(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0042】
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態を実施するための形態(以下、「本第一の実施形態」と略記する)について具体的に説明する。
【0043】
<感光性樹脂組成物>
本第一の実施形態において、感光性樹脂組成物は、下記(A)〜(C)の各成分、
(A)成分:アルカリ可溶性高分子、
(B)成分:エチレン性二重結合を有する化合物、及び
(C)成分:光重合開始剤、
を含有する。
【0044】
[(A)成分:アルカリ可溶性高分子]
前記(A)成分は、後述する現像液に溶解するものである限り、特に限定されるものではない。好ましくは、(メタ)アクリル酸と、その他のモノマーとの共重合体である。共重合体の重量平均分子量(後述)と数平均分子量との比で表される共重合体の分散度は、1以上6以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンテン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。上記不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フマル酸、シトラコン酸無水物等を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0045】
前記(A)成分における(メタ)アクリル酸単位の共重合割合としては、全モノマー単位の合計質量に対して、10質量%〜24質量%であることが好ましく、15質量%〜23質量%であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸単位の含有割合がこの範囲にあることは、導体パターンを形成する際のエッチング速度の抑制(上述した導体ラインパターンのボトム幅が一定以上に保持されること)、及び配線幅の縦横差抑制の観点から好ましい。
【0046】
その他のモノマーとしては、例えば、不飽和芳香族化合物(「芳香族モノマー」とも記載することがある)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー、架橋性モノマー等を挙げることができる。
不飽和芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができる。中でも、スチレンが好ましい。
【0047】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0048】
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート等を;
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等を、それぞれ挙げることができる。
極性モノマーとしては、例えば、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;
メタクリル酸2−アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;
等を挙げることができる。
【0049】
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0050】
前記(A)成分としては特に、(メタ)アクリル酸、スチレン、及びその他のモノマーの共重合体であることが好ましい。
【0051】
前記(A)成分におけるスチレン単位の共重合割合としては、全モノマー単位の合計質量に対して、32質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。また、前記(A)成分におけるスチレン単位の共重合割合としては、全モノマー単位の合計質量に対して、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましい。疎水性が高く、現像液及び現像水洗水と馴染み難いスチレンの共重合割合を上記範囲に設定することは、配線幅の縦横差抑制の観点から好ましい。
【0052】
前記(A)成分の重量平均分子量((A)成分が複数種の共重合体を含む場合には、その混合物全体についての重量平均分子量)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、15,000〜100,000であることが更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量をこの範囲内に調整することは、レジストパターン形成の際の現像時間を、使用するラインプロセスの稼働状態に適合させる観点から好ましい。
【0053】
本第一の実施形態では、感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として(以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である)、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましく、40質量%〜60質量%が更に好ましい。この含有量は、アルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジストとしての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
【0054】
(メタ)アクリル酸単位の含有割合が10質量%〜24質量%で且つスチレン単位の含有割合が32質量%〜60質量%である共重合体は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として、8%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、13.5/99.19×100質量%以上であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸単位の含有割合が10質量%〜24質量%で且つスチレン単位の含有割合が32質量%〜60質量%である共重合体は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、27/99.19×100質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよい。
【0055】
[(B)成分:エチレン性二重結合を有する化合物]
(B)成分は、エチレン性二重結合を1個以上有していればよい。エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を用いることが好ましい。
エチレン性二重結合を2個有する(B)化合物としては、例えば、ビスフェノールA化合物、特に、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モル〜15モルずつのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
また、エチレン性二重結合を3個有する(B)化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン化合物、特に、トリメチロールプロパンに平均3モル〜25モルのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレントリオールのトリ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
更に、エチレン性二重結合を4個有する(B)化合物としては、例えば、ペンタエリスリトール化合物、特に、ペンタエリスリトールに平均4モル〜35モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのテトラ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
これらの市販品としては、例えば、「BPE−500」、「A−TMPT−3EO」、「A−9300−1CL」等(以上、何れも新中村化学社製):
「アロニックスM−327」等(東亞合成社製)等を挙げることができる。
【0056】
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、1質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜60質量%がより好ましく、10質量%〜50質量%が更に好ましい。この含有量は、硬化不良及び現像時間の遅延を抑えるという観点から1質量%以上であることが好ましく、一方で、コールドフロー及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下であることが好ましい。
【0057】
(B)成分としては、分子量が1,000以上の高分子量化合物を使用することが好ましい。この高分子量化合物の分子量は、より好ましくは1,300以上3,000以下である。このような高分子量化合物を含有することは、導体パターンを形成する際のエッチング速度抑制、及び配線幅の縦横差抑制の観点から好ましい。
なお、このような高分子量化合物の、(B)成分中に占める割合は、20質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。
【0058】
ここで、(B)成分の二重結合濃度の指標として、DD値を定義する。DD値はモノマーの重量平均分子量あたりの二重結合数であり、モノマーごとに特有の値を有する。
DD値が小さいモノマーを感光性樹脂組成物に使用すると、光硬化後の膜が柔軟になりやすい傾向がある。
(B)成分が複数種から成るときには、それぞれのエチレン性不飽和結合含有化合物のDD値と配合割合の加重平均をその組成物のDD値と考える。
配線幅の縦横差抑制やテンティング性向上の観点から、好ましい組成物のDD値の範囲は0.10〜0.13である。さらに好ましくは0.10〜0.125である。
【0059】
[(C)成分:光重合開始剤]
(C)成分は、光の照射により前記(B)成分の重合を開始し得るラジカルを発生する成分である。
このような(C)成分としては、例えば、芳香族ケトン化合物、キノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン化合物、ベンジル化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物、アクリジン化合物等が挙げられる。
これらのうち、高度の解像性及び良好なテンティング性の観点から、アクリジン化合物を使用することが好ましい。
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物におけるアクリジン化合物の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%がより好ましく、0.3質量%がより好ましく、0.4質量%がより好ましい。
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物におけるアクリジン化合物の含有量は、2.0質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましく、1.7質量%以下がより好ましく、1.6質量%以下がより好ましい。上記範囲であると、配線幅の縦横差を抑制するレジスト材料を提供することが可能となり、好ましい。
【0060】
アクリジン化合物としては、例えば、アクリジン、9−フェニルアクリジン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等を挙げることができる。
【0061】
(C)成分としてアクリジン化合物及びヘキサアリールビスイミダゾール化合物を使用することが好ましい。
上記ヘキサアリールビスイミダゾール化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等を挙げることができる。
【0062】
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、0.1質量%〜2質量%が好ましく、0.2質量%〜1.8質量%の範囲であることがより好ましく、0.3質量%〜1.7質量%の範囲であることが更に好ましく、0.4質量%〜1.6質量%であることが特に好ましい。(C)成分の含有量をこのような範囲に設定することは、良好な光感度及び剥離特性を得るという観点から好ましい。
【0063】
(C)成分は、感度及び解像性の向上の観点から、増感剤を更に含有することができる。このような増感剤としては、例えば、N−アリールアミノ酸、有機ハロゲン化合物、その他の増感剤を挙げることができる。
上記N−アリールアミノ酸としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等を;
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物等を;
それぞれ挙げることができる。
【0064】
上記その他の増感剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン化合物;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾインエーテル化合物;
ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル化合物;
等を、挙げることができる。
【0065】
本第一の実施形態における増感剤の含有量は、組成物の光感度及びレジスト硬化膜の剥離性の観点から、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましく、0.1質量%〜2質量%が更に好ましい。
なお、本第一の実施形態の感光性樹脂組成物においては、(C)成分としてアクリジン化合物及びN−アリールアミノ酸を使用し、これらを上記の使用割合の範囲内で併用することが、導体パターンを形成する際のエッチング速度抑制、及び配線幅の縦横差抑制の観点から好ましい。
【0066】
[その他の成分]
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物は、上記に説明した(A)〜(C)成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、ロイコ染料、ベース染料、可塑剤、酸化防止剤、安定化剤、ラジカル重合禁止剤、溶媒等を挙げることができる。
【0067】
[ロイコ染料]
上記ロイコ染料は、レジスト硬化膜に対して、好適な発色性と、優れた剥離特性とを付与するために、本第一の実施形態の感光性樹脂組成物に配合することができる。
ロイコ染料の具体例としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット(トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ ノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフ ルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオ ラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリン等を挙げることができる。これらのうち、ロイコクリスタルバイオレットが好ましい。
【0068】
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物におけるロイコ染料の含有量は、0.6質量%〜1.6質量%であることが好ましく、0.7質量%〜1.2質量%であることがより好ましい。ロイコ染料の使用割合をこの範囲に設定することにより、良好な発色性と、良好な剥離性とを実現することができる。
【0069】
[ベース染料]
上記ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]、ダイアモンドグリーン等が挙げられる。これらのうち、ベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、ベーシックブルー7、及びダイアモンドグリーンから選択される1種以上が好ましく、色相安定性及び露光コントラストの観点から、ベーシックグリーン1が特に好ましい。
【0070】
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物におけるベース染料の含有量は、0.001質量%〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜2質量%の範囲であり、更に好ましくは、0.01質量%〜1.2質量%の範囲である。この範囲の使用割合とすることにより、良好な発色性と、高い感度とを両立することができる。
【0071】
[溶媒]
本第一の実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の(A)〜(C)成分及び任意的に使用されるその他の成分の混合物であることができ、又はこれらの成分に適当な溶媒を添加して構成される感光性樹脂組成物調合液として用いてもよい。
ここで使用される溶媒としては、例えば、
メチルエチルケトン(MEK)等のケトン化合物;
エタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール;
等が挙げられる。
溶媒の使用割合としては、感光性樹脂組成物調合液の25℃における粘度が500〜4,000mPa・secとなるような割合とすることが好ましい。
【0072】
<感光性エレメント>
本第一の実施形態において、感光性エレメントは、上述した感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層が、支持体上に積層された積層体(感光性樹脂積層体)である。必要により、前記感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
【0073】
[支持体]
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明な基材が好ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
支持体のヘーズは、5以下であることが好ましい。
支持体の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要がある。これら双方を考慮すると、10μm〜30μmの支持体を好ましく用いることができる。
【0074】
[感光性樹脂組成物層]
感光性樹脂組成物層の形成に使用する感光性樹脂組成物が溶媒を含有している場合、溶媒は感光性樹脂組成物層においては除去されていることが好ましいが、溶媒が残存していてもかまわない。
感光性樹脂組成物層の厚みは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは7μm〜60μmである。この厚みが薄いほど解像度は向上し、厚いほど膜強度が向上する。従って、該組成物層の厚みは、用途に応じて上記の範囲内で適宜選択することができる。
【0075】
[保護層]
保護層の重要な特性は、感光性樹脂組成物層との密着力が、支持体と感光性樹脂組成物層との密着力よりも十分に小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましく使用できる他、例えば特開昭59−202457号公報に開示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。
保護層の厚みは、10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0076】
[感光性エレメントの製造方法]
感光性エレメントは、支持体及び感光性樹脂層、並びに必要により保護層を順次積層することにより、製造することができる。支持体、感光性樹脂層、及び保護層の積層方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂組成物を前述の感光性樹脂組成物調合液として調製し、先ず、支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂組成物層を形成する。次いで、必要により、形成された感光性樹脂組成物層上に保護層を積層することにより、感光性エレメントを製造することができる。
【0077】
<レジストパターンの形成方法>
上記のような感光性エレメントを用いて、基板上にレジストパターンを形成することができる。
レジストパターンの形成方法は、
感光性エレメントの感光性樹脂層を導体基板上に積層するラミネート工程、
前記積層された感光性樹脂組成物層を露光する露光工程、及び
前記露光後の未露光部を現像液で除去する現像工程、
を、上記に記載の順に含むことが好ましい。
また、ラミネート工程が、感光性エレメントの感光性樹脂層を、湿潤剤を介して導体基板上に積層する工程であることが好ましい。湿潤剤としては、純水、脱イオン水、及び電解水から選ばれる1種以上と、銅キレート化剤(例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリジン化合物、及びピラゾール化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物)とを含むことが好ましい。
【0078】
本第一の実施形態のレジストパターンの形成方法においては、先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂組成物層を形成する。具体的には、感光性エレメントが保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターを用いて感光性樹脂組成物層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。
基板としては、金属板又は金属皮膜を有する絶縁性基板が用いられる。金属の材質としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。これらの基板は、多層基板に対応するためのスルーホールを有していてもよい。
【0079】
ここで、感光性樹脂組成物層は、基板表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて基板両面にラミネートしてもよい。この時の加熱温度は、40℃〜160℃とすることが好ましい。加熱圧着を2回以上行うことは、得られるレジストパターンの基板に対する密着性をより向上させる観点から好ましい。2回以上の圧着を行う場合には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基板と感光性樹脂組成物層との積層物を何回か繰り返してロールに通して圧着してもよい。
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂組成物層を露光する。この露光は、支持体を剥離せずに該支持体を介して行ってもよいし、必要ならば支持体を剥離した後に行ってもよい。
【0080】
この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。フォトマスクを介して露光する場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
【0081】
マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長350nm〜410nmの半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピューターによって制御され、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0082】
次に、現像工程において、感光性樹脂組成物層の未露光部を、現像液により除去する。露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体がある場合には、これを除いた後に現像工程に供することが好ましい。
現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、例えば、Na
2CO
3、K
2CO
3等の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂組成物層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa
2CO
3水溶液を用いることが好ましい。該アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
【0083】
上述の工程によってレジストパターンが得られる。場合によっては、更に100℃〜300℃の加熱工程を行ってもよい。この加熱工程を実施することは、更なる耐薬品性向上の観点から好適である。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができる。
【0084】
<配線板の形成方法>
本第一の実施形態の配線板の形成方法は、
感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を導体基板上に積層するラミネート工程、
前記積層された感光性樹脂組成物層を露光する露光工程、
前記露光後の未露光部を現像液で除去する現像工程、
前記現像によりレジストパターンが形成された導体基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程、及び
前記レジストパターンを剥離する剥離工程、
を、好ましくは上記に記載の順に含む。
また、ラミネート工程が、感光性エレメントの感光性樹脂層を、湿潤剤を介して導体基板上に積層する工程であることが好ましい。湿潤剤としては、純水、脱イオン水、及び電解水から選ばれる1種以上と、銅キレート化剤(例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリジン化合物、及びピラゾール化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物)とを含むことが好ましい。
【0085】
導体パターン形成工程においては、レジストパターンが形成された基板上で、現像工程によって露出した基板表面(例えば銅面)に、公知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成することができる。
【0086】
上記剥離工程においては、導体パターンが形成された基板を適当な剥離液と接触させることにより、レジストパターンが剥離除去される。この工程により、所望の配線板が得られる。
剥離工程において使用される剥離液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。このアルカリ水溶液としては、例えば、2質量%〜5質量%のNaOH水溶液又はKOH水溶液を使用することが好ましい。剥離液には、少量の水溶性溶媒、例えばアルコール等、を加えてもよい。剥離工程における剥離液の温度は、40℃〜70℃とすることが好ましい。
【0087】
一般に、エッチングによる導体パターン形成においては、エッチング速度の如何に関わらず、例えばエッチングラインの搬送速度を調整する等して、所望の配線幅となるエッチング時間を調整することができる。しかし、エッチング速度が速すぎる場合には、搬送速度も速くなりすぎてしまい、実用上エッチング時間を設定できない等の問題を来たすことがある。
しかも近年では、配線板の製造は、基板を一定の方向に搬送しつつ順次に処理を行うラインプロセスによって行われるのが通常であり、基板の搬送方向に対して、導体のラインが平行である場合(MD方向のライン)、垂直である場合(TD方向のライン)、及び斜めである場合がある。特にエッチング速度が速い場合、配線幅の縦横差がより顕著となる傾向にある。
【0088】
本発明者らは鋭意検討の結果、硬化レジストパターンを形成する感光性樹脂組成物が特定の物性を有する場合に、ラインプロセスによって微細な導体パターンを形成するに際し、配線幅の縦横差が抑制されたレジスト材料を提供できることを見出した。
即ち、本第一の実施形態の感光性樹脂組成物は、18μm厚みの銅箔が積層された銅張積層板上に、前記感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を25μm厚みで積層し、ライン/スペース=50μm/30μmのパターン状の光照射及び現像処理を経て硬化レジストパターンを形成し、50℃において55秒間の銅エッチング処理を施した後に、前記硬化レジストパターンを除去して得られる銅ラインパターンのボトム幅が38μm以上(好ましくは38μm〜50μm、より好ましくは40μm〜45μm)である、という特徴を有するものである。
【0089】
ところで、レジストパターンは、現像、水洗工程、及びエッチング工程のそれぞれにおいて膨潤/収縮が生じ、特に水洗工程での膨潤/収縮が大きい。このレジストパターンの膨潤/収縮が配線とレジストパターンとの密着性を低下させていると考えられる。本第一の実施形態の感光性樹脂組成物から形成されたレジストパターンは、現像、水洗工程、エッチング工程の何れの工程でも膨潤/収縮が小さく、レジストパターンと配線との界面でエッチングが進行しにくく、配線幅の縦横差を抑制することができると考えられている。
【0090】
本第一の実施形態においては、特定の分析手法(特定のエッチング条件)を用いた場合の特性(導体ライン幅のボトム幅が一定以上)に着目して特定の感光性樹脂組成物を峻別することを、発明の効果を奏する手段としている。
なお、このような導体ライン幅のボトム幅の調整は、感光性樹脂組成物の組成を適宜に設定することで調整可能である。
【0091】
そして、上記のような本第一の実施形態の配線板の形成方法によって形成された導体パターン(配線)は、導体パターンの配線幅の縦横差を極めて小さいものとすることができる。配線幅の縦横差は、TD方向の導体ラインの配線幅(TD)と、MD方向の導体ラインの配線幅(MD)との差、TD−MDによって表される量である。
本第一の実施形態の導体パターンの形成方法によって形成された導体パターンにおける配線幅の縦横差の絶対値は、好ましくは0μm〜5μmであり、より好ましくは0μm〜3μmである。
【0092】
本第一の実施形態における感光性樹脂組成物、感光性エレメント、及び配線板の形成方法は、例えば、プリント配線板、リードフレーム、凹凸パターンを有する基材、半導体パッケージ等の製造に、極めて好適に適用することができる。
なお、上述した各種パラメータの測定方法については特に断りのない限り、後述の実施例における測定方法に準じて測定される。
【0093】
<第二の実施形態>
以下、本発明の第二の実施形態を実施するための形態(以下、「本第二の実施形態」と略記する)について具体的に説明する。
【0094】
<感光性樹脂組成物>
本第二の実施形態において、感光性樹脂組成物は、下記(A)〜(C)の各成分、
(A)成分:酸当量100〜600のアルカリ可溶性高分子、
(B)成分:エチレン性二重結合を有する化合物、及び
(C)成分:光重合開始剤、
を含有する。
【0095】
[(A)成分:アルカリ可溶性高分子]
前記(A)成分は、酸当量が100〜600(好ましくは、200〜500、より好ましくは、250〜450)であって、スチレン単位を50質量%以上含む共重合体を含有する。ここで、本明細書において、スチレン単位とは、置換または非置換のスチレンを意味する。なお、置換基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、ハロゲン基、水酸基等が挙げられる。
【0096】
(A)成分は、スチレン誘導体と、好ましくは酸モノマー等の他のモノマーとの共重合体である。
酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンテン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フマル酸、シトラコン酸無水物等を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0097】
その他のモノマーとしては、例えば、不飽和芳香族化合物(「芳香族モノマー」とも記載することがある)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー、架橋性モノマー等を挙げることができる。
【0098】
不飽和芳香族化合物としては、例えば、ビニルナフタレン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0099】
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート等を;
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等を;
それぞれ挙げることができる。
【0100】
極性モノマーとしては、例えば、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;
メタクリル酸2−アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;
等を挙げることができる。
【0101】
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0102】
前記(A)成分は特に、(メタ)アクリル酸、スチレン、及びその他のモノマーの共重合体であることが好ましい。
(A)成分は、スチレン単位を50質量%以上含む共重合体1を含有する。この共重合体1におけるスチレン単位の量は、50質量%〜80質量%であることが好ましく、51質量%〜70質量%であることがより好ましい。
【0103】
本第二の実施形態における(A)成分は、共重合体1のみから構成されていてもよいし、共重合体1とその他の重合体との混合物であってもよい。((A)成分中の共重合体1の含有量は、5質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜70質量%が更に好ましい。
【0104】
その他の重合体としては、上記に説明した酸モノマーとその他のモノマーとの共重合体であって、共重合体1に該当しないもの(共重合体2)が好適である。
【0105】
(A)成分の重量平均分子量((A)成分が複数種の共重合体を含む場合には、その混合物全体についての重量平均分子量)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、15,000〜100,000であることが更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量をこの範囲内に調整することは、レジストパターン形成の際の現像時間を、使用するラインプロセスの稼働状態に適合させる観点から好ましい。(A)成分の重量平均分子量と数平均分子量との比で表される共重合体の分散度は、1以上6以下であることが好ましい。
【0106】
本第二の実施形態では、感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として(以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である)、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましく、40質量%〜60質量%が更に好ましい。この含有量は、アルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジストとしての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
【0107】
[(B)成分:エチレン性二重結合を有する化合物]
(B)成分は、エチレン性二重結合を1個以上有していれば、特に限定されるものではない。ただし、本第二の実施形態における(B)成分は、必須的に含有する化合物(B1)として、下記一般式(I):
【化8】
{式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、n1、n2及びn3は、それぞれ独立に、0〜30の整数であり、ただし、n1+n2+n3≧6の条件を満たす。}で表される化合物を含む。
【0108】
式(I)において、Rとしては、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。n1、n2及びn3は、それぞれ独立に、1〜30の整数であることが好ましく、3〜21の整数であることがより好ましい。
【0109】
式(I)において、n1+n2+n3の値は、現像分散性を向上させるという観点から、9を超え、かつ20以下であることが好ましく、15以上20以下であることがより好ましい。
【0110】
式(I)において、現像分散性を向上させるという観点から、少なくとも1つのRが水素原子であることが好ましく、全てのRが水素原子であることがより好ましい。
【0111】
さらに、式(I)において、現像分散性と密着性を両立する観点から、全てのRが水素原子であり、かつn1+n2+n3の値が15以上20以下であることが特に好ましい。
【0112】
式(I)で表される化合物は、公知の方法を用いて合成され、例えば、トリメチロールプロパンに6当量以上のエチレンオキサイドを付加して得られる付加物に、更に3モルの(メタ)アクリル酸を付加又はエステル交換して得られることができる。
【0113】
式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(EO付加モル総数は6〜20である)等が挙げられる。
【0114】
本第二の実施形態における(B)成分は、化合物(B1)のみから構成されていてもよく、化合物(B1)と他の(B)成分との混合物であってもよい。
本第二の実施形態の(B)成分が混合物であるとき、混合物中の化合物(B1)の含有量は、その混合物の総質量を基準として、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは10質量%〜50質量%であり、更に好ましくは15質量%〜35質量%である。
【0115】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物における化合物(B1)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5.5質量%〜30質量%であり、更に好ましくは6質量%〜20質量%である。
ここで、特定の酸当量を有し、かつ、スチレン単位を特定量有するアルカリ可溶性高分子と、前記(B1)成分と、アクリジンとを含むことにより、現像分散性と微細パターンの密着性の双方に優れる感光性樹脂組成物が実現させるメカニズムは定かではないが、スチレン単位とアクリジン成分との相互作用(π電子スタッキングによる)、および、酸モノマーと前記(B1)成分との相互作用(水素結合による)が、良好に発現され、全体として相溶性が向上することが、上記特性に寄与するものと推察される。
【0116】
本第二の実施形態には、現像分散性の観点から、(B)成分は、化合物(B1)と共に、ペンタエリスリトール変性モノマー(以下、「化合物(B2)」という。)を含有することが好ましい。化合物(B2)としては、ペンタエリスリトールに、好ましくは平均4モル〜35モル、より好ましくは8モル〜28モル、さらに好ましくは12モル〜20モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのテトラ(メタ)アクリレートが使用される。
【0117】
(B)成分における化合物(B2)の含有量は、(B)成分の総質量を基準として、好ましくは10質量%〜40質量%であり、より好ましくは15質量%〜30質量%である。
【0118】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物における化合物(B2)の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1質量%〜20質量%であり、更に好ましくは5質量%〜15質量%である。
【0119】
(B)成分は、化合物(B1)及び(B2)以外のエチレン性二重結合を有する化合物を含んでよい。
【0120】
(B)成分は、以下の成分:
ビスフェノールA化合物、例えば、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モル〜15モルずつのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等;
エチレン性二重結合を3個有する化合物(B1を除く)、例えば、トリメチロールプロパンに平均3モル〜25モルのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレントリオールのトリ(メタ)アクリレート等;
を含んでもよい。
【0121】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、1質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜60質量%がより好ましく、10質量%〜50質量%が更に好ましい。この含有量は、硬化不良及び現像時間の遅延を抑えるという観点から1質量%以上であることが好ましく、一方で、現像液中の凝集物の発生を抑えるという観点から70質量%以下であることが好ましい。
【0122】
[(C)成分:光重合開始剤]
(C)成分は、光の照射により前記(B)成分の重合を開始し得るラジカルを発生する成分である。
本第二の実施形態では、(B)光重合開始剤として、アクリジン化合物を用いることができる。更に、アクリジン化合物とその他の光重合開始剤とを併用してもよい。アクリジン系化合物は、本第二の実施形態の感光性樹脂組成物の感度及び解像度を向上するために使用することが好ましい。
【0123】
アクリジン化合物としては、例えば、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、9−フェニルアクリジン、9−メチルアクリジン、9−エチルアクリジン、9−クロロエチルアクリジン、9−メトキシアクリジン、9−エトキシアクリジン、9−(4−メチルフェニル)アクリジン、9−(4−エチルフェニル)アクリジン、9−(4−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(4−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−メトキシフェニル)アクリジン、9−(4−エトキシフェニル)アクリジン、9−(4−アセチルフェニル)アクリジン、9−(4−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(4−クロロフェニル)アクリジン、9−(4−ブロモフェニル)アクリジン、9−(3−メチルフェニル)アクリジン、9−(3−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(3−アセチルフェニル)アクリジン、9−(3−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−クロロフェニル)アクリジン、9−(3−ブロモフェニル)アクリジン、9−(2−ピリジル)アクリジン、9−(3−ピリジル)アクリジン、9−(4−ピリジル)アクリジン等を挙げることができる。
【0124】
その他の光重合開始剤としては、例えば、
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等のヘキサアリールビスイミダゾール化合物;
【0125】
2−(o―クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o―クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o―フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o―メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p―メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体(ただし、上記ヘキサアリールビスイミダゾール化合物に該当するものを除く。);
ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノホルノフェニル)―ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;
2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;
ベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体;
N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0126】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物におけるアクリジン化合物の含有量は、好ましくは0.001質量%〜2質量%、より好ましくは0.01質量%〜1.5質量%、更に好ましくは0.1質量%〜1質量%の範囲内である。
【0127】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量(アクリジン化合物を含めた(C)成分全体の含有量)は、0.1質量%〜2質量%であることが好ましく、0.2質量%〜1.8質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜1.7質量%であることが更に好ましく、0.4質量%〜1.6質量%であることが特に好ましい。
【0128】
(C)成分は、感度及び解像性の向上の観点から、増感剤を更に含有することができる。このような増感剤としては、例えば、N−アリールアミノ酸、有機ハロゲン化合物、その他の増感剤を挙げることができる。
【0129】
上記N−アリールアミノ酸としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等を;
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物等を;
それぞれ挙げることができる。
【0130】
上記その他の増感剤としては、例えば、
2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン化合物;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾインエーテル化合物;
ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル化合物;
等を挙げることができる。
【0131】
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物における増感剤の含有量は、組成物の光感度及びレジスト硬化膜の剥離性の観点から、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましく、0.1質量%〜2質量%が更に好ましい。
【0132】
[その他の成分]
本第二の実施形態の感光性樹脂組成物は、上記に説明した(A)〜(C)成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、着色物質、ハロゲン化合物、安定化剤、溶剤等を挙げることができる。
着色物質としては、ロイコ染料及びその他の着色物質を;
安定化剤としては、例えばラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール化合物、カルボキシベンゾトリアゾール化合物等を;
それぞれ挙げることができる。
【0133】
<ロイコ染料>
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、良好なコントラストの観点から、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。
【0134】
感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。ロイコ染料の含有量を0.1質量%以上に調整することは、露光部分と未露光部分のコントラストを得るという観点から好ましく、一方で、この含有量を10質量%以下に調整することは、保存安定性を維持するという観点から好ましい。
【0135】
<その他の着色物質>
その他の着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0136】
感光性樹脂組成物中のその他の着色物質の含有量は、0.001質量%〜1質量%であることが好ましい。この含有量を0.001質量%以上に調整することは、取扱い性を向上させるという観点から好ましく、一方で、この含有量を1質量%以下に調整することは、保存安定性を維持するという観点から好ましい。
【0137】
<ハロゲン化合物>
感光性樹脂組成物中にロイコ染料と下記ハロゲン化合物を組み合わせて用いることは、密着性及びコントラストの観点から、好ましい態様である。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物等が挙げられる。とりわけトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。感光性樹脂組成物中のハロゲン化合物の含有量は、0.01質量%〜3質量%であることが、感光層における色相の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
【0138】
<ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール化合物、及びカルボキシベンゾトリアゾール化合物>
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0139】
ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0140】
カルボキシベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0141】
感光性樹脂組成物中のラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール化合物及びカルボキシベンゾトリアゾール化合物の合計含有量は、好ましくは0.01質量%〜3質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜1質量%である。この含有量を0.01質量%以上に調整することは、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から好ましく、一方で、この含有量を3質量%以下に調整することは、感度を維持し染料の脱色を抑える観点から好ましい。
【0142】
<可塑剤>
感光性樹脂組成物は、必要に応じて可塑剤を含有してもよい。可塑剤として、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロプレンレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。
【0143】
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは1質量%〜30質量%である。この含有量を1質量%以上に調整することは、現像時間の遅延を抑え、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から好ましく、一方で、この含有量を50質量%以下に調整することは、硬化不足及びエッジフューズを抑えるという観点から好ましい。
【0144】
<溶剤>
感光性樹脂組成物は溶剤を含んでもよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン;メタノール、エタノール、及びイソプロパノールに代表されるアルコール等が挙げられる。溶剤は、支持フィルム上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液の粘度が、25℃で500mPa・s〜4,000mPa・sとなるように、感光性樹脂組成物に添加されることが好ましい。
【0145】
<感光性エレメント>
本第二の実施形態において、感光性エレメントは、上述した感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層が、支持体上に積層された積層体(感光性樹脂積層体)である。感光性エレメントは、必要により、感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
【0146】
[支持体]
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明な基材が好ましい。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
支持体のヘーズは、5以下であることが好ましい。
支持体の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要がある。これら双方を考慮すると、10μm〜30μmの支持体を好ましく用いることができる。
【0147】
[感光性樹脂層]
感光性樹脂層の形成に使用する感光性樹脂組成物が、溶媒を含む場合、溶媒は、感光性樹脂層から除去されていることが好ましいが、感光性樹脂層に残存していてもよい。
【0148】
感光性樹脂層の厚みは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは7μm〜60μmである。この厚みが薄いほど解像度は向上し、厚いほど膜強度が向上する。従って、感光性樹脂層の厚みは、用途に応じて5μm〜100μmの範囲内で適宜選択することができる。
【0149】
[保護層]
保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力が、支持体と感光性樹脂層との密着力よりも十分に小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を好ましく使用できるだけでなく、例えば特開昭59−202457号公報に開示された剥離性の優れたフィルムも用いることができる。
保護層の厚みは、10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0150】
[感光性エレメントの製造方法]
感光性エレメントは、支持体及び感光性樹脂層、並びに必要により保護層を順次積層することにより、製造することができる。支持体、感光性樹脂層、及び保護層の積層方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂組成物に溶媒を加えて混合して、調合液を調製し、さらに支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を形成する。次いで、必要により、形成された感光性樹脂層上に保護層を積層することにより、感光性エレメントを製造することができる。
【0151】
<レジストパターンの形成方法>
上記のような感光性エレメントを用いて、基板上にレジストパターンを形成することができる。
レジストパターンの形成方法は、
感光性エレメントの感光性樹脂層を導体基板上に積層するラミネート工程、
前記積層された感光性樹脂層を露光する露光工程、及び
前記露光後の未露光部を現像液で除去する現像工程、
を、上記に記載の順に含むことが好ましい。
【0152】
ラミネート工程は、感光性エレメントの感光性樹脂層を、湿潤剤を介して導体基板上に積層する工程であることが好ましい。湿潤剤としては、純水、脱イオン水、及び電解水から選ばれる1種以上と、銅キレート化剤(例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリジン化合物、及びピラゾール化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物)とを含むことが好ましい。
【0153】
本第二の実施形態のレジストパターンの形成方法においては、先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する。具体的には、感光性エレメントが保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターを用いて感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。
【0154】
基板としては、金属板又は金属皮膜を有する絶縁性基板が用いられる。金属の材質としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。これらの基板は、多層基板に対応するためのスルーホールを有していてもよい。
【0155】
感光性樹脂層は、基板表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて基板両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は、40℃〜160℃であることが好ましい。加熱圧着を2回以上行うことは、得られるレジストパターンの基板に対する密着性をより向上させる観点から好ましい。2回以上の圧着を行う場合には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基板と感光性樹脂層との積層物を何回か繰り返してロールに通して圧着してもよい。
【0156】
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂層を露光する。露光は、支持体を剥離せずに支持体を介して行ってもよいし、必要ならば支持体を剥離した後に行ってもよい。
この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光法の何れにより行ってもよい。フォトマスクを介して露光する場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
【0157】
マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置で露光する。光源としては、波長350nm〜410nmの半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピューターによって制御され、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0158】
次に、現像工程において、感光性樹脂層の未露光部を、現像液により除去する。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合には、これを除いた後に現像工程に供することが好ましい。
現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、例えば、Na
2CO
3、K
2CO
3等の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa
2CO
3水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
【0159】
上述の工程によってレジストパターンが得られる。場合によっては、更に100℃〜300℃の加熱工程を行ってもよい。この加熱工程の実施は、更なる耐薬品性向上の観点から好適である。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができる。
【0160】
<配線板の形成方法>
本第二の実施形態の配線板の形成方法は、
感光性エレメントの感光性樹脂層を導体基板上に積層するラミネート工程、
前記積層された感光性樹脂層を露光する露光工程、
前記露光後の未露光部を現像液で除去する現像工程、
前記現像によりレジストパターンが形成された導体基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程、及び
前記レジストパターンを剥離する剥離工程、
を、好ましくは上記に記載の順に含む。
【0161】
ラミネート工程は、感光性エレメントの感光性樹脂層を、湿潤剤を介して導体基板上に積層する工程であることが好ましい。湿潤剤としては、純水、脱イオン水、及び電解水から選ばれる1種以上と、銅キレート化剤(例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリジン化合物、及びピラゾール化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物)とを含むことが好ましい。
【0162】
導体パターン形成工程においては、レジストパターンが形成された基板上で、現像工程によって露出した基板表面(例えば銅面)に、公知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成することができる。
【0163】
剥離工程においては、導体パターンが形成された基板を適当な剥離液と接触させることにより、レジストパターンが剥離除去される。この工程により、所望の配線板が得られる。
【0164】
剥離工程において使用される剥離液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。このアルカリ水溶液としては、例えば、2質量%〜5質量%のNaOH水溶液又はKOH水溶液を使用することが好ましい。剥離液には、少量の水溶性溶媒、例えばアルコール等を加えてもよい。剥離工程における剥離液の温度は、40℃〜70℃であることが好ましい。
【0165】
本第二の実施形態における感光性樹脂組成物、感光性エレメント、及び配線板の形成方法は、例えば、プリント配線板、リードフレーム、凹凸パターンを有する基材、半導体パッケージ等の製造に、極めて好適に適用することができる。
なお、上述した各種パラメータの測定方法については特に断りのない限り、後述の実施例における測定方法に準じて測定される。
【0166】
<第三の実施形態>
以下、本発明の第三の実施形態を実施するための形態(以下、「本第三の実施形態」と略記する)について具体的に説明する。
【0167】
<感光性樹脂組成物>
本実第三の施形態では、感光性樹脂組成物が、(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物、及び(C)光重合開始剤を含む。所望により、感光性樹脂組成物は、(D)添加剤、といったその他の成分をさらに含んでよい。
【0168】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、かつ「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0169】
(A)アルカリ可溶性高分子
(A)アルカリ可溶性高分子は、アルカリ物質に溶解可能な高分子である。本第三の実施形態では、レジストパターンのテント性と水残りショート不良抑制性を両立する観点から、(A)アルカリ可溶性高分子は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として10質量%〜24質量%の(メタ)アクリル酸の構造単位及び35質量%〜90質量%のスチレンの構造単位を含むことが好ましい。
【0170】
(A)アルカリ可溶性高分子中の(メタ)アクリル酸の構造単位の含有量は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として、水残りショート不良を抑制するという観点から、24質量%以下であることが好ましく、アルカリ現像性及びアルカリ剥離性を確保するという観点から、10質量%以上であることが好ましい。この含有量の上限値は、23質量%、又は22.5質量%であることがより好ましく、下限値は、11質量%、15質量%、18質量%又は20質量%であることがより好ましい。水残りショート不良は、硬化レジストの疎水性と強い相関があり、レジストの疎水性、すなわち水接触角を高めることにより水残りショート不良を抑制することが可能である。
【0171】
(A)アルカリ可溶性高分子中の(メタ)アクリル酸の構造単位の含有量と関連して、(A)アルカリ可溶性高分子の酸当量((A)成分が複数種の共重合体を含む場合には、その混合物全体についての酸当量)は、感光性樹脂層の耐現像性、並びにレジストパターンの現像耐性、解像性及び密着性の観点から100以上であることが好ましく、感光性樹脂層の現像性及び剥離性の観点から900以下であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の酸当量は、250〜600であることがより好ましく、350〜500であることがさらに好ましい。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する線状重合体の質量を言う。
【0172】
(A)アルカリ可溶性高分子中のスチレンの構造単位の含有量は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として、現像性の観点から、90質量%以下であることが好ましく、解像性及び水残りショート不良抑制性の観点から、35質量%以上であることが好ましい。この含有量の上限値は、現像性及び剥離時間遅延防止の観点から85質量%、80質量%、70質量%、又は60質量%であることがより好ましく、下限値は、解像性及び水残りショート不良抑制性の観点から36質量%、38質量%、40質量%、又は42質量%であることがより好ましい。
【0173】
(A)アルカリ可溶性高分子は、レジストパターンのテント性を向上させるという観点から、(メタ)アクリル酸ブチルの構造単位をさらに含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸ブチルの構造単位は、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及びtert−ブチル(メタ)アクリレートから成る群から選択される少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含んでよい。
【0174】
(A)アルカリ可溶性高分子中の(メタ)アクリル酸ブチルの構造単位の含有量は、テント性と水残りショート不良抑制性を両立する観点から、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として、好ましくは0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.3質量%〜1質量%の範囲内である。
【0175】
(A)アルカリ可溶性高分子は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として10質量%〜24質量%の(メタ)アクリル酸の構造単位及び35質量%〜90質量%のスチレンの構造単位を含む限り、単一種の共重合体であってもよく、複数種の共重合体の混合物及び/又は複数種のホモポリマーの混合物であってもよい。
【0176】
(A)アルカリ可溶性高分子は、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸及び/又はスチレンと後述する第一の単量体の1種以上及び/又は後述する第二の単量体の1種以上とから成る共重合成分を共重合させて得られる共重合体等を含んでよい。
【0177】
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体((メタ)アクリル酸を除く)である。第一の単量体としては、例えば、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルなどが挙げられる。
【0178】
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体(スチレンを除く)である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリル;重合可能なスチレン誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、レジストパターンのテント性を向上させるという観点から、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、又はtert−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、テント性の観点からn−ブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、そして解像性及び水残りショート不良抑制性を向上させるという観点から、重合可能なスチレン誘導体が好ましい。
重合可能なスチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマー等が挙げられる。
【0179】
アルカリ可溶性高分子は、上記の単量体を混合し、溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、又はイソプロパノールで希釈した溶液に、ラジカル重合開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリルを適量添加し、加熱攪拌することにより合成を行うことが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0180】
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量((A)成分が複数種のコポリマーを含む場合には、その混合物全体についての重量平均分子量)は、5,000〜500,000であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、ドライフィルムレジストの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上であることが好ましく、ドライフィルムレジストの現像性を維持するという観点から500,000以下であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、10,000〜200,000であることがより好ましく、20,000〜100,000であることがさらに好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の分散度は、1.0〜6.0であることが好ましい。
【0181】
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として(以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である)、好ましくは10質量%〜90質量%、より好ましくは20質量%〜80質量%、さらに好ましくは40質量%〜60質量%の範囲内である。(A)アルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂層のアルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、露光によって形成されるレジストパターンがレジスト材料としての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
【0182】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和結合は、付加重合性の観点から、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。
【0183】
本第三の実施形態では、(A)アルカリ可溶性高分子と(B)エチレン性不飽和結合含有化合物を併用するときに、レジストパターンのテント性を確保するという観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量が、1,200以上であることが好ましい。本明細書では、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量とは、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物が単一種であるとき、単一種のエチレン性不飽和結合含有化合物の構造式から導かれる重量平均分子量を意味し、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物が複数種から成るとき、それぞれのエチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量と配合割合の加重平均を意味する。
【0184】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量は、レジストパターンのテント性をさらに向上させる観点から、より好ましくは1,300以上、さらに好ましくは1,400以上であり、そしてレジストパターンの解像性及び剥離性の観点から、より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは4,000以下、特に好ましくは3,000以下である。
【0185】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、下記(b
1)〜(b
5):
(b
1)下記一般式(I):
【化9】
{式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、かつm
1は、2〜40を満たす数である。}
で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
2)下記一般式(II):
【化10】
{式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはC
2H
4であり、BはC
3H
6であり、n
1、n
2、n
3及びn
4は、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜50の関係を満たす整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、−(A−O)−と−(B−O)−とのいずれがビスフェニル基側でもよい。}
で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
3)下記一般式(III):
【化11】
{式中、R
5〜R
7は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Xは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、m
2、m
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、m
2+m
3+m
4は、1〜40であり、そしてm
2+m
3+m
4が2以上である場合には、複数のXは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい}
で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物;
(b
4)下記一般式(IV):
【化12】
{式中、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Zは、2価の有機基を表し、かつs及びtは、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、かつs+t≧1である}
で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物;及び
(b
5)上記(b
1)〜(b
4)以外の付加重合性単量体;
から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。
【0186】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、レジストパターンの剥離時間及び剥離片のサイズを調整するという観点から、(b
1)一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0187】
一般式(I)において、m
1は、剥離時間及び剥離片サイズの観点から2以上であることが好ましく、解像性、耐めっき性及び耐エッチング性の観点から40以下であることが好ましい。m
1は、より好ましくは4〜20であり、さらに好ましくは6〜12である。
【0188】
一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、m
1=4のテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、m
1=9のノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はm
1=14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0189】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性及びテント性の観点から、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(II)中のBは、−CH
2CH
2CH
2−又は−CH(CH
3)CH
2−でよい。
【0190】
一般式(II)中の芳香環上の水素原子が、ヘテロ原子及び/又は置換基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられ、そして置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリール基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基若しくは複素環を含む基、又はこれらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの置換基は縮合環を形成しているか、又はこれらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。一般式(II)中の芳香環が複数の置換基を有する場合には、複数の置換基は同一であるか、又は異なっていてよい。
【0191】
一般式(II)中のR
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基でよいが、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の露光直後にコントラストを確保するという観点から、R
3とR
4の一方又は双方が水素原子であることが好ましく、R
3とR
4の双方が水素原子であることがより好ましい。
【0192】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物には、テント性の観点から、比較的長鎖のアルキレンオキシドが付加されていることが好ましい。より詳細には、一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=4〜50の関係を満たし、より好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=10〜50の関係を満たし、さらに好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=20〜50の関係を満たし、特に好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50の関係を満たす。
【0193】
テント性の観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの40質量%以上が、好ましくは、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物であり、より好ましくは、一般式(II)中のn
1、n
2、n
3及びn
4がn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50の関係を満たすアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。より好ましくは(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの50質量%、さらに好ましくは55質量%以上、最も好ましくは60質量%が、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。
【0194】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均7単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0195】
一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、解像度および水残りショート不良抑制性の観点から、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜10の関係を満たすことも好ましく、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜4の関係を満たすことも特に好ましい。
【0196】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、テント性と水残りショート不良抑制性の両立の観点から、一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50を満たす化合物、一般式(II)においてR
3とR
4の一方又は双方が水素原子である化合物、及び一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=2〜10を満たす化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0197】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性及びテント性の観点から、(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(III)中のXは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0198】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物は、テント性の観点から、比較的長鎖のアルキレンオキサイド部分を有することが好ましい。より詳細には、一般式(III)において、m
2+m
3+m
4は、好ましくは10〜40であり、より好ましくは20〜40である。
【0199】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(EO平均付加モル数:10〜40)、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(PO平均付加モル数:10〜40)等が挙げられる。
【0200】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、テント性の観点から、(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0201】
一般式(IV)において、Zは、2価の有機基を表し、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の2価の脂環式基等でよい。
【0202】
一般式(IV)において、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0203】
テント性をさらに向上させるという観点から、一般式(IV)中の−(Y−O)
s−部分及び−(Y−O)
t−部分は、それぞれ独立に、−(C
2H
5O)−(C
3H
6O)
9
−で置換されていることも好ましい。
【0204】
(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート並びにEO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−11」等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−13」等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0205】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、(b
5)成分として、(b
1)〜(b
4)成分以外の付加重合性単量体を含んでよい。
【0206】
(b
5)成分としては、以下の:
(b
3)成分以外のトリ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等;
テトラ(メタ)アクリレート、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレート等;
ペンタ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等;
ヘキサ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜24モルのエチレンオキサイドが付加されたヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜10モルのε-カプロラクトンが付加されたヘキサ(メタ)アクリレート等;
1つの(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物;
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;及び
フタル酸系化合物、例えば、γ−クロロ−2−ヒロドキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエリル−o−フタレート及びβ−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレート等;
が挙げられる。
【0207】
本第三の実施形態では、レジストパターンのテント性及び密着性の観点から、感光性樹脂組成物中の全ての(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の総含有量は、好ましくは1質量%〜70質量%、より好ましくは2質量%〜60質量%、さらに好ましくは4質量%〜50質量%の範囲内である。
【0208】
(C)光重合開始剤
(C)光重合開始剤は、光により単量体を重合させる化合物である。感光性樹脂組成物は、光重合開始剤として本技術分野において一般に知られている化合物を含む。
【0209】
感光性樹脂組成物中の(C)光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜7質量%の範囲内である。(C)光重合開始剤の含有量は、十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上であることが好ましく、レジスト底面まで光を充分に透過させて、良好な高解像性を得るという観点から20質量%以下であることが好ましい。
【0210】
(C)光重合開始剤としては、キノン類、芳香族ケトン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン又はベンゾインエーテル類、ジアルキルケタール類、チオキサントン類、ジアルキルアミノ安息香酸エステル類、オキシムエステル類、アクリジン類等が挙げられ、更にヘキサアリールビイミダゾール、ピラゾリン化合物、N−アリールアミノ酸又はそのエステル化合物(例えばN−フェニルグリシン)、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。これらの中でも、アクリジン類は、ダイレクトイメージング露光に特に適している。
【0211】
アクリジン類としては、例えば、アクリジン、9−フェニルアクリジン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のアクリジン誘導体が挙げられる。ダイレクトイメージング露光に対する適性の観点から、感光性樹脂組成物中のアクリジン類の含有量は、好ましくは0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.3質量%〜3質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜2質量%の範囲内である。
【0212】
芳香族ケトン類としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンを挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。これらの中でも、密着性の観点から、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。さらに、透過率の観点から、感光性樹脂組成物中の芳香族ケトン類の含有量は、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%、さらに好ましくは0.02質量%〜0.3質量%の範囲内である。
【0213】
ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルビイミダゾール、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール等が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。高感度、解像性及び密着性の観点から、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0214】
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール化合物の含有量は、感光性樹脂層の剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、好ましくは0.05質量%〜7質量%、より好ましくは0.1質量%〜6質量%、さらに好ましくは1質量%〜4質量%の範囲内である。
【0215】
N−アリールアミノ酸としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。中でも、N−フェニルグリシンが特に好ましい。感光性樹脂組成物中のN−アリールアミノ酸の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
【0216】
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、及びクロル化トリアジン化合物が挙げられ、中でも特にトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましく用いられる。感光性樹脂組成物中の有機ハロゲン化合物の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
【0217】
その他の光増感剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。感光性樹脂組成物中の光増感剤の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
【0218】
また、本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物は、光増感剤としてピラゾリン化合物を含有することも好ましい。ピラゾリン化合物としては、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
【0219】
(D)添加剤
感光性樹脂組成物は、所望により、変色剤、染料、可塑剤、酸化防止剤、安定化剤、等の添加剤を含んでよい。例えば、特開2013−156369号公報及び国際公開第2009/093706号に列挙されている添加剤を使用してよい。
【0220】
変色剤としては、ロイコ染料、フルオラン染料等を例示できる。変色剤の使用は、露光部分が発色することによる視認性の点で好ましい。また、検査機等が露光のための位置合わせマーカーを読み取る場合、露光部と未露光部とのコントラストが大きい方が位置を認識し易く有利である。
【0221】
ロイコ染料としては、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、コントラストが良好となる観点から、ロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。この含有量は、露光部分と未露光部分とのコントラストの観点から、0.1質量%以上が好ましく、保存安定性を維持するという観点から10質量%以下が好ましい。
【0222】
ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]等が挙げられる。中でもベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、及びベーシックブルー7が好ましく、色相安定性及び露光コントラストを向上させるという観点からベーシックグリーン1が特に好ましい。
【0223】
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物中のベース染料の含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.01質量%〜1質量%の範囲内である。染料の含有量は、良好な着色性を得るという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0224】
本第三の実施形態では、(メタ)アクリル酸の構造単位の含有量が10質量%〜24質量%であるアルカリ可溶性高分子に起因するレジストパターン剥離の遅れを抑制して、剥離時間を短縮するために、可塑剤として、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド等のトルエンスルホン酸アミドを感光性樹脂組成物に含有させることが好ましい。感光性樹脂組成物中のトルエンスルホン酸アミドの含有量は、好ましくは0.1質量%〜5質量%、より好ましくは1質量%〜4質量%の範囲内である。
【0225】
その他の可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類;ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類;クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、及びアセチルクエン酸トリ−n−ブチル;ビスフェノールAの両側にそれぞれプロピレンオキサイドを付加したプロピレングリコール、ビスフェノールAの両側にそれぞれエチレンオキサイドを付加したエチレングリコール等が挙げられる。
【0226】
感光性樹脂組成物の熱安定性又は保存安定性の観点から、感光性樹脂組成物は、安定化剤として、ラジカル重合禁止剤、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン、トリエチレングリコール−ビス(3−3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、及びニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等;ベンゾトリアゾール類、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、1−(2−ジ−n−オクチルアミノメチル)−ベンゾトリアゾール、及びビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等;カルボキシベンゾトリアゾール類、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−5−カルボキシルベンゾトリアゾールと1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−6−カルボキシルベンゾトリアゾールの1:1混合物、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等;及びグリシジル基を有するアルキレンオキサイド化合物、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト400E)、ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト3002)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト4000)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1600)等;
から成る群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0227】
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物中の全ての安定化剤の総含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜0.7質量%の範囲内である。安定化剤の総含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0228】
上記で説明された添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
【0229】
<感光性樹脂組成物調合液>
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより感光性樹脂組成物調合液を形成することができる。好適な溶媒としては、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等;及びアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500mPa・秒〜4000mPa・秒となるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0230】
<感光性樹脂積層体>
本第三の実施形態では、支持体と、支持体上に積層された、上記感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層とを有する感光性樹脂積層体が提供されることができる。感光性樹脂積層体は、所望により、感光性樹脂層の支持体側と反対側に保護層を有していてもよい。
【0231】
支持体としては、特に限定されるものではないが、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されていてもよい。ヘーズは、好ましくは0.01%〜5.0%、より好ましくは0.01%〜2.5%、さらに好ましくは0.01%〜1.0%である。フィルムの厚みは、フィルムが薄いほど画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10μm〜30μmであることが好ましい。
【0232】
また、感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について、支持体よりも保護層の方が小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましい。例えば、特開昭59−202457号公報に記載された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は、10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0233】
本第三の実施形態では、感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは7μm〜60μmである。感光性樹脂層の厚みは、小さいほどレジストパターンの解像性が向上し、一方で、大きいほど硬化膜の強度が向上するので、用途に応じて選択されることができる。
【0234】
支持体、感光性樹脂層、及び所望により、保護層を順次積層して、感光性樹脂積層体を作製する方法としては、既知の方法を使用してよい。
【0235】
例えば、上記感光性樹脂組成物調合液を調製し、次に支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に感光性樹脂組成物調合液から成る感光性樹脂層を積層する。さらに、所望により、感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
【0236】
<レジストパターン形成方法>
レジストパターンの形成方法は、支持体に上述の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、及び露光された感光性樹脂層を現像する現像工程を、好ましくはこの順に、含む。本第三の実施形態においてレジストパターンを形成する具体的な方法の一例を以下に示す。
【0237】
先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する。具体的には、感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。基板の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。
【0238】
本第三の実施形態では、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートするか、又は必要に応じて両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は一般的に40℃〜160℃である。また、ラミネート時の加熱圧着を2回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性を向上させることができる。加熱圧着時には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用するか、又は基板と感光性樹脂層との積層物を数回繰り返してロールに通すことにより圧着してもよい。
【0239】
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂組層を活性光に露光する。露光は、所望により、支持体を剥離した後に行うことができる。フォトマスクを通して露光する場合には、露光量は、光源照度及び露光時間により決定され、光量計を用いて測定してもよい。露光工程では、ダイレクトイメージング露光を行なってもよい。ダイレクトイメージング露光においてはフォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350nm〜410nmの半導体レーザー又は超高圧水銀灯が用いられる。描画パターンがコンピューターによって制御される場合、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0240】
次に、現像工程において、露光後の感光性樹脂層における未露光部又は露光部を、現像装置を用いて現像液により除去する。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合には、これを除く。続いてアルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部又は露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。
【0241】
アルカリ水溶液としては、Na
2CO
3、K
2CO
3等の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa
2CO
3水溶液が一般的に使用される。アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混ぜてもよい。現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲内で一定に保たれることが好ましい。
【0242】
上記の工程によってレジストパターンが得られるが、所望により、さらに100℃〜300℃で加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、レジストパターンの耐薬品性を向上させることができる。加熱工程には、熱風、赤外線、又は遠赤外線を用いる方式の加熱炉を用いることができる。
【0243】
本第三の実施形態の感光性樹脂組成物は、プリント基板の回路を形成するために好適に使用されることができる。一般に、プリント基板の回路形成方法としては、サブトラクティブプロセス及びセミアディティブプロセス(SAP)が使用される。
【0244】
サブトラクティブプロセスは、基板全面に配置された導体からエッチングで非回路部分のみを除去して、回路を形成する方法である。
SAPは、基板全面に配置された導体シード層上の非回路部分にレジストを形成してから、回路部分のみをめっきで形成する方法である。
【0245】
<導体パターンの製造方法>
導体パターンの製造方法は、金属板、金属皮膜絶縁板等の基板に上述の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、露光された感光性樹脂層の未露光部又は露光部を現像液で除去することによって、レジストパターンが形成された基板を得る現像工程、及びレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程を、好ましくはこの順に、含む。
【0246】
本第三の実施形態では、導体パターンの製造方法は、基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、上述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、導体パターン形成工程を経ることにより行われる。導体パターン形成工程においては、現像により露出した基板表面(例えば、銅面)に既知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成する。
【0247】
さらに、本第三の実施形態は、例えば、以下の用途において好適に適用される。
【0248】
<配線板の製造方法>
導体パターンの製造方法により導体パターンを製造した後に、レジストパターンを、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する剥離工程を更に行うことにより、所望の配線パターンを有する配線板(例えば、プリント配線板)を得ることができる。
【0249】
剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう)については、特に制限されるものではないが、2質量%〜5質量%の濃度のNaOH又はKOHの水溶液、もしくは有機アミン系剥離液が一般に用いられる。剥離液には少量の水溶性溶媒を加えてよい。水溶性溶媒としては、例えば、アルコール等が挙げられる。剥離工程における剥離液の温度は、40℃〜70℃の範囲内であることが好ましい。
【0250】
<リードフレームの製造>
基板として銅、銅合金、又は鉄系合金等の金属板を用いて、レジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることにより、リードフレームを製造できる。先ず、現像により露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する工程を行う。その後、配線板の製造方法と同様の方法でレジストパターンを剥離する剥離工程を行って、所望のリードフレームを得ることができる。
【0251】
<凹凸パターンを有する基材の製造>
レジストパターン形成方法により形成されるレジストパターンは、サンドブラスト工法により基板に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。この場合、基板としては、例えば、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料等が挙げられる。これらの基板上に、レジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付けて、目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、及び基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基板から除去する剥離工程を行って、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材を製造できる。
【0252】
サンドブラスト処理工程では、公知のブラスト材を使用してよいが、例えば、SiC、SiO
2、Al
2O
3、CaCO
3、ZrO、ガラス、ステンレス等を含む粒径2μm〜100μmの微粒子が一般に使用される。
【0253】
<半導体パッケージの製造>
基板として大規模集積化回路(LSI)の形成が終了したウエハを用いて、レジストパターン形成方法によりウエハにレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることによって、半導体パッケージを製造することができる。先ず、現像により露出した開口部に銅、はんだ等の柱状めっきを施して、導体パターンを形成する工程を行う。その後、配線板の製造方法と同様の方法でレジストパターンを剥離する剥離工程を行って、更に、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去する工程を行うことにより、所望の半導体パッケージを得ることができる。
【0254】
本第三の実施形態では、感光性樹脂組成物は、プリント配線板の製造;ICチップ搭載用リードフレーム製造;メタルマスク製造等の金属箔精密加工;ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)等のパッケージの製造;チップ・オン・フィルム(COF)、テープオートメイテッドボンディング(TAB)等のテープ基板の製造;半導体バンプの製造;及びITO電極、アドレス電極、電磁波シールド等のフラットパネルディスプレイの隔壁の製造に利用されることができる。
なお、上述した各パラメータの値については特に断りのない限り、後述する実施例での測定方法に準じて測定される。
【0255】
<第四の実施形態>
以下、本発明の第四の実施形態を実施するための形態(以下、「本第四の実施形態」と略記する)について具体的に説明する。
【0256】
<感光性樹脂組成物>
本第四の実施形態において、感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する。所望により、感光性樹脂組成物は、(D)安定化剤といったその他の成分をさらに含んでよい。
【0257】
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、かつ「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0258】
[(A)アルカリ可溶性高分子]
前記(A)アルカリ可溶性高分子は、解像性及び最小現像時間の延長の観点から、酸モノマー単位の含有割合が25質量%未満かつ芳香族モノマー単位の含有割合が30質量%以上の第一の共重合体を含む。第一の共重合体は、所望により、酸モノマー単位及び芳香族モノマー単位に加えて、その他のモノマー単位を含んでもよい。共重合体の重量平均分子量(後述)と数平均分子量との比で表される共重合体の分散度は、1以上6以下であることが好ましい。
酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンテン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。上記不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フマル酸、シトラコン酸無水物等を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0259】
前記(A)成分における酸モノマー単位の共重合割合としては、全モノマー単位の合計質量に対して、25質量%未満であることが好ましく、10質量%〜24質量%であることがより好ましく、15質量%〜23質量%であることが更に好ましい。酸モノマー単位の含有割合がこの範囲にあることは、解像性の向上および最小現像時間の延長の観点から好ましい。
【0260】
芳香族モノマーは、不飽和芳香族化合物とも呼ばれる。芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等;(メタ)アクリル酸アラルキルエステル等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0261】
前記(A)成分における芳香族モノマー単位(好ましくはスチレン単位)の共重合割合としては、全モノマー単位の合計質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、32質量%〜60質量%であることがより好ましく、35質量%〜55質量%であることが更に好ましい。疎水性が高く、現像液及び現像水洗水と馴染み難い芳香族モノマーの共重合割合を上記範囲に設定することは、解像性の向上および最小現像時間の延長の観点から好ましい。
【0262】
その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー、架橋性モノマー等を挙げることができる。
【0263】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0264】
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等を挙げることができる。
【0265】
極性モノマーとしては、例えば、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;メタクリル酸2−アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;
等を挙げることができる。
【0266】
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0267】
前記第一の共重合体は、特に、(メタ)アクリル酸、スチレン、及びその他のモノマーの共重合体であることが好ましい。
【0268】
本第四の実施形態では、解像性及び現像性及び凝集性の観点から、上記で説明した芳香族モノマー単位の含有割合が45質量%〜90質量%である第二の共重合体を含むことも好ましい。第二の共重合体において、芳香族モノマー単位の含有割合が45質量%であることによって、第二の共重合体を含むレジストパターンの疎水性が確保される傾向にある。また、全共重合体の合計重量に対する第二の共重合体の重量比率は25質量%以上であることは、凝集性を向上させるという観点から好ましい。
【0269】
第二の共重合体は、上記で説明した酸モノマー単位と、その他のモノマー単位を含んでもよい。第二の共重合体を重合するための芳香族モノマーとしては、疎水性の観点から、スチレンが好ましい。第二の共重合体中の芳香族モノマー単位の含有割合の上限は、現像性の観点から、80質量%又は70質量%であることがより好ましい。
【0270】
第二の共重合体は、上記で説明した酸モノマー単位と、その他のモノマー単位を含んでもよく、解像性及び現像性及び凝集性の観点から、上記で説明した酸モノマー単位の含有割合が、好ましくは25質量%〜50質量%であり、より好ましくは25質量%〜40質量%である。第二の共重合体を重合するための酸モノマーとしては、現像性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0271】
前記(A)成分の重量平均分子量((A)成分が複数種の共重合体を含む場合には、その混合物全体についての重量平均分子量)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、15,000〜100,000であることが更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量をこの範囲内に調整することは、レジストパターン形成の際の現像時間を、使用するラインプロセスの稼働状態に適合させる観点から好ましい。
【0272】
本第四の実施形態では、感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として(以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である)、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましく、40質量%〜60質量%が更に好ましい。この含有量は、アルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、一方で、露光によって形成されるレジストパターンがレジストとしての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
【0273】
酸モノマー単位の含有割合が25質量%未満かつ芳香族モノマー単位の含有割合が30質量%以上の第一の共重合体は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
【0274】
[(B)エチレン性不飽和結合含有化合物]
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和結合は、付加重合性の観点から、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。
【0275】
本第四の実施形態では、(A)アルカリ可溶性高分子と(B)エチレン性不飽和結合含有化合物を併用するときに、レジストパターンの良好な解像性を確保し、かつ最小現像時間の延長という観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量が、900以下であることが好ましい。本明細書では、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の平均分子量とは、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物が単一種であるとき、単一種のエチレン性不飽和結合含有化合物の構造式から導かれる重量平均分子量を意味し、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物が複数種から成るとき、それぞれのエチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量と配合割合の加重平均を意味する。
【0276】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の重量平均分子量は、解像性の向上及び最小現像時間の延長の観点から、より好ましくは850以下、さらに好ましくは800以下であり、そして感光性樹脂積層体におけるエッジフューズ性を抑制するという観点から、好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上である。ここで、エッジフューズ性とは、感光性樹脂積層体をロール状に巻き取った場合にロールの端面から感光性樹脂組成物層がはみ出す現象である。
【0277】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、下記(b
1)〜(b
6):
(b
1)下記一般式(I):
【化13】
{式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、かつm
1は、2〜40を満たす数である。}
で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
2)下記一般式(II):
【化14】
{式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはC
2H
4であり、BはC
3H
6であり、n
1、n
2、n
3及びn
4は、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜50の関係を満たす整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、−(A−O)−と−(B−O)−とのいずれがビスフェニル基側でもよい。}
で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
3)下記一般式(III):
【化15】
{式中、R
5〜R
7は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Xは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、m
2、m
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、m
2+m
3+m
4は、0〜40であり、そしてm
2+m
3+m
4が2以上である場合には、複数のXは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい}
で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物;
(b
4)下記一般式(IV):
【化16】
{式中、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Zは、2価の有機基を表し、かつs及びtは、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、かつs+t≧1である}
で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
5)下記一般式(XI):
【化17】
{式中、R
5〜R
8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Xは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、m
2、m
3、m
4及びm
5は、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、m
2+m
3+m
4+m
5は、0〜50であり、そしてm
2+m
3+m
4+m
5が2以上である場合には、複数のXは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい}
で表されるテトラ(メタ)アクリレート化合物;及び
(b
6)上記(b
1)〜(b
5)以外の付加重合性単量体;
から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。
【0278】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、レジストパターンの剥離時間及び剥離片のサイズを調整するという観点から、(b
1)一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0279】
一般式(I)において、m
1は、剥離時間及び剥離片サイズの観点から2以上であることが好ましく、解像性、耐めっき性及び耐エッチング性の観点から40以下であることが好ましい。m
1は、より好ましくは4〜20であり、さらに好ましくは6〜12である。
【0280】
一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、m
1=4のテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、m
1=9のノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はm
1=14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0281】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の現像時に凝集物の発生を抑制するという観点から、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(II)中のBは、−CH
2CH
2CH
2−又は−CH(CH
3)CH
2−でよい。
【0282】
一般式(II)中の芳香環上の水素原子が、ヘテロ原子及び/又は置換基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられ、そして置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリール基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基若しくは複素環を含む基、又はこれらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの置換基は縮合環を形成しているか、又はこれらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。一般式(II)中の芳香環が複数の置換基を有する場合には、複数の置換基は同一であるか、又は異なっていてよい。
【0283】
一般式(II)中のR
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基でよいが、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の露光直後にコントラストを確保するという観点から、R
3とR
4の一方又は双方が水素原子であることが好ましく、R
3とR
4の双方が水素原子であることがより好ましい。
【0284】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物には、解像性の向上と最小現像時間の延長の観点から、比較的短鎖のアルキレンオキシドが付加されていることが好ましい。より詳細には、一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=0〜30の関係を満たし、より好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=0〜25の関係を満たし、さらに好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=0〜20の関係を満たし、特に好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=0〜10の関係を満たす。
【0285】
解像性の向上と最小現像時間の延長の観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの40質量%以上が、好ましくは、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物であり、より好ましくは、一般式(II)中のn
1、n
2、n
3及びn
4がn
1+n
2+n
3+n
4=0〜20の関係を満たすアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。より好ましくは(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの50質量%、さらに好ましくは55質量%以上、最も好ましくは60質量%が、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。
【0286】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均7単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0287】
一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、解像度の向上の観点から、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜20の関係を満たすことも好ましく、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜10の関係を満たすことも特に好ましい。
【0288】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の向上と最小現像時間の延長の観点から、一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=2〜20を満たす化合物、一般式(II)においてR
3とR
4の一方又は双方がメチル基である化合物、及び一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=2〜16を満たす化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0289】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の現像時に凝集物の発生を抑制するという観点から、(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(III)中のXは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0290】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物は、解像性の観点から、比較的短鎖のアルキレンオキサイド部分を有することが好ましい。より詳細には、一般式(III)において、m
2+m
3+m
4は、好ましくは8〜40であり、より好ましくは9〜25である。
【0291】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(EO平均付加モル数:1〜40)、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(PO平均付加モル数:1〜40)等が挙げられる。
【0292】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の観点から、(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0293】
一般式(IV)において、Zは、2価の有機基を表し、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の2価の脂環式基等でよい。
【0294】
一般式(IV)において、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0295】
解像性をさらに向上させるという観点から、一般式(IV)中の−(Y−O)
s−部分及び−(Y−O)
t−部分は、それぞれ独立に、−(C
2H
5O)−(C
3H
6O)
9−
で置換されていることも好ましい。
【0296】
(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート並びにEO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−11」等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−13」等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0297】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の現像時に凝集物の発生を抑制するという観点から、(b
5)一般式(XI)で表されるテトラ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0298】
一般式(XI)中のXは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0299】
(b
5)一般式(XI)で表されるテトラ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0300】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、(b
6)成分として、(b
1)〜(b
5)成分以外の付加重合性単量体を含んでよい。
【0301】
(b
6)成分としては、以下の:
(b
3)成分以外のトリ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等;
(b
5)成分以外のテトラ(メタ)アクリレート、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等; ペンタ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等;
ヘキサ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜24モルのエチレンオキサイドが付加されたヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜10モルのε-カプロラクトンが付加されたヘキサ(メタ)アクリレート等;
1つの(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物;
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;及び
フタル酸系化合物、例えば、γ−クロロ−2−ヒロドキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエリル−o−フタレート及びβ−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレート等;
が挙げられる。
【0302】
本第四の実施形態では、感光性樹脂積層体におけるエッジフューズ性及び密着性の観点から、感光性樹脂組成物中の全ての(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の総含有量は、好ましくは1質量%〜70質量%、より好ましくは2質量%〜60質量%、さらに好ましくは4質量%〜50質量%の範囲内である。
【0303】
[(C)光重合開始剤]
(C)成分は、光の照射により前記(B)成分の重合を開始し得るラジカルを発生する成分である。
このような(C)成分としては、例えば、芳香族ケトン化合物、キノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン化合物、ベンジル化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物、アクリジン化合物等を使用することができる。これらのうち、高度の解像性及び良好なテンティング性の観点から、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物及びアクリジン化合物から選択される1種以上を使用することが好ましい。また、感光性樹脂組成物の感度の観点から、(C)成分は、アクリジン化合物を含むことが好ましい。
【0304】
上記ヘキサアリールビスイミダゾール化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等を挙げることができる。
【0305】
また、上記アクリジン化合物としては、例えば、
アクリジン、9−フェニルアクリジン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等を挙げることができる。
【0306】
本第四の実施形態の感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、0.1質量%〜2質量%が好ましく、0.2質量%〜1.8質量%の範囲であることがより好ましく、0.3質量%〜1.7質量%の範囲であることが更に好ましく、0.4質量%〜1.6質量%であることが特に好ましい。(C)成分の含有量をこのような範囲に設定することは、良好な光感度及び剥離特性を得るという観点から好ましい。
【0307】
(C)成分は、感度及び解像性の向上の観点から、増感剤を更に含有することができる。このような増感剤としては、例えば、N−アリールアミノ酸、有機ハロゲン化合物、その他の増感剤を挙げることができる。
上記N−アリールアミノ酸としては、例えば、
N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等を;
有機ハロゲン化合物としては、例えば、
臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物等を;
それぞれ挙げることができる。
【0308】
上記その他の増感剤としては、例えば、
2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン化合物;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾインエーテル化合物;
ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル化合物;
等を、挙げることができる。
【0309】
本第四の実施形態における増感剤の含有量は、組成物の光感度及びレジスト硬化膜の剥離性の観点から、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましく、0.1質量%〜2質量%が更に好ましい。
なお、本第四の実施形態の感光性樹脂組成物においては、(C)成分としてアクリジン化合物及びN−アリールアミノ酸を使用し、これらを上記の使用割合の範囲内で併用することが、導体パターンを形成する際のエッチング速度抑制、及び配線幅の縦横差抑制の観点から好ましい。
【0310】
[(D)安定化剤]
感光性樹脂組成物は、所望により、安定化剤を含んでよい。本第四の実施形態では、解像性向上の観点からは、安定化剤としては、ヒンダードフェノールを使用することが好ましい。一般に、ヒンダードフェノールとは、立体障害の大きいフェノールをいう。感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノールとして下記一般式(V):
【化18】
{式中、R
51は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR
52、R
53及びR
54は、各々独立に、水素、又は置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表す。}で表される化合物を含む。
【0311】
一般式(V)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点で優れている。なお、一般式(V)で表される化合物は、1個の芳香環にフェノール性水酸基を2個以上有することがなく、そして、フェノール性水酸基の両オルト位のうち一方のオルト位のみに置換基を有しており、フェノール性水酸基周辺の立体障害の制御に特徴がある。このような構造であることにより、上記の優れた性能が発現すると考えられる。
【0312】
一般式(V)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点から、式(V)においてR
51、R
52、R
53及びR
54の少なくとも1つが芳香環を有していることが好ましい。同様の観点から、ヒンダードフェノールの水酸基濃度は、0.10mol/100g〜0.75mol/100gであることが好ましい。また、同様の観点から、上記一般式(V)において、R
51、R
52、R
53及びR
54の少なくとも1つは、直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2価の連結基を介したアリール基であることが好ましく、そして好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、そして好ましい2価の連結基としては、例えば、チオエーテル基、置換若しくは無置換のアルキレン基などが挙げられ、そしてアリール基は水酸基若しくはアルキル基で置換されていてもよい。
また、同様の観点から、上記一般式(V)で表される化合物としては、例えば、下記一般式(VI):
【化19】
{式中、R
55は、一般式(VII):
【化20】
[式中、R
59及びR
60は、各々独立に、水素、又は置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基を表す。]を表し、そしてR
56、R
57及びR
58は、各々独立に、水素、又は上記一般式(VII)を表す。}で表される化合物、下記一般式(VIII):
【化21】
{式中、R
61及びR
64は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、そしてR
62、R
63、R
65及びR
66は、各々独立に、水素、又は直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、X
1は2価の連結基を表す。}で表される化合物、下記一般式(IX):
【化22】
{式中、R
67、R
70及びR
73は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、そしてR
68、R
69、R
71、R
72、R
74及びR
75は、各々独立に、水素、又は直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Y
1は3価の連結基を表す。}で表される化合物、下記一般式(X):
【化23】
{式中、R
76、R
79、R
82及びR
85は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、そしてR
77、R
78、R
80、R
81、R
83、R
84、R
86及びR
87は各々独立に、水素、又は直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Z
1は4価の連結基を表す。}で表される化合物であることが好ましい。そして、上記一般式(VIII)におけるX
1としては、チオエーテル基、置換若しくは無置換のアルキレン基などが挙げられる。
【0313】
一般式(V)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点から、約130〜約1,000の分子量を有することが好ましく、約200〜約800の分子量を有することがより好ましく、約300〜約500の分子量を有することが更に好ましく、約300〜約400の分子量を有することが最も好ましい。また、約1.02〜約1.12の比重若しくは約155℃以上(例えば、約208℃以上)の融点を有するか、又は水に対して難溶性であり、かつメタノール、アセトン、トルエンなどの有機溶媒に易溶性であるか、又は使用時に固体(例えば、粉末、結晶など)若しくは液体であることが好ましい。
【0314】
一般式(V)で表される化合物としては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール(川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1〜3個有するフェノール)等が挙げられる。これらの中では、一般式(I)で表される化合物の含有量が多いことにより、解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点から、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)が好ましい。
【0315】
上記一般式(V)で表される化合物の、感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は0.001質量%〜10質量%である。この割合は、解像性の向上の点で、0.001質量%以上であり、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、0.7質量%以上であることが最も好ましい。一方で、この割合は、感度低下が少ない点及び解像性の向上の点で、10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1.5質量%以下であることが特に好ましい。
【0316】
本第四の実施形態では、ヒンダードフェノールとしては、一般式(V)で表される化合物以外の化合物を更に含有してもよい。一般式(V)で表される化合物以外の化合物としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。
【0317】
本第四の実施形態では、感光性樹脂組成物中の全てのヒンダードフェノールの合計含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して、0.001質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0318】
本第四の実施形態では、感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール以外の安定化剤を含んでもよい。ヒンダードフェノール以外の安定化剤としては、ラジカル重合禁止剤、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン、トリエチレングリコール−ビス(3−3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、及びニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等;ベンゾトリアゾール類、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、1−(2−ジ−n−オクチルアミノメチル)−ベンゾトリアゾール、及びビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等;カルボキシベンゾトリアゾール類、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−5−カルボキシルベンゾトリアゾールと1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−6−カルボキシルベンゾトリアゾールの1:1混合物、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等;及びグリシジル基を有するアルキレンオキサイド化合物、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト400E)、ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト3002)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト4000)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1600)等;から成る群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0319】
本第四の実施形態では、感光性樹脂組成物中の全ての安定化剤の総含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜0.7質量%の範囲内である。安定化剤の総含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0320】
[その他の成分]
本第四の実施形態の感光性樹脂組成物は、上記に説明した(A)〜(D)成分に加え、その他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、ロイコ染料、ベース染料、可塑剤、酸化防止剤、ラジカル重合禁止剤、溶媒等を挙げることができる。
【0321】
[ロイコ染料]
上記ロイコ染料は、レジスト硬化膜に対して、好適な発色性と、優れた剥離特性とを付与するために、本第四の実施形態の感光性樹脂組成物に配合することができる。
ロイコ染料の具体例としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット(トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフ ルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリン等を挙げることができる。これらのうち、ロイコクリスタルバイオレットが好ましい。
【0322】
本第四の実施形態の感光性樹脂組成物におけるロイコ染料の含有量は、0.6質量%〜1.6質量%であることが好ましく、0.7質量%〜1.2質量%であることがより好ましい。ロイコ染料の使用割合をこの範囲に設定することにより、良好な発色性と、良好な剥離性とを実現することができる。
【0323】
[ベース染料]
上記ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]、ダイアモンドグリーン等が挙げられる。これらのうち、ベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、ベーシックブルー7、及びダイアモンドグリーンから選択される1種以上が好ましく、色相安定性及び露光コントラストの観点から、ベーシックグリーン1が特に好ましい。
【0324】
本第四の実施形態の感光性樹脂組成物におけるベース染料の含有量は、0.001質量%〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜2質量%の範囲であり、更に好ましくは、0.01質量%〜1.2質量%の範囲である。この範囲の使用割合とすることにより、良好な発色性と、高い感度とを両立することができる。
【0325】
[溶媒]
本第四の実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の(A)〜(C)成分及び任意的に使用されるその他の成分の混合物であることができ、又はこれらの成分に適当な溶媒を添加して構成される感光性樹脂組成物調合液として用いてもよい。
ここで使用される溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン化合物;エタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール;等が挙げられる。
溶媒の使用割合としては、感光性樹脂組成物調合液の25℃における粘度が500〜4,000mPa・秒となるような割合とすることが好ましい。
【0326】
<感光性エレメント>
本第四の実施形態において、感光性エレメントは、上述した感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層が、支持体上に積層された積層体(感光性樹脂積層体)である。必要により、前記感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
【0327】
[支持体]
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明な基材が好ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
支持体のヘーズは、5以下であることが好ましい。
支持体の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要がある。これら双方を考慮すると、10μm〜30μmの支持体を好ましく用いることができる。
【0328】
[感光性樹脂層]
感光性樹脂層の形成に使用する感光性樹脂組成物が溶媒を含有している場合、感光性樹脂層においては、溶媒は、残存していてもよいが、除去されていることが好ましい。
感光性樹脂層の厚みは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは7μm〜60μmである。この厚みが薄いほど解像度は向上し、厚いほど膜強度が向上する。従って、該組成物層の厚みは、用途に応じて上記の範囲内で適宜選択することができる。
【0329】
[保護層]
保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力が、支持体と感光性樹脂層との密着力よりも十分に小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましく使用できる他、例えば特開昭59−202457号公報に開示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。
保護層の厚みは、10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0330】
[感光性エレメントの製造方法]
感光性エレメントは、支持体及び感光性樹脂層、並びに必要により保護層を順次積層することにより、製造することができる。支持体、感光性樹脂層、及び保護層の積層方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂組成物を前述の感光性樹脂組成物調合液として調製し、先ず、支持体上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を形成する。次いで、必要により、形成された感光性樹脂層上に保護層を積層することにより、感光性エレメントを製造することができる。
【0331】
<レジストパターンの形成方法>
上記のような感光性エレメントを用いて、基板上にレジストパターンを形成することができる。
レジストパターンの形成方法は、以下の工程:
感光性エレメントの感光性樹脂層を導体基板上に積層するラミネート工程;
積層された感光性樹脂層を露光する露光工程;及び
露光された感光性樹脂層を現像する現像工程;
を、上記に記載の順に含むことが好ましい。
【0332】
本第四の実施形態に係るレジストパターンの形成方法においては、先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する。具体的には、感光性エレメントが保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターを用いて感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。
基板としては、金属板又は金属皮膜を有する絶縁性基板が用いられる。金属の材質としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。これらの基板は、多層基板に対応するためのスルーホールを有していてもよい。
【0333】
ここで、感光性樹脂層は、基板表面の片面だけにラミネートしてもよいし、必要に応じて基板両面にラミネートしてもよい。この時の加熱温度は、40℃〜160℃とすることが好ましい。加熱圧着を2回以上行うことは、得られるレジストパターンの基板に対する密着性をより向上させる観点から好ましい。2回以上の圧着を行う場合には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用してもよいし、基板と感光性樹脂層との積層物を何回か繰り返してロールに通して圧着してもよい。
【0334】
また、ラミネート工程では、感光性エレメントの感光性樹脂層を、湿潤剤を介して導体基板上に積層することができる。これは、追従性および歩留りの向上の観点から好ましい積層方法である。湿潤剤としては、純水、脱イオン水、及び電解水から選ばれる1種以上と、銅キレート化剤(例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ピリジン化合物、及びピラゾール化合物から成る群から選ばれる1種以上の化合物)とを含むことが好ましい。
【0335】
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂層を露光する。この露光は、支持体を剥離せずに該支持体を介して行ってもよいし、必要ならば支持体を剥離した後に行ってもよい。
【0336】
この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。フォトマスクを介して露光する場合、露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
【0337】
マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長350nm〜410nmの半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピューターによって制御され、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0338】
次に、現像工程において、露光された感光性樹脂層を現像する。例えば、感光性樹脂層の未露光部を、現像液により除去する。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合には、これを除いた後に現像工程に供することが好ましい。
現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、例えば、Na
2CO
3、K
2CO
3等の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa
2CO
3水溶液を用いることが好ましい。該アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
【0339】
上述の工程によってレジストパターンが得られる。場合によっては、更に100℃〜300℃の加熱工程を行ってもよい。この加熱工程を実施することは、更なる耐薬品性向上の観点から好適である。加熱には、熱風、赤外線、遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができる。
【0340】
<配線板の形成方法>
本第四の実施形態に係る配線板の形成方法は、以下の工程:
感光性エレメントの感光性樹脂層を導体基板上に積層するラミネート工程;
積層された感光性樹脂層を露光する露光工程;
露光された感光性樹脂層を現像する現像工程;
現像によりレジストパターンが形成された導体基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程;及び
レジストパターンを剥離する剥離工程、
を、好ましくは上記に記載の順に含む。
【0341】
導体パターン形成工程においては、レジストパターンが形成された基板上で、現像工程によって露出した基板表面(例えば銅面)に、公知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成することができる。
【0342】
上記剥離工程においては、導体パターンが形成された基板を適当な剥離液と接触させることにより、レジストパターンが剥離除去される。この工程により、所望の配線板が得られる。
剥離工程において使用される剥離液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。このアルカリ水溶液としては、例えば、2質量%〜5質量%のNaOH水溶液又はKOH水溶液を使用することが好ましい。剥離液には、少量の水溶性溶媒、例えばアルコール等、を加えてもよい。剥離工程における剥離液の温度は、40℃〜70℃とすることが好ましい。
【0343】
本第四の実施形態に係る感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び配線板の製造方法は、例えば、プリント配線板、リードフレーム、凹凸パターンを有する基材、半導体パッケージ等の製造に、極めて好適に適用することができる。
なお、上述した各種パラメータの測定方法については、特に断りのない限り、後述の実施例における測定方法に準じて測定される。
【実施例】
【0344】
<第一の実施形態に関する実施例及び比較例>
以下、本第一の実施形態の感光性樹脂組成物について、実施例の形式により具体的に説明する。
(1)原料物性値の測定
<重量平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)を用い、ポリスチレン換算値として求めた。
【0345】
<酸当量>
本明細書において、酸当量とは、分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる電位差滴定法により酸当量を測定した。
【0346】
(2)評価用サンプルの作製方法と分析
<感光性エレメントの作製>
表1に示した各成分、並びに以下の各成分:
着色物質として、ダイヤモンドグリーン0.04質量部;
ロイコ染料として、ロイコクリスタルバイオレット0.6質量部;
ハロゲン化合物として、トリモブロモメチルフェニルスルフォン0.7質量部;
可塑剤として、p−トルエンスルホンアミド2質量部;
ベンゾトリアゾール類として、カルボキシルベンゾトリアゾール0.05質量部;
ベンゾトリアゾール類として、1−(2−ジ−n−オクチルアミノメチル)−ベンゾトリアゾール0.15質量部;
酸化防止剤として、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(共栄社化学、エポライト4000)0.05質量部;及び
ラジカル重合禁止剤として、トリス(ニトロソフェニルヒドロキシアミン)アルミニウム0.004質量部
を混合し、更にメチルエチルケトン(MEK)を追加して、固形分濃度53質量%の感光性樹脂組成物を調製した。表1における各成分欄の数字は、組成物の調製に供した各成分の量(質量部)である。
得られた感光性樹脂組成物を、支持体である厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製R310、ヘーズ値2.1%)上に、バーコーターを用いて均一に塗布した後、95℃に調温した乾燥機中で2.5分間加熱乾燥させて、支持体上に厚み25μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
次いで、上記感光性樹脂組成物層の支持体と反対側の面上に、保護層である厚み19μmのポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製GF−18)を貼付することにより、感光性エレメントを得た。
【0347】
<評価に使用した基板>
テンティング性評価用の基板としては、厚み35μmの銅箔を積層した厚み1.6mmの銅張積層基板に、直径6mmのスルーホールを1,008孔形成した基板を;
テンティング性以外の評価用基板としては、厚み18μmの銅箔を積層した厚み0.4mmの銅張積層基板を;
それぞれ用いた。
テンティング性評価用の基板は、ジェットスクラブ研磨機を用いた表面処理により整面した後に評価に供した。
テンティング性以外の評価用の基板は、ソフトエッチング剤(菱江化学(株)製、CPE−900)を用いた表面処理、及び10質量%H
2SO
4水溶液による表面洗浄を順次に行って整面した後に評価に供した。
【0348】
<ラミネート>
整面後の基板上に、各実施例又は比較例で得た感光性エレメントのポリエチレンフィルムを剥がしながら、ホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃、エアー圧力0.35MPa、及びラミネート速度1.5m/minの条件でラミネートした。
【0349】
<露光>
直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、Paragon Ultra 200、主波長355nm)を用いて、直接描画式露光方法にて露光した。
露光パターンについては、各評価項目の項で後述する。
【0350】
<現像>
露光後の感光性樹脂組成物層から支持体を剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂組成物層の未露光部分を溶解除去した。現像後、現像時間の1.5倍の時間で純水で洗浄し、エアーナイフで水切り処理後温風乾燥を行うことによって、評価用硬化膜を有する基板を得た。
上記最小現像時間とは、感光性樹脂組成物層の未露光部分が完全に溶解除去されるまでに要する最小の時間をいう。
【0351】
<感度の評価>
感度の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、ライン/スペース=40μm/40μmのライン10本のマスクパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。得られたレジストパターンの、レジストトップ幅を光学顕微鏡により測定し、以下の基準によって感度を評価した。
レジストトップ幅が39.0μmとなる露光量が28mJ以下:感度「○(良好)」
レジストトップ幅が39.0μmとなる露光量が28mJを超える:感度「×(不良)」
ここで、レジストラインの測定場所は、10本あるラインのうちの端から5本目のライン、長さ方向の端から約5mmの位置とし、測定値として3回測定の平均値を用いた。パターンの端と中央部とでは、現像液及び水洗水の拡散の影響で線幅が異なり、端側のレジストラインが細くなる傾向がある。
【0352】
以下の評価項目における露光量は、上記<感度の評価>に記載のとおり、ライン/スペース=40μm/40μmのマスクパターンに対してレジストトップ幅が39.0μmとなる露光量とした。
【0353】
<解像性の評価>
解像性の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、種々のサイズのライン/スペース=1/1のパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。
得られたパターンについて、形成されていた最小のパターン幅を光学顕微鏡により観察し、以下の基準によって解像性を評価した。
最小パターン幅が20μm以下であった場合:解像性「○(良好)」
最小パターン幅が20μmを超え、24μm以下であった場合:解像性「△(可)」
最小パターン幅が24μmを超えた場合:解像性「×(不良)」
【0354】
<密着性>
密着性の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、種々のサイズの独立ラインのパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。
得られたパターンを光学顕微鏡により観察し、以下の基準によって密着性を評価した。
正常に形成された最小パターン幅が18μm以下であった場合:密着性「○(良好)」
正常に形成された最小パターン幅が18μmを超え、22μm以下であった場合:密着性「△(可)」
正常に形成された最小パターン幅が22μmを超える:密着性「×(不良)」
ここで、ラインパターンが正常に形成されなかった場合とは、該ラインパターンが倒れていた場合、該ラインパターンが蛇行していた場合、又は基板上に該ラインパターンが存在していなかった場合をいう。
【0355】
<テンティング性>
テンティング性の評価は、スルーホールを有する基板を用いて得られた上記<ラミネート>後のラミネート基板を観察して行った。
スルーホール上に形成された感光性樹脂組成物層(テント膜)が破れていた孔数を計測し、全部の孔に対する割合(テント膜破れ率)を算出し、以下の基準により評価した。
テント膜破れ率が0.1%未満であった場合:テンティング性「◎(極めて良好)」
テント膜破れ率が0.1%以上2%未満であった場合:テンティング性「○(良好)」
テント膜破れ率が2%以上であった場合:テンティング性「×(不良)」
【0356】
<エッチング速度(配線ボトム幅)>
エッチング速度(配線ボトム幅)の評価は、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
ラミネート基板に対し、ライン/スペース=50μm/30μmで、ラインが10本あるパターンを直接描画露光した。露光から15分経過した後、感光性樹脂組成物層から支持体を剥離し、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂組成物層の未露光部分を溶解除去した。現像後、現像時間の1.5倍の時間で純水にて洗浄した。
次いで、このライン/スペースパターンを有する水洗後の基板を乾燥せずに、該基板のライン/スペースの向きを搬送方向に直交(MD)として塩化銅エッチング装置(東京化工機製、NLE−2000)に導入し、塩酸濃度3.2モル/L、塩化第二銅濃度2.0モル/L、エッチングスプレー圧力0.2MPa、及びエッチング液温度50℃の条件で、ライン速度2.0m/分にて55秒間エッチングした。
上記エッチング後、剥離液として濃度3.0質量%のNaOH水溶液を用い、温度50℃において基板上の硬化膜を剥離除去して得られた銅ラインのMD方向の配線パターンのボトム幅を光学顕微鏡により測定した。
ここで、配線パターンのラインの測定場所は、10本あるラインの端から5本目のライン、長さ方向の端から約5mmの位置とし、測定値として3回測定の平均値を用いた。パターンの端と中央部では現像液及び水洗水の拡散によるレジストへの影響が異なるために仕上がり配線の線幅が異なり、端側の配線幅が細くなる傾向がある。
【0357】
<配線幅の縦横差>
配線幅の縦横差の評価は、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
ラミネート基板に対し、ライン/スペース=50μm/30μmのライン10本のパターンがMD方向及びTD方向にタイル状に配置された露光パターンを直接描画露光した。
露光から15分経過した後、感光性樹脂組成物層から支持体を剥離し、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂組成物層の未露光部分を溶解除去した。現像後、現像時間の1.5倍の時間で純水にて洗浄した。
次いで、このライン/スペースパターンを有する水洗後の基板を乾燥せずに、該基板のライン/スペースの向きを搬送方向に直交(MD)として塩化銅バキュームエッチング装置(フジ機工製、投入口幅750mm、槽長2.6m)に導入し、エッチング液配管MD方向に14列(配管間隔 約18cm)、配管1本あたりのスプレーノズル数TD方向に14本(スリットノズル、噴射方向はTD方向に平行、ノズル間隔 約14cm、基板との距離 約5cm)、オシレーションなし、塩酸濃度2.85モル/L、塩化第二銅濃度2.0モル/L、エッチングスプレー圧力0.3MPa、バキューム圧力0.15MPa、及びエッチング液温度48℃の条件で、ライン速度2.2m/分にて71秒間エッチングした。
【0358】
上記エッチング後、剥離液として濃度3.0質量%のNaOH水溶液を用い、温度50℃において基板上の硬化膜を剥離除去して得られたMD方向、TD方向の2組の銅のラインパターンについて、ボトム幅を光学顕微鏡により測定した。
ここで、配線パターンのラインの測定場所は、10本あるラインの端から5本目のライン、長さ方向の端から約5mmの位置とし、測定値として3回測定値の平均値を用いた。パターンの端と中央部では現像液、水洗水の拡散によるレジストへの影響が異なるために仕上がり配線の線幅が異なり、端側の配線幅が細くなる傾向がある。
そして、下記数式:
配線幅の縦横差(μm)=TD−MD
により配線幅の縦横差を計算し、以下の基準により評価した。
配線幅の縦横差が1μm以下であった場合:配線ボトム幅 縦横差「◎(極めて良好)」
配線幅の縦横差が1μmを超え2μm以下であった場合:配線ボトム幅 縦横差「○(良好)」
配線幅の縦横差が2μmを超え4μm以下であった場合:配線ボトム幅 縦横差「△(可)」
配線幅の縦横差が4μmを超えた場合:配線ボトム幅 縦横差「×(不良)」
【0359】
実施例1〜23及び比較例1〜
9
実施例及び比較例で用いた感光性樹脂組成物の組成を表1に、
表1に記載の各成分名の詳細を表2に、それぞれ示した。表1における各成分の配合量は、いずれも、固形分換算の質量部である。
各組成物を用いて行った評価結果を、表1に合わせて示した。
【0360】
【表1】
【0361】
【表2】
【0362】
【表3】
【0363】
<第二の実施形態に関する実施例及び比較例>
以下、本第二の実施形態の感光性樹脂組成物について、実施例の形式により具体的に説明する。
(1)原料物性値の測定
<酸当量>
酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子の質量をいう。酸当量の測定は、自動滴定装置(例えば平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555))を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により行われる。
【0364】
<重量平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)を用い、ポリスチレン換算値として求めた。
【0365】
(2)評価用サンプルの作製方法
<感光性エレメントの作製>
表3に示した各成分を混合し、更にメチルエチルケトン(MEK)を追加して、固形分濃度55質量%の感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物を、支持体である厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、GR−16)上に、バーコーターを用いて均一に塗布した後、95℃に調温した乾燥機中で4分間加熱乾燥させて、支持体上に厚み33μmの感光性樹脂層を形成した。
次いで、上記感光性樹脂層の支持体と反対側の面上に、保護層である厚み19μmのポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製GF−18)を貼付することにより、感光性エレメントを得た。
【0366】
<評価に使用した基板>
評価用基板としては、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板の表面を湿式バフロール研磨により整面した物を用いた。研磨は、スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD♯600を用い、2回通しにより行った。
【0367】
<ラミネート>
整面して60℃に予熱した基板上に、各実施例又は比較例で得た感光性エレメントのポリエチレンフィルムを剥がしながら、ホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃、エアー圧力0.35MPa、及びラミネート速度1.5m/minの条件下でラミネートした。
【0368】
<露光>
直接描画露光機(日立ビアメカニクス(株)製、DE−1DH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長405±5nm)により、ストウファ41段ステップタブレット又は所定のDI露光用のマスクパターンを用いて、照度80mW/cm
2の条件下で、ストウファ41段ステップタブレットにおいて14段を与えるのに相当する露光量で露光した。
【0369】
<現像>
露光後の感光性樹脂層から支持体を剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。現像後、現像時間の1.5倍の時間に亘って純水で洗浄し、エアーナイフによる水切り処理後、温風乾燥を行うことによって、評価用硬化膜を有する基板を得た。
最小現像時間とは、感光性樹脂層の未露光部分が完全に溶解除去されるまでに要する最小の時間をいう。
【0370】
<エッチング>
現像によって、レジストパターンが形成された評価基板に、塩銅エッチング装置(東京化工機(株)社製、塩銅エッチング装置)を用いて、50℃の塩化第二銅エッチング液(塩化第二銅濃度250g/L、HCl濃度3mol/L)を60秒間スプレーすることにより、銅張積層板上のレジストパターンにより被覆されていない部分の銅箔を溶解除去した。
【0371】
<剥離>
エッチング後の評価用基板に、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーすることにより、硬化したレジストを剥離した。
【0372】
(3)評価方法
(i)現像凝集性試験
光重合性樹脂積層体中の厚さ50μm、面積0.6m
2の感光層(レジスト層)を、200mlの1質量%Na
2CO
3水溶液に溶解させ、循環式スプレー装置を用いてスプレー圧0.1MPaで3時間スプレーを行った。その後、現像液を1日放置し、凝集物の発生を観察した。凝集物が多量に発生するとスプレー装置の底部及び側面に粉状物又は油状物が観察される。また、現像液に凝集物が浮遊することもある。現像液凝集性が良好な組成は、このような凝集物が全く発生しないか、又は発生しても極微量で水洗により簡単に洗い流すことが可能である。凝集物の発生状態を目視観察により以下のようにランク分けした。
◎(著しく良好):凝集物が全く発生しない。
○(良好):スプレー装置の底部又は側面には凝集物がなく、現像液に目視で確認可能な極微量の凝集物の浮遊が観察されるが水洗すると簡単に洗い流される。
△(可):スプレー装置の底部又は側面の一部及び現像液に凝集物が浮遊している。水洗しても凝集物の全てを洗い流すことはできない。
×(不良):スプレー装置全体に凝集物が見られ且つ現像液に凝集物が浮遊している。水洗でも凝集物の全てを洗い流すことは不可能であり、その大半が残留する。
【0373】
(ii)感度試験
各実施例及び比較例で得た感光性エレメントを用いて上記の方法に従ってラミネート及び露光を行って、各露光量及び現像後に残った段数により、ストウファ41段ステップタブレットにおいて14段を与えるのに相当する露光量(mj/cm
2、14/41ST露光量)を調べ、以下の基準により評価した。
感度「〇」(良好):14/41ST露光量が25mj/cm
2以下であった場合
感度「×」(不良):14/41ST露光量が25mj/cm
2を超えた場合
【0374】
(iii)解像度試験
各実施例及び比較例で得た感光性エレメントを用いて上記の方法に従ってラミネートを行った後、15分経過した試料を用い、ライン/スペースを1/1に設定し、さらに上記の方法に従って直接描画露光を行った。次いで、上記の方法に従って現像を行なった。
さらに、硬化レジストラインが正常に形成されている最小のマスクライン幅を調べ、以下の基準で評価した。
解像度「〇」(良好):最小ライン幅が25μm未満であった場合
解像度「△」(可):最小ライン幅が25μm以上30μm未満であった場合
解像度「×」(不良):最小ライン幅が30μm以上であった場合
【0375】
(iv)密着性試験
各実施例及び比較例で得た感光性エレメントを用いて上記の方法に従ってラミネートを行った後、15分経過した試料を用い、上記の方法に従って直接描画露光を行った。次いで、上記の方法に従って現像した。
さらに、ライン/スペース=X/200としたときに、Xとして、正常に形成されている最小のマスクライン幅を調べ、以下の基準で評価した。
密着性「〇」(良好):最小ライン幅が25μm未満であった場合
密着性「△」(可):最小ライン幅が25μm以上30μm未満であった場合
密着性「×」(不良):最小ライン幅が30μm以上であった場合
【0376】
実施例1〜6及び比較例1〜5
実施例及び比較例で用いた感光性樹脂組成物の組成を表3に示し、かつ表3中の各成分名の詳細を表4に示した。表4中の各成分の配合量は、いずれも、固形分換算の質量部である。
各組成物を用いて行った評価結果も表4に示した。
【0377】
【表4】
【0378】
【表5】
【0379】
<第三の実施形態に関する実施例及び比較例>
以下、本第三の実施形態の感光性樹脂組成物について、実施例の形式により具体的に説明する。
高分子及び単量体の物性値の測定、並びに実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明し、次いで、得られたサンプルについての評価方法及びその評価結果を示す。
【0380】
(1)物性値の測定又は計算
<高分子の重量平均分子量又は数平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量又は数平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)によりポリスチレン換算として求めた。
さらに、高分子の分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)として算出された。
【0381】
<酸当量>
本明細書において、酸当量とは、分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により酸当量を測定した。
【0382】
(2)評価用サンプルの作製方法
実施例1〜12及び比較例1〜5における評価用サンプルは以下のように作製した。
【0383】
<感光性樹脂積層体の作製>
下記表5又は6に示す成分(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す)及び溶媒を十分に攪拌、混合して、感光性樹脂組成物調合液を得た。表5及び6中に略号で表した成分の名称を下記表7に示す。支持フィルムとして16μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルム(三菱樹脂(株)製、R310−16B)を用い、その表面にバーコーターを用いて、この調合液を均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した。感光性樹脂組成物層の乾燥厚みは30μmであった。
【0384】
次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF−818)を貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
【0385】
<基板整面>
研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いて、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板をスプレー圧0.2MPaでジェットスクラブ研磨することにより、評価用基板を作製した。
【0386】
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートして試験片を得た。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。
【0387】
<露光>
直接描画式露光装置(ビアメカニクス株式会社製、DE−1DH、主波長405nm)により15mJ/cm
2の露光量で露光を行った。
【0388】
<現像>
感光性樹脂積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を所定時間スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。このとき、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間として測定し、最小現像時間の2倍の時間で現像してレジストパターンを作製した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理した。
【0389】
(3)サンプルの評価方法
<テント性>
幅2.0mm×長さ15mmのスルーホールを有する0.6mm厚の両面銅張積層板を、ジェットスクラブ研磨機により表面処理した。上記<ラミネート>において説明した方法により両面にラミネートを行い、直接描画式露光装置(ビアメカニクス株式会社製、DE−1DH、主波長405nm)により両面を全面露光した。上記<現像>において説明した方法によって現像したときに、破れたテント穴数を計測し、全テント穴に対する破れ率を算出して、以下の基準によりランク分けした。
◎◎(最良):現像後の膜破れ率が、2%以下である。
◎(極めて良好):現像後の膜破れ率が、2%を超え、かつ4%以下である。
○(良好):現像後の膜破れ率が、4%を超え、かつ10%以下である。
×(不良):現像後の膜破れ率が、10%を超える。
【0390】
<接触角(水残りショート不良抑制性)>
接触角(水残りショート不良抑制性)の評価では、上記<ラミネート>において説明した方法によりラミネートを行なった後、上記<露光>において説明した方法によって全面現像を行い、続いて上記<現像>において説明した方法によって現像を行なった。
現像後、30分以内にサンプルを接触角の測定に供した。
接触角の測定はJIS R3257の静滴法に準拠し、株式会社ニック製の光学顕微鏡式接触角計「LSE−B100」を用い、温度23℃、湿度50RH%の環境下で硬化膜上に0.5μLの純水を滴下した後、接触角の測定を開始し、120秒後の値を採用して、以下の基準によりランク分けした。接触角の値が大きい場合、硬化レジストの疎水性が高いことを示し、水残りショート不良を抑制することができる。
◎(極めて良好):接触角が、35°以上である。
○(良好):接触角が、30°以上35°未満である。
△(許容):接触角が、25°以上30°未満である。
×(不良):接触角が、25°未満である。
【0391】
(4)評価結果
実施例1〜12の評価結果を下記表5に示し、かつ比較例1〜5の評価結果を下記表6に示す。
【0392】
【表6】
【0393】
【表7】
【0394】
【表8】
【0395】
<第四の実施形態に関する実施例及び比較例>
【0396】
以下、本第四の実施形態の感光性樹脂組成物について、実施例の形式により具体的に説明する。
(1)原料物性値の測定
<重量平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)を用い、ポリスチレン換算値として求めた。
【0397】
<酸当量>
本明細書において、酸当量とは、分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる電位差滴定法により酸当量を測定した。
【0398】
(2)評価用サンプルの作製方法と分析
<感光性エレメントの作製>
表8に示した各成分を混合し、更にメチルエチルケトン(MEK)を追加して、固形分濃度56質量%の感光性樹脂組成物を調製した。表8における各成分欄の数字は、組成物の調製に供した各成分の量(質量部)である。
得られた感光性樹脂組成物を、支持体である厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製GR−16、ヘーズ値2.7%)上に、バーコーターを用いて均一に塗布した後、95℃に調温した乾燥機中で3分20秒加熱乾燥させて、支持体上に厚み33μmの感光性樹脂層を形成した。
次いで、上記感光性樹脂層の支持体と反対側の面上に、保護層である厚み19μmのポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製GF−18)を貼付することにより、感光性エレメントを得た。
【0399】
<評価に使用した基板>
評価用基板としては、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板の表面を湿式バフロール研磨により整面した物を用いた。研磨は、スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD♯600を用い、2回通しにより行った。
【0400】
<ラミネート>
整面後の基板上に、各実施例又は比較例で得た感光性エレメントのポリエチレンフィルムを剥がしながら、ホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃、エアー圧力0.35MPa、及びラミネート速度1.5m/分の条件下でラミネートした。
【0401】
<露光>
直接描画露光機(日立ビアメカニクス(株)製、DE−1AH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長405±5nm)により、所定のDI露光用のマスクパターンを用いて、照度15mW/cm
2の条件下で露光した。
露光パターンおよび露光量については、各評価項目の項で後述する。
【0402】
<現像>
露光後の感光性樹脂層から支持体を剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、29℃の0.8質量%Na
2CO
3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。現像後、現像時間と同じ時間純水で洗浄し、水洗後は温風乾燥処理を行わず基板を自然乾燥させることによって、評価用硬化膜を有する基板を得た。
上記最小現像時間とは、感光性樹脂層の未露光部分が完全に溶解除去されるまでに要する最小の時間をいい、現像液の濃度又は温度、スプレーの向き又は噴霧量、圧力、オシレーションの周波数などに依存して変化する。
ここで、最小現像時間を以下のようにランク分けした:
○:最小現像時間が30秒を超える。
×:最小現像時間が30秒以下。
【0403】
<感度の評価>
感度の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、ライン/スペース=40μm/40μmのライン10本のマスクパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。得られたレジストパターンの、レジストトップ幅を光学顕微鏡により測定し、レジストトップ幅が39μmとなる露光量を感度の評価とした。
ここで、レジストラインの測定場所は、10本あるラインのうちの端から5本目のライン、長さ方向の端から約5mmの位置とし、測定値として3回測定の平均値を用いた。パターンの端と中央部とでは、現像液及び水洗水の拡散の影響で線幅が異なり、端側のレジストラインが細くなる傾向があるため、測定位置を特定することは重要である。
【0404】
以下の評価項目における露光量は、上記<感度の評価>に記載のとおり、ライン/スペース=40μm/40μmのマスクパターンに対してレジストトップ幅が39μmとなる露光量とした。ここで、感度を露光量によって以下のようにランク分けした:
○:39μm線幅となる露光量が28mJ/cm
2以下。
×:39μm線幅となる露光量が28mJ/cm
2を超える。
【0405】
<解像性の評価>
解像性の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、種々のサイズのライン/スペース=1/1のパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。
得られたパターンについて、形成されていた最小のパターン幅を光学顕微鏡により観察し、以下の基準によって解像性を評価した。
○:形成されていた最小のパターン幅が28μm以下。
×:形成されていた最小のパターン幅が28μmを超える。
【0406】
<密着性の評価>
密着性の評価には、上記<ラミネート>後、15分経過後のラミネート基板を用いた。
該ラミネート基板に対し、種々のサイズの独立ラインのパターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。
得られたパターンを光学顕微鏡により観察し、以下の基準によって密着性を評価した。
ここで、ラインパターンが正常に形成されなかった場合とは、該ラインパターンが倒れていた場合、該ラインパターンが蛇行していた場合、又は基板上に該ラインパターンが存在していなかった場合をいう。
○:形成されていた最小のパターン幅が28μm以下。
×:形成されていた最小のパターン幅が28μmを超える。
【0407】
<凝集性の評価>
光重合性樹脂積層体中の厚さ50μm、面積0.6m
2の感光層(レジスト層)を、200mlの1質量%Na
2CO
3水溶液に溶解させ、循環式スプレー装置を用いてスプレー圧0.1MPaで3時間スプレーを行った。その後、現像液を1日静置し、凝集物の発生を観察した。凝集物が多量に発生するとスプレー装置の底面及び側面に粉状物又は油状物が観察される。現像液凝集性が良好な組成物においては、上記のような凝集物が全く発生しない。凝集性を、凝集物の発生状態に基づき、以下のようにランク分けした:
○:凝集物が全く発生しない。
△:スプレー装置の底部又は側面の一部に凝集物が見られる。
×:スプレー装置全体に凝集物が見られる。
【0408】
<剥離性の評価>
上記<ラミネート>において説明した処理の後15分経過した基板を用い、該ラミネート基板に対し、4cm×6cmの長方形パターンを直接描画露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。
得られた基板上の硬化レジストを50℃、3質量%のNaOHに浸し、レジストが基板から完全に剥離するまでの時間を測定し、剥離時間とした。
ここで、剥離性を以下のようにランク分けした:
○:完全に剥離するまでの時間が40秒以下。
×:完全に剥離するまでの時間が40秒を超える。
【0409】
実施例1〜7及び比較例1〜4
実施例及び比較例で用いた感光性樹脂組成物の組成を表8に、表8に記載の各成分名の詳細を表9に、それぞれ示した。表8における各成分の配合量は、いずれも、固形分換算の質量部である。
各組成物を用いて行った評価結果も表8に示した。
【0410】
【表9】
【0411】
【表10】