
請求項3の発明は、
前記筒形壁(52)の拡径部(52B)の肉厚が、前記中間位置よりも基端側に位置する部分(52A)の肉厚よりも薄くなっている請求項2に記載のバルブ(10)である。
【0009】
請求項4の発明は、
前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より基端側に位置する部分(52A)の長さが前記シールワッシャ(17)の厚みよりも大きくなっている請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載のバルブ(10)である。
【0010】
請求項5の発明は、流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に先端側から装着されて、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き当てられる筒形ボディ(11)を用意することと、前記筒形ボディ(11)内に弁体(20)を収容することと、前記弁体(20)により開閉される弁孔(61)を有する弁孔構成体(60)を、前記筒形ボディ(11)の先端部に挿入して固定することと、を含むバルブ(10)の製造方法において、前記弁孔構成体(60)から先端側へ直線状に突出する筒形壁(52)を設けておくと共に、前記筒形壁(52)において、軸方向の中間位置より先端側の部分の肉厚を前記中間位置より基端側の部分の肉厚よりも薄くしておき、前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)に固定するにあたり、前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)の先端面と面一か又は前記筒形ボディ(11)の先端面より基端側に配置し、前記弁孔構成体(60)を前記筒形ボディ(11)に固定した後、前記筒形壁(52)にシールワッシャ(17)を挿通することと、前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より先端側の部分を外側へかしめて、前記シールワッシャ(17)を抜け止めすることと、をさらに含むバルブ(10)の製造方法である。
【0011】
請求項6の発明は、流体機器(90)のバルブ装着孔(92)に先端側から装着されて、前記バルブ装着孔(92)の内周面に形成された環状段差部(92D)に突き当てられるバルブ本体(10H)を用意することと、前記バルブ本体(10H)に挿入方向の先端側へ直線状に突出する筒形壁(52)を設けておくと共に、前記筒形壁(52)において軸方向の中間位置より先端側の部分の肉厚を前記中間位置より基端側の部分の肉厚よりも薄くしておくことと、前記筒形壁(52)にシールワッシャ(17)を挿通することと、前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より先端側の部分を外側へかしめて、前記シールワッシャ(17)を抜け止めすることと、を含むバルブ(10)の製造方法である。
【0012】
請求項7の発明は、前記筒形壁(52)を設けるにあたり、前記筒形壁(52)のうち前記中間位置より基端側の部分の長さを、前記シールワッシャ(17)の厚みより大きくする請求項5又は6に記載のバルブ(10)の製造方法である。
【0013】
請求項8の発明は、前記筒形壁(52)を設けるにあたり、前記中間位置の内周面に先端側へ向かうに従って拡径するテーパ部(52T)を形成する請求項5乃至7のうち何れか1の請求項に記載のバルブ(10)の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1,2の発明]
本発明のバルブ(10)では、シールワッシャ(17)がバルブ(10)に一体的に備えられているので、バルブ(10)を装着する際のシールワッシャ(17)の組み付け忘れを防止することが可能となる。また、請求項1の発明では、弁孔構成体(60)は、筒形ボディ(11)の先端面と面一か又は筒形ボディ(11)の先端面より基端側に配置されているので、シールワッシャ(17)と筒形ボディ(11)との間に隙間が生じることが抑えられ、シール性を高めることが可能となる。
【0015】
[請求項
1,3の発明]
本発明の構成によれば、直線状に延びる筒形壁(52)の先端寄り部分をかしめて拡径部(52B)を形成する場合に、筒形壁(52)のうち中間位置より先端側の拡径部(52B)となる部分が、中間位置より基端側の部分(52A)よりも薄肉になっているので、拡径部(52B)となる部分を優先的にかしめることが可能となり、かしめ時にシールワッシャ(17)を変形させることが抑制される。
【0016】
[請求項4の発明]
本発明では、シールワッシャ(17)が筒形壁(52)の軸方向であそびを有した状態に固定されるので、筒形壁(52)の先端部が拡径されてシールワッシャ(17)が抜け止めされるときに、シールワッシャ(17)の変形が防止される。これにより、シール性の向上が図られる。また、請求項1を引用する請求項3の発明では、シールワッシャ(17)の変形後の復元力によって弁孔構成体(60)の固定位置がずれることも抑えることも可能となる。
【0017】
[請求項5,6の発明]
本発明によって製造されたバルブ(10)では、シールワッシャ(17)がバルブ(10)に一体的に備えられるので、バルブ(10)を装着する際のシールワッシャ(17)の組み付け忘れを防止することが可能となる。また、請求項5の発明では、弁孔構成体(60)を筒形ボディ(11)に固定するにあたり、弁孔構成体(60)を、筒形ボディ(11)の先端面と面一か又は筒形ボディ(11)の先端面より基端側に配置するので、シールワッシャ(17)と筒形ボディ(11)との間に隙間が生じることが抑えられ、シール性を高めることが可能となる。
【0018】
[請求項7の発明]
本発明では、シールワッシャ(17)を、筒形壁(52)の軸方向であそびを有した状態に固定することが可能となり、筒形壁(52)をかしめる際のシールワッシャ(17)の変形が防止される。これにより、シール性の向上を図られる。また、請求項5を引用する請求項7の発明では、シールワッシャ(17)の変形後の復元力によって弁孔構成体(60)の固定位置がずれることも抑えることも可能となる。
【0019】
[請求項8の発明]
本発明によれば、筒形壁(52)のうちテーパ部(52T)より先端側に位置する部分を優先的にかしめることが可能となる。これにより、シールワッシャ(17)を変形させることなく、シールワッシャ(17)を抜け止めすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明をリリーフバルブに適用した一実施形態を
図1〜
図9に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のバルブ10は、カーエアコンのコンプレッサ90に形成された圧縮冷媒流路91から分岐したバルブ装着孔92に装着される。詳細には、バルブ装着孔92の内周面には、環状段差部92Dが設けられていて、バルブ装着孔92のうち環状段差部92Dに対して圧縮冷媒流路91から遠い側が大径部92Aを、バルブ装着孔92のうち環状段差部92Dに対して圧縮冷媒流路91に近い側が小径部92Bを、それぞれ構成する。そして、バルブ10は、バルブ装着孔92の大径部92Aに装着される。以下では、バルブ10の装着方向における先端側を単に「先端側」と、装着方向における基端側を単に「基端側」と、呼ぶことにする。なお、本実施形態では、コンプレッサ90が本発明の「流体機器」に相当する。
【0022】
図2に示すように、バルブ10は、筒形ボディ11の内部に弁体20と弁座40を収容した構造になっている。筒形ボディ11は、ヘッド部12Hから先端側に雄螺子部12Nが突出した構造になっている。ここで、
図1に示すように、バルブ装着孔92の大径部92Aの内周面には、雌螺子部93が形成されている。そして、筒形ボディ11の雄螺子部12Nがバルブ装着孔92の雌螺子部93に螺着されることで、バルブ10がバルブ装着孔92に装着されるようになっている。なお、本実施形態では、ヘッド部12Hが平面視六角形状になっていて、筒形ボディ11の螺着は、レンチやスパナ等の工具でヘッド部12Hを回転させることにより行われる。
【0023】
図2に示すように、筒形ボディ11は、軸方向の中間位置で内側に突出する環状の区画壁13を有している。そして、筒形ボディ11の内側の空間のうち、区画壁13の内側部分と区画壁13よりも基端側の部分とが、弁体20を収容する弁体収容孔14になっていて、区画壁13よりも先端側の部分が、弁座40と弁座受け50を固定する弁座固定孔15となっている。
【0024】
図3に示すように、弁座40は、全体が略円柱状をなして弁座固定孔15の基端寄り部分に装着されている。詳細には、弁座40の外周面には環状溝42が設けられていて、その環状溝42に嵌着されたOリング43により、弁座固定孔15の内周面との間がシールされている。
【0025】
弁座40の中心部には、中心孔41が形成されている。中心孔41は、筒形ボディ11の中心軸と同軸に配置されている。即ち、中心孔41は、弁体収容孔14及び弁座固定孔15と同軸に配置されている。また、弁座40の基端面には、すり鉢状の凹部40Aが形成されている。
【0026】
弁座受け50は、弁座固定孔15に先端側から挿入された状態に固定され、区画壁13との間に弁座40を挟んでいる。弁座受け50の先端部からは、フランジ部50Fが外側に張り出していて、弁座受け50は、フランジ部50Fが弁座固定孔15の先端部に形成された段差部15Dと当接することで位置決めされている。そして、弁座受け50の先端面は、筒形ボディ11の先端面よりも基端側に奥まって配置されている。
【0027】
弁座受け50の中心部には、中心孔51が形成されている。ここで、弁座40の中心孔41と弁座受け50の中心孔51とは、同軸上に配置され、流体機器90のバルブ装着孔92(詳細には、バルブ装着孔92の小径部92B)と筒形ボディ11の内側部分(詳細には、弁体収容孔14)とを連絡する。そして、両中心孔41,51によって弁孔61が形成され、弁座40と弁座受け50とによって本発明に係る弁孔構成体60が形成されている。
【0028】
図2に示すように、筒形ボディ11における弁体収容孔14の基端寄り部分は、螺子孔14Nとなっている。螺子孔14Nは、筒形ボディ11の基端部に取り付けられたシール蓋33によって閉塞されている。
【0029】
螺子孔14Nには、可動部材30が螺合されている。可動部材30は、外周部に螺子部30Nが形成された円柱状をなし、弁体収容孔14の軸方向に移動可能となっている。可動部材30の先端側を向いた面には、円形凹部31が形成されている。また、可動部材30の中心部には、中央孔32が貫通形成されている。なお、中央孔32は、円形凹部31の奥面で開口している。
【0030】
弁体収容孔14の先端寄り部分には、弁体20と直動シャフト21とが収容されている。直動シャフト21は、弁体20より基端側に配置され、弁体収容孔14に直動可能に支持されている。詳細には、直動シャフト21は、基端側が段付き状に縮径された構造になっていて、先端側の大径部22が弁体収容孔14に直動可能に支持されている。大径部22の外周部には、直動シャフト21の軸方向に延びる線状溝22Mが形成されている。線状溝22Mは、大径部22の先端から基端寄り位置に亘って形成されている。
【0031】
直動シャフト21の中心部には、中心孔24が形成されている。中心孔24は、直動シャフト21の小径部23の基端から先端側へ向かって延び、小径部23を貫通して大径部22の軸方向の中間位置まで延びている。そして、中心孔24の先端部と線状溝22Mの基端部とが横孔25によって連絡されている。
【0032】
直動シャフト21と可動部材30との間には、圧縮コイルばね35が介装されていて、直動シャフト21は、通常は、圧縮コイルばね35の弾発力によって筒形ボディ11の先端側に付勢されている。なお、圧縮コイルばね35は、可動部材30の円形凹部31に基端部が受容されることで可動部材30に対して筒形ボディ11の径方向に位置決めされている。また、圧縮コイルばね35の内側には、直動シャフト21の小径部23が挿通され、これにより、圧縮コイルばね35は、直動シャフト21に対して筒形ボディ11の径方向に位置決めされている。
【0033】
弁体20は、通常は、直動シャフト21により先端側に押されて弁座40と当接している。このとき、バルブ10は、弁孔61が弁体20により閉塞された閉弁状態となっている。詳細には、閉弁状態において、弁体20は、弁座40の凹部40A(
図3参照)の内面と当接し、弁体20と凹部40Aの内面との当接部分がバルブ10におけるシールポイントになっている。なお、本実施形態では、弁体20が球状をなしていて、直動シャフト21の先端面には、弁体20の形状に対応した弁体受容凹部21Aが形成されている。
【0034】
流体機器90における圧縮冷媒流路91内の流体圧が異常上昇すると、弁体20が流体から受ける力が直動シャフト21から受ける力を上回り、弁体20が基端側に移動する。そして、バルブ10は、弁孔61が開放された開弁状態となる。開弁状態になると、圧縮冷媒流路91の流体が弁孔61を通って弁体収容孔14の先端部に流入する。弁体収容孔14の先端部に流入した流体は、直動シャフト21の線状溝22M、横孔25、中心孔24を通って弁体収容孔14の基端側へと移動し、可動部材30の中央孔32を通過する。中央孔32を通過した流体は、シール蓋33を吹き飛ばし、筒形ボディ11の外側に排出される。このように、バルブ10では、圧縮冷媒流路91内の流体圧の異常上昇時に、圧縮冷媒流路91内の流体を外部に排出することが可能となっている。
【0035】
図2に示すように、本実施形態のバルブ10には、バルブ10と流体機器90との間をシールするためのシールワッシャ17が一体に備えられている。具体的には、シールワッシャ17は、弁座受け50から先端側に突出した筒形壁52に固定されている。なお、筒形壁52の内側部分は、弁座受け50の中心孔51に連絡している。
【0036】
図3に示すように、筒形壁52は、筒形ボディ11の軸方向に直線状に延びたストレート部52Aと、ストレート部52Aの先端部から外側へ円錐台形状に広がった拡径部52Bと、で構成されている。そして、シールワッシャ17は、ストレート部52Aに挿通され、拡径部52Bによって抜け止めされている。ここで、ストレート部52Aの長さは、シールワッシャ17の厚みよりも大きくなっていて、シールワッシャ17は、筒形壁52に対して軸方向に移動可能な状態、即ち、あそびを有した状態に固定されている。また、拡径部52Bの肉厚は、ストレート部52Aの肉厚よりも薄くなっている。
【0037】
図1に示すように、バルブ10がバルブ装着孔92に装着されると、筒形ボディ11の先端面がバルブ装着孔92の環状段差部92Dに突き合わされ、筒形壁52の先端がバルブ装着孔92の小径部92Bに突入する。そして、シールワッシャ17が筒形ボディ11の先端面とバルブ装着孔92の環状段差部92Dとの間に挟み付けられることで、バルブ10と流体機器90との間がシールされる。
【0038】
本実施形態に係るバルブ10の構造に関する説明は以上である。なお、本実施形態では、バルブ10からシールワッシャ17とシール蓋33を除いた部分、即ち、弁体20、直動シャフト21、可動部材30、圧縮コイルばね35、弁座40及び弁座受け50が組み付けられた筒形ボディ11によって本発明に係るバルブ本体10Hが構成されている。
【0039】
次に、バルブ10の製造方法について説明する。バルブ10を製造するには、まず、筒形ボディ11、弁体20、直動シャフト21、可動部材30、圧縮コイルばね35、弁座40、弁座受け50及びシールワッシャ17が用意される。このとき、
図4及び
図5に示されるように、弁座受け50の筒形壁52は、弁座受け50の先端面から直線状に突出するように形成されている。詳細には、筒形壁52の内周面における軸方向の中間位置には、先端側へ向かうにつれて拡径するテーパ部52Tが設けられていて、筒形壁52のうちテーパ部52Tより先端側に位置する部分の肉厚は、テーパ部52Tより基端側に位置する部分の肉厚よりも薄肉になっている。なお、本実施形態では、筒形壁52の軸方向においてテーパ部52が設けられている位置が本発明の「中間位置」に相当する。
【0040】
次いで、
図4に示すように、筒形ボディ11内に、弁体20、直動シャフト21及び圧縮コイルばね35が弁体収容孔14に収容され、螺子孔14Nに可動部材30が螺合される。また、弁座40及び弁座受け50が、弁座固定孔15に先端側から挿入された状態に固定される。このとき、弁座受け50は、フランジ部50Fが弁座固定孔15の段差部15D(
図3参照)と当接するまで挿入され、弁座受け50の先端面は、筒形ボディ11の先端面よりも基端側に奥まって配置される。
【0041】
次いで、
図5に示すように、先端部が上側を向くように筒形ボディ11が配置され、筒形壁52にシールワッシャ17が挿通される。ここで、筒形壁52のうちテーパ部52Tより基端側に位置する部分の長さは、シールワッシャ17の厚みより長くなっていて、テーパ部52Tは、シールワッシャ17より先端側に配置される。従って、シールワッシャ17は、筒形壁52の肉厚部分を外側から囲むように配置される。また、上述したように、弁座受け50は筒形ボディ11の先端面よりも基端側に配置されるので、シールワッシャ17は、筒形ボディ11の先端面にのみ当接し、シールワッシャ17と弁座受け50との間には、隙間が形成される。
【0042】
次いで、
図6に示すように、かしめ治具80によって筒形壁52の先端部が外側にかしめられる。かしめ治具80は、円錐状に尖った尖り部80Tを先端に有した構造になっている。ここで、尖り部80Tのテーパ角は、筒形壁52のテーパ部52Tのテーパ角と略同じになっている。そして、かしめ治具80が筒形壁52に先端側から接近して、尖り部80Tが筒形壁52の内側に突入すると、筒形壁52のうちテーパ部52Tより先端側に位置する部分、即ち、筒形壁52の薄肉部分が外側に拡径するように折り曲げられ、筒形壁52に、
図2に示したストレート部52Aと拡径部52Bが形成される。以上により、シールワッシャ17が軸方向に移動可能な状態で筒形壁52に固定される。そして、筒形ボディ11の基端部にシール蓋33が取り付けられて、
図2に示したバルブ10が完成する。なお、拡径部52Bの内周面の形状は、かしめ治具80の尖り部80Tの形状に対応している。
【0043】
図7〜
図9には、本実施形態のバルブ10の製造方法との対比として、テーパ部52Tを有さず、軸方向の全体に亘って肉厚が同じである筒形壁152が形成されている場合の例が示されている。
図7に示すように、本例においても、本実施形態と同様に、筒形壁152にシールワッシャ17が挿通された状態で、シールワッシャ17と弁座受け50との間に隙間が形成されている。
【0044】
図8に示すように、かしめ治具80が筒形壁152に先端側から接近して、尖り部80Tが筒形壁152の内側に突入すると、筒形壁152の先端部は、尖り部80Tの突入量に応じて、外側に拡径するように折れ曲げられる。そして、筒形壁152の折り曲げ部分がシールワッシャ17と干渉し、シールワッシャ17は、中心部が基端側へ凹み且つ外縁部が先端側へ突出するように変形する。そして、シールワッシャ17と筒形ボディ11の先端面との間に隙間が生じる。このように、テーパ部52T(
図5参照)を有しない筒形壁152では、シールワッシャ17が変形して、シールワッシャ17と筒形ボディ11との間のシール性が低下するという問題が生じる。
【0045】
また、
図9に示すように、かしめ治具80によるかしめの終了後、シールワッシャ17が元の形状に戻った場合には、シールワッシャ17と筒形ボディ11との間のシール性の低下は防がれる。しかしながら、この場合には、シールワッシャ17の復元力により弁座受け50が先端側に移動してしまい、弁座40の位置がずれるという別の問題が生じる。
【0046】
図7〜
図9に示した対比の例から明らかなように、本実施形態のバルブ10の製造方法では、筒形壁52のうち軸方向の中間位置より先端側に位置する部分を、当該中間位置より基端側に位置する部分よりも薄肉にしたことにより、その薄肉部分がかしめられ易くなり、結果として、中間位置より基端側の厚肉部分よりも薄肉部分を優先的にかしめることが可能となっている。また、筒形壁52の上記中間位置の内周面には、先端側へ向かうに従って拡径するテーパ部52Tが設けられているので、筒形壁52の内側に突入したかしめ治具80をテーパ部52Tで受け止めることが可能となり、テーパ部52Tより先端側に位置する薄肉部分を一層優先的にかしめることが可能となっている。そして、テーパ部52Tより基端側に位置する部分の長さを、シールワッシャ17の厚みよりも大きくしたことで、筒形壁52をかしめるときに、シールワッシャ17を変形させることなく、シールワッシャ17を抜け止めすることが可能となっている。
【0047】
本実施形態のバルブ10及びその製造方法に関する説明は以上である。次に、バルブ10及びその製造方法の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態のバルブ10では、シールワッシャ17がバルブ10に一体的に備えられているので、バルブ10をバルブ装着孔92に装着するときのシールワッシャ17の組み付け忘れを防止することが可能となる。また、弁孔構成体60(弁座40及び弁座受け50)は、筒形ボディ11の先端面よりも基端側に配置されているので、シールワッシャ17と筒形ボディ11との間に隙間が生じることが抑えられ、シール性を高めることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、シールワッシャ17が筒形壁52の軸方向であそびを有した状態に固定されるので、筒形壁52の先端部がかしめ治具80により拡径されてシールワッシャ17が抜け止めされるときに、シールワッシャ17の変形が防止される。これにより、シール性の向上が図られる。また、シールワッシャ17の変形後の復元力によって弁孔構成体60(詳細には、弁座受け50)の固定位置がずれることを抑えることも可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係るバルブ10の製造方法では、かしめ前の筒形壁52において、軸方向の中間位置より先端側に位置する部分の肉厚を、中間位置より基端側に位置する部分の肉厚よりも薄くしておくので、中間位置より先端側の薄肉部分を優先的にかしめることが可能となる。しかも、筒形壁52のうち当該中間位置の内周面には、先端側へ向かうに従って拡径するテーパ部52Tを設けておくので、薄肉部分を一層優先的にかしめることが可能となる。これにより、シールワッシャ17を変形させることなく、シールワッシャ17を抜け止めすることが可能となる。
【0051】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を
図10〜
図11に基づいて説明する。
図10に示すように、本実施形態に係るバルブ10Vは、筒形ボディ11Vに筒形壁52Vが形成されている点と、筒形ボディ11Vに弁孔61Vが形成されている点が、上記実施形態のバルブ10と大きく異なっている。従って、本実施形態のバルブ10Vには、上記第1実施形態で示した弁座40及び弁座受け50(上記第1実施形態の
図3参照)が備えられていない。
【0052】
詳細には、
図10に示すように、弁孔61Vは、上記第1実施形態と同様に、弁体収容孔14より先端側で筒形ボディ11Vの中心軸上に配置され、弁孔61Vと弁体収容孔14との間は、筒形ボディ11Vの先端側へ向かうに従って縮径される絞り部62によって連絡されている。そして、絞り部62の内周面が、閉弁状態において弁体20と当接する弁座40Vとなっている。
【0053】
本実施形態では、筒形壁52Vは、筒形ボディ11Vの先端面に突出形成されている。筒形壁52Vは、上記第1実施形態の筒形壁52と同様の構造になっている。即ち、筒形壁52Vは、筒形ボディ11Vの軸方向に直線状に延びたストレート部52Aと、ストレート部52Aの先端部から外側へ円錐台形状に広がった拡径部52Bと、で構成され、ストレート部52Aの長さは、シールワッシャ17の厚みよりも大きくなっている(
図11(B)参照)。また、拡径部52Bの肉厚は、ストレート部52Aの肉厚よりも薄くなっている。なお、筒形壁52Vは、弁孔61Vの開口縁から突出し、筒形壁52Vの内側部分は弁孔61Vの延長線上に配置されている。
【0054】
バルブ10Vのその他の構成については、上記第1実施形態のバルブ10と同様になっているので、同一符号を付すことで説明を省略する。なお、本実施形態では、バルブ10Vからシールワッシャ17とシール蓋33を除いた部分、即ち、弁体20、直動シャフト21、可動部材30及び圧縮コイルバネ35が組み付けられた筒形ボディ11Vが本発明に係るバルブ本体10Hを構成している。
【0055】
バルブ10Vは、上記第1実施形態のバルブ10と同様にして製造される。具体的には、バルブ10Vを製造するには、まず、筒形ボディ11V、弁体20、直動シャフト21、可動部材30、圧縮コイルばね35、及びシールワッシャ17が用意される。このとき、
図11(A)に示されるように、筒形ボディ11Vの筒形壁52Vは、筒形ボディ11Vの先端面から直線状に突出するように形成されている。また、筒形壁52Vの内周面における軸方向の中間位置には、先端側へ向かうにつれて拡径するテーパ部52Tが設けられていて、筒形壁52Vのうちテーパ部52Tより先端側に位置する部分の肉厚は、テーパ部52Tより基端側に位置する部分の肉厚よりも薄肉になっている。
【0056】
次いで、筒形ボディ11Vに、弁体20、直動シャフト、可動部材30及び圧縮コイルばね35が組み付けられてバルブ本体10Hが形成され、そのバルブ本体10Hの筒形壁52Vにシールワッシャ17が挿通される(
図11(A)参照)。そして、
図11(B)に示すように、筒形壁52Vの先端部がかしめ治具80にて外側にかしめられることで、シールワッシャ17が抜け止めされる。そして、筒形ボディ11Vにシール蓋33が取り付けられて、
図10に示したバルブ10Vが完成する。
【0057】
本実施形態のバルブ10V及びバルブ10Vの製造方法に関する説明は以上である。本実施形態のバルブ10V及びバルブ10Vの製造方法によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)
上記実施形態では、本発明をリリーフバルブに適用した例を示したが、リリーフバルブに限定されるものではなく、例えば、チェックバルブ等の他のバルブに適用してもよい。また、本発明は、カーエアコン用のバルブに限定されるものでもない。
【0060】
(2)上記実施形態では、弁孔構成体60が弁座40と弁座受け50の2つの部材から構成されていたが、1つの部材で構成されていてもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、筒形壁52のストレート部52Aの長さが、シールワッシャ17の厚みより大きくなっていたが、同じであってもよい。本構成によっても、シールワッシャ17の変形を抑制することが可能となる。
【0062】
(4)上記実施形態では、かしめ前の筒形壁52の内周面にテーパ部52Tが形成されることで、筒形壁52の薄肉部分と厚肉部分が形成されていたが、
図12(A)に示すように、筒形壁52の外周面に縮径部52Sが形成されることで、筒形壁52の薄肉部分と厚肉部分が形成されてもよい。このような構成であっても、
図12(B)に示すように、縮径部52Sより先端側の薄肉部分を優先的にかしめることが可能となる。なお、
図12(A)の例では、縮径部52Sは、段差状となっているが、テーパ状であってもよい。
【0063】
(5)上記第2実施形態では、弁孔61Vが筒形ボディ11Vに形成されていたが、
図13(A)及び
図13(B)に示すように、筒形ボディ11Vに弁座40V及び弁座受け50Vが組み付けられて、弁座40Vの中心孔41Vと弁座受け50の中心孔51Vとによって弁孔61Vが形成されてもよい。なお、この場合、弁座40Vと弁座受け50Vによって弁孔構成体60Vが構成されている。