【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成させるために、本発明は下記技術案を採用する。
【0013】
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、
(1)四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と、
(2)ビニル樹脂架橋剤とを含み、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は40〜100重量部であり、
そのうち、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は、式(1)に示される構造を有し、
【0014】
【化1】
【0015】
(式(1)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基である。
【0016】
aとcはすべて独立して1〜15の整数、bは2〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。
【0017】
前記aは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13又は14、前記cは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13又は14、前記bは、たとえば、2、3、4、5、6、7、8又は9である。
【0018】
Zは、式(2)に示される構造を有し、
【0019】
【化2】
【0020】
式(2)中、R
5、R
6及びR
7は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子又は置換又は未置換のC1〜C10(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7、C8又はC9)のアルキル基である。
【0021】
Xは、式(3)、式(4)、式(5)又は式(6)に示される構造を有し、
【0022】
【化3】
【0023】
R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、及びR
27は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、nは1〜10の整数、たとえば2、3、4、5、6、7、8、9又は10、Bはアルキリデン基、−O−、−CO−、−SO−、−SC−、−SO
2−又は−C(CH
3)
2−である。
【0024】
Yは、式(7)又は式(8)に示される構造を有し、
【0025】
【化4】
【0026】
R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33及びR
34は同一であってもよく、異なってもよく、独立して水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のC1〜C8(たとえばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8)のアルキル基又は置換又は未置換のアリール基であり、B及びZは上記と同様である。)
【0027】
本発明では、変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂は四官能又は四官能以上の(メタ)アクリレート活性基を含むため、より多くのビニル樹脂架橋剤を架橋でき、調製された高速電子回路基材は低い誘電率と誘電損失を有するだけでなく、ビニル樹脂架橋剤の側鎖二重結合が樹脂硬化系に完全に反応することで、高速電子回路基材に優れた耐熱酸化老化性を付与するとともに、基材の長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性に優れる。本発明は、特定の官能性アクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と特定のビニル樹脂架橋剤の添加量の配合関係により、低い誘電率と誘電損失、及び優れた耐熱酸化老化性を同時に実現できる。
【0028】
また、本発明では、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に含まれる活性基であるアクリレート基がすべてフェノキシ基にグラフトされ、フェノキシ基の熱酸化老化性が二級炭素原子又は三級炭素原子構造の脂肪鎖よりも優れることから、調製された高速電子回路基材の熱酸化老化性は、活性基であるアクリレート基がすべて二級炭素原子又は三級炭素原子等の脂肪鎖にグラフトされた多官能のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の場合よりも優れ、更に調製された高速電子回路基材は、長期使用過程における誘電率と誘電損失の安定性がより良好になる。
【0029】
さらに、本発明は、b値を2〜10にすることで、官能性度が高すぎると、ポリフェニレンエーテルの分子量が大きく、溶解しにくく、溶解しても接着剤の粘度が高いという難問を克服する。
【0030】
前記ビニル樹脂架橋剤は、たとえば、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部又は95重量部、好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル樹脂架橋剤は50〜80重量部である。
【0031】
好ましくは、前記四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は500〜10000g/mol、好ましくは800〜8000g/mol、より好ましくは1000〜4000g/molである。
【0032】
好ましくは、ビニル樹脂架橋剤は、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0033】
好ましくは、前記スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体は独立してアミノ変性、無水マレイン酸変性、エポキシ変性、アクリレート変性、ヒドロキシ変性又はカルボキシル変性を行ったものである。すなわち、前記ビニル樹脂架橋剤は、アミノ変性、無水マレイン酸変性、エポキシ変性、アクリレート変性、ヒドロキシ変性、カルボキシル変性のスチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0034】
ビニル樹脂架橋剤の例として、たとえば、Samtomer製のスチレン−ブタジエン共重合体Ricon100、日本曹達製のポリブタジエンB−1000が挙げられる。
【0035】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は開始剤を更に含み、前記開始剤はフリーラジカル開始剤である。
【0036】
好ましくは、前記フリーラジカル開始剤は、有機過酸化物開始剤から選ばれ、より好ましくは、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−tert−アミルペルオキシド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルペルオキシヘキシン、ジクミルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ炭酸−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)吉草酸−n−ブチルエステル、メチルエチルケトンペルオキシド又はシクロヘキサンペルオキシドから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0037】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とビニル樹脂架橋剤の全重量100重量部に対して、開始剤は1〜3重量部、たとえば1.2重量部、1.4重量部、1.6重量部、1.8重量部、2.0重量部、2.2重量部、2.4重量部、2.6重量部又は2.8重量部である。
【0038】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は更に難燃剤を含む。
【0039】
好ましくは、前記難燃剤は臭素含有難燃剤又は/及びリン含有難燃剤である。
【0040】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤及び開始剤の全重量100重量部に対して、難燃剤は0〜40重量部、たとえば0.5重量部、4重量部、8重量部、12重量部、16重量部、20重量部、24重量部、28重量部、32重量部又は36重量部である。
【0041】
好ましくは、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は粉末フィラーを更に含む。
【0042】
好ましくは、粉末フィラーは有機フィラー及び/又は無機フィラーである。
【0043】
好ましくは、前記無機フィラーは、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ケイ素アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルカムパウダ、粘土、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム又は雲母から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0044】
好ましくは、前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル又はポリエーテルスルホン粉末から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の混合物である。
【0045】
好ましくは、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤及び難燃剤の全重量100重量部に対して、粉末フィラーは0〜150重量部、たとえば5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部、100重量部、110重量部、120重量部、130重量部又は140重量部である。
【0046】
本発明の「含む」とは、前記成分以外、その他の成分を含むことを意味し、これら他の成分は前記ポリフェニレンエーテル組成物に様々な特性を付与する。それ以外に、本発明の「含む」は、「は……である」又は「……からなる」のような閉鎖式限定に置換されてもよい。
【0047】
たとえば、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は各種添加剤を含んでもよく、具体例として、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤又は潤滑剤等が挙げられる。各種添加剤は単独に使用してもよく、2種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
本発明のもう1つの目的は、強化材及び強化材に含浸し乾燥させて付着している前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を含む、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物で調製されるプリプレグを提供することである。
【0049】
本発明のさらにもう1つの目的は、前記プリプレグを少なくとも一枚含む積層板を提供することである。
【0050】
本発明のさらにもう1つの目的は、少なくとも一枚の前記プリプレグ及び積層されたプリプレグの一側又は両側に重ね合せる金属箔を含む、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物で調製された銅箔張積層板を提供することである。
【0051】
本発明のさらにもう1つの目的は、前記プリプレグを少なくとも一枚含むプリント回路基板を提供することである。
【0052】
高速電子回路基材の例、すなわち銅箔張積層板の調製方法は、以下のステップを含む。
【0053】
(1)樹脂組成物原料を下記のように秤量する。四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ビニル架橋剤樹脂は40〜100重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とビニル樹脂架橋剤の全重量100重量部に対して、開始剤は1〜3重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤及び開始剤の全重量100重量部に対して、難燃剤は0〜40重量部であり、四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤及び難燃剤の全重量100重量部に対して、粉末フィラーは0〜150重量部である。
【0054】
(2)四官能又は四官能以上のアクリレート変性熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビニル樹脂架橋剤、開始剤、粉末フィラー及び難燃剤を混合して、適量の溶剤を加え、撹拌して均一に分散させ、粉末フィラーと難燃剤を接着液に均一に分散させる。調製された接着液で強化材、例えばガラス繊維布を含浸させ、適切な温度のオーブンにおいて所定時間ベークして、溶剤を除去してプリプレグを形成する。
【0055】
(3)少なくとも一枚のプリプレグを規則的に積層して、上下に銅箔を配置し、ラミネーターにおいて積層して硬化させ、高速電子回路基材、すなわち銅箔張積層板を得る。