【実施例】
【0026】
実施例1
図1に示すとおりのマニホールド100を使用して、スチームによるH
2O
2の供給を試験した。試験の一部として、初期容積950mlの30%H
2O
2および70%DI水(w/w)をボイラー110中で24分間沸騰させた。温度を試験中約108〜114℃に維持した。24分後、ボイラー110中の溶液の最終容積は567mlであった。残存溶液の試料を用いて、Antor Paar DMA 4100M Density Meterを使用して密度を測定した。密度測定値に基づいて、H
2O
2濃度を計算した。0〜5%溶液の場合、濃度を計算するために用いた等式は、等式1として以下に示す。
【0027】
図4Aは、等式1により記載したとおりの、0〜5重量%H
2O
2水溶液中H
2O
2の濃度と、その溶液の密度との間の線形関係を示すチャートである。5〜100重量%のH
2O
2水溶液の場合、濃度を計算するために用いた等式は、等式2として以下に示す。
【0028】
図4Bは、等式2により記載したとおりの、0〜5重量%のH
2O
2水溶液中H
2O
2の濃度と、その溶液の密度との間の線形関係を例証するチャートである。
【0029】
H
2O
2の最終濃度は41.4重量%であった。これらの測定値に基づいて、H
2O
2およびH
2Oの両方について消費速度および供給速度を計算した。H
2O
2消費速度は約1.29ml/分であり、H2O消費速度は約14.6ml/分であった。H
2O
2ガス供給速度は約1.3slmであり、H
2Oガス供給速度は約18.3slmである。これらのガス供給速度は、溶液の初期および最終濃度に基づいて平均化した。以下の表1は、試験のパラメータおよび結果の一部を示す。
【0030】
表1のデータは、溶液の濃度が補給溶液なしに数分で変化し、24分で11.2重量%増加し得ることを例証する。この変化率は、濃度を数分以内に危険範囲にさせ得る。
【0031】
本明細書で提供される方法、システムおよび装置の態様による別の実施形態を、
図2に示すように、マニホールド200を参照することにより以下に記載する。マニホールド200は、さらなる構成要素とともに
図1を参照して上に記載したとおりのマニホールド100のすべての構成要素を含むことができる。マニホールド200は、精製アセンブリ210を含むことができる。
【0032】
様々な実施形態によれば、精製アセンブリは、操作条件と適合する膜接触器であることができる。例えば、精製アセンブリは、参照により本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許第8,287,708号明細書に記載された装置と同様に構成されたスチーム精製アセンブリ(SPA)であることができる。
【0033】
精製アセンブリ210は、マニホールド200の吐出管路180とプロセス排気口211との間に位置することができる。精製アセンブリ210は、例えば、パーフッ素化イオン交換膜、例えば、NAFION(登録商標)膜から形成された複数の膜を含むことができる。ある特定の実施形態において、膜は、イオン交換膜、例えば、交換可能なイオンを含有するポリマーである。好ましくは、イオン交換膜は、フッ素含有ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレンコポリマー(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレンコポリマー(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレンエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレンコポリマー、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン六フッ化プロピレン−四フッ化エチレンターポリマー、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、およびフッ素化熱可塑性エラストマーである。
【0034】
マニホールド200は、補給供給液220、補給管路230、制御バルブ240、およびセンサ250をさらに含むことができる。補給供給液220は、制御バルブ240と流体連結していることができ、制御バルブ240は、補給管路230およびレベル脚170と流体連結していることができる。センサ250は、レベル脚170に位置することができ、レベル脚170において溶液のレベルを検出するように構成することができるか、またはレベル脚170において特定のレベルで溶液の存在を単に検出することができる。センサ250は、制御バルブ240と流体連結していることができ、センサ250からの信号に基づいて、制御バルブ240を開放、閉鎖、または部分的開放(例えば、1〜99%開放)に位置づけることができる。制御バルブ240の位置に基づいて、さらなる補給供給液220を、レベル脚170に供給することができる。補給供給液220は、加圧することができる。例えば、15〜20psigの窒素ガスを補給供給液220に連結して、供給液を加圧することができる。
【0035】
マニホールド200は、コンデンセート管路260をさらに含むことができ、これは、精製アセンブリ210と流体連結していることができる。コンデンセート管路260は、精製アセンブリ210からコンデンセートを吐出して、コンデンセートをオリフィス261に通し、コンデンセートを収集するように構成された容器262にコンデンセートを吐出するように構成することができる。オリフィス261は、例えば、0.008インチサファイアオリフィスであることができる。代わりの実施形態において(図示せず)、コンデンセート管路260は、加熱スクラバーと液体連結していることができ、これは、コンデンセートの収集の必要性をなくすように構成することができる。
【0036】
吐出管路180、スクラバー151、および精製アセンブリ210は、ヒートトレース190で巻き付けることができ、これは、熱を発生させ、巻き付けられた構成要素を通して輸送される蒸気の温度を制御することができる。蒸気の温度を制御することによって、蒸気の凝縮を減少させ、または防止することができる。
【0037】
実施例2
図2に示すとおりに、マニホールド200を使用して、上に記載したとおりに、過酸化水素含有ガスストリームをSPAである精製アセンブリ210に通すことを含めて、スチームによるH
2O
2の供給を試験した。実施例2では、レベル脚170への補給供給液220による溶液の補給はなく、したがって、バルブ240は、試験の期間閉じたままであった。試験の一部として、初期容積950mlの30%H
2O
2および70%DI水(w/w)を石英ボイラー110中で35分間沸騰させた。温度は試験中約112〜125℃に維持した。温度は、熱電対161からの読取り値に基づいて、ヒートバンド120およびランプ130を制御することによって維持した。
【0038】
35分後、石英ボイラー110中の溶液の最終容積は、785mlであった。H
2O
2の最終濃度は、33.08重量%であった。これらの測定値に基づいて、H
2O
2およびH2Oの両方について消費速度および供給速度を計算した。H
2O
2消費速度は約0.49ml/分であり、H
2O消費速度は約4.2ml/分であった。H
2O
2ガス供給速度は約0.47slmであり、H
2Oガス供給速度は約5.2slmであった。これらのガス供給速度を、溶液の初期および最終濃度に基づいて平均化した。実施例2と比較した実施例3の結果により例証するように、沸点は、精製アセンブリ210により生じた背圧の結果としての圧力増加のために、精製アセンブリ210の使用とともに上昇した。さらに、供給速度は、適所にある精製アセンブリ210の使用とともに低下した。さらに、精製アセンブリ210は、H
2O
2スチームと適合し、試験の結果として精製アセンブリ210内の膜破裂および化学的分解の証拠はなかった。
【0039】
上に記載したとおりのマニホールド200を使用して、実施例2および実施例3に示すとおりの過酸化水素濃度を有するプロセスガスを供給した。しかしながら、試験の結果としてボイラー内の溶液の減少およびH
2O
2濃度の増加のために試験の期間は、かなり短く維持され、これは、液相および/または気相中の危険なH
2O
2濃度をもたらし得る。したがって、本開示の利点は、試験中にボイラー内で濃縮H
2O
2溶液に希薄H
2O
2溶液を添加することによって、最大でほとんど連続操作モードまで、試験の期間またはマニホールドの操作時間を延長する能力である。実施例3には、本明細書で開示される方法およびシステムのある特定の実施形態によって、ボイラー内のヘッドスペースからの希薄蒸気の引き抜きの維持をもたらすボイラー110内の濃縮溶液の濃度を維持するように、試験中にマニホールド200に希薄H
2O
2溶液を添加した試験が記載されている。したがって、重要プロセスに供給されるガス状過酸化水素のモル濃度は、液体過酸化水素濃度の当量の供給によって均衡して維持される。
【0040】
任意選択により、マニホールド200は、圧力制御管路140と流体連結した圧力変換器310をさらに含むことができる。圧力変換器310は、Teflon製圧力変換器、ステンレススチール製圧力変換器などであることができる。圧力変換器310は、ボイラー110内の圧力を読み取るように構成することができる。さらに、圧力変換器310は、バルブ141と流体連結していることができ、一緒にそれらは、ボイラー110内の圧力を設定点に制御することができる。バルブ141はまた、スクラバー151の前に位置して、本発明の下流の変動圧力を調整することができる。したがって、マニホールド200は、マニホールド100と同じ温度または圧力によってボイラー110(すなわち、沸騰)を制御するように構成することができる。さらに別の実施形態において、マニホールド200は、温度および圧力の両方によってボイラー110を制御するように構成することができる。希薄溶液の供給圧力は、20torrから2bargの範囲であり得ることが企図される。
【0041】
本明細書で提供される方法、システム、および装置のある態様による別の実施形態を、
図3に示すとおりに、マニホールド400を参照することにより以下に記載する。マニホールド400は、マニホールド200に関して記載した一部の構成要素とともに、
図1を参照して上に記載したとおりのマニホールド100の構成要素のすべてを含むことができる。例えば、マニホールド100からの構成要素のすべてに加えて、マニホールド400は、補給供給液220、補給管路230、制御バルブ240、およびセンサ250をさらに含むことができる。マニホールド400は、適当な濃度を有する補給供給液220でボイラー110を補給することによってボイラー内の溶液および蒸気の濃度を維持できることを試験するように構成することができる。
【0042】
実施例3
図3に示すとおりに、マニホールド400を使用して、精製アセンブリ210にスチームを通すことなしに、スチームによるH
2O
2の供給を試験した。試験の一部として、初期容積882mlの39.2%H
2O
2および60.8%DI水(w/w)をボイラー110で35分間沸騰させた。温度を試験中約113〜115℃に維持した。温度は、熱電対161からの読取り値に基づいて、ヒートバンド120およびランプ130を制御することによって維持した。試験中、補給供給液220は、10〜18psigの圧力で9.9%H
2O
2および90.1%H
2O(w/w)の溶液を含んだ。初期の補給供給液220の容積は531mlであった。
【0043】
35分後、ボイラー110中のH
2O
2溶液の最終濃度は、40.8重量%であった。補給供給液220の最終容積は、67mlであった。H
2O
2蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約1.35slmであると計算された。以下の表2は、試験のパラメータおよび結果の一部を示す。
【0044】
実施例3は、35分後の39.2%H
2O
2の濃度が、40.8%にわずかに1.6%増加したことを例証する。したがって、実施例3は、H
2O
2濃度を、本開示のシステムおよび方法を用いて実質的に維持および制御できることを例証する。
【0045】
実施例4
図2に示すとおりのマニホールド200を使用して、上に記載したとおりに、SPAである精製アセンブリ210に過酸化水素含有ガスストリームを通すことを含めて、スチームによるH2O2の供給を試験した。2つの試験を、それぞれ35分間行なった。第1の試験は、ボイラー中20.4%H
2O
2水溶液で行い、第2の試験は、ボイラー中44.5%H
2O
2水溶液で行った。
【0046】
第1の試験の試験パラメータおよび結果は、以下の表3に示す。
【0047】
第1の試験についてのH
2O
2蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約0.34slmであると計算された。
【0048】
第2の試験の試験パラメータおよび結果は、以下の表4に示す。
【0049】
H
2O
2蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約0.77slmであると計算された。
【0050】
実施例1〜実施例4は、本発明のある態様によるシステムの総H
2O
2生産量が、適当な補給溶液濃度と合わせて、ボイラー中の溶液濃度およびH
2O
2蒸気供給速度を維持することができることを実証する。表6は、50℃および130℃で異なる重量%のH
2O
2のH
2O
2ボイラー水溶液に必要な補給溶液の範囲を示す。
【0051】
補給濃度は、参照により本明細書に組み込まれる、Schumb,Satterfield,and Wentworth(1995)による“Hydrogen Peroxide”に見出される等式を使用して計算した。
【0052】
様々な実施形態によれば、ボイラーは石英ボイラーであることができ、マニホールドの様々な構成要素は、操作条件と適合する材料、例えば、ステンレススチール、PFA、またはPTFEから作られていることができる。このような材料は、比較的高い純度のプロセスガスの生産に役立つことができる。
【0053】
様々な実施形態によれば、安定剤は、ボイラー内の溶液に添加することができ、これは、非揮発性であるか、または膜により排除され、すなわち、安定剤は、膜を通過しない。安定剤の添加は、本方法およびプロセスの安全性を増進させることができる。
【0054】
別の実施形態によれば、希薄H
2O
2/H
2O溶液は、ボイラー中に導入することができ、希薄溶液は、濃縮溶液を形成するまで沸騰させることができる。一旦濃縮溶液に到達すると、さらなる消失は、ボイラーヘッドスペースに失われた蒸気を補うために追加の希薄H
2O
2溶液を添加することにより補給することができる。したがって、これは、H
2O
2の希薄蒸気およびスチームを供給することができる。この方法は、ボイラー中の濃縮過酸化水素溶液が、希薄過酸化水素水溶液からその場で作製されることを可能にする。これは、ボイラー内の気相ヘッドスペースを均衡化するために希薄溶液供給を使用することにより、H
2O
2蒸気と一緒のスチームの一貫した供給を可能にすることができる。
【0055】
本発明の他の実施形態は、本明細書で開示される本発明の明細書および実施の考慮事項から当業者に明らかである。本明細書および実施例は、例示的なものとしてだけ考慮され、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。