特許第6514196号(P6514196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514196
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】自転車サドル
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
   B62J1/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-526540(P2016-526540)
(86)(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公表番号】特表2016-523770(P2016-523770A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014064874
(87)【国際公開番号】WO2015007622
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】VI2013A000182
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513201664
【氏名又は名称】セッレ・エッセエンメピ・ソチエタ・イン・アッコマンディタ・センプリチェ・ディ・マウリツィオ・スキアヴォーン
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】スキアヴォーン,フランコ
(72)【発明者】
【氏名】スキアヴォーン,マウリツィオ
【審査官】 福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−509047(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/107520(WO,A1)
【文献】 特開2012−162255(JP,A)
【文献】 特表2008−509032(JP,A)
【文献】 特表2009−541104(JP,A)
【文献】 特開2007−186075(JP,A)
【文献】 米国特許第06106059(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0236875(US,A1)
【文献】 特開2007−137416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に対して対称的に配置された2つの同一の部分(30、31)を有する自転車サドルであって、
(15)が、前記長手方向軸において提供され、
記溝は、上方から下方に開き、前記サドルの中間部分からその前部にかけて延びる前記2つの部分を分離し、
記溝は、前部よりも後部で実質的に広い幅を有し、
記2つの部分は、凹部によって後部において分離され、当該凹部は、あり継ぎ形状を前記サドルの後部に与える2つの点(7、8)によって側部において画定され、
記凹部は、前記溝の後縁内で終端するくぼみ(5)を伴って継続し、
記2つの部分は、徐々に狭くなるよう意図された、前記溝(15)を横方向に画定する延長部(9、10、および11、12)を伴って継続し、
記延長部は、側部から見て、鳥のくちばし形状をとるほぼ円形形状の前端部(13)によって互いに接合する、自動車サドルにおいて、
記2つの部分(30、31)が、後端部において、これらが、前記溝のそばにある前記延長部(9、10)に到達するまで、ほぼ平坦な領域(1、2)を有し、当該平坦領域(1、2)上には、前記サドルが使用されている間、ユーザの殿筋が載せられるよう意図され、当該平坦領域(1、2)は、自転車の車輪が載る地面に対してほぼ平行であることを特徴とする、自転車サドル。
【請求項2】
前記サドルの上側表面全体には、いかなる詰め物も有さないことを特徴とする、請求項1に記載のサドル。
【請求項3】
前記サドルは、当該サドルの一部の領域(3、4)内詰め物(40)を有することを特徴とする、請求項1に記載のサドル。
【請求項4】
前記サドルは、前記詰め物(40)が上方に存在する支承本体(5)を有し、前記支承本体内の、ちょうど詰め物を有する領域(3、4)が中に存在する部分に対応する部分内に、上方向に向く凹面(16、17)が存在することを特徴とする、請求項3に記載のサドル。
【請求項5】
前記サドルは、詰め物(40)が上方に存在する支承本体(50)を有し、前記支承本体は、底部において、前記自転車の座席支柱に固定されるようにフォーク部(14)によって支持され、前記支承本体内には、前記フォーク部14の端部が内側に通される2つの前ポケット(21、22)と、前記後部において、前記フォーク部14を支承本体(50)に硬く固定された状態に保つようにねじ(23)によって固定された、いくつかのプレート(18、19)とが存在することを特徴とする、請求項1に記載のサドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の概要部分による自転車サドルに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を専門的にまたは愛好家として乗るどのような人も、たとえば、競技の場合または自身の娯楽的活動を行うためだけに、特に長時間連続して乗るときに、サドルを使用する上で大きな問題に直面することが知られている。
【0003】
実際、サドルに長時間座り、地面の凹凸によってユーザが自身の会陰部内に不可避的に受ける衝撃によって増悪した結果、会陰部構造の大きな血管圧迫が生じ、これは、陰茎の感度において大きな低減を招き得る。
【0004】
これらの欠点を回避するために、本発明の発明者の一人は、文献の欧州特許第1590229A号および欧州特許第1781528A号を含むさまざまな特許の目的であったサドルを考案した。これらの特許文献の導入部分では、自転車サドルの長期的使用による陰茎内の血流の低減に関するいくつかの科学的研究が引用されるなどのように、現況技術の数多くの文献が引用されている。
【0005】
基本的には、前述の2つの特許は、底部から上部にかけて開く長手方向の溝によって長い部分にわたって分離された2つの同一の部分を有するタイプの自転車サドルを説明している。ユーザの陰茎が、サドルの中央および前部において、またサドル自体の前端部の特に鳥のくちばし形状によって最適な収容を有しつつ、前記サドルはその後部において、坐骨結節の最適な収容を可能にする。
【0006】
このすべては、前述の文献においてよく説明され示されている。
【0007】
実施された数多くの試験および実験は、そのような特許文献において説明された解決策がいかに良好かつ効果的であるかを明白に保証することを可能にし、実際、これらに説明されたサドルは、かなり多くの国々で大きな商業的成功を有している。特に、そのような文献において説明されたサドルは、傾けられた後部分を有して、ユーザの坐骨結節の最適な位置決めを正に可能にしている。しかし、自転車を使用し、したがってそのサドルに座るユーザは、多種多様な方法および異なる状況においてそのようにすることが考えられなければならない。たとえば、さまざまなユーザの中で見出され得る、臀部の重量、高さ、および身体構造の非常に多くの多様性を考える。さらに、これらの同じユーザは、類似の身体構造を有する場合であっても、異なる習慣および嗜好を有し得る。
【0008】
最後に、自転車は、男性および女性のユーザの両方によって、ならびに子供によって使用されるという事実、また、時折、ユーザは、陰茎−生殖器部内に問題を有するという事実も考える(たとえば、特に特定の年齢者の男性ユーザの前立腺肥大の深刻な問題を考える)に値する。
【0009】
特に、上記で引用されたサドルの後部は、実際の使用状態に置かれると、水平に対して前方向に傾けられ、これは、一部の自転車に乗る人が一層力を入れる場合に認識する、臀部を前後に滑らす動きがサドル上で行われることを妨げる。
【0010】
換言すれば、一部のタイプの自転車に乗る人にとって、前述の文献によるサドルは、ほとんどの自転車に乗る人にとって極めて効果的であり有用でありながらも、快適なものではなく、使用「しにくい」ものである。
【0011】
現況技術の他の文献は、欧州特許第2673183A号、欧州特許第1778537A号、および米国特許第2007210625A号である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の文献に示されたものに構造的に類似するが、ユーザの個々の身体的特徴および個々の自転車の使用習慣の両方による、特定のタイプのユーザに特に適するようにするのに適した特別な特徴を有する自転車サドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これは、本発明にしたがって、特許請求項1の特徴付け部分の特徴によってサドルを成形することによって得られる。
【0014】
本発明は、次に、添付された図表を用いて非限定的な例として与えられた、その特定の実施形態を参照して詳細に示され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるサドルの斜視図である(表I)。
図2】本発明によるサドルの支持本体の斜視図である(表II)。
図3】本発明によるサドルの長手方向中央セクションの図である(表III)。
図4】坐骨結節が載せられる、本発明によるサドルの後部の断面図である(表IV)。
図5】特に恥骨弓が載せられる領域内の、本発明によるサドルの中間部分の断面図である(表V)。
図6】本発明によるサドルの下方からの平面図である(表VI)。
図7】サドルの上方に配置された坐骨結節および恥骨弓の、会陰底部の構造の切開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この図では、そのような要素は、以下の参照を用いて示される。
【0017】
a−肛門
b−b−殿筋
c−尾骨
d−d−坐骨結節
e−前立腺
f−f−外陰部動脈
g−深陰茎背静脈
h−深陰茎背動脈
i−i−恥骨弓
l−陰茎
m−睾丸
n−陰茎体
図1に見られ得るように、本発明によるサドル60は、長手方向に、その長手方向軸に対して対称的に配置された2つの同一の部分30、31を有する。前記長手方向軸において、上方から下方に開く溝15が存在し、この溝は、前記2つの部分を、サドルの中間部分から前部にかけて分離する。後部では、前記溝は、約30〜35mmに等しいより大きい幅を有し、次いで、狭くなり、約10〜20mmに等しい一定の幅でこれがサドルの前端部13に到達するまで進む。
【0018】
後部に戻れば、2つの同一の部分30、31は、凹部6によって互いから分離され、凹部6は、あり継ぎ形状をサドルの後部に与える2つの点7、8によって側部において画定される。前記凹部6は、くぼみ5を伴ってサドルの前部に向かって進み、くぼみ5は、ちょうど中央溝15の後縁のところで終端する。凹部6の側部には、殿筋(図7のb−bを参照)が載せられる領域1、2が存在する。これらの領域1、2は、坐骨結節(図7d−dを参照)が載せられる領域3、4を伴って前部に進む。図1に戻れば、領域3、4は、延長部9、10、次いで11、12を伴って進む。
【0019】
線y−y(図5も参照)においては、恥骨弓(図7のi−iを参照)もまたサドル上に載る。この位置では、延長部9、10は、約40〜50mmに等しい全長を有し、次いで、延長部11〜12を伴って、約30°〜45°の傾斜で下方向に進み始め、ほぼ半円に成形される端部13に到達するまで徐々に狭くなる。サドルの前部は、側部から見て、実質的には鳥のくちばし形状をとる。
【0020】
図3を観察すれば、本発明によるサドル内では、殿筋が載る領域1および2の上側表面が、サドルが、実際の位置決め状態で自転車上に配置されたとき、地面(w−w)に対してほぼ水平に(線z−z)配置されることが理解され得る。これは、自転車に乗る人が、極限状態で乗る間、ペダル位置を変更することなく前後に問題なく動くことを可能にする。さらに、この「水平」状態は、前述の文献による、サドルの使用に関してより快適かつ実用的である。
【0021】
これは、特に、ペダル作用中、サドル上で前後に動くことができることを好む自転車に乗る人に当てはまる。
【0022】
再度図3において、サドルの支持フォーク部14が、その本体50に固定され、このとき一部分14’は、地面(w−w)に対して約10°に傾けられることも理解され得る。
【0023】
図4では、特定の実施形態において、坐骨結節が、たとえば、約10〜15mmに等しい厚さを有する発泡ポリウレタンエラストマーから作製された詰め物40によって、領域3、4において支持されることが可能であることが理解され得る。しかし、サドルがそのような詰め物を有さなくてもよい。図2では、サドルの可視部分の下の、プラスチック材料から作製された支承本体50上において、ちょうど前述の領域3、4のところに2つの凹面部16、17が存在し、これらは、上方向に進む凹面を有して、坐骨結節の端部の収容をより良好に助けることが理解され得る。
【0024】
図5を観察すれば、恥骨弓(i)は、約10〜15mmに等しい厚さの発泡ポリウレタンエラストマーから作製された詰め物40によって支持され、それによって前記恥骨弓が、人体の臀部の重量下で、逆に剛性プラスチック材料からなる、下にある本体50に接触しないことを可能にすることが理解され得る。
【0025】
領域3、4内、および延長部9〜10内の詰め物40の存在は、本発明によるサドルにおいて重要であり、実際、本発明によるサドルの場合に溝(15)の内側に収容される陰茎体(n)から、前立腺(e)から、ならびに陰茎(l)からのものであるはずの支持を有さないことにより、詰め物40は、坐骨結節および恥骨弓が、本発明によるサドルの使用を極めて困難および苦痛にするであろう、剛性プラスチック材料から作製された下にある本体50との接触を有することなく、人体の臀部の重量を支持することを可能にする。
【0026】
上側表面水平部を有し、会陰の構造のための収容手段を有さない、市場で見られる、特に競技用自転車向けの自転車サドルにおいて、坐骨結節(特に恥骨弓)が、前立腺の、陰茎体の、および陰茎の支持を利用することに留意されなければならない。明確なことに、前述の生理学的要素は、人体の臀部の重量(特に神経血管構造)の存在によって押しつぶされる。これは、長期的に見て、男性および女性の両方において泌尿生殖器に関して深刻な問題を引き起こす。
【0027】
図6では、特に支承本体50、座席チューブのクランプが固定されるフォーク部14、フォーク部14の端部が内側に通される、事前作製された前部ポケット21および22、および後部において、各々がフォーク部の上方にあり、これを本体50に硬く固定された状態に保つために4つのねじ23を用いて固定されたプレート18および19を見ることが可能である。
【0028】
実施された試験は、競技者および愛好家の両方の数多くのユーザが、前述の文献において説明されたサドルより本発明によるサドルを使用することを好み、これは、個々の身体的特徴によるもの、またはペダル作用およびサドル上の着席の個々のスタイルによるものになり得ることを確立することを可能にする。
【0029】
基本的に、本発明によるサドルでは、前述の特許において説明されたサドルを見出していないユーザが、そのようなサドルに存在する明確な利点および革新的な特徴(主に傾斜された前部分を備えた中央溝、その中間部の個々の形状、支持フォーク部など)から利益を得ることも可能であり、その理由は単に、そうでなければ、ユーザは、強く強いられた位置に留められると感じ、前後に容易に動くことができる方法を有さないためである。
〔態様1〕
長手方向軸に対して対称的に配置された2つの同一の部分(30、31)を有する自転車サドルであって、溝(15)が、前記長手方向軸において提供され、前記溝は、上方から下方に開き、サドルの中間部分からその前部にかけて延びる前記2つの部分を分離し、前記溝は、前部よりも後部で実質的に広い幅を有し、前記2つの部分は、凹部6によって後部において分離され、前記凹部6は、あり継ぎ形状を前記サドルの後部に与える2つの点(7、8)によって側部において画定され、前記凹部は、前記中央溝の後縁内で終端するくぼみ(5)を伴って継続し、前記2つの部分は、徐々に狭くなるよう意図された、前記溝(15)を横方向に画定する延長部(9、10、および11、12)を伴って継続し、前記延長部は、側部から見て、鳥のくちばし形状をとるほぼ円形形状の前端部(13)によって互いに接合する、自動車サドルにおいて、前記2つの部分(30、31)が、前記後端部において、これらが、前記中央溝のそばにある前記延長部(9、10)に到達するまで、ほぼ平坦な領域(1、2)を有し、前記平坦領域(1、2)上には、前記サドルが使用されている間、ユーザの殿筋が載せられるよう意図され、前記平坦領域(1、2)は、前記自転車の車輪が載る地面に対してほぼ平行であることを特徴とする、自転車サドル。
〔態様2〕
前記上側表面全体には、いかなる詰め物も有さないことを特徴とする、態様1に記載のサドル。
〔態様3〕
一部の領域(3、4)内で詰め物(40)を有することを特徴とする、態様1に記載のサドル。
〔態様4〕
詰め物(40)が上方に存在する支承本体(5)を有し、前記支承本体内の、ちょうど詰め物を有する領域(3、4)が中に存在する部分に対応する部分内に、上方向に向く凹面(16、17)が存在することを特徴とする、態様3に記載のサドル。
〔態様5〕
詰め物(40)が上方に存在する支承本体(50)を有し、前記支承本体は、底部において、前記自転車の座席支柱に固定されるようにフォーク部(14)によって支持され、前記支承本体内には、前記フォーク部14の端部が内側に通される2つの前ポケット(21、22)と、後部において、前記フォーク部14を支承本体(50)に硬く固定された状態に保つようにねじ(23)によって固定された、いくつかのプレート(18、19)とが存在することを特徴とする、態様1に記載のサドル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7