特許第6514552号(P6514552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514552
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/51 20150101AFI20190425BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20190425BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20190425BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20190425BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190425BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20190425BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190425BHJP
【FI】
   F21V29/51
   F21V29/503
   F21V29/76
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   H05K7/20 Q
   F21Y105:16
   F21Y115:10
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-82057(P2015-82057)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-201317(P2016-201317A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】502089671
【氏名又は名称】交和電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】藤井 敏
(72)【発明者】
【氏名】新井 良一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 順子
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3184583(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0023722(US,A1)
【文献】 特開2014−11448(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3140104(JP,U)
【文献】 特開2004−296133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/51
F21V 19/00
F21V 29/503
F21V 29/76
H05K 7/20
F21Y 105/16
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の実装基板と、
前記実装基板に、複数の実装配列に沿って実装される複数の発光素子と、
前記実装基板の内部から外部にかけて延伸すると共に、前記複数の実装配列列方向もしくは行方向に沿って設けられる複数の冷媒管路と、
前記複数の冷媒管路が貫通する放熱板と、を備え、
前記複数の冷媒管路のそれぞれは、前記実装基板内部の平面方向を貫通して外部に突出した上で延伸する延伸形状を有し、
延伸する前記複数の冷媒管路のそれぞれは、内部に冷媒を封入して、前記冷媒の気化と凝縮によって、前記実装配列で発生する熱を、前記放熱板に輸送し、
前記複数の冷媒管路のそれぞれは、板状の実装基板内部に格納されて貫通する格納部分と、前記実装基板の外部に延伸して露出する露出部分と、を有し、かつ前記格納部分と前記露出部分とが繋がって、前記延伸形状を形成し、
前記複数の冷媒管路のそれぞれは、前記露出部分で分離すると共に、前記実装基板から第1方向に延伸する第1通路と、前記第1方向と逆方向である第2方向に延伸する第2通路と、を有し、
前記第1通路と前記第2通路とは、分離されている、照明装置。
【請求項2】
前記複数の冷媒管路のそれぞれが周回形状である場合に、前記複数の冷媒管路のそれぞれの内部は、前記実装基板側で内部を分離する実装基板側隔壁と、前記放熱板側で内部を分離する放熱板側隔壁と、を有し、
前記実装基板側隔壁から前記放熱板側隔壁までの第1方向が前記第1通路であり、
前記実装基板側隔壁から前記放熱板側隔壁までの前記第1方向と逆側の第2方向が第2通路である、請求項記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1通路は、内部に冷媒を封入し、前記第1通路内部で前記冷媒を循環させることができ、
前記第2通路は、内部に冷媒を封入し、前記第2通路内部で前記冷媒を循環させることができる、請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1通路は、前記実装配列に対応する前記格納部分で前記冷媒を気化させ、気化した気化冷媒を、前記実装基板側から前記放熱板側に移動させ、
前記第2通路は、前記実装配列に対応する前記格納部分で前記冷媒を気化させ、気化した気化冷媒を、前記実装基板側から前記放熱板側に移動させ、
前記第1通路での前記気化冷媒の移動方向と、前記第2通路での前記気化冷媒の移動方向とは異なる、請求項記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1通路は、前記露出部分であって前記放熱板との熱交換によって、前記気化冷媒を凝縮させ、
前記第2通路は、前記露出部分であって前記放熱板との熱交換によって、前記気化冷媒を凝縮させる、請求項記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1通路は、凝縮した凝縮冷媒を、前記放熱板側から前記実装基板側に還流させ、
前記第2通路は、凝縮した凝縮冷媒を、前記放熱板側から前記実装基板側に還流させる、請求項記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の冷媒管路のそれぞれは、前記第1通路と前記第2通路によって、分離された異なる方向での冷媒循環を行う、請求項1から6のいずれか記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数の冷媒管路は、前記露出部分において、前記放熱板を貫通する、請求項1から7のいずれか記載の照明装置。
【請求項9】
前記放熱板は、前記実装基板に対して略垂直であり、前記露出部分の前記実装基板に対して略平行な平行部分による貫通によって、前記実装基板と熱的に接続されると共に間接的に固定される、請求項記載の照明装置。
【請求項10】
前記放熱板は、複数である、請求項1からのいずれか記載の照明装置。
【請求項11】
前記冷媒管路の数と前記実装配列における列もしくは行の数は同数である、請求項1から10のいずれか記載の照明装置。
【請求項12】
前記複数の冷媒管路のそれぞれは、前記実装配列における列方向および行方向のそれぞれに沿って設けられる、請求項1から11のいずれか記載の照明装置。
【請求項13】
前記実装基板は、金属、合金およびこれらの混合物の少なくとも一つで形成される、請求項1から12のいずれか記載の照明装置。
【請求項14】
前記実装基板は、列方向もしくは行方向に沿ってその厚み部分に複数の貫通孔を有し、前記冷媒管路の格納部分は、前記貫通孔に格納される、請求項1から13のいずれか記載の照明装置。
【請求項15】
前記実装基板は、前記発光素子の列方向もしくは行方向の間に、突出部を備える、請求項1から14のいずれか記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い光量を実現しつつ、これにより生じる発光素子の発熱問題を解決した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球場、サッカー場、屋外スポーツ施設、屋内スポーツ施設、トンネル、道路、橋脚、港、空港、広い室内などの様々な屋外施設や屋内施設において高い光量で光を照射する必要がある。このような場所においては、高い光量を有する照明装置が用いられる。一つの照明装置は、高い光量を有し、強い光を上記の施設において照射することができる。
【0003】
また、これら施設においては、複数の照明装置が用いられることもある。例えば、野球場やサッカー場などの屋外スポーツ施設においては、ナイター用設備として、多数の照明装置がマトリクス状に配置された照明装置が用いられる。マトリクス状に配置された照明装置から構成される照明装置が、野球場やサッカー場などのフィールドを照らすことができる。
【0004】
あるいは、これらの照明装置は、単一光源で構成されることもあれば、複数の光源で構成されることもある。
【0005】
このような照明装置は、高い光量を有して、広い照射角度に対してなるべく均一であって遠くまで光を照射することが求められる。
【0006】
このような照明装置(単数で構成される場合や複数の光源で構成される場合も含めて)は、高い光量を必要とするので、従来においてはHIDランプが用いられていた。HIDランプは、その規格に応じて高い光量の照射を可能とできるので、上記の施設における照明装置に適している。
【0007】
しかしながら、HIDランプは、その寿命が短く、頻繁に交換を必要とするデメリットがある。また、消費電力も大きく、多数の照明装置を必要とする照明装置においては、多大な電力を消費してしまう。近年においては、我が国のみならず、様々な国において、化石燃料のコスト意識の高まり、原子力発電に対する逆風、再生可能エネルギーによる発電のコスト増などによって、電力料金が上昇する傾向を有している。
電力料金の上昇に加えて、電力を生成する段階での、二酸化炭素ガスの排出やエネルギーロスなどによる環境への影響を懸念する傾向が強くなっている。環境意識の高まりと共に、電力生成の監視意識や照明装置をはじめとした電子機器の消費電力削減への意識が高まっている。
【0008】
このような電力料金の上昇傾向や環境意識の高まりに対応して、消費電力の少ない照明装置が求められている。
【0009】
この状況において、HIDランプではなく、LED(発光ダイオード)を用いた照明装置が提案されている。LEDは、単体では光量が低いが、多数のLEDを集中的に配置することで、全体としての光量を高めることができる。例えば、多数のLEDをマトリクス状に配置することで、光量の高い照明装置を、LEDによって実現できる。
【0010】
このように多数のLEDを集中的に配置して、一つのHIDランプの代わりとすることで、光量の高い照明装置を実現できる。LEDは、一般的に知られている通り、HIDランプなどに比べると極めて消費電力が小さい。このため、多数のLEDを用いた照明装置は、HIDランプで構成される照明装置よりも、その消費電力が小さい。加えて、製品寿命も長いので、照明装置のランニングコスト(機器そのものに要するコストおよび電力料金等のコスト)は、HIDランプなどを用いる場合よりも少なくて済む。
【0011】
このように、LEDを用いた照明装置が、次第に提案されるようになってきている。
【0012】
ここで、HIDランプの場合には、発光に伴う熱は、光の照射方向に放射されて排出される。一方、LEDの発熱は、光の照射方向への排出熱は多くないが、LEDが実装されている基板において発生する熱が大きい傾向がある。このため、多数のLEDが実装される基板には、高い熱が発生することが多い。このような熱を排出するために、LEDを用いた照明器具にヒートパイプを組み込む技術提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2011−90976公報
【特許文献2】特開2012−155904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1は、基板21に光源22が配設された光源ユニット23と、この光源ユニット23の前方側に配置され、光源22からの照明光により照明される被照明部材である液晶表示パネル24と、基板21と液晶表示パネル24との間に配置され、光源22に対応するように設けられる空洞部27aを有するケース体27とを備えてなる照明装置において、基板21及びケース体27が熱伝導性材料によって形成されてなるとともにケース体27にはその表面積を増加してなる放熱部27dが設けられ、光源22が発した熱を基板21からケース体27へと伝えるように基板21とケース体27とをヒートパイプ29によって熱的に接続する構成とした照明装置を開示する。
【0015】
特許文献1は、LEDをバックライト光源とする液晶画面を有する照明装置を開示する。ここで、バックライト光源であるLEDの実装基板とこれに繋がるケースが放熱部材で構成されると共に、基板からケースをヒートパイプで接続する構成を開示している。
【0016】
しかしながら、特許文献1の照明装置は、照明装置全体のケーシングの内部に、発光部分(LED)、発熱部分(基板)、放熱部分(ケース)、伝達部分(ヒートパイプ)が収まっており、LEDによる発熱が非常に大きい場合には、このケーシング内部に熱が籠もってしまう。この結果、外部に熱が放出されなくなってしまい、照明装置内部での発熱を、十分に外界に排出できない問題を有している。
【0017】
特に、ヒートパイプが使用されていながら、このヒートパイプでLEDによる発熱を輸送して、外部で放出することをできない問題を有している。この結果、熱源であるLEDの熱を、LEDから確実に輸送して、LEDから離隔した場所で排出する、という確実な熱の排出ができない問題を有している。
【0018】
このように、LEDからの熱の排出が不十分であると、LEDや基板の故障や不具合を生じさせてしまう可能性もある。あるいは、これを防止するために、LED個々への供給電力を下げて発熱を下げる必要がある。このように供給電力を下げれば、当然に個々のLEDの光量は低下し、照明装置全体での光量も低下する。
【0019】
また、高い光量を必要とする照明装置は、屋外スポーツ施設、屋内スポーツ施設、空港、港、道路、トンネルなど、修理や交換が困難な場所に設置される(高い位置や塔の上など)。このような状況で、LEDの一部や基板が故障すると、修理や交換のコストや手間が大きい。この点でも、特許文献1の技術は、排熱機能が不十分で、結果として、十分な光量の照明装置を実現できない。
【0020】
特許文献2は、LED構造体と、LED構造体で発生する熱を放熱するLED用ラジエータと、からなるLED照明装置であって、LED用ラジエータは、LED構造体の発光面の反対側の面と接する放熱ステージと、放熱ステージに直接配置される櫛形放熱フィンと、放熱ステージの熱を伝導し、天井側に伸びるヒートパイプと、ヒートパイプの熱を放熱するために櫛形放熱フィンより天井側に配置される多層放熱フィンと、からなるLED照明装置を開示する。
【0021】
特許文献2は、LEDの実装基板の裏面に放熱ステージと放熱フィンとを設けて、これらをヒートパイプで接続する技術を開示している。
【0022】
しかしながら、特許文献2の照明装置は、これらの構造を更に外部のケーシングに収納する点で、特許文献1と同様の問題を発生させる。加えて、放熱ステージの熱を受けたヒートパイプ(棒状のヒートパイプであって、天井方向に伸びている)は、LEDが生じさせる熱を放熱ステージを介して受け取るので、熱抵抗が大きくなり、LEDが生じさせる熱を十分に、伝達させることができない。このため、ヒートパイプは、放熱フィンに十分に熱を伝達できずに、排熱が不十分となりうる。また、放熱フィンは、LED基板に対して水平方向であって、ヒートパイプがLED基板に対して垂直方向である。このため、放熱フィン同士の間隔がLED基板に平行となってしまい、放熱フィン同士で生じる熱対流が、LED基板から遠ざかるように排出されにくい問題もある。
【0023】
また、特許文献2の照明装置は、ヒートパイプを用いて放熱ステージの熱を移動させているが、LEDを用いる照明装置では多数のLEDを実装する。特に、光量を高める照明装置では、多数のLEDを配置する必要があり、多数のLEDのそれぞれが、基板において熱を発生させる。特許文献2のヒートパイプでは、これらの個々のLEDからの熱を移動させることができない問題を有している。
【0024】
以上のように、特許文献1、2に代表される従来技術は、LEDを用いている照明装置であっても、十分な排熱能力を発揮できない問題がある。この結果、LEDに付与される電力に限界があり、従来のHIDランプなどに置き換えるための十分な光量が確保できない問題がある。加えて、故障や不具合も生じやすくなり、その場合の交換や修理コストが生じる問題もあった。
【0025】
まとめると、従来技術には次のような問題があった。
【0026】
(問題1)実装されている複数のLEDの個々の熱を基板から、確実に外部に輸送できない。
【0027】
(問題2)輸送した熱を、十分に排出できない。
【0028】
(問題3)問題1と問題2とが相まって、照明装置の基板に多くのLEDを実装困難である。あるいは、個々のLEDへの供給電力を上げることができない。これらの結果、LEDの性能を十分に引き出した光量(光量)の高い照明装置を実現できない。
【0029】
本発明は、これら課題に鑑み、LEDに十分な電力を付与して高い光量を発揮できると共に、LED実装部に生じる熱を確実に排出できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記問題を解決するために、本発明の照明装置は、板状の実装基板と、
実装基板に、複数の実装配列に沿って実装される複数の発光素子と、
実装基板の内部から外部にかけて延伸すると共に、複数の実装配列列方向もしくは行方向に沿って設けられる複数の冷媒管路と、
複数の冷媒管路が貫通する放熱板と、を備え、
複数の冷媒管路のそれぞれは、実装基板内部の平面方向を貫通して外部に突出した上で延伸する延伸形状を有し、
延伸する複数の冷媒管路のそれぞれは、内部に冷媒を封入して、冷媒の気化と凝縮によって、実装配列で発生する熱を、放熱板に輸送し、
複数の冷媒管路のそれぞれは、板状の実装基板内部に格納されて貫通する格納部分と、実装基板の外部に延伸して露出する露出部分と、を有し、かつ格納部分と露出部分とが繋がって、延伸形状を形成し、
複数の冷媒管路のそれぞれは、露出部分で分離すると共に、実装基板から第1方向に延伸する第1通路と、第1方向と逆方向である第2方向に延伸する第2通路と、を有し、
第1通路と前記第2通路とは、分離されている
【発明の効果】
【0031】
本発明の照明装置は、複数のLEDを実装した発光面を有する実装基板において、マトリクス状に配列されたLEDのそれぞれの列に対応して、ヒートパイプが埋め込まれている。この結果、各列のそれぞれのLEDが実装基板側に発生させる熱を、これらのヒートパイプのそれぞれが確実に輸送できる。
【0032】
また、配列に合わせた複数のヒートパイプのそれぞれは、個々のLEDの熱を輸送した上で、実装基板から離隔した場所で輸送した熱を排出できる。この結果、LEDや実装基板に発生する熱を、実装基板から離隔した場所で排出でき、実装基板およびLEDにおける熱が溜まるのを防止できる。結果として、LEDのそれぞれに高い電力を供給でき、高い光量を実現できる。
【0033】
排熱が確実であることで、LEDに高い電力を付与することができる。この結果、照明装置は、より高い光量で光を照射できる。このような結果、様々な施設に用いることができ、修理や交換を低減しつつ、電力料金などのランニングコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態における照明装置の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1における照明装置の実装基板の正面図である。
図3】本発明の実施の形態1における発光素子からの光の照射状態を示す模式図である。
図4図2図3で示した実装基板側から見た状態を示す正面図である。
図5】本発明の実施の形態1における実装基板の側面図である。
図6】本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。
図7】本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。
図8】本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
図9】本発明の実施の形態2における照明装置の別方向からの側面図である。
図10】本発明の実施の形態2における照明装置の背面図である。
図11】本発明の実施の形態2における実装基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の発明に係る照明装置は、板状の実装基板と、
実装基板に、複数の実装配列に沿って実装される複数の発光素子と、
実装基板の内部から外部にかけて延伸すると共に、複数の実装配列列方向もしくは行方向に沿って設けられる複数の冷媒管路と、
複数の冷媒管路が貫通する放熱板と、を備え、
複数の冷媒管路のそれぞれは、実装基板内部の平面方向を貫通して外部に突出した上で延伸する延伸形状を有し、
延伸する複数の冷媒管路のそれぞれは、内部に冷媒を封入して、冷媒の気化と凝縮によって、実装配列で発生する熱を、放熱板に輸送する。
【0036】
この構成により、発光素子を実装する実装基板の内部に直接冷媒管路が埋め込まれて、発光素子から実装基板に伝達する熱を奪うことができる。この奪われた熱は、更に放熱板で外部に放出され、発光素子が実装基板に伝える熱の問題を解消できる。
【0037】
本発明の第2の発明に係る照明装置では、第1の発明に加えて、複数の冷媒管路のそれぞれは、板状の実装基板内部に格納されて貫通する格納部分と、実装基板の外部に延伸して露出する露出部分と、を有し、格納部分と露出部分とが繋がって、延伸形状を形成する。
【0038】
この構成により、冷媒管路は、実装基板内部で発光素子の熱を奪い、実装基板から離隔した場所で、この熱を放出できる。この結果、冷媒管路内の冷媒の循環が繰り返されて、発光素子の発熱問題を継続的に解決できる。
本発明の第3の発明に係る照明装置では、第2の発明に加えて、複数の冷媒管路のそれぞれは、露出部分で分離すると共に、実装基板から第1方向に延伸する第1通路と、第1方向と逆方向である第2方向に延伸する第2通路と、を有し、第1通路と第2通路とは、分離されている。
【0039】
本発明の第4の発明に係る照明装置では、第2の発明に加えて複数の冷媒管路のそれぞれの内部は、実装基板側で内部を分離する実装基板側隔壁と、放熱板側で内部を分離する放熱板側隔壁と、を有し、実装基板側隔壁から放熱板側隔壁までの第1方向である第1通路と、実装基板側隔壁から放熱板側隔壁までの第1方向と逆側の第2方向である第2通路と、を有し、第1通路と第2通路とは、分離されている。
【0040】
これらの構成により、冷媒管路は、実装基板での熱を双方向に向けて放熱板側に移動させて、実装基板で生じる熱を、効率的に放熱板を介して放出できる。
【0041】
本発明の第5の発明に係る照明装置では、第3または第4の発明に加えて、第1通路は、内部に冷媒を封入し、第1通路内部で冷媒を循環させることができ、第2通路は、内部に冷媒を封入し、第2通路内部で冷媒を循環させることができる。
【0042】
この構成により、冷媒管路のそれぞれは、実装基板から放熱板に向けた第1方向とこれと異なる第2方向とに分けて、冷媒を循環させることができる。この第1方向と第2方向とでの双方向での冷媒循環により、発熱する実装基板と放熱する放熱板との間の空間を、最大限活用できる。
【0043】
本発明の第6の発明に係る照明装置では、第4または第5の発明に加えて、第1通路は、実装配列に対応する格納部分で冷媒を気化させ、気化した気化冷媒を、実装基板側から放熱板側に移動させ、第2通路は、実装配列に対応する格納部分で冷媒を気化させ、気化した気化冷媒を、実装基板側から放熱板側に移動させ、第1通路での気化冷媒の移動方向と、第2通路での気化冷媒の移動方向とは、異なる。
【0044】
この構成により、複数の冷媒管路のそれぞれは、発熱部分である実装基板において受けた熱を、気化冷媒を介して、双方向である第1方向と第2方向とに分けて、放熱部分である放熱板に移動させることができる。この分離した双方向であって、離隔する方向に向けて開始される熱移動により、実装部分で生じる熱を、確実に、放熱板に移動させることができる。
【0045】
本発明の第7の発明に係る照明装置では、第6の発明に加えて、第1通路は、露出部分であって放熱板との熱交換によって、気化冷媒を凝縮させ、第2通路は、露出部分であって放熱板との熱交換によって、気化冷媒を凝縮させる。
【0046】
この構成により、第1通路と第2通路とのそれぞれで移動した気化冷媒を、放熱板が、冷却して凝縮させる。この凝縮により、第1通路と第2通路のそれぞれに分かれた空間で移動した熱を放出できる。
【0047】
本発明の第8の発明に係る照明装置では、第6の発明に加えて、第1通路は、凝縮した凝縮冷媒を、放熱板側から実装基板側に還流させ、第2通路は、凝縮した凝縮冷媒を、放熱板側から実装基板側に還流させる。
【0048】
この構成により、冷媒管路のそれぞれは、内部空間を最大限生かしつつ、発熱部分と放熱部分を結ぶ通路を2分割して、それぞれの第1通路と第2通路で熱を移動して放出できる。
【0049】
本発明の第9の発明に係る照明装置では、第3から第8のいずれかの発明に加えて、複数の冷媒管路のそれぞれは、第1通路と第2通路によって、分離された異なる方向での冷媒循環を行う。
【0050】
この構成により、冷媒管路の内部空間を最大限活用すると共に、発熱部分からの熱移動を異なる方向に2分割できる。この2分割により、冷媒の気化と還流による熱の放出効率を高めることができる。
【0051】
本発明の第10の発明に係る照明装置では、第2から第9のいずれかの発明に加えて、複数の冷媒管路は、露出部分において、放熱板を貫通する。
【0052】
この構成により、冷媒管路と放熱板とは、確実に熱的に接続できる。
【0053】
本発明の第11の発明に係る照明装置では、第10の発明に加えて、放熱板は、実装基板に対して略垂直であり、露出部分の実装基板に対して略平行な平行部分による貫通によって、実装基板と熱的に接続されると共に間接的に固定される。
【0054】
この構成により、放熱板と冷媒管路との熱交換が、高い効率で行われる。また、冷媒管路による放熱板の固定力が高まる。
【0055】
本発明の第12の発明に係る照明装置では、第11の発明に加えて、放熱板は、実装基板に対して略垂直であり、平行部分による貫通によって、実装基板と熱的に接続されると共に間接的に固定される。
【0056】
この構成により、冷媒管路は、輸送した熱を放熱板に伝達させると共に放熱板を固定できる。
【0057】
本発明の第13の発明に係る照明装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、放熱板は、複数である。
【0058】
この構成により、放熱板による放射や対流による熱の放出効果が高まる。
【0059】
本発明の第14の発明に係る照明装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、冷媒管路の数と実装配列における列もしくは行の数は同数である。
【0060】
この構成により、冷媒管路のそれぞれが、列もしくは行に沿って実装される複数の発光素子の熱を奪う。この結果、実装基板において実装される発光素子の熱が確実に奪われる。また、一つの冷媒管路は、一列の発光素子の熱を奪うことに用いられるので、発光素子の特性や発熱特性に合わせて、冷媒管路の能力を決めることができる。このため、複数の冷媒管路の仕様を確実に決定できる。
【0061】
本発明の第15の発明に係る照明装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、複数の冷媒管路のそれぞれは、実装配列における列方向および行方向のそれぞれに沿って設けられる。
【0062】
この構成により、マトリクス状に配列された発光素子に合せて、冷媒管路もマトリクス状に設けられる。この結果、冷媒管路は、マトリクス状に配置された発光素子の個々の熱を奪い取ることができる。
【0063】
本発明の第16の発明に係る照明装置では、第1から第15のいずれかの発明に加えて、実装基板は、金属、合金およびこれらの混合物の少なくとも一つで形成される。
【0064】
この構成により、実装基板は、発光素子を実装できると共に熱伝導率を高めて、冷媒管路へ熱を伝えやすい。
【0065】
本発明の第17の発明に係る照明装置では、第1から第16のいずれかの発明に加えて、実装基板は、列方向もしくは行方向に沿ってその厚み部分に複数の貫通孔を有し、冷媒管路の格納部分は、貫通孔に格納される。
【0066】
この構成により、冷媒管路は、確実に実装基板にその一部を格納できる。
【0067】
本発明の第18の発明に係る照明装置では、第17の発明に加えて、実装基板は、第1方向に沿った発光素子の列の間に、突出部を備える。
【0068】
この構成により、発光素子の列方向もしくは行方向において、隣接する発光素子の熱の影響を抑えつつ、冷媒管路への熱の移動をより確実に行える。
【0069】
以下、図を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0070】
(実施の形態)
【0071】
実施の形態について説明する。
【0072】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態における照明装置の斜視図である。照明装置1は、種々の大きさを有している。例えば、照明装置1が、屋内施設に設けられる場合には、非常な大型であることは必要とはされない。この場合には、照明装置1は、全体が数10cm角程度の大きさを有していれば十分である。一方で、照明装置1が屋外スポーツ施設に用いられる場合(例えば、サッカー場や野球場などのナイター設備のために用いられる場合)には、照明装置1は、大型であることが好ましい。例えば、全体が50cm〜1m角程度の大きさを有していてもよい。
【0073】
このように、実施の形態における照明装置1は、使用される現場に合わせて、その大きさが変えられればよい。ただし、高い光量を有することが求められる現場において、好適に用いられる。特に、高い光量により広範囲かつ遠距離に対して、光を照射する必要がある場合に、実施の形態1の照明装置1は、用いられる。
【0074】
照明装置1は、複数の発光素子2が実装される実装基板3、複数の冷媒管路6、複数の放熱板7と、を備える。更に、必要に応じて、実装基板3を保護するフード部4を備えていることも好適である。
【0075】
実装基板3は、複数の発光素子2を実装する。発光素子2は、LEDが用いられることが好適である。特に、実装基板上に、パッケージングされていないLEDチップ(以下、「LEDベアチップ」という)が、マトリクス状に配置されていることが好適である。LEDベアチップがマトリクス状に配置されていることで、実装基板3での実装が容易となりつつ、高い光量を生じさせることができる。複数の発光素子2は、実装基板3において電力を受けて発光し、対象領域を照射する。
【0076】
ここで、照明装置1では、多数の発光素子2がマトリクス状に配置されていることで、二次元に隣接する発光素子2同士が発光範囲を重複させつつ発光できる。このため、単一のHIDランプのような単一光源で照明装置が形成される場合に比べて、広い照射角度を持ちつつ遠方まで高い光量で照射することができる。
【0077】
図2は、本発明の実施の形態1における照明装置の実装基板の正面図である。図2は、照明装置1における実装基板3の部分のみを正面から見た状態を示している。図2に示されるように、実装基板3の上に、複数の発光素子2が、二次元の列と行の関係となるように配列されている。物理的に厳密である必要はないが、マトリクス状に配列されている。また、発光素子2は、LEDのベアチップが用いられることも好適である。ベアチップが実装基板3に実装されることで、発光素子2同士の隣接距離を小さくでき、発光面21における複数の発光素子2の実相密度を高めることができるからである。
【0078】
実装基板3において発光素子2が配列されている範囲は、発光面21である。複数の発光素子2は、この発光面21に集中的に実装される。
【0079】
図3は、本発明の実施の形態1における発光素子からの光の照射状態を示す模式図である。図3は、発光素子2が実装された実装基板3を横から見た状態を示している。図3の破線は、発光素子2のそれぞれからの光の照射状態を示している。複数の発光素子2が、相互に近接して二次元においてマトリクス状に配置されている。複数の発光素子2のそれぞれは、発光素子2の特性に応じた照射角度で光を照射する。ある発光素子2は、隣接する発光素子2と近接しているので、隣接する発光素子2からの光の照射と、ある発光素子2からの光の照射とは、ある部分で重複する。図2では、破線の範囲で重なっている部分が重複部分である。
【0080】
この重複部分は、複数の発光素子2の列方向において行方向においても、隣接部分のそれぞれで生じる。この2次元における光の重複により、照明装置1は、高い光量で遠い距離までを十分に照射できる。
【0081】
図4は、図2図3で示した実装基板側から見た状態を示す正面図である。図4は、フード部4が設けられた状態での実装基板の正面図を示している。また、フード部4の前面には、発光素子2からの光を収束させたり拡散させたりする前カバー8が設けられてもよい。
【0082】
まとめると照明装置1は、次のような構成の特徴で、高い光量で広い照射角度と遠方まで届く光を照射できる。
【0083】
(特徴1)複数(多数)の発光素子2が二次元においてマトリクス状に配列される。
【0084】
(特徴2)発光素子2のそれぞれは、ベアチップのLEDなどにより、より高密度に実装される。
【0085】
(特徴3)発光素子2のそれぞれには、発光素子2の特性に対応して高い電力が付与される。この付与により、個々の発光素子2の発光量が高まる。
【0086】
実装基板3は、このように複数の(多数の)発光素子2を実装する。ここで、LEDを始めとする半導体素子による発光素子は、実装面に大きな熱を発する傾向がある。複数の発光素子2は、実装基板3の実装面(フード部4側)に実装される。このため実装基板3の実装面には、複数の発光素子2による高い熱が付与される。この熱は、実装基板3は、発光素子2による高い熱を受けるようになる。
【0087】
また、照明装置1は、高い光量を得るために、上記の特徴3のように、個々の発光素子2に高い電力を与えることが好適である。高い電力を与えられた発光素子2のそれぞれは、高い発光を生じさせるからである。複数の発光素子2のそれぞれが高い発光を生じさせれば、図3のような重複も相まって、照明装置1は、高い光量で、光を照射できる。
【0088】
しかしながら、発光素子2によって実装基板3に伝達される熱は、発光素子2の実相個数の増加と、発光素子2に付与される電力の増加に伴って増加する。すなわち、より高い光量での照射が求められる場合には、照明装置1における発光素子2から実装基板3に伝達される熱が増加する問題がある。
【0089】
実装基板3が高い熱を有するようになれば、発光素子2がジャンクション温度に近づいて、発光素子の不具合や故障が生じたり、照明装置1全体の不具合や短寿命化につながったりする可能性がある。例えば、照明装置1は、スポーツ施設や公共施設などに用いられることがある。この場合には、照明装置1は、高所に設置されやすい。このため、照明装置1に不具合が生じたり、発光素子2の一部に不具合が生じたりしても、修理や交換が困難である。このことにより、発光素子2の熱による照明装置1の不具合や故障を最小化することが必要である。
【0090】
冷媒管路6と放熱板7は、この発光素子2によって実装基板3へ伝達される熱を外部に放出する。この熱の放出により、上記の熱による問題を解消できる。実施の形態1における照明装置1は、高い光量を実現する際の阻害要因である熱の問題を解決する。
【0091】
図5は、本発明の実施の形態1における実装基板の側面図である。実装基板3は、その内部に貫通孔31を備える。貫通孔31は、実装基板3において、実装される複数の発光素子2の実装配列に沿って設けられる。ここで、発光素子2は、列と行に沿った二次元でのマトリクス配列を有する。貫通孔31は、例えば、この列に沿って設けられる。すなわち、複数の発光素子2の実装配列において、この列に沿って貫通孔31が設けられる。結果として、発光素子2の実装配列における列の数と、貫通孔31の数は同数となる。
もちろん、貫通孔31と列の数が異なってもよい。これが異なることは、列の数と冷媒管路6との数が異なることであってもよいことである。
【0092】
なお、冷媒管路6の格納部分61は、実装基板3の内部に設けられる貫通孔31に埋め込まれる製造工程でなくてもよい。実装基板3の一部が冷媒管路6の外形の一部に合わせたU字状に掘られた列を有しており、これと対になる別の板材が、合されることで、冷媒管路6の格納可能な空間が形成されることでもよい。この場合には、実装基板3のU字状に掘られた部分に冷媒管路6が嵌めこまれた上で、別の板材が被せられることで、冷媒管路6が、格納部分61において格納される。
【0093】
また、実装基板3の内部あるいは一部に格納部分61が埋め込まれることでもよいが、実装基板3とは別の板材に、貫通孔あるいはU字状の溝の嵌合によって、冷媒管路6が埋め込まれてもよい。
いずれかの構造で、冷媒管路6の一部が、格納部分61として、実装基板3からの熱を受けることができる。
【0094】
複数の冷媒管路6のそれぞれは、この貫通孔31のそれぞれに格納される。冷媒管路6のそれぞれは、この貫通孔31に格納されることで、実装基板3内部の平面方向を貫通して外部に突出した上で、延伸する延伸形状を有する。図1では、この実装基板3内部の平面方向を貫通して外部に突出した上で、延伸している状態を示している。すなわち、冷媒管路6は、全体として延伸形状を有しつつ、その一部を、実装基板3の内部に格納させる。なお、この延伸形状がさらにつながることで、複数の冷媒管路6のそれぞれは、周回する周回形状を有してもよい。
【0095】
この実装基板3の内部に格納される際においては、発光素子2の実装配列に沿った貫通孔31に合わせられているので、冷媒管路6は、延伸形状(あるいは周回形状)を、発光素子2の実装配列に合わせることができる。言い換えれば、冷媒管路6のそれぞれは、発光素子2の実装配列における列の数に合わせた数を有する。更には、実装配列における列の位置に合せて、実装基板3の内部に格納される。もちろん、実装基板3の外部に出ている部分においては、発光素子2の列の位置に一致していても一致していなくてもよい。
【0096】
図6は、本発明の実施の形態1における照明装置の正面図である。図6は、照明装置1を正面から見た状態であって、延伸形状の冷媒管路6の実装基板3内部への格納状態と外部へ出る状態とを模式的に示している。
【0097】
冷媒管路6は、実装基板3の内部にその一部を格納している。格納においては、図5を用いて説明した通り、実装基板3の厚み方向において設けられた貫通孔31に格納されている。この実装基板3内部に格納されている部分は、冷媒管路6における格納部分61であり、実装基板3の外部に突出している部分は、冷媒管路6における露出部分62である。露出部分62は、実装基板3の外部に延伸して露出する。更には、この露出部分62は、図1に示されるように、外部で連続している。この連続の結果、冷媒管路6のそれぞれは、延伸形状を有するようになる。この延伸形状は、格納部分61と露出部分62とが繋がることで形成される。
【0098】
以上のように、実装基板3の内部にその一部が格納され、発光素子2の実装配列に沿った延伸形状の冷媒管路6が備わることで、発光素子2が実装基板3に付与する熱を外部に放出できる。複数の冷媒管路6のそれぞれは、内部に冷媒を封入している。この封入された冷媒の気化と凝縮によって、実装基板3に伝達される発光素子2からの熱を、実装配列の列に沿って、外部に放出できる。
【0099】
なお、複数の冷媒管路6のそれぞれは、後述するように、第1通路と第2通路とに分離されている。この第1通路と第2通路のそれぞれでの、気化冷媒の移動と、凝縮冷媒の還流の往復運動が生じる。冷媒管路6が第1方向への第1通路と逆方向である第2方向への第2通路とに分離されていることで、冷媒管路6では、双方向で2つの空間での熱移動を生じさせることができる。
【0100】
この双方向での熱移動のそれぞれにより、発熱部分(実装基板3)から放熱部分(放熱板7)への熱移動が、発熱部分から放熱部分への方向のみとなり、熱を奪って移動させて放熱する処理が、第1通路と第2通路のそれぞれで完結できる。
【0101】
延伸形状である冷媒管路6全体が周回形状であって、この全体を、冷媒が一周する構成である場合は、次のような問題を生じる。まず、発熱部分で気化した気化冷媒が、冷媒管路6内部で一方通行のように放熱部分に到達する。この放熱部分(放熱板7)で冷却されて凝縮した冷媒は、同じ一方通行に沿って周回して発熱部分である電子基板3側に戻る必要があるが、戻るための毛細管現象が不足して還流が不十分となる。逆に、気化冷媒が移動する側では、気化冷媒の通路のみになるので、気化冷媒の移動が不十分となる。
【0102】
すなわち、このような構成の場合には、冷媒管路6において発熱部分から放熱部分までの一方は、気化冷媒の移動のみだけになり、他方は、凝縮冷媒の還流のみになってしまう。この結果、冷媒管路6の半分は通路のみになり、残りの半分は毛細管のみになって、気化冷媒の移動や凝縮冷媒の還流を、効率的に行えない。気化冷媒は空洞の通路のみでは移動が不十分となり、凝縮冷媒は冷媒管路6の内径を埋めるサイズの毛細管流路では還流が不十分となってしまう。
【0103】
また、一方通行で周回形状の冷媒管路6を冷媒が移動するだけであれば、発熱部分で奪える熱の量も一方通行に合わせた量のみになり、一度の冷媒の移動で放出できる熱量が小さくなる。
【0104】
これに対して、後述するように第1方向への第1通路と逆方向の第2方向への第2通路に分割されていることで、気化冷媒と凝縮冷媒は、相互に対向する方向で移動と還流を行う。この動作により、気化冷媒の移動と凝縮冷媒の還流が、確実かつ効率的に行える。
【0105】
また、冷媒管路6が2分割されていることで、発熱部分である実装基板3で奪える熱の量も2方向分となり、一方通行の場合よりも多くなる。この点も合せて、冷媒管路6による発熱部分の熱の外部への放出効率が高まる。
【0106】
このとき、複数の冷媒管路6のそれぞれは、外部の露出部分62において、放熱板7を貫通している。すなわち、露出部分62は、放熱板7と熱的に接触している。この熱的な接触により、冷媒管路6が輸送した実装基板3での熱を、外部に放出できる。この熱の放出により、特徴1〜3により実装された発光素子2から実装基板3に伝達される熱の問題を解消できる。
【0107】
この熱問題の解消により、特徴1〜3での発光素子2の実装が可能となり、照明装置1は、高い光量で、遠方までを十分に照射できる。
【0108】
(熱処理の動作説明)
図7を用いて、照明装置1での熱処理の動作を説明する。図7は、本発明の実施の形態1における照明装置の側面図である。図7は、照明装置1を側面から見た状態であって、一つの冷媒管路6を際立たせる状態を示している。実際の照明装置1は、発光素子2の実装配列の列に沿った数の冷媒管路6を有しているが、説明の便宜上、図7では、一つの冷媒管路6を際立たせて示している。
【0109】
実装基板3は、複数の発光素子2を実装している。実装される発光素子2は、図6のように、二次元でマトリクス状に配置されている。このとき、発光素子2は、ベアチップのLEDのように、パッケージ化されていない素子がそのまま実装基板3に実装されていることが好ましい。この実装により、発光素子2の実装密度を高めて、照明装置1の光量を高めることができるからである。
【0110】
複数の冷媒管路6のそれぞれは、この実装された発光素子2の実装配列の列方向に対応して設けられる。冷媒管路6は、上述の通り、実装基板3内部の格納部分61と外部に露出して延伸する露出部分62と、を有する。格納部分61と露出部分62とが連続した延伸形状を有している。
【0111】
冷媒管路6は、内部に冷媒を封入している。すなわち、冷媒管路6は、この冷媒を内部で巡回(循環)させることができる。
【0112】
発光素子2は、電力を受けて発光する。この発光の際に、熱を発生して実装基板3に熱を伝える。このとき、発光素子2は、図6のようにマトリクス状に配列されているので、この実装配列に合せて実装基板3に熱を伝える。この実装配列の列に沿って、実装基板3内部に冷媒管路6の格納部分61が格納されている。すなわち、発光素子2からの熱は、この格納部分61に伝達される。
ここで、冷媒管路6は、延伸形状であって、露出部分62で分離して独立した第1通路65と第2通路66とから構成される。あるいは、内部が一周する周回形状であって、内部で隔壁などの壁によって2つの内部空間に分離されて、第1通路65と第2通路66とに分離されている。この第1通路65と第2通路66との2つの空間で、封入された冷媒が、往復移動して熱を移動・放出する。
(周回形状が内部で分離されている場合)
【0113】
冷媒管路6は、図7に示されるように、第1通路65と第2通路66とを有する。冷媒管路6は、その内部空間に、発熱部分である実装基板側に実装基板側隔壁67を備える。更に、冷媒管路6は、その内部空間に、放熱部分である放熱板7側に、放熱板側隔壁68を備える。この実装基板側隔壁67と放熱板側隔壁68により、複数の冷媒管路6のそれぞれは、第1方向に向いた第1通路65と第2方向に向いた第2通路66とに分割される。
【0114】
ここで、図7の矢印の通り、第1方向と第2方向とは異なる方向である。更にいえば、周回形状を有する冷媒管路6において例えば右方向が第1方向であり、これと逆の左方向が第2方向である。このように、第1方向と第2方向は逆方向であることで、冷媒管路6において、第1通路65と第2通路66とのそれぞれが、逆側のそれぞれに設けられることになる。このとき、実装基板側隔壁67と放熱板隔壁68とを基準として、一方側に、第1通路65が設けられ、逆側に第2通路66が設けられる。すなわち、冷媒管路6のそれぞれは、相対する第1通路65と第2通路66とに2分割される。
【0115】
第1通路65は、実装基板側隔壁67から放熱板側隔壁68にかけて実質的に密閉された空間である。第1通路65は、この空間内部に冷媒を封入している。同様に、第2通路66は、実装基板側隔壁67から放熱板側隔壁68にかけて実質的に密閉された空間である。第2通路66は、この内部空間に冷媒を封入している。
【0116】
すなわち、冷媒管路6は、分割された第1通路65と第2通路66とのそれぞれに、個別に冷媒を封入している。このため、冷媒管路6は、第1通路65と第2通路66のそれぞれを個別に動作させて、冷媒循環による実装基板3で発生する熱(発光素子2が発生させる熱)を、効率よく放出させる。
【0117】
ここで、冷媒管路6は、実装基板3に格納される格納部分61と、実装基板3から露出する露出部分62とからなる。この構成により、冷媒管路6のそれぞれは、実装基板3内部から外部の放熱板7までの周回形状を構成できる。
【0118】
(第1通路での動作)
第1通路65は、内部に冷媒を封入している。第1通路65は、その内部に毛細管流路を有している。この毛細管流路によって、凝縮した冷媒を還流できる。これに合わせて、第1通路65の内部は、毛細管流路の残部を備えている。この残部を中心に、気化した気化冷媒が移動できる。
【0119】
第1通路65は、実装基板側隔壁67において、実装基板3と熱的に接触する。この実装基板3との熱的な接触により、第1通路65が封入している冷媒は、実装基板3からの熱を受ける。この熱を受けることにより、冷媒は、気化して気化冷媒となる。
【0120】
気化冷媒は、図7の矢印Aに沿って、第1方向に向けて、第1通路65内部の移動を開始する。第1通路65は、周回形状の一部であるので、気化冷媒は、そのまま第1通路65内部を矢印Bのように移動して、その終端である放熱板側隔壁68に到達する。
【0121】
放熱板側隔壁68付近においては、冷媒管路6は、放熱板7と交差している。この交差により冷媒管路6の露出部分62は、放熱板7と熱的に接触する。この熱的な接触により、気化冷媒が移動により運搬した熱を、放熱板7が外部に放出できる。矢印Iは、この放熱板7からの外部への熱の放出を示す。
【0122】
この熱の放出によって、気化冷媒は熱を奪われて冷却される。この冷却によって、冷媒は凝縮して液化する。この凝縮冷媒は、第1通路65内部の毛細管流路を還流する。還流は、図7の矢印Cに沿って、放熱された部分である放熱板隔壁68から還流を開始する。さらに第1通路65内部を還流して、矢印Dに沿って、凝縮冷媒が実装基板側隔壁67に向けて戻っていく。
【0123】
このように、第1通路65内部において、実装基板側隔壁67と放熱板側隔壁68との間で、冷媒が往復移動する。この往復移動によって、実装基板3で発生する熱を、放熱板7に運搬して外部に放出することが、繰り返し行われる。すなわち、熱交換が行われる。
【0124】
(第2通路での動作)
第2通路66は、第1通路65と同様であって独立して内部に冷媒を封入している。第2通路66は、その内部に毛細管流路を有している。この毛細管流路によって、凝縮した冷媒を還流できる。これに合わせて、第2通路66の内部は、毛細管流路の残部を備えている。この残部を中心に、気化した気化冷媒が移動できる。
【0125】
第2通路66は、実装基板側隔壁67において、実装基板3と熱的に接触する。この実装基板3との熱的な接触により、第2通路66が封入している冷媒は、実装基板3からの熱を受ける。この熱を受けることにより、冷媒は、気化して気化冷媒となる。
【0126】
気化冷媒は、図7の矢印Eに沿って、第2方向に向けて、第2通路66内部の移動を開始する。第2通路66は、周回形状の一部であるので、気化冷媒は、そのまま第2通路66内部を矢印Fのように移動して、その終端である放熱板側隔壁68に到達する。
【0127】
ここで、矢印Aと矢印Eとの違いで分かるとおり、第2通路66は、第1通路65と逆方向に気化冷媒を移動させる。すなわち、第1通路65とは逆方向に熱を移動させる。第1通路65と第2通路66とは、それぞれ独立している。この独立した状態で、逆方向に熱を移動させることで、冷媒管路6の内部空間の容量に対して十分な熱移動を実現させることができる。周回形状の冷媒管路6を、一方通行で一周させるよりも、2方向による熱移動(と熱放出)により、高い量の熱を移動させて放出できる。
【0128】
放熱板側隔壁68付近においては、冷媒管路6は、放熱板7と交差している。この交差により冷媒管路6の露出部分62は、放熱板7と熱的に接触する。この熱的な接触により、気化冷媒が移動により運搬した熱を、放熱板7が外部に放出できる。矢印Jは、この放熱板7からの外部への熱の放出を示す。
【0129】
この熱の放出によって、気化冷媒は熱を奪われて冷却される。この冷却によって、冷媒は凝縮して液化する。この凝縮冷媒は、第2通路66内部の毛細管流路を還流する。還流は、図7の矢印Gに沿って、放熱された部分である放熱板隔壁68から還流を開始する。さらに第2通路66内部を還流して、矢印Hに沿って、凝縮冷媒が実装基板側隔壁67に向けて戻っていく。
【0130】
このように、第2通路66内部において、実装基板側隔壁67と放熱板側隔壁68との間で、冷媒が往復移動する。この往復移動によって、実装基板3で発生する熱を、放熱板7に運搬して外部に放出することが、繰り返し行われる。すなわち、熱交換が行われる。
【0131】
このように、第1通路65と同じく、逆方向においても、第2通路66が熱交換を実行できる。この逆方向に分割された第1通路65と第2通路66とのそれぞれに分離された熱の移動と放出により、熱を発する実装基板3での熱が、両方向で放出される。この両方向に分割されて放出されることで、実装基板3全体の熱の放出効率が高まる。一方通行で行う場合の、理論上は倍程度になる。
【0132】
以上の結果、特徴1〜3に記載のように、多数の発光素子2をマトリクス状であって高密度に実装できる。当然に、照明装置1は、高い光量で、遠方まで広く照射できる。
【0133】
(分離した第1通路と第2通路)
あるいは、周回形状の冷媒管路6が、内部で第1通路65と第2通路66とに分離している構成ではなく、延伸形状である冷媒管路6が、露出部分62で分離した構成でもよい。例えば図10は、延伸形状である冷媒管路6が、露出部分62であって、放熱板7を貫通したところで、一方からの延伸部分と他方からの延伸部分とが分離した状態を示している。このように、露出部分62で分離した別の物理要素として、第1通路65と第2通路66とに分離した冷媒管路6であってもよい。
【0134】
このように分離した冷媒管路6の一方からの延伸部分が第1通路65であって、他方からの延伸部分が第2通路66であることで、第1通路65と第2通路66のそれぞれで、冷媒の往復移動による熱の移動と放出が実現できる。
【0135】
このとき、分離した冷媒管路6の一方からの延伸部分である第1通路65は、その内部に冷媒を封入している。同様に、第2通路66も内部に冷媒を封入している。第1通路65においては、実装基板3の部分で受けた熱により冷媒が気化する。気化した気化冷媒は、第1通路65内部を、実装基板側から放熱板側へ移動する。
【0136】
この移動により熱が輸送される。放熱板側に到達した気化冷媒は、放熱板7での放熱により、凝縮する。凝縮した凝縮冷媒は、第1通路65内部を、放熱板側から実装基板側に還流する。この還流により、再び実装基板3で熱を受けて気化できる。
【0137】
第2通路66においても同様である。第2通路66に封入された冷媒は、実装基板3の熱で気化して気化冷媒となる。気化冷媒は、実装基板側から放熱板側に移動する。放熱板7での放熱により気化冷媒は凝縮する。凝縮冷媒は、第2通路66内部を、毛細管現象により、放熱板側から実装基板側へ還流する。この還流により、再び実装基板3の熱を移動させることを繰り返せる。
【0138】
また、冷媒管路6のそれぞれは、実装されている発光素子2の実装配列の列に沿って設けられる。このため、二次元に配列された発光素子2の列に沿って生じる熱を、一つの冷媒管路6が奪い取って、外部に放出できる。このため、発光素子2の実装配列に合わせて発生する熱を、この実装配列に沿って奪い取って放出できる。結果として、発光素子2の実装、実装基板3の大きさおよび冷媒管路6の数のバランスにおいて、最適なバランスで熱を放出できる。
【0139】
これらの結果、もっとも最小の構成で、最大の効果を持って発光素子2から実装基板3に伝達される熱問題を解消できる。
【0140】
もちろん、図7に示される実装配列の列に沿った冷媒管路6以外に、行方向にも沿った別の冷媒管路6が設けられることも好適である。この場合は、冷媒管路6も、二次元的に列方向と行方向の両方に沿った構造を有する。この場合には、発光素子2の発する熱を、列方向および行方向の両方で奪い取り、外部に放出できる。
【0141】
以上のようにして、実施の形態1の照明装置1は、発光素子2の実装密度を向上させる場合に必要となる熱問題を解決できる。
【0142】
(実施の形態2)
【0143】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、各部の詳細や別態様について説明する。
【0144】
(発光素子)
発光素子2は、LEDなどを用いる。実装基板3は、発光素子2を種々の方式(ワイヤボンディングなど)で電気的に実装する。この実装においては、発光素子2に電力や制御信号を供与する配線も合せて実装される。
【0145】
図6で示したように、複数の発光素子2は、列方向と行方向とを有する実装配列に合せて実装される。すなわち、二次元に配列されて実装される。図6のようにマトリクス状であってもよいし、発光素子2同士が少しずつずれた二次元状態の配列でもよい。
【0146】
高密度で実装されることで、高い光量で、遠方までを照射できるようになる。また、二次元配列や一次元配列される複数の発光素子2同士の間隔は、発光素子2のサイズ以下であることも好適である。隣接する発光素子2同士の間隔が、発光素子2のサイズ以下であることで、<1>発光素子2のそれぞれから照射される光の重複範囲の割合が大きくなる、<2>ある発光素子2から照射される光が、隣接する発光素子2の側面で反射するようになること、の2点が実現される。この2点が実現されることで、複数の発光素子2から照射される光は、側面での反射と重複とが相まって、あたかも単一光源のような光の照射が可能となる。
【0147】
また、上述したように、発光素子2がLEDである場合には、ベアチップであることも好ましい。ベアチップで実装されることで、実装面積の削減ができるからである。
【0148】
また、複数の発光素子2の照射方向に設けられ、複数の発光素子2の発光を収束もしくは拡散する前カバー8が更に備えられることも好適である。前カバー前カバー8は、複数の発光素子2の集積のみで生じる光の照射角度を、より狭めたりあるいはより広げたりして、照明装置1の光の照射バリエーションを広げることができるからである。なお、前カバー8は、レンズ構造を有していたり、レンズ面を積層したりしていることもよい。例えば、前カバー8の内側にレンズ板が実装されてもよい。
【0149】
(実装基板)
実装基板3は、複数の発光素子2を実装面に実装する。実装のために必要な配線も有している。配線は、独立した導電線による配線でもよいし、いわゆるプリント基板などのように、実装基板3の表面、裏面、内層にプリントされた配線であってもよい。
【0150】
実装基板3は、発光素子2を実装する電気的配線等を実現する電子基板であると共に、照明装置1の骨格を形成する機構的基板でもある。実装基板3は、その表面に電気的に発光素子2を実装し、内部に備える貫通孔31により、冷媒管路6の一部を内部に格納する。すなわち、発光面においては、発光素子2を実装して固定し、逆の面においては、冷媒管路6を取り付けて固定する。この冷媒管路6は、放熱板7と接続されると共に放熱板7を固定する。すなわち、実装基板3は、冷媒管路6と放熱板7も固定するといえる。
【0151】
また、フード部4が設けられる場合には、フード部4は、実装基板3に取り付けられる。このため、発光面においては、発光素子2だけでなくフード部4も固定できる。このように、実装基板3は、機構的な骨格でもある。
【0152】
このように、電子基板と機構的基板とを両立する実装基板3は、金属、合金およびこれらの混合物の少なくとも一つで形成されることが好適である。特に、このような素材であることで、熱伝導率も高くなり、発光素子2からの熱を、貫通孔31に格納している冷媒管路6の格納部分61に伝導しやすくなる。この伝導性の高さにより、発光素子2の実装面で生じる熱が、冷媒管路6により放熱板7に効率的に運搬される。
【0153】
(冷媒管路)
冷媒管路6は、発光素子2の実装配列の列方向もしくは行方向に沿って設けられる。この結果、冷媒管路6の個数は、発光素子2の実装における列の数や行の数と同数となる。加えて、冷媒管路6は、実装基板3内部に格納される格納部分61と、延伸して露出する露出部分62とを備える。
【0154】
冷媒管路6は、この露出部分62において、放熱板7を貫通する。この貫通によって、冷媒管路6と放熱板7とは、熱的に接触する。このとき、複数の冷媒管路6の全てが、放熱板7を貫通していることも好適である。これにより、冷媒管路6が輸送する実装基板3での熱を、効率的に外部に放出できるからである。
【0155】
ここで、冷媒管路6は、図7に示されるように、露出部分62において、実装基板3に対して略平行となる部分を有する。この略平行となる部分において、冷媒管路6は、放熱板7を貫通する。図8は、本発明の実施の形態2における照明装置の側面図である。
【0156】
なお、冷媒管路6のそれぞれは、図7を用いて説明したように、第1通路65と第2通路66とに分割され、それぞれで冷媒が往復移動する。
【0157】
図8では、複数の放熱板7が、複数の冷媒管路6で貫通されている状態が示されている。このような貫通により、放熱板7は、冷媒管路6と熱的に接続されると共に、冷媒管路6により固定される。
【0158】
図9は、本発明の実施の形態2における照明装置の別方向からの側面図である。図9は、図8と90度異なる角度からの側面図である。図9にあるように、複数の冷媒管路6は、複数の放熱板7を貫通する。このとき、冷媒管路6は、より広い範囲で放熱板7と熱的に接続するように、露出部分62において広がるように延伸してもよい。このように広がりながら延伸することで、複数の冷媒管路6のそれぞれは、放熱板7の様々な場所を貫通する。この結果、複数の冷媒管路6のそれぞれは、放熱板7を、より効率的に使用できる。
【0159】
(放熱板)
複数の放熱板7は、貫通孔9を備えてもよい。この貫通孔9を、冷媒管路6が貫通する。すなわち、この貫通孔9において、冷媒管路6と放熱板7とが、熱的に接触する。この貫通孔9での熱的な接触により、放熱板7は、冷媒管路6と熱的に接続できる。この熱的な接続により、放熱板7は、冷媒管路6が輸送する熱を、外部に放出できる。
【0160】
この放熱板7での熱の放出により、冷媒管路6を移動してきた気化冷媒は冷却されて凝縮する。凝縮によって、凝縮冷媒となる。冷媒管路6は、浸透圧を生じさせる内部構成(細管であったり、内部にメッシュ構造を有していたりする)を有しているので、凝縮冷媒を還流させる。
【0161】
複数の放熱板7は、図8のように、適当な間隔で並んでいればよい。放熱板7が複数であることで、放熱板7全体の表面積が増加して、放熱効果が高まる。加えて、図8のように、複数の放熱板7が適当な間隔で並んでいることで、隣接する放熱板7同士の間で、熱の対流が生まれる。この熱の対流により、放熱板7は、冷媒管路6から伝わる熱を、効率的に外部に放出できる。
【0162】
図10は、本発明の実施の形態2における照明装置の背面図である。図10から明らかな通り、複数の放熱板7が、略平行に並んでいる。この複数の放熱板7を、複数の冷媒管路6が貫通している。複数の放熱板7と複数の冷媒管路6とは、相互に略直交するように交差している。
【0163】
すなわち、交差するように、複数の放熱板7と複数の冷媒管路6とが組み合わさる。この組み合わさる構造により、放熱板7は、確実に冷媒管路6を介して実装基板3に固定される。これらの相互固定により、照明装置1は、冷媒管路6や放熱板7などの種々の部材を備えつつも、十分な強度を確保できる。
【0164】
また、交差して組み合わさることで、冷媒管路6が輸送する熱が、放熱板7に伝導しやすくなる。更には、複数の冷媒管路6と複数の放熱板7との組み合わせにより、伝導が更に促進される。結果として、冷媒管路6が輸送する熱が、放熱板7において効率的に放出される。
【0165】
(実装基板の特徴)
図11は、本発明の実施の形態2における実装基板の側面図である。図11は、発光素子2が実装された実装基板3を側面から見た状態を示している。
【0166】
図11における実装基板3は、実装配列の列方向もしくは行方向のそれぞれの方向に沿って、複数の発光素子2を実装している。このとき、列方向もしくは行方向のそれぞれの列や行の間に、突出部50が設けられる。突出部50は、隣接する列あるいは行の並びの間を区分する。すなわち、ある列と隣の列とを遮蔽し、あるいはある行と隣の行とを遮蔽する。
【0167】
この遮蔽により、列方向あるいは行方向で隣接する一列の発光素子2同士での、熱の伝導を制限できる。また、この突出部50で区分された一つずつの列あるいは一つずつの行に沿って冷媒管路6が設けられる。この結果、個々の冷媒管路6は、自身が対応する列や行で発生する発光素子2からの熱を、確実に受け取ることができるようになる。
【0168】
また、突出部50は、隣接する列や行の発光素子2からの発熱を伝えにくくなるので、実装基板3全体が熱を持ちにくくなる。熱が伝わりにくい状態で、列や行に留まった熱を冷媒管路6が奪い取って、外部に放出するので、冷媒管路6と放熱板7による放熱効果が更に高まる。
【0169】
なお、本明細書では、二次元の実装配列の一方向を列方向と定義し、この列方向に略垂直の方向を行方向として定義した。列方向を第1方向、行方向を第2方向として定義してもよい。このとき、二次元の実装配列において、列方向における複数の発光素子2の並び方が、必ずしもその隣接距離や位置を一致させていなくてもよい。行方向での複数の発光素子2の並び方も同様である。
【0170】
このように、実施の形態2における照明装置1は、多数の発光素子2を実装している場合でも、その熱を効率的に放出できる。結果として、発光素子2や実装基板3の不具合や故障を未然防止できる。
【0171】
以上、実施の形態1〜2で説明された照明装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0172】
1 照明装置
2 発光素子
3 実装基板
31 貫通孔
4 フード部
6 冷媒管路
61 格納部分
62 露出部分
7 放熱板
8 前カバー
9 貫通孔
50 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11