(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被測定物による一定の負荷圧力に対する前記圧力分布センサの出力値の時間的変化をディスプレイに表示する表示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧力分布センサシステム。
前記第1圧力分布データの初期値がクリープ特性曲線の上昇開始時間とずれて測定されている場合に、前記第1圧力分布データの時間データを補正するクリープ特性曲線初期値補正部を更に具備することを特徴とする請求項3に記載の圧力分布センサシステム。
前記測定圧力分布データ記憶部に記憶された前記第1圧力分布データについて、クリープ特性曲線を対数関数近似式y(x)=P ln(x)+Qで設定し、前記近似式のパラメータP,Qを算出して、前記仮近似曲線を取得するクリープ特性近似曲線パラメータ算出部を更に有することを特徴とする請求項3に記載の圧力分布センサシステム。
前記クリープ特性近似曲線適用性判定部は、前記各適用時間区間で前記最大乖離率Dが同じ大きさである仮近似式が得られる場合、最も長い適用時間区間で取得された仮近似式を前記最適近似曲線として採用することを特徴とする請求項3に記載の圧力分布センサシステム。
前記圧力分布データ最終補正部は、前記各適用時間区間に前記最適近似曲線により算出される近似値と前記第1圧力分布データの誤差比を計算し、前記最適近似曲線と設定ターゲット時間より補正値を算出し、その算出した補正値と前記誤差比との積により前記最終補正圧力分布データを算出することを特徴とする請求項3に記載の圧力分布センサシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための実施形態のクリープ特性誤差補正機能付き圧力分布センサシステム(以降、単に「圧力分布センサシステム」ともいう。)について説明する。この圧力分布センサシステムのクリープ特性誤差補正機能は、実施形態のクリープ特性誤差の補正方法を使用している。
【0013】
次に、本発明の実施形態に係る圧力分布センサシステムの構成を、
図1及至
図2等を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る圧力分布センサシステムの構成を示す図である。
図1に示すように、圧力分布センサシステム10は、圧力分布センサ110と、圧力検出部120と、パソコン200とで構成されている。パソコン200は、ディスプレイ210と、マウス220と、制御部250とを有している。
【0014】
ここで、制御部250には、圧力分布センサシステム10に係る各種動作を制御する圧力分布測定プログラムやデータなどが格納されたハードディスク、圧力分布センサシステム10の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、そのCPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。
【0015】
図1に示すように、制御部250は、モード設定部251と、測定圧力分布データ記憶部252と、クリープ特性近似曲線計算制御部253と、クリープ特性曲線初期値補正部254と、クリープ特性近似曲線パラメータ算出部255と、クリープ特性仮近似曲線記憶部256と、クリープ特性近似曲線適用性判定部257と、圧力分布データ最終補正部258と、表示制御部259とを有している。これらの機能部は、ハードウェアまたはソフトウェアによって実行することができる。また、制御部250には、ディスプレイ210と、マウス220とがそれぞれ接続されている。
【0016】
モード設定部251では、クリープ特性近似曲線計算に必要な設定値や計算結果の判定基準の設定が行われる。測定圧力分布データ記憶部252は、圧力検出部120からパソコン200に送信された圧力分布データを記憶する。ここで、測定圧力分布データ記憶部252では、圧力分布センサ110に格子状に配置された多数の感圧センサ110aごとに、単位時間に圧力分布データが記憶されている。つまり、1つの検知時刻における多数の感圧センサ110aの圧力分布データ(1つのフレーム)が、検知時刻の数量だけ記憶されている。従って、この測定圧力分布データ記憶部252に記憶される圧力分布データに基づいて、各感圧センサ110aで検知される圧力の時間的な変化が判るので、圧力分布センサ110で検出される圧力分布の時間的な変化を検知することができる。
【0017】
次に、
図2を参照して検出圧力分布データの一例を説明する。
図2は、所定時間nTにおいて多数の感圧センサ110aで検知される圧力分布データを示している。本実施形態の圧力分布センサ110では、多数の感圧センサ110aが、X軸方向(左右方向)にg列に配置されていると共に、Y軸方向(上下方向)にh列に配置されている。従って、多数の感圧センサ110aは、g×hの格子状に配置されている。
【0018】
また、
図2では、各感圧センサ110aで検知された圧力データが記号で示されている。例えば、所定時間nTにおける、X軸方向にはu列目であって、且つY軸方向にはv列目に対応する感圧センサ110aによって検知される圧力分布データは、a(u、v、nT)と表されている。ただし、uは1〜gの整数、vは1〜hの整数、nTは1以上の整数である。
【0019】
次に、上記構成のクリープ特性機能付き圧力分布センサシステムでの処理手順を、
図3及至
図8等を参照して説明する。
【0020】
まず、クリープ特性近似曲線計算制御部253は、測定圧力分布データ記憶部252に記憶された各測定時間の圧力分布データa(u、v、nT)に基づいて、各感圧センサ110aのクリープ特性仮近似曲線を算出する。クリープ特性近似曲線計算制御部253のクリープ特性仮近似曲線の計算手順は、
図3(a)のフローチャートを使用して、
図3(b)の数式を併せて参照しながら説明する。
【0021】
(1)モード設定部251において、計算開始時間初期値t0と、時間区間初期値n0と、初期時間補正係数の初期値shiftAと、近似式の決定係数閾値Ra
2と、近似曲線と測定圧力分布データの最大乖離率の閾値設定値D
0と、最終補正圧力分布データ算出に必要な設定ターゲット時間Zを設定する(S100)。
【0022】
(2)被測定物を圧力分布センサ110の上に置くことにより、圧力検出部120は、圧力分布センサ110に配置された多数の感圧センサ110aの状態を検出し、圧力検出部120は、測定終了時間teまで測定時間間隔Δt毎に圧力分布データをパソコン200に順次送信する(S110)。
【0023】
(3)測定圧力分布データ記憶部252は、圧力検出部120からパソコン200に順次送信された各測定時間の圧力分布データa(u、v、nT)を記憶する(S120)。
【0024】
(4)各感圧センサ110aの圧力分布データにより示されるクリープ特性曲線の近似曲線y(nT)を、下記の式1により表される対数関数により設定する(S130)。
y(nT)=P ln(nT)+Q …(式1)
ただし、PおよびQは定数である。
【0025】
(5)感圧センサ
110aの計算開始時間tsから計算時間区間nまで仮近似曲線y
sを、下記の式2に表される定数P
sおよびQ
sにより設定する(S140)。
y
s(x)=P
s ln(x)+Q
s …(式2)
ただし、P
sおよびQ
sは最小二乗法により算出される定数である。
【0026】
(6)各初期時間補正係数shiftによる補正計算を全時間区間での仮近似曲線を取得する(S150)。この初期値補正計算は、後述するクリープ特性曲線初期値補正部254によって実行される。
【0027】
(7)各時間区間に応じた、最適クリープ特性曲線近似式を得る(S160)。この最適クリープ特性曲線近似式の取得は、後述するクリープ特性近似曲線適用性判定部257によって実行される。
【0028】
(8)各時間区間について、最適クリープ特性曲線近似式に基づき最終補正圧力分布データ値Cz(u、v、nT)を算出する(S170)。この最終補正圧力分布データCz(u、v、nT)の算出は、後述する圧力分布データ最終補正部258によって実行される。
【0029】
(9)算出した最終補正圧力分布データCz(u、v、nT)に従い、圧力分布センサシステム10における測定結果をディスプレイ210に表示する。このディスプレイ210による測定結果の表示は、後述する表示制御部259によって実行される(S180)。
【0030】
次に、クリープ特性曲線初期値補正部254は、
図3のS150において、検出された圧力分布データの測定開始時間の圧力分布データa(u、v、0)がクリープ特性曲線の上昇開始時間とずれている場合に、直接検出データa(u、v、0)により計算すると近似曲線の精度が下がるため、圧力分布データa(u、v、nT)の時間データnTを補正し、仮近似曲線を算出する。
【0031】
クリープ特性曲線初期値補正部254による圧力分布データa(u、v、nT)の時間データnTを補正する手順と、仮近似曲線の計算手順は、
図4(a)のフローチャートを使用して、
図4(b)の数式を併せて参照しながら説明する。
【0032】
(1)初期時間補正係数shift=初期値(shiftA)として、時間データの初期値補正開始時間の設定を行う(S200)。
【0033】
(2)計算開始時間ts=計算開始時間初期値t0として、計算開始時間の初期値設定を行う(S210)。
【0034】
(3)近似曲線の計算開始する圧力分布データa(u、v、nT)について、時間データnTを補正係数分shiftだけ補正したa(u、v、nT−shift)へ補正する(S220)。
【0035】
(4)初期時間補正係数shiftについて、計算開始時間tsの場合の全時間区間の仮近似曲線を取得する(S230)。この仮近似曲線の計算は、後述するクリープ特性近似曲線パラメータ算出部255によって実行される。
【0036】
(5)計算開始時間tsを1ステップ増加(ts=ts+1)させる(S240)。
【0037】
(6)計算開始時間tsが、te−n0より大きいか否か(ts>te−n0)を判定する(S250)。この判定により、時間ts〜n0ステップの初回計算時間区間から、時間ts〜(te−n0)ステップの最終計算時間区間までの全ての各時間区間について、仮近似曲線が取得できたかが判る。S250で、計算開始時間tsがte−n0以下の場合(ts≦te−n0)、
図4のS230に戻り、計算開始時間tsを1ステップ増加した場合の仮近似曲線の計算を同様に繰り返し実行する。S250で、計算開始時間tsがte−n0より大きい場合(ts>te−n0)、
図4のS260に進む。
【0038】
(7)初期時間補正係数shiftを1ステップ増加させる(S260)。
【0039】
(8)初期時間補正係数shiftが、計算開始時間tsより大きいか否か(shift>ts)を判定する(S270)。この判定により、全ての初期時間補正係数shiftについて、上記の式2で示した全ての仮近似曲線y
sについて、定数P
sおよびQ
sの算出を終了しているか判る。S270で、初期時間補正係数shiftが、計算開始時間tsより大きくない場合、
図4のS210に戻り、初期時間補正係数shiftを1ステップ増加した場合の仮近似曲線の計算を同様に繰り返し実行する。S270で、初期時間補正係数shiftが、計算開始時間tsより大きい場合、
図3のS160に戻る。
【0040】
次に、クリープ特性近似曲線パラメータ算出部255は、
図4のS230において、クリープ特性曲線初期値補正部254において指定された時間区間と、圧力分布データa(u、v、nT)とにより、各時間区間に最小二乗法により、各時間区間の仮近似曲線y
sのパラメータ定数P
sおよびQ
sを算出する。
【0041】
クリープ特性近似曲線パラメータ算出部255による最小二乗法による仮近似曲線y
sのパラメータ定数P
sおよびQ
sの計算手順は、
図5(a)のフローチャートを使用して、
図5(b)の数式を併せて参照しながら説明する。
【0042】
(1)計算時間区間nを初期値n0により設定する(S300)。
次に、最小二乗法の計算手順における変数xおよび変数yは、圧力分布データa(u、v、nT) により、下記の式3と式4によって表わされる。
y=a(u、v、nT) …(式3)
x=nT …(式4)
【0043】
(2)パラメータ定数P
sを、下記の式5により算出する(S310)。
【0045】
(3)次に、パラメータ定数Q
sを、下記の式6により算出する(S320)。
【0047】
(4)最小二乗法による近似曲線の精度を示す決定係数R2を、下記の式7により算出する(S330)。
【0049】
(5)決定係数R2が予め設定される近似式の決定係数閾値Ra
2(=0.98)以上か否か(R
2≧Ra
2)を判定する(S340)。この判定により、計算された近似曲線が一定の精度を持ち、圧力分布データのクリープ特性を近似できているかの適性が判る。S340で、決定係数R
2が前記閾値Ra
2以上の場合、
図5のS350に進む。S340で、決定係数R
2が前記閾値Ra
2より小さい場合、
図5のS370に進む。
【0050】
(6)S350では、計算開始時間tsからnステップまでの時間区間について、算出された仮近似曲線y
sをクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶する。また、仮近似曲線y
sを表す初期時間補正係数Shiftの値と、近似曲線適用時間区間の値(近似曲線計算開始時間tsと近似曲線計算
終了時間)と、仮近似曲線を表す下記の式8のパラメータP
sおよびQ
sをクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶する。
y
s=P
s ln(x)+Q
s …(式8)
【0051】
(7)仮近似曲線算出時間区間のステップ数nを1増加(n=n+1)させ、計算時間区間のデータ数nが最終ステップ数(te−ts)より大きいか否か(n>te−ts)を判定する(S360)。
【0052】
(8)この判定により、時間ts〜nステップの初回計算時間帯から、時間t0〜(te−ts)ステップの最終計算時間帯までの全ての各時間帯について、仮近似曲線が取得できたかが判る。S360で、計算時間区間のデータ数nがte−ts以下の場合、
図5のS310に戻り、計算時間区間のデータ数nを1ステップ増加した場合の仮近似曲線の計算を同様に繰り返し実行する。S360で、計算時間区間のデータ数nが時間(te−ts)より大きい場合、
図4のS240に戻る。
【0053】
(9)一方、S370へ進んだ場合、計算時間区間のデータ数nが1ステップ前の時間ts〜(n−1)ステップの時間区間の近似曲線y
s(n−1)をクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶する。また、仮近似曲線y
s(n−1)を表す初期時間補正係数Shift(shiftAからts)の値と、近似曲線適用時間区間の値(近似曲線計算開始時間tsと近似曲線計算
終了時間)と、近似曲線のパラメータP
(n-1)およびQ
(n-1)をクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶する。そして、
図4のS240に戻る。この時の仮近似曲線は、y
s(n−1)=P
(n-1) ln(x)+Q
(n-1)で現される。
【0054】
上述した処理により、クリープ特性仮近似曲線記憶部256には、クリープ特性近似曲線パラメータ算出部255で算出される全ての仮近似曲線y
sが記憶されている。つまり、仮近似曲線y
sを表す初期時間補正係数Shift(shiftAからts)の値と、近似曲線適用時間区間の値(近似曲線計算開始時間tsと近似曲線計算
終了時間)と、近似曲線のパラメータP
sおよびQ
sがクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶されている。
【0055】
次に、クリープ特性近似曲線適用性判定部257は、
図3のS160において、各算出時間区間について、クリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶されている多数の仮近似曲線から、測定圧力分布データ記憶部252に記憶されている圧力データa(u、v、nT)と比較し、乖離率Dの小さい値の最適近似曲線を求める。クリープ特性近似曲線適用性判定部257による乖離率Dの計算手順は、
図6(a)のフローチャートを使用して、
図6(b)の数式を併せて参照しながら説明する。
【0056】
(1)適用時間区間の計算開始時間tD=t0と設定する(S400)。
【0057】
(2)仮近似曲線により算出されるy
sと測定圧力分布データの乖離率閾値Daを最大乖離率の閾値設定値D
0により設定する(S410)。
【0058】
(3)各時間区間において、クリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶されている全ての仮近似曲線により算出されるy
sと測定圧力分布データ記憶部252に記憶されている圧力データa(u、v、nT)の最大乖離率Dを、下記の式9で算出する(S420)。
【0060】
(4)クリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶されている各時間区間で、全ての仮近似曲線の上記式9に示す最大乖離率Dの算出が終了したか否かを判定する(S430)。S430で、全時間区間の全仮近似曲線の最大乖離率Dの算出が終了していない場合、
図6のS420に戻り、未算出の他の仮近似曲線の最大乖離率Dを同様に繰り返し算出する。S430で、時間区間の全仮近似曲線の最大乖離率Dの算出が終了した場合、
図6のS440に進む。
【0061】
(5)S440では、適用時間区間の開始時間tDを1ステップ増加させる(tD=tD+1)。
【0062】
(6)適用時間区間の開始時間tDが最終時間データ(te−n0)より大きいか否か(tD>te−n0)を判定する(S450)。この判定により、クリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶されている全ての時間区間で、仮近似曲線の最大乖離率Dが算出されたか否かが判る。S450で、tDが最終時間データ(te−n0)より大きくない場合は、S420に戻り、開始時間tDを1ステップ増加した場合について、全仮近似曲線の最大乖離率Dの計算を同様に繰り返し実行する。S
450で、開始時間
tDが最終時間データ(te−n)より大きい場合は、S460に進む。
【0063】
(7)S460では、各時間区間において、最大乖離率Dが閾値Da以下で(Da≧D、最大乖離率Dが同じ値の仮近似曲線が取得されている場合、適用時間区間が最も長い仮近似式((n4T−tD)≧(n3T−tD))を、その時間区間の最適近似式y
bとして採用する。
【0064】
(8)各時間区間毎に、S460で取得した最適近似式y
bをクリープ特性仮近似曲線記憶部256に記憶し、
図3のS170に戻る(S470)。
【0065】
次に、圧力分布データ最終補正部258は、
図3のS170において、クリープ特性近似曲線適用性判定部257で得られた最適近似式に基づいて圧力分布センサシステム10の最終補正圧力分布曲線Czを算出する。圧力分布データ最終補正部258による最終補正圧力分布曲線Czの計算手順は、
図7(a)のフローチャートを使用して、
図7(b)の数式を併せて参照しながら説明する。
【0066】
(1)各時間区間毎にS470で記憶した最適近似曲線y
bにより算出される近似値と、測定圧力分布データa(u、v、nT)との比率計算により圧力分布データ誤差係数K
nを取得する(S500)。
【0067】
(2)最適近似曲線y
bと設定ターゲット時間Zより、圧力分布データ補正値y
zを算出する(S510)。
【0068】
(3)算出した圧力分布データ補正値y
zと、圧力分布データ誤差係数Knとの積により最終補正圧力分布曲線Cz(u、v、nT)を算出する(S520)。
【0069】
最後に表示制御部259は、
図3のS180において、圧力分布データ最終補正部258により算出した最終補正圧力分布曲線Czに従い、圧力分布センサシステム10における測定結果をディスプレイ210に表示する。
図8には、表示制御部259によるディスプレイ210に表示される表示画面の一例が図示されており、次にその処理手順を説明する。
【0070】
(1)
図8に示すように、表示制御部259により、所定時間nTの圧力分布ウィンドウ710と、補正前の検出総荷重の時間経過ウィンドウ720と、最終補正後の検出総荷重の時間経過ウィンドウ730およびスケールウィンドウ740を含む圧力分布ウィンドウ750を、ディスプレイ210に表示する。
【0071】
(2)所定時間nTの圧力分布ウィンドウ710には、圧力分布データ最終補正部258によって算出された最終補正圧力分布データに基づいて表示されている。ここで、圧力分布ウィンドウ710は、等圧線状に表示されており、圧力値の大きさが変化するのに伴って、スケールウィンドウ740に表示されるように段階的に変化する色のスケールにしたがって表示されている。
【0072】
(3)ウィンドウ720には、補正前の検出出力の総荷重が時間的変化で表示されている。また、ウィンドウ730には、最終補正後の総荷重が時間的変化で表示されている。従って、オペレータは、所定時間の圧力分布ウィンドウ710と総荷重の時間経過を示すウィンドウ720、730を見ることによって、検出出力値と最終補正圧力値との時間経過と、センサシート全体の指定時間での最終補正圧力分布を正確に把握することができる。
【0073】
図9は、負荷圧力が時間的に変化する場合について、本発明のクリープ特性誤差の補正方法を使用した補正結果を示している。
図9において、破線で表されているクリープ特性曲線1は、この圧力分布センサシステム10に設けられている格子状に配置された多数の感圧センサの中の一つの感圧センサの出力のクリープ特性を示す。
【0074】
まず、時間区間1〜100のクリープ特性曲線1は、第1被測定物が時間1に感圧センサ110aの上に置かれた場合の感圧センサ出力の時間的変化を示す曲線である。次に、時間区間100〜200のクリープ特性曲線1は、第2被測定物が時間100に第1被測定物の上に置かれた場合の感圧センサ出力の時間的変化を示す曲線である。次に、時間区間200〜300のクリープ特性曲線1は、第3被測定物が時間200に第2被測定物の上に置かれた場合の感圧センサ出力の時間的変化を示す曲線である。
【0075】
次に、前記クリープ特性曲線1に対して、本発明の実施形態のクリープ特性誤差補正の処理手順を実施することにより、
図9に実線で表されている最終補正圧力分布曲線2を得ることができる。
【0076】
前記処理手順でのクリープ特性近似曲線計算に必要な設定値は、測定時間間隔Δt=1秒、計算開始時間初期値t0=1、時間区間初期値n0=5、初期時間補正係数の初期値ShiftA=−100、近似曲線の決定係数の閾値Ra
2=0.98、最大乖離率の閾値設定値D
0=1、設定ターゲット時間Z=30を使用した。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の圧力分布センサシステム10においては、基準の圧力分布が既知の第1被測定物をその上に置く場合に、圧力分布センサ110からの検出力分布データに基づいて、各感圧センサ110aの時間経過特性の近似曲線が算出される。次に、圧力分布測定のために第1被測定物とは異なる第2被測定物をその上に置く場合に、圧力分布センサ110からの検出出力分布データに基づいて、負荷圧力分布の時間的変化が正確に算出される。これらを出力値分布データのみにより測定する場合と比較して、精度の高い圧力分布の時間的変化の算出とその結果の表示が行え、短時間でオペレータが把握できる。
【0078】
また、圧力分布の時間的な変化の様子がディスプレイ210の圧力分布ウィンドウにグラフとして表示されるので、被測定物の圧力分布の様子を容易に把握することができる。
【0079】
また、上述の実施形態では、圧力分布の時間的な変化の様子がディスプレイ210に表示されているが、圧力分布の時間的な変化の様子は表示されなくてもよい。また、圧力分布の時間的な変化の様子がディスプレイ210に表示される場合でも、本実施の形態のグラフ以外の方法で表示されてもよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。