(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記原子分率a、b、c、dにおいて、aは、0.48〜0.52(境界値を含む)、bは、0.30〜0.43(境界値を含む)、cは、0.05〜0.21(境界値を含む)、dは、0.001〜0.03(境界値を含む)である
ことを特徴とする請求項1に記載の外側部品(1)。
前記微量金属Tは、Nb、V、Mo、Ta、W、Fe、Ni、Ru、Rh、Ir、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、B、Si、Ge、Sn、Sb、In(当該合金が含有する金属Mは除く)を含む微量金属の第1のサブグループから選択される
ことを特徴とする請求項4に記載の外側部品(1)。
【背景技術】
【0004】
時計技術において用いられている最も高貴(プレシャス)な合金には、密度が比較的高い(>10g/cm
3)という共通の特徴がある。実際に、時計技術において用いられている2つの主な貴金属は、金と白金であり、これらの密度はそれぞれ、約19.3、21.5g/cm
3である。結果的に、このことによって、これらの合金が比較的重くなる。銀とパラジウムは、金や白金よりも軽いが(それぞれ10.5、12g/cm
3)、時計技術においては少ししか用いられていない。
【0005】
また、腕時計の外側部品において、チタン、そして、より少ない程度だがアルミニウム、のような軽い金属は、比較的広く用いられている。しかし、現状、高貴であること(すなわち、優美であるという要件を満たすこと)と軽量であることの両方であると考えることができる合金はほとんどない。
【0006】
国際特許出願WO2012/119647A1は、比較的低い密度(<8g/cm
3)を達成することができるセラミックス/貴金属化合物について記載している。
【0007】
一般的には、軽い金属や貴金属から合金を作ることによって、展性のある金属を得ることはできず、ほとんどすべての場合に脆い中間相を発生させる。
【0008】
しかし、等原子比的なTi(Pd/Pt/Au)相の場合は例外である。実際に、この相には、形状記憶合金の一部において用いられる等原子比的なTiNi相と似ているものがある。同様に、等原子比的なTiPd、TiPt及びTiAuの相は、ある程度の展性を有し、特定の状態において、TiNi形状記憶合金に典型的なふるまいを示すことがある。等原子比的なTiPd、TiPt及びTiAuの合金は、長い間知られており、高温形状記憶合金を目的としたいくつかの研究の対象とされている。
【0009】
これらの系にNi、Pd、Pt、Au以外の合金用元素を加える影響が主としてTiNi合金のために研究されている。TiPd、TiPt及びTiAuの合金に対する三元系用の添加に関する研究は、わずかしかない。しかし、TiPd系に鉄を加えると、この系の相転移に効果があることが知られている。
【0010】
TiNi、TiPd、TiPt及びTiAuの二元系の等原子比的な合金に対する添加に関するほとんどの文献は、形状記憶特性の改変及びこれらの合金のいわゆる超弾性の特性(振幅、遷移温度)に注目するものである。しかし、このような合金を装飾品/時計技術において用いる問題及び関連する制約、すなわち、形状加工性及び純度(貴金属の割合)、についての研究はない。
【0011】
表1に、TiPd、TiPt及びTiAuの合金の展性のある等原子比的な相の質量組成を示した。これは、等原子比的なTi−(Pd、Pt、Au)相の組成及びスイスにおいて適用される法的な純度規格との比較を示している。
【0012】
【表1】
【0013】
なお、TiPdとTiAuの合金は、純度の要件を満たし、したがって、特に、軽い貴金属として、時計技術と装飾品用に興味深い。
【0014】
HAFNERによる欧州特許EP0267318は、パラジウムを25〜50重量%、銀を37〜69重量%、残りにおいて、チタンを含有せず、銅、亜鉛、ガリウム、コバルト、インジウム、スズ、鉄、アルミニウム、ニッケル、ゲルマニウム、レニウムを含有するような特定のパラジウム合金と、パラジウムを51〜95重量%を含有し異なる金属が添加された他の合金について記載しており、そのうち、1つの合金のみが金を含有し、パラジウムを70重量%、銀を15重量%、銅を5重量%、亜鉛を5重量%、白金を3重量%、金を2重量%含有している。チタンを含有する唯一の組成は、Ti
5Pd
95タイプのものであり、これは、チタンを5%、パラジウムを95%含有するものである。
【0015】
SUMIMOTOによる欧州特許EP0239747は、チタンを40〜60原子%、パラジウムを残りの量含有するチタン−パラジウムタイプの合金に、クロムを0.001〜20%添加することについて記載している。チタンを50原子%、パラジウムを40〜50原子%、クロムを0〜10原子%含有する以下の7つの合金が開示されている。すなわち、Ti
50Pd
40、Ti
50Pd
45Cr
5、Ti
50Pd
43Cr
7、Ti
50Pd
42Cr
8、Ti
50Pd
41.5Cr
8.5、Ti
50Pd
41Cr
9、Ti
50Pd
40Cr
10である。
【0016】
RICHEMONTによるスイス特許CH704233は、時計技術において、バナジウム、鉄及びアルミニウムを含有するTi−10−2−3タイプ、バナジウム、クロム及びアルミニウムを含有するTi13−11−3タイプ、バナジウム、クロム、アルミニウム及びスズを含有するTi−15−3タイプ、アルミニウム、バナジウム、モリブデン及びクロムを含有するTi−5−5−5−3タイプ、のチタン合金を用いることについて記載しているこれらの合金は、パラジウム又は金のいずれかを含有しない。
【0017】
DEGUSSAによる英国特許出願876887Aは、電気抵抗の材料向けの電気抵抗が高く展性のある金合金を開示している。これは、鉄を3〜8%、チタンを1〜5%含有し、残りの量が金と不可避な不純物である。具体的には、金の30%までが銀と置換される。具体的には、金の65%までがパラジウムと置換される。具体的には、金の50%がパラジウムと置換される。変形実施形態の1つにおいて、当該合金は、85〜40%の金、10〜55%のパラジウム、1〜5%のチタン及び3〜8%の鉄によって構成している。具体的には、チタンと鉄の和は7%未満であり、これらの2つの成分の間の比率は、0.25〜0.5である。別の変形実施形態では、合金は、60〜70%の金、1〜3%のチタン、35%以内のパラジウム及び3〜5%の鉄によって構成している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において表現される濃度はすべて、別段の記載がないかぎり、原子分率である。
【0024】
本発明は、チタンを含有する合金における金及びパラジウムの置換に関する。
【0025】
本発明は、チタンを含有する軽い高貴な合金によって作られた計時器又は装飾品(宝石装飾品を含む)の外側部品1、及びこのような部品を有する任意の計時器又は装飾品に関する。
【0026】
本発明は、順に説明する2つの系統の合金に関する。
【0027】
第1の系統の合金は、5つのグループの金属(第1〜第7)及びそれらのサブグループのうちのいくつかを利用する9つのモデル組成(第1〜第9)によって構成している。
【0028】
添えられることがある純度の品質証明のために必要であるよりも多くの貴金属を含有する上の表1に記載されているもののような合金を使用すると、不必要な追加コストが発生する。この問題を克服するために、このような余分な貴金属を有利な置換元素、特に、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Nb、V、Mo、Ta、Wを含む第2のグループから選択される金属、で置換することが適している可能性がある。
【0029】
これらの元素は、TiPdとTiAuの合金に、それぞれパラジウムと金の置換として、多量に(>10原子%)加えることができる。例えば、合金Ti
50Pd
35.5Nb
14.5、Ti
50Pd
32Fe
18及びTi
44.5Pd
35Nb
11Fe
9.5(数字は%)の圧縮下での展性は、二元系の等原子比的なTiPd合金のものとは著しく異ならない。
図1は、このことを示しており、0.001/sの変形速度で圧縮下でテストされた合金Ti
50Pd
35.5Nb
14.5、Ti
50Pd
32Fe
18、Ti
44.5Pd
35Nb
11Fe
9.5及びTi
50Pd
50の応力変形曲線を比較している。
【0030】
Cr、Mn、Cu、Zn及びAgを含む第3のグループの元素を、TiPd及びAu合金に、それぞれパラジウムと金の置換元素として制限された量(<10%)加えることができる。
【0031】
最後に、Al、Si、Ge、Sn、Sb及びInを含む第4のグループの元素を、TiPdとTiAuの合金に、それぞれチタン又はパラジウム、及び金の置換元素として少量(<4%)加えることができる。
【0032】
理想的には、人間の皮膚に接する用途のために、置換物質は健康リスクを発生させないべきである。貴金属の存在による余剰なコストを効率的に下げるために、貴金属を置換する物質は高貴なものであるべきではない。最後に、合金を重すぎにしないようにするために、理想的には、置換物質は置換される金属よりも重くない。
【0033】
本発明の特に有利な実装においては、TiPd合金におけるパラジウムのいくらかを置換する。
【0034】
このようにして、本発明は、等原子比的な金属間化合物TiPdベースの展性のある合金に関し、これにおいては、純度規格Pd500に必要な重量含有率に対して余剰ないずれのパラジウムも、非高貴な元素によって部分的又は完全に置換され、これによって、チタンは、依然として、最終合金の50原子%ある。このような合金は、伝統的なチタン合金のものと同様な形状加工性を与えるように十分な展性を有する。
【0035】
このように、展性に対して不利な影響を与えずに、パラジウムの一部を置換することによって余剰な純度を減らすことが課題である。
【0036】
三元合金TiPdFe及びTiPdNbによって、所望の純度を達成することが可能になる。具体的には、TiPdNb合金は、望まない形状記憶効果がない。このことは有利である。
【0037】
合金の組成は、以下の組成のうちの1つによって定めることができる。これらにおいて、割合はすべて原子分率である。
【0038】
第1の組成:
チタンの一部が、ジルコニウム又はハフニウムの同じ原子量と置換される。なぜなら、これらの3つの元素が非常に近い化学的性質を有し、互いに容易に置換することができるからである。
Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
1-a-y
3<a<0.6、0<x<0.15、0.01<y<0.4
M=Nb、V、Mo、Ta、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、Si、Ge、Sn、Sb、Inからなる第1のグループから選択される一又は複数の金属
aは、等原子比的な組成に対する差を定める。
xは、ZrとHfによるチタンの置換の程度を定める。
yは、置換元素の割合を定める。
【0039】
第2の組成:
Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
1-a-y
3<a<0.6、0<x<0.05、0.01<y<0.4
第1の組成に対して、Zr、Hfの含有量が制限されている。
【0040】
第3の組成:
Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
z
3<a<0.6、0<x<0.05、0.01<y<0.4、0.2<z<0.55
【0041】
第4の組成:
Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
z
0.44<a<0.55、0<x<0.05、0.07<y<0.28、0.25<z<0.45
第4の組成のうちの以下の特定の組成は、特に適している。
【0043】
第5の組成:
第4の組成による組成であって、Mは、Nb、Mo、Fe、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、Si、Ge、Sn、Inを含む第5のグループから選択される一又は複数の元素を含む。
【0044】
パラジウムをクロムと銅で完全に置換すると、合金が脆くなる。これと同様な作用を、特定の条件下において、マンガン、亜鉛、銀、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ及びモリブデンが与えることがある。したがって、それらの含有量は制限されていなければならず、主な置換元素として鉄とニオブが好ましい。
【0045】
第6の組成:
第5の組成による組成であって、Mは、主成分元素としてFe及び/又はNbを含む。
【0046】
第7の組成:
第6の組成による組成であって、パラジウムを50重量%含有する。
【0049】
具体的には、原子組成Ti
49.7Pd
32Fe
15.3Cr
3には興味深い特性がある。すなわち、形状記憶効果が低く、第2の相の量が少なく、機械的性質が高すぎない。
【0052】
ニオブを12.5%及び10.5%を含有するこの第9の組成の組成は、 形状記憶効果を有し、これに対して、ニオブを14.5%含有する
図1のTi
50Pd
35.5Nb
14.5組成は、そのような効果がない。ニオブを14.5%含有するこの組成は、その二相の性質のおかげでこれらの効果をなくす。
【0053】
一般的には、合計の0.3%のオーダーの、特に、チタンに関する、組成の小さな相違は、基本的に、これらの異なる組成の特性を変えず、伝統的な合金を置換するそれらの適合性を害さない。
【0054】
このようにして、本発明は、チタンを含有する軽い高貴な合金によって作られた計時器又は装飾品の外側部品に関する。上記の第1の組成によると、当該合金の組成は、Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
1-a-yの原子組成に従い、ここで、0.3<a<0.6、0<x<0.15及び0.01<y<0.4、Mは、Nb、V、Mo、Ta、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、Si、Ge、Sn、Sb、Inからなる第1のグループから選択される一又は複数の元素である。
【0055】
具体的には、当該合金は、チタンを15〜60%、パラジウムを0〜69%、金を1〜40%含有し、100%までの残りの量は、合計量が0〜15%であるジルコニウムとハフニウムと、及びNb、V、Mo、Ta、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Pt、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、Si、Ge、Sn、Sb、Inからなる第1のグループのサブグループから選択される一又は複数の元素とを含有する。
【0056】
代替例において、合金のパラジウムの原子分率は、金の原子分率よりも高い。
【0057】
具体的には、当該合金は、チタンを30〜60%含有し、当該合金の残りの量は、過半がパラジウムと、及び当該合金全体の10%よりも大きい量のFe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Nb、V、Mo、Ta、Wを含む第2のグループから選択される少なくとも1つの金属を含有する。
【0058】
別の代替例において、当該合金は、チタンを30〜60%含有し、当該合金の残りの量は、過半の金と、及び合金全体の10%を超える量のFe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Nb、V、Mo、Ta、Wを含む第2のグループから選択される少なくとも1つの金属とを含有する。
【0059】
特定の実施形態において、当該合金は、Cr、Mn、Cu、Zn及びAgを含む第3のグループから選択される少なくとも1つの金属を含有し、前記第3のグループの金属の全体的な量は、合金全体の10原子%未満である。
【0060】
別の特定の実施形態において、当該合金は、Al、Si、Ge、Sn、Sb及びInを含む第4のグループから選択される少なくとも1つの金属を含有し、第4のグループの金属の全体的な量は、合金全体の4原子%未満である。
【0061】
特定の実施形態において、当該合金は、チタンを49.0〜51.0%含有する。
【0062】
別の特定の実施形態において、チタン、ジルコニウム及びハフニウムの合計原子分率は、49.0〜51.0%である。
【0063】
上記の第2の組成において、当該合金は、原子組成Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
1-a-yに従い、0.3<a<0.6、0<x<0.05、0.01<y<0.4である。
【0064】
上記の第3の組成において、当該合金は、原子組成Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
zに従い、ここで、0.3<a<0.6、0<x<0.05、0.01<y<0.4、0.2<z<0.55である。
【0065】
上記の第4の組成において、当該合金は、原子組成Ti
a-x(Zr,Hf)
xM
yPd
zに従い、ここで、0.44<a<0.55、0<x<0.05、0.07<y<0.28、0.25<z<0.45である。
【0066】
具体的には、この第4の組成の変形実施形態によると、以下の特徴を有する。
【0067】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
tに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、31.5〜32.5%、tは、17.5〜18.5%。ここで、r+s+t=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.32Fe
0.18に従う。
【0068】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sNb
uに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、34.9〜35.9%、uは、14.1〜15.1%、ここで、r+s+u=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.354Nb
0.146に従う。
【0069】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sNb
uに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、37.3〜40.3%、uは、10.0〜13.0%、ここで、r+s+u=100であり、上記の第9の組成による変形実施形態に従う。
【0070】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sNb
uに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、37.3〜38.3%、uは、12.0〜13.0%、ここで、r+s+u=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.497Pd
0.378Nb
0.125に従う。
【0071】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sNb
uに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、39.3〜40.3%、uは、10.0〜11.0%、ここで、r+s+u=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.497Pd
0.398Nb
0.105に従う。
【0072】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sAu
vに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、39.9〜40.9%、vは、8.5〜9.5%、ここで、r+s+v=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.404Au
0.09に従う。
【0073】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sCo
wに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、31.8〜32.8%、wは、17.2〜18.2%、ここで、r+s+w=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.323Co
0.177に従う。
【0074】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
cCr
dに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、31.5〜32.5%、cは、16.5〜17.5%、dは、0.5〜1.5%、ここで、r+s+c+d=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.32Fe
0.17Cr
0.01に従う。
【0075】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
cCr
dに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、31.4〜32.5%、cは、9.9〜15.8%、dは、2.5〜8.5%、c+dは、17.8〜18.9%、ここで、r+s+c+d=100である。
【0076】
上記の第8の組成によって記載される変形実施形態によると、
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
cCr
dに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、31.4〜32.5%、cは、14.8〜15.8%、dは、2.5〜3.5%、c+dは、17.8〜18.9%、ここで、r+s+c+d=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.497Pd
0.32Fe
0.153Cr
0.03に従う。
【0077】
他の変形実施形態によると、
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
cCr
dに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、31.4〜32.5%、cは、11.8〜12.8%、dは、5.5〜6.5%、c+dは、17.8〜18.9%、ここで、r+s+c+d=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.497Pd
0.32Fe
0.123Cr
0.06に従う。
【0078】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
cCr
dに従い、rは、49.2〜50.2%、sは、31.4〜32.5%、cは、9.9〜10.9%、dは、7.7〜8.5%、c+dは、17.8〜18.9%、ここで、r+s+c+d=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.497Pd
0.319Fe
0.104Cr
0.08に従う。
【0079】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
eCu
fに従い、rは、49.5〜50.5%、sは、31.5〜32.5%、eは、16.5〜17.5%、fは、0.5〜1.5%、ここで、r+s+e+f=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.50Pd
0.32Fe
0.17Cu
0.01に従う。
【0080】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
gZr
hに従い、rは、48.5〜49.5%、sは、31.8〜32.8%、gは、17.2〜18.2の%、hは、0.5〜1.5%、ここで、r+s+g+h=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.49Zr
0.01Pd
0.323Fe
0.177に従う。
【0081】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
jAl
kに従い、rは、48.5〜49.5%、sは、31.2〜32.2%、jは、16.8〜17.8%、kは、1.5〜2.5%、ここで、r+s+j+k=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.49Pd
0.317Fe
0.173Al
0.02に従う。
【0082】
− 合金は、原子組成Ti
rPd
sFe
mNb
nに従い、rは、44.0〜45.0%、sは、34.5〜35.5%、mは、9.0〜10.0%、nは、10.5〜11.5%、ここで、r+s+m+n=100である。具体的には、当該合金は、原子組成Ti
0.445Pd
0.35Nb
0.11Fe
0.095に従う。
【0083】
上記の第5の組成によれば、Mは、Nb、Mo、Fe、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、Si、Ge、Sn、Inを含む第5のグループから選択される一又は複数の元素を含有する。
【0084】
上記の第6の組成によれば、Mは、主成分元素としてFe及び/又はNbを含有する。
【0085】
上記の第7の組成によると、当該合金は、パラジウムを50重量%含有する。当然、当該合金のこの重量%は、合金元素の原子分率と矛盾せず、まったく不適合ではない付加的な条件である。
【0086】
第2の系統の合金は、特に、金属の3グループ(金属の主グループ及び金属の2つのサブグループ)及び微量金属の5つのグループ(微量金属の主グループ及び微量金属の4つのサブグループ)を利用する組成を有する。以下は、この第2の系統に関する。
【0087】
本発明は、チタンとパラジウムを含有するこの第2の系統の合金からの軽い高貴な合金によって作られた計時器又は装飾品用の外側部品1に関する。当該合金は、原子比化学式Ti
aPd
bM
cT
dに従い、ここで、a、b、c、dは、a+b+c+d=1であるように、合計に対する原子分率であり、
− aは、0.44〜0.55(境界値を含む)、
− bは、0.30〜0.45(境界値を含む)、
− cは、0.04〜0.24(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)、
− 当該合金は、Nb、V、Fe、Co、Au、Ptからなる金属の主グループの高々2つから選択される金属Mを含有し、原子分率cは、金属Mの原子分率の和であり、
− ここで、原子分率dは、微量金属Tの原子分率の和であり、各微量金属Tは、原子分率が合金全体の3.0%未満であるように用いられ、微量金属Tは、Nb、V、Mo、Ta、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Au、Pt、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、B、Si、Ge、Sn、Sb、In(当該合金が含有する金属Mは除く)を含む微量金属の主グループから選択される。当該合金は、原子分率でホウ素を少なくとも0.05%含有し、
− 原子分率での100%までの残りは、前記の高々2つの金属Mによって構成しており、
− 当該合金は、パラジウムを少なくとも50重量%含有する。
【0088】
具体的には、当該合金は、ホウ素を0.3原子%未満含有する。
【0089】
チタン範囲が縮小された特定の組成において、原子分率a、b、c、dは、
− aは、0.48〜0.52(境界値を含む)、
− bは、0.30〜0.43(境界値を含む)、
− cは、0.05〜0.21(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)
である。
【0090】
金、白金及びコバルトが金属Mのリストから除かれた変形実施形態の1つにおいて、
− 前記高々2つの金属Mは、Nb、V、Feからなる金属の第1のサブグループから選択され、原子分率cは、金属Mの原子分率の和であり、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.30〜0.38(境界値を含む)、
− cは、0.09〜0.20(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)
である。
【0091】
さらに、具体的には、金、白金及びコバルトを含有しない同じ変形実施形態において、微量金属Tは、Nb、V、Mo、Ta、W、Fe、Ni、Ru、Rh、Ir、Cr、Mn、Cu、Zn、Ag、Al、B、Si、Ge、Sn、Sb、In(当該合金が含有する金属Mは除く)を含む微量金属の第1のサブグループから選択される。
【0092】
さらに、具体的には、再び金、白金又はコバルトを含有しない同じ変形実施形態において、微量金属Tは、Nb、V、Fe、Ru、Rh、Au、Pt、Cr、B(当該合金が含有する金属Mは除く)を含む微量金属の第2のサブグループから選択される。
【0093】
金、白金又はコバルトを含有せずバナジウムを含有しない同じ変形実施形態において、
− 前記高々2つの金属Mは、Nb、Feからなる金属の第2のサブグループから選択され、原子分率cは、金属Mの原子分率の和であり、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.30〜0.38(境界値を含む)、
− cは、0.09〜0.19(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)
である。
【0094】
当該合金が鉄である単一金属Mを含有するようなサブ変形実施形態において、
− 合金は、原子比化学式Ti
aPd
bFe
cT
dに従い、
− 微量金属Tは、Nb、V、Ru、Rh、Au、Pt、Cr、Bを含む微量金属の第3のサブグループから選択され、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.31〜0.35(境界値を含む)、
− cは、0.11〜0.19(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)
である。
【0095】
具体的には、合金が鉄である単一金属Mを含有するようなこの変形実施形態において、当該合金は、クロムとホウ素の高々2つから選択される微量金属Tを含有し、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.31〜0.33(境界値を含む)、
− cは、0.14〜0.19(境界値を含む)、
− dは、0.010〜0.030(境界値を含む)
である。
【0096】
本発明に近い別の合金は、クロムである単一の微量金属Tを含有し、当該合金は、原子比化学式Ti
aPd
bFe
cCr
dに従う。
【0097】
本発明に近い別の合金は、ニオブである単一金属Mを含有し、
− 合金は、原子比化学式Ti
aPd
bNb
cT
dに従い、
− 微量金属Tは、V、Fe、Ru、Rh、Au、Pt、Cr、Bを含む微量金属の第4のサブグループから選択され、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.34〜0.38(境界値を含む)、
− cは、0.09〜0.16(境界値を含む)、
− dは、0.001〜0.03(境界値を含む)
である。
【0098】
当該合金がニオブである単一金属Mを含有するようなこのサブ変形実施形態の特定の組成において、当該合金は、クロムとホウ素から選択された高々2つの微量金属Tを含有し、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.34〜0.36(境界値を含む)、
− cは、0.11〜0.15(境界値を含む)、
− dは、0.010〜0.030(境界値を含む)
である。
【0099】
当該合金がニオブである単一金属Mを含有するような同じサブ変形実施形態の別の組成において、当該合金は、クロムである単一の微量金属Tを含有し、当該合金は、原子比化学式Ti
aPd
bNb
cCr
dに従い、
− 原子分率a、b、c、dにおいて、
− aは、0.49〜0.51(境界値を含む)、
− bは、0.34〜0.36(境界値を含む)、
− cは、0.11〜0.15(境界値を含む)、
− dは、0.010〜0.030(境界値を含む)
である。
【0100】
この第2の系統の合金全体において、合金のコストを下げるために、パラジウム含有量を減らすことができる。
【0101】
したがって、変形実施形態の1つにおいて、パラジウムの重量含有率は、当該合金全体の60.0%以下である。
【0102】
具体的には、パラジウムの重量含有率は、当該合金全体の55.0%以下である。
【0103】
さらに、具体的には、パラジウムの重量含有率は、当該合金全体の52.5%以下である。
【0104】
さらに、具体的には、パラジウムの重量含有率は、当該合金全体の51.0%以下である。
【0105】
本発明は、さらに、前記のような外側部品1を少なくとも1つ有する計時器10又は装飾品、特に、腕時計、に関する。
【0106】
短く書くと、本発明に係るすべての組成において、上で選択された様々な合金は、展性を有し、したがって、通常の変形プロセスを用いて形を形成することができる。
【0107】
これらの合金には、さらに、以下の特徴がある。
− 高貴である(純度)。
− 法的な意味で、最も高貴な合金と比べて特別に軽い。
− 人体に有害ではない。
− 耐腐食性が非常に強い。
【0108】
当該合金のうちの1つによって作られた計時器の外側部品の生産は、以下のいくつかの異なる方法での合金組成の最適化の恩恵を享受する。
− 実装を促進するために、融点を低下させる元素を加える。
− 合金の機械的性質を変えるために、貴金属置換元素の含有量を変える。
− 構造が強化された合金を得るために、様々な少しの改変をする。
【0109】
本発明に係る置換成分を含有する合金を選択することによって、さらに、記載されたほとんどの基礎的な合金において観察される形状記憶効果をなくすことができる。例えば、合金Ti
0.5Pd
0.354Nb
0.146は、実質的に形状記憶効果がない。
【0110】
本発明の応用用途はたくさんある。例えば(これに制限されない)、以下のものがある。
− ケース中間部、ケース裏側、腕時計ベゼル、外側部分(押し部品、クラスプ、腕輪)のようなムーブメントの外側の要素
− 装飾品、ムーブメント及び腕時計内部の部品の構成部分