特許第6514253号(P6514253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514253
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】環境に優しい吸収性構造体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20190425BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20190425BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   A61F13/532 210
   A61F13/539
   A61F13/15 329
【請求項の数】13
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-44493(P2017-44493)
(22)【出願日】2017年3月9日
(62)【分割の表示】特願2013-534198(P2013-534198)の分割
【原出願日】2011年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-124209(P2017-124209A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】10447026.5
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513094217
【氏名又は名称】ドライロック テクノロジーズ エンフェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ファン マルデレン,バルト
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−061230(JP,A)
【文献】 国際公開第1995/021596(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、幼児用おむつ、幼児用パンツまたは成人用失禁衣類であり、
前記吸収性物品は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、吸収性構造体とを含み、
前記吸収性構造体が、
−キャリア層と、
−補助層と、
−前記キャリア層と前記補助層との間に提供される、吸収性ポリマー材料を含む吸収材料とを備え、
−実質的に永久的な一次取り付け部および実質的に一時的な二次取り付け部が、前記キャリア層と前記補助層とを少なくとも部分的に互いに結合し、
−前記取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、化学結合、接着剤、硬化および/または超音波プロセスによって少なくとも部分的に形成され、それによって、前記実質的に一時的な二次取り付け部が、前記吸収性構造体を液体に曝露させる結果として遊離される一方、前記実質的に永久的な一次取り付け部が、実質的に無傷の状態を維持して、前記吸収性構造体に液体管理表面構造を提供し、
−前記一次および二次取り付け部は、前記吸収性構造体が濡れて膨潤した状態にあるときに、前記吸収性構造体の長手方向に延在する少なくとも第1および第2の長手方向液体誘導チャネルを形成するとともに、前記長手方向に延在する少なくとも第1、第2および第3の長手方向堤防を形成するように構成され、前記第1の長手方向液体誘導チャネルが、前記第1の長手方向堤防と前記第2の長手方向堤防との間に延在し、前記第2の長手方向液体誘導チャネルが、前記第2の長手方向堤防と前記第3の長手方向堤防との間に延在し、
−前記吸収性構造体が、前記キャリア層と前記補助層との間に結合部および/または接合部が実質的に存在しない取り付けられていない領域を含み、前記吸収材料が、前記取り付けられていない領域に配置されており、
−前記取り付けられていない領域が、連続的に接続されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、前記二次取り付け部が、前記一次取り付け部に接続されていないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品において、前記第1、第2および第3の長手方向堤防の各々が、複数の個別の二次取り付け部を含む領域と一致することを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1または2に記載の吸収性物品において、前記第1、第2および第3の長手方向堤防の各々が、複数の円形および/またはドット形状の二次取り付け部を含む領域と一致することを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の吸収性物品において、前記一次および二次取り付け部が、前記吸収性構造体の第1および第2の終端部の近傍に少なくとも第1および第2の横方向液体誘導チャネルを形成するように構成され、その結果、前記吸収性構造体が濡れて膨潤した状態にあるときに、前記第1および第3の長手方向堤防を含む周辺堤防が形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の吸収性物品において、前記吸収材料が、吸収材料のパターンに沿って前記キャリア層と前記補助層との間に分布し、前記吸収材料のパターンが、ほぼ連続的に接続されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の吸収性物品において、前記吸収性構造体上の吸収材料の重量分布が、前記吸収性物品の液体侵襲点付近に相対的に多くの吸収材料が存在するような分布となっていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の吸収性物品において、前記実質的に一時的な二次取り付け部の少なくとも一部またはすべてが、取り付け媒体としての少なくとも1種類の接着剤またはバインダーを用いて形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の吸収性物品において、前記二次取り付け部が二次結合領域に位置し、前記二次結合領域が、弱い二次結合領域と強い二次結合領域とからなり、前記弱い二次結合領域が、前記強い二次結合領域よりも速く遊離することを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性物品において、前記弱い二次結合領域が、前記吸収性構造体の周辺部に配置され、それにより、前記吸収性構造体の長手方向および/または終端部の近くでの前記吸収材料の主要で容易な膨張が可能となり、それによって前記吸収性構造体中に閉じ込めまたは漏れ防止の障壁が形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性物品において、前記吸収性構造体が、セルロースを実質的に含有しないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項11に記載の吸収性物品において、前記吸収材料の少なくとも80%が吸収性ポリマー材料であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の吸収性物品において使用する吸収性構造体の製造方法において、
−キャリア層を提供するステップと、
−前記キャリア層を吸収材料で覆うステップと、
−前記キャリア層に連結可能な補助層で前記吸収材料を覆うステップと、
−実質的に永久的な一次取り付け部および実質的に一時的な二次取り付け部によって、前記キャリア層と前記補助層とを少なくとも部分的に互いに結合させるステップであって、前記実質的に一時的な二次取り付け部が、前記吸収性構造体を液体に曝露させる結果として遊離される一方、前記実質的に永久的な一次取り付け部が、実質的に無傷の状態を維持して、前記吸収性構造体に液体管理表面構造を提供するように、前記取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、化学結合、接着剤、硬化および/または超音波プロセスによって少なくとも部分的に形成される、ステップとを含み、
−前記一次および二次取り付け部は、前記吸収性構造体が濡れて膨潤した状態にあるときに、前記吸収性構造体の長手方向に延在する少なくとも第1および第2の長手方向液体誘導チャネルを作るとともに、前記長手方向に延在する少なくとも第1、第2および第3の長手方向堤防を作るように形成され、前記第1の長手方向液体誘導チャネルが、前記第1の長手方向堤防と前記第2の長手方向堤防との間に延在し、前記第2の長手方向液体誘導チャネルが、前記第2の長手方向堤防と前記第3の長手方向堤防との間に延在することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば個人向け衛生産業において使用される吸収性物品(たとえば女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、成人用失禁衣類)などの吸収性製品に好ましくは使用するための、環境に優しい吸収性構造体に関する。本発明は、そのような吸収性構造体を含む吸収性物品、および前記吸収性構造体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造、販売、デザイン、フィット感、着用感、分配、廃棄物処理、材料およびエネルギーの消費、輸送費および保管費などの種々の問題を解決するために、可撓性でより薄く軽量の吸収性構造体に対する要求が高まっている。
【0003】
吸収性構造体を形成するためにセルロース繊維のマトリックス中に吸収性粒子状ポリマー材料を導入することで、吸収性粒子状ポリマー材料による液体の吸収、分散、および維持が可能となり、同時にセルロース繊維マトリックスがグリッドとして機能して、吸収性粒子状ポリマー材料が所望の位置に維持されることが、当技術分野において知られている。しかし、通常は木材パルプまたはフラッフであるセルロース繊維が存在すると、比較的厚く嵩高い製品が得られ、フラッフの製造方法は、樹木の伐採と、種々の化学物質での木材パルプの処理とを伴い、原材料および最終製品の輸送は、通常、比較的長距離にわたって行われるので、製品および方法はあまり環境に優しくないと考えられる。したがって、木材パルプを使用せずにそのような吸収性構造体を製造することが望まれている。
【0004】
1つ以上のキャリア層に結合した吸収材料からなる可撓性で薄く軽量の吸収性構造体を製造するために、多くの試みが行われている。しかし、吸収材料、結合材料、および/またはキャリア材料の間の物理的および/または化学的相互作用によって、機能的および/または構造的要求にもかかわらず、吸収、分散、および/または保持性能の低下が生じることが多い。
【0005】
乾燥状態、部分的または最大限に液体が充填された状態のいずれにおいても、吸収性構造体が吸収材料を保持できるような方法で、吸収材料を吸収性構造体に区画化、束縛、および/または結合することによって、吸収材料を少なくとも部分的に固定することが重要であることが分かっている。上記の十分な構造的完全性を得ることができないと、吸収性構造体の凝集、吸収、および/または保持性能などの機能的性能の低下、ならびに部分的または全体的な破壊が生じる。
【0006】
さらに、液体取り込み中の吸収材料の膨張および/または膨潤が過度に制限されないことも同様に重要であり、その理由は、これによっても吸収性構造体の吸収および/または保持性能に対して悪影響が生じるからである。
【0007】
吸収性構造体中の吸収材料をしっかり固定することと、使用中に吸収材料が、依然として十分に、自由に膨張および膨潤できることとの間で妥協するための多くの試みが行われており、個人向け衛生産業における吸収性物品のとの関連では、そのようなものとして、たとえば以下のものが挙げられる。
【0008】
米国特許第4381783号明細書には、吸収性ポリマー材料のポケットを含む吸収性構造体を含む吸収性物品が開示されている。これらのポケットは、特に吸収性物品に身体滲出物が部分的または最大限に充填されたときに、吸収性ポリマー材料の移動を制限するために設けられる。これらのポケットは、吸収剤収納層の一部を形成し、典型的にはセルロース繊維から形成される。したがって、この特許の教示により吸収性ポリマー材料を十分に固定するためには、比較的多量のセルロース繊維材料が必要であるので、吸収性物品のコスト、嵩高さ、および剛性が増加し、吸収性ポリマー材料の膨張および/または膨潤性能が大きく低下し妨害される。このようなポケットを提供することで、吸収性コアのより多くの吸収性領域、たとえば吸収性ポリマー材料の領域への液体の自由な分散が妨げられることもある。
【0009】
国際公開第95/17868号パンフレットには、2つの繊維層および1つの中間層を含む吸収性構造体が開示されている。この中間層は、120g/mを超える量の吸収性ポリマー材料と、熱可塑性材料の粒子とを含む。この構成は、確実に、乾燥状態の吸収性ポリマー材料の良好な固定が行われるが、液体が充填された状態では、より不十分な固定のみが得られうると思われる。熱可塑性材料は、吸収性ポリマー材料の生じうる膨潤よりもはるかに少ない程度で延伸すると思われる。したがって、特に吸収性構造体が、多量の身体滲出物を吸収し保持する吸収性物品、たとえばおむつまたはパンツに使用される場合、この特許に開示される吸収性構造体は、十分満足できるものにはならない場合がある。
【0010】
欧州特許第724418号明細書には、別個の複数のポケット中に配置された吸収性ポリマー材料を含む吸収性物品が開示されている。この吸収性物品は、第1および第2のキャリア層と、これらのキャリア層をともに固定し複数のポケット領域を提供するための感水性取り付け手段とを含む。この物品は、前記ポケット領域中に配置される吸収性ポリマー材料を含む。感水性取り付け手段は、吸収性ポリマー材料が身体滲出物に曝露したときに吸収性ポリマー材料の膨潤によって生じる分離力よりも小さい湿潤強度を提供する。この吸収性物品は、物品が乾燥しているときには、選択された方法でポケット中に吸収性ポリマー材料がよりしっかりと配置され収容される吸収性構造体が提供されると記載されている。しかし、ポケットの構成のため、特に感水性取り付け手段が選択されたため、物品に液体が部分的または最大限に充填されたときには、これらのポケットを制御できない。したがってこの吸収性物品は、部分的または最大限に液体が充填された状態で吸収材料を十分に固定できず、そのため機能的/構造的な欠陥が生じると考えられる。
【0011】
欧州特許第1447066号明細書には、物品に最大限または部分的に身体滲出物が充填されたときの吸収性ポリマー材料の固定が改善される、吸収性物品用の吸収性コアが記載されている。不織基材層と、基材層に結合してそれらの間に空隙を画定するためのホットメルト接着剤の形態の熱可塑性材料層と、これらの空隙中に保持される吸収材料とを含む吸収性物品に有用な吸収性コアが、特に開示されている。しかし、吸収材料を十分に固定するためには、多量の熱可塑性材料を使用する必要があり、それによってコスト画より高くなり、製品の剛性がより高くなる。また、その内部凝集のため、熱可塑性材料層によって圧力が発生し、吸収材料の自由な膨潤に対して抵抗が生じる。さらに多量の熱可塑性材料は、吸収性ポリマー材料の遮蔽および/または遮断を引き起こすことが多く、それによって吸収および保持性能が低下しうる。したがって、この吸収性コアは、液体が充填された状態で吸収材料を十分に固定しないと考えられる。さらに、熱可塑性材料、のり、または接着剤の使用は、天然の再生可能資源ではない化学物質を含有し、複雑な化学製造プロセスに基づいているので、あまり環境に優しくないと考えられる。したがって、多量の熱可塑性材料、のり、バインダー、および接着剤を使用することなく、このような吸収性構造体を製造することが望まれている。
【0012】
以上の試みでは、前述の問題に対する様々な方法が記載されているが、これらの吸収性構造体はいずれも、あまり実行しやすい吸収性物品とはならないと考えられる。吸収能力が使用されないままであり、複雑な製造プロセスのために、上記吸収性物品は技術的、経済的、および/または環境的に有利とならない。
【0013】
また、多くの従来技術の吸収性構造体は、主要な捕捉層および/または収容層中に吸収材料が比較的均一に分散され、したがって前記領域中で実質的に均一な膨潤を示す。第2、第3、および引き続く液体の侵襲(insult)の場合、これらの吸収材料は、少なくとも部分的に濡れ、特定の液体で膨張し膨潤した状態になると、一般に液体取り込みおよび/または吸収能力が低下するために、これらの吸収層が液体障壁として機能しうる。これによって、速度が低下し、液体の吸収および分散が遅くなり、その結果、余分な漏れが発生する。
【0014】
上記の問題は、吸収性物質が吸収性ポリマー材料であり、それが狭い股間幅にわたって過度に、ならびに実質的に均一および連続に分布している、使い捨ての幼児用おむつなどの吸収性物品に対して通常は発生する。吸収性コア中に使用される場合の典型的な多い量の吸収性ポリマー材料(特に約5〜35%を超える量)では、「ゲルブロッキング」と呼ばれる現象が生じやすい。
【0015】
ゲルブロッキングは、流体侵襲物と最初に接触する領域に配置された吸収性ポリマー材料が、流体を吸収した結果として体積が増加し始め、それによってヒドロゲルを形成する場合に生じる。吸収性ポリマー材料濃度が高く、濡れている場合、ヒドロゲルは、最初のおよび/または追加の流体が、吸収性コアのさらに別の吸収領域へ到達するのを阻止しすることがあり、それによって評価されない、不十分な、および/または使用されない吸収能力が生じる。
【0016】
ゲルブロッキングおよびヒドロゲル化が生じると、液体の取り込み、分散、および/または保持が非常に遅くなったり制限されたりすることがあり、その結果、吸収性物品の使用中に漏れが発生しうる。この問題を軽減するため、吸収性物品の設計者は、追加のサイドカフ、漏れバリア、および/または捕捉および分散層を備えて、通常は使用しているが、これらは費用がかかり非効率的であり、これらの問題および制限の一部のみしか軽減できない。
【0017】
したがって、身体滲出物の吸収、分散、および保持の間に効果的で効率的な流体管理が行われる、少なくとも部分的にクラスター化、固定、および/または束縛された吸収材料を有する吸収性構造体を本質的に含み、従来技術の問題を克服する、吸収性物品中に使用するための改善された薄く可撓性で軽量の吸収性構造体が、当技術分野において依然として必要とされている。さらに、高い製造速度、ならびに低いエネルギーおよび原材料消費で、そのような吸収性構造体を製造するための方法および装置も必要とされている。
【0018】
さらに、本発明は、改善された吸収性構造体、およびその中に使用される要素、ならびにそのような構造体を使用する吸収性物品において、吸収性構造体表面積の比較的大きな比率にわたる初回および連続の両方の排出から、吸収した液体を初回および連続で放出、分散、および輸送することで、着用者から排出された流体を効果的および効率的に吸収し、そのように排出された流体を効果的および効率的に蓄積することができる吸収性コアの中および/または上に一体化された流体管理構造体を使用する吸収性物品を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0019】
前述の問題、派生する問題、および関連する問題に対処するための徹底調査の結果として、本発明者らは、優れた流体管理が、以下により詳細に説明する吸収性構造体によって実現できることを見いだした。
【0020】
特に、本発明は、吸収性物品中に使用するための実質的にセルロースを含有しない吸収性構造体において:
a)キャリア層と;
b)補助層と;
c)前記キャリア層および前記補助層の間に提供される吸収性ポリマー材料を含む吸収材料と;
d)吸収性ポリマー材料を少なくとも部分的に固定するために、前記キャリア層および前記補助層を互いに連結する取り付け部とを含み、取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、および/または超音波的プロセスによって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする吸収性構造体を提供する。
【0021】
本発明の一実施形態による吸収性構造体は、改善された液体の吸収、分散、および保持特性を特徴とする。本発明によって提供される吸収性構造体は、吸収性ポリマー材料などの吸収性コア中の吸収材料の利用が増加するため有利である。
【0022】
本発明による吸収性構造体は、液体の吸収、分散、および/または保持に関して改善された効率および有効性を有する可撓性で薄く軽量の吸収性構造体を使用することが望ましい個人向け衛生産業(たとえば女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、成人用失禁衣類)、ならびに多くの他の産業および用途に特に有用である。さらなる一態様において、本発明は、本発明によって提供される吸収性構造体を含む吸収性物品を提供する。本発明の一実施形態による吸収性物品は、控えめな快適性を有する改善されたフィット感を有する。
【0023】
別の一態様において、本発明は、吸収性物品中に使用するための吸収性構造体の製造方法において:
−キャリア層を提供するステップと;
−キャリア層を吸収材料で覆うステップにおいて、前記吸収材料が
i)吸収性ポリマー材料と
ii)吸収性ポリマー材料の重量を基準として0〜約10重量パーセント未満の量の吸収性繊維状セルロース系材料と
を含むステップと;
−キャリア層に連結可能な補助層で吸収材料を覆うステップと;
−補助層をキャリア層に連結し、それによってそれらの間にポケットを画定する取り付け部を形成するステップにおいて、吸収性ポリマー材料が少なくとも1つのポケットの中に維持されるステップとを含み、
取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、および/または超音波的プロセスによって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、方法を提供する。
【0024】
永久的または取り外し可能な固定および/または束縛手段によって限定される従来技術の従来の既存の吸収性物品および方法が、不十分な吸収性、分散、および保持パラメーターと、限定された可撓性、フィット感、および着用感とが得られるのとは異なり、本発明は、あらかじめ画定され十分に管理された永久的および取り外し可能な取り付けグリッドを有する区画を含有する吸収材料を有することによって、関連し誘導される種々の問題を克服する。
【0025】
より具体的には、本発明は、区画内での吸収材料の膨張および膨潤を増加させることができ、同時に、今までは十分活用されず評価されていなかった吸収性ポリマー材料クラスターの内部または間にさらなる分散および輸送が行われる。
【0026】
それによって、本発明は、乾燥状態、部分的および最大限に液体が充填された状態で吸収材料の効果的な区画化および束縛を行うだけでなく、部分的および最大限に液体が充填された状態で吸収性構造体中の利用可能な原材料の効率および有効性を大きく増加させることもでき、全体の吸収性および保持能力が増加し、ゲルブロッキングを制限し、再び濡れにくくし、漏れを最小限にする。
【0027】
上記問題、派生する問題、および関連の問題に対処するための徹底調査の結果、本発明者らは、前述のものと同じ原理に基づくと、同様に優れた流体および液体管理が吸収性構造体によって実現できることを見いだし、これについては以下により詳細に説明する。
【0028】
本発明による好ましい一実施形態において、吸収性構造体は:
a)キャリア層と;
b)吸収材料を収容するための少なくとも1つのポケットを間に画定するために、キャリア層に連結された補助層と;
c)少なくとも1つのポケットに収容される吸収材料と、
d)キャリア層を補助層に取り付けるための取り付け手段であって、吸収性構造体がある量の液体に曝露したときに、実質的に永久的な一次取り付け手段および実質的に一時的な二次取り付け手段を含む取り付け部とを含む取り付け手段とを含み、
乾燥状態で、吸収性構造体が実質的に等しい厚さとなり、
湿潤状態で、実質的に一時的な二次取り付け手段の脱離、および/または区画内の吸収材料の特異な膨潤によって、吸収性構造体が液体管理表面構造を提供するように、
取り付け部が提供される、および/またはポケット内の吸収材料が選択されたことを特徴とする。
【0029】
本発明の一実施形態による吸収性構造体は、改善された液体の吸収、分散、輸送、および保持特性、増加した漏れ防止性、ならびにより低いリウェット値を特徴とする。本発明の一実施形態による吸収性構造体は、吸収性ポリマー材料および吸収性粒子状ポリマー材料などの吸収性構造体中の吸収材料の利用が増加するため有利である。本発明の一実施形態による吸収性構造体によって提供される一体化された流体管理によって、利用可能な吸収材料がより効率的に利用されるため、より効果的で効率的な吸収性構造体を有するより薄く可撓性で軽量の吸収性物品は、高い吸収性能を得ることが可能となり、比較的短時間での比較的多量の流体の複数回の排出をも含む比較的多量の排出液体を取り扱うことが可能となる。本発明の一実施形態による吸収性構造体によって、改善された快適性、フィット感、および分離性を有する吸収性物品を得ることもできる。
【0030】
本発明のさらなる有利な特徴、態様、および詳細は、以下に詳細に説明される従属請求項、解説、および図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の一実施形態による吸収性構造体の上面概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による吸収性構造体の断面概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による無傷の乾燥状態の吸収性構造体の断面概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態による吸収性構造体の上面概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による吸収性構造体の上面概略図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による取り付けグリッドおよびパターンの上面概略図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による部分的に濡れた状態の吸収性構造体の断面概略図であり、一次取り付け部および二次取り付け部を示している。
図8図8は、本発明の一実施形態による部分的に濡れた状態の吸収性構造体の断面概略図であり、横漏れを軽減するための段階的な拡張を示している。
図9図9は、従来技術の一実施形態による乾燥状態の吸収性構造体の断面概略図である。
図10図10は、従来技術の一実施形態による濡れた状態の吸収性構造体の断面概略図である。
図11図11は、本発明の一実施形態による乾燥状態の吸収性構造体の断面概略図である。
図12図12は、本発明の一実施形態による濡れた状態の吸収性構造体の断面概略図である。
図13図13は、本発明の実施形態による一次結合グリッドおよび二次結合パターンの上面概略図である。
図14図14は、本発明の一実施形態による吸収性構造体の上面概略図であり、段階的拡張を示している。
図15図15は、本発明の一実施形態による乾燥状態の図13の吸収性構造体の断面概略図である。
図16図16は、本発明の一実施形態による濡れた状態の図15の吸収性構造体の断面概略図である。
図17図17は、本発明による吸収性物品の好ましい一実施形態としてのおむつの平面図であり、上部の層は部分的に切り取られている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、吸収性製品中、好ましくは女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの個人向け衛生産業の吸収性物品中に使用するための吸収性構造体;ならびにその方法および製造に関する。
【0033】
他に定義されるのでなければ、技術用語および科学用語などの本発明の開示に使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらなるガイダンスによる、用語の定義は、本発明の教示をより十分に理解するために含まれている。
【0034】
本明細書において使用される場合、以下の用語は以下の意味を有する:
本明細書において使用される場合、「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに他のことを示すのでなければ、単数および複数の両方の指示物を意味する。例として、「1つの区画(a compartment)」は、1つまたは2つ以上の区画を意味する。
【0035】
パラメーター、量、時間の長さなどの測定可能な値に言及する場合に本明細書において使用される「約」は、以下の変動が本開示の発明の実質に適切である限りにおいて、指定の値のおよび指定の値からの、±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、さらにはより好ましくは±1%以下、さらにより好ましくは±0.1%以下の変動を含むことを意味する。しかし、修飾語「約」によって言及される値自体も明確に開示されるものと理解されたい。
【0036】
本明細書において使用される場合、「吸収性物品」、「吸収性衣類」、「吸収性製品」、「吸収物品」、「吸収衣類」、「吸収製品」などは、同義で使用され、身体滲出物を吸収し含有する機構を意味し、特に、身体から排出された種々の液体を吸収し含有するために、着用者の身体に対してまたはその近傍に配置される機構を意味する。吸収性物品としては、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、成人用失禁衣類、種々のおむつおよびパンツのホルダー、ライナー、タオル、吸収インサートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において使用される場合、「吸収性コア」は、身体滲出物の吸収および/または保持に有用な液体吸収性材料を含む吸収性構造体の三次元部品を意味する。
【0038】
本明細書において使用される場合、「吸収性成分」は、吸収性構造体の構造的構成要素、たとえば、マルチピース吸収性コア中の複数の部品の中の1つなどの吸収性コアの1部品を意味する。
【0039】
本明細書において使用される場合、「吸収性要素」は、特定の機能に好適な特定の液体取り扱い特性を有する1種類以上の材料から形成された、吸収性構造体の機能性構成要素の一部、たとえば、液体捕捉層、液体分散層、または液体貯蔵層を意味する。
【0040】
本明細書において使用される場合、「吸収インサート」は、吸収性物品中に挿入するために適合しており、そのように挿入したときに吸収性構造体として機能する機構を意味する。
【0041】
本明細書において使用される場合、「吸収層」は、吸収性構造体の個別の識別可能なシート状またはウェブ状の要素を意味する用語を意味し、これは、別のそのような要素に対して分離したままで比較的移動可能であってよいし、別のそのような要素と永久的に結合したままとなるように取り付けたり連結したりすることもできる。各吸収層自体は、類似または種々の組成の数個の層、シート、および/またはウェブの積層体または組み合わせを含むことができる。
【0042】
本明細書において使用される場合「吸収性ポリマー材料」、「吸収性ゲル化材料」、「AGM」、「高吸収剤」、「高吸収材料」、「高吸収性ポリマー」、「SAP」などは、同義で使用され、Centrifuge Retention Capacity試験(EDANA 441.2−01)を使用して測定してその重量の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも約10倍以上の0.9%塩水溶液を吸収できる任意の好適な粒子状(たとえば、フレーク状、粒子状、顆粒状、または粉末状)または繊維状の架橋ポリマー材料を意味する。
【0043】
本明細書において使用される場合、「吸収性ポリマー材料領域」は、隣接する層が多数の吸収性ポリマー材料で分離される吸収性構造体の領域を意味する。吸収性粒子状ポリマー材料領域中のこれらの隣接層の間の付随的な接触は、意図的であっても(たとえば結合領域)、意図的でなくてもよい(たとえば製造の人工産物)。
【0044】
本明細書において使用される場合、「吸収性粒子状ポリマー材料」は、乾燥状態で流動性となるように粉末、顆粒、フレークなどの粒子状形態である吸収性ポリマー材料を意味する。
【0045】
本明細書において使用される場合、「吸収」は、液体が材料中に取り込まれる過程を意味する。
【0046】
本明細書において使用される場合、「捕捉層」、「捕捉領域」、「捕捉表面」、または「捕捉材料」などは、より速い液体取り込み能力を有する層を意味する。
【0047】
「吸収性」は、毛細管現象、浸透圧作用、溶媒作用、化学的作用、またはその他の作用を含む種々の手段によって流体を取り込む材料の能力である。
【0048】
本明細書において使用される場合、「成人用失禁衣類」は、失禁する成人が着用することが意図された、身体滲出物を吸収し含有するための吸収性物品を意味する。
【0049】
本明細書において使用される場合、「接着力」は、異なる材料をそれらの界面で互いに維持する力を意味する。
【0050】
本明細書において使用される場合、「接着剤」は、溶液中または加熱した場合に流動性である場合も流動性でない場合もある材料であって、材料を互いに結合させるために使用される材料を意味する。
【0051】
本明細書において使用される場合、「吸着」は、材料の表面によって液体が取り込まれる過程を意味する。
【0052】
本明細書において使用される場合、「エアレイする」は、繊維または粒子を空気流中に分散させ、圧力または真空によって空気流から移動スクリーン上にそれらを凝縮させることによってウェブを形成することを意味し;エアレイによって製造された繊維のウェブを本明細書においては「エアレイド」と呼び;布の完全性を得るために1つ以上の技術によって結合させたエアレイドウェブを、本明細書では「エアレイド不織布」と呼ぶ。
【0053】
本明細書において使用される場合、「見掛け密度」、「密度」は、サンプルの坪量を厚さで割った値を意味し、その値では適切な単位換算が行われている。本明細書において使用される見掛け密度は、単位g/cmを有する。
【0054】
本明細書において使用される場合「取り付ける」、「取り付けた」、および「取り付け」は、用語「固定する」、「貼る」、「留める」、「のりでつける」、「結合する」、「連結する」、および「結び付ける」の同等語と同義である。
【0055】
本明細書において使用される場合、「幼児用おむつ」は、使用者が脚の間に引き上げ、着用者の腰の周囲で固定する、子供が着用し、身体滲出物を吸収し含有することが意図された吸収性物品を意味する。
【0056】
本明細書において使用される場合、「幼児用パンツ」は、身体滲出物を吸収し含有するために子供の胴体下部を覆うことが意図された、子供のおむつから下着への移行期に使用するために販売される吸収性物品を意味し、この物品は、パンツ衣類のように一般に構成され、腰回り部分が完成した状態で製造され、そのため使用者が着用者の腰の周囲で物品を固定する必要がなくなる。
【0057】
本明細書において使用される場合、「背面領域」は、着用者の背面の近くに配置されることが意図される吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0058】
本明細書において使用される場合、「裏地」は、製品の裏面を支持し補強するウェブまたは他の材料を意味する。
【0059】
「坪量」は、グラム/平方メートル、g/m、またはgsmの単位で報告されるサンプルの単位面積当たりの重量である。
【0060】
本明細書において使用される場合「身体滲出物」、「身体性滲出物」、「身体性流体」、「体液」、「身体性排出物」、「身体排出物」、「液体」などは、同義で使用され、尿、血液、膣分泌物、母乳、汗、および糞便を意味するが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本明細書において使用される場合、「バインダー」、「接着剤」、「のり」、「樹脂」、「プラスチック」などは、同義で使用され、一般に固体形態(たとえば粉末、フィルム、繊維)、または発泡体として、または液体形態(たとえばエマルジョン、分散液、溶液)であり、たとえば含浸、吹き付け、印刷、発泡体塗布などによって使用され、機能的および/または構造的成分、要素、および材料の取り付けまたは結合のために使用される、たとえば感熱接着剤および/または感圧接着剤、ホットメルト、熱活性化接着剤、熱可塑性材料、化学活性化接着剤/溶媒、硬化性材料などの物質を意味する。
【0062】
本明細書において使用される場合、「結合強度」は、結合した表面の間の接着の量を意味する。これは、結合する基部から材料層を分離するのに必要な応力の尺度の1つである。
【0063】
本明細書において使用される場合、「毛細管現象」、「毛細管作用」、または「毛細管運動」などは、多孔質媒体を通過する液体の流動の現象を意味するために使用される。
【0064】
本明細書において使用される場合、「シャーシ」は、その上に物品の構造体の残りの部分が組み立てられる、または重ねられる、吸収性物品の基礎的な構成要素を意味し、たとえばおむつにおいては、着用するために構成される場合におむつをブリーフまたはパンツの形状にする構造的要素であり、たとえばバックシート、トップシート、またはトップシートとバックシートとの組み合わせである。
【0065】
本明細書において使用される場合、「セルロース繊維」は、たとえば綿、リネンなどのセルロースを主成分とする天然繊維を意味し;木材パルプ繊維はセルロース繊維の一例であり;再生セルロース(レーヨン)、あるいは部分または完全アセチル化セルロース誘導体(たとえば酢酸セルロースまたは三酢酸セルロース)などのセルロースから誘導される人造繊維もセルロース繊維と見なされる。
【0066】
本明細書において使用される場合、「クラスター」などは、粒子および/または繊維の集塊を意味する。
【0067】
本明細書において使用される場合、「化学硬化繊維」、化学修飾繊維」、「化学架橋繊維」、「捲縮繊維」などは、同義で使用され、乾燥条件および水性条件の両方の下で、たとえば化学硬化剤の添加(たとえばコーティング、含浸などによって)、繊維自体の化学構造の変化(たとえばポリマー鎖の架橋などによって)などによって、繊維の剛性を増加させるために化学的手段で硬化させた任意の繊維を意味する。
【0068】
本明細書において使用される場合、「凝集力」は、類似の材料を互いに分離することに対する抵抗性を意味する。
【0069】
本明細書において使用される場合、「区画」は、室、空隙、ポケットなどを意味する。
【0070】
本明細書において使用される場合、「comprise」(含む)、「含むこと」(comprising)、および「含む」(comprises)、ならびに「構成される」(comprised of)は、「含む」(include)、「含むこと」(including)、「含む」(includes)、または「含有する」(contain)、「含有すること」(containing)、「含有する」(contains)と同義であり、その目的語の存在、たとえばある成分の存在を明示しており、従来技術で周知または開示されている追加の記載されていない成分、特徴、要素、部材、ステップの存在を排除および除外するものではない、包括的な用語または制限のない用語である。
【0071】
本明細書において使用される場合、「カバーストック」は、下にある吸収性コア材料を収容し隠すために使用される軽量不織材料を意味し;例は、女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類の吸収性コアを覆うフェーシング層または材料である。
【0072】
本明細書において使用される場合、吸収性物品の「クロッチ領域」は、吸収性物品の全長(すなわち、y寸法)の約50%を意味し、ここで、クロッチ点は、クロッチ領域の長手方向中央に位置する。すなわち、クロッチ領域は、最初に吸収性物品クロッチ点の位置を特定し、次に吸収性物品の全長の25%の距離の前方および後方で測定することによって求められる。
【0073】
本明細書において使用される場合「横方向(CD)」、「側方」、または「横断方向」などは、同義で使用され、長手方向と直交する方向を意味し、横断方向の±45°の範囲内の方向を含んでいる。
【0074】
本明細書において使用される場合、「硬化」は、通常は加熱してその場所にとどまらせることで、樹脂、バインダー、またはプラスチックを、布の中または上で硬化させる過程を意味し;硬化は、溶媒の除去または架橋によって行うことができ、それによってそれらを不溶性にすることができる。
【0075】
本明細書において使用される場合「おむつ」、「従来のおむつ」、「おむつ状」、「おむつ状衣類」などは、同義で使用され、接着テープファスナー、またはフックループファスナーなどの従来のファスナーによって使用中に着用者の臀部付近で取り外し可能に接続可能な前ウエスト部および後ウエスト部を典型的には含む使い捨ての吸収性物品を意味する。使用中、この物品は、着用者の脚の間に配置され、ファスナーがおむつの後ウエスト部を前ウエスト部に固定するために取り外し可能に取り付けられ、それによってウエスト付近でおむつが固定される。前ウエスト部および後ウエスト部は、比較的延伸できないまたは延伸可能な部材によって接続される(本明細書において使用される場合、用語「延伸可能」は、材料に力が加えられたときに伸びることができる材料を意味し、伸びに対してある程度の抵抗が生じる)。したがって、このような物品は、ファスナーが取り付けられたときに、一般に引っ張ることで着用者の臀部上を上下できるようには構成されていない。
【0076】
「使い捨て」は、洗濯、あるいは他の方法での保管または再使用が意図されていない物品を示すために本明細書において使用される(すなわち、これらは、1回の使用後に排気されることが意図されており、好ましくは、環境に適合した方法での再資源化、堆肥化、またはその他の方法での廃棄が意図されている)。
【0077】
本明細書において使用される場合、「分散層」、「分散領域」、「分散表面」、または「分散材料」などは、同義で使用され、液体を吸い上げる、分散させる、および分布させる能力がより多い層を意味する。
【0078】
本明細書において使用される場合、「ドライレイする」は、乾燥繊維から不織ウェブを製造する方法の1つを意味し;これらの用語は、カードウェブの形成、および不規則なウェブのエアレイによる形成に適用され;ドライレイによって製造された繊維のウェブを本明細書では「ドライレイド」と呼び;布の完全性を得るために1つ以上の技術によって結合させたドライレイドウェブを、本明細書では「ドライレイド不織布」と呼ぶ。
【0079】
本明細書において使用される場合、「乾燥強度」は、指定の条件下で乾燥させた直後、または標準的な実験室雰囲気である時間のコンディショニングを行った後の、乾燥状態の条件で測定される接着部の強度を意味する。
【0080】
本明細書において使用される場合、「布」は、繊維、フィラメント、および/またはヤーンから製造されたシート構造体を意味する。
【0081】
本明細書において使用される場合は、「女性用衛生衣類」は、身体性滲出物を吸収および含有するために女性によって着用することが意図された吸収性衛生物品を意味する。
【0082】
本明細書において使用される場合は、「繊維」は、不織布、ヤーン、および生地が製造される基本的な糸状構造体を意味する。その幅の少なくとも4倍の長さを有することが粒子とは異なり;「天然繊維」は、動物(羊毛、絹)、植物(綿、亜麻、ジュート)、または鉱物(アスベスト)起源のいずれかであり、一方、「人造繊維」は、化合物(ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリルなど)から合成されたポリマー、または改質天然ポリマー(レーヨン、アセテート)または無機物(ガラス)のいずれかであってよい。「繊維」および「フィラメント」は同義で使用される。
【0083】
本明細書において使用される場合、「フラッフパルプ」はドライレイするために特に製造された木材パルプを意味する。
【0084】
本明細書において使用される場合、「前方領域」は、着用者の前方の近くに配置されることが意図された吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0085】
本明細書において使用される場合、「衣類に対向する層」は、そのような要素が存在する場合のバックシート、サイドパネル、ウエストファスナーなどのシャーシの要素を意味する。
【0086】
本明細書において使用される場合、「熱活性化接着剤」は、組立体に熱、あるいは熱および圧力を加えることによって粘着性または流動性になる乾燥接着剤を意味する。
【0087】
本明細書において使用される場合、「ヒートシール接着剤」は、隣接する接着面の一方または両方に熱が加えられることによって接着面の間で溶融する熱可塑性接着剤を意味する。
【0088】
本明細書において使用される場合、「ハイロフト」は、低密度、厚い、または嵩高い布の一般用語を意味する。
【0089】
本明細書において使用される場合、「ホットメルト接着剤」は、加熱すると急速に溶融し、冷却すると硬化して強い結合を形成する固体材料を意味し;ほとんど瞬間的な結合のために使用される。
【0090】
本明細書において使用される場合、「親水性」は、水によって濡れるまたは水を吸収する場合の親和性を有することを意味する。
【0091】
本明細書において使用される場合は、「疎水性」は、水によって濡れるまたは水を吸収する場合の親和性を有しないことを意味する。
【0092】
本明細書において使用される場合、「固定層」は、吸収材料および/または吸収層を結合および/または固定する目的で吸収性ポリマー材料または吸収性ポリマー材料領域に取り付けることができる層を意味する。
【0093】
本明細書において使用される場合、「連結する」、「連結した」、および「連結」は、ある要素を直接別の要素に取り付けることによって、ある要素が別の要素に直接固定される構成、およびある要素を1つまたは複数の中間部材に取り付け、次にこの中間部材を別の要素に取り付けることによって、ある要素が別の要素に間接的に固定される構成を含むことを意味する。
【0094】
本明細書において使用される場合、「編成」は、針または類似の道具を用いて繊維のループを絡み合わせる技術を意味する。
【0095】
「層」は、吸収性物品の識別可能な構成要素を意味し、「層」と呼ばれるいずれの部分も、実際には、必要な種類の材料の数枚のシートまたはウェブの積層体または組み合わせを含むことができる。本明細書において使用される場合、用語「層」は、用語「複数の層」および「層状」を含む。「上部」は、着用者に対向する層にもっとも近く対向している吸収性物品の層を意味し;逆に、用語「下部」は、衣類に対向する層にもっとも近く対向している吸収性物品の層を意味する。「層」は、x寸法の幅と、y寸法の長さと、z寸法の厚さまたはキャリパーとを有する三次元構造体であり、前記x−y寸法は、実質的に物品の面内にあるが、本発明による吸収性物品の種々の部材、層、および構造体は、全体的に平面であっても、そうでなくてもよく、任意の所望の構成の形状または断面であってよいことに留意されたい。
【0096】
本明細書において使用される場合、「機械方向(MD)」、「長手方向」などは、同義で使用され、構造体の最大直線寸法に対して平行な方向を意味し、長手方向の±45°以内の方向を含む。
【0097】
本明細書において使用される場合、「主面」は、全体的に平面またはシート状の構造要素の最大の広さの表面を表し、これらの表面を、末端および側端の小さい方の表面と区別するために使用される用語を意味し、すなわち、ある長さ、ある幅、およびある厚さを有する要素において、厚さは3つの寸法の最小のものであり、主面は、長さと幅とによって画定される面であり、したがって最大の広さを有する。
【0098】
本明細書において使用される場合、「質量流」は、チャネルフロー作用によって、ある吸収性要素または構成要素から別の吸収性要素または構成要素への液体の流動を意味する。
【0099】
本明細書において使用される場合、「機械的結合」は、絡ませることによって繊維を結合させる方法を意味する。これは、繊維のニードリング、ステッチングによって、あるいは高圧空気または水のジェットの使用などによって行うことができる。
【0100】
本明細書において使用される場合、「不織布」は、摩擦および/または粘着および/または接着によって結合した一定方向または不規則に配向した繊維で製造されたシート、ウェブ、またはバットを意味し、紙は除外され、追加のニードリングが行われる場合も行われない場合もある、製織、編成、タフティング、結合用の糸またはフィラメントが組み込まれるステッチボンディング、または湿式粉砕によるフェルト化による製品も除外される。繊維は、天然であっても、人造であってもよく、ステープルまたは連続フィラメントであってもよいし、その場で形成されてもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mmを超える範囲の直径を有し、これらは、短繊維(ステープル繊維、またはチョップドファイバーと呼ばれる)、連続単繊維(フィラメントまたはモノフィラメント)、連続フィラメントの撚りのない束(トウ)、および連続フィラメントの撚りがかけられた束(ヤーン)のいくつかの形態で販売されている。不織布は、メルトブロー、スパンボンド、溶剤紡糸、エレクトロスピニング、およびカーディングなどの多くの方法で形成することができる。不織布の坪量は、通常、g/平方メートル(gsm)の単位で表される。
【0101】
本明細書において使用される場合「パンツ」、「トレーニングパンツ」、「閉鎖型おむつ」、「事前締結済みおむつ」、「プルオンおむつ」、および「おむつパンツ」などは、同義で使用され、典型的には、最初に両足をそれぞれの脚開口部に誘導し、次にパンツを着用者の足から腰および臀部を覆うウエスト領域まで引き上げることに着用者に装着され、着用者の腰の上で引き上げたり引き下げたりすることができる吸収性物品を意味する。典型的には、このような物品は、一体型または取り外し可能な部材によって着用者の腰の周囲で接続しうる前ウエスト部および後ウエスト部を含むことができる。パンツは、限定するものではないが、再締結可能なおよび/または再締結不可能な結合(たとえば、シーム、溶着、接着剤、粘着結合、ファスナーなど)を使用して物品の複数の部分を互いに連結することなどの任意の好適な技術によって予備成形することができる。パンツは、物品の周囲に沿った任意の場所で予備成形することができる(たとえば、側部締結、前ウエスト締結)。
【0102】
本明細書において使用される場合、「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、たとえば、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマーなど、ならびにそれらのブレンドおよび変性物を意味するが、これらに限定されるものではない。具体的に他に限定されるのでなければ、用語「ポリマー」は、分子の任意の可能な空間配置を含んでおり、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダムな対称性を含むが、これら限定されるものではない。
【0103】
本明細書において使用される場合は、「後部」は、着用者の背面の近くに配置されることが意図される吸収性物品またはその一部の部分を意味する。
【0104】
本明細書において使用される場合、「樹脂」は、固体または半固体のポリマー材料を意味する。
【0105】
本明細書において使用される場合、「実質的にセルロースを含有しない」は、その薄さ、可撓性、および吸収性に実質的に影響を与えずに20重量%未満のセルロース系繊維を含有する、10%未満のセルロース系繊維を含有する、5%未満のセルロース系繊維を含有する、セルロース系繊維を含有しない、または微量以下のセルロース系繊維を含有する吸収性物品、構造体、またはコアを意味する。
【0106】
本明細書において使用される場合、「熱結合」は、熱および/または高圧を使用することによって繊維を結合させる方法を意味する。
【0107】
本明細書において使用される場合、「熱可塑性」は、ある溶融温度を有し、融点以下の熱を加えることで流動させたり所望の形状に成形したりすることができるポリマー材料を意味する。
【0108】
本明細書において使用される場合、「超音波的」は、振動によって局所的に熱を発生させ、それによって熱可塑性繊維を互いに結合させるための高周波音の使用を意味する。
【0109】
本明細書において使用される場合、「水吸収性」、「液体吸収性」、「吸収性」、「吸収」などは、同義で使用され、少なくとも水を吸収するが、典型的には他の水性流体、および典型的には少なくとも尿または血液などの身体滲出物の他の部分をも吸収する化合物、材料、製品を意味する。
【0110】
本明細書において使用される場合、「着用者に対向する層」は、そのような要素が存在する場合のトップシート、レッグカフ、およびサイドパネルなどの吸収性物品の内面を形成するシャーシの要素を意味する。
【0111】
本明細書において使用される場合、「製織」は、2組以上のヤーンを直角に折り合わせて布を形成する方法を意味し;製織によって製造された繊維のウェブは、本明細書において「織布」と呼ばれる。
【0112】
本明細書において使用される場合、「ウェブ材料」は、一方向、すなわち長手方向の広がりまたは長さ、またはウェブ材料に対してデカルト座標のx方向で実質的に終わりのない材料を意味する。この用語には、実質的に終わりのない材料から切断または他の方法で分離された実質的に制限のない一連の断片が含まれる。必要ではないが、多くの場合、ウェブ材料は、長手方向の広がり(すなわちx方向)よりもはるかに小さい厚さ寸法(すなわちz方向)を有する。典型的には、ウェブ材料の幅(y方向)は、厚さよりもはるかに大きいが、長さよりは小さい。必要ではないが、多くの場合、このような材料の厚さおよび幅は、ウェブの長さに沿って実質的に一定である。限定の意図はまったくないが、このようなウェブ材料は、セルロース系繊維材料、ティッシュペーパー、織布または不織布材料などであってよい。必要ではないが、典型的には、ウェブ材料は、ロール形態、またはスプール上、または箱の中で折りたたまれた状態で供給される。個別の配送物は、次に実質的に終わりのない構造体を形成するために互いに継ぎ合わせることができる。ウェブ材料は、多層不織布、コーティングされたティッシュペーパー、不織布/フィルム積層体などの数枚のウェブ材料から構成されてよい。ウェブ材料は、添加された結合材料、粒子、親水化剤などの他の材料を含むことができる。
【0113】
「湿潤破裂強度」は、湿潤状態で、ウェブの面に対して垂直な変形にさらされたときの、エネルギーを吸収する層の能力の尺度である。
【0114】
本明細書において使用される場合、「湿潤強度」は、時間、温度、および圧力の指定の条件下で浸漬して液体から除去した直後に測定される接合部の強度を意味する。この用語は、水に浸漬した後の強度を表すために当技術分野において一般に使用されている。
【0115】
本明細書において使用される場合、「ウェットレイ」は、修正した製紙技術を使用することによって繊維の水性分散体からウェブを形成することを意味し;ウェットレイによって製造された繊維のウェブを、本明細書では「ウェットレイド」と呼ばれる。
【0116】
本明細書において使用される場合、「木材パルプ」は、ビスコースレーヨン、紙、ならびに女性用衛生衣類、幼児用おむつおよびパンツ、ならびに成人用失禁衣類などの製品の吸収性コアを製造するために使用されるセルロース系繊維を意味する。
【0117】
本明細書において使用される場合、「x−y寸法」は、物品、構造体、または要素の厚さと直交する面を意味する。x寸法およびy寸法は、一般に、物品、構造体、または要素の幅および長さに対応する。
【0118】
本明細書において使用される場合、「z寸法」は、物品、構造体、または要素の長さおよび幅と直交する寸法を意味する。z寸法は、一般に、物品、構造体、または要素の厚さに対応する。
【0119】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれるすべての数および分数、ならびに記載の端点を含んでいる。
【0120】
最適の吸収性、分散、保持、可撓性、フィット感、および/または快適性の理由で、吸収性構造体中の意図される位置に吸収材料が実質的に維持されることが望ましくなりうる。
【0121】
したがって、本発明は、吸収性物品中に使用するための実質的にセルロースを含有しない吸収性構造体において:
a)キャリア層と;
b)補助層と;
c)前記キャリア層および前記補助層の間に提供される吸収性ポリマー材料を含む吸収材料と;
d)吸収材料を固定するために、前記キャリア層および前記補助層を互いに連結する取り付け部とを含み、
取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、および/または超音波的プロセスによって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、吸収性構造体を提供する。
【0122】
本発明は、吸収性構造体が液体に曝露されるときに、キャリア層と補助層との間の区画パターンの特定の結合が、遊離する、溶解する、脆弱化する、および/または破壊可能となることができ、一方、他の結合は、濡れた吸収材料の影響下で実質的に遊離しない、溶解しない、脆弱化しない、および/または無傷のまま維持される場合に、キャリア層と補助層との間に囲まれた吸収材料の区画を有するサンドイッチ構造を含む吸収性物品が、液体の吸収、分散、および保持のためにより効率的に使用可能となることが実現されることからも得られる。
【0123】
特に、本発明は、吸収性物品中に使用するための実質的にセルロースを含有しない吸収性構造体において:
a)キャリア層と;
b)補助層と;
c)前記キャリア層および前記補助層の間に提供される吸収性ポリマー材料を含む吸収材料であって、
(i)実質的に永久的な一次取り付け部と;
(ii)実質的に一時的な二次取り付け部とが、
前記キャリア層および前記補助層を少なくとも互いに連結する吸収材料とを含み、
取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、および/または超音波的プロセスによって少なくとも部分的に形成されることで、前記吸収性構造体が液体に曝露した結果として、実質的に一時的な二次取り付け部が遊離することができる一方、実質的に永久的な一次取り付け部は依然として実質的に無傷であることができることを特徴とする、吸収性構造体を提供する。
【0124】
液体、蒸気、および/または水分、ならびに関連する吸収材料の膨張の影響下で遊離する、溶解する、または破壊されることが可能な、吸収性構造体全体にわたって取り付け手段のグリッドまたはパターンを含む本発明による吸収性構造体は、乾燥状態では吸収材料を強固に区画化、固定、および/または拘束する能力が得られ、一方、通常の使用条件中に吸収性構造体が濡れる間に、個別および組み合わされたポケットによってさらに増加するし、それによって、中に含まれる吸収材料の継続および連続する膨張、膨潤、および/または充填に関して、さらなる空間、容積、および表面積を形成することができる。
【0125】
最適の吸収性および/または保持、分散および/または輸送の理由で、チャネル、カナル、および/または堤防として機能することができ、所望の方法で液体を誘導することができる、高さおよび高所、および/またはくぼみおよび谷などの巨視的な表面構造を吸収性構造体が有することが望ましい場合がある。最適の可撓性、フィット性、快適性、ならびに輸送および保管効率の理由で、必要な場合、すなわち製品が液体で部分的および/または最大限に濡れた場合にのみ、このような巨視的な表面構造が現れ機能することが望ましい場合がある。したがって、想定される巨視的な表面構造は、好ましくは、吸収性構造体を使用する前にはまだ存在しない。
【0126】
本発明は、不均一な膨潤挙動によって高さおよび高所、および/またはくぼみおよび谷が得られるように吸収性構造体が設計され、一方、好ましくは、乾燥状態、限定的、および/または一部のみ濡れた状態では実質的に平坦のままとなる場合に、キャリア層と補助層との間に囲まれた吸収材料を有するサンドイッチ構造を含む吸収性物品が、液体の吸収、分散、輸送、および保持のためにより効率的に使用可能となることの実現も考慮している。当然ながら、吸収性構造体は、濡れる前には既にある程度区別しにくい形態で巨視的な形状を有することができ、好ましくは後に液体によって吸収性構造体が部分的および/または最大限に濡れたときに強調されうることを理解されたい。
【0127】
特定の一実施形態において、本発明は、実質的にセルロースを含有しない吸収性構造体において:
a)キャリア層と;
b)補助層と;
c)前記キャリア層および前記補助層の間に提供される吸収性ポリマー材料を含む吸収材料であって、
(i)実質的に永久的な一次取り付け部と;
(ii)実質的に一時的な二次取り付け部とが、
前記キャリア層および前記補助層を少なくとも互いに連結する吸収材料とを含み、
液体管理表面構造を有する吸収性構造体を得るために、取り付け部が、熱的、機械的、熱機械的、および/または超音波的プロセスによって少なくとも部分的に形成されることで、前記吸収性構造体が液体に曝露した結果として、実質的に一時的な二次取り付け部が遊離することができる一方、実質的に永久的な一次取り付け部は依然として実質的に無傷であることができることを特徴とする、吸収性構造体を提供する。
【0128】
本発明による吸収性構造体は、実質的に乾燥した状態から充填され、部分的に充填されて、最大限に液体が充填された状態まで、吸収性構造体中の吸収材料、好ましくは吸収性ポリマー材料によって発生して発揮される力と同調して、キャリア層と補助層との間の形成されたパターン内で、取り付け手段のあらかじめ決定された、制御された、および/または段階的な遊離、取り外し、および/または破壊が得られるように設計された結合および/または接合部を特徴とする。
【0129】
前述の吸収性構造体においては、一次取り付け部、それら一次取り付けグリッドと接触する液体は、使用中に実質的に抵抗性であるため、前記取り付け部および吸収性構造体の構造的完全性に実質的に影響を与えず、一方、吸収性構造体と接触する液体は、二次取り付け部、二次パターンに対して、取り付け部およびパターンの構造的完全性に影響を与えることで、影響を与え、それによって従来にない機能を得られるという効果が得られる。本発明によるポケット中に収容されるクラスター化された吸収材料は、使用中に容積および大きさが増加したり、および/または組み合わさってより大きな区画になることで、初期の管状体のポケットの空間を超えることができ、より大きな区画は、キャリア層および補助層の間の初期の制限された結合および/または接合部が除去されるために、さらなる液体をより自由に取り込むことができ、一方、それにもかかわらずこれらは、使用前の段階では所定位置に確実にしっかりと維持される。使用中にのみ、吸収材料クラスターがこのように制御されて開放されると、その前の段階で吸収材料の配置およびクラスター化をより正確に効果的に行えるため、使用前にいくつかの製造、保管、および輸送の利点が得られ、使用中の吸収、吸着、分散、および保持に関する流体管理が大きく改善される。明らかに、これによって原材料が節約され、効率が増加する。
【0130】
本発明による吸収性構造体の好ましい一実施形態は、吸収性ポリマー材料を含むことが好ましい吸収材料が間に収容されるキャリア層および補助層を特徴とし、それによって、液体を吸収する間および吸収後に、同じ条件下で一次結合領域が二次結合領域よりも高い完全性を維持するように、キャリア層の着用者表面から補助層の衣類表面まで実質的に延在する一次結合領域および二次結合領域が設けられる。一次結合領域と二次結合領域との間で強度差があることで、キャリア層および補助層は、前記一次結合領域内で、それぞれ二次結合領域において分離することができ、さらなる空間および容積を形成しすることで、乾燥状態とは対照的な部分的または最大限に液体が充填された状態で、吸収材料のさらなる自由な膨張が可能となる。しかし、これらの二次取り付け部、二次取り付けパターン、および/または二次結合領域は、濡れに対して弱くなくてもよい。結合強度は、個別の吸収性構造体の使用前および使用の要求を満たすべきである。
【0131】
一次結合領域と二次結合領域との組み合わせによって形成されるより小さなポケットの中で、より少ない体積の吸収材料の乾燥時の固定化が確保されるが、吸収性構造体およびその吸収材料に対する液体、水分、および/または蒸気の影響で、使用中に二次結合領域が部分的または最大限に開放された後で、依然として実質的に無傷で残存する一次結合領域によって形成される、拡大され組み合われたポケットによって画定されるより大きな区画によって、濡れた状態のより大きな体積の吸収材料の湿潤時の固定化が依然として保証される。
【0132】
理想的には、吸収材料によって取り込まれた液体、ならびにそれより得られる膨潤および体積増加は、第2の結合領域の漸進的、段階的、および漸増の剥離および/または遊離プロセスによって形成されるそれぞれの空間および容積と対応している。これによって、充填、濡れ、および膨潤の過程中に二次結合領域の遅すぎるまたは早すぎる遊離のために吸収剤の少なすぎるまたは多すぎる拘束を引き起こすことなく、吸収材料の連続的な固定が可能となる。
【0133】
したがって、構造体が乾燥しているときに、少なくとも部分的に吸収材料を固定および/または拘束するために取り付け手段が提供されるように吸収性構造体が設計され、吸収性構造体が部分的および/または最大限に濡れた状態のときに、吸収材料が少なくとも部分的に拘束および/または固定されたままとなることを目的としている。吸収材料は液体を取り込んで膨潤し、すなわち体積が増加するので、取り付け手段が遊離する過程の間、構造体が吸収材料を連続的に閉じ込めるが、二次結合領域中の強すぎる結合および/または接合部のためにこのような膨潤が制限されないことが重要である。乾燥状態から部分的に濡れて最大限に濡れた状態となるまでに吸収材料の凝集および完全性が低下すると、流体管理が不十分となり、吸収性、分散、および保持が不十分、非効率的、および/または不足になる。
【0134】
第2の態様においては、本発明は、吸収性物品の少なくとも前半分に、本発明の一実施形態による吸収性構造体を含む吸収性物品を提供する。ほとんどの吸収性物品、たとえば女性用衛生衣類、幼児用おむつ、幼児用パンツ、および成人用失禁製品などの物品では、液体の排出が主として前半分で生じることが知られている。したがって、流体の充填および取り込み要求が最も高いその領域に本発明の一実施形態による吸収性構造体を有する改善された吸収性物品が提供されると有利である。明らかに、吸収性物品の前方、クロッチおよび/または背面領域のいずれかの全体または部分的に配置された本発明の一実施形態による吸収性構造体を含む吸収性物品、たとえば幼児用おむつも、発明に含まれる。その任意の組み合わせも本発明に含まれる。
【0135】
衛生産業において、吸収性物品は、身体滲出物を吸収し、分散させ、保持するように特に設計される。吸収性物品の吸収性構造体中に液体を取り込み保持することとは別に、吸収性物品は、衣類、または着用者と接触する可能性のある寝具などの他の物品が、身体滲出物によって汚れる、濡れる、またはその他の汚染が生じることが十分防止されることも意図される。使い捨ておむつなどの使い捨て吸収性物品は、乾燥状態および/または液体充填状態で数時間着用されうる。したがって、物品が乾燥しているときと、吸収性物品に身体滲出物が最大限または部分的に充填されているときの両方で、吸収性物品のフィット感および着用感を改善し、同時に、吸収性物品の吸収、分散、および保持の機能が向上させるために、多数の試みが行われている。明らかに、この場合、可撓性で薄く軽量で目立たない吸収性物品も非常に好ましい。
【0136】
本発明の一実施形態による吸収性物品は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、補助層およびキャリア層の間で固定および/または束縛される吸収剤収納層とを含む。キャリア層および/または補助層のいずれかは、吸収性構造体および/または吸収性物品中で、単一、別個、または組み合わせのいずれかで固定層、液体透過性分散層、または不透過性層として直接または間接的に機能できることを理解されたい。一次結合領域および二次結合領域によって区画が画定され、吸収材料のクラスターがそれらの区画中に維持される。
【0137】
本発明の好ましい一実施形態による吸収性物品は、たとえば吸収性ポリマー材料、より好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料などの吸収材料を含有する。吸収性ポリマー材料が、液体を吸収して膨潤する場合、特定のパターンまたは配列で配置された場合に、より効果的で効率的となることが知られている(ゲルブロッキングを参照)。最適の吸収性、フィット性、および/または快適性を得るために、あらかじめ決定された位置および量の吸収性粒子状ポリマー材料が意図される。吸収性粒子状ポリマー材料がその意図する場所に残存し、それによって吸収性物品および/または吸収性構造体の内部での移行および制御できない動きが回避されることが望ましいので、部分的に液体が充填された状態および最大限に液体が充填された状態の両方で、吸収性粒子状ポリマー材料が機能するように、吸収性構造体によって吸収材料が固定および/または束縛されることが望ましい。したがって常に固定されることが非常に好ましい。
【0138】
使用中のフィット性、容易さ、および快適性のため、さらには、より有利で、経済的で、環境に配慮され、簡潔な包装、輸送、ならびにたとえば倉庫、店舗、および最終消費者の収容設備での保管のために、吸収性であることに加えて吸収性物品は薄く軽量で可撓性であることが望ましい。多量に使用されることが多い吸収性物品は、安価であることも望ましい。吸収性物品中に吸収性ポリマー材料を固定するためのある従来技術の技法では、吸収性物品が嵩高くなり、それによって厚さおよび重量が増加し、可撓性が低下し、吸収性物品の価格および環境フットプリントが上昇する。吸収性物品中に吸収性ポリマー材料を固定するための別の技法は、初期の乾燥状態と比較して、吸収性物品が濡れたときに固定の維持に有効ではない場合があり、したがって、たとえばゲルブロッキング、ならびに前記原材料の物理的または化学的分離のために、中に組み込まれた吸収材料の使用があまり効果的でなくなりあまり効率的でなくなることがある。可撓性で、薄く、軽量で、目立たず、および/または安価であり、同時に必要な吸収、輸送、および保持の機能が維持される吸収性物品が、初期の乾燥から最終的に最大限に濡れた吸収性物品までの移行の前、最中、および後で、吸収性構造体中に吸収材料が常に固定および/または束縛される方法が依然として必要とされている。
【0139】
好ましい一実施形態において、吸収性物品は、キャリア層および補助層を含む吸収性構造体を含み、それによって、キャリア層の上部表面は着用者の肌と対向し、補助層の下部表面は着用者の衣類と対向する。吸収材料は、好ましくは補助層の下部表面およびキャリア層の上部表面と直接接触するが、流体管理および完全性に対応するために追加の布、不織布、織布、ティッシュ、および/または紙の層を設けることができる。吸収材料は、好ましくはクラスター化され、一次結合領域および二次結合領域によって形成されたままの複数のより小さなポケットに封入される。吸収層は、典型的には、少なくとも約100g/m、好ましくは少なくとも約200g/cm、より好ましくは少なくとも約600g/cm、最も好ましくは少なくとも約700g/cmの吸収能力を有する。
【0140】
本発明による吸収性物品の好ましい一実施形態において、キャリア層および補助層の一次結合領域および/または二次結合領域の結合および/または接合部によって画定されるポケット中でクラスター化された吸収材料は、少なくとも吸収性ポリマー材料を含む。本発明の吸収性構造体のより好ましい一実施形態において、吸収材料は、高吸収性ポリマー(SAP)を含み、より好ましくは高透過性吸収性粒子状ポリマー材料が、最低約100g/m、好ましくは少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約400、さらにより好ましくは少なくとも約600、最も好ましくは少なくとも約700g/m2の平均坪量で吸収材料中に存在する。高吸収性ポリマーを吸収材料として使用することで、改善された吸収が得られる。
【0141】
たとえば乾燥強度、湿潤破裂強度、および/または湿潤強度などの結合強度は、吸収性構造体に必要なパラメーターを満たすべきであり、特に、吸収性物品、その製品の大きさおよび形状、ならびに使用および機能に必要な時間に依存する。補助層とキャリア層との間の結合および接合部の特定の構造的および機能的強度、ならびに、一次結合領域および二次結合領域の結合および/または接合部の間の異なる湿潤強度によって、より多く、より速く、向上した身体滲出物などの液体の吸収、分散、および保持が得られる吸収性構造体のより効率的な設計および使用が可能となる。さらにこれによって、前記吸収剤収納層中でのより十分で制御された液体の吸い取りおよび分散も可能となり、吸収性のより低い領域(たとえば飽和状態)から吸収性のより高い(たとえば未飽和状態)へのより効率的で効果的な流体連通または輸送が行われる。
【0142】
液体が吸収性構造体および吸収材料と接触し、一次取り付け部はそれらの構造的完全性を実質的に影響が生じない、たとえばそれらは依然として実質的に実質的に無傷であると記載される場合、比較的通常の着用/使用条件、典型的な使用時期、平均的な液体量および間隔における、室温または体温での、そのような吸収性物品、吸収性構造体、および/または取り付け部の特性に対して好ましくは言及されるものであり、誇大、過酷、および/または過剰な条件、たとえば、複数の日数の強い接触中のたとえば異常に多量の液体は考慮されないことに留意されたい。そのような場合、好ましくはないが、最初は抵抗性である一次取り付け部が、結局は遊離したり、外れたり、または破壊されたりする場合がある。以上から明らかであろうが、長期間および/またはより過酷な使用条件に曝露した後で最終的に二次取り付け部に変化するこのような一次取り付け部も、本発明において想定される。
【0143】
第3の態様において、本発明の一実施形態による吸収性構造体は、女性用衛生衣類、幼児用おむつ、幼児用パンツ、または成人用失禁衣類製品に使用される。本発明の特定の実施形態を説明し記載してきたが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の他の変更および修正が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0144】
本発明のさらなる非限定的な説明のために、以下で実施例が使用される。
【0145】
図1および図2を参照すると、吸収性構造体14は、少なくとも1つキャリア層101と、少なくとも1つ補助層102と、吸収材料110とを含む。キャリア層101および補助層102は、一次結合領域111において、任意選択で一次取り付け媒体112によって、互いに取り付けられる。キャリア層101および補助層102は、二次結合領域115においても、任意選択で二次取り付け媒体116によって互いに取り付けられる。一次結合領域111および二次結合領域115とは別に、取り付けられていない領域119も存在し、そこにはキャリア層101と補助層102との間に結合および/または接合部が実質的に存在せず、それによって複数のポケット130が提供され、それらの中に吸収材料110が配置されることで、吸収材料110のクラスターを形成することができる。一次結合領域111は一次結合グリッド113と一致し、一方、二次結合領域115は二次結合パターン117と一致する。
【0146】
キャリア層101および/または補助層102として、限定するものではないが、不織布または織布、ウェットレイド材料、たとえばセルロースティッシュ、紙、フィルム、ティッシュ、有孔フィルム、発泡材料、熱可塑性材料、接着剤層、または吸収性構造体14中に好適な任意の材料などの種々の材料から選択することができる。これらの層は3〜400gsmの範囲内の坪量を有することができる。キャリア層101および補助層102は、同じ材料から作製することができるし、異なる組成、重量、および/または構造を有することもできる。本発明の好ましい一実施形態において、液体をZ方向に吸収できるように、少なくとも1つの層は、その表面の少なくとも一部にわたって液体透過性である。別の好ましい一実施形態においては、キャリア層101および補助層102の両方が液体透過性である。さらに別の好ましい一実施形態においては、一方の層は液体透過性不織材料であり、他方の層は、実質的に液体不浸透性で任意選択で通気性であるPEフィルムである、それによって不織材料は、幼児用おむつなどの吸収性物品の場合の吸収性構造体14の着用者に対向する側などの液体の流動が予想される位置に配置され、PEフィルムは、幼児用おむつなどの吸収性物品の場合の吸収性構造体の衣類に対向する側などの液体の流動が予想される位置から離れて配置される。この場合、たとえば、Albis,Italyの22gsmのポリプロピレン不織材料、およびNuova Pansac,Italyの20μmの通気性ポリエチレンフィルムを選択することができる。「キャリア層」という用語の使用は、その布が構造体を支持するのに十分な強さであるべきことを示すものでは決してなく、吸収性構造体14の下部領域に配置されるべきことを示すものでも決してない。「補助層」も、この層がより少ない機能を有するべきことを示すものではなく、同様に、吸収性構造体14の上部領域に配置されるべきことを示すものではない。
【0147】
ポケット130は、規則的な形状、不規則な形状、またはそれらの組み合わせを有することができる。ポケット130の好ましい形状は、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmを超え、より好ましくは約0.75mmを超え約60mm未満、より好ましくは約1.0mmを超え約40mm未満、最も好ましくは約2.00mmを超え約10mm未満の直径、半径、または辺を有する円形、楕円形、または正方形である。少なくとも1つのポケット130に吸収材料110が収容される。おむつまたはパンツなどの吸収性物品用途の場合、吸収材料110は、好ましくは、同様に当技術分野において周知である吸収性ポリマー材料、より好ましくは吸収性粒子状ポリマー材料を含有する。このような吸収性ポリマー材料は、たとえばドイツのEvonik、ベルギーのBASF、および日本の日本触媒より提供されている。吸収性ポリマー材料は、吸収材料110の100%を形成することも、たとえばセルロース繊維またはフラッフパルプなどの他の吸収材料と組み合わせて使用することもできる。
【0148】
図3を参照すると、吸収材料110は、キャリア層101と補助層102との間の分散する。吸収性構造体14の吸収材料パターンは、不規則または規則的、実質的に連続的に接続されていても分離していてもよく、完全に覆う場合も部分的に覆う場合もあり、および/または他の任意の好適なパターンであってよい。好ましい一実施形態において、良好で制御された液体の吸収、分散、および保持を可能にするために、規則的で連続したパターンが吸収材料110に形成される。さらにより好ましくは、吸収材料110のパターンは、吸収材料110の数個のクラスターからなり、それらは実質的に吸収材料が存在しない領域に囲まれ、それらの領域は、侵襲点から吸収材料110の種々のクラスターへと向かう液体の流動および/または質量流を促進する分散および輸送チャネルとして機能することができる。一般に、吸収性構造体14上の吸収材料110の重量分布は、主面全体にわたって規則的であってよいし、ある分布を有することもでき、すなわち吸収材料110の坪量が、吸収性構造体14中の一に依存して変化してもよい。吸収材料110のこのような分布は、たとえば吸収性物品の前方領域などの液体侵襲点付近で絶対的および/または相対的に多くの吸収材料110が集中するような、たとえばおむつおよびパンツのコアにおいて非常に有用である。
【0149】
ポケット130中の吸収材料110の近傍で程度空隙が残ったり、一部のポケット130が部分的または完全に空いていたりすることが有利となる場合があるので、ポケットに収容された吸収材料110は、必ずしもポケット130を完全に満たすわけではない。特定の吸収性物品または吸収性構造体14の場合、一次結合領域111および/または二次結合領域112の少なくとも一部の中にも吸収材料110が提供されると有用となりうる。
【0150】
図4を参照すると、キャリア層101および補助層102は、一次結合領域111中で、任意選択で一次取り付け媒体112によって取り付けられ、これらは二次結合領域115中でも、任意選択で二次取り付け媒体116によって互いに取り付けられている。材料を互いに結合または連結させるために使用される方法の典型的な例は、たとえば、限定するものではないが、たとえば感圧接着剤などの接着剤の使用、たとえば水素結合などの化学結合による硬化、あるいは超音波および/またはその他の熱的、機械的?熱機械的、または化学的結合技術、たとえばヒートシール、ニードリング、空気および水ジェット圧などの使用によるものである。キャリア層101および補助層102の隣の接着剤、のり、またはバインダーなどの追加の材料が、両方の層を互いに結合または連結するために使用される場合、前記追加の材料は、たとえばこの場合では接着性物質であるが、取り付け媒体として機能する。一次結合領域111中の結合剤または連結剤として機能する接着性物質は一次取り付け媒体112と呼ばれ、二次結合領域115中の結合剤または連結剤として機能する接着性物質は二次取り付け媒体116と呼ばれる。しかし、たとえば機械抵抗または絡み合いの領域によって、あるいは層が互いに融合する領域によって、キャリア層101と補助層102とが互いに単独で取り付けられる場合は、追加の結合剤および連結剤は不要であり、取り付け媒体は使用されない。
【0151】
従来技術で周知のいくつかの製品では、熱可塑性樹脂、接着剤、のり、および/またはバインダーが取り付け媒体として使用される。しかし本発明の目的は、技術的、経済的、および/または環境的理由で、好ましくは熱可塑性樹脂、接着剤、のり、および/またはバインダーを取り付け媒体および/または固定層として使用せずに機能させることである。本発明の好ましい一実施形態においては、取り付け部を形成するために超音波的接合および/または熱シールが使用され、したがって、過度の取り付け媒体および物質の必要性が本質的に軽減される。
【0152】
結合剤または連結剤が存在する場合または存在しない場合の効果的な結合または接合部は、それぞれ一次結合領域111中の一次取り付け部114および二次結合領域115中の二次取り付け部118と記載される。
【0153】
一次結合領域111において、一次取り付け部114は、実質的に乾燥しているとき、さらには濡れているおよび/または既に濡れた状態で、液体が部分的または最大限に充填されたときに、吸収性構造体14の完全を維持するように設計される。したがって一次結合領域111は、吸収性物品の通常の使用中の摩擦およびひずみ、ならびに液体の取り込みによって生じる吸収材料110の膨張および膨潤によって発生する力に実質的に抵抗する必要がある。これは、吸収性物品が使用中であるおよび/または濡れている場合に、キャリア層101と補助層102との間の一部の取り付け部は実質的に無傷のままであることを意味する。好ましくはキャリア層101と補助層102との間の別の取り付け部を外すために必要な分離力は、約0.05N/cmまたは約0.75N/cmを超え、より好ましくは約0.1N/cm、0.2N/cm、または0.3N/cmを超え、さらにより好ましくは約1.0N/cm、1.5N/cm、2.5N/cmを超え、最も好ましくは約3〜5N/cmを超える。
【0154】
2つの材料、層、または構成要素を互いに取り付けるための種々の方法が当技術分野において周知である。好ましい一実施形態において、一次取り付け部114および二次取り付け部118は熱シールである。一次結合領域111の熱シール領域は、表面、靭性、または完全性が(二次結合領域115の熱シール領域よりも)比較的大きく、そのため絶対的または相対的に(より)大きい分離力となる。一般に、取り付け部は、種々の大きさおよび形状となることができるが、キャリア層101および補助層102が引き裂かれるのを防止するために、丸い端部が設けられることが好ましい。少なくとも約0.5mm、好ましくは少なくとも約1.0mm、2mm、または3mm、より好ましくは少なくとも、最も好ましくは少なくとも約16mmの平均表面サイズを有するように、取り付け部が設計されることも好ましい。個別の取り付け部の表面サイズおよび所望の分離力に依存して、取り付け部の密度も変動することができる。たとえば1cm未満の表面積を有する取り付け部の場合、好ましくは少なくとも約100個/mの密度の使用が推奨される。
【0155】
円形、楕円形、または正方形の取り付け領域を形成することは、必要な工具の投資コストの削減などのある程度の利点を有することができる。しかし、特定の用途で、取り付け部および得られる分離力をさらに強化するために、拡大された取り付け領域、すなわち長軸の長さと、より短い短軸の幅とを有する形状の取り付け領域の設計が有利となる場合がある。吸収性物品の通常の使用で生じる力と、吸収材料110の膨潤で生じる力とが異なる方向から生じる場合は、たとえば一部の取り付け部の一部が、別の取り付け部の一部の長手方向軸に対して垂直の長手方向軸を有する長手方向の形状のパターンを形成することによって、これらの力に対処する方向に取り付け領域が向けられる。
【0156】
好ましい一実施形態において、吸収性構造体14の一次結合領域111は、約50%がX軸に沿って配向し、残りがY軸に沿って配向する円形の要素からなるグリッドで配列され、その一例を図5に見ることができる。本発明の別の一実施形態において、一次取り付け部114は、グリッド中の実線で構成される一次結合グリッド113中に配列され、その一例を図6に見ることができ、これは、容易な液体の分散および輸送のため、高い分離力、ならびにポケット130の1つにおいて生じうる亀裂または裂け目の伝播に対する高い抵抗性を得るためのものである。一次結合グリッド113は、乾燥状態で拘束および/または固定される場所の近くで、濡れた状態の膨潤した材料が依然として安定するように注意深く設計される。それに失敗すると、濡れた吸収材料の破壊および/または移動が生じ、その結果、吸収性能が低下し、フィット性および快適性が低下し、さらには製品が破壊されて、吸収性構造体中の流体管理が不十分になる。
【0157】
二次結合領域115中の二次取り付け部118は、吸収性物品が濡れたときに外れるように設計される。好ましくは二次取り付け部118は、吸収材料110が十分に濡れたときに、その膨張および膨潤によって生じる力の影響下で破壊される。これは、ほとんどの標準的な吸収材料110の場合で、二次取り付け部118が、濡れたときに比較的小さい分離力を有するべきであるが、濡れに敏感である必要はないことを意味する。好ましくは二次取り付け118を破壊するのに必要な分離力は、濡れたときに約5.0N/cm未満、より好ましくは約1.0、2.0、または2.5N/cm未満、さらにより好ましくは約0.75、0.5、または0.25N/cm未満、最も好ましくは約0.20または0.10N/cm未満である。本発明の好ましい一実施形態においては、両方の層は、互いに熱シールされ、二次結合領域115の熱シール領域は、表面、靭性、または完全性が(一次結合領域111よりも)比較的小さく、そのため絶対的または相対的に(より)小さい分離力となる。熱シール領域は、種々の大きさおよび形状となることができるが、キャリア層101および補助層102が引き裂かれるのを促進するために、少なくとも1つの鋭い端部が設けられることが好ましい。取り付け手段として接着剤および/またはのりを使用するよりも熱シールを使用することが有利であり、その理由は、製造コストが通常は実質的に低くなり、「接着剤不使用」または「のりなし」と主張することができ、この主張は環境意識をもった消費者にとって重要であり、より安価な最終製品が得られるからである。
【0158】
一次取り付け部114および二次取り付け部118の形状は、吸収性構造体14全体にわたって変化させることができ、すなわちすべての一次取り付け部114および/または二次取り付け部118が同じ形状を有する必要はなく、どちらも、吸収性物品のその部分または領域の要求により変化させることができる。図1に示される実施形態においては、一次取り付け部114は、たとえば、一次元的および二次元的な楕円形などの楕円状の形状で構成される。二次取り付け部118は、たとえば円形および/またはドット形状で構成される。
【0159】
図7および8に見られるように、二次結合領域115中の二次取り付け部118が破壊されることによって、キャリア層101および/または補助層102の変形、延伸および/または形状変化が可能となる。結果として、最小容積の複数のポケットが拡張して組み合わさって容積が最大化した1つの区画124となることで、吸収材料110の膨張によって生じる追加の体積の少なくとも一部に対応できるようになる。したがって、拡張可能なポケットを有する吸収性物品に使用するための吸収性構造体14が形成されることで、吸収材料110のより効果的および効率的な使用が可能となり、キャリア層101および/または補助層102のいずれまたは両方の破裂の危険性が減少する。ポケットの拡張によって形成される追加の容積は、元の容積の約1%〜5%となりうる。好ましくは元の容積の約5%〜25%を超え、より好ましくは約25%〜50%を超え、最も好ましくは約50%または100%を超える。
【0160】
好ましい一実施形態において、二次結合領域115は、異なる分離力に対応する種々の小領域からなる。したがって、当業者は、漸進的、制御された、および/または段階的な拡張を示す吸収性構造体14を設計することが可能である。
【0161】
従来技術を示している図9および10を参照すると、吸収性構造体14は、少なくとも1つキャリア層101と、少なくとも1つ補助層102と、吸収材料110とを含む。キャリア層101および補助層102は、一次結合領域111において、任意選択で一次取り付け媒体112によって、互いに取り付けられる。液体が加えられると、吸収材料による利用可能な液体取り込み容量に達するまで、および/または吸収性構造体14中の利用可能な自由空間が膨潤し体積が、膨張した吸収材料110によってふさがれるまで、構造体は実質的に均一に膨潤を開始する。巨視的な、すなわちより大きな規模の表面的な三次元液体管理構造体が存在しないので、横漏れが発生する危険性が高くなり、および/または追加の複雑な表面的および/またはサイドバリアまたはフラップ構造を有するそのような吸収性構造体14を含有する吸収性物品を提供する必要性が生じる。
【0162】
図11および12を参照すると、吸収性構造体14は、少なくとも1つのキャリア層101と、少なくとも1つの補助層102と、吸収材料110とを含む。キャリア層101および補助層102は、一次結合領域111において、任意選択で一次取り付け媒体112によって、互いに取り付けられる。キャリア層101および補助層102は、二次結合領域115においても、任意選択で二次取り付け媒体116によって、互いに取り付けられる。一次結合領域111および二次結合領域115とは別に、取り付けられていない領域119も存在し、そこにはキャリア層101と補助層102との間に結合および/または接合部が実質的に存在せず、それによって複数のポケット130が提供され、それらの中に吸収材料110が配置されることで、吸収材料110のクラスターを形成することができる。図12を参照すると、濡れて膨潤した状態の図11を示しており、一次結合領域111は液体誘導「チャネル」として機能し、一方、二次結合領域116は、液体に抵抗する「堤防」として機能し、それによって巨視的な液体管理表面構造が形成されることが明らかである
【0163】
図12から分かるように、二次結合領域115中の二次取り付け部116の遊離、脱離および/または破壊によって、キャリア層101および/または補助層102の変形、延伸、および/または形状変化が可能となる。結果として、最小容積のポケット122は、拡張して中間容積、さらに最大区画のポケット124となることができ、それによって、吸収材料110の膨張によって生じる追加の体積の少なくとも一部に対応できるようになる。したがって、領域130中の高さおよび領域140中のくぼみを有する吸収性構造体14が形成される。領域140中のくぼみは、吸収性構造体14中の所望の領域に液体を流出させる水路として機能することができる。領域130中の高さは、構造体中の望ましくない領域から離れて液体を流出させる障壁、障害物、または堤防として機能することができる。ポケットの拡張によって形成される追加の容積は、元の容積の約1%〜5%となりうる。好ましくは元の容積の約5%〜25%を超え、より好ましくは約25%〜50%を超え、最も好ましくは約50%または100%を超える。
【0164】
好ましい一実施形態において、二次結合領域115は、異なる分離力に対応する種々の小領域からなる。図14、15、および16は、本発明による代表的な実施形態を示しており、二次結合領域115は、弱い二次結合領域115’と強い二次結合領域115’’とからなり、弱い二次結合領域115’は、強い二次結合領域115’’よりも速く遊離する。一次結合領域111および二次結合領域115の間の異なる機能性と、弱い二次結合領域115’および強い二次結合領域115’の間の結合強度差とを組み合わせることによって、吸収性構造体のあらかじめ決定された、制御された、および/または段階的な容積拡張を有する吸収性構造体14の設計が可能となる。より好ましい一実施形態において、吸収性構造体14は、吸収性構造体14の周辺部において弱い二次結合領域115’からなることで、吸収性構造体14の長手方向および/または終端部の近くでの吸収材料110の主要で容易な膨張が可能となり、それによって吸収性構造体14中に閉じ込めまたは漏れ防止の障壁が形成される。このような特定の内部に組み込まれた障壁構造は、おむつまたはパンツの構成に関して、使用前、使用中、および使用後の大きな利点を有する。図14、15、および16に示されるように、弱い二次結合領域115’が遊離して第1の障壁または堤防150を形成し、一方、強い二次結合領域115’’は、これより後にのみ第2の障壁または堤防151を形成する。抵抗性の一次結合領域111は、第1の堤防150および/または第2の堤防151の間に水路152を形成する。第1の堤防150とそれぞれの第2の堤防151との形成の間に時間差が生じるため、第1の堤防150は、製品の内側に液体を収容し、そこで水路152によって分散させることができ、これはさらに第2の堤防151に保管され収容される。明らかに、種々の組み合わせが可能である。
【0165】
別の好ましい一実施形態においては、キャリア層101または補助層102の少なくとも1つは、弾性または伸縮性材料でできており、濡れて膨潤する吸収材料110の膨張力が徐々に増加する前に少なくとも最初の容積拡張によって、濡れた二次取り付け部118に生じうる破壊に対応することができる。
【0166】
別の好ましい一実施形態において、吸収性構造体14は、キャリア層101−吸収材料110−補助層102の第1のサンドイッチ構造の上に、吸収性110材料および/または補完層の追加層が加えられている多層サンドイッチ構造からなる。このような構造体はによって、より良好な液体吸収性能を得ながら、同時に、乾燥状態および湿潤状態の両方で良好な製品完全性を維持することができる。
【0167】
図17は、本発明による吸収性構造体を含む吸収性物品の好ましい一実施形態としてのおむつ10の上面図である。しかし、本発明は、女性用衛生衣類、幼児用パンツ、成人用失禁衣類などの他の吸収性物品にも適用可能であることを理解されたい。
【0168】
吸収性物品は、平坦にして、収縮していない状態で示されており、着用者側が見えるようになっている。吸収性要素および吸収性成分などのおむつ10の下にある構造をよりはっきりと示すために、吸収性物品の一部を切り取っている。図17中のおむつ10のシャーシ12は、おむつ10の本体を含む。シャーシ12は、液体透過性トップシート18および/または液体不透過性バックシート20を含む外部カバーを含む。シャーシ12は、トップシート18とバックシート20との間に入れられる吸収性構造体14の一部を含むことができる。シャーシ12は、トップシート18とバックシート20との間に入れられる吸収性構造体14の大部分またはすべてを含むこともできる。シャーシ12は、好ましくはサイドパネルまたは耳22、伸縮性レッグ折り返し部24、および弾性ウエストフィーチャー26をさらに含み、レッグ折り返し部24および弾性ウエストフィーチャー26のそれぞれは、典型的には弾性部材28を含む。おむつ10の一方の端部は、おむつ10の前ウエスト領域30として構成される。反対側の端部は、おむつ10の後ウエスト領域32として構成される。おむつ10の中間部は、クロッチ領域34として構成され、これは第1および第2のウエスト領域30および32の間で長手方向に延在する。ウエスト領域30および32は、着用者のウエスト周囲で引き寄せられて改善されたフィット性および閉じ込め性(たとえば弾性ウエストフィーチャー26)が得られるように弾性要素を含むことができる。クロッチ領域34は、おむつ10が着用されているときに着用者の両脚の間に一般に配置されるおむつ10の部分である。おむつ10には、その長手方向軸36および横軸38が描かれている。おむつ10の周辺部は、おむつ10の外端部によって画定され、その長手方向端部42はおむつ10の長手方向軸36に対して概して平行であり、終端部44は長手方向端部42の間にあり、おむつの横軸38に対して概して平行である。シャーシ12は、締結システムも含み、これは少なくとも1つの締結または固定部材46と、少なくとも1つのランディングゾーン48とを含むことができる。おむつ10中の種々の構成要素は、当技術分野において周知の任意の方法、たとえば均一な連続層、パターン化された層、あるいは分離した線、らせん、または点の配列の接着剤によって、結合、連結、または固定することができる。トップシート18、バックシート20、吸収性構造体14、およびその他の構成要素は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0169】
バックシート20は、吸収性構造体14を覆い、好ましくは吸収性構造体14を超えておむつ10の長手方向端部42および終端部44に向かって延在し、トップシート18と連結することができる。バックシート20は、吸収性構造体14によって吸収されおむつ10中に収容された身体滲出物が、ベッドシートおよび下着などの着用者と接触しうる他の外部の物品を汚染するのを防止する。好ましい実施形態においては、バックシート20は、身体滲出物が実質的に不透過性であり、不織布と熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムとの積層体を含む。バックシート20は、蒸気がおむつ10から出ていくことができるが依然として身体滲出物がバックシート20を通過するのは防止する通気性材料を含むことができる。これは半剛性で非伸縮性であってよいし、完全または部分的に伸縮性にすることができ裏地を含んでもよい。バックシート20は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0170】
おむつ10は、好ましくは柔軟性、適合性であり、良好なしみ通しを示し、液体吸収材料からのリウェットの傾向が低いトップシート18を含む。トップシート18は、おむつ10が着用された場合に着用者の肌の近くに配置される。このようにして、このようなトップシート18は、吸収性構造体14に向かってより迅速に流れるように身体滲出物が迅速に浸透することができるが、このような身体滲出物がトップシート18を通って逆流できないことが好ましい。トップシート18は、液体および蒸気透過性、好ましくは親水性の材料の広範囲の材料のいずれか1つから構成することができる。トップシート18の上部表面および下部表面は、異なる処理を行うことができ、たとえば、特に吸収性構造体10上に配置されるトップシート18の中央のゾーンまたは領域において液体の通過を促進するために上部表面上に界面活性剤を含むことができ、たとえば、吸収性コア中に含まれる液体がトップシート18と接触して濡らすのを最小限にし、それによってリウェット値を減少させるために下部表面上に疎水性物質を含むことができる。トップシート18は、発疹防止または発疹軽減特性を有する物質(たとえばアロエベラ)でコーティングすることもできる。トップシート18は、前ウエスト領域30、後ウエスト領域32、およびクロッチ領域34の実質的にすべてを含むおむつ10の着用者に対向する領域全体を実質的に覆う。さらに、内部領域のサイドパネル22および/またはウエストフィーチャー層は、同じ1種類のトップシート材料から形成することができ、したがって、トップシート18の材料の長手方向および横方向の延長部分の形成がトップシート18と一体であると言うことができる。あるいは、トップシート18は、トップシート18の幅にわたって変化する複数の異なる材料から形成することができる。このような複数ピース設計によって、トップシート18の好ましい性質および異なるゾーンを得ることができる。トップシート18は、半剛性で非伸縮性であってよいし、完全または部分的に伸縮性にすることもできる。トップシート18は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0171】
図17中の吸収性構造体14は、一般にトップシート18とバックシート20との間に配置される。吸収性構造体14は、一般に圧縮可能で、適合性で、着用者の肌を刺激せず、身体滲出物の吸収および保持が可能な任意の吸収材料110を含むことができる。吸収性構造体14は、一般にエアレイドと呼ばれるフラッフパルプなどの吸収性物品中に一般に使用される多種多様な液体吸収材料110を含むことができる。他の好適な吸収材料の例としては、クレープセルロースワッディング;メルトブローンポリマー;化学強化、変性、または架橋セルロース系繊維;ティッシュラップおよびティッシュラミネートなどのティッシュ;吸収性発泡体;吸収性スポンジ;吸収性ポリマー材料;吸収性ゲル化材料;あるいは他の周知の任意の吸収材料、または複数の材料の組み合わせが挙げられる。吸収性構造体14は、少量(典型的には10%未満)の非液体吸収材料、たとえば接着剤、バインダー、プラスチック、ワックス、油などをさらに含むことができる。本発明の種々の実施形態による吸収性構造体14は、おむつ10の長さおよび/または幅の全体に実質的に延在するように構成することができる。しかし、別の本発明による吸収性構造体14は、おむつ10全体と同一の広がりは有さず、たとえばクロッチ領域34などのおむつ10の特定の領域に限定される。種々の実施形態においては、吸収性構造体14はおむつ10の端部まで延在し、吸収材料110はクロッチ領域34またはおむつ10の別の標的ゾーンに集中する。さらに別の一実施形態においては、粒子を吸収材料110と組み合わせることができ、好ましくは吸収性ポリマー材料と、イオン交換樹脂、消臭剤、抗菌剤、バインダー粒子、または他の有益な粒子などのスキンケア粒子とを含むことができる。
【0172】
おむつ10は、閉じ込め壁または折り返し部24の組を使用することもできる。各折り返し部24は、長手方向に延在する壁構造であり、好ましくは吸収性構造体14の各側に配置され、長手方向軸36から横方向に間隔を開けている。折り返し部24の長手方向末端は、たとえば、前および後ウエスト領域30および32中でトップシート18に取り付けまたは連結することができる。好ましくは、折り返し部24の末端は、内側に仮留めされ、たとえば接着剤または音波接合によって下部構造体に取り付けられる。このような構成では、折り返し部24が内側に効果的にかたより、折り返し部24によって改善された漏れ防止特性が示されると一般に考えられる。好ましくは、折り返し部24には弾性部材28が取り付けられ、これは折り返し部24の実質的な長さに沿って延在する。一般的な用途においては、弾性部材28は、折り返し部24の内部に配置され、好ましくは引き延ばした状態で折り返し部24の上部に配置され、次に少なくとも末端で折り返し部24に接着または音波接合される。離されるか、他の方法でゆるめられた場合、弾性部材28は内側に収縮する。おむつ10が着用される場合、弾性部材28は、おむつ10、臀部、および大腿部の間でシールが形成されるように着用者の臀部および大腿部のまわりで折り返し部24を収縮させる機能を果たす。折り返し部24は、種々の周知の構成で組み立てることができ、これらは当技術分野において周知である。
【0173】
おむつ10は、捕捉層またはサージ層などの当技術分野において周知の追加の層を使用することもでき、好ましくはトップシートおよび吸収性コアおよびハイロフトおよび/またはカバーストック層の間に配置することができる。これは、液体が吸収性コアによって吸収されるのに十分な時間を有するように、流れを遅くする機能を果たす。
【0174】
着用者に関して所定の位置におむつ10を維持するために、好ましくは後ウエスト領域32の少なくとも一部が、締結または固定部材46によって、前ウエスト領域30の少なくとも一部に取り付けられて、好ましくは脚開口部および吸収性物品のウエストが形成される。締結または固定部材46は、吸収性物品のウエストの周囲で引張荷重を発生させ、着用者、弾性ウエストフィーチャー26、および折り返し部24の間に擬似的なシールを形成することによって弾性部材28が賞賛され(compliment)、それによって身体滲出物がおむつ10内に収容され、次に吸収される。言い換えると、それによって着用者とおむつ10の端部との間の隙間から漏れが生じない。締結または固定部材46は、たとえば接着剤、機械的ファスナー、フックおよびループの特徴、考えられるひも、および/またはそれらの組み合わせであってよく、すなわち、おむつ10の一端をおむつ10の長手方向の他端に固定する任意のものであってよい。締結または固定部材46は、互いに接着するが他の材料には接着しない共接着性(co−adhesive)であってもよい。締結または固定部材46およびその任意の構成要素は、限定するものではないがプラスチック、フィルム、発泡体、不織ウェブ、織布ウェブ、紙、積層体、繊維強化プラスチックなど、またはそれらの組み合わせなどの、そのような使用に適した任意の材料を含むことができる。締結または固定部材46を構成する材料は、可撓性、伸張性、および/または弾性であることが好ましい場合があり、それによって身体の形状および動きへの適合性を高めることができ、締結システムが着用者の肌を刺激したり傷つけたりする可能性が減少する。好ましくは、バックシート20に永久的に取り付けられたテープファスナーによっておむつ10が着用者に取り付けられる。テープファスナーは、バックシート20に取り付けられるか連結されてそれより延在する横方向に反対側のサイドパネルまたは耳22と接触して、そこで、ファスナーに塗布された結合性化合物のために取り付けられたままの状態で維持される。あるいは、吸収性物品はパンツなどであってよい。この構成においては、吸収性物品はテープファスナーを有しても有しなくてもよい。しかし、特定の使い捨てテープを、このような吸収性物品上に設けることもできる。すべての締結および固定要素46は、種々の周知の構成で組み立てることができ、それらは当技術分野において周知である。
【0175】
ウエスト領域30および32のそれぞれは、中央領域と、典型的にはウエスト領域の外側側方部分を含む一組のサイドパネルまたは耳22とを含む。これらのサイドパネル22は、シャーシ12および/またはバックシート20と一体であってよいし、当技術分野において周知の任意の手段によってそれらの取り付けたり連結したりすることもできる。本発明の好ましい一実施形態において、後ウエスト領域32中に配置されたサイドパネル22は、少なくとも横方向に可撓性、伸張性、および/または伸縮性である(すなわち、伸縮性のサイドパネル)、別の一実施形態において、サイドパネル22は非伸縮性、半剛性、剛性、および/または剛直性である。これらの種々のサイドパネル22は、当技術分野において周知である。
【0176】
さらに、弾性部材を使用するウエストバンド26は、おむつ10の横部分に沿って配置することができ、そのため着用した場合、着用者のウエストに沿ってウエストバンド26が配置される。一般に、ウエストバンド26は、好ましくはウエストに対してシールを形成し、それによって、弾性ウエストバンド26と着用者のウエストとの間の領域から身体滲出物が漏れなくなる。身体滲出物は主としておむつ10中の吸収材料によって吸収されるが、着用者による液体の放出が、吸収性構造体14の吸収速度能力を超えることを考慮すると、シールは重要である。したがって、ウエストバンド26が液体を収容しながら液体が吸収され、それらは当技術分野において周知である。
【0177】
おむつ10などの吸収性物品は、より良いフィット性、閉じ込め性、および審美的特性を得るために、前および後のイヤーパネル、ウエストキャップフィーチャー、弾性体などの当技術分野において周知の他の特徴、成分、および要素をも含むことができる。これらの特徴は、種々の周知の構成で組み立てることができ、当技術分野において周知である。
【0178】
本発明による好ましい吸収性構造体の製造方法は、以下のステップを含む:キャリア層101を提供し、その上に、当技術分野において周知の方法によって吸収材料110を配置する。吸収材料110を配置するために、真空、重力、またはその他の力を使用することができる。次に補助層102を提供して、吸収材料110を覆い、一次結合領域111および二次結合領域115を提供する。接着剤または化学的バインダーを使用したい場合は、これらをキャリア層101および/または補助層102の層に取り付けた後に、合わせてサンドイッチ構造を得ることが有用となり得る。熱シールされた結合領域を選択する場合は、サンドイッチ構造の構成要素を互いに組み合わせた後に熱シールを行うことができる。当然ながら、同じ吸収性構造体において両方の技術を併用することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17