特許第6514405号(P6514405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6514405ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、それを含むプリプレグ、積層板及びプリント回路基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514405
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、それを含むプリプレグ、積層板及びプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/02 20060101AFI20190425BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20190425BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C08F299/02
   C08F2/44 A
   C08J5/24CEQ
   C08J5/24CEZ
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-502384(P2018-502384)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-523725(P2018-523725A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】CN2016078808
(87)【国際公開番号】WO2017067139
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2018年1月18日
(31)【優先権主張番号】201510701719.2
(32)【優先日】2015年10月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514309583
【氏名又は名称】廣東生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲広▼兵
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲憲▼平
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−027145(JP,A)
【文献】 特開2010−195970(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0044918(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/203511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分として、
(1)四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と、
(2)ビニル樹脂架橋剤とを含み、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は40〜100重量部であるポリフェニレンエーテル樹脂組成物であって、
四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は、式(1)に示される構造を有する、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、
aとcは独立して1〜15の整数、bは2〜10の整数であり、
Zは式(2)に示される構造を有し、
【化2】

式(2)中、R5、R6及びR7は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子又は置換又は未置換のC1〜C10のアルキル基であり、
Xは式(3)、式(4)、式(5)又は式(6)に示される構造を有し、
【化3】
8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、nは1〜10の整数であり、
Bはアルキリデン基、−O−、−CO−、−SO−、−SC−、−SO2−又は−C(CH32−であり、
Yは式(7)又は式(8)の構造を有し、
【化4】
28、R29、R30、R31、R32、R33及びR34は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基である。)
【請求項2】
bは4〜6の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項3】
四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は50〜80重量である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項4】
前記四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は500〜10000g/molである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項5】
ビニル樹脂架橋剤は、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項6】
前記スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体は独立してアミノ変性、無水マレイン酸変性、エポキシ変性、アクリレート変性、ヒドロキシ変性又はカルボキシル変性を行ったものである、ことを特徴とする請求項5に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は開始剤を更に含み、前記開始剤はフリーラジカル開始剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項8】
前記フリーラジカル開始剤は有機過酸化物開始剤から選ばれる、請求項7に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項9】
前記フリーラジカル開始剤は、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチル)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−tert−アミルペルオキシド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキシン、ジクミルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ炭酸−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)吉草酸−n−ブチルエステル、メチルエチルケトンペルオキシド又はシクロヘキサンペルオキシドから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である、請求項7に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項10】
四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とビニル樹脂架橋剤の全重量100重量部に対して、開始剤は1〜3重量部である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は難燃剤を更に含み、
記難燃剤は臭素含有難燃剤又は/及びリン含有難燃剤である、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項12】
四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤及び開始剤の全重量100重量部に対して、難燃剤は0〜40重量部である、ことを特徴とする請求項11に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項13】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は粉末フィラーを更に含み、
粉末フィラーは有機フィラー及び/又は無機フィラーである、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項14】
前記無機フィラーは、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ケイ素アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルカムパウダ、粘土、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム又は雲母から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物であり、
記有機フィラーはポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル又はポリエーテルスルホン粉末から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である、ことを特徴とする請求項13に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項15】
四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤及び難燃剤の全重量100重量部に対して、粉末フィラーは0〜150重量部である、ことを特徴とする請求項13に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項16】
強化材及び強化材に含浸し乾燥させて付着している請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物を含む、プリプレグ。
【請求項17】
請求項16に記載のプリプレグを少なくとも一枚含む、積層板。
【請求項18】
請求項16に記載のプリプレグを少なくとも一枚含む、プリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銅張積層板の技術分野に属し、具体的に、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物、それを含有するプリプレグ、積層板及びプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報技術の発展、電子機器実装の小型化、高密度化、情報の大容量化、信号伝送の高周波高速化に伴い、ルータ、スイッチ、サーバ等のハイエンド用の通信ネットワークハードウェア機器、に使用される電子回路基板の伝送配線が長くなり、電子回路基材に対して、より低い誘電率及び低い誘電損失が求められる。
【0003】
高速電子回路基材は、長期使用過程において、基材の誘電率と誘電損失の安定性を維持することが、基材の特性インピーダンスの変化及びシグナルインテグリティに大きな影響を与える。誘電率と誘電損失の安定性は、誘電率と誘電損失の温度ドリフト、湿度ドリフト及び耐熱酸化老化性を含む。
【0004】
熱酸化老化性については、基材樹脂硬化系において、樹脂が長期的に使用されることにより、熱酸化老化が生じ、基材の誘電率と誘電損失が高まり、安定性に悪影響を与え、最終的に基材のシグナルインテグリティを劣化させる。従って、基材樹脂硬化系の優れた耐熱酸化老化性は高速電子回路基材に要求される重要な特性である。
【0005】
アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は、分子構造に大量のベンゼン環構造を有し、且つ強極性基がなく、ポリフェニレンエーテル樹脂は、高いガラス転移温度が高く、寸法安定性が優れており、熱膨張係数が小さく、吸水率が低く、特に低誘電率、低誘電損失等の優れた特性があり、高速回路基板を調製するための樹脂材料として好適である。
【0006】
ビニル樹脂架橋剤、たとえばブタジエンスチレン共重合体は分子鎖構造に極性基を含まないため、優れた低誘電率、低誘電損失を有し、通常、架橋剤として高速回路基板の調製に用いられる。
【0007】
CN103965606Aには、ポリフェニレンエーテル40〜80重量部と、ビスマレイミド5〜30重量部と、高分子添加剤5〜30重量部とを含む低誘電率材料が開示されている。該発明に使用されるポリフェニレンエーテルは、二官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、高分子添加剤は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体等の炭化水素樹脂を含み、高速電子回路基材の調製に用いられ得る。
【0008】
CN102807658Aには、官能化ポリフェニレンエーテルと、架橋硬化剤と、開始剤とを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物が開示されている。該発明に使用されるポリフェニレンエーテルは、二官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、架橋硬化剤は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体等の炭化水素樹脂を含み、高速電子回路基材の調製に用いられ得る。
【0009】
CN101589109Aには、官能化ポリ(アリーレンエーテル)と、ビニル熱硬化性樹脂と、難燃剤組成物とを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物が開示されている。該発明に使用されるポリフェニレンエーテルは、二官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、ビニル熱硬化性樹脂は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体等を含み、高速電子回路基材の調製に用いられ得る。
【0010】
従来技術には、より低い誘電率、低い誘電損失を実現するために、ポリブタジエン等のビニル樹脂架橋剤の使用比率を増大させる必要があるという問題が存在する。調製された基材はより低い誘電率、低い誘電損失を有するが、二官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に含まれるアクリレート基の数に限界があり、ポリブタジエン等の過量のビニル樹脂架橋剤の側鎖二重結合を完全に反応できない。ポリブタジエン等の、完全に反応されていないビニル樹脂架橋剤は、側鎖二重結合の耐熱酸化老化性が悪いため、基材の誘電率と誘電損失の長期使用過程での安定性に悪影響を与え、更に基材のシグナルインテグリティを劣化させ、消費者のニーズを満たせない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術に存在する問題に対し、本発明は、低い誘電率と誘電損失を有するとともに、優れた耐熱酸化老化性を有し、長期使用過程において基材の誘電率と誘電損失を安定的に保持できるポリフェニレンエーテル樹脂組成物、当該ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を採用してなる高速電子回路基材(銅箔張積層板)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成させるために、本発明は下記技術案を採用する。
【0013】
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、
(1)四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と、
(2)ビニル樹脂架橋剤とを含み、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は40〜100重量部であり、
そのうち、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は、式(1)に示される構造を有し、
【0014】
【化1】
【0015】
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基である。
【0016】
aとcはすべて独立して1〜15の整数、bは2〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。
【0017】
前記aは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13又は14、前記cは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13又は14、前記bは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8又は9である。
【0018】
Zは、式(2)に示される構造を有し、
【0019】
【化2】
【0020】
式(2)中、R5、R6及びR7は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子又は置換又は未置換のC1〜C10(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7、C8又はC9)のアルキル基である。
【0021】
Xは、式(3)、式(4)、式(5)又は式(6)に示される構造を有し、
【0022】
【化3】
【0023】
8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、nは1〜10の整数、たとえば2、3、4、5、6、7、8、9又は10、Bはアルキリデン基、−O−、−CO−、−SO−、−SC−、−SO2−又は−C(CH32−である。
【0024】
Yは、式(7)又は式(8)に示される構造を有し、
【0025】
【化4】
【0026】
28、R29、R30、R31、R32、R33及びR34は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、B及びZは上記と同様である。)
【0027】
本発明では、変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は四官能又は四官能以上の(メタ)アクリレート活性基を含むため、より多くのビニル樹脂架橋剤を架橋でき、調製された高速電子回路基材は低い誘電率と誘電損失を有するだけでなく、ビニル樹脂架橋剤の側鎖二重結合が樹脂硬化系に完全に反応することで、高速電子回路基材に優れた耐熱酸化老化性を付与するとともに、基材の長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性に優れる。本発明は、特定の官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と特定のビニル樹脂架橋剤の添加量の配合関係により、低い誘電率と誘電損失、及び優れた耐熱酸化老化性を同時に実現できる。
【0028】
また、本発明では、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に含まれる活性基であるアクリレート基がすべてフェノキシ基にグラフトされ、フェノキシ基の熱酸化老化性が二級炭素原子又は三級炭素原子構造の脂肪鎖よりも優れることから、調製された高速電子回路基材の熱酸化老化性は、活性基であるアクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の場合よりも優れ、更に調製された高速電子回路基材は、長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性がより良好になる。
【0029】
さらに、本発明は、b値を2〜10にすることで、官能性度が高すぎると、ポリフェニレンエーテルの分子量が大きく、溶解しにくく、溶解しても接着剤の粘度が高いという難問を克服する。
【0030】
前記ビニル樹脂架橋剤は、たとえば、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部又は95重量部、好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は50〜80重量部である。
【0031】
好ましくは、前記四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は500〜10000g/mol、好ましくは800〜8000g/mol、より好ましくは1000〜4000g/molである。
【0032】
好ましくは、ビニル樹脂架橋剤は、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0033】
好ましくは、前記スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体は独立してアミノ変性、無水マレイン酸変性、エポキシ変性、アクリレート変性、ヒドロキシ変性又はカルボキシル変性を行ったものである。すなわち、前記ビニル樹脂架橋剤は、アミノ変性、無水マレイン酸変性、エポキシ変性、アクリレート変性、ヒドロキシ変性、カルボキシル変性のスチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0034】
ビニル樹脂架橋剤の例として、たとえば、Samtomer製のスチレン−ブタジエン共重合体Ricon100、日本曹達製のポリブタジエンB−1000が挙げられる。
【0035】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は開始剤を更に含み、前記開始剤はフリーラジカル開始剤である。
【0036】
好ましくは、前記フリーラジカル開始剤は、有機過酸化物開始剤から選ばれ、より好ましくは、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−tert−アミルペルオキシド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキシン、ジクミルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ炭酸−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)吉草酸−n−ブチルエステル、メチルエチルケトンペルオキシド又はシクロヘキサンペルオキシドから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0037】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とビニル樹脂架橋剤の全重量100重量部に対して、開始剤は1〜3重量部、たとえば1.2重量部、1.4重量部、1.6重量部、1.8重量部、2.0重量部、2.2重量部、2.4重量部、2.6重量部又は2.8重量部である。
【0038】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は更に難燃剤を含む。
【0039】
好ましくは、前記難燃剤は臭素含有難燃剤又は/及びリン含有難燃剤である。
【0040】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤及び開始剤の全重量100重量部に対して、難燃剤は0〜40重量部、たとえば0.5重量部、4重量部、8重量部、12重量部、16重量部、20重量部、24重量部、28重量部、32重量部又は36重量部である。
【0041】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は粉末フィラーを更に含む。
【0042】
好ましくは、粉末フィラーは有機フィラー及び/又は無機フィラーである。
【0043】
好ましくは、前記無機フィラーは、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ケイ素アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルカムパウダ、粘土、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム又は雲母から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0044】
好ましくは、前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル又はポリエーテルスルホン粉末から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0045】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤及び難燃剤の全重量100重量部に対して、粉末フィラーは0〜150重量部、たとえば5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部、100重量部、110重量部、120重量部、130重量部又は140重量部である。
【0046】
本発明の「含む」とは、前記成分以外、その他の成分を含むことを意味し、これら他の成分は前記ポリフェニレンエーテル組成物に様々な特性を付与する。それ以外に、本発明の「含む」は、「は……である」又は「……からなる」のような閉鎖式限定に置換されてもよい。
【0047】
たとえば、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は各種添加剤を含んでもよく、具体例として、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤又は潤滑剤等が挙げられる。各種添加剤は単独に使用してもよく、2種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
本発明のもう1つの目的は、強化材及び強化材に含浸し乾燥させて付着している前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を含む、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物で調製されるプリプレグを提供することである。
【0049】
本発明のさらにもう1つの目的は、前記プリプレグを少なくとも一枚含む積層板を提供することである。
【0050】
本発明のさらにもう1つの目的は、少なくとも一枚の前記プリプレグ及び積層されたプリプレグの一側又は両側に重ね合せる金属箔を含む、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物で調製された銅箔張積層板を提供することである。
【0051】
本発明のさらにもう1つの目的は、前記プリプレグを少なくとも一枚含むプリント回路基板を提供することである。
【0052】
高速電子回路基材の例、すなわち銅箔張積層板の調製方法は、以下のステップを含む。
【0053】
(1)樹脂組成物原料を下記のように秤量する。四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル架橋剤樹脂は40〜100重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とビニル樹脂架橋剤の全重量100重量部に対して、開始剤は1〜3重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤及び開始剤の全重量100重量部に対して、難燃剤は0〜40重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤及び難燃剤の全重量100重量部に対して、粉末フィラーは0〜150重量部である。
【0054】
(2)四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤、粉末フィラー及び難燃剤を混合して、適量の溶剤を加え、撹拌して均一に分散させ、粉末フィラーと難燃剤を接着液に均一に分散させる。調製された接着液で強化材、例えばガラス繊維布を含浸させ、適切な温度のオーブンにおいて所定時間ベークして、溶剤を除去してプリプレグを形成する。
【0055】
(3)少なくとも一枚のプリプレグを規則的に積層して、上下に銅箔を配置し、ラミネーターにおいて積層して硬化させ、高速電子回路基材、すなわち銅箔張積層板を得る。
【発明の効果】
【0056】
先行技術に比べて、本発明は下記有益な効果を有する。
【0057】
本発明では、変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に四官能又は四官能以上の(メタ)アクリレート活性基を含むことで、より多くのビニル樹脂架橋剤を架橋でき、調製された高速電子回路基材は低い誘電率と誘電損失を有するだけでなく、ビニル樹脂架橋剤の側鎖二重結合が樹脂硬化系に完全に反応することで、高速電子回路基材に優れた耐熱酸化老化性を付与し、長期使用過程における基材の誘電率と誘電損失の安定性に優れる。本発明は、特定の官能性のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂及び特定のビニル樹脂架橋剤の添加量の配合関係により、低い誘電率(10GHz、≦3.8)と誘電損失(10GHz、≦0.0052)及び優れた耐熱酸化老化性(耐熱酸化老化性150℃/56day Dk変化絶対値≦0.3、耐熱酸化老化性150℃/56day Df変化絶対値≦0.004)を同時に実現する。
【0058】
また、本発明では、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に含まれる活性基であるアクリレート基がすべてフェノキシ基にグラフトされ、フェノキシ基の熱酸化老化性が、二級炭素原子又は三級炭素原子構造の脂肪鎖よりも優れるため、調製された高速電子回路基材の熱酸化老化性は、活性基であるアクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の場合よりも優れ、更に、調製された高速電子回路基材は、長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性がより良好になる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、実施形態を用いて本発明の技術案について更に説明する。
【0060】
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−1の合成
【0061】
メチルフェノール32.4g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)50.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=2500)、トルエン300gを加え、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加えて、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は1540であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸77g(0.5mol)を加えて、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1の数平均分子量は1900であった。
【0062】
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−2の合成
【0063】
メチルフェノール32.4g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)50.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=10000)、トルエン300gを加え、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加えて、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は7000であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸77g(0.5mol)を加え、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−2の数平均分子量は7500であった。
【0064】
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−3の合成
【0065】
メチルフェノール32.4g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)50.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=15000)、トルエン300gを加え、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加えて、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は10000であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸77g(0.5mol)を加えて、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−3の数平均分子量は10600であった。
【0066】
六官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−4の合成
【0067】
メチルフェノール64.8g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)100.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=2500)、トルエン300gを加えて、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加え、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は1700であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸154g(1.0mol)を加えて、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−4の数平均分子量は2100であった。
【0068】
十官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−5の合成
【0069】
メチルフェノール129.6g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)200.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=2500)、トルエン300gを加えて、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加え、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は2200であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸308g(2.0mol)を加えて、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−5の数平均分子量は2700であった。
【0070】
十四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−6の合成
【0071】
メチルフェノール194.4g、2,6−ジメチルフェノール24.4g、ホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド含有量24wt%)300.0g、塩酸水溶液(HCL含有量32wt%)1.0gを機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコに投入して、80〜90℃に加熱した。6h反応後、3回水洗して、減圧蒸留して水分を除去した。50℃に冷却させて、ポリフェニレンエーテル125g(数平均分子量=2500)、トルエン300gを加えて、80〜90℃に加熱して、ベンゾイルペルオキシド2gを回分式で加え、8h反応後、3回水洗して、減圧蒸留してトルエンと水を除去し、GPCで検出したところ、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は2800であった。得られたポリフェニレンエーテルをトルエン溶液(ポリフェニレンエーテル含有量40wt%)に溶解して、触媒として4−ジメチルアミノピリジン5.0gを加えた。触媒が溶解した後、無水メタクリル酸462g(3.0mol)を加え、温度を80〜85℃に制御し、2h反応後、減圧蒸留してトルエンを除去し、GPCによりテストしたところ、得られた多官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−6の数平均分子量は3200であった。
【0072】
六官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−7の合成
【0073】
機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコを、100℃に加熱した。ポリフェニレンエーテル(数平均分子量1100)300g及びエピクロロヒドリン1168gを加えた。ナトリウムエトキシド34.4gをエタノール120gに溶解した後、60minかけて反応フラスコに滴下した。撹拌しながら5時間反応させた後、生成物を純水で洗浄して、塩等の不純物を除去した。次に減圧蒸留して余分なエピクロロヒドリンを除去した。乾燥させて数平均分子量が1210のエポキシ変性ポリフェニレンエーテル330gを得た。
【0074】
機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコにエポキシ変性ポリフェニレンエーテル330g、メタクリル酸32g、トルエン160g、トリエチルアミン1.0g及びヒドロキノンメチルエーテル1mgを加えた。120℃に加熱して、撹拌して反応しながら酸価をテストし、溶液の酸価が2ミリグラムKOH/gになるまで反応させた。反応させて得られた溶液をメタノール溶液に滴下して析出させ、濾過して固体生成物を得て、生成物を減圧乾燥させ、数平均分子量1700のエポキシメタクリレート変性ポリフェニレンエーテル250gを得た。
【0075】
機械式撹拌装置、凝縮管を備えた4口反応フラスコにエポキシメタクリレート変性ポリフェニレンエーテル250g、トリエチルアミン54g、ジクロロメタン4000gを投入して、反応フラスコを0℃に冷却させ、塩化メタクリロイル49gをジクロロメタン1000gに溶解して、60minかけて反応フラスコに滴下した後、反応温度を室温に上げて、撹拌しながら2h反応させた。純水で洗浄して、有機層をメタノール溶液に滴下して析出させた。沈殿物を減圧乾燥させて、六官能性メタクリレート基で変性された熱硬化性ポリフェニレンエーテルPPO−7を200g得た。数平均分子量は2000であった。
【0076】
PPO−7の分子構造式は下記式(8)に示される。
【0077】
【化5】
【0078】
Xは式(9)に示される構造を有し、
【0079】
【化6】
【0080】
Yは式(10)に示される構造を有する。
【0081】
【化7】
【0082】
本発明の実施例で調製された高速電子回路基材に使用される原料は下表に示す通りであれる。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例1
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 20重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部を、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表2に示す通りである。
【0085】
実施例2
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部を、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表2に示す通りである。
【0086】
実施例3
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 50重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部を、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表2に示す通りである。
【0087】
実施例4
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表2に示す通りである。
【0088】
実施例5
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−2 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。PPO−2は分子量が大きく、接着剤の粘度が大きいため、接着シートの含浸性に一定の悪影響を与える。物理的特性は表2に示す通りである。
【0089】
実施例6
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−3 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。PPO−3は分子量が大きく、接着剤の粘度が大きいため、接着シートの含浸性に一定の悪影響を与える。物理的特性は表2に示す通りである。
【0090】
実施例7
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、リン含有難燃剤XP−7866 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表3に示す通りである。
【0091】
実施例8
六官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−4 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、リン含有難燃剤XP−7866 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表3に示す通りである。
【0092】
実施例9
十官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−5 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、リン含有難燃剤XP−7866 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表3に示す通りである。
【0093】
実施例10
十四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−6 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表3に示す通りである。
【0094】
実施例11
四官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−1 50重量部、ポリブタジエンB−1000 30重量部、硬化開始剤BPO 1.5重量部、リン含有難燃剤XP−7866 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表3に示す通りである。
【0095】
比較例1
六官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−7 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、リン含有難燃剤XP−7866 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表4に示す通りである。
【0096】
比較例2
二官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂SA9000 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 30重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表4に示す通りである。
【0097】
比較例3
二官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂SA9000 50重量部、スチレン−ブタジエン共重合体Ricon100 10重量部、硬化開始剤DCP 1.5重量部、臭素含有難燃剤BT−93W 15.0重量部、溶融シリカ525 25.0gを、トルエン溶剤に溶解して、適切な粘度に調整した。2116ガラス繊維布に接着剤を含浸させて、適切な単位面積あたりの重量を制御するようにニップローラを通して、オーブンにおいて乾燥させ、トルエン溶剤を除去し、2116接着シートを得た。4枚の2116接着シートを積層して、上面と下面に1OZ厚さの銅箔を配置して、ラミネーターにおいて真空積層して、50Kg/cm2の圧力、200℃の温度で90min硬化させ、高速電子回路基材を得た。物理的特性は表4に示す通りである。
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
実施例8に比べて、比較例1では、活性基であるメタクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−7を用いることで、得られた基材は、耐熱酸化老化性が悪く、長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性が悪かった。実施例4に比べて、比較例2では、ポリブタジエン等、過量のビニル樹脂架橋剤の側鎖二重結合を完全に反応するのに十分な活性基がない低官能性メチルメタクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂SA9000を用いることで、完全に反応していないビニル樹脂架橋剤であるポリブタジエンの側鎖二重結合により、耐熱酸化老化性が悪くなり、さらに長期使用過程における基材の誘電率と誘電損の安定性に悪影響を及ぼし、基材のシグナルインテグリティを劣化させる。このため、二官能基又は活性基であるアクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能性アクリレート変性ポリフェニレンエーテル樹脂に比べて、本発明の多官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いて調製された電子回路基板は、低い誘電率と誘電損失を有するだけでなく、優れた耐熱酸化老化性を有し、長期使用過程における基材の誘電率と誘電損失をより安定的に維持できる。
【0102】
また、比較例1と実施例8、比較例3と実施例4の比較から明らかなように、適量のビニル樹脂を用いて、活性基であるアクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂PPO−7を架橋して硬化させる場合も、少量のビニル樹脂を用いて、低官能性メチルアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂SA9000を架橋して硬化させる場合も、低い誘電率、低い誘電損失及び優れた耐熱酸化老化性を同時には実現できない。特定の構造を有する熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と特定の含有量のビニル樹脂架橋剤を配合することは、低い誘電率、低い誘電損失及び優れた耐熱酸化老化性を実現するための必要条件である。
【0103】
本発明は上記実施例によって本発明の方法を詳細に説明したが、本発明は上記詳細な方法に制限されず、すなわち本発明は上記詳細な方法によってしか実施できないものではないことを、出願人はここに声明する。当業者であれば、本発明に対するすべての改良、本発明の製品の各原料の同等置換及び補助成分の添加、具体的な形態の選択等はいずれも本発明の保護範囲と開示範囲に属することを理解すべきである。