特許第6514189号(P6514189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514189
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】高濃度過酸化水素ガスストリームの供給
(51)【国際特許分類】
   C01B 15/013 20060101AFI20190425BHJP
   C01B 15/037 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C01B15/013
   C01B15/037 Z
【請求項の数】35
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-506594(P2016-506594)
(86)(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-521236(P2016-521236A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】US2014032748
(87)【国際公開番号】WO2014165637
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/824,127
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/809,256
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514238722
【氏名又は名称】ラシリック,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RASIRC,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スピーゲルマン,ジェフリー,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホルムス,ラッセル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アーヤ,ブフネシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハインライン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァレス,ダニエル,ジュニア
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03205934(US,A)
【文献】 特開昭58−064205(JP,A)
【文献】 特表2010−517737(JP,A)
【文献】 特開平11−180704(JP,A)
【文献】 特開2011−125788(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0252856(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0007916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 15/00 − 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヘッドスペースを有するボイラー中に第1の濃度の濃縮過酸化水素水溶液を準備するステップと、
(b)前記濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させて、前記ボイラーのヘッドスペース内で第2の濃度の過酸化水素を含む希薄蒸気を生成させるステップと、
(c)ボイラー内の残りの前記濃縮過酸化水素水溶液に前記第2の濃度の希薄過酸化水素水溶液を添加して、ボイラー中の過酸化水素水溶液の前記第1の濃度を維持するステップと、
(d)過酸化水素を含む前記希薄蒸気を重要プロセスまたは用途に供給するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の記載の方法において、前記ボイラー中の前記濃縮過酸化水素水溶液が前記希薄過酸化水素水溶液からその場で作製されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、供給前に前記希薄蒸気を精製アセンブリに通すことによって前記希薄蒸気から混入物質を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記精製アセンブリが、パーフッ素化イオン交換膜から形成された複数の膜を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記複数の膜が、NAFION(登録商標)膜から形成されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1項に記載の方法において、前記精製アセンブリが、スチーム精製アセンブリを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記過酸化水素水溶液を沸騰させるステップが、前記濃縮過酸化水素水溶液の温度を制御することによって達成されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記過酸化水素水溶液を沸騰させるステップが、前記ボイラーのヘッドスペース内の圧力を制御することによって達成されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記過酸化水素水溶液を沸騰させるステップが、前記濃縮過酸化水素水溶液の温度および前記ボイラーのヘッドスペース内の圧力を制御することによって達成されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、前記希薄過酸化水素水溶液の添加が、沸騰が始まるときに開始することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項3乃至6の何れか1項に記載の方法において、非揮発性であるか、または前記精製アセンブリにより排除される安定剤を添加するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記過酸化水素を含む前記希薄蒸気が、キャリヤーガスと一緒に供給されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記過酸化水素を含む前記希薄蒸気が、キャリヤーガスの使用なしに供給されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法において、前記希薄蒸気中の前記過酸化水素濃度が、0.1重量%〜15重量%であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法において、前記希薄蒸気中の前記過酸化水素濃度が、モル分率で1%〜15%であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法において、前記濃縮過酸化水素水溶液の温度が、30℃〜130℃であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載の方法において、過酸化水素を含む前記希薄蒸気の圧力が、下流バルブで制御され、0.1Torr〜2000Torrの圧力で供給されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の方法において、前記希薄過酸化水素水溶液が加圧下で添加されることを特徴とする方法。
【請求項19】
(a)第1の濃度の濃縮過酸化水素水溶液と、
(b)前記濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させ、ヘッドスペース内に第2の濃度の過酸化水素を含む希薄蒸気を生成させるために構成された前記ヘッドスペースを有するボイラーと、
(c)前記ボイラー内の前記濃縮過酸化水素水溶液に前記第2の濃度の希薄過酸化水素水溶液を添加して、前記ボイラー中の過酸化水素水溶液の前記第1の濃度を維持するために構成されたマニホールドと、を含み、
前記マニホールドは、前記過酸化水素を含む希薄蒸気を重要プロセスまたは用途に供給するようにさらに構成されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項20】
請求項19に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記ボイラー中の前記濃縮過酸化水素水溶液が、前記希薄過酸化水素水溶液からその場で作製されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項21】
請求項19または20に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記マニホールドが、前記希薄蒸気から混入物質を除去するように構成された精製アセンブリをさらに含むことを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項22】
請求項21に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記精製アセンブリが、パーフッ素化イオン交換樹脂から形成された複数の膜を含むことを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項23】
請求項22に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記複数の膜が、NAFION(登録商標)膜から形成されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項24】
請求項21乃至23の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記精製アセンブリが、スチーム精製アセンブリを含むことを特徴とする化学薬品供給システム
【請求項25】
請求項19乃至24の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記濃縮過酸化水素水溶液の沸騰が、熱源および前記ボイラーに連結された熱電対により制御されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項26】
請求項19乃至25の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記濃縮過酸化水素水溶液の沸騰が、圧力変換器および前記ボイラーに連結された制御バルブにより制御されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項27】
請求項19乃至26の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記濃縮過酸化水素水溶液の沸騰が、前記ボイラー中の過酸化水素水溶液の温度および前記ボイラーのヘッドスペース内の圧力を制御することによって制御されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項28】
請求項21乃至24の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記濃縮過酸化水素水溶液に添加される安定剤をさらに含み、前記安定剤が、非揮発性であるか、または前記精製アセンブリにより排除されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項29】
請求項19乃至28の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記過酸化水素を含む希薄蒸気が、キャリヤーガスをさらに含むことを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項30】
請求項19乃至28の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記過酸化水素を含む希薄蒸気が、キャリヤーガスの使用なしで供給されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項31】
請求項19乃至30の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記希薄蒸気中の前記過酸化水素濃度が、0.1重量%〜15重量%であることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項32】
請求項19乃至30の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記希薄蒸気中の前記過酸化水素濃度が、モル分率で1%〜15%であることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項33】
請求項19乃至32の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記濃縮過酸化水素水溶液の温度が、30℃〜130℃であることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項34】
請求項19乃至33の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記過酸化水素を含む希薄蒸気の圧力が、下流バルブで制御され、0.1Torr〜2000Torrの圧力で供給されることを特徴とする化学薬品供給システム。
【請求項35】
請求項19乃至34の何れか1項に記載の化学薬品供給システムにおいて、前記マニホールドが、加圧下で前記希薄過酸化水素水溶液を添加するよう構成されていることを特徴とする化学薬品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年4月5日に出願された米国仮特許出願第61/809,256号明細書および2013年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/824,127号明細書の優先権を主張する。
【0002】
マイクロエレクトロニスクおよび他の重要プロセス用途で使用される高濃度高純度過酸化水素ガスストリームの気相供給のための方法、システム、および装置。
【背景技術】
【0003】
種々のプロセスガスが、マイクロエレクトロニスクの製造および処理で使用され得る。さらに、種々の化学薬品が、高純度ガスを要求する他の環境、例えば、限定することなしに、マイクロエレクトロニクス用途、ウェーハ洗浄、ウェーハボンディング、フォトレジスト剥離、シリコン酸化、表面安定化、フォトリソグラフィーマスク洗浄、原子層蒸着、化学蒸着、フラットパネルディスプレイ、細菌で汚染された表面の殺菌、ウイルスおよび生物剤、工業用部品洗浄、医薬品製造、ナノ材料の生産、発電および制御装置、燃料電池、動力伝達装置、ならびにプロセス制御および純度が重要な考慮事項である他の用途を含めた、重要プロセスで使用され得る。それらのプロセスでは、特定量のある特定のプロセスガスを制御された操作条件、例えば、温度、圧力、および流量の下で供給することが必要である。
【0004】
様々な理由のために、プロセス化学薬品の気相供給は、液相供給に対して好ましい。プロセス化学薬品のために低い質量流量を必要とする用途の場合、プロセス化学薬品の液体供給は、十分に正確または清浄ではない。ガス供給は、供給の容易さ、正確さおよび純度の観点から望ましい。ガス流装置は、液体供給装置に比べて精密制御によりよく適合する。さらに、マイクロエレクトロニクス用途および他の重要プロセスは、典型的には液体供給よりも相当に容易なガス供給を行なう大規模なガスハンドリングシステムを有する。手法の一つは、使用場所またはその近くでプロセス化学成分を直接気化させることである。液体の気化により、重い混入物質を残すプロセスが得られ、したがって、プロセス化学薬品は精製される。しかしながら、安全、取扱い、安定性、および/または純度の理由のために、プロセスガスの多くは直接気化になじまない。
【0005】
マイクロエレクトロニスク用途および他の重要プロセスに使用される多くのプロセスガスがある。オゾンは、典型的には半導体の表面を洗浄するために(例えば、フォトレジスト剥離)、および酸化剤として(例えば、酸化物層または水酸化物層の形成)として使用されるガスである。従来の液系手法とは対照的に、マイクロエレクトロニス用途および他の重要プロセスにおけるオゾンガスの使用の利点の一つは、ガスが、表面上の高いアスペクト比の特徴ある構成要素に接近することができることである。例えば、国際半導体技術ロードマップ(ITRS)によれば、現在の半導体プロセスは、20〜22nm程度の小さいハーフピッチに適合していければならない。半導体の次ぎの技術ノードは、14〜16nmのハ−フピッチを有することが期待され、ITRSは、近い将来に<10nmのハーフピッチを要求している。これらの次元において、プロセス液体の表面張力が、それが深い穴または溝の底部、および高いアスペクト比の特徴ある構成要素の隅に接近するのを妨げるので、液体系化学処理は実行可能でない。したがって、オゾンガスは、同じ表面張力の制限という欠点をもたないので、液体系プロセスの特定の制限を克服するために場合によっては使用されてきた。プラズマ系プロセスも、液体系プロセスの特定の制限を克服するために用いられてきた。しかしながら、オゾン−およびプラズマ系プロセスは、とりわけ、操作のコスト、不十分なプロセス制御、望ましくない副反応、および不十分な洗浄を含めた、それら自体の一連の制限を提示する。
【0006】
より最近になって、過酸化水素がある特定の用途でオゾンの代替品として探索されてきた。しかしながら、高濃縮過酸化水素溶液は、重大な安全性および取扱いの懸念を提示し、気相中で過酸化水素の高濃度を得ることは、既存の技術を使用して可能でなかったので、過酸化水素は有用性が制限されてきた。過酸化水素は、典型的には水溶液として利用可能である。さらに、過酸化水素は比較的低い蒸気圧を有する(沸点がおよそ150℃である)ので、過酸化水素の供給に利用可能な方法および装置は、一般に十分な濃度の過酸化水素を有する過酸化水素含有ガスストリームを提供しない。様々な過酸化水素溶液の蒸気圧および蒸気組成の研究に関しては、例えば、http://hdl.handle.net/2027/mdp.39015003708784で入手可能なHydrogen Peroxide,Water C Schumb,Charles N.Satterfield and Ralph L.Wentworth,Reinhold Publishing Corporation,1955,New Yorkを参照されたい。さらに、研究によれば、真空中への供給は、さらにより低い濃度の過酸化水素をもたらすことが示されている(例えば、Hydrogen Peroxide,Schumb,pp.228−229を参照のこと)。30mmHgの真空を使用して供給された30%H水溶液の蒸気組成は、大気圧で供給される同じ溶液に予想されるもののおよそ半分程度の過酸化水素をもたらすことが予測される。
【0007】
低揮発性化合物の気相供給は、特に独特の一連の問題を示す。手法の一つは、プロセス化学品がより揮発性の溶媒、例えば、水または有機溶媒(例えば、イソプロパノール)と混合される、多成分液体供給源を提供することである。しかしながら、多成分溶液が供給される液体供給源(例えば、過酸化水素および水)である場合、多成分溶液についてのラウールの法則が関係してくる。ラウールの法則によれば、理想化された二成分溶液の場合、溶液の蒸気圧は、各成分の純溶液についての蒸気圧の加重和に等しく、ここで、重量は、各成分のモル分率である:
tot=P+P
上記式において、Ptotは二成分溶液の合計蒸気圧であり、Pは成分Aの純溶液の蒸気圧であり、xは、二成分溶液中の成分Aのモル分率であり、Pは成分Bの純溶液の蒸気圧であり、xは二成分溶液中の成分Bのモル分率である。したがって、各成分の相対モル分率は、それが液体上の気相にあるのと液相で異なる。具体的には、より揮発性の成分(すなわち、より高い蒸気圧を有する成分)は、それが液相において有するよりも気相においてより高い相対モル分率を有する。さらに、典型的なガス供給装置、例えば、バブラーの気相はキャリヤーガスにより連続的に押し流されるので、二成分液体溶液の組成、したがって、液体上のガス状ヘッドスペースは、動的である。
【0008】
したがって、ラウールの法則によれば、真空が多成分液体溶液のヘッドスペース上で引かれるか、または従来のバブラーもしくは気化器が気相中で溶液を供給するために使用される場合、液体溶液のより揮発性の成分は、揮発性が少ない成分と比較して優先的に除去される。これにより、気相中で供給され得る揮発性が少ない成分の濃度が制限される。例えば、キャリヤーガスが、30%過酸化水素/水溶液を通してバブル化される場合、わずかに約295ppmの過酸化水素が供給され、残りは、すべて水蒸気(約20,000ppm)およびキャリヤーガスである。
【0009】
多成分液体溶液がプロセスガスの供給源として使用される場合に生じる供給速度の差は、繰り返し可能なプロセス制御を困難にする。連続的に変化する混合物を避けてプロセスレシピを書くことは困難である。さらに、液体供給源の成分の連続的に変化する比率を測定するための制御は、容易に利用可能でなく、可能な場合には、それらは費用がかかり、かつプロセスに一体化するのは困難である。さらに、ある種の溶液は、液体供給源の成分の相対比率が変化する場合、危険になる。例えば、水中過酸化水素は、約75%を超える濃度で爆発性になり;したがって、過酸化水素水溶液を通して乾燥ガスをバブル化することによる過酸化水素の供給、またはこのような溶液上のヘッドスペースの排気は、安全な溶液(例えば、30%H/HO)を取り込み、75%を超える過酸化水素である危険物質にそれを変換する。したがって、現在利用可能な供給装置および方法は、多くのマイクロエレクトロニクス用途および他の重要なプロセスにおいて制御量のプロセスガスを連続的に、精密に、かつ安全に供給するには不十分である。
【0010】
したがって、これらの制限を克服し、具体的には、重要プロセス用途、例えば、マイクロエレクトロニクス製造で使用される充分に高い濃度の高純度過酸化水素の気相供給を可能にする技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
高濃度の過酸化水素ガスストリームを供給するための方法、システム、および装置が提供される。これらの方法、システム、および装置は、マイクロエレクトロニクス用途および他の重要プロセスで特に有用である。本開示の一態様は、ヘッドスペースを有するボイラー中に濃縮過酸化水素水溶液を準備するステップと、濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させて、ボイラーのヘッドスペース内に、過酸化水素を含む希薄蒸気を生成させるステップと、ボイラー内の濃縮過酸化水素水溶液に希薄過酸化水素水溶液を添加して、ボイラー中の過酸化水素水溶液の濃度を維持するステップと、および過酸化水素を含む一貫した濃度の希薄蒸気を重要プロセスまたは用途に供給するステップとを含む方法に関する。
【0012】
別の実施形態において、ボイラー中の濃縮過酸化水素水溶液は、希薄過酸化水素水溶液からその場で作製される。別の実施形態において、この方法は、供給前に希薄溶液を精製アセンブリに通すことによって希薄溶液から混入物質を除去するステップをさらに含み得る。別の実施形態において、精製アセンブリは、通過するスチームからコンデンセートストリームを生成させる。別の実施形態において、精製アセンブリは、パーフッ素化イオン交換膜から形成された複数の膜を含む。別の実施形態において、この複数の膜は、NAFION(登録商標)膜から形成される。別の実施形態において、過酸化水素溶液を沸騰させることは、濃縮過酸化水素水溶液の温度を制御することによって達成される。別の実施形態において、過酸化水素水溶液を沸騰させることは、濃縮過酸化水素水溶液の圧力を制御することによって達成される。別の実施形態において、過酸化水素水溶液を沸騰させることは、濃縮過酸化水素水溶液の温度および圧力を制御することによって達成される。別の実施形態において、希薄過酸化水素水溶液の添加は、沸騰が始まるときに開始する。別の実施形態において、この方法は、非揮発性であるか、または精製アセンブリにより排除される安定剤を添加するステップをさらに含み、すなわち、安定剤は膜を通過しない。
【0013】
本開示の別の態様は、濃縮過酸化水素水溶液、濃縮過酸化水素水溶液を沸騰させ、過酸化水素を含む希薄蒸気をヘッドスペース内に生成させるために構成されたヘッドスペースを有するボイラー、およびボイラー内の濃縮過酸化水素水溶液に希薄過酸化水素水溶液を添加して、過酸化水素を含む希薄蒸気の濃度を維持するために構成されたマニホールドを含む、化学薬品供給システムに関する。さらに、このマニホールドが重要プロセスまたは用途に過酸化水素を含む希薄蒸気を供給するようにさらに構成される化学薬品供給システム。
【0014】
別の実施形態において、ボイラー中の濃縮過酸化水素水溶液は、希薄過酸化水素水溶液からその場で作製される。別の実施形態において、マニホールドは、希薄蒸気から混入物質を除去するように構成された精製アセンブリをさらに含む。別の実施形態において、精製アセンブリは、パーフッ素化イオン交換膜から形成された複数の膜を含む。別の実施形態において、複数の膜は、NAFION(登録商標)から形成される。別の実施形態において、濃縮過酸化水素水溶液の沸騰は、熱源、およびボイラーに連結された熱電対によって制御される。別の実施形態において、濃縮過酸化水素水溶液の沸騰は、圧力変換器、およびボイラーに連結された制御バルブによって制御される。別の実施形態において、濃縮過酸化水素水溶液の沸騰は、ボイラー中の過酸化水素水溶液の温度およびボイラー中のヘッドスペースの圧力を制御することによって制御される。ある特定の実施形態において、過酸化水素を含む希薄蒸気の流量は、ボイラー溶液を加熱するために使用されるエネルギーの決定、オリフィスを隔てた圧力の変化、それらのモニリング方法の組合せ、またはこのようなシステムにおけるガス流をモニタリングするための任意の他の適切な方法によってモニターされ得る。別の実施形態において、化学薬品供給システムは、濃縮過酸化水素水溶液に添加される安定剤をさらに含むことができ、ここで、安定剤は、非揮発性であるか、または精製アセンブリにより排除され、すなわち、安定剤は膜を通過しない。
【0015】
ある特定の実施形態において、希薄蒸気中の過酸化水素濃度は、0.1重量%〜15重量%である。ある特定の実施形態において、希薄蒸気中の過酸化水素濃度は、モル分率で1%〜15%である。ある特定の実施形態において、濃縮過酸化水素水溶液の温度は、30℃〜130℃であり得る。別の実施形態において、重要プロセスまたは用途に供給される、過酸化水素を含む希薄蒸気の圧力は、下流バルブ(例えば、Teflon(登録商標)バルブ)により制御され、最高で約2000Torr、約0.1Torr〜2000Torr、約1Torr〜約2000Torr、約1Torr〜約1000Torrの圧力で供給される。ボイラーまたはSPAの下流のバルブは、過酸化水素含有ガスストリームの圧力、流量、および濃度を制御するために適用可能な操作条件の要件に従って配置され得る。ある特定の実施形態において、下流バルブは、過酸化水素含有ガスストリームと他のプロセスガスとの混合を防止する。過酸化水素含有ガスストリームの圧力、流量、および濃度を制御するために有用であるバルブの一例は、ステッパー制御ニードルバルブである。
【0016】
ある特定の実施形態において、本発明の方法、システム、および装置は、担体ガスの使用なしに過酸化水素およびスチームを含む蒸気を供給する。ある特定の他の実施形態において、過酸化水素およびスチームを含む蒸気は、担体ガスを含み、例えば、不活性ガスは、過酸化水素含有ストリームを希釈するために使用され得る。ある特定の他の実施形態において、本発明の方法、システム、および装置は、適用可能な場合、ボイラーまたはSPAの下流のバルブ(例えば、Teflon(登録商標)バルブ)によって圧力を制御することによって、大気圧または真空圧で過酸化水素をプロセスに供給する。ある特定の他の実施形態において、過酸化水素蒸気を重要プロセスまたは用途に供給する前に、いずれの残存スチームも、過酸化水素を含む蒸気のために除去され得る。
【0017】
本発明のさらなる目的および利点は、以下に続く説明において部分的に示され、部分的には、説明から明らかであるか、または発明の実施により知られ得る。本発明の目的および利点は、実施例および特許請求の範囲で特に指摘される要素および組合せによって実現および達成される。
【0018】
上述の一般的な説明および以下に詳述される説明の両方ともは、単に例示的かつ説明的なものであり、本発明を制限するものではない。
【0019】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例証し、説明と一緒に、本発明の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明のある特定の実施形態による、H供給のための方法、システム、および装置を試験するために使用することができるマニホールドの配管計装図である。
図2図2は、本発明のある特定の実施形態による、H供給のための方法、システム、および装置を試験するために使用することができるマニホールドの配管計装図である。
図3図3は、本発明のある特定の実施形態による、H供給のための方法、システム、および装置を試験するために使用することができるマニホールドの配管計装図である。
図4A図4Aは、0〜5重量%H水溶液についてのH濃度と密度との間の関係を示すチャートである。
図4B図4Bは、5〜100重量%H水溶液についてのH濃度と密度との関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
スチームを過酸化水素を供給するために使用することができる、本明細書で提供される方法、システム、および装置の実施形態が、図1図3を参照することにより示される。
【0022】
図1は、試験マニホールド100を示す。マニホールド100は、溶液111を収容するように構成され、かつボイラー110の一部にヘッドスペースを有するボイラー110を含むことができる。ボイラー110は、石英ボイラーであることができるか、または操作条件と適合する同様の材料から形成することができる。マニホールド100は、溶液111を加熱し、溶液111の一部を蒸発させるように構成されたバンドヒーター120(例えば、1100Wのヘーターバンド)およびランプ130(例えば、800W IRランプ)をさらに含むことができる。マニホールド100は、操作条件および過酸化物溶液と適合する材料から形成することができる。
【0023】
図1に示すように、ボイラー110に接続されているのは、バルブ141と流体連結していることができる圧力リリーフ管路140であることができる。バルブ141は、スクラバー151(例えば、Carulite200 4×8触媒スクラバー)と流体連結していることができる。バルブ141は、圧力リリーフバルブであるように構成することができ、これは、所定の圧力設定点で開き、ボイラー110から圧力を逃して、ボイラー110の過加圧を防止することができる。バルブ141は、PTFEから作られていることができる。さらに、ボイラー110に連結されているのは、ドレン管路160であることができ、これは、開放ドレン162に連結できる。ドレン管路160およびボイラー110と流体連結しているのは、熱電対161であることができる。熱電対161は、ボイラー110の溶液111の温度を検出することができる。さらに、コントローラ(図示せず)(例えば、Watlow EZ−Zoneコントローラ)は、熱電対161のフィードバックに基づいてバンドヒーター120およびランプ130を制御することができる。図1に示すように、やはりドレン162に連結されているのは、レベル脚170であることができる。レベル脚170は、ボイラー110の視覚測定を可能にするように構成された1/2インチPFAコンジットであることができる。バルブ163は、ドレン162とレベル脚170との間に位置づけることができ、バルブ163は、ドレン162を分離するように構成することができる。
【0024】
ボイラー110の上側部分には、蒸気がボイラー110のヘッドスペースから出て行き、マニホールド100を出ることを可能にする吐出管路180があることができる。吐出管路180は、図1に示すようにレベル脚170と流体連結していることができる。
【0025】
吐出管路180およびスクラバー151は、ヒートトレース190で巻き付けることができ、これにより、熱が発生し、巻き付けられた構成要素を通して輸送される蒸気の温度を制御することができる。蒸気の温度を制御することによって、蒸気の凝縮を減少させまたは防止することができる。
【実施例】
【0026】
実施例1
図1に示すとおりのマニホールド100を使用して、スチームによるHの供給を試験した。試験の一部として、初期容積950mlの30%Hおよび70%DI水(w/w)をボイラー110中で24分間沸騰させた。温度を試験中約108〜114℃に維持した。24分後、ボイラー110中の溶液の最終容積は567mlであった。残存溶液の試料を用いて、Antor Paar DMA 4100M Density Meterを使用して密度を測定した。密度測定値に基づいて、H濃度を計算した。0〜5%溶液の場合、濃度を計算するために用いた等式は、等式1として以下に示す。
【0027】
図4Aは、等式1により記載したとおりの、0〜5重量%H水溶液中Hの濃度と、その溶液の密度との間の線形関係を示すチャートである。5〜100重量%のH水溶液の場合、濃度を計算するために用いた等式は、等式2として以下に示す。
【0028】
図4Bは、等式2により記載したとおりの、0〜5重量%のH水溶液中Hの濃度と、その溶液の密度との間の線形関係を例証するチャートである。
【0029】
の最終濃度は41.4重量%であった。これらの測定値に基づいて、HおよびHOの両方について消費速度および供給速度を計算した。H消費速度は約1.29ml/分であり、H2O消費速度は約14.6ml/分であった。Hガス供給速度は約1.3slmであり、HOガス供給速度は約18.3slmである。これらのガス供給速度は、溶液の初期および最終濃度に基づいて平均化した。以下の表1は、試験のパラメータおよび結果の一部を示す。
【0030】
表1のデータは、溶液の濃度が補給溶液なしに数分で変化し、24分で11.2重量%増加し得ることを例証する。この変化率は、濃度を数分以内に危険範囲にさせ得る。
【0031】
本明細書で提供される方法、システムおよび装置の態様による別の実施形態を、図2に示すように、マニホールド200を参照することにより以下に記載する。マニホールド200は、さらなる構成要素とともに図1を参照して上に記載したとおりのマニホールド100のすべての構成要素を含むことができる。マニホールド200は、精製アセンブリ210を含むことができる。
【0032】
様々な実施形態によれば、精製アセンブリは、操作条件と適合する膜接触器であることができる。例えば、精製アセンブリは、参照により本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許第8,287,708号明細書に記載された装置と同様に構成されたスチーム精製アセンブリ(SPA)であることができる。
【0033】
精製アセンブリ210は、マニホールド200の吐出管路180とプロセス排気口211との間に位置することができる。精製アセンブリ210は、例えば、パーフッ素化イオン交換膜、例えば、NAFION(登録商標)膜から形成された複数の膜を含むことができる。ある特定の実施形態において、膜は、イオン交換膜、例えば、交換可能なイオンを含有するポリマーである。好ましくは、イオン交換膜は、フッ素含有ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレンコポリマー(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレンコポリマー(PFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレンエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレンコポリマー、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン六フッ化プロピレン−四フッ化エチレンターポリマー、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、およびフッ素化熱可塑性エラストマーである。
【0034】
マニホールド200は、補給供給液220、補給管路230、制御バルブ240、およびセンサ250をさらに含むことができる。補給供給液220は、制御バルブ240と流体連結していることができ、制御バルブ240は、補給管路230およびレベル脚170と流体連結していることができる。センサ250は、レベル脚170に位置することができ、レベル脚170において溶液のレベルを検出するように構成することができるか、またはレベル脚170において特定のレベルで溶液の存在を単に検出することができる。センサ250は、制御バルブ240と流体連結していることができ、センサ250からの信号に基づいて、制御バルブ240を開放、閉鎖、または部分的開放(例えば、1〜99%開放)に位置づけることができる。制御バルブ240の位置に基づいて、さらなる補給供給液220を、レベル脚170に供給することができる。補給供給液220は、加圧することができる。例えば、15〜20psigの窒素ガスを補給供給液220に連結して、供給液を加圧することができる。
【0035】
マニホールド200は、コンデンセート管路260をさらに含むことができ、これは、精製アセンブリ210と流体連結していることができる。コンデンセート管路260は、精製アセンブリ210からコンデンセートを吐出して、コンデンセートをオリフィス261に通し、コンデンセートを収集するように構成された容器262にコンデンセートを吐出するように構成することができる。オリフィス261は、例えば、0.008インチサファイアオリフィスであることができる。代わりの実施形態において(図示せず)、コンデンセート管路260は、加熱スクラバーと液体連結していることができ、これは、コンデンセートの収集の必要性をなくすように構成することができる。
【0036】
吐出管路180、スクラバー151、および精製アセンブリ210は、ヒートトレース190で巻き付けることができ、これは、熱を発生させ、巻き付けられた構成要素を通して輸送される蒸気の温度を制御することができる。蒸気の温度を制御することによって、蒸気の凝縮を減少させ、または防止することができる。
【0037】
実施例2
図2に示すとおりに、マニホールド200を使用して、上に記載したとおりに、過酸化水素含有ガスストリームをSPAである精製アセンブリ210に通すことを含めて、スチームによるHの供給を試験した。実施例2では、レベル脚170への補給供給液220による溶液の補給はなく、したがって、バルブ240は、試験の期間閉じたままであった。試験の一部として、初期容積950mlの30%Hおよび70%DI水(w/w)を石英ボイラー110中で35分間沸騰させた。温度は試験中約112〜125℃に維持した。温度は、熱電対161からの読取り値に基づいて、ヒートバンド120およびランプ130を制御することによって維持した。
【0038】
35分後、石英ボイラー110中の溶液の最終容積は、785mlであった。Hの最終濃度は、33.08重量%であった。これらの測定値に基づいて、HおよびH2Oの両方について消費速度および供給速度を計算した。H消費速度は約0.49ml/分であり、HO消費速度は約4.2ml/分であった。Hガス供給速度は約0.47slmであり、HOガス供給速度は約5.2slmであった。これらのガス供給速度を、溶液の初期および最終濃度に基づいて平均化した。実施例2と比較した実施例3の結果により例証するように、沸点は、精製アセンブリ210により生じた背圧の結果としての圧力増加のために、精製アセンブリ210の使用とともに上昇した。さらに、供給速度は、適所にある精製アセンブリ210の使用とともに低下した。さらに、精製アセンブリ210は、Hスチームと適合し、試験の結果として精製アセンブリ210内の膜破裂および化学的分解の証拠はなかった。
【0039】
上に記載したとおりのマニホールド200を使用して、実施例2および実施例3に示すとおりの過酸化水素濃度を有するプロセスガスを供給した。しかしながら、試験の結果としてボイラー内の溶液の減少およびH濃度の増加のために試験の期間は、かなり短く維持され、これは、液相および/または気相中の危険なH濃度をもたらし得る。したがって、本開示の利点は、試験中にボイラー内で濃縮H溶液に希薄H溶液を添加することによって、最大でほとんど連続操作モードまで、試験の期間またはマニホールドの操作時間を延長する能力である。実施例3には、本明細書で開示される方法およびシステムのある特定の実施形態によって、ボイラー内のヘッドスペースからの希薄蒸気の引き抜きの維持をもたらすボイラー110内の濃縮溶液の濃度を維持するように、試験中にマニホールド200に希薄H溶液を添加した試験が記載されている。したがって、重要プロセスに供給されるガス状過酸化水素のモル濃度は、液体過酸化水素濃度の当量の供給によって均衡して維持される。
【0040】
任意選択により、マニホールド200は、圧力制御管路140と流体連結した圧力変換器310をさらに含むことができる。圧力変換器310は、Teflon製圧力変換器、ステンレススチール製圧力変換器などであることができる。圧力変換器310は、ボイラー110内の圧力を読み取るように構成することができる。さらに、圧力変換器310は、バルブ141と流体連結していることができ、一緒にそれらは、ボイラー110内の圧力を設定点に制御することができる。バルブ141はまた、スクラバー151の前に位置して、本発明の下流の変動圧力を調整することができる。したがって、マニホールド200は、マニホールド100と同じ温度または圧力によってボイラー110(すなわち、沸騰)を制御するように構成することができる。さらに別の実施形態において、マニホールド200は、温度および圧力の両方によってボイラー110を制御するように構成することができる。希薄溶液の供給圧力は、20torrから2bargの範囲であり得ることが企図される。
【0041】
本明細書で提供される方法、システム、および装置のある態様による別の実施形態を、図3に示すとおりに、マニホールド400を参照することにより以下に記載する。マニホールド400は、マニホールド200に関して記載した一部の構成要素とともに、図1を参照して上に記載したとおりのマニホールド100の構成要素のすべてを含むことができる。例えば、マニホールド100からの構成要素のすべてに加えて、マニホールド400は、補給供給液220、補給管路230、制御バルブ240、およびセンサ250をさらに含むことができる。マニホールド400は、適当な濃度を有する補給供給液220でボイラー110を補給することによってボイラー内の溶液および蒸気の濃度を維持できることを試験するように構成することができる。
【0042】
実施例3
図3に示すとおりに、マニホールド400を使用して、精製アセンブリ210にスチームを通すことなしに、スチームによるHの供給を試験した。試験の一部として、初期容積882mlの39.2%Hおよび60.8%DI水(w/w)をボイラー110で35分間沸騰させた。温度を試験中約113〜115℃に維持した。温度は、熱電対161からの読取り値に基づいて、ヒートバンド120およびランプ130を制御することによって維持した。試験中、補給供給液220は、10〜18psigの圧力で9.9%Hおよび90.1%HO(w/w)の溶液を含んだ。初期の補給供給液220の容積は531mlであった。
【0043】
35分後、ボイラー110中のH溶液の最終濃度は、40.8重量%であった。補給供給液220の最終容積は、67mlであった。H蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約1.35slmであると計算された。以下の表2は、試験のパラメータおよび結果の一部を示す。
【0044】
実施例3は、35分後の39.2%Hの濃度が、40.8%にわずかに1.6%増加したことを例証する。したがって、実施例3は、H濃度を、本開示のシステムおよび方法を用いて実質的に維持および制御できることを例証する。
【0045】
実施例4
図2に示すとおりのマニホールド200を使用して、上に記載したとおりに、SPAである精製アセンブリ210に過酸化水素含有ガスストリームを通すことを含めて、スチームによるH2O2の供給を試験した。2つの試験を、それぞれ35分間行なった。第1の試験は、ボイラー中20.4%H水溶液で行い、第2の試験は、ボイラー中44.5%H水溶液で行った。
【0046】
第1の試験の試験パラメータおよび結果は、以下の表3に示す。
【0047】
第1の試験についてのH蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約0.34slmであると計算された。
【0048】
第2の試験の試験パラメータおよび結果は、以下の表4に示す。
【0049】
蒸気供給速度は、ラウールの法則に基づいて、約0.77slmであると計算された。
【0050】
実施例1〜実施例4は、本発明のある態様によるシステムの総H生産量が、適当な補給溶液濃度と合わせて、ボイラー中の溶液濃度およびH蒸気供給速度を維持することができることを実証する。表6は、50℃および130℃で異なる重量%のHのHボイラー水溶液に必要な補給溶液の範囲を示す。
【0051】
補給濃度は、参照により本明細書に組み込まれる、Schumb,Satterfield,and Wentworth(1995)による“Hydrogen Peroxide”に見出される等式を使用して計算した。
【0052】
様々な実施形態によれば、ボイラーは石英ボイラーであることができ、マニホールドの様々な構成要素は、操作条件と適合する材料、例えば、ステンレススチール、PFA、またはPTFEから作られていることができる。このような材料は、比較的高い純度のプロセスガスの生産に役立つことができる。
【0053】
様々な実施形態によれば、安定剤は、ボイラー内の溶液に添加することができ、これは、非揮発性であるか、または膜により排除され、すなわち、安定剤は、膜を通過しない。安定剤の添加は、本方法およびプロセスの安全性を増進させることができる。
【0054】
別の実施形態によれば、希薄H/HO溶液は、ボイラー中に導入することができ、希薄溶液は、濃縮溶液を形成するまで沸騰させることができる。一旦濃縮溶液に到達すると、さらなる消失は、ボイラーヘッドスペースに失われた蒸気を補うために追加の希薄H溶液を添加することにより補給することができる。したがって、これは、Hの希薄蒸気およびスチームを供給することができる。この方法は、ボイラー中の濃縮過酸化水素溶液が、希薄過酸化水素水溶液からその場で作製されることを可能にする。これは、ボイラー内の気相ヘッドスペースを均衡化するために希薄溶液供給を使用することにより、H蒸気と一緒のスチームの一貫した供給を可能にすることができる。
【0055】
本発明の他の実施形態は、本明細書で開示される本発明の明細書および実施の考慮事項から当業者に明らかである。本明細書および実施例は、例示的なものとしてだけ考慮され、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B