【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法は、少なくとも1つの第1コンポーネントを備えた車両基礎構造を作るのに役立つ。第1コンポーネントは、設置接続により少なくとも1つの第2コンポーネントへ結合可能である。第1コンポーネントは、逆変形に適さない材料から製造される。少なくとも1つの掛止デバイスが、ここでは第1コンポーネントへ取り付けられる。掛止デバイスは、少なくとも1つの変形可能な掛止要素を含む。この目的のために、第1コンポーネントは射出成形デバイスに挿入される。第1コンポーネントは、射出成形デバイスにおいて、少なくともセクション毎に、少なくとも1つの可逆的に変形可能な材料で挿入成形される(insert molded)。掛止デバイスはここでは射出成形により作られるとともに、第1コンポーネントへ取り付けられる。
【0007】
本発明による方法には多くの利点がある。1つの顕著な利点は、少なくとも1つの変形可能な掛止要素を有する少なくとも1つの掛止デバイスが、射出成形により第1コンポーネントへ取り付けられるというものである。結果として、第1コンポーネントには、その非弾性または熱硬化性の特性にもかかわらず、変形可能な掛止要素が設けられ得る。したがって、第1コンポーネントの、特に迅速であり、同時に非常に確実な設置が掛止接続により可能である。
【0008】
さらに、掛止デバイスには、コンポーネントが接続されるのと同時に整列(an alignment)も行われるという利点もある。例えば、整列は、掛止要素は整列位置においてのみ掛止可能であるという事実により、行われる。
【0009】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、熱硬化性材料から少なくとも部分的に形成される。特に、第1コンポーネントは、熱硬化性プラスチックから、または熱硬化性物質から形成される。そのような第1コンポーネントは、高い安定性を、対応する低い重量で提供する。さらに、そのような材料でできているコンポーネントは、特に熱的に安定である。
【0010】
第1コンポーネントは、特に、掛止接続中に生じる可逆変形に適さない材料から製造される。
【0011】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、少なくとも部分的に繊維複合材料から形成される。この目的のために、少なくとも1つの繊維強化材が、好ましくは第1コンポーネントに組み込まれる。強化繊維材は、好ましくは、マトリクス材料として機能する熱硬化性プラスチックに埋め込まれる。第1コンポーネントはまた、熱硬化性プラスチックから完全に形成され得る。
【0012】
繊維強化材は、例えば、炭素繊維および/またはガラス繊維および/または他の好適な繊維材料を含む。繊維複合材料は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として、および/または、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)として設計される。繊維複合材料からなる第1コンポーネントは機械的かつ熱的に耐久性があり、低重量と魅力的な見た目とを提供する。
【0013】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、見えるように車両上または内に配置される。例えば、第1コンポーネントは、可視性カーボンコンポーネントと呼ばれるものとして使用される。様々なカーボンコンポーネントにおいて、炭素繊維強化プラスチックの特徴的な見た目が、視覚的設計要素として使用される。例えば、そのようなコンポーネントは、ウィングまたはラジエーターグリルに配置され得る。
【0014】
そのようなCFRPコンポーネントには変形性も弾性もないため、それらは掛止接続、および例えばクリップ留めにより設置され得ない。射出成形により掛止デバイスを本発明に従って取り付けることは、したがって、そのようなコンポーネントにおいて特に有利である。
【0015】
掛止デバイスは、好ましくは、少なくとも部分的に熱可塑性プラスチックから形成される。特に、掛止デバイスは熱可塑性プラスチックから完全に形成される。熱可塑性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックポリマーは、特に、射出成形に適し易く、したがって、特に有利には、掛止デバイスを取り付けるために使用され得る。さらに、熱可塑性プラスチックは、可逆的に変形可能または可撓性であり、したがって、それらは掛止要素を作るのに特に適し易い。
【0016】
少なくとも1つのアンダーカットが、好ましくは、第1コンポーネントと掛止デバイスとの間に射出成形により形成される。アンダーカットは、嵌め合い式に、取り付けられた掛止デバイスの、第1コンポーネントからの分離をブロックするのに好適であるとともに、第1コンポーネントからの分離をブロックするように設計される。これは、掛止デバイスとコンポーネントとの永続的かつ確実な接続を可能にし、したがって、それらは、さらなる設置作業の間、一体的なアセンブリとして取り扱われ得る。例えば、第1コンポーネントは、掛止デバイスが第1コンポーネントへ嵌め合い式に接続されるようなやり方で、可逆的に変形可能なプラスチックで挿入成形された3次元形状を有し得る。
【0017】
第1コンポーネントおよび掛止デバイスが、少なくとも1つの一体的接合接続部により互いに少なくとも部分的に接続されることも可能である。一体的接合接続部は特に、射出成形の間に作られる。
【0018】
アンダーカットのための少なくとも1つの凹部が、好ましくは、第1コンポーネントへ導入される。可逆的に変形可能なプラスチックも射出成形の間に凹部へ導入される。少なくとも1つの凹部を備えたこのようなアンダーカットは、複雑でないやり方、例えば、製造中に、穿孔する、フライス加工する、および/または他の研磨方法、そうでなければ窪ませることにより、作られ得る。
【0019】
そのような構成は特に、第1コンポーネントがCFRPまたはGFRPから製造される場合に有利である。これらの材料の場合、凹部の導入は、隆起部または突出部の形成よりも複雑ではないことが多い。そのような構成はまた、第1コンポーネントが、アンダーカットのために極めて広範囲にわたって、または複雑なやり方で挿入成形されなければならない3次元形状を有する場合、特に有利である。例えば、フィンであって、実質的に露出されることを意図されるとともに、それらの端部での領域においてのみ掛止デバイスにより覆われることを意図されるフィンについて当てはまる。
【0020】
2つまたは3つまたは複数の凹部が、特に好ましくは、第1コンポーネントへ導入される。したがって、特にしっかりとした支持が確実となる。凹部は、特に第1コンポーネントの挿入の前に射出成形デバイスに導入される。特に、凹部は第1コンポーネントの整形または硬化の後で組み込まれる。しかしながら、凹部が第1コンポーネントの整形中に組み込まれることも可能である。
【0021】
少なくとも1つの隆起部がアンダーカットのために第1コンポーネントに配置されることも可能である。特に、隆起部は射出成形の間に可逆的に変形可能なプラスチックにより挿入成形される。このような隆起部はまた、掛止デバイスと第1コンポーネントとの間のしっかりとした接続を可能にする。
【0022】
第2コンポーネントも、本発明による方法の有利な改良形態において作られる。車両基礎構造は、特に、少なくとも1つの第2コンポーネントを含む。第2コンポーネントは、少なくとも1つの掛止ユニットを備えて製造される。掛止ユニットは、特に、掛止デバイスの掛止要素に結合可能である。第2コンポーネントは、好ましくは、掛止ユニットと掛止要素とを共に掛止することにより第1コンポーネントへ接続される。第2コンポーネントは、好ましくは、プラスチック材料から作られる。
【0023】
2つ以上の第2コンポーネントも作られ得る。2つ以上の第1コンポーネントが作られることも可能である。この場合、少なくとも1つの第1コンポーネントは、少なくとも1つの第2コンポーネントへ、各々、少なくとも1つの掛止ユニットと少なくとも1つの掛止要素とを一緒に掛止することにより、接続され得る。例えば、複数の第1コンポーネントは、掛止により第2コンポーネントに設置され得る。
【0024】
本方法の可能な展開形態において、第1コンポーネントは、フィン付き要素として製造される。第2コンポーネントは特に、フィン付き要素および特に複数のフィン付き要素のための支持フレームとして製造される。支持フレームは次いで、好ましくは自動車に設置される。そのような車両基礎構造は、例えば、車両の外板における吸気口および/または可視性スクリーンのために提供される。例えば、車両基礎構造は、ウィングコンポーネントとして設計される。
【0025】
長尺状のフィン付き要素の場合、2つ以上の掛止デバイスが好ましくは設けられる。掛止デバイスは、例えばフィン付き要素の端部へ取り付けられる。より短いフィン付き要素の場合、1つのみの掛止デバイスが同様に設けられ得る。掛止デバイスは2つ以上の掛止要素を含み得る。
【0026】
本発明による車両基礎構造は、少なくとも1つの第2コンポーネントへの設置接続のために設けられた少なくとも1つの第1コンポーネントを含む。第1コンポーネントは、特に、逆変形に適さない可撓性のより低い材料から形成される。第1コンポーネントはここでは射出成形により少なくとも1つの掛止デバイスへ固定的に接続される。掛止デバイスは、特に、第2コンポーネントへの掛止接続をなすための少なくとも1つの変形可能な掛止要素を含む。掛止要素は、より可撓性のある材料から形成される。
【0027】
本発明による車両基礎構造は同様に多くの利点を提供する。射出成形により固定的に接続された掛止デバイスは、第1コンポーネントの、迅速かつ複雑ではない設置を可能にする。
【0028】
掛止デバイスは、特に、射出成形により形成される。掛止要素は、特に、弾性的に変形可能となるように設計される。掛止接続は、特に、取りはずし可能かつ再び掛止可能となるように設計される。これは、例えば、コンポーネントの、費用効果があり複雑でない交換を可能にする。第1コンポーネントおよび掛止デバイスは、特に、それらが破壊されずには解放され得ないように互いに接続される。
【0029】
少なくとも1つのアンダーカットが、特に好ましくは、第1コンポーネントと掛止デバイスとの間に形成される。アンダーカットは、特に、移動の全ての方向において嵌め合い式に、掛止デバイスの、第1コンポーネントからの分離をブロックするのに好適であるとともに、第1コンポーネントからの分離をブロックするように設計される。このようなアンダーカットは、安定的かつ耐久性がある接続を提供する。
【0030】
アンダーカットは好ましくは、第1コンポーネントに配置された少なくとも1つの凹部を含む。掛止デバイスは、好ましくは、少なくとも部分的に凹部に成型される(鋳込まれる)。掛止デバイスはまた、好ましくは、第1コンポーネントの少なくとも1つの表面上に延在し、この表面は凹部に隣接する。第1コンポーネントが、アンダーカットを形成するために掛止デバイスに囲まれる少なくとも1つの隆起部を含むことも可能である。
【0031】
第1コンポーネントは、好ましくは、熱硬化性材料から少なくとも部分的に形成されるか、少なくとも1つのそのような材料を含む。第1コンポーネントは特に好ましくは、少なくとも部分的に繊維複合材料から形成されるか、そのような材料、例えばCFRPまたはGFRPを含む。第1コンポーネントがさらなる部品を含むことも可能である。第1コンポーネントは、特に好ましくは、少なくとも1つの熱硬化性プラスチックを、そこに埋め込まれる少なくとも1つの繊維強化のためのマトリクス材料として含む。繊維強化材は、好ましくは、炭素繊維および/またはガラス繊維から形成される。そのような第1コンポーネントは、高い安定性を対応する低い重量で提供する。
【0032】
第1コンポーネントは特に、掛止接続中に生じる可逆変形に適さない材料から形成される。第1コンポーネントは特に、掛止デバイスの材料より可撓性の低い材料から形成される。第1コンポーネントは特に、脆弱な材料から形成される。
【0033】
掛止デバイスは、好ましくは、熱可塑性プラスチックから形成されるか、少なくとも1つのそのような熱可塑性プラスチックを含む。掛止デバイスはまた、少なくとも1つの他の可逆的に変形可能であり、特に、射出成形可能な材料から形成され得る。掛止要素、および好ましくは、掛止デバイス全体は特に、第1コンポーネントより可撓性のある材料から製造される。そのような掛止デバイスは、費用効果的に作ることができるとともに、弾性的特性により良好な掛止接続を提供する。
【0034】
車両基礎構造は、特に、少なくとも1つの掛止ユニットを備えた少なくとも1つの第2コンポーネントを含む。掛止ユニットは、特に、掛止デバイスの掛止要素へ掛止可能である。第1コンポーネントは、好ましくは、少なくとも1つの掛止接続部により、第2コンポーネントへ結合可能である。そのような車両基礎構造は、様々なコンポーネントの複雑でない設置を提供する。
【0035】
例示的な改良形態において、第1コンポーネントは少なくとも1つのフィン付き要素を含む。第2コンポーネントは、特に、フィン付き要素のための少なくとも1つの支持フレームを含むか、含むように設計される。支持フレームは、特に好ましくは、複数のフィン付き要素を受けるように設計される。車両基礎構造は、特に、ウィングコンポーネントとして設計される。
【0036】
掛止デバイスは、好ましくは、第2コンポーネントをクリップ留めするのに好適であるとともに、第2コンポーネントをクリップ留めするように設計される。掛止要素は、特に、クリップとして設計されるか、少なくとも1つのそのようなクリップを含む。
【0037】
掛止デバイスが少なくとも1つの接続要素を含むことが可能である。接続要素は特に、掛止要素を第1コンポーネントへ接続するのに好適であるとともに、掛止要素を第1コンポーネントへ接続するように設計される。例えば、接続要素はフレームとして設計される。接続要素は、射出成形の間に第1コンポーネントの周りに好ましくは部分的に形成される。接続要素および掛止要素は好ましくは一体的に形成される。
【0038】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付図面に関して以下で説明される例示的な実施形態から明らかになる。