特許第6514293号(P6514293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6514293車両基礎構造を作るための方法、および車両基礎構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514293
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】車両基礎構造を作るための方法、および車両基礎構造
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20190425BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20190425BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C33/42
   B62D29/04 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-190498(P2017-190498)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-62172(P2018-62172A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】10 2016 118 736.4
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(73)【特許権者】
【識別番号】517343690
【氏名又は名称】プラン ベー エンジニアリング ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ティモ エルプ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ブルンナー
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト シュヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カイ クレッツシュマー
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−532364(JP,A)
【文献】 特開2005−001314(JP,A)
【文献】 特開2011−183585(JP,A)
【文献】 特開2014−061767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00−45/84
B29C33/00−33/76
B62D17/00−25/08
B62D25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置接続により少なくとも1つの第2コンポーネント(2)へ結合可能である少なくとも1つの第1コンポーネント(1)を備えた車両基礎構造(10)を作るための方法であって、前記第1コンポーネント(1)が非弾性の材料(11)から製造される方法において、少なくとも1つの変形可能な掛止要素(13)を有する少なくとも1つの掛止デバイス(3)が、前記第1コンポーネント(1)へ取り付けられることと、この目的のために、前記第1コンポーネント(1)が射出成形デバイスに挿入されることと、前記第1コンポーネント(1)が、前記射出成形デバイスにおいて、少なくともセクション毎に、少なくとも1つの可逆的に変形可能なプラスチック(23)で挿入成形されることと、プロセスにおいて、前記掛止デバイス(3)が射出成形により作られるとともに前記第1コンポーネント(1)へ取り付けられることと
前記第1コンポーネント(1)がフィン付き要素(6)として製造され、前記第2コンポーネント(2)が、前記フィン付き要素(6)のため、および特に、複数のフィン付き要素(6)のための支持フレーム(7)として製造されることとを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1コンポーネント(1)が少なくとも部分的に熱硬化性材料(11)から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1コンポーネント(1)が少なくとも部分的に繊維複合材料から形成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記掛止デバイス(3)が少なくとも部分的に熱可塑性プラスチック(23)から形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのアンダーカット(4)が、前記第1コンポーネント(1)と前記掛止デバイス(3)との間に前記射出成形により形成され、それにより、取り付けられた前記掛止デバイス(3)の、前記第1コンポーネント(1)からの分離が、嵌め合い式にブロックされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アンダーカット(4)のために、少なくとも1つの凹部(14)が前記第1コンポーネント(1)へ導入され、前記可逆的に変形可能なプラスチック(23)がまた、前記射出成形の間に前記凹部(14)へ導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2コンポーネント(2)がまた作られ、前記第2コンポーネント(2)が少なくとも1つの掛止ユニット(5)を備えて製造され、前記第2コンポーネント(2)が、掛止ユニット(5)と掛止要素(13)とを一緒に掛止することにより、前記第1コンポーネント(1)へ接続される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第2コンポーネント(2)への設置接続のために提供されるとともに、可撓性のより低い材料(11)から形成された少なくとも1つの第1コンポーネント(1)を含む車両基礎構造(10)において、前記第1コンポーネント(1)が少なくとも1つの掛止デバイス(3)へ射出成形により固定的に接続されることと、前記掛止デバイス(3)が、前記第2コンポーネント(2)への掛止接続のためのより可撓性のある材料(23)からなる少なくとも1つの変形可能な掛止要素(13)を含むことと
前記第1コンポーネント(1)が少なくとも1つのフィン付き要素(6)を含み、前記第2コンポーネント(2)が前記フィン付き要素(6)のための少なくとも1つの支持フレーム(7)を含むこととを特徴とする、車両基礎構造(10)。
【請求項9】
少なくとも1つのアンダーカット(4)が、前記第1コンポーネント(1)と前記掛止デバイス(3)との間に形成され、前記アンダーカットが、前記掛止デバイス(3)の、前記第1コンポーネント(1)からの分離を嵌め合い式にブロックする、請求項に記載の車両基礎構造(10)。
【請求項10】
前記アンダーカット(4)が、少なくとも1つの凹部(14)であって、前記第1コンポーネント(1)に配置されるとともに、前記掛止デバイス(3)が少なくとも部分的に成型される少なくとも1つの凹部(14)を含む、請求項に記載の車両基礎構造(10)。
【請求項11】
前記第1コンポーネント(1)が、熱硬化性材料(11)から、および/もしくは繊維複合材料から少なくとも部分的に形成され、ならびに/または、前記掛止デバイス(3)が熱可塑性プラスチック(23)から形成される、請求項10のいずれか一項に記載の車両基礎構造(10)。
【請求項12】
前記掛止デバイス(3)の前記掛止要素(13)へ掛止可能である少なくとも1つの掛止ユニット(5)を備えた少なくとも1つの第2コンポーネント(2)を含み、したがって、前記第1コンポーネント(1)が、少なくとも1つの掛止接続部により、前記第2コンポーネント(2)へ結合可能である、請求項11のいずれか一項に記載の車両基礎構造(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1コンポーネントを備えた車両基礎構造(a vehicle substructure)を作るための方法、およびまた車両基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部門のためのコンポーネントおよび部品の生産において、繊維複合材料および、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)がますます使用されている。強化繊維はここでは熱硬化性マトリクス材料に埋め込まれることが多い。安定性に関する予め決められた要件を考慮して、そのようなコンポーネントは、一般的に、特に低い重量および非常に魅力的な見た目を提供する。
【0003】
しかしながら、そのようなコンポーネントの、車両または他の部品への設置は、多くの場合非常に複雑でありしたがって費用がかかる。熱硬化性材料の弾性の欠如により、コンポーネントは、掛止接続により、例えばクリップ留めにより、取り付けられ得ない。
【0004】
先行技術において、熱硬化性コンポーネントおよび、例えばCFRPコンポーネントは、一般的に極めて時間のかかる接着接合プロセスにより締結される。接着接合接続はまた、共に接着接合されるコンポーネントの非常に時間のかかる方向付けが、一般的に、それらコンポーネントが接着接合接続により最終的に固定される前に行われなければならないという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、可逆的に変形可能ではない材料、および特に熱硬化性プラスチックからなる車両基礎構造のためのコンポーネントを、前記コンポーネントがより速やかかつ確実に取り付けられ得るような方法で、改良することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法は、少なくとも1つの第1コンポーネントを備えた車両基礎構造を作るのに役立つ。第1コンポーネントは、設置接続により少なくとも1つの第2コンポーネントへ結合可能である。第1コンポーネントは、逆変形に適さない材料から製造される。少なくとも1つの掛止デバイスが、ここでは第1コンポーネントへ取り付けられる。掛止デバイスは、少なくとも1つの変形可能な掛止要素を含む。この目的のために、第1コンポーネントは射出成形デバイスに挿入される。第1コンポーネントは、射出成形デバイスにおいて、少なくともセクション毎に、少なくとも1つの可逆的に変形可能な材料で挿入成形される(insert molded)。掛止デバイスはここでは射出成形により作られるとともに、第1コンポーネントへ取り付けられる。
【0007】
本発明による方法には多くの利点がある。1つの顕著な利点は、少なくとも1つの変形可能な掛止要素を有する少なくとも1つの掛止デバイスが、射出成形により第1コンポーネントへ取り付けられるというものである。結果として、第1コンポーネントには、その非弾性または熱硬化性の特性にもかかわらず、変形可能な掛止要素が設けられ得る。したがって、第1コンポーネントの、特に迅速であり、同時に非常に確実な設置が掛止接続により可能である。
【0008】
さらに、掛止デバイスには、コンポーネントが接続されるのと同時に整列(an alignment)も行われるという利点もある。例えば、整列は、掛止要素は整列位置においてのみ掛止可能であるという事実により、行われる。
【0009】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、熱硬化性材料から少なくとも部分的に形成される。特に、第1コンポーネントは、熱硬化性プラスチックから、または熱硬化性物質から形成される。そのような第1コンポーネントは、高い安定性を、対応する低い重量で提供する。さらに、そのような材料でできているコンポーネントは、特に熱的に安定である。
【0010】
第1コンポーネントは、特に、掛止接続中に生じる可逆変形に適さない材料から製造される。
【0011】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、少なくとも部分的に繊維複合材料から形成される。この目的のために、少なくとも1つの繊維強化材が、好ましくは第1コンポーネントに組み込まれる。強化繊維材は、好ましくは、マトリクス材料として機能する熱硬化性プラスチックに埋め込まれる。第1コンポーネントはまた、熱硬化性プラスチックから完全に形成され得る。
【0012】
繊維強化材は、例えば、炭素繊維および/またはガラス繊維および/または他の好適な繊維材料を含む。繊維複合材料は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として、および/または、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)として設計される。繊維複合材料からなる第1コンポーネントは機械的かつ熱的に耐久性があり、低重量と魅力的な見た目とを提供する。
【0013】
第1コンポーネントは、特に好ましくは、見えるように車両上または内に配置される。例えば、第1コンポーネントは、可視性カーボンコンポーネントと呼ばれるものとして使用される。様々なカーボンコンポーネントにおいて、炭素繊維強化プラスチックの特徴的な見た目が、視覚的設計要素として使用される。例えば、そのようなコンポーネントは、ウィングまたはラジエーターグリルに配置され得る。
【0014】
そのようなCFRPコンポーネントには変形性も弾性もないため、それらは掛止接続、および例えばクリップ留めにより設置され得ない。射出成形により掛止デバイスを本発明に従って取り付けることは、したがって、そのようなコンポーネントにおいて特に有利である。
【0015】
掛止デバイスは、好ましくは、少なくとも部分的に熱可塑性プラスチックから形成される。特に、掛止デバイスは熱可塑性プラスチックから完全に形成される。熱可塑性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックポリマーは、特に、射出成形に適し易く、したがって、特に有利には、掛止デバイスを取り付けるために使用され得る。さらに、熱可塑性プラスチックは、可逆的に変形可能または可撓性であり、したがって、それらは掛止要素を作るのに特に適し易い。
【0016】
少なくとも1つのアンダーカットが、好ましくは、第1コンポーネントと掛止デバイスとの間に射出成形により形成される。アンダーカットは、嵌め合い式に、取り付けられた掛止デバイスの、第1コンポーネントからの分離をブロックするのに好適であるとともに、第1コンポーネントからの分離をブロックするように設計される。これは、掛止デバイスとコンポーネントとの永続的かつ確実な接続を可能にし、したがって、それらは、さらなる設置作業の間、一体的なアセンブリとして取り扱われ得る。例えば、第1コンポーネントは、掛止デバイスが第1コンポーネントへ嵌め合い式に接続されるようなやり方で、可逆的に変形可能なプラスチックで挿入成形された3次元形状を有し得る。
【0017】
第1コンポーネントおよび掛止デバイスが、少なくとも1つの一体的接合接続部により互いに少なくとも部分的に接続されることも可能である。一体的接合接続部は特に、射出成形の間に作られる。
【0018】
アンダーカットのための少なくとも1つの凹部が、好ましくは、第1コンポーネントへ導入される。可逆的に変形可能なプラスチックも射出成形の間に凹部へ導入される。少なくとも1つの凹部を備えたこのようなアンダーカットは、複雑でないやり方、例えば、製造中に、穿孔する、フライス加工する、および/または他の研磨方法、そうでなければ窪ませることにより、作られ得る。
【0019】
そのような構成は特に、第1コンポーネントがCFRPまたはGFRPから製造される場合に有利である。これらの材料の場合、凹部の導入は、隆起部または突出部の形成よりも複雑ではないことが多い。そのような構成はまた、第1コンポーネントが、アンダーカットのために極めて広範囲にわたって、または複雑なやり方で挿入成形されなければならない3次元形状を有する場合、特に有利である。例えば、フィンであって、実質的に露出されることを意図されるとともに、それらの端部での領域においてのみ掛止デバイスにより覆われることを意図されるフィンについて当てはまる。
【0020】
2つまたは3つまたは複数の凹部が、特に好ましくは、第1コンポーネントへ導入される。したがって、特にしっかりとした支持が確実となる。凹部は、特に第1コンポーネントの挿入の前に射出成形デバイスに導入される。特に、凹部は第1コンポーネントの整形または硬化の後で組み込まれる。しかしながら、凹部が第1コンポーネントの整形中に組み込まれることも可能である。
【0021】
少なくとも1つの隆起部がアンダーカットのために第1コンポーネントに配置されることも可能である。特に、隆起部は射出成形の間に可逆的に変形可能なプラスチックにより挿入成形される。このような隆起部はまた、掛止デバイスと第1コンポーネントとの間のしっかりとした接続を可能にする。
【0022】
第2コンポーネントも、本発明による方法の有利な改良形態において作られる。車両基礎構造は、特に、少なくとも1つの第2コンポーネントを含む。第2コンポーネントは、少なくとも1つの掛止ユニットを備えて製造される。掛止ユニットは、特に、掛止デバイスの掛止要素に結合可能である。第2コンポーネントは、好ましくは、掛止ユニットと掛止要素とを共に掛止することにより第1コンポーネントへ接続される。第2コンポーネントは、好ましくは、プラスチック材料から作られる。
【0023】
2つ以上の第2コンポーネントも作られ得る。2つ以上の第1コンポーネントが作られることも可能である。この場合、少なくとも1つの第1コンポーネントは、少なくとも1つの第2コンポーネントへ、各々、少なくとも1つの掛止ユニットと少なくとも1つの掛止要素とを一緒に掛止することにより、接続され得る。例えば、複数の第1コンポーネントは、掛止により第2コンポーネントに設置され得る。
【0024】
本方法の可能な展開形態において、第1コンポーネントは、フィン付き要素として製造される。第2コンポーネントは特に、フィン付き要素および特に複数のフィン付き要素のための支持フレームとして製造される。支持フレームは次いで、好ましくは自動車に設置される。そのような車両基礎構造は、例えば、車両の外板における吸気口および/または可視性スクリーンのために提供される。例えば、車両基礎構造は、ウィングコンポーネントとして設計される。
【0025】
長尺状のフィン付き要素の場合、2つ以上の掛止デバイスが好ましくは設けられる。掛止デバイスは、例えばフィン付き要素の端部へ取り付けられる。より短いフィン付き要素の場合、1つのみの掛止デバイスが同様に設けられ得る。掛止デバイスは2つ以上の掛止要素を含み得る。
【0026】
本発明による車両基礎構造は、少なくとも1つの第2コンポーネントへの設置接続のために設けられた少なくとも1つの第1コンポーネントを含む。第1コンポーネントは、特に、逆変形に適さない可撓性のより低い材料から形成される。第1コンポーネントはここでは射出成形により少なくとも1つの掛止デバイスへ固定的に接続される。掛止デバイスは、特に、第2コンポーネントへの掛止接続をなすための少なくとも1つの変形可能な掛止要素を含む。掛止要素は、より可撓性のある材料から形成される。
【0027】
本発明による車両基礎構造は同様に多くの利点を提供する。射出成形により固定的に接続された掛止デバイスは、第1コンポーネントの、迅速かつ複雑ではない設置を可能にする。
【0028】
掛止デバイスは、特に、射出成形により形成される。掛止要素は、特に、弾性的に変形可能となるように設計される。掛止接続は、特に、取りはずし可能かつ再び掛止可能となるように設計される。これは、例えば、コンポーネントの、費用効果があり複雑でない交換を可能にする。第1コンポーネントおよび掛止デバイスは、特に、それらが破壊されずには解放され得ないように互いに接続される。
【0029】
少なくとも1つのアンダーカットが、特に好ましくは、第1コンポーネントと掛止デバイスとの間に形成される。アンダーカットは、特に、移動の全ての方向において嵌め合い式に、掛止デバイスの、第1コンポーネントからの分離をブロックするのに好適であるとともに、第1コンポーネントからの分離をブロックするように設計される。このようなアンダーカットは、安定的かつ耐久性がある接続を提供する。
【0030】
アンダーカットは好ましくは、第1コンポーネントに配置された少なくとも1つの凹部を含む。掛止デバイスは、好ましくは、少なくとも部分的に凹部に成型される(鋳込まれる)。掛止デバイスはまた、好ましくは、第1コンポーネントの少なくとも1つの表面上に延在し、この表面は凹部に隣接する。第1コンポーネントが、アンダーカットを形成するために掛止デバイスに囲まれる少なくとも1つの隆起部を含むことも可能である。
【0031】
第1コンポーネントは、好ましくは、熱硬化性材料から少なくとも部分的に形成されるか、少なくとも1つのそのような材料を含む。第1コンポーネントは特に好ましくは、少なくとも部分的に繊維複合材料から形成されるか、そのような材料、例えばCFRPまたはGFRPを含む。第1コンポーネントがさらなる部品を含むことも可能である。第1コンポーネントは、特に好ましくは、少なくとも1つの熱硬化性プラスチックを、そこに埋め込まれる少なくとも1つの繊維強化のためのマトリクス材料として含む。繊維強化材は、好ましくは、炭素繊維および/またはガラス繊維から形成される。そのような第1コンポーネントは、高い安定性を対応する低い重量で提供する。
【0032】
第1コンポーネントは特に、掛止接続中に生じる可逆変形に適さない材料から形成される。第1コンポーネントは特に、掛止デバイスの材料より可撓性の低い材料から形成される。第1コンポーネントは特に、脆弱な材料から形成される。
【0033】
掛止デバイスは、好ましくは、熱可塑性プラスチックから形成されるか、少なくとも1つのそのような熱可塑性プラスチックを含む。掛止デバイスはまた、少なくとも1つの他の可逆的に変形可能であり、特に、射出成形可能な材料から形成され得る。掛止要素、および好ましくは、掛止デバイス全体は特に、第1コンポーネントより可撓性のある材料から製造される。そのような掛止デバイスは、費用効果的に作ることができるとともに、弾性的特性により良好な掛止接続を提供する。
【0034】
車両基礎構造は、特に、少なくとも1つの掛止ユニットを備えた少なくとも1つの第2コンポーネントを含む。掛止ユニットは、特に、掛止デバイスの掛止要素へ掛止可能である。第1コンポーネントは、好ましくは、少なくとも1つの掛止接続部により、第2コンポーネントへ結合可能である。そのような車両基礎構造は、様々なコンポーネントの複雑でない設置を提供する。
【0035】
例示的な改良形態において、第1コンポーネントは少なくとも1つのフィン付き要素を含む。第2コンポーネントは、特に、フィン付き要素のための少なくとも1つの支持フレームを含むか、含むように設計される。支持フレームは、特に好ましくは、複数のフィン付き要素を受けるように設計される。車両基礎構造は、特に、ウィングコンポーネントとして設計される。
【0036】
掛止デバイスは、好ましくは、第2コンポーネントをクリップ留めするのに好適であるとともに、第2コンポーネントをクリップ留めするように設計される。掛止要素は、特に、クリップとして設計されるか、少なくとも1つのそのようなクリップを含む。
【0037】
掛止デバイスが少なくとも1つの接続要素を含むことが可能である。接続要素は特に、掛止要素を第1コンポーネントへ接続するのに好適であるとともに、掛止要素を第1コンポーネントへ接続するように設計される。例えば、接続要素はフレームとして設計される。接続要素は、射出成形の間に第1コンポーネントの周りに好ましくは部分的に形成される。接続要素および掛止要素は好ましくは一体的に形成される。
【0038】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付図面に関して以下で説明される例示的な実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】車両基礎構造の概略図を斜視図で示す。
図2】車両基礎構造の第1コンポーネントを斜視図で概略的に示す。
図3図2のコンポーネントを異なる視点から示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、ここでは複数の第1コンポーネント1を含む本発明による車両基礎構造10を示す。第1コンポーネント1は第2コンポーネント2に設置される。車両基礎構造10は、本発明による方法により作られている。
【0041】
車両基礎構造10はここではウィングコンポーネントとして設計される。しかしながら、車両基礎構造10はまた、自動車用の他の任意のコンポーネントまたは他の任意の部品として構成され得る。第1コンポーネント1はここでは要件に依存して任意の所望の形をとり得る。例えば、第1コンポーネント1は、任意のタイプの開放または閉鎖プロファイルとして設計され得る。第1コンポーネント1はまた、例えば、プレートなどの表面コンポーネントとして設計され得る。第2コンポーネント2もまた任意の所望の形をとり得る。
【0042】
ここで図示される車両基礎構造10の場合、第1コンポーネント1はフィン付き要素6として設計される。フィン付き要素6は特に、車両の外板を通じて空気を入れるために機能する。第2コンポーネント2はここではフィン付き要素6のための支持フレーム7として設計される。第2コンポーネント2はここでは、例えばねじ止めにより車両へ締結するための設置デバイス17を含む。
【0043】
車両基礎構造10は、例えば、車体へ、および/または車体に設置された支持コンポーネントへ締結され得る。車両基礎構造10はまた車室のために設けられ得る。
【0044】
第1コンポーネント1は、可逆変形に適さない材料11から製造される。例えば、材料11は脆弱であるとともに、掛止デバイスの材料23より可撓性が低く、したがって、特定の曲げ応力またはねじり応力があると壊れる。
【0045】
第1コンポーネント1は、例えば、繊維複合材料から製造される。この目的のために、熱硬化性プラスチック11が、炭素繊維またはガラス繊維または別の好適な繊維強化材の埋め込みのためのマトリクスとしてここで使用される。そのような材料11は、第1コンポーネント1の安定的で、負荷をかけることができ、かつ視覚的に魅力的な構成を可能にする。第1コンポーネント1は、特に好ましくは、炭素繊維強化プラスチックから製造される。後者は、その特徴的材料構造のために、可視性カーボンコンポーネントと呼ばれるものとして、例えばウィング領域において使用され得る。
【0046】
第2コンポーネント2への第1コンポーネント1の、複雑でないと同時に安定的な締結を可能にするために、掛止接続が使用される。しかしながら、逆変形に適さない材料11を理由として、第1コンポーネント1は掛止接続のために直接的には使用され得ない。熱硬化性繊維複合材料でできている第1コンポーネント1は、例えば、前記コンポーネントが適所に置かれるようにクリップ留めされることを意図される場合、弾性の欠如のために壊れる。
【0047】
フレキシブルに変形可能な掛止要素13を有する掛止デバイス3が、したがって、射出成形により第1コンポーネント1へ接続される。掛止デバイス3は、ここでは熱可塑性プラスチック23から製造され、したがって、第1コンポーネント1より可撓性がある。そのようなプラスチック23は十分に高い変形性を有し、したがって、掛止作業の間に壊れることなく、掛止要素13は対応して曲げられ得る。
【0048】
第2コンポーネント2はここでは、掛止要素13のための対応する相手方として設計された掛止ユニット5を含む。掛止要素13は、前記掛止要素が設置された状態において固定的に掛止され、掛止接続が、掛止要素13の的を絞った屈曲無しには再び解放され得ないような方法で、掛止ユニット5に係合する。
【0049】
迅速な設置に加え、そのような掛止接続は、設置の間に第1コンポーネント1が第2コンポーネント2に合致するように整列させられるという利点を提供する。これは特に、2つのコンポーネント1、2が互いに対応して整列する場合だけ、掛止要素13が掛止ユニット5に入ることができるという事実により達成される。
【0050】
図2および3は、各々異なる視点で、本発明による車両基礎構造10の第1コンポーネント1を斜視図で示す。第1コンポーネント1は、例えば、図1について説明されたとおり、フィン付き要素6として使用され得る。
【0051】
掛止接続を介した設置を可能にするために、掛止デバイス3は、可撓性掛止要素13を介して第1コンポーネント1へ固定的に接続される。第1コンポーネント1はここでは、熱硬化性材料11をマトリクス材料とする繊維複合材料から形成される。掛止デバイスは、熱可塑性プラスチック23から製造される。
【0052】
第1コンポーネント1へ接続するため、掛止デバイス3はここでフレーム33を含む。フレーム33は、ここで、第1コンポーネント1の下側の実質的に上に延在し、したがって、第1コンポーネント1の上側は覆われないままとなる。結果として、第1コンポーネント1の全体的な見た目は、掛止デバイス3の影響を受けない。これは特に、可視性カーボンコンポーネントの場合、有利である。
【0053】
掛止要素13はここでは、適所へ掛止された後、掛止フック43のために設けられた掛止ユニット5へ嵌め合い式に係合する掛止フック43を有し、したがって、掛止接続の意図しない解放が防がれる。掛止フック43はここでは内側に向けて配置される。しかしながら、掛止フック43が外側に向けられることも可能である。掛止要素13はまた、2つまたは3つまたはそれを超える数の掛止フック43を含み得る。
【0054】
アンダーカット4が、ここでは第1コンポーネント1と掛止デバイス3との間に設けられる。アンダーカット4は、ボアとして設計された凹部14を、第1コンポーネント1において含む。合計で4つの凹部14は、ここでは第1コンポーネント1において配置される。凹部14はここで第1コンポーネント1のサイドウィングに配置され、このサイドウィングは取り付けられた状態では見えない。
【0055】
掛止デバイス3はまた、そのフレーム33で凹部14内へ延在し、凹部14内に成型される(鋳込まれる)。第1コンポーネント1の、掛止デバイス3との動かない形の合った接続は、したがって、凹部14の配置およびフレーム33の整形により作られる。両者の分離は、したがって、嵌め合い式にブロックされる。
【0056】
車両基礎構造10の生産の際、第1コンポーネント1が最初に製造される。この目的のために、繊維強化材、および例えば、炭素繊維材料および/またはガラス繊維材料がマトリクス材料に埋め込まれる。熱硬化性プラスチック11が、ここではマトリクス材料として好ましくは使用される。繊維は好ましくは、コンポーネントの予想される主な負荷方向に、的を絞ったやり方で整列される。
【0057】
第1コンポーネント1の整形および硬化の後、アンダーカット4のための凹部14が組み込まれる。この目的のために、例えば、ボアおよび/またはフライス加工された部分が第1コンポーネント1に組み込まれる。
【0058】
第1コンポーネント1は、続いて射出成形デバイスに挿入される。射出成形デバイスは、例えば、少なくとも2つの半金型に分割され得る射出成形金型からなる。射出成形金型は、第1コンポーネント1の要件および形状に従って構成される。さらに、射出成形デバイスは、所望の掛止デバイス3を整形するために設計される。掛止要素13の数および/または位置は、例えば、第1コンポーネントの要件および/または形状を参照して選択される。
【0059】
可逆的に変形可能なプラスチック23、特に熱可塑性プラスチック23が、次いで、射出成形デバイスに注入される。このプロセスにおいて、第1コンポーネント1に一体的に形成された掛止デバイス3が形成される。第1コンポーネント1は、第1コンポーネント1に設けられた凹部14を通る熱可塑性プラスチック23により、掛止デバイス3に接続される。凹部14は、アンダーカット4を形成するために的を絞ったやり方で配置されているため、形の合った、および確実な接続が、したがって、第1コンポーネント1と掛止デバイス3との間に作られる。したがって、掛止デバイス3が形成され、同時に、射出成形の間に第1コンポーネント1へ接続される。
【0060】
射出成形により、特に一体的接合接続が第1コンポーネント1の材料11と第2コンポーネント2の材料23との間に作られ、前記一体的接合接続がアンダーカット4の形の合った接続を少なくとも部分的に支持するようにされ得る。しかしながら、第1コンポーネント1の材料11が掛止デバイス3の材料23といかなる接続またはいかなる耐荷接続もなさず、したがって固定接続がアンダーカットにより、または形を合せることにより提供されることも可能である。
【0061】
射出成形の後で、第1コンポーネント1は掛止デバイス3とともに射出成形デバイスから除去される。そして、適切な仕上げが行われ得る。しかしながら、コンポーネントおよび掛止デバイス1、3が射出成形の後でいかなる仕上げもなく使用されることも可能である。
【0062】
第1コンポーネント1は、続いて、対応する第2コンポーネント2へ、掛止デバイス3を介して接続され得る。この目的のために、第2コンポーネント2は、掛止要素13の相手方として機能する掛止ユニット5を有する。例えば、図1に示されるとおり、複数の第1コンポーネント1は、したがって、支持フレーム7として機能する第2コンポーネント2へクリップ留めされ得る。
【0063】
本明細書で表された方法は、その上に射出成形で設けられた掛止デバイス3を備えた第1コンポーネント1の生産を可能にし、したがって、第1コンポーネント1は他のコンポーネント2にクリップ留めされ得る。結果として、材料11であって、その弾性の欠如が通常はクリップ留めを可能としない材料11から製造されたコンポーネント1がクリップ留めされることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 コンポーネント
2 コンポーネント
3 掛止デバイス
4 アンダーカット
5 掛止ユニット
6 フィン付き要素
7 支持フレーム
10 車両基礎構造
11 材料
13 掛止要素
14 凹部
17 設置デバイス
23 プラスチック
33 フレーム
43 掛止フック
図1
図2
図3