(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部材および前記第2部材の底面に配置され、前記第1部材および前記第2部材の設置面への設置性を向上させる設置力増強部材をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のウォーターフェンス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、水嚢(ウォーターフェンス)の設置性を向上させることができるものの、複数設置された水嚢の間から水が侵入するのを抑制することが困難であると考えられる。このため、浸水を効果的に抑制することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、浸水を効果的に抑制することが可能なウォーターフェンスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面によるウォーターフェンスは、第1部材と、第1部材に対して第1方向に隣接して配置された第2部材とを備え、第1部材は、吸水装置により底面と設置面との間の水を吸い取るための流路が設けられた筒状部と、筒状部に対して水平面内で第1方向と直交する第2方向に接続され、第2方向に延びる板状部とを含み、板状部は、筒状部の外径よりも小さい第1方向の幅を有している。
【0008】
この発明の一の局面によるウォーターフェンスでは、上記のように、第1部材に、筒状部に対して第2方向に接続され、第2方向に延びるとともに、筒状部の外径よりも小さい第1方向の幅を有する板状部を設ける。これにより、第1方向において隣接する第1部材と第2部材とを、第2方向に延びる板状部により、密着して配置することができるので、第1部材と第2部材との間から水が侵入するのを抑制することができる。また、筒状部を介して吸水装置により底面と設置面との間の水を吸い取ることができるので、ウォーターフェンスの下方からの浸水を抑制することができる。その結果、浸水を効果的に抑制することができる。また、第1部材の第1方向の大きさを小さく(薄型化)することができるので、第1部材の軽量化を図ることができる。その結果、ウォーターフェンス全体の重量が大きくなるのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材の板状部は、筒状部の内径よりも小さい第1方向の幅を有している。このように構成すれば、第1部材の第1方向の大きさを効果的に小さくすることができるので、ウォーターフェンスを効果的に軽量化することができる。
【0010】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材は、筒状部の上部に配置され、略水平方向に突出するフランジ部をさらに含み、第2部材は、フランジ部に対応する部分に形成された凹部を含む。このように構成すれば、第1部材のフランジ部と、第2部材の凹部とを係合させて組み立てることができるので、第1部材と第2部材とをより密着して配置することができる。また、筒状部の上部のフランジ部を第2部材の凹部に係合させることにより、フランジ部が凹部に支持されるので、吸水装置が接続されるためのパイプを筒状部に挿入する際に、筒状部がパイプの挿入方向に変形するのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第2部材は、第1方向において第1部材を挟むように一対設けられ、一対の第2部材が第1部材を挟み込んだ状態で、一対の第2部材を挟持する連結部材をさらに備える。このように構成すれば、連結部材により、第1部材を挟み込んだ一対の第2部材を挟持することにより、第1部材および一対の第2部材を確実に密着させて配置することができるので、より確実に浸水を抑制することができる。また、第1方向において、第2部材が第1部材を挟んで複数配置されるので、ウォーターフェンスの第1方向の長さを容易に大きくすることができる。
【0012】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材の筒状部に挿入され、吸水装置が接続されるための接続パイプをさらに備える。このように構成すれば、接続パイプを介して吸水装置を容易に筒状部の流路に接続することができるので、吸水装置によりウォーターフェンスの底面と設置面との間の水を容易に吸い取ることができる。
【0013】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材は、弾性材料により形成されており、第2部材は、発泡材料により形成されている。このように構成すれば、第1部材を弾性部材により形成することにより、第1部材と第2部材とを容易に密着させることができる。また、第2部材を発泡材料により形成することにより、ウォーターフェンスの軽量化を図ることができる。また、弾性部材により形成された第1部材の第1方向の大きさを小さくすることができるので、第1部材の重量が大きくなるのを抑制することができる。その結果、ウォーターフェンスを効果的に軽量化することができる。
【0014】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材は、底部に配置され、第1方向に突出する凸状の第1篏合部をさらに含み、第2部材は、底部に配置され、第1部材の第1篏合部と篏合する第2篏合部を含む。このように構成すれば、第1部材および第2部材を組み合わせてウォーターフェンスを組み立てる際に、端部を互いに当接させるとともに、第1嵌合部および第2嵌合部を嵌合させることができるので、底面部の高さを揃えて組み立てることができるとともに、第1部材および第2部材がずれることがない。これにより、組み立て時に、第1部材および第2部材の向きを間違えるのを防止するとともに、精度よく位置決めを行うことができる。
【0015】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材および第2部材の底面に配置され、第1部材および第2部材の設置面への設置性を向上させる設置力増強部材をさらに備える。このように構成すれば、設置力増強部材により、凹凸のある設置面に対しての設置性や水密性を向上させることができるので、安定してウォーターフェンスを設置することができる。その結果、ウォーターフェンスの下方からの浸水を効果的に抑制することができる。また、吸水装置により第1部材および第2部材の底面の水を空気と共に吸い取ることによって、第1部材および第2部材の底面と設置面との間に負圧を発生させることができる。これにより、設置力増強部材を地面へ吸着させて、ウォーターフェンスを地面に対して安定して設置することができる。
【0016】
上記一の局面によるウォーターフェンスにおいて、好ましくは、第1部材は、第2部材よりも比重が大きい材料により形成されている。このように構成すれば、比重の大きい材料により形成された第1部材の第1方向の大きさを小さく(薄型化)することができるので、ウォーターフェンスを効果的に軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、浸水を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(ウォーターフェンスの構成)
図1〜
図10を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態によるウォーターフェンス100は、建物への浸水を防いだり、工事現場などにおいて水を長時間せき止めたり、流れを有する河川などをせき止めたりするために用いられる。ウォーターフェンス100は、
図1および
図2に示すように、ウォーターフェンス本体部1と、設置力増強部材2とを備えている。ウォーターフェンス100は、X方向に延びる細長形状を有しており、Y方向の水を止めるように設置される。また、
図1に示すように、ウォーターフェンス100には、自吸機能を有した自吸ポンプ(以下「ポンプ」と称す)3が接続されている。ポンプ3は、急な増水に対しても信頼性の高い水没使用が可能な防水構造を有するポンプとすることが望ましい。また、ウォーターフェンス本体部1には、重りとして水を注水したり、ペットボトルなどの重り部材を配置可能に構成されている。なお、ポンプ3は、特許請求の範囲の「吸水装置」の一例である。また、X方向は、特許請求の範囲の「第1方向」の一例であり、Y方向は、特許請求の範囲の「第2方向」の一例である。
【0021】
ウォーターフェンス本体部1は、第1部材11と、第2部材12と、連結部材13と、パイプ14と、パイプ15(
図3参照)とを含んでいる。第1部材11は、凸部111(
図3参照)と、篏合部112(
図4参照)と、筒状部113(
図5参照)と、板状部114(
図5参照)と、フランジ部115(
図5参照)と、肉抜穴116(
図5参照)とを有している。第2部材12は、
図6に示すように、重り取付部121と、凸部122(
図3参照)と、嵌合部123(
図4参照)と、凹部124および125とを有している。なお、パイプ14は、特許請求の範囲の「接続パイプ」の一例である。また、篏合部112は、特許請求の範囲の「第1篏合部」の一例であり、篏合部123は、特許請求の範囲の「第2篏合部」の一例である。
【0022】
ウォーターフェンス本体部1は、浸水を防止するための堰を形成している。具体的には、ウォーターフェンス本体部1は、柱や壁或いは扉(図示せず)などの前面側(Y2方向側)に配置され、背面側(Y1方向側)への浸水を防止する堰を形成している。また、ウォーターフェンス本体部1は、
図1に示すように、第1部材11のX方向の両端に、それぞれ、第2部材12が連結されている。また、ウォーターフェンス本体部1は、複数に分割可能に構成されている。具体的には、第2部材12は、第1部材11に対してX方向に隣接して配置されている。
【0023】
また、第2部材12は、X方向において第1部材11を挟むように一対設けられている。一対の第2部材12は、第1部材11を挟み込んだ状態で、弾性を有する連結部材13により挟持されることにより、連結されている。具体的には、
図4に示すように、一対の第2部材12が第1部材11を挟んでX方向に隣接して配置された状態で、Y方向の両側(Y1方向およびY2方向)に設けられた連結部材13により、第1部材11および一対の第2部材12が連結されている。
【0024】
第1部材11は、水を透過させない素材により形成されている。第1部材11は、たとえば、ゴムや樹脂或いは金属などにより形成されている。好ましくは、第1部材11は、弾性材料により形成されている。また、第1部材11は、第2部材12よりも比重が大きい材料により形成されている。
【0025】
図3に示すように、第1部材11の下面側(Z2方向側)には、凸部111が設けられている。凸部111の外側の平坦面には、設置力増強部材2が取り付けられるように構成されている。また、凸部111は、吸水口部が設けられたパイプ15をY方向に挟み込むように、一対設けられている。また、凸部111は、第1部材11に連結される第2部材12の凸部122とつながるように形成されている。
【0026】
図4および
図5に示すように、第1部材11の底部(Z2方向側部)には、第2部材12側(X方向)に凸状に突出する嵌合部112が設けられている。嵌合部112は、第2部材12の嵌合部123に嵌合するように構成されている。また、嵌合部112は、平面視において(Z方向から見て)、第2部材12とオーバーラップするように配置されている。つまり、嵌合部112は、第1部材11および第2部材12を底面を上にして組立てた場合に、
図3に示すように、第2部材12に覆いかぶさるように、嵌合部123に嵌合する。
【0027】
図5に示すように、筒状部113は、上下方向(Z方向)に延びるように形成されている。また、筒状部113は、第1部材11のY方向の中央近傍に配置されている。また、筒状部113は、第1部材11のX方向の中央近傍に配置されている。また、筒状部113は、第2部材12の凹部124に嵌り込むように構成されている。
図7および
図8に示すように、筒状部113の内側には、ポンプ3により底面と設置面との間の水を吸い取るための流路113aおよび113bが設けられている。つまり、筒状部113の流路113aおよび113bは、上下方向に貫通するように設けられている。
【0028】
流路113aは、筒状部113の上側(Z1方向側)に設けられている。流路113bは、流路113aに接続され、筒状部113の下側(Z2方向側)に設けられている。
図8に示すように、筒状部113は、外径D1を有している。筒状部113は、流路113aの部分において内径D2を有し、流路113bの部分において内径D3を有している。
【0029】
筒状部113の上部(流路113a)には、ポンプ3が接続されるためのパイプ14が挿入されている。パイプ14は、流路113aおよび113bの境界近傍まで挿入されている。パイプ14は、たとえば、金属により形成されている。パイプ14は、流路113aの内径D2よりも小さい外径を有している。また、パイプ14は、流路113bの内径D3と略等しい外径を有している。つまり、パイプ14は、わずかな隙間を隔てて、筒状部113に挿入されている。これにより、パイプ14と筒状部113との間に余裕があるので、第1部材11が第2部材12に挟まれて組み立てられた場合に、第1部材11および第2部材12の寸法誤差に起因する組み付けの歪みが発生するのを抑制することが可能である。また、パイプ14は、略L字形状に形成されている。パイプ14の外側の端部には、ポンプ3に接続される管(ホースなど)が接続されるように構成されている。
【0030】
筒状部113の底部(流路113b)には、吸水口部が設けられたパイプ15が挿入されている。パイプ15は、たとえば、金属により形成されている。パイプ15の下側(Z2方向側)の端部は、凸部111の下端近傍(Z2方向側の端部近傍)に配置されている。これにより、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間の水が、ポンプ3により吸水される。なお、パイプ15の吸水口部に、異物除去用のフィルターを設けてもよい。これにより、ポンプ3によって吸い込み、排出される水からゴミなどの異物を除去することができるので、緊急時の水として活用することも可能である。なお、フィルターは吸込みから排出までの間に設けられれば良いので、ポンプ3の吸水用ホースなどに設けてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態では、
図5に示すように、板状部114は、筒状部113に対してY方向に接続され、Y方向に延びるように形成されている。具体的には、板状部114は、筒状部113のY方向の両側(Y1方向およびY2方向)に配置されている。また、
図8に示すように、板状部114は、筒状部113の外径D1よりも小さいX方向の幅Tを有している。また、板状部114は、筒状部113の内径D2およびD3よりも小さいX方向の幅Tを有している。また、板状部114は、一対の第2部材12のX方向における設計上の隙間よりも小さいX方向の幅を有している。また、板状部114は、X方向に隣接する第2部材12と、Z方向に沿った線接触により密着するように構成されている。
【0032】
図5に示すように、フランジ部115は、筒状部113の上部に配置されている。また、フランジ部115は、略水平方向(XY方向)に突出するように形成されている。また、フランジ部115は、第2部材12の凹部125に嵌り込むように構成されている。
【0033】
肉抜穴116は、篏合部112に設けられている。また、肉抜穴116は、X方向に延びるように形成されている。これにより、第1部材11を軽量化することが可能である。
【0034】
図1に示すように、第2部材12は、直方体の箱型形状を有している。また、第2部材12は、X方向に延びるように形成されている。また、第2部材12は、水を透過させない素材により形成されている。第2部材12は、たとえば、発泡スチロールやゴムや樹脂或いは金属などにより形成されている。好ましくは、第2部材12は、発泡材料により形成されている。第2部材12の重り取付部121には、重りとしてのペットボトルなどが取り付けられるように構成されている。第2部材12の重り取付部121にペットボトルなどの重りが取り付けられることによりウォーターフェンス100に加わる荷重を増すことが可能なように構成されている。なお、重り取付部121に、水、石、砂、土などを入れて重りとしてもよい。
【0035】
図3に示すように、第2部材12の下面側(Z2方向側)には、凸部122が設けられている。凸部122の外側の平坦面には、設置力増強部材2が取り付けられるように構成されている。また、凸部122は、略U字形状に形成されている。また、凸部122は、第2部材12に連結される第1部材11の凸部111とつながるように形成されている。つまり、第1部材11の凸部111と、第2部材12の凸部122とが連結されて、長方形のロ字形状の凸部が形成される。ロ字形状の凸部の内側は、ポンプ3により吸水される水の通り道となる。
【0036】
図4に示すように、第2部材12の底部(Z2方向側部)には、第1部材11の嵌合部112が嵌合する嵌合部123が設けられている。具体的には、嵌合部123は、凹状に形成されており、凸状の嵌合部112が嵌合するように構成されている。
【0037】
図6に示すように、凹部124は、第1部材11の筒状部113に対応する部分に形成されている。つまり、第1部材11および第2部材12を組み合わせた場合に、第1部材11の筒状部113が第2部材12の凹部124に嵌り込む(係合する)ように構成されている。凹部125は、第1部材11のフランジ部115に対応する部分に形成されている。つまり、第1部材11および第2部材12を組み合わせた場合に、第1部材11のフランジ部115が第2部材12の凹部125に嵌り込む(係合する)ように構成されている。
【0038】
図2に示すように、設置力増強部材2は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aに配置され、ウォーターフェンス本体部1の設置面への設置性を向上させるように構成されている。つまり、ウォーターフェンス本体部1の設置時の自重と、ポンプ3が吸水することとによって、設置力増強部材2は、弾性圧縮変形するとともに、外部の水を所定量透過させることにより、ウォーターフェンス本体部1の設置面内の圧力を低圧安定させるように構成されている。
【0039】
具体的には、設置力増強部材2は、ウォーターフェンス本体部1の自重と、ポンプ3が吸水することにより生じる負圧とにより、水の透過率が所定の値となることにより、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間に外部からの水を所定量透過させてポンプ3の自吸水を確保するように構成されている。
【0040】
設置力増強部材2は、半連続気泡構造を有しており、圧縮変形されることにより水の透過率が変化するように構成されている。設置力増強部材2は、たとえば、半連続気泡構造の気孔率50%〜60%程度のやわらかいスポンジにより形成されている。また、設置力増強部材2は、半連続気泡構造のスポンジが圧縮されることによりスポンジの孔が小さくなり、水の透過率が変わるように構成されている。また、設置力増強部材2は、圧縮力がかからない状態において、たとえば、約20mm以上約30mm以下の高さを有する。ポンプ3が駆動された場合、半連続気泡構造のスポンジは50〜80%程度圧縮されることが望ましい。また、設置力増強部材2は、第1部材11よりも柔らかい材料により形成されている。
【0041】
設置力増強部材2は、ウォーターフェンス本体部1の自重と、重り収容部121に取り付けられた重りと、ポンプ3の吸引力によって生じる負圧とにより圧縮されるように構成されている。また、ポンプ3は設置力増強部材2を透過した水を、設置面内側の空間の空気と共に吸引するように構成されている。つまり、設置力増強部材2により吸水された水が第1部材11の流路113bおよび113aを介してポンプ3に吸引されるように構成されている。なお、ポンプ3は、空気とともに水を吸い込むので、ポンプ3の吐出口から水を吐き出す状態と、ポンプ3の吐出口から少しの水を空気とともに吐き出す状態とを数秒程度の周期で繰り返す間欠運転となる。
【0042】
また、ポンプ3により、設置力増強部材2を透過した水を、設置面内側の空間の空気と共に吸引することにより、ウォーターフェンス本体部1と設置面との間の空間の真空度が上げられる。これにより、設置面に対してウォーターフェンス本体部1を安定させて配置することが可能に構成されている。その結果、ウォーターフェンス本体部1が水により押されて変形したり、流されたりすることを効果的に抑制することが可能である。
【0043】
また、設置力増強部材2は、第1部材11の凸部111の外側の平坦面および第2部材12の凸部122の外側の平坦面に取り付けられるように構成されている。具体的には、設置力増強部材2は、両面テープなどの接着層を介して、第1部材11および第2部材12の底面に取り付けられる。また、設置力増強部材2は、
図2に示すように、平面視(Z方向から見て)において、Y方向の端部が、第2部材12の細い部分と略面一となるように配置されている。
【0044】
ポンプ3は、ウォーターフェンス本体部1の底面1aと設置面との間の水を吸い取るように構成されている。また、ポンプ3は、水深が浅い水を吸水可能に構成されている。これにより、ポンプ3は、設置面とウォーターフェンス本体部1の底面1aとの間に浸水した少量の水を効果的に排水することが可能である。
【0045】
図9を参照して、設置力増強部材2の特性の一例について説明する。
【0046】
図9に示すように、設置力増強部材2は、たとえば、見掛け密度が110kg/m
3であり、引張強さが80kPaであり、伸びが450%である。また、設置力増強部材2は、圧縮硬さが、圧縮率が25%の場合、3.3kPaであり、圧縮率が50%の場合、4.5kPaである。
【0047】
図10を参照して、設置力増強部材2の特性(水透過)の一例について説明する。
【0048】
図10に示すように、水透過について、設置力増強部材2は、圧縮率が60%の場合、水深100mmの水頭圧(100mmH
2O=0.01kgf/cm
2≒0.98kPa)に対して、10分以内に水漏れがあった。また、設置力増強部材2は、圧縮率が70%の場合、水深100mmの水頭圧(100mmH
2O=0.01kgf/cm
2≒0.98kPa)に対して、10分を超えて30分以内に水漏れがあった。また、設置力増強部材2は、圧縮率が80%および90%の場合、水深100mmの水頭圧(100mmH
2O=0.01kgf/cm
2≒0.98kPa)に対して、30分間水漏れしなかった。なお、水透過について、10分以内に水漏れがあった場合、「△」と示し、10分を超えて30分以内に水漏れがあった場合、「○」と示し、30分間水漏れしなかった場合、「◎」と示している。
【0049】
設置力増強部材2に用いる気孔率50%〜60%程度の半連続気泡構造のやわらかいスポンジは、
図10に示す一例のように、圧縮率に応じた透過率となる。また、設置力増強部材2は、50%以上80%以下の圧縮率になるように圧縮抑制することにより、半連続気泡構造のスポンジを透過する水量をポンプ3の呼び水として適度な透過水量に抑えることが可能である。また、設置力増強部材2(スポンジ)を透過した水をポンプ3で排水するのでウォーターフェンス本体部1を越えて浸水させないようにすることが可能である。つまり、ポンプ3を駆動させた場合に、設置力増強部材2の圧縮率が50%以上80%以下になることが好ましい。
【0050】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態では、上記のように、第1部材11に、筒状部113に対してY方向に接続され、Y方向に延びるとともに、筒状部113の外径D1よりも小さいX方向の幅Tを有する板状部114を設ける。これにより、X方向において隣接する第1部材11と第2部材12とを、Y方向に延びる板状部114により、密着して配置することができるので、第1部材11と第2部材12との間から水が侵入するのを抑制することができる。また、筒状部113を介してポンプ3により底面1aと設置面との間の水を吸い取ることができるので、ウォーターフェンス100の下方からの浸水を抑制することができる。その結果、浸水を効果的に抑制することができる。また、第1部材11のX方向の大きさを小さく(薄型化)することができるので、第1部材11の軽量化を図ることができる。その結果、ウォーターフェンス100全体の重量が大きくなるのを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11の板状部114を、筒状部113の内径D2およびD3よりも小さいX方向の幅Tを有するように形成する。これにより、第1部材11のX方向の大きさを効果的に小さくすることができるので、ウォーターフェンス100を効果的に軽量化することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11に、筒状部113の上部に配置され、略水平方向に突出するフランジ部115を設け、第2部材12に、フランジ部115に対応する部分に形成された凹部125を設ける。これにより、第1部材11のフランジ部115と、第2部材12の凹部125とを係合させて組み立てることができるので、第1部材11と第2部材12とをより密着して配置することができる。また、筒状部113の上部のフランジ部115を第2部材12の凹部125に係合させることにより、フランジ部115が凹部125に支持されるので、ポンプ3が接続されるためのパイプ14を筒状部113に挿入する際に、筒状部113がパイプ14の挿入方向に変形するのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、一対の第2部材12が第1部材11を挟み込んだ状態で、一対の第2部材12を挟持する連結部材13を設ける。これにより、連結部材13により、第1部材11を挟み込んだ一対の第2部材12を挟持することにより、第1部材11および一対の第2部材12を確実に密着させて配置することができるので、より確実に浸水を抑制することができる。また、X方向において、第2部材12が第1部材11を挟んで複数配置されるので、ウォーターフェンス100のX方向の長さを容易に大きくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11の筒状部113に挿入され、ポンプ3が接続されるためのパイプ14を設ける。これにより、パイプ14を介してポンプ3を容易に筒状部113の流路113aおよび113bに接続することができるので、ポンプ3によりウォーターフェンス100の底面1aと設置面との間の水を容易に吸い取ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11を、弾性材料により形成し、第2部材12を、発泡材料により形成する。これにより、第1部材11を弾性部材により形成することにより、第1部材11と第2部材12とを容易に密着させることができる。また、第2部材12を発泡材料により形成することにより、ウォーターフェンス100の軽量化を図ることができる。また、弾性部材により形成された第1部材11のX方向の大きさを小さくすることができるので、第1部材11の重量が大きくなるのを抑制することができる。その結果、ウォーターフェンス100を効果的に軽量化することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11に、底部に配置され、X方向に突出する凸状の篏合部112を設け、第2部材12に、底部に配置され、第1部材11の篏合部112と篏合する篏合部123を設ける。これにより、第1部材11および第2部材12を組み合わせてウォーターフェンス100を組み立てる際に、端部を互いに当接させるとともに、嵌合部112および嵌合部123を嵌合させることができるので、底面部の高さを揃えて組み立てることができるとともに、第1部材11および第2部材12がずれることがない。これにより、組み立て時に、第1部材11および第2部材12の向きを間違えるのを防止するとともに、精度よく位置決めを行うことができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11および第2部材12の底面に配置され、第1部材11および第2部材12の設置面への設置性を向上させる設置力増強部材2を設ける。これにより、設置力増強部材2により、凹凸のある設置面に対しての設置性や水密性を向上させることができるので、安定してウォーターフェンス100を設置することができる。その結果、ウォーターフェンス100の下方からの浸水を効果的に抑制することができる。また、ポンプ3により第1部材11および第2部材12の底面の水を吸い取ることによって、第1部材11および第2部材12の底面と設置面との間に負圧を発生させることができる。これにより、第1部材11および第2部材12が設置面に対してずれるのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、第1部材11を、第2部材12よりも比重が大きい材料により形成する。これにより、比重の大きい材料により形成された第1部材11のX方向の大きさを小さく(薄型化)することにより、ウォーターフェンス100全体の重量を効果的に軽量化することができる。
【0060】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、第1部材の底部に篏合部112(第1篏合部)を設け、第2部材の底部に篏合部123(第2篏合部)を設けて、互いに篏合させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、
図11に示す変形例のように、第1部材の板状部の上部および底部のそれぞれに係合部117を設けてもよい。係合部117は、
図11に示すように、半円柱形状に形成してもよい。また、係合部117は、角柱形状に形成してもよい。また、第1部材に係合部117を設ける場合、第2部材に、係合部117を係合する凹部を設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ウォーターフェンスが一対の第2部材を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1部材を挟むように一体の第2部材を配置してもよいし、第1部材の一方側のみに第2部材を配置してもよい。また、ウォーターフェンスが3つ以上の第2部材を備えていてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ウォーターフェンスが直線的に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ウォーターフェンスが折れ曲がるように形成されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、ウォーターフェンスに入れる重りとしてペットボトルを用いた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ペットボトル以外の部材を重りとして用いてもよい。たとえば、バーベルや石などを重りとして用いてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、板状部がY方向(第2方向)において筒状部の両側に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、板状部が第2方向において筒状部の片側のみに形成されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1部材にパイプ(接続パイプ)を挿入する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1部材に接続パイプを挿入せずに、吸水装置と接続してもよい。また、第1部材の下方にパイプを挿入しなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、設置力増強部材が、1層により形成されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、設置力増強部材を2層以上により形成してもよい。また、設置力増強部材を設けなくてもよい。
【0068】
たとえば、設置力増強部材を1層により形成した場合、設置力増強部材を、気孔率80%〜90%程度のスポンジ材により形成してもよい。また、設置力増強部材を、吸水率が大きい材料により形成してもよい。たとえば、設置力増強部材を、PVA(ポリビニールアルコール)製のスポンジ材により形成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、吸水装置として自吸式のポンプを用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、自吸式に限らず、吸水機能を有するポンプであれば特に限定されない。また、真空ポンプや掃除機などの真空吸引方式の吸引装置を用いてもよい。